(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134723
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】患者状態監視デバイス
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240927BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240927BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045067
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】500409219
【氏名又は名称】学校法人関西医科大学
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今田 崇裕
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】患者状態の急変などの緊急事態が発生した場合に、緊急事態に対応した適切な対処動作を実施することを可能とする。
【解決手段】カメラ350、マイク320およびプロセッサ311を備える。プロセッサ311は、カメラ350から入力された患者状態およびマイク320から入力された患者の音声を解析して対処動作を取得し、取得した上記対処動作を実施する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ、マイクおよびプロセッサを備える患者状態監視デバイスであって、
前記プロセッサは、
前記カメラから入力された患者状態および前記マイクから入力された患者の音声を解析して対処動作を取得し、
取得した前記対処動作を実施する、患者状態監視デバイス。
【請求項2】
前記プロセッサは、解析された患者の音声に対して応答することにより問診を行ない、患者との問診内容を送信する、請求項1に記載の患者状態監視デバイス。
【請求項3】
前記患者状態は、患者の表情および患者の体表面温度を含む、請求項1に記載の患者状態監視デバイス。
【請求項4】
前記プロセッサは、緊急事態情報を受信した際、予め定められた動作を実施する、請求項1に記載の患者状態監視デバイス。
【請求項5】
前記予め定められた動作には、患者への避難指示および介護者への救急応急指示の少なくとも一方の表示または報知が含まれる、請求項4に記載の患者状態監視デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者状態監視デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療支援装置の構成を開示した先行技術文献として、特許第7225401号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された医療支援装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、患者との問診に基づき、医療従事者が上記患者に対して実施すると判断した検査の種類を検査部門に通知するための指示用検査情報を取得し、患者との問診において発せられる音声の解析を行うことにより生成した問診情報を取得し、問診情報と上記患者に実施する検査の種類に関する実施検査情報とを予め対応付けた対応情報を取得し、上記問診情報と上記対応情報とに基づき、上記患者に実施する検査の種類を推定した推定検査情報を生成し、指示用検査情報と上記推定検査情報とを比較して比較結果を生成し、上記比較結果に基づき報知を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者状態の急変などの緊急事態が発生した場合に、緊急事態に対応した適切な対処動作を実施する必要がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、患者状態の急変などの緊急事態が発生した場合に、緊急事態に対応した適切な対処動作を実施することを可能とする、患者状態監視デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく患者状態監視デバイスは、カメラ、マイクおよびプロセッサを備える。プロセッサは、カメラから入力された患者状態およびマイクから入力された患者の音声を解析して対処動作を取得し、取得した上記対処動作を実施する。
【0007】
本発明の一形態においては、プロセッサは、解析された患者の音声に対して応答することにより問診を行ない、患者との問診内容を送信する。
【0008】
本発明の一形態においては、上記患者状態は、患者の表情および患者の体表面温度を含む。
【0009】
本発明の一形態においては、プロセッサは、緊急事態情報を受信した際、予め定められた動作を実施する。
【0010】
本発明の一形態においては、上記予め定められた動作には、患者への避難指示および介護者への救急応急指示の少なくとも一方の表示または報知が含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、患者状態の急変などの緊急事態が発生した場合に、緊急事態に対応した適切な対処動作を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係るネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る患者状態監視デバイスおよび血液浄化装置の配置関係を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る患者状態監視デバイスのハードウェア構成例を示した図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る情報処理装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図7】緊急事態情報に応じた対処方法リストデータの概略構成を示す図である。
【
図8】ネットワークシステムにおいて実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【
図9】緊急事態情報を受信した情報処理装置が緊急事態情報に応じた対処方法を取得する処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図10】情報処理装置の表示部に、震度6の緊急地震速報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図11】情報処理装置の表示部に、警戒レベル5の避難情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図12】情報処理装置の表示部に、警戒レベル2の避難情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図13】情報処理装置の表示部に、大津波警報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図14】情報処理装置の表示部に、噴火警報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図15】情報処理装置の表示部に、国民保護に係る警報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図16】情報処理装置の表示部に、火災情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図17】情報処理装置の表示部に、患者状態情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
【
図18】端末装置のタッチスクリーンにスタットコールが表示された表示画面である。
【
図19】スタットコールの発動後に、医療機関で透析治療中の血液浄化装置のディスプレイに表示される表示画面である。
【
図20】スタットコールの発動後に、在宅で透析治療中の血液浄化装置のディスプレイに表示される表示画面である。
【
図21】本発明の実施形態2に係るサーバ装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図22】患者状態監視デバイスが患者の音声を受信してから対処動作を実施するまでの動作を示すフロー図である。
【
図23】患者の音声とそれに応答する発話内容と対処動作に関するリストデータの概略構成を示す図である。
【
図24】患者の音声とそれに応答する発話内容と対処動作に関する他のリストデータの概略構成を示す図である。
【
図25】本発明の実施形態4に係るネットワークシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよびシステムについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0014】
(実施形態1)
<A.システム構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るネットワークシステムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、ネットワークシステム1は、医師が所持する情報処理装置100と、全国瞬時警報システム(Jアラート)を介して各種警報を送信するサーバ10と、各施設における火災報知システムを介して火災情報を送信するサーバ20と、患者毎の透析条件データを含む透析情報を記憶するサーバ30と、患者状態監視デバイス300と、血液浄化装置40と、看護師などの医療者が所持する端末装置50とを備える。ネットワークシステム1は、複数の情報処理装置100を備えていてもよい。後述するように、透析条件データは、他の医療機関などに設置されているサーバ70とサーバ30との間で相互に移行可能である。
【0015】
サーバ10は、基地局を通じたLTE(Long Term Evolution)通信によって、情報処理装置100に各種警報を送信する。サーバ20は、各施設に設けられたWifi(Wireless Fidelity)などの無線通信によって、情報処理装置100に火災情報を送信する。サーバ30は、予め定められた患者番号に紐付けて記憶している、透析条件および投薬内容などの患者の個別データをネットワークを介して、情報処理装置100に送信する。また、サーバ30は、血液浄化装置40およびサーバ70などから受信した新たな透析実施記録などに基づいて患者の個別データを更新して記憶する。
【0016】
図2は、本発明の実施形態1に係る患者状態監視デバイスおよび血液浄化装置の配置関係を示す図である。
図1および
図2に示すように、患者状態監視デバイス300は、マイク320、スピーカ330およびカメラ350を備えている。患者状態監視デバイス300は、充電しながら使用可能、かつ、持ち運び可能に構成されている。
【0017】
図2に示すように、患者状態監視デバイス300は、患者の顔に向いて固定されており、患者の顔認証、患者の体表面温度測定、および、患者の表情監視の、各々をカメラ350を用いて実行可能に構成されている。カメラ350は、可視光カメラおよびサーモグラフィカメラを含む。患者状態監視デバイス300は、マイク320を用いて、会話の声から患者の状態を収集可能に構成されている。患者状態監視デバイス300は、スピーカ330を用いて、患者に発話して応答可能に構成されている。
図1に示すように、患者状態監視デバイス300は、患者状態の急変を感知すると、情報処理装置100に患者状態情報を送信する。患者状態監視デバイス300は、典型的には無線にて、情報処理装置100と通信可能に接続されている。
【0018】
図1に示すように、情報処理装置100は、タッチスクリーン114を備えている。情報処理装置100は、汎用のタブレット、スマートフォンまたはスマートウォッチによって実現される。情報処理装置100は、サーバ10,20および患者状態監視デバイス300から送信された緊急事態情報を受信可能である。緊急事態情報は、サーバ10から送信される、気象庁からの防災気象情報に係る、気象警報を含む避難情報、緊急地震速報、津波警報および噴火警報、内閣官房からの国民保護に係る警報(国民保護情報)、サーバ20から送信される、各施設における火災報知設備からの火災情報、並びに、患者状態監視デバイス300から送信される患者状態情報の、少なくとも一つである。
【0019】
情報処理装置100は、受信した緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法を取得する。情報処理装置100は、取得された少なくとも一つの対処方法をタッチスクリーン114に表示する。タッチスクリーン114は、表示した少なくとも一つの対処方法のなかから一つの対処方法を医師が選択する選択指示を受け付ける。情報処理装置100は、選択された対処方法を血液浄化装置40に送信する。
【0020】
図1および
図2に示すように、血液浄化装置40は、ディスプレイ42およびマイク46を備えており、患者の近傍に配置されている。血液浄化装置40は、典型的には無線にて、情報処理装置100と通信可能に構成されている。血液浄化装置40は、情報処理装置100から送信された対処方法を受信し、受信した対処方法をディスプレイ42に表示可能またはマイク46から報知可能に構成されている。
【0021】
図1に示すように、端末装置50は、タッチスクリーン54を備えている。端末装置50は、汎用のタブレット、スマートフォンまたはスマートウォッチによって実現される。端末装置50は、典型的には無線にて、情報処理装置100と通信可能に接続されている。端末装置50は、情報処理装置100から送信された後述するスタットコールを受信可能に構成されている。
【0022】
<B.装置構成>
ネットワークシステム1を構成する、情報処理装置100、患者状態監視デバイス300および血液浄化装置40の各々の具体的構成について説明する。
【0023】
(b1.情報処理装置)
図3は、本発明の実施形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ111と、メモリ112と、通信インターフェイス113と、タッチスクリーン114とを備える。プロセッサ111と、メモリ112と、通信インターフェイス113とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0024】
メモリ112は、ROM(Read Only Memory)121、RAM(Random Access Memory)122、および、フラッシュメモリ123などの記憶媒体で構成される。タッチスクリーン114は、タッチパネル141およびディスプレイ142を含む。
【0025】
通信インターフェイス113は、サーバ10,20、患者状態監視デバイス300、血液浄化装置40および端末装置50との間で通信するためのインターフェイスである。
【0026】
プロセッサ111が、メモリ112に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、情報処理装置100は各種の動作を実行する。
【0027】
(b2.患者状態監視デバイス)
図4は、本発明の実施形態1に係る患者状態監視デバイスのハードウェア構成例を示した図である。
図4に示すように、患者状態監視デバイス300は、プロセッサ311と、メモリ312と、通信インターフェイス313と、タッチスクリーン314と、マイク320と、スピーカ330とカメラ350とを備える。プロセッサ311と、メモリ312と、通信インターフェイス313とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0028】
メモリ312は、ROM321、RAM322、および、フラッシュメモリ323などの記憶媒体で構成される。タッチスクリーン314は、タッチパネル341およびディスプレイ342を含む。
【0029】
通信インターフェイス313は、サーバ10,20,30、血液浄化装置40、端末装置50および情報処理装置100との間で通信するためのインターフェイスである。
【0030】
プロセッサ311が、メモリ312に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、患者状態監視デバイス300は各種の動作を実行する。患者状態監視デバイス300に関する詳細は、後述の実施形態3において説明する。
【0031】
(b3.血液浄化装置)
図5は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置のハードウェア構成例を示した図である。
図5に示すように、血液浄化装置40は、制御ユニット41と、ディスプレイ42と、通信インターフェイス43と、操作入力部44と、駆動部45と、マイク46とを備える。制御ユニット41は、プロセッサ411と、メモリ412とを含む。プロセッサ411と、メモリ412と、通信インターフェイス43とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0032】
メモリ412は、RAM、ROMおよびフラッシュメモリなどの記憶媒体で構成される。制御ユニット41は、血液浄化装置40の全体的な動作を制御する。具体的には、プロセッサ411が、メモリ412に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、血液浄化装置40は各種の動作を実行する。
【0033】
通信インターフェイス43は、サーバ30および情報処理装置100と通信するためのインターフェイスである。通信インターフェイス43によって、血液浄化装置40は、情報処理装置100から送信された対処方法を受信することができる。
【0034】
操作入力部44は、医療者による操作を受け付ける。受け付けた操作内容に応じた指示が制御ユニット41に送られる。
【0035】
駆動部45は、血液浄化装置40の、血液ポンプ、補液ポンプ、透析液ポンプおよび排液ポンプなどの各種ポンプである。駆動部45は、制御ユニット41からの指令により動作する。具体的には、制御ユニット41からの指令により、各種ポンプにおける、流量調整、および、運転状態と停止状態との稼働状態の切り替えなどが行なわれる。
【0036】
ディスプレイ42は、プロセッサ411からの出力に基づき、各種の画面を表示する。ディスプレイ42には、情報処理装置100から送信されて通信インターフェイス43が受信した対処方法が表示される。また、ディスプレイ42には、各種ポンプにおける、流量および稼働状態が表示される。
【0037】
<C.機能的構成>
図6は、本発明の実施形態1に係る情報処理装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図6に示すように、情報処理装置100は、制御部150と、受信部160と、記憶部161と、表示部162と、入力部163と、送信部164とを備える。記憶部161は、アプリケーションデータ、緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法、患者毎の透析条件データ、および、オペレーティングシステムなどを記憶している。
【0038】
記憶部161は、メモリ112に対応する。表示部162、入力部163、送信部164は、それぞれ、ディスプレイ142、タッチパネル141、通信インターフェイス113に対応する。
【0039】
受信部160は、サーバ10,20および患者状態監視デバイス300から送信された緊急事態情報を受信する。受信部160は、通信インターフェイス113に対応する。
【0040】
制御部150は、プロセッサ111がメモリ112に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。
【0041】
制御部150は、取得部151、出力制御部152および入力受付部153を含む。取得部151は、緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法を取得する。本実施形態においては、取得部151は、受信部160が受信した緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法を記憶部161から取得する。制御部150は、サーバ30から取得した患者毎の透析条件データをQRコード(登録商標)などに変換して出力可能である。若しくは、制御部150は、サーバ30から患者毎の個別データを取得するための専用IDをQRコード(登録商標)などに変換して出力可能であってもよい。
【0042】
出力制御部152は、取得部151によって取得された少なくとも一つの対処方法を表示部162に表示させる。本実施形態においては、出力制御部152は、少なくとも一つの対処方法とともに、スタットコールを発動するための後述するボタンを表示させる。なお、スタットコールとは、患者の急変を医療者に報知して対応を要求するものである。対応可能な医療者がスタットコールに応答することにより、発動中のスタットコールが停止される。出力制御部152は、透析条件データまたは専用IDが変換されたQRコード(登録商標)を表示部162に表示させる。
【0043】
入力受付部153は、表示部162に表示された少なくとも一つの対処方法のなかから一つの対処方法を選択する選択指示を受け付ける。この選択指示に基づいてスタットコールが発動されてもよい。選択された対処方法は、出力制御部152によって表示部162に表示される。
【0044】
送信部164は、選択された対処方法を血液浄化装置40に送信する。送信部164は、スタットコールを端末装置50に送信する。
【0045】
<D.データ>
図7は、緊急事態情報に応じた対処方法リストデータの概略構成を示す図である。
図7に示すように、対処方法リストデータD1は、緊急事態情報の種類と、レベルおよび状態とに関連付けて、少なくとも一つの対処方法を含む。
【0046】
少なくとも一つの対処方法は、解除、返血または離脱を含む。解除とは、緊急事態情報に関する警告表示を解除する対処である。返血とは、血液浄化装置40において患者の体外に引き出されている血液を患者の体内に戻す対処である。離脱とは、血液浄化装置40において返血を行なわずに穿刺針を患者から離脱させる対処である。
【0047】
図7に示すように、たとえば、緊急事態情報が緊急地震速報であり、緊急地震速報の特別警報(震度6弱以上)の場合、対処方法として、解除、返血および離脱が含まれる。緊急事態情報が避難情報(避難指示)であり、警戒レベル1~3の場合、対処方法として、解除が含まれる。緊急事態情報が避難情報(避難指示)であり、警戒レベル4~5の場合、対処方法として、解除、返血および離脱が含まれる。緊急事態情報が、大津波警報、レベル4以上の噴火警報または国民保護に係る警報の場合、対処方法として、解除、返血および離脱が含まれる。緊急事態情報が火災情報の場合、対処方法として、解除、返血および離脱が含まれる。緊急事態情報が患者状態情報であり、患者状態の急変の徴候が認められた場合、対処方法として、解除および返血が含まれる。
【0048】
患者状態の急変の徴候のレベルおよび状態に関する設定項目として、急激な意識レベルの低下、脈拍数40回/分以下または130回/分以上、血圧90mmHg以下または40mmHg以上の低下、呼吸数8回/分以下または30回/分以上、酸素吸入下でSpO290%以下、および、四肢冷感などが挙げられる。患者状態の急変の徴候の設定項目について、各施設および患者毎に変更できてもよい。患者状態の急変の徴候の設定項目として、体温および皮膚色調などが追加されてもよい。
【0049】
<E.処理の流れ>
図8は、ネットワークシステムにおいて実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
図8に示すように、シーケンスSQ1において、緊急事態情報送信装置は、緊急事態情報を生成する。緊急事態情報送信装置としては、サーバ10、サーバ20および患者状態監視デバイス300が含まれる。サーバ10は、各種警報を生成する。サーバ20は、火災情報を生成する。患者状態監視デバイス300は、患者状態情報を生成する。
【0050】
シーケンスSQ2において、情報処理装置100は、緊急事態情報送信装置から送信された緊急事態情報を受信する。情報処理装置100は、サーバ10から送信された各種警報を受信する。情報処理装置100は、サーバ20から送信された火災情報を受信する。情報処理装置100は、患者状態監視デバイス300から送信された患者状態情報を受信する。
【0051】
シーケンスSQ3において、情報処理装置100は、緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法を取得する。シーケンスSQ4において、情報処理装置100は、取得された少なくとも一つの対処方法およびスタットコールボタンをタッチスクリーン114に表示する。
【0052】
シーケンスSQ5において、情報処理装置100は、タッチスクリーン114に表示した少なくとも一つの対処方法のなかから一つの対処方法を選択する選択指示を受け付ける。シーケンスSQ6において、情報処理装置100は、選択された対処方法を血液浄化装置40に送信する。選択指示に基づいてスタットコールが発動される場合は、シーケンスSQ6と同時に後述するシーケンスSQ8が実施される。
【0053】
シーケンスSQ7において、血液浄化装置40は、受信した対処方法をディスプレイ42に表示する。シーケンスSQ8において、情報処理装置100は、スタットコールを端末装置50に送信する。シーケンスSQ9において、端末装置50は、スタットコールが発動されたことをタッチスクリーン54に表示する。
【0054】
このような構成によれば、緊急事態時に血液浄化装置40の適切な対処方法をとることが可能となる。また、スタットコールを発動させて、対応可能な医療者に血液浄化装置40の適切な対処方法を実施させることができる。
【0055】
図9は、緊急事態情報を受信した情報処理装置が緊急事態情報に応じた対処方法を取得する処理の流れを説明するためのフロー図である。
【0056】
図9に示すように、ステップS1において、情報処理装置100は、緊急事態情報を受信する。ステップS2において、情報処理装置100は、緊急事態情報が各種警報か否かを判断する。情報処理装置100は、ステップS2において緊急事態情報が各種警報であると判断した場合、ステップS3において各種警報に応じた対処方法を取得する。
【0057】
情報処理装置100は、ステップS2において緊急事態情報が各種警報でないと判断した場合、ステップS4において緊急事態情報が火災情報か否かを判断する。情報処理装置100は、ステップS4において緊急事態情報が火災情報であると判断した場合、ステップS5において火災情報に応じた対処方法を取得する。
【0058】
情報処理装置100は、ステップS4において緊急事態情報が火災情報でないと判断した場合、ステップS6において患者状態に応じた対処方法を取得する。
【0059】
本実施形態に係るプログラムは、上記のシーケンスおよび上記のステップをプロセッサ111に実行させる。
【0060】
<F.表示画面>
図10は、情報処理装置の表示部に、震度6の緊急地震速報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図10に示すように、各種警報として震度6の緊急地震速報を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117が表示されるとともに、地震の震度、最大震度4以上の場合は震央地名、当該地域、地震の規模および地震の到達時間が表示される。さらに、タッチスクリーン114に、患者毎の透析条件データまたは専用IDがQRコード(登録商標)61などに変換されて表示されてもよい。解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117のうちの1つのボタンが選択されると、血液浄化装置40に選択された対処方法が送信されてディスプレイ42に表示される。以下の表示画面の説明において、同様の表示、および、対処方法の選択動作が同じものについては説明を繰り返さない。
【0061】
図11は、情報処理装置の表示部に、警戒レベル5の避難情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図11に示すように、各種警報として警戒レベル5の避難情報(避難指示)を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117が表示されるとともに、洪水警報などの警報の種類および該当地域が表示される。
【0062】
図12は、情報処理装置の表示部に、警戒レベル2の避難情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図12に示すように、各種警報として警戒レベル2の避難情報(避難指示)を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な解除ボタン115が表示されるとともに、洪水警報などの警報の種類および該当地域が表示される。解除ボタン115が選択されると、血液浄化装置40に選択された対処方法が送信されてディスプレイ42に表示される。
【0063】
図13は、情報処理装置の表示部に、大津波警報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図13に示すように、各種警報として大津波警報を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117が表示されるとともに、津波の高さおよび該当地域が表示される。
【0064】
図14は、情報処理装置の表示部に、噴火警報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図14に示すように、各種警報としてレベル4の噴火警報を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117が表示されるとともに、避難情報(避難指示)、噴火時間および噴火場所が表示される。
【0065】
図15は、情報処理装置の表示部に、国民保護に係る警報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図15に示すように、各種警報として国民保護に係る警報を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117が表示されるとともに、警戒情報および対象地域が表示される。
【0066】
図16は、情報処理装置の表示部に、火災情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図16に示すように、火災情報を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115、返血ボタン116および離脱ボタン117が表示されるとともに、火災場所が表示される。
【0067】
図17は、情報処理装置の表示部に、患者状態情報に応じた対処方法が表示された表示画面である。
図17に示すように、体表面温度の低下などの急変の兆候に関する患者状態情報を受信した情報処理装置100のタッチスクリーン114には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン115および返血ボタン116が表示されるとともに、スタットコールを発動するためのボタン118が表示される。解除ボタン115および返血ボタン116のうちの1つのボタンが選択されると、血液浄化装置40に選択された対処方法が送信されてディスプレイ42に表示される。ボタン118が押されてスタットコールが発動されると、端末装置50のディスプレイ52にスタットコールが表示される。
【0068】
図18は、端末装置のタッチスクリーンにスタットコールが表示された表示画面である。
図18に示すように、スタットコールを受信した端末装置50のタッチスクリーン54には、患者を特定する情報、患者状態情報などの緊急事態情報およびスタットコールが表示されるとともに、スタットコールに応じることを返信するためのボタン58が表示される。
【0069】
スタットコールに応じるとは、ボタン58を押した医療者が当該患者の処置を担当することの意思表示である。スタットコールに応ずることの返信信号は、情報処理装置100に送信されてタッチスクリーン114に表示されるとともに、ボタン58を押した医療者とは別の医療者が所持する端末装置50に送信されてタッチスクリーン54に表示される。
【0070】
このように、緊急事態情報の種類と、レベルおよび状態とに応じて、解除、返血および離脱の対処方法のいずれかを選択可能に情報処理装置100の表示部に表示されることにより、医師が短時間で的確に血液浄化装置40の対処方法を医療者に指示することが可能となる。
【0071】
図19は、スタットコールの発動後に、医療機関で透析治療中の血液浄化装置のディスプレイに表示される表示画面である。
図19に示すように、スタットコールを受信した血液浄化装置40のディスプレイ42には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン47および返血ボタン48が表示されるとともに、タイマー管理、救命措置に関わるガイドラインとマニュアル、および、心臓マッサージのリズム音の発信を開始可能な選択ボタン、並びに、患者の救命処置の実施記録が表示される。
【0072】
図20は、スタットコールの発動後に、在宅で透析治療中の血液浄化装置のディスプレイに表示される表示画面である。
図20に示すように、スタットコールを受信した血液浄化装置40のディスプレイ42には、対処方法を示すとともに選択可能な、解除ボタン47および返血ボタン48が表示されるとともに、心臓マッサージのリズム音の発信を開始可能な選択ボタン、患者の家族に向けた救急マニュアル、バイタルなどの確認事項、医療機関への通知、予め入力された連絡先、および、患者の救命処置の実施記録、並びに、音声ガイドの開始ボタンが表示される。ディスプレイ42に、患者の透析条件データまたは専用IDがQRコード(登録商標)61などに変換されて表示されてもよい。
【0073】
血液浄化装置40のマイク46および患者状態監視デバイス300のマイク320の少なくとも一方は、音声ガイドを報知可能である。緊急地震速報に対応する音声ガイドの一例として、「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。頭部に毛布をかぶり、回路をしっかり握り、ベッドの柵につかまって怪我をしないように身を守ってください。揺れが収まるのを待ってください。」が報知される。
【0074】
避難情報(避難指示)に対応する音声ガイドの一例として、「避難指示レベル4が出されました。対象地域にあたる場合は、スタッフの指示に従い安全に行動してください。」が報知される。
【0075】
大津波警報に対応する音声ガイドの一例として、「大津波警報です。対象地域の場合は落ち着いてスタッフの指示に従ってください。」が報知される。
【0076】
噴火警報に対応する音声ガイドの一例として、「噴火警報です。対象地域の場合は落ち着いてスタッフの指示に従ってください。」が報知される。
【0077】
国民保護に係る警報に対応する音声ガイドの一例として、「国民保護に係る警報が発令されました。B地域が攻撃を受けています。落ち着いて行動しましょう。頭部に毛布をかぶり、スタッフの指示に従ってください。スタッフは、ドア、窓を全部閉めてください。換気扇をとめてください。ドア、窓、壁から離れ、情報収集と患者対応にあたってください。」が報知される。
【0078】
火災情報に対応する音声ガイドの一例として、「火事です。火災場所の確認中です。スタッフの指示があるまで落ち着いてお待ちください。煙を吸わないように身をかがめ、口と鼻をタオルで覆ってください。」が報知される。
【0079】
ここで、QRコード(登録商標)61を用いて患者の個別データを複数の医療機関で利用する際の動作の一例について説明する。上記のように、表示画面に表示されたQRコード(登録商標)61を、
図1に示すように、サーバ70に接続されているコードリーダ60によって読み取ることにより、患者の専用IDなどを取得してサーバ30から患者の個別データをサーバ70に移行させることができる。これにより、患者が転院した際などに、容易に転院先で透析を行なうことができる。また、転院先で行われた透析の記録が、サーバ70に記憶されている患者の専用IDと紐付けられた患者の個別データに更新されるため、転院前の病院で透析治療を受ける際には、患者の専用IDを用いてサーバ70から患者の個別データをサーバ30に移行させることができる。これにより、転院先の病院で行われた透析治療の内容なども含めた過去の治療履歴に基づいて、透析条件などを決定することができる。
【0080】
なお、QRコード(登録商標)61に透析条件データ自体が情報として担持されている場合には、各医療機関が独自に使用している設定および風袋の取り決め(Dry Weightが風袋を含むか否かなど)については排除されて、統一された基準に基づいた透析条件データとして担持されることにより、いずれの医療機関でも使用可能なように汎用性が担保される。コードリーダ60は、サーバ70に接続されているものに限られず、各種端末に接続されていることにより、いずれの場所からも透析条件データを読み込むことが可能である。
【0081】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る情報処理装置は、取得部がサーバ装置から対処方法を取得する点のみ、本発明の実施形態1に係る情報処理装置100と異なるため、本発明の実施形態1に係る情報処理装置100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0082】
図21は、本発明の実施形態2に係るサーバ装置のハードウェア構成例を示した図である。
図21に示すように、サーバ装置200は、プロセッサ211と、メモリ212と、通信インターフェイス213と、入力装置214と、ディスプレイ215とを備える。プロセッサ211と、メモリ212と、通信インターフェイス213とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0083】
メモリ212は、ROM221、RAM222、および、ハードディスク223などの記憶媒体で構成される。メモリ212は、サーバ装置200のオペレーティングシステム、情報処理装置100に緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法を送信するためのアプリケーションプログラム、および、患者毎の透析条件データなどを記憶している。
【0084】
プロセッサ211は、サーバ装置200の全体的な動作を制御する。プロセッサ211は、メモリ212に記憶された、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行することによって、各種の処理を実現する。
【0085】
たとえば、プロセッサ211は、通信インターフェイス213を介して、情報処理装置100に透析条件データを送信する。また、プロセッサ211は、通信インターフェイス213を介して、情報処理装置100に緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法を送信する。
【0086】
本実施形態においては、情報処理装置100は、緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法、および、患者毎の透析条件データなどは、サーバ装置200から取得する。そのため、情報処理装置100の記憶部161に、緊急事態情報に応じた少なくとも一つの対処方法、および、患者毎の透析条件データが記憶されていなくてもよい。
【0087】
(実施形態3)
本発明の実施形態3においては、患者状態監視デバイス300について詳細に説明し、本発明の実施形態1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0088】
図22は、患者状態監視デバイスが患者の音声を受信してから対処動作を実施するまでの動作を示すフロー図である。
図23は、患者の音声とそれに応答する発話内容と対処動作に関するリストデータの概略構成を示す図である。
図24は、患者の音声とそれに応答する発話内容と対処動作に関する他のリストデータの概略構成を示す図である。
【0089】
図22に示すように、ステップS11において、患者状態監視デバイス300は、マイク320により患者の音声を受信する。ステップS12において、患者状態監視デバイス300は、患者の音声を解析する。患者状態監視デバイス300は、解析された音声の内容に応じて、メモリ312に記憶されている問診アプリケーションを起動する。問診アプリケーションは、
図23に示すリストデータD2に基づいて処理を実行する。
【0090】
ステップS13において、患者状態監視デバイス300は、解析された患者の音声に対する応答をリストデータD2に基づいて取得する。ステップS14において、患者状態監視デバイス300は、スピーカ330から発話して、患者の音声に対して応答する。
【0091】
ステップS15において、患者状態監視デバイス300は、ステップS14における発話がリストデータD2における最後の発話か確認する。たとえば、患者の「熱があった」の音声を受信した場合、リストデータD2の発話の項目には、1~3の発話内容が設定されており、患者状態監視デバイス300は、1番目の「何度くらい?」の発話をし、それに対して患者から「39℃」と返事がされると、2番目の「咳などの他の症状は?」の発話をし、それに対して患者から「少し咳がある」と返事がされると、3番目の「今は大丈夫?」の発話が最後の発話になる。ステップS15において、最後の発話でない場合は、ステップS11に戻り、最後の発話である場合は、ステップS16に進む。
【0092】
ステップS16において、患者状態監視デバイス300は、マイク320により患者の音声を受信する。上記の例では、3番目の「今は大丈夫?」の発話に対する患者からの「大丈夫」と返事を受信する。
【0093】
ステップS17において、患者状態監視デバイス300は、患者の音声を解析する。ステップS18において、患者状態監視デバイス300は、リストデータD2に基づいて、対処動作を取得する。ステップS19において、患者状態監視デバイス300は、取得した対処動作を実施する。上記の例では、患者からの返答を含めて医療者に報告する。具体的には、患者状態監視デバイス300は、情報処理装置100および端末装置50に、通信インターフェイス313を通じて、患者との問診内容を送信する。また、透析中のうめき声および異常音などの音声データを感知した場合、対処動作として医療者に通報する。
【0094】
問診アプリケーションによる患者の問診結果から得られた情報から、身体の訴え、食事の状態(カリウムおよびリンを多く含む食品の摂取状況、並びに摂食状況)、薬の内服状況、および、便通などの、透析に関する有用な情報を医療者に提供することができる。
【0095】
なお、ステップS12において、患者状態監視デバイス300は、解析された音声の内容に応じて、メモリ312に記憶されている会話アプリケーションを起動してもよい。会話アプリケーションは、
図24に示すリストデータD3に基づいて処理を実行する。会話アプリケーションとしては、たとえば、SELF株式会社製のSELF AIを用いてもよい。会話アプリケーションによる患者との会話内容によって、ステップS19において、リストデータD3の対処動作が実施される。たとえば、会話内容に応じた対処動作として、問診アプリケーションに移行する、または、他のアプリケーションに移行する。
【0096】
患者状態監視デバイス300は、カメラ350とアプリケーション(19Labs社製のGALE/VisualVitalsまたは株式会社INNOVA GLOVAL製のTauriなど)との連動により得られたデータを、AIシステム(ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社製のPrediction Oneなど)を介し、医療者の部門管理者らにより設定された設定に移行可能に構成されていてもよい。
【0097】
患者状態監視デバイス300は、カメラ350およびマイク320とアプリケーション(VITALIFY社製のMALFaceEmotionなど)との連動により、透析中の患者の表情を感知して医療者に通知可能に構成されていてもよい。
【0098】
患者状態監視デバイス300は、サーバ10,20および患者状態監視デバイス300から送信された緊急事態情報を受信可能である。患者状態監視デバイス300は、緊急事態情報を受信した際、専用画面をタッチスクリーン314に表示し、予め定められた動作を実施可能に構成されている。具体的には、患者状態監視デバイス300は、緊急事態情報に対応した患者への避難指示の表示、または、介護者への救急応急指示などを表示または報知可能に構成されている。若しくは、患者状態監視デバイス300は、メモリ312に予め登録されている緊急連絡先に発信可能に構成されている。患者状態監視デバイス300においては、患者毎のアプリケーションの設定を管理可能に構成されていてもよい。
【0099】
患者状態監視デバイス300により、患者の音声および表情などを常時監視して、重要な症状を漏らすことなく医療者に通知することができるため、患者の安全性を向上しつつ医療者の負担を軽減することができる。
【0100】
本実施形態に係る患者状態監視デバイス300は、カメラ350、マイク320およびプロセッサ311を備える。プロセッサ311は、カメラ350から入力された患者状態およびマイク320から入力された患者の音声を解析して対処動作を取得し、取得した上記対処動作を実施する。これにより、患者状態の急変などの緊急事態が発生した場合に、緊急事態に対応した適切な対処動作を実施することができる。
【0101】
本実施形態に係る患者状態監視デバイス300においては、プロセッサ311は、解析された患者の音声に対して応答することにより問診を行ない、患者との問診内容を送信する。患者状態監視デバイス300は、医療者が所持する、情報処理装置100および端末装置50に、通信インターフェイス313を通じて、患者との問診内容を送信する。これにより、患者の問診内容から取得可能な重要な症状を漏らすことなく医療者に通知することができるため、患者の安全性を向上しつつ医療者の負担を軽減することができる。
【0102】
本実施形態においては、患者状態は、患者の表情および患者の体表面温度を含む。これにより、患者状態の急変などの緊急事態の発生を早期に発見し、緊急事態に対応した適切な対処動作を早期に実施することができる。
【0103】
本実施形態に係る患者状態監視デバイス300においては、プロセッサ311は、緊急事態情報を受信した際、予め定められた動作を実施する。これにより、緊急事態が発生した場合に、緊急事態に対応した適切な対処動作を早期に実施することができる。
【0104】
本実施形態に係る患者状態監視デバイス300においては、上記予め定められた動作には、患者への避難指示および介護者への救急応急指示の少なくとも一方の表示または報知が含まれる。これにより、患者および介護者が慌てることなく適切な対処動作を行なうことができるようにアシストすることができる。
【0105】
(実施形態4)
本発明の実施形態4においては、マイナンバーカード一体型健康保険証を用いた患者の透析条件データの医療機関同士の間の移行について詳細に説明し、本発明の実施形態1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0106】
図25は、本発明の実施形態4に係るネットワークシステムを示す図である。
図25に示すように、本発明の実施形態4に係るネットワークシステム1においては、オンライン資格確認等システムを搭載したサーバ80、および、マイナンバーカード一体型健康保険証91を読み取り可能なカードリーダ90をさらに備えている。本実施形態においては、カードリーダ90は、サーバ70に接続されているが、これに限られず、ネットワークシステム1に含まれるように接続されていればよい。
【0107】
オンライン資格確認等システムを搭載したサーバ80には、各医療機関および薬局などの薬剤情報および診療情報などが記憶されている。すなわち、サーバ30およびサーバ70に記憶されている診療情報などは、サーバ80に集約される。カードリーダ90によってマイナンバーカード一体型健康保険証91を読み込むことにより、マイナンバーカードのICチップ内の電子証明書を用いて患者の資格情報を取得することができる。取得した患者の資格情報を用いてサーバ80にアクセスすることにより、患者の薬剤情報および診療情報などを閲覧および取得することができるため、他の医療機関の情報を活用して円滑な医療の提供を行なうことができる。
【0108】
なお、実施形態1における専用IDを取得するためのQRコード(登録商標)61の代わりに、マイナンバーカード一体型健康保険証91を用いてもよい。この場合、顔認証による患者の本人確認と、マイナンバーカードを用いた本人確認とを一緒に行なってもよい。専用IDを取得するためにマイナンバーカード一体型健康保険証91を用いた場合、サーバ70に透析情報が集約されている他の医療機関の血液浄化装置の透析システムと、サーバ30に透析情報が集約されている血液浄化装置40の透析システムとが、互いに異なっていても、透析情報を含む診療情報を、サーバ80を介してサーバ30とサーバ70との間で移行可能にすることができる。なお、医療機関が使用する血液浄化装置の製造メーカが異なることによって、上記のように透析システムが互いに異なることがある。上記のように、マイナンバーカード一体型健康保険証91を読み取ることにより、患者の透析情報が入手可能となり、入院時、転院時および災害時などに広く利用することができる。また、透析用クラウドを通じて、電子カルテおよび処方情報と、マイナンバーカード一体型健康保険証91を用いて取得される専用IDとが紐付けられていてもよい。
【0109】
上記の実施形態において、互いに組み合わせ可能な構成は、互いに組み合わされてもよい。今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 ネットワークシステム、10,20,30,70,80 サーバ、40 血液浄化装置、41 制御ユニット、42,52,142,215,342 ディスプレイ、43,113,213,313 通信インターフェイス、44 操作入力部、45 駆動部、46,320 マイク、47,115 解除ボタン、48,116 血ボタン、50 端末装置、54,114,314 タッチスクリーン、58,118 ボタン、60 コードリーダ、90 カードリーダ、91 マイナンバーカード一体型健康保険証、100 情報処理装置、111,211,311,411 プロセッサ、112,212,312,412 メモリ、117 離脱ボタン、123,323 フラッシュメモリ、141,341 タッチパネル、150 制御部、151 取得部、152 出力制御部、153 入力受付部、160 受信部、161 記憶部、162 表示部、163 入力部、164 送信部、200 サーバ装置、214 入力装置、221,321 ROM、222,322 RAM、223 ハードディスク、300 患者状態監視デバイス、330 スピーカ、350 カメラ。