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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134718
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】立体物印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 129
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045061
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】和田 一志
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EB37
2C056EC07
2C056EC33
2C056EC37
2C056FA09
2C056FB09
2C056HA02
2C056HA07
2C056HA12
(57)【要約】
【課題】画質を向上させる。
【解決手段】立体物印刷装置は、立体的なワークに対してヘッドから液体を吐出させつつ、Z移動機構およびX移動機構の動作によって、ワークに対してヘッドを移動させる印刷動作の実行中において、ヘッドがワーク上の第1領域に対向するタイミングを第1タイミングとし、ヘッドがワーク上の第1領域とは異なる第2領域に対向するタイミングを第2タイミングとし、ノズルとワークとの間のZ軸に沿う距離を吐出距離としたとき、Z軸およびX軸の両方に交差するY軸に沿う方向にみて、第1領域および第2領域の傾きが互いに異なる場合、第1タイミングにおける吐出距離と第2タイミングにおける吐出距離とが互いに異なる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
前記ヘッドをZ軸に沿って移動させるZ移動機構と、
前記Z軸に交差するX軸に沿って前記Z移動機構を移動させることにより、前記ヘッドを前記X軸に沿って移動させるX移動機構と、を備え、
立体的なワークに対して前記ヘッドから液体を吐出させつつ、前記Z移動機構および前記X移動機構の動作によって、前記ワークに対して前記ヘッドを移動させる印刷動作を実行し、
前記印刷動作の実行中において、
前記ヘッドが前記ワーク上の第1領域に対向するタイミングを第1タイミングとし、
前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域とは異なる第2領域に対向するタイミングを第2タイミングとし、
前記ノズルと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う距離を吐出距離としたとき、
前記第1タイミングにおける前記X軸に沿う方向での前記ヘッドの位置と前記第2タイミングにおける前記X軸に沿う方向での前記ヘッドの位置とが互いに異なるとともに、前記第1タイミングにおける前記Z軸に沿う方向での前記ヘッドの位置と前記第2タイミングにおける前記Z軸に沿う方向での前記ヘッドの位置とが互いに異なり、
前記Z軸および前記X軸の両方に交差するY軸に沿う方向にみて、前記第1領域および前記第2領域の傾きが互いに異なる場合、前記第1タイミングにおける前記吐出距離と前記第2タイミングにおける前記吐出距離とが互いに異なる、
ことを特徴とする立体物印刷装置。
【請求項2】
前記Y軸に沿う方向にみて、前記第1領域の傾きが前記第2領域の傾きよりも大きく、かつ、前記第1タイミングにおける前記吐出距離が前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の立体物印刷装置。
【請求項3】
前記印刷動作の実行中において、前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域に対向するタイミングであって、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとしたとき、
前記第3タイミングにおける前記吐出距離は、前記第1タイミングにおける前記吐出距離よりも小さく、かつ、前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の立体物印刷装置。
【請求項4】
前記印刷動作の実行中において、前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域に対向するタイミングであって、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとしたとき、
前記第1タイミングにおける前記吐出距離と前記第3タイミングにおける前記吐出距離とが互いに等しい、
ことを特徴とする請求項2に記載の立体物印刷装置。
【請求項5】
前記第1領域および前記第2領域のうち、一方の領域の傾きが上り勾配であり、他方の領域の傾きが下り勾配である、
ことを特徴とする請求項1に記載の立体物印刷装置。
【請求項6】
前記第1領域が上り勾配であり、前記第2領域が下り勾配であり、
前記第1タイミングにおける前記吐出距離は、前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも小さい、
ことを特徴とする請求項5に記載の立体物印刷装置。
【請求項7】
前記ヘッドは、前記ノズルを含むノズル列が設けられた吐出面を有し、
前記吐出面を前記ノズル列に対して前記印刷動作の実行時の前記X移動機構による前記ヘッドの移動方向で前方の第1部分と後方の第2部分とに区分したとき、
前記第1部分の前記X軸に沿う幅は、前記第2部分の前記X軸に沿う幅よりも小さい、
ことを特徴とする請求項6に記載の立体物印刷装置。
【請求項8】
前記ワーク上の液体を硬化または半硬化させる光を出射する光源をさらに備え、
前記Z移動機構は、前記光源を前記ヘッドとともに前記Z軸に沿って移動させる、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の立体物印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体物印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的なワークの表面にインクジェット方式により印刷を行う立体物印刷装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の装置は、複数のヘッドと、複数のヘッドを上下させるヘッド上下機構と、を有する。特許文献1では、ヘッドのノズルとワークの印刷面との間隔を一定値に保った状態で印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-035552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、ヘッドのノズルとワークの印刷面との間隔を一定であるため、印刷面が傾斜の異なる複数の部分を有する場合、当該複数の部分のうち最も傾斜のきつい部分への印刷時にヘッドがワークに衝突しないようにヘッドのノズルとワークの印刷面との間隔を設定する必要がある。そうすると、他の部分への印刷時にヘッドのノズルとワークの印刷面との間隔が必要以上に大きくなってしまうので、印刷品位の低下を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示の立体物印刷装置の一態様は、液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記ヘッドをZ軸に沿って移動させるZ移動機構と、前記Z軸に交差するX軸に沿って前記Z移動機構を移動させることにより、前記ヘッドを前記X軸に沿って移動させるX移動機構と、を備え、立体的なワークに対して前記ヘッドから液体を吐出させつつ、前記Z移動機構および前記X移動機構の動作によって、前記ワークに対して前記ヘッドを移動させる印刷動作を実行し、前記印刷動作の実行中において、前記ヘッドが前記ワーク上の第1領域に対向するタイミングを第1タイミングとし、前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域とは異なる第2領域に対向するタイミングを第2タイミングとし、前記ノズルと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う距離を吐出距離としたとき、前記第1タイミングにおける前記X軸に沿う方向での前記ヘッドの位置と前記第2タイミングにおける前記X軸に沿う方向での前記ヘッドの位置とが互いに異なるとともに、前記第1タイミングにおける前記Z軸に沿う方向での前記ヘッドの位置と前記第2タイミングにおける前記Z軸に沿う方向での前記ヘッドの位置とが互いに異なり、前記Z軸および前記X軸の両方に交差するY軸に沿う方向にみて、前記第1領域および前記第2領域の傾きが互いに異なる場合、前記第1タイミングにおける前記吐出距離と前記第2タイミングにおける前記吐出距離とが互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る立体物印刷装置の概略を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る立体物印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3】ヘッドユニットおよび調整機構の概略構成を示す斜視図である。
図4】ヘッドの吐出面を説明するための側面図である。
図5】立体物印刷装置の印刷動作の概略を示す図である。
図6】第1実施形態における上り勾配での吐出距離を説明するための図である。
図7】参考例における上り勾配での吐出距離を説明するための図である。
図8】第1実施形態における下り勾配での吐出距離を説明するための図である。
図9】第1実施形態における吐出距離の設定方法の一例を示すフローチャートである。
図10】印刷対象領域の傾きを説明するための図である。
図11】第1実施形態における吐出距離の設定を説明するための図である。
図12】第1実施形態における吐出距離の設定方法の他の例を示すフローチャートである。
図13】第2実施形態における上り勾配での吐出距離を説明するための図である。
図14】第2実施形態における吐出距離の設定方法を示すフローチャートである。
図15】仮吐出距離の設定を説明するための図である。
図16】対象X位置がx1である場合の吐出距離の設定を説明するための図である。
図17】対象X位置がx3である場合の吐出距離の設定を説明するための図である。
図18】第2実施形態における吐出距離の設定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0008】
以下の説明は、便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下の説明では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。また、Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。
【0009】
ここで、X軸、Y軸およびZ軸は、後述の移動機構2および支持機構4が設置される空間に設定されるワールド座標系の座標軸に相当する。典型的には、Z軸が鉛直な軸であり、Z2方向が鉛直方向での下方向に相当する。以下では、便宜上、ワールド座標系を用いて移動機構2の動作を制御する場合が例示される。
【0010】
なお、Z軸は、鉛直な軸でなくともよい。また、X軸、Y軸およびZ軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、直交しない場合もある。例えば、X軸、Y軸およびZ軸が80°以上100°以下の範囲内の角度で互いに交差すればよい。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.印刷装置の概略
図1は、第1実施形態に係る立体物印刷装置1の概略を示す斜視図である。立体物印刷装置1は、立体的なワークWの表面にインクジェット方式により印刷を行う装置である。
【0012】
ワークWは、印刷対象となる面WFを有する。図1に示す例では、面WFがY軸に平行となるようにZ1方向に向けて突出する凸湾曲面である。ここで、X軸に対する面WFの傾斜の程度は、X1方向またはX2方向に向かうに従い変化する。なお、ワークWの大きさ、形状または設置姿勢は、図1に示す例に限定されず、任意である。
【0013】
図1に示すように、立体物印刷装置1は、基台10と移動機構2とヘッドユニット3_1~3_4とセンサーユニット30と支持機構4とメンテナンス機構12とを備える。以下、図1に基づいて、立体物印刷装置1の各部を順次簡単に説明する。なお、以下では、ヘッドユニット3_1~3_4のそれぞれをヘッドユニット3という場合がある。
【0014】
基台10は、移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12を支持する面10aを有する台である。面10aは、Z1方向を向く面である。ここで、移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12のそれぞれは、基台10に対して、ネジ止め等により直接的または他の部材を介して間接的に固定される。
【0015】
図1に示す例では、基台10が箱状をなしており、面10aがZ1方向を向く面である。基台10に対してZ1方向の位置には、詳細な図示を省略するが、図1中の二点鎖線で示すように、ケース11が配置される。ケース11は、基台10に支持される移動機構2、支持機構4およびメンテナンス機構12等の構造物を収容する空間を面10aとの間に形成する箱状の構造体である。ケース11は、例えば、金属等で構成される複数の柱および複数の梁と、アクリル樹脂等の透明材料で構成される天板および壁板等の複数の板材と、を有する。また、図1では図示を省略するが、ケース11には、支持機構4へのワークWの供給および取り出しのための扉と、ケース11の外部からメンテナンス機構12を視認するための窓と、が設けられる。
【0016】
なお、基台10の構成は、図1に示す例に限定されず、任意である。また、基台10およびケース11のそれぞれは、必要に応じて設ければよく、省略されてもよい。言い換えると、基台10は、立体物印刷装置1の構成要素でなくともよく、例えば、建物の床、壁または天井等でもよい。
【0017】
移動機構2は、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30の相対的な位置を変化させる機構である。
【0018】
図1に示す例では、移動機構2は、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30の相対的な位置をX軸およびZ軸に沿う方向で変化させる。移動機構2は、X移動機構2XとZ移動機構2Z_0~2Z_4とを備える。なお、以下では、Z移動機構2Z_0~2Z_4のそれぞれをZ移動機構2Zという場合がある。
【0019】
X移動機構2Xは、Z軸と直交するX軸に沿ってワークWに対するヘッドユニット3およびセンサーユニット30のそれぞれの相対位置を変化させる直動機構である。図1に示す例では、X移動機構2Xは、Z移動機構2Z_0~2Z_4を介してヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30を支持しており、Z移動機構2Z_0~2Z_4を一括してX軸に沿って移動させる。これにより、ヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30がワークWに対してX軸に沿う主走査方向に移動する。
【0020】
X移動機構2Xは、1対の柱2aと梁2bと1対のレール2cと可動体2dとを有する。
【0021】
1対の柱2aのそれぞれは、基台10の面10aからZ1方向に延びる部材である。図1に示す例では、1対の柱2aがX軸に沿う方向に並ぶ。1対の柱2aの先端には、梁2bが架け渡される。梁2bは、1対の柱2aに支持される部材である。図1に示す例では、梁2bは、X軸に沿う方向に延びており、Z軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。梁2bのZ1方向を向く面には、1対のレール2cが配置される。1対のレール2cのそれぞれは、可動体2dを1対の柱2aおよび梁2bに対してX軸に沿う方向に相対的に移動させるように案内するリニアレールであり、X軸に沿う方向に延びる。1対のレール2cには、図示しない直動軸受を介して、可動体2dが取り付けられる。可動体2dは、1対の柱2aおよび梁2bに対してX軸に沿う方向に相対的に移動する部材である。図1に示す例では、Z軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。図示しないが、X移動機構2Xは、当該移動のための駆動力を発生させるサーボモーター等の電動機を有するアクチュエーターと、当該移動の動作量を検出するリニアエンコーダー等のエンコーダーと、を有する。なお、X移動機構2Xの構成は、図1に示す例に限定されない。
【0022】
以上のX移動機構2Xの可動体2dには、支持体2eを介してZ移動機構2Z_0~2Z_4が取り付けられる。これにより、可動体2dの移動に伴って、Z移動機構2Z_0~2Z_4がX軸に沿う方向に移動する。
【0023】
ここで、支持体2eは、図示しない直動機構を介して可動体2dに取り付けられる。当該直動機構は、可動体2dに対して支持体2eをZ軸に沿う方向に移動させる。これにより、Z移動機構2Z_0~2Z_4が一括してZ軸に沿う方向に移動する。当該直動機構は、例えば、Z移動機構2Zと同様に構成される電動式の機構であってもよいし、手動式の機構であってもよい。当該直動機構は、電動式である場合、印刷時に駆動制御されてもよい。
【0024】
Z移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれは、Z軸に沿ってワークWに対してヘッドユニット3を移動させる直動機構である。図1に示す例では、Z移動機構2Z_1~2Z_4が支持体2eを介して前述のX移動機構2Xの可動体2dに取り付けられており、ヘッドユニット3をZ軸に沿う方向に移動させる。また、Z移動機構2Z_1~2Z_4がこの順でX2方向に並ぶ。
【0025】
ここで、Z移動機構2Z_1~2Z_4には、ヘッドユニット3_1~3_4がそれぞれ一対一で対応する。そして、Z移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれには、対応するヘッドユニット3が取り付けられる。したがって、Z移動機構2Z_1は、ワークWに対するヘッドユニット3_1の相対的な位置をZ軸に沿う方向で変化させる。同様に、Z移動機構2Z_2~2Z_4は、ワークWに対するヘッドユニット3_2~3_4の相対的な位置をそれぞれZ軸に沿う方向で変化させる。このように、Z移動機構2Z_1~2Z_4は、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4の相対的な位置を互いに独立にZ軸に沿う方向で変化させる。
【0026】
これに対し、Z移動機構2Z_0は、Z軸に沿ってワークWに対してセンサーユニット30を移動させる直動機構であり、前述のZ移動機構2Z_1~2Z_4のそれぞれとは独立に動作する。Z移動機構2Z_0には、センサーユニット30が取り付けられる。図1に示す例では、Z移動機構2Z_0が支持体2eを介して前述のX移動機構2Xの可動体2dに取り付けられており、センサーユニット30をZ軸に沿う方向に移動させる。このように、Z移動機構2Z_0は、ワークWに対するセンサーユニット30の相対的な位置をヘッドユニット3_1~3_4のそれぞれとは独立にZ軸に沿う方向で変化させる。また、Z移動機構2Z_0は、Z移動機構2Z_1に対してX1方向の位置で隣り合う。すなわち、Z移動機構2Z_0~2Z_4がこの順でX2方向に並ぶ。
【0027】
以上のZ移動機構2Z_0~2Z_4は、前述のように移動の対象が異なること以外は、互いに同様に構成される。図示しないが、Z移動機構2Z_0~2Z_4のそれぞれは、レールと可動体とアクチュエーターとエンコーダーとを有する。当該レールは、支持体2eに固定されており、Z軸に沿う方向に延びるリニアレールである。当該可動体は、直動軸受を介して当該レールに取り付けられており、Z軸に沿う方向に移動する。当該アクチュエーターは、当該移動のための駆動力を発生させるサーボモーター等の電動機を有する。当該エンコーダーは、当該移動の動作量を検出するリニアエンコーダー等である。なお、Z移動機構2Z_0~2Z_4の構成は、互いに異なってもよい。ただし、低コスト化等の観点から、Z移動機構2Z_0~2Z_4は、互いに同一の構成であることが好ましい。また、Z移動機構2Z_0は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0028】
図1では、図示を省略するが、当該可動体には、ヘッドユニット3またはセンサーユニット30の姿勢を微調整するための調整機構を介して、ヘッドユニット3またはセンサーユニット30が取り付けられる。当該調整機構の具体例については、後に図3に基づいて説明する。
【0029】
ヘッドユニット3_1~3_4のそれぞれは、「液体」の一例であるインクをワークWに向けて吐出するヘッド3aを有するアセンブリーである。ヘッドユニット3の詳細については、後に図3および図4に基づいて説明する。
【0030】
当該インクとしては、特に限定されないが、本実施形態では、紫外線硬化性インクが用いられる。なお、当該インクは、色材を含むインクに限定されず、例えば、配線等を形成するための金属粒子等の導電性粒子を分散質として含むインクでもよいし、クリアインクでもよいし、ワークWの表面処理のための処理液でもよい。
【0031】
ヘッドユニット3には、図示しない配線および供給管が接続される。当該配線は、ヘッド3aを駆動するための電気信号をヘッド3aに供給する。当該配線は、当該供給管と同じ経路で配置されてもよいし、当該供給管と異なる経路で配置されてもよい。当該供給管は、図示しないインクタンクからのインクをヘッドユニット3に供給する可撓性の管体である。なお、ヘッドユニット3_1~3_4に用いるインクの種類は、互いに同一であっても異なってもよい。
【0032】
センサーユニット30は、ワークWとの位置関係を検出するセンサー31を有するアセンブリーである。図1に示す例では、センサーユニット30は、センサー31と光源32とを有する。
【0033】
センサー31は、例えば、ワークWとの接触を検出する接触式のセンサーと、ワークWとの間の距離を検出する光学式の変位センサーと、のうちの一方または両方を有する。光源32は、ワークW上のインクを硬化または固化させるための光を出射する。ここで、「硬化」とは、硬化反応により液状から固体状に変化することを意味し、完全硬化の場合のほか、完全硬化に至らずに部分的に硬化した状態の場合を含む。「固化」とは、溶媒または分散媒の揮発により液状から固体状に変化することを意味し、完全固化の場合のほか、完全固化に至らずに部分的に固化した状態の場合を含む。本実施形態では、光源32として、紫外線を出射するLED(light emitting diode)が用いられる。なお、光源32は、光の出射方向または出射範囲等を調整するためのレンズ等の光学部品等を有してもよい。また、センサー31および光源32のうちの一方または両方は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0034】
支持機構4は、ワークWを支持する機構である。図1に示す例では、支持機構4は、Y移動機構4Yを有する。
【0035】
Y移動機構4Yは、ワークWに対するヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30の相対的な位置をY軸に沿う方向で変化させる直動機構である。図1に示す例では、Y移動機構4Yは、ワークWをY軸に沿う方向に移動させる。これにより、ヘッドユニット3_1~3_4およびセンサーユニット30がワークWに対して主走査方向に直交する副走査方向に相対的に移動する。
【0036】
Y移動機構4Yは、支持体4aと1対のレール4bと可動体4cとを有する。
【0037】
支持体4aは、基台10の面10aに固定される部材である。支持体4aのZ1方向を向く面には、1対のレール4bが配置される。1対のレール4bのそれぞれは、可動体4cを支持体4aに対してY軸に沿う方向に相対的に移動させるように案内するリニアレールであり、Y軸に沿う方向に延びる。1対のレール4bには、図示しない直動軸受を介して、可動体4cが取り付けられる。可動体4cは、支持体4aに対してY軸に沿う方向に相対的に移動する部材である。図示しないが、Y移動機構4Yは、当該移動のための駆動力を発生させるサーボモーター等の電動機を有するアクチュエーターと、当該移動の動作量を検出するリニアエンコーダー等のエンコーダーと、を有する。
【0038】
可動体4cには、ステージ4dが取り付けられる。ステージ4dは、ワークWを載置するための部材である。図1に示す例では、ステージ4dは、板状をなす。ここで、図示しないが、可動体4cとステージ4dとの間には、可動体4cに対してステージ4dをX軸に平行な軸まわりに回動させる調整機構が介在する。当該調整機構により、ワークWのX軸に平行な軸まわりの姿勢を微調整することができる。当該調整機構は、アクチュエーターおよびエンコーダーを含む電動式の構成であってもよいし、手動で調整可能な構成であってもよい。
【0039】
なお、Y移動機構4Yの構成は、図1に示す例に限定されない。例えば、支持体4aが省略されてもよいし、支持体4aが1対のレール4bと一体で構成されてもよい。支持体4aが省略される場合、1対のレール4bが基台10に直接にネジ留め等により固定される。また、可動体4cとステージ4dとの間に介在する調整機構は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0040】
メンテナンス機構12は、ヘッドユニット3のヘッド3aのメンテナンスを行うための機構である。図1に示す例では、メンテナンス機構12は、キャップユニット12aとキャップカバー12bとを有する。キャップユニット12aは、ヘッド3aの吐出面を覆うことにより、当該吐出面のノズル付近のインクの乾燥、硬化または固化を防止する。キャップカバー12bは、Y軸に沿う方向に移動可能に構成されており、Z軸に沿う方向にみてキャップユニット12aに重なる状態と重ならない状態とを切り替える。ここで、キャップユニット12aを使用しない場合、キャップカバー12bは、Z軸に沿う方向にみてキャップユニット12aに重なる状態であり、キャップユニット12aを覆うカバーとして機能する。この状態のキャップカバー12bは、試験印刷のための媒体を支持する検査台としても利用可能である。一方、キャップユニット12aを使用する場合、キャップカバー12bは、Z軸に沿う方向にみてキャップユニット12aに重ならない状態である。
【0041】
なお、メンテナンス機構12の構成は、図1に示す例に限定されず、任意である。また、メンテナンス機構12は、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0042】
以上のように、立体物印刷装置1は、液体を吐出するノズルNを有するヘッド3aと、ヘッド3aをZ軸に沿って移動させるZ移動機構2Zと、Z軸に交差するX軸に沿ってZ移動機構2Zを移動させることにより、ヘッド3aをX軸に沿って移動させるX移動機構2Xと、を備える。
【0043】
1-2.印刷装置の電気的な構成
図2は、第1実施形態に係る立体物印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図2では、立体物印刷装置1の構成要素のうち、電気的な構成要素が示される。図2に示すように、立体物印刷装置1は、前述の図1に示す構成要素のほか、制御部50を有する。
【0044】
制御部50は、移動機構2、ヘッドユニット3_1~3_4、支持機構4およびセンサーユニット30の動作を制御する。図2に示す例では、制御部50は、コントローラー5と制御モジュール6とコンピューター7とを有する。以下、コントローラー5、制御モジュール6およびコンピューター7を順次説明する。
【0045】
なお、図2に示す電気的な各構成要素は、適宜に分割されてもよいし、一部が他の構成要素に含まれてもよいし、他の構成要素と一体で構成されてもよい。例えば、コントローラー5または制御モジュール6の機能の一部または全部は、コンピューター7により実現されてもよいし、LAN(Local Area Network)またはインターネット等のネットワークを介してコントローラー5に接続されるPC(personal computer)等の他の外部装置により実現されてもよい。
【0046】
コントローラー5は、移動機構2および支持機構4の駆動を制御する機能と、ヘッドユニット3でのインクの吐出動作を移動機構2の動作に同期させるための信号D3を生成する機能と、を有する。
【0047】
コントローラー5は、記憶回路5aと処理回路5bとを有する。
【0048】
記憶回路5aは、処理回路5bが実行する各種プログラムと、処理回路5bが処理する各種データと、を記憶する。なお、記憶回路5aの一部または全部は、処理回路5bに含まれてもよい。
【0049】
記憶回路5aには、経路情報Daが記憶される。経路情報Daは、移動機構2の動作の制御に用いられ、ヘッド3aの移動すべき経路である後述の移動経路RUにおけるヘッド3aの位置を目標位置として示す情報である。経路情報Daは、例えば、ワールド座標系の座標値を用いて表される。経路情報Daは、ワークWの少なくとも一部の形状を表すワークデータに基づいて、コンピューター7により生成される。当該ワークデータは、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式のCAD(computer-aided design)データであるか、または、3次元カメラによりワークWの形状を計測したデータである。経路情報Daは、コンピューター7から記憶回路5aに入力される。なお、経路情報Daは、ワーク座標系の座標値を用いて表されてもよい。この場合、経路情報Daは、ワーク座標系の座標値からワールド座標系の座標値に変換した後に移動機構2の動作の制御に用いられる。
【0050】
処理回路5bは、移動機構2の動作を制御する移動制御部5b1として機能するとともに、信号D3を生成する。
【0051】
移動制御部5b1は、処理回路5bが記憶回路5a等から読み込んだプログラムを実行することにより実現される。移動制御部5b1は、経路情報Daを移動機構2の移動量および移動速度等の動作量に変換する演算を行う。そして、移動制御部5b1は、移動機構2の実際の動作量が前述の演算結果となるように、移動機構2の各エンコーダーからの出力信号Dx、Dz_0~Dz4に基づいて、制御信号Sx、Sz_0~Sz_4を出力する。出力信号Dxは、X移動機構2Xのエンコーダーから出力される信号である。出力信号Dz_0~Dz_4は、Z移動機構2Z_0~2Z_4のエンコーダーから出力される信号である。制御信号Sxは、X移動機構2Xのアクチュエーターの駆動を制御するための信号である。制御信号Sz_0~Sz_4は、Z移動機構2Z_0~2Z_4のアクチュエーターの駆動を制御するための信号である。ここで、制御信号Sx、Sz_0~Sz_4は、必要に応じて、センサーユニット30のセンサー31からの出力信号D1に基づいて移動制御部5b1により補正される。
【0052】
また、処理回路5bは、出力信号Dx、Dz_0~Dz_4のうちの少なくとも1つの信号に基づいて、信号D3を生成する。例えば、処理回路5bは、出力信号Dxが所定値となるタイミングのパルスを含む信号D3を生成してもよいし、出力信号Dxをそのまま信号D3として出力してもよい。
【0053】
制御モジュール6は、コントローラー5から出力される信号D3とコンピューター7からの印刷データとに基づいて、ヘッドユニット3でのインクの吐出動作を制御する回路である。制御モジュール6は、タイミング信号生成回路6aと電源回路6bと制御回路6cと駆動信号生成回路6dとを有する。
【0054】
タイミング信号生成回路6aは、信号D3に基づいてタイミング信号PTSを生成する。タイミング信号生成回路6aは、例えば、信号D3の検出を契機としてタイミング信号PTSの生成を開始するタイマーで構成されるか、または、信号D3が出力信号Dxである場合、出力信号Dxのパルスに同期したタイミングのパルスを含む信号をタイミング信号PTSとして生成する回路で構成される。
【0055】
電源回路6bは、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、制御モジュール6およびヘッドユニット3の各部に適宜に供給される。例えば、電源回路6bは、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドユニット3に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路6dに供給される。
【0056】
制御回路6cは、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含み、タイミング信号PTSに基づいて、制御信号SI_1~SI_4と波形指定信号dComとラッチ信号LATとクロック信号CLKとチェンジ信号CNGとを生成する。これらの信号は、タイミング信号PTSに同期する。これらの信号のうち、波形指定信号dComは、駆動信号生成回路6dに入力され、それ以外の信号は、ヘッドユニット3のスイッチ回路3eに入力される。制御信号SI_1~SI_4は、ヘッドユニット3_1~3_4にそれぞれ一対一で対応する。なお、以下では、制御信号SI_1~SI_4のそれぞれを制御信号SIという場合がある。
【0057】
制御信号SIは、ヘッドユニット3のヘッド3aの有する駆動素子の動作状態を指定するためのデジタルの信号であり、例えば、当該駆動素子に対応するノズルからインクを吐出するか否かを指定したり、当該ノズルから吐出されるインクの量を指定したりする。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。ラッチ信号LATおよびチェンジ信号CNGは、制御信号SIと併用され、当該駆動素子の駆動タイミングを規定することにより、当該ノズルからのインクの吐出タイミングを規定するための信号である。クロック信号CLKは、タイミング信号PTSに同期した基準となるクロック信号である。
【0058】
駆動信号生成回路6dは、ヘッドユニット3のヘッド3aの有する各駆動素子を駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路6dは、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路6dでは、当該DA変換回路が制御回路6cからの波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路6bからの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することで駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、当該駆動素子に実際に供給される波形の信号が駆動パルスPDである。駆動パルスPDは、ヘッドユニット3のスイッチ回路3eを介して、駆動信号生成回路6dから当該駆動素子に供給される。
【0059】
ここで、スイッチ回路3eは、制御信号SIに基づいて、駆動信号Comに含まれる波形のうちの少なくとも一部を駆動パルスPDとして供給するか否かを切り替えるスイッチング素子を含む回路である。
【0060】
コンピューター7は、プログラムをインストールしたデスクトップ型またはノート型等のコンピューターである。コンピューター7は、経路情報Daを生成する機能と、コントローラー5に経路情報Da等の情報を供給する機能と、制御モジュール6に印刷データ等の情報を供給する機能と、ユーザーからの指示を受け付ける機能と、を有する。本実施形態のコンピューター7は、これらの機能のほか、ヘッドユニット3の光源3cとセンサーユニット30の光源32との駆動を制御する機能を有する。
【0061】
コンピューター7は、記憶回路7aと処理回路7bと表示装置7cと入力装置7dとを有する。本実施形態のコンピューター7は、前述の経路情報Daを生成する機能を有する。
【0062】
記憶回路7aは、処理回路7bが実行する各種プログラムと、処理回路7bが処理する経路情報Da等の各種データと、を記憶する。なお、記憶回路7aの一部または全部は、処理回路7bに含まれてもよい。
【0063】
処理回路7bは、記憶回路7aからプログラムを読み込んで実行することにより、各種機能を実現する。処理回路7bは、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。
【0064】
表示装置7cは、処理回路7bによる制御のもとで各種の画像を表示する。ここで、表示装置7cは、例えば、液晶表示パネルを有する。なお、表示装置7cは、コンピューター7の外部に設けられてもよい。また、表示装置7cは、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0065】
入力装置7dは、作業者からの操作を受け付ける機器である。例えば、入力装置7dは、タッチパッド、タッチパネルまたはマウス等のポインティングデバイスを有する。
【0066】
1-3.ヘッドユニットの構成
図3は、ヘッドユニット3および調整機構2fの概略構成を示す斜視図である。図3に示すように、ヘッドユニット3は、調整機構2fを介してZ移動機構2Zに支持される。
【0067】
調整機構2fは、Z移動機構2Zとヘッドユニット3とのY軸に沿う方向での位置関係、Z移動機構2Zとヘッドユニット3とのX軸に平行な軸まわりの位置関係、Z移動機構2Zとヘッドユニット3とのZ軸に平行な軸まわりの位置関係、を微調整するための機構である。図示しないが、調整機構2fには、当該微調整のためのツマミ等が設けられており、それぞれの位置関係を手動により当該微調整が可能である。調整機構2fは、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。
【0068】
図3に示すように、ヘッドユニット3は、ヘッド3aのほか、流路構造体3bと光源3cと支持体3gとカバー3hと保護部材3fとを有する。ヘッドユニット3を構成する要素のうち、支持体3g以外の要素は、支持体3gに直接的または間接的に支持される。また、ヘッドユニット3の構成要素は、図3に示す例に限定されず、例えば、ヒーターおよび温度センサー等を含んでもよい。
【0069】
支持体3gは、前述の調整機構2fを介してZ移動機構2Zに装着される。したがって、ヘッド3a、流路構造体3bおよび光源3cが支持体3gにより一括してZ移動機構2Zに支持される。
【0070】
支持体3gは、実質的な剛体であり、例えば、金属材料等で構成される。支持体3gは、ヒーター3dに熱的に接続されており、ヒーター3dからの熱を受ける。なお、図3では、支持体3gが板状をなすが、支持体3gの形状は、特に限定されず、任意である。また、支持体3gは、複数の部材で構成されてもよい。
【0071】
前述の支持体3gに対してX1方向の位置には、ヘッド3a、流路構造体3bおよびカバー3hが配置される。これらは、支持体3gに対してねじ留め等により固定される。
【0072】
ヘッド3aは、ノズル面FNと、ノズル面FNに開口する複数のノズルNと、を有する。図3に示す例では、ノズル面FNがヘッド3aのZ2方向を向く面であり、当該複数のノズルNがX軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶノズル列NLaとノズル列NLbとに区分される。ノズル列NLaおよびノズル列NLbのそれぞれは、Y軸に沿う方向であるノズル列方向DNに直線状に配列される複数のノズルNの集合である。ここで、ヘッド3aにおけるノズル列NLaの各ノズルNに関連する要素とノズル列NLbの各ノズルNに関連する要素とがX軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。以下では、ノズル列NLaおよびノズル列NLbの集合をノズル列NLという場合がある。
【0073】
図示しないが、ヘッド3aは、ノズルNごとに、駆動素子である圧電素子と、インクを収容するキャビティと、有する。ここで、当該圧電素子は、当該圧電素子に対応するキャビティの圧力を変化させることにより、当該キャビティに対応するノズルからインクを吐出させる。このようなヘッド3aは、例えば、エッチング等により適宜に加工したシリコン基板等の複数の基板を接着剤等により貼り合わせることにより得られる。なお、ノズルからインクを吐出させるための駆動素子として、当該圧電素子に代えて、キャビティ内のインクを加熱するヒーターを用いてもよい。
【0074】
ここで、ヘッド3aは、ノズル面FNの少なくとも一部を構成するノズルプレートを有する。当該ノズルプレートは、前述の複数のノズルNが設けられる板状部材であり、例えば、シリコン(Si)または金属等の材料で構成される。ノズル面FNの少なくとも一部は、当該ノズルプレートの1対の板面のうち、ヘッド3aの外表面の一部を構成する板面、すなわち当該ノズルプレートのZ2方向を向く面によって構成される。なお、ヘッド3aは、ノズル面FNの少なくとも一部を構成する固定板やカバーヘッドを有する場合がある。固定板やカバーヘッドは、ノズルプレートの固定や保護の目的で設けられ、Z1方向にみて、ノズルプレートの外周を覆うように構成される部材であって、金属等の材料によって構成される。つまり、ノズル面FNは、ノズルプレートに加え、固定板もしくはカバーヘッドの外表面のZ2方向を向く面によって構成される場合がある。また、ノズル面FNは、後述の吐出面FTの少なくとも一部を構成する。
【0075】
以上のヘッド3aには、流路構造体3bを介して供給管20aおよび排出管20bに接続される。供給管20aは、図示しないインクタンクからのインクをヘッドユニット3に供給する可撓性の管体である。排出管20bは、図示しない循環機構または排出機構へインクを移送するための可撓性の管体である。
【0076】
流路構造体3bは、ヘッド3aに対してZ1方向の位置に配置される。また、流路構造体3bは、供給管3i1および排出管3i2を介してヘッド3aに接続される。供給管3i1は、流路構造体3bからヘッド3aにインクを供給するための管体である。排出管3i2は、ヘッド3aから排出されるインクを流路構造体3bに導入するための管体である。
【0077】
流路構造体3bは、ヘッド3a内のインクの圧力に応じて開閉する弁機構である。この開閉により、ヘッド3aと前述の図示しないインクタンクとの位置関係が変化しても、ヘッド3a内のインクの圧力が所定範囲内の負圧に維持される。このため、ヘッド3aのノズルNに形成されるインクのメニスカスの安定し、ノズルNからインクが溢れ出すことが防止される。ここで、図示しないインクタンクからのインクは、ポンプ等により所定の圧力で供給管20a内に移送される。
【0078】
カバー3hは、流路構造体3bの周囲を覆う箱状の部材でる。カバー3hは、支持体3gとの間に流路構造体3bを収容する空間を形成する。
【0079】
前述の支持体3gに対してX2方向の位置には、光源3cが配置される。光源3cは、ワークW上のインクを硬化または固化させるための光を出射する。本実施形態では、光源3cとして、紫外線を出射するLED(light emitting diode)が用いられる。また、光源3cは、必要に応じて設ければよく、省略されてもよい。
【0080】
前述の支持体3gに対してZ2方向の位置には、保護部材3fが設けられる。保護部材3fは、ヘッド3aをワークW等との衝突から保護するための部材であり、例えば、ステンレス鋼、チタンおよびマグネシウム合金等の金属材料等で構成される。保護部材3fには、ヘッド3aのノズル面FNを露出させる開口部3f1が設けられる。
【0081】
以上の保護部材3fのZ2方向を向く面FCと前述のヘッド3aのノズル面FNとは、吐出面FTを構成する。ここで、保護部材3fは、ヘッド3aとは構造上は別体に設けられており、脱着可能であるが、ヘッド3aの一部としてみなされる。したがって、ヘッド3aは、ノズルNを含むノズル列NLが設けられた吐出面FTを有する。以下、吐出面FTについて図4に基づいて説明する。
【0082】
図4は、ヘッド3aの吐出面FTを説明するための側面図である。図4に示すように、吐出面FTは、ヘッドユニット3のZ2方向を向く先端面である。より具体的に説明すると、ノズル面FNを延長した仮想的な平面に沿う領域にヘッドユニット3の構成要素として他の部材がある場合、吐出面FTは、ノズル面FNと当該他の部材のZ2方向を向く面とで構成される面である。ここで、当該平面に沿う領域とは、ノズル面FNをZ軸に直交する方向に延長した仮想的な平面に対してZ1方向およびZ2方向に5mm以下(好ましくは2mm以下)の範囲内にある領域である。
【0083】
なお、保護部材3fは、必要に応じて設けられ、省略されてもよい。ノズル面FNを延長した平面に沿う領域にヘッドユニット3の構成要素として他の部材がない場合、吐出面FTは、ノズル面FNである。また、吐出面FTは、ノズル面FNと保護部材3fの一部とで構成される態様に限定されず、例えば、ヘッド3aを固定するための固定板等を含んでもよい。固定板とは、ノズルプレートの固定または保護等の目的でノズルプレートの周囲に設けられる部材である。また、本実施形態では、吐出面FTに含まれるノズル面FNまたはノズルプレートの数が1つであるが、これに限定されず、吐出面FTに含まれるノズル面FNまたはノズルプレートの数が複数であってもよい。
【0084】
本実施形態では、ノズル面FNを延長した領域に当該他の部材として保護部材3fの一部が位置しており、吐出面FTは、ノズル面FNと保護部材3fのZ2方向を向く面FCとで構成される。
【0085】
吐出面FTは、第1部分FT1と第2部分FT2とに区分される。第1部分FT1は、ノズル列NLに対してX1方向に位置する吐出面FTの部分である。第2部分FT2は、ノズル列NLに対してX2方向に位置する吐出面FTの部分である。後述の印刷動作の実行時には、X移動機構2Xによるヘッド3aの移動方向がX1方向であることから、第1部分FT1がノズル列NLに対して当該移動方向で前方の部分であり、第2部分FT2がノズル列FLに対して当該移動方向で後方の部分である。
【0086】
図4に示す例では、第1部分FT1のX軸に沿う幅W1は、第2部分FT2のX軸に沿う幅W2よりも小さい。なお、幅W1および幅W2の大小関係は、図4に示す例に限定されず、幅W1が幅W2以上であってもよい。
【0087】
1-4.印刷動作
図5は、立体物印刷装置1の印刷動作の概略を示す図である。図5では、印刷動作の実行中の立体物印刷装置1の状態が示される。以下、図5に基づいて、印刷動作の実行中におけるヘッド3a_1~3a_4とワークWとの位置関係の変化の概略を説明する。なお、本実施形態では、ワークWの面WFのX軸に沿う方向での全域を印刷領域RPとする場合が例示される。
【0088】
ヘッド3a_1は、ヘッドユニット3_1の有するヘッド3aであり、ヘッド3a_2は、ヘッドユニット3_2の有するヘッド3aであり、ヘッド3a_3は、ヘッドユニット3_3の有するヘッド3aであり、ヘッド3a_4は、ヘッドユニット3_4の有するヘッド3aである。ただし、以下では、ヘッド3a_1~3a_4を区別せずにヘッド3aという場合がある。
【0089】
図5に示すように、立体物印刷装置1では、ワークWの面WFに印刷を行う印刷動作を実行する場合、X移動機構2Xがヘッド3a_1~3a_4およびセンサーユニット30をX1方向である移動方向DSに移動させるとともに、Z移動機構2Z_1~2Z_4がヘッド3a_1~3a_4をワークWの面WFに沿うようにZ軸に沿って移動させながら、ヘッド3a_1~3a_4が印刷データに基づいて面WFに向けてインクを吐出する。
【0090】
ここで、印刷動作におけるヘッド3a_1~3a_4の移動経路RUは、前述の経路情報Daの示す位置により規定される。なお、センサーユニット30の移動経路は、特に限定されないが、例えば、移動経路RUよりもZ1方向に退避した経路である。また、印刷動作の実行中、センサーユニット30は、必要に応じて動作させればよい。
【0091】
立体物印刷装置1が印刷動作の開始指示を受けると、X移動機構2Xの動作によりヘッド3a_1~3_4のヘッド3aがワークWの面WFに対してX2方向の領域に位置した状態からX1方向に移動する。ここで、前述のように、ヘッドユニット3_1~3_4がこの順でX2方向に並ぶので、ヘッド3a_1~3a_4は、ヘッド3a_1を先頭として、最後尾のヘッド3a_4が面WF上を過ぎるまでX1方向に移動する。ここで、ヘッド3a_1~3a_4は、Z軸に沿う方向にみてワークWの面WFに順に重なった後にZ移動機構2Z_1~2Z_4の動作によりワークWの面WFに沿うようにZ軸に沿って移動しながら、面WFに向けてインクを吐出する。
【0092】
以上のように、立体物印刷装置1は、立体的なワークWに対してヘッド3aからインクを吐出させつつ、Z移動機構2ZおよびX移動機構2Xの動作によって、ワークWに対してヘッド3aを移動させる印刷動作を実行する。
【0093】
ここで、印刷動作の実行中のヘッド3aのY軸まわりの姿勢が一定である。それにもかかわらず、後述する参考例のように、従来では、ノズルNとワークWの面WFとの間の距離が一定とされていた。このため、従来では、面WFの最も傾斜が大きい部分への印刷時にヘッド3aがワークWに衝突しないようにノズルNとワークWの面WFとの間の距離を設定すると、面WFの他の部分、つまり、面WFの傾斜が比較的小さい部分への印刷時にノズルNとワークWの面WFとの間の距離が必要以上に大きくなってしまう。この結果、従来では、面WFの傾斜が比較的小さい部分において、印刷品位の低下を招くおそれがある。
【0094】
そこで、立体物印刷装置1は、面WFの傾斜に応じてノズルNとワークWの面WFとの間の距離を変化させるように移動経路RUを設定する。以下、この点を図6から図12に基づいて詳述する。
【0095】
図6は、第1実施形態における上り勾配での吐出距離PG1、PG2、PG3を説明するための図である。図6では、前述のヘッドユニット3_1~3_4のうちの任意の1つのヘッドユニット3に着目し、同一の印刷パスの実行中における時間の経過に応じた位置の変遷がヘッドユニット3-t1、3-t2、3-t3として代表的に示される。吐出距離PG1は、第1タイミングt1におけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。吐出距離PG2は、第2タイミングt2におけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。吐出距離PG3は、第3タイミングt3におけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。以下では、吐出距離PG1、PG2、PG3のそれぞれを区別せずに吐出距離PGという場合がある。
【0096】
なお、「上り勾配」とは、印刷動作の実行時のX移動機構2Xによるヘッド3aの移動方向DSでの前方に向かうに従いZ1方向に向けて上昇する傾きである。「印刷パス」とは、ヘッド3aのワークWに対する位置を副走査方向、つまり、Y軸に沿う方向にY移動機構4Yによって移動する改行動作と、ヘッド3aの移動方向DSを反対方向に切り替える戻り動作と、のいずれも含まずに、ヘッド3aを移動経路RUに沿って移動させつつ、ヘッド3aによるインクの吐出を連続的に実行する一連の印刷動作のことをいう。
【0097】
図6において、ヘッドユニット3-t1は、第1タイミングt1におけるヘッドユニット3の位置を示す。ヘッドユニット3-t2は、第2タイミングt2におけるヘッドユニット3の位置を示す。ヘッドユニット3-t3は、第3タイミングt3におけるヘッドユニット3の位置を示す。
【0098】
第1タイミングt1は、印刷動作の実行中において、ヘッド3aがワークW上の第1領域R1に対向するタイミングである。第2タイミングt2は、印刷動作の実行中において、ヘッド3aがワークW上の第1領域R1とは異なる第2領域R2に対向するタイミングであって、第1タイミングt1よりも後のタイミングである。第3タイミングt3は、印刷動作の実行中において、ヘッド3aがワークW上の第1領域R1と第2領域R2との間の第3領域R3に対向するタイミングであって、第1タイミングt1と第2タイミングt2との間のタイミングである。
【0099】
第1領域R1は、第1タイミングt1で吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。第1領域R1は、傾斜角度θ1でX軸に対して傾斜する上り勾配の面である。第2領域R2は、第2タイミングt2で吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。第2領域R2は、傾斜角度θ2でX軸に対して傾斜する頂面または平坦面である。第3領域R3は、第3タイミングt3で吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。第3領域R3は、傾斜角度θ3でX軸に対して傾斜する上り勾配の面である。
【0100】
なお、傾斜角度θ1、θ2、θ3は、後に図10に基づく説明で定義される「傾き」である。
【0101】
ここで、第1タイミングt1におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置とが互いに異なる。図6に示す例では、第2タイミングt2におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置が第1タイミングt1におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置よりもX1方向の位置である。第3タイミングt3におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置は、第1タイミングt1におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置との間の位置である。
【0102】
また、第1タイミングt1におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置とが互いに異なる。第3タイミングt3におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置は、第1タイミングt1におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置との間の位置である。
【0103】
傾斜角度θ1および傾斜角度θ2は、互いに異なる。すなわち、Z軸およびX軸の両方に交差するY軸に沿う方向にみて、第1領域R1および第2領域R2の傾きが互いに異なる。また、傾斜角度θ3は、傾斜角度θ1および傾斜角度θ2のそれぞれと異なる。すなわち、Y軸に沿う方向にみて、第3領域R3の傾きは、第1領域R1および第2領域R2のそれぞれの傾きと異なる。
【0104】
なお、「傾きが異なる」とは、後に図10に基づく説明で定義される「傾き」の絶対値が異なる場合のほか、「傾き」の正負が異なる場合、つまり、上り勾配であるか下り勾配であるかといった違いがある場合も含む。
【0105】
図6に示す例では、第1領域R1が上り勾配であるのに対し、第2領域R2が頂面または平坦面であることから、傾斜角度θ1が正の値であるのに対し、傾斜角度θ2が0またはその近傍値である。ここで、傾斜角度θ1の絶対値は、傾斜角度θ2の絶対値よりも大きい。すなわち、Y軸に沿う方向にみて、第1領域R1の傾きが第2領域R2の傾きよりも大きい。また、第3領域R3が上り勾配であることから、傾斜角度θ3が正の値である。ここで、傾斜角度θ3の絶対値は、傾斜角度θ1の絶対値と傾斜角度θ2の絶対値との間の値である。
【0106】
図6に示す例では、第1タイミングt1における吐出距離PG1が第2タイミングt2における吐出距離PG2よりも大きい。このように第1タイミングt1における吐出距離PG1と第2タイミングt2における吐出距離PG2とが互いに異なることにより、第2領域R2での画質を高める一方で、第1領域R1でのヘッド3aとワークWとの接触を防止することができる。
【0107】
第3タイミングt3における吐出距離PG3は、第1タイミングt1における吐出距離PG1よりも小さく、かつ、第2タイミングt2における吐出距離PG2よりも大きい。このため、本実施形態のように第1領域R1、第3領域R3、第2領域R2の傾きが段階的または連続的に変化する場合、これらの領域のそれぞれにおいて、ヘッド3aとワークWとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
【0108】
前述のように、立体物印刷装置1は、ワークW上のインクに向けて光を照射する光源3cをさらに備え、Z移動機構2Zは、光源3cをヘッド3aとともにZ軸に沿って移動させる。このため、ヘッド3aとワークWとの接触を防止するとともに光源3cとワークWとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
【0109】
図7は、参考例における上り勾配での吐出距離PGXを説明するための図である。図7では、前述のヘッドユニット3_1~3_4のうちの任意の1つのヘッドユニット3の同一の印刷パス中における変遷がヘッドユニット3-t1、3-t2、3-t3として代表的に示される。吐出距離PGXは、第1タイミングt1、第2タイミングt2および第3タイミングt3におけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。なお、図7に示す参考例は、ノズルNとワークWとの間の距離が異なること以外は、前述の図6に示す本実施形態と同様である。
【0110】
図7に示す参考例では、吐出距離PGXが一定であり、第1タイミングt1、第2タイミングt2および第3タイミングt3における吐出距離PGXが互いに等しい。このような参考例では、第1領域R1、第2領域R2および第3領域R3のうち、最も傾斜のきつい第1領域R1への印刷時にヘッド3aがワークWに衝突しないように吐出距離PGXを設定すると、第2領域R2および第3領域R3への印刷時におけるノズルNとワークWとの間の距離が必要以上に大きくなってしまう。ここで、第2タイミングt2および第3タイミングt3では、ノズルNとワークWとの間の距離を吐出距離PGXよりも小さくしても、ワークWに対するヘッド3aの衝突を防止することが可能である。
【0111】
ノズルNとワークWとの間の距離は、大きくなるほど、ノズルNから吐出されるインク滴が気流の影響を受けやすくなったり、ノズルNから吐出されるインク滴の飛翔方向の誤差がワークW上に現れやすくなったりする。このため、吐出距離PGXが必要以上に大きくなると、印刷品位の低下を招くおそれがある。
【0112】
なお、参考例では、第2領域R2および第3領域R3への印刷時の印刷品位が高まるように、第2領域R2および第3領域R3への印刷時におけるノズルNとワークWとの間の距離を小さくした場合、吐出距離PGXが一定であるため、第1領域R1への印刷時におけるノズルNとワークWとの間の距離が小さくなりすぎてしまう。この結果、第1領域R1への印刷時にヘッド3aがワークWに衝突する可能性が高まる。
【0113】
以上のような参考例の問題を解決するため、立体物印刷装置1では、吐出距離PG1、PG2、PG3が前述のような大小関係を有する。このような問題は、印刷対象となる面が上り勾配である場合だけでなく、印刷対象となる面が下り勾配である場合にも同様に生じる。以下、この点を図8に基づいて説明する。
【0114】
なお、「下り勾配」とは、印刷動作の実行時のX移動機構2Xによるヘッド3aの移動方向DSでの前方に向かうに従いZ2方向に向けて下降する傾きである。
【0115】
図8は、第1実施形態における下り勾配での吐出距離PG1a、PG2aを説明するための図である。図8では、前述のヘッドユニット3_1~3_4のうちの任意の1つのヘッドユニット3の同一の印刷パス中における変遷がヘッドユニット3-t1a、3-t2aとして代表的に示される。吐出距離PG1aは、第1タイミングt1aにおけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。吐出距離PG2aは、第2タイミングt2aにおけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。以下では、前述の吐出距離PG1、PG2、PG3と同様、吐出距離PG1a、PG2aのそれぞれを区別せずに吐出距離PGという場合がある。
【0116】
ヘッドユニット3-t1aは、第1タイミングt1aにおけるヘッドユニット3である。ヘッドユニット3-t2aは、第2タイミングt2aにおけるヘッドユニット3である。
【0117】
第1タイミングt1aは、印刷動作の実行中において、ヘッド3aがワークW上の第1領域R1aに対向するタイミングである。第2タイミングt2aは、印刷動作の実行中において、ヘッド3aがワークW上の第1領域R1aとは異なる第2領域R2aに対向するタイミングである。
【0118】
第1領域R1aは、第1タイミングt1aで吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。第1領域R1aは、傾斜角度θ1aでX軸に対して傾斜する上り勾配の面である。第2領域R2aは、第2タイミングt2aで吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。第2領域R2aは、傾斜角度θ2aでX軸に対して傾斜する頂面または平坦面である。
【0119】
ここで、第1タイミングt1aにおけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2aにおけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置とが互いに異なる。図8に示す例では、第2タイミングt2aにおけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置が第1タイミングt1aにおけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置よりもX1方向の位置である。これに対し、第1タイミングt1aにおけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2aにおけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置とが互いに等しい。なお、第1タイミングt1aにおけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2aにおけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置とが互いに異なってもよい。
【0120】
傾斜角度θ1aおよび傾斜角度θ2aは、互いに異なる。すなわち、Z軸およびX軸の両方に交差するY軸に沿う方向にみて、第1領域R1aおよび第2領域R2aの傾きが互いに異なる。
【0121】
図8に示す例では、第1領域R1aが上り勾配であるのに対し、第2領域R2aが下り勾配であることから、傾斜角度θ1aが正の値であるのに対し、傾斜角度θ2aが負の値である。ここで、傾斜角度θ1aの絶対値は、傾斜角度θ2aの絶対値と等しい。すなわち、Y軸に沿う方向にみて、第1領域R1aの傾きが第2領域R2aの傾きと等しい。なお、傾斜角度θ1aの絶対値は、傾斜角度θ2aの絶対値と異なってもよい。
【0122】
図8に示す例では、第1タイミングt1aにおける吐出距離PG1aが第2タイミングt2aにおける吐出距離PG2よりも小さい。このように第1タイミングt1aにおける吐出距離PG1aと第2タイミングt2aにおける吐出距離PG2aとが互いに異なることにより、第2領域R2aでの画質を高める一方で、第1領域R1aでのヘッド3aとワークWとの接触を防止することができる。
【0123】
具体的に説明すると、前述のように、本実施形態では、ヘッド3aの吐出面FTのノズル列NLに対して前方の第1部分FT1の幅W1が後方の第2部分FT2の幅W2よりも狭い。このような場合において、前述のように、第1領域R1aが上り勾配であり、かつ、第2領域R2aが下り勾配であると、傾斜角度θ1aおよび傾斜角度θ2aの絶対値が互いに等しくても、吐出距離PG1aおよび吐出距離PG2aが互いに等しい場合、ヘッド3aがワークWに接触したり、画質が低下したりする可能性が高まる。
【0124】
ここで、上り勾配の第1領域R1aへの印刷時には、ヘッド3aの移動方向DSの前方の第1部分FT1とワークWとが接触しないように吐出距離PG1aを設定する必要がある。これに対し、下り勾配の第2領域R2aへの印刷時には、ヘッド3aの移動方向DSの後方の第2部分FT2とワークWとが接触しないように吐出距離PG2aを設定する必要がある。ここで、傾斜角度θ1aおよび傾斜角度θ2aの絶対値が互いに等しくても、幅W2が幅W1よりも大きいので、吐出距離PG2aを吐出距離PG1aよりも大きくする必要がある。
【0125】
そこで、第1タイミングt1aにおける吐出距離PG1aは、第2タイミングt2aにおける吐出距離PG2aよりも小さい。このため、前述のようにヘッド3aの吐出面FTの第1部分FT1の幅W1が第2部分FT2の幅W2よりも小さい場合、第1領域R1aでの吐出距離PG1aを当該他方の領域での吐出距離よりも小さくすることにより、第1領域R1aでの画質を高める一方で、第2領域R2aでのヘッド3aとワークWとの接触を防止することができる。
【0126】
図9は、第1実施形態における吐出距離PGの設定方法の一例を示すフローチャートである。図9に示す設定方法は、ステップST1~ステップST5をこの順に含む。なお、ステップST1~ステップST5は、例えば、コンピューター7により実行される。
【0127】
ステップST1は、ワークWの形状を取得する。この取得は、ワークWの形状を示すCADデータ等のワークデータを取得することにより行われる。当該ワークデータは、STL形式等のデータである場合、ポリゴンの各頂点の座標に関する情報である座標情報とポリゴン面の表裏を示す法線ベクトルに関する情報であるベクトル情報とが含まれる。
【0128】
ステップST2は、ワークW上の印刷対象となる印刷領域RPを決定する。この決定は、例えば、ユーザーがコンピューター7を用いて、前述のワークデータに基づく情報を表示させておき、GUI(graphical user interface)によりワークデータの示すワークW上の領域を印刷領域RPとして指定することにより行われる。
【0129】
ステップST3は、印刷領域RPの各部の傾斜を確認する。この確認は、印刷領域RPの座標情報およびベクトル情報に基づいて、X軸に関する所定間隔の位置ごとに印刷領域RPの傾斜角度θを算出することにより行われる。
【0130】
ステップST4は、基準EGを設定する。基準EGは、後に詳述するが、吐出面FTの前端または後端とワークWとのZ軸に沿う方向での距離である。
【0131】
ステップST5は、基準EGに基づいて、吐出距離PGを算出することにより、移動経路RUを設定する。
【0132】
以下、ステップST3からステップST5について図10および図11に基づいて詳述する。
【0133】
図10は、印刷対象の領域Rの傾きを説明するための図である。図10では、領域Rに対して印刷を行う場合のヘッドユニット3が示される。領域Rは、吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。図10に示す例では、領域Rが傾斜角度θでX軸に対して傾斜する上り勾配の面である。ここで、前述の第1タイミングt1の領域Rは、前述の第1領域R1に相当する。同様に、前述の第2タイミングt2の領域Rは、前述の第2領域R2に相当する。前述の第3タイミングt3の領域Rは、前述の第3領域R3に相当する。前述の第1タイミングt1aの領域Rは、前述の第1領域R1aに相当する。前述の第2タイミングt2aの領域Rは、前述の第2領域R2aに相当する。
【0134】
前述のステップST3では、X軸に関する所定間隔の位置ごとに、領域Rの傾きが算出される。この「傾き」は、例えば、Y軸に沿う方向にみて、ワークW上のヘッド3aに対向する領域RのX軸に沿う方向での両端P1、P2を通る直線LSのX軸に対する傾きとして定義される。したがって、「傾きの角度」である傾斜角度θは、直線LSとX軸とのなす角度であり、90°以下の数値として、上り勾配を正の値、下り勾配を負の値で表す。「傾きの大小」は、傾きの絶対値の大小である。なお、傾斜角度θは、概略的には、Y軸に沿う方向にみて、ノズルNの位置における吐出面FTの法線L0と面WFとの交点PXにおける面WFの接線とX軸とのなす角度として定義してもよい。また、X軸に沿ってみたときに領域Rが傾斜している場合においては、例えば、ノズル列NLの中心、もしくは、吐出面FTの中心とY軸方向における位置が等しい位置において、上述の傾きを定義することができる。
【0135】
前述のステップST4では、ステップST3で算出された傾斜角度θに基づいて、基準EGが算出される。基準EGは、領域Rが上り勾配である場合、吐出面FTの前端とワークWとのZ軸に沿う方向での距離である。この場合、基準EGは、吐出面FTの前端とワークWとが互いに接触しない最小値が好適に採用される。
【0136】
なお、基準EGは、領域Rが下り勾配である場合、吐出面FTの後端とワークWとのZ軸に沿う方向での距離である。この場合、基準EGは、吐出面FTの後端とワークWとが互いに接触しない最小値が好適に採用される。
【0137】
図11は、第1実施形態における吐出距離PGの設定を説明するための図である。図11では、説明の便宜上、第1タイミングt1でのヘッドユニット3-t1と第2タイミングt2でのヘッドユニット3-t2とが示される。また、図11では、説明の便宜上、第1タイミングt1および第2タイミングt2のいずれも上り勾配の面に印刷を行うように、印刷領域RPの形状が模式的に示される。ただし、前述の通り、傾斜角度θ1は、傾斜角度θ2よりも大きい。
【0138】
前述のステップST5では、ステップST4で算出された基準EGに基づいて、吐出距離PGが算出される。ここで、第1領域R1に対する吐出距離PG1は、図11に示すように、基準EGと最小吐出距離miniPG1との合計である。最小吐出距離miniPG1は、(W1)×tanθ1に等しい。同様に、第2領域R2に対する吐出距離PG2は、基準EGと最小吐出距離miniPG2との合計である。最小吐出距離miniPG2は、(W1)×tanθ2に等しい。
【0139】
このように、領域Rに対する吐出距離PGは、基準EGと最小吐出距離miniPGとの合計である。領域Rが上り勾配である場合、最小吐出距離miniPGは、(W1)×tanθに等しい。なお、図示しないが、領域Rが下り勾配である場合、最小吐出距離miniPGは、(W2)×tanθに等しい。
【0140】
このように算出された吐出距離PGに基づいて、移動経路RUが設定される。具体的には、前述の印刷領域RPの座標情報のZ軸方向での位置を示す座標値に吐出距離PG応じた値を加算することにより、移動経路RUを示す経路情報Daが生成される。
【0141】
吐出距離PGの設定方法は、図9に示す例に限定されない。以下、吐出距離PGの設定方法の他の例を図12に基づいて説明する。
【0142】
図12は、第1実施形態における吐出距離PGの設定方法の他の例を示すフローチャートである。図12に示す設定方法は、ステップST4およびステップST5に代えて、ステップST6~ST8を含むこと以外は、前述の図9に示す例と同様である。図12示す設定方法は、ステップST3の後、ステップST6~ステップST8をこの順に含む。
【0143】
ステップST6は、基準となる吐出距離PGXを設定する。吐出距離PGXは、ノズルNとワークWとの間のZ軸に沿う方向での距離であり、前述の図7に示す吐出距離PGXに相当する。印刷領域RPの上り勾配となる範囲では、吐出距離PGXは、最も傾斜角度θの大きい領域Rにおいて、吐出面FTの前端とワークWとが互いに接触しないように吐出距離PGの最小値が好適に採用される。一方、印刷領域RPの下り勾配となる範囲では、吐出距離PGXは、最も傾斜角度θの大きい領域Rにおいて、吐出面FTの後端とワークWとが互いに接触しないように吐出距離PGの最小値が好適に採用される。
【0144】
ステップST7は、吐出距離PGXを印刷領域RPの全域にわたり設定することにより、基準経路を設定する。この基準経路は、前述の図7に示す参考例の移動経路に相当する。すなわち、この基準経路は、吐出距離PGを一定とする経路である。
【0145】
ステップST8は、ステップST7で設定した基準経路を補正することにより、補正経路を移動経路RUとして設定する。この設定は、最も傾斜角度θの大きい領域Rを除いて、吐出距離PGが傾斜角度θに応じて小さくなるように当該基準経路を補正することにより行われる。その補正量は、X軸に沿う方向での位置に応じて、一定であっても、異なってもよい。ただし、この補正は、ヘッド3aとワークWとが接触しないように、前述の基準EGの制限のもとで行われる。また、前述の図9に示す例のように基準EGを一定とするように補正が行われてもよい。
【0146】
以上のように、立体物印刷装置1では、領域Rの傾きの程度に応じて吐出距離PGを変化させることができる。これにより、ヘッド3aとワークWとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0147】
図13は、第2実施形態における上り勾配での吐出距離PG1、PG2、PG3aを説明するための図である。図13では、前述のヘッドユニット3_1~3_4のうちの任意の1つのヘッドユニット3の同一の印刷パス中における変遷がヘッドユニット3-t1、3-t2、3-t3aとして代表的に示される。吐出距離PG3aは、第3タイミングt3aにおけるヘッド3aのノズルNとワークWとの間の距離である。以下では、吐出距離PG3aを他の吐出距離PGと区別せずに吐出距離PGという場合がある。なお、吐出距離PG1、PG2は、前述の第1実施形態と同様である。
【0148】
ヘッドユニット3-t3aは、第3タイミングt3aにおけるヘッドユニット3である。第3タイミングt3aは、印刷動作の実行中において、ヘッド3aがワークW上の第1領域R1と第2領域R2との間の第3領域R3aに対向するタイミングであって、第1タイミングt1と第2タイミングt2との間のタイミングである。
【0149】
第3領域R3aは、第3タイミングt3aで吐出面FTをZ軸に沿う方向にワークWの面WFに投影した領域である。第3領域R3aは、傾斜角度θ3aでX軸に対して傾斜する上り勾配の面である。
【0150】
ここで、第3タイミングt3aにおけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置は、第1タイミングt1におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2におけるX軸に沿う方向でのヘッド3aの位置との間の位置である。第3タイミングt3aにおけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置は、第1タイミングt1におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置と第2タイミングt2におけるZ軸に沿う方向でのヘッド3aの位置との間の位置である。
【0151】
傾斜角度θ3aは、傾斜角度θ1および傾斜角度θ2のそれぞれと異なる。すなわち、Y軸に沿う方向にみて、第3領域R3aの傾きは、第1領域R1および第2領域R2のそれぞれの傾きと異なる。ここで、傾斜角度θ3aの絶対値は、傾斜角度θ1の絶対値と傾斜角度θ2の絶対値との間の値である。
【0152】
第1タイミングt1における吐出距離PG1と第3タイミングt3aにおける吐出距離PG3aとが互いに等しい。このため、第1領域R1、第3領域R3a、第2領域R2の傾きが段階的または連続的に変化しても、その変化量が所定以下である場合、Z移動機構2Zの過度な動作を低減することができる。この結果、Z移動機構2Zの動作制御のための演算が容易となるとともに、Z移動機構2Zの過度な動作に起因するヘッド3aの振動による画質低下を低減することができる。
【0153】
図14は、第2実施形態における吐出距離PGの設定方法を示すフローチャートである。図14に示す設定方法は、第1実施形態のステップST3からおよびステップST5に代えて、ステップST11~ST19を含むこと以外は、前述の第1実施形態の図9に示す例と同様である。以下、ステップST11~ST19を説明する。
【0154】
ステップST2の後、ステップST11において、仮の吐出距離PGが設定される。この仮の吐出距離PGは、ヘッド3aとワークWとが接触しないように、ヘッド3aの位置がワークWからZ1方向に十分に離れた位置となる吐出距離PGであり、印刷領域RPのX軸に沿う方向での全域にわたり一定に設定される。この設定は、後に図15に基づいて説明する。
【0155】
ステップST11の後、ステップST12において、印刷領域RPのX軸に沿う方向での位置のうち吐出距離PGの設定対象である対象X位置の開始位置として印刷領域RPのX軸に沿う方向における一端の位置が設定される。その後、ステップST13において、対象X位置すなわち開始位置の吐出距離PGが算出される。この算出は、例えば、前述の第1実施形態の図9のステップST3からステップST5と同様に行われる。
【0156】
ステップST13の後、ステップST14において、印刷領域RPの対象X位置での傾きの変化量が閾値以上であるか否かが判断される。当該変化量は、最後に吐出距離PGを算出したときの対象X位置の傾きから現在の対象X位置の傾きへの変化量である。ここで、最初のステップST14では、最後に吐出距離PGを算出したときの対象X位置と現在の対象X位置とが一致するので、当該変化量は、0である。
【0157】
対象X位置での傾きの変化量が閾値未満である場合(ステップST14:NO)、ステップST15において、最後に算出された既存の吐出距離PGが対象X位置での吐出距離PGとして設定される。ここで、最初のステップST15では、ステップST13で算出された吐出距離PGが開始位置である対象X位置の吐出距離PGとして決定される。
【0158】
一方、対象X位置での傾きの変化量が閾値以上である場合(ステップST14:YES)、ステップST16において、対象X位置の吐出距離PGが算出される。この算出は、前述のステップST13と同様、例えば、前述の第1実施形態の図9のステップST3からステップST5と同様に行われる。
【0159】
ステップST16の後、ステップST17において、ステップST16で算出された新たな吐出距離PGが対象X位置での吐出距離PGとして決定される。
【0160】
ステップST15またはステップST17の後、ステップST18において、対象X位置が印刷領域RPのX軸に沿う方向における他端の位置である終了位置であるか否かが判断される。
【0161】
対象X位置が終了位置でない場合(ステップST18:NO)、ステップST19において、対象X位置が現在の対象X位置と印刷領域RPの他端に向かう方向に隣り合う次の位置に変更される。その後、前述のステップST14が再び実行される。
【0162】
一方、対象X位置が終了位置である場合(ステップST18:YES)、処理が終了される。すなわち、対象X位置が終了位置となるまで、前述のステップST14からステップST18が繰り返される。これにより、印刷領域RPのX軸に沿う方向での全域にわたり吐出距離PGが設定される。
【0163】
図15は、仮の吐出距離PGの設定を説明するための図である。図15では、前述のステップST11での仮の吐出距離PGによるヘッド3aのX位置とZ軸に沿う方向での位置であるZ位置との関係が模式的に示される。また、図15では、説明の便宜上、印刷領域RPが他の図示と異なり上り勾配のみで構成される。これらの点は、以下の図16および図17も同様である。
【0164】
前述のステップST11では、図15に示において、ヘッド3aとワークWとが接触しないように、ヘッド3aの位置がワークWからZ1方向に十分に離れたZ位置となる仮の吐出距離PGが設定される。この仮の吐出距離PGは、対象X位置の開始位置x1から終了位置xnまでの全域にわたり一定に設定される。
【0165】
図16は、対象X位置が開始位置x1である場合の吐出距離PGの設定を説明するための図である。前述のステップST13では、開始位置x1の吐出距離PGとして吐出距離PGx1が設定される。その後、開始位置x1の次の対象X位置である位置x2について、吐出距離PGの設定が行われる。ここで、位置x2での傾きの変化量が閾値未満である場合、前述のステップST15では、位置x2での吐出距離PGの算出が新たに行われず、位置x2での吐出距離PGとして開始位置x1と同様に吐出距離PGx1が設定される。
【0166】
図17は、対象X位置が位置x3である場合の吐出距離PGの設定を説明するための図である。位置x2での吐出距離PGの設定後、位置x2の次の対象X位置である位置x3での傾きの変化量が閾値以上である場合、前述のステップST16では、位置x3での吐出距離PGとして吐出距離PGx3が新たに算出される。そして、位置x3での吐出距離PGとして吐出距離PGx3が設定される。
【0167】
以上のように、開始位置x1および位置x2での吐出距離PGがともに吐出距離PGx1であるが、位置x3での吐出距離PGが吐出距離PGx1とは異なる吐出距離PGx3である。
【0168】
図18は、第2実施形態における吐出距離PGの設定を説明するための図である。図18では、説明の便宜上、第1タイミングt1でのヘッドユニット3-t1と第2タイミングt2でのヘッドユニット3-t2と第3タイミングt3aでのヘッドユニット3-t3aとが示される。また、図18では、説明の便宜上、第1タイミングt1と第2タイミングt2と第3タイミングt3aとのいずれも上り勾配の面に印刷を行うように、印刷領域RPの形状が模式的に示される。ただし、前述の通り、傾斜角度θ1は、傾斜角度θ2よりも大きい。
【0169】
第3領域R3aでの吐出距離PGを設定するとき、最後に算出した吐出距離PGが吐出距離PG1であり、かつ、第1領域R1からの第3領域R3aでの傾きの変化量が閾値未満である場合、第3領域R3aでの吐出距離PG3の新たな算出が行われず、第3領域R3aでの吐出距離PG3として第1領域R1と同様に吐出距離PG1が設定される。
【0170】
以上のように、第2実施形態によっても、領域Rの傾きの程度に応じて吐出距離PGを変化させることができる。これにより、ヘッド3aとワークWとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。本実施形態では、前述のように、第1タイミングt1における吐出距離PG1と第3タイミングt3aにおける吐出距離PG3aとが互いに等しいため、Z移動機構2Zの過度な動作を低減することができる。この結果、Z移動機構2Zの動作制御のための演算が容易となるとともに、Z移動機構2Zの過度な動作に起因するヘッド3aの振動による画質低下を低減することができる。
【0171】
3.変形例
以上の例示における各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択される2以上の態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0172】
3-1.変形例1
前述の形態では、印刷対象となるワークWの面WFが凸面である場合が例示されるが、面WFが凹面であってもよい。すなわち、第1領域R1aが下り勾配であり、かつ、第2領域R2aが上り勾配であってもよい。この場合であっても、ヘッド3aの吐出面FTのノズル列NLに対して前方の第1部分FT1の幅W1が後方の第2部分FT2の幅W2と異なる場合、第1領域R1aでの吐出距離PG1aと第2領域R2aでの吐出距離PG2aとを互いに異ならせることにより、ヘッド3aとワークWとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。ただし、この場合、前述のように、上り勾配では、幅W1を用いて吐出距離PGが算出され、下り勾配では、幅W2を用いて吐出距離PGが算出される。
【0173】
3-2.変形例2
前述の形態では、ヘッド3aをZ軸に沿って移動させるZ移動機構2Zの数が4個である態様が例示されるが、この態様に限定されず、当該数またはヘッド3aの数が2個または3個でもよいし、5個以上でもよい。
【0174】
3-3.変形例3
移動機構2がヘッドユニット3およびセンサーユニット30をY軸に沿う方向に移動させる機構を備えてもよい。
【0175】
4.本開示のまとめ
以下、本開示のまとめを付記する。
【0176】
(付記1)本開示の好適例である第1態様の立体物印刷装置は、液体を吐出するノズルを有するヘッドと、前記ヘッドをZ軸に沿って移動させるZ移動機構と、前記Z軸に交差するX軸に沿って前記Z移動機構を移動させることにより、前記ヘッドを前記X軸に沿って移動させるX移動機構と、を備え、立体的なワークに対して前記ヘッドから液体を吐出させつつ、前記Z移動機構および前記X移動機構の動作によって、前記ワークに対して前記ヘッドを移動させる印刷動作を実行し、前記印刷動作の実行中において、前記ヘッドが前記ワーク上の第1領域に対向するタイミングを第1タイミングとし、前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域とは異なる第2領域に対向するタイミングを第2タイミングとし、前記ノズルと前記ワークとの間の前記Z軸に沿う距離を吐出距離としたとき、前記第1タイミングにおける前記X軸に沿う方向での前記ヘッドの位置と前記第2タイミングにおける前記X軸に沿う方向での前記ヘッドの位置とが互いに異なるとともに、前記第1タイミングにおける前記Z軸に沿う方向での前記ヘッドの位置と前記第2タイミングにおける前記Z軸に沿う方向での前記ヘッドの位置とが互いに異なり、前記Z軸および前記X軸の両方に交差するY軸に沿う方向にみて、前記第1領域および前記第2領域の傾きが互いに異なる場合、前記第1タイミングにおける前記吐出距離と前記第2タイミングにおける前記吐出距離とが互いに異なる。
【0177】
以上の第1態様では、Y軸に沿う方向にみて、第1領域および第2領域の傾きが互いに異なる場合、第1タイミングにおける吐出距離と第2タイミングにおける吐出距離とが互いに異なるので、第1領域および第2領域の傾きの程度に応じて吐出距離を変化させることができる。これにより、ヘッドとワークとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
【0178】
例えば、第1領域および第2領域のうち、一方の領域が平坦面または凸面の頂面等であり、他方の領域が傾斜面である場合、当該一方の領域での吐出距離を当該他方の領域での吐出距離よりも小さくすることにより、当該一方の領域での画質を高める一方で、当該他方の領域でのヘッドとワークとの接触を防止することができる。
【0179】
また、例えば、ヘッドの吐出面のノズル列に対して前方の部分の幅が後方の部分の幅よりも狭く、かつ、第1領域および第2領域のうち、一方の領域が上り勾配であり、他方の領域が下り勾配である場合、当該一方の領域での吐出距離を当該他方の領域での吐出距離よりも小さくすることにより、当該一方の領域での画質を高める一方で、当該他方の領域でのヘッドとワークとの接触を防止することができる。
【0180】
なお、第1タイミングおよび第2タイミングは、同一の印刷パス中におけるタイミングである。「傾き」は、Y軸に沿う方向にみて、ワーク上のヘッドに対向する領域のX軸に沿う方向での両端を通る直線のX軸に対する傾きである。したがって、「傾きの角度」である傾斜角度は、当該直線とX軸とのなす角度であり、90°以下の数値として、上り勾配を正の値、下り勾配を負の値で表す。「傾きが異なる」とは、傾きの絶対値が異なる場合のほか、傾きの正負が異なる場合が異なる場合も含む。「傾きの大小」は、傾きの絶対値の大小である。「上り勾配」は、X移動機構によるヘッドの移動方向での前方に向かうに従い上昇する傾きである。「下り勾配」は、X移動機構によるヘッドの移動方向での前方に向かうに従い下降する傾きである。
【0181】
(付記2)第1態様の好適例である第2態様において、前記Y軸に沿う方向にみて、前記第1領域の傾きが前記第2領域の傾きよりも大きく、かつ、前記第1タイミングにおける前記吐出距離が前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい。以上の第2態様では、第2領域での画質を高める一方で、第1領域でのヘッドとワークとの接触を防止することができる。
【0182】
(付記3)第2態様の好適例である第3態様において、前記印刷動作の実行中において、前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域に対向するタイミングであって、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとしたとき、前記第3タイミングにおける前記吐出距離は、前記第1タイミングにおける前記吐出距離よりも小さく、かつ、前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい。以上の第3態様では、第1領域、第3領域、第2領域の傾きが段階的または連続的に変化する場合、これらの領域のそれぞれにおいて、ヘッドとワークとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
【0183】
なお、第3タイミングは、第1タイミングおよび第2タイミングと同一の印刷パス中におけるタイミングである。
【0184】
(付記4)第2態様の好適例である第4態様において、前記印刷動作の実行中において、前記ヘッドが前記ワーク上の前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域に対向するタイミングであって、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとしたとき、前記第1タイミングにおける前記吐出距離と前記第3タイミングにおける前記吐出距離とが互いに等しい。以上の第4態様では、第1領域、第3領域、第2領域の傾きが段階的または連続的に変化しても、その変化量が所定以下である場合、Z移動機構の過度な動作を低減することができる。この結果、Z移動機構の動作制御のための演算が容易となるとともに、Z移動機構の過度な動作に起因するヘッドの振動による画質低下を低減することができる。
【0185】
(付記5)第1態様から第4態様のいずれかの好適例である第5態様において、前記第1領域および前記第2領域のうち、一方の領域の傾きが上り勾配であり、他方の領域の傾きが下り勾配である。以上の第5態様では、ヘッドの吐出面のノズル列に対して前方の部分の幅が後方の部分の幅と異なる場合、第1領域での吐出距離と第2領域での吐出距離とを互いに異ならせることにより、ヘッドとワークとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
【0186】
(付記6)第5態様の好適例である第6態様において、前記第1領域が上り勾配であり、前記第2領域が下り勾配であり、前記第1タイミングにおける前記吐出距離は、前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも小さい。以上の第6態様では、ヘッドの吐出面のノズル列に対して前方の部分の幅が後方の部分の幅よりも小さい場合、第1領域での吐出距離を第2領域での吐出距離よりも小さくすることにより、第1領域での画質を高める一方で、第2領域でのヘッドとワークとの接触を防止することができる。
【0187】
(付記7)第6態様の好適例である第7態様において、前記ヘッドは、前記ノズルを含むノズル列が設けられた吐出面を有し、前記吐出面を前記ノズル列に対して前記印刷動作の実行時の前記X移動機構による前記ヘッドの移動方向で前方の第1部分と後方の第2部分とに区分したとき、前記第1部分の前記X軸に沿う幅は、前記第2部分の前記X軸に沿う幅よりも小さい。以上の第7態様では、吐出面のノズル列に対して前方の部分の幅が後方の部分の幅と異なる場合、当該一方の領域での吐出距離を当該他方の領域での吐出距離よりも小さくすることにより、当該一方の領域での画質を高める一方で、当該他方の領域でのヘッドとワークとの接触を防止することができる。
【0188】
(付記8)第6態様または第7態様の好適例である第8態様において、前記ワーク上の液体を硬化または半硬化させる光を出射する光源をさらに備え、前記Z移動機構は、前記光源を前記ヘッドとともに前記Z軸に沿って移動させる。以上の第8態様では、ヘッドとワークとの接触を防止するとともに光源とワークとの接触を防止しつつ、画質を高めることができる。
【符号の説明】
【0189】
1…立体物印刷装置、2…移動機構、2X…X移動機構、2Z…Z移動機構、2Z_0~2Z_4…Z移動機構、2a…柱、2b…梁、2c…レール、2d…可動体、2e…支持体、2f…調整機構、3…ヘッドユニット、3-1…ヘッドユニット、3-2…ヘッドユニット、3-3a…ヘッドユニット、3-t1…ヘッドユニット、3-t1a…ヘッドユニット、3-t2…ヘッドユニット、3-t2a…ヘッドユニット、3-t3…ヘッドユニット、3-t3a…ヘッドユニット、3_1…ヘッドユニット、3_2…ヘッドユニット、3_3…ヘッドユニット、3_4…ヘッドユニット、3a…ヘッド、3a_1…ヘッド、3a_2…ヘッド、3a_3…ヘッド、3a_4…ヘッド、3b…流路構造体、3c…光源、3d…ヒーター、3e…スイッチ回路、3f…保護部材、3f1…開口部、3g…支持体、3h…カバー、3i1…供給管、3i2…排出管、4…支持機構、4Y…Y移動機構、4a…支持体、4b…レール、4c…可動体、4d…ステージ、5…コントローラー、5a…記憶回路、5b…処理回路、5b1…移動制御部、6…制御モジュール、6a…タイミング信号生成回路、6b…電源回路、6c…制御回路、6d…駆動信号生成回路、7…コンピューター、7a…記憶回路、7b…処理回路、7c…表示装置、7d…入力装置、10…基台、10a…面、11…ケース、12…メンテナンス機構、12a…キャップユニット、12b…キャップカバー、20a…供給管、20b…排出管、30…センサーユニット、31…センサー、32…光源、50…制御部、CLK…クロック信号、CNG…チェンジ信号、Com…駆動信号、D1…出力信号、D3…信号、DN…ノズル列方向、DS…移動方向、Da…経路情報、Dx…出力信号、Dz_0~Dz_4…出力信号、FC…面、FL…ノズル列、FN…ノズル面、FT…吐出面、FT1…第1部分、FT2…第2部分、L0…法線、LAT…ラッチ信号、LS…直線、N…ノズル、NL…ノズル列、NLa…ノズル列、NLb…ノズル列、P1…端、P2…端、PD…駆動パルス、PG…吐出距離、PG1…吐出距離、PG1a…吐出距離、PG2…吐出距離、PG2a…吐出距離、PG3…吐出距離、PG3a…吐出距離、PGX…吐出距離、PGx1…吐出距離、PGx3…吐出距離、PTS…タイミング信号、PX…交点、R…領域、R1…第1領域、R1a…第1領域、R2…第2領域、R2a…第2領域、R3…第3領域、R3a…第3領域、RP…印刷領域、RU…移動経路、SI…制御信号、SI_1~SI_4…制御信号、ST1…ステップ、ST2…ステップ、ST3…ステップ、ST4…ステップ、ST5…ステップ、ST6…ステップ、ST7…ステップ、ST8…ステップ、ST11…ステップ、ST12…ステップ、ST13…ステップ、ST14…ステップ、ST15…ステップ、ST16…ステップ、ST17…ステップ、ST18…ステップ、ST19…ステップ、Sx…制御信号、Sz_0~Sz_4…制御信号、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、W…ワーク、W1…幅、W2…幅、WF…面、dCom…波形指定信号、miniPG…最小吐出距離、miniPG1…最小吐出距離、miniPG2…最小吐出距離、t1…第1タイミング、t1a…第1タイミング、t2…第2タイミング、t2a…第2タイミング、t3…第3タイミング、t3a…第3タイミング、x1…開始位置、x2…位置、x3…位置、xn…終了位置、θ…傾斜角度、θ1…傾斜角度、θ1a…傾斜角度、θ2…傾斜角度、θ2a…傾斜角度、θ3…傾斜角度、θ3a…傾斜角度。
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