(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134732
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240927BHJP
B60J 1/02 20060101ALI20240927BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
G02B27/01
B60J1/02 M
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045076
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 元暁
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA36
2H199DA44
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】歪みなくフロントウインドウの広範囲に表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置5は、車両のフロントウインドウ2と同じ曲率で、フロントウインドウ2に沿って配置された表示部1を備え、表示部1は、複数の発光ダイオード1aがドットマトリクス状に配列されており、表示部1から出射した光を直接フロントウインドウ2に反射させて形成された虚像を視認する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントウインドウと同じ曲率で、車室内に前記フロントウインドウに沿って配置された表示部を備え、
前記表示部は、複数の発光素子がマトリクス状に配列されており、
前記表示部から出射した光を直接前記フロントウインドウに反射させて形成された虚像を視認する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記フロントウインドウの左端から右端まで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントウインドウに反射されて形成される虚像により表示を行う表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるヘッドアップディスプレイにおいて、従来は湾曲した車両のフロントウインドウに歪みのない表示を投影する場合、歪補正処理が必要になることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ヘッドアップディスプレイ装置において、補正処理を行うための補正用テーブルを有し、補正用テーブルには、予めウィンドシールド上の投射位置に応じた映像の歪み補正量が記述され、補正用テーブルに記述された歪み補正量を参照して映像の歪み補正を行うとともに、歪み補正に伴う映像内のオブジェクトのサイズ変化を修正するため、補正用テーブルを参照してオブジェクトのサイズ補正を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような歪補正処理を行うためには、実際の表示サイズ以上の表示領域が必要になる。しかし、自動車のダッシュボード等の搭載スペースには限りがあるため、フロントウインドウの広範囲に表示することは困難であった。
【0006】
また、複数のヘッドアップディスプレイを組み合わせることで広範囲の表示をすることもできるが、表示デバイスの間には構造上の表示が出来ないエリアが生じる。それにより横に長い線状の表示において機能面や見た目の面で表現に限界があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、歪みなくフロントウインドウの広範囲に表示することができる表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、車両のフロントウインドウと同じ曲率で、車室内に前記フロントウインドウに沿って配置された表示部を備え、前記表示部は、複数の発光素子がマトリクス状に配列されており、前記表示部から出射した光を直接前記フロントウインドウに反射させて形成された虚像を視認する、ことを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示部がフロントウインドウの下端部の形状に沿って配置されているので、歪みなくフロントウインドウの広範囲に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる表示装置の構成図である。
【
図2】
図1に示されたダッシュボードの上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる表示装置の構成図である。
【0012】
図1に示した表示装置5は、自動車等の車両に設けられている。表示装置5は、
図1に示したように表示部1を備えている。表示部1は、車両のフロンドウインドウ(フロントガラスやウィンドシールドともいう)2の下端部2L近傍のダッシュボード10上に設けられている。即ち、表示部1は車室内に設けられている。
【0013】
ダッシュボード10は、車両前方の車室空間を仕切る部材であり、所要の形状に成形されている。
【0014】
図1において、符号Dは車両のドライバー、符号HはドライバーDが握るハンドルである。
【0015】
表示部1は、ダッシュボード10上のフロントウインドウ2との窓際に配置されている。詳細には、
図2に示したように、フロントウインドウ2の下端部2Lの形状に沿って配置されている。即ち、表示部1は、フロントウインドウ2と同じ曲率で、フロントウインドウ2に沿って配置されている。
【0016】
図2は、ダッシュボード10の上方から見た図である。フロントウインドウ2は通常湾曲している。そのため、下端部2Lも
図2に示したように湾曲している。そこで、表示部1もフロントウインドウ2の湾曲に沿って湾曲した略帯状に配置する。
【0017】
表示部1は、複数の発光ダイオードにより構成されている。
図3に
図2のA部分の拡大図を示す。
図3に示したように、表示部1は、複数の発光ダイオード1aにより構成されている。複数の発光ダイオード1aはマトリクス状に配置されている。したがって、1つの発光ダイオード1aを1ドットとして複数の発光ダイオード1aにより文字や画像等を表示する。
【0018】
図3に示したように、発光ダイオード1aはフロントウインドウ2の湾曲に沿って配置されている。なお、発光ダイオード1aの形状(ドットの形状)は、
図3に限らず任意である。
【0019】
図2や
図3に示した構成では、1行あたり数十個の発光ダイオード1aが5行ある構成としていたが、実施形態の説明の都合によるものであり、この数に限らないのはいうまでもない。発光ダイオード1aは、半導体素子であるため小型化が容易である。また、発光ダイオード1a間のピッチを1mm以下とすることも可能である。したがって、例えば
図2に示した表示部1の範囲にさらに多くの発光ダイオード1aを設けて、例示した構成よりも解像度を上げることでドライバーD等から視認可能な文字や図形、或いは画像等の表示をすることは可能である。
【0020】
また、発光素子としては発光ダイオード1aに限らない。発光ダイオード1aのように、ドット単位で発光させることができ、複数組み合わせることができる素子であればよい。
【0021】
図4に表示装置5の表示例を示す。
図4に示したように、表示部1に画像等が表示されることにより、フロントウインドウ2の左端から右端の広い領域に亘って画像Iが表示される。勿論、フロントウインドウ2の左端から右端まで常時表示するのではなく、必要に応じて表示領域として使用できるという意味である。
【0022】
また、
図1に示したように、本実施形態にかかる表示装置5において、表示部1に表示された画像Iを示す光は、フロントウインドウ2で直接反射される。フロントウインドウ2で反射された光がハンドルHを握るドライバーDの目Eに到達すると、ドライバーDからはフロントウインドウ2の車室外側下部に虚像3として視認される。
【0023】
このように、表示部1は、フロントウインドウ2の湾曲形状に沿って配置されており、表示部1に表示された画像等もフロントウインドウ2と同曲率に歪むことから、フロントウインドウ2に表示された際には歪みない表示となり、フロントウインドウ2に表示するための歪補正処理等を行う必要が無い。
【0024】
本実施形態によれば、表示装置5は、車両のフロントウインドウ2と同じ曲率で、車室内にフロントウインドウ2に沿って配置された表示部1を備え、表示部1は、複数の発光ダイオード1aがドットマトリクス状に配列されており、表示部1から出射した光を直接フロントウインドウ2に反射させて形成された虚像を視認する。
【0025】
表示装置5が、上記のように構成されることにより、表示部1がフロントウインドウの下端部の形状に沿って配置されているので、表示部1では、フロントウインドウ2と同じ曲率で歪ませた表示をすることになるため、フロントウインドウ2に表示した際に歪みのない表示となる。また、フロントウインドウ2に沿って表示部1を配置しているのでフロントウインドウ2の広範囲に表示することができる。
【0026】
さらに、小さな表示デバイスを複数組み合わせることで広範囲の表示をする場合と比較して、境目の無い表示をすることが可能となる。したがって、ドライバーに伝える情報について、柔軟な表示位置、表示方法とすることができ、認識し易くなる。
【0027】
また、表示部1は、フロントウインドウの下端部2Lの左端から右端まで配置されているので、フロントウインドウ2の幅の範囲に亘って歪みのない表示をすることが可能となる。
【0028】
また、表示部1は、発光素子として発光ダイオードで構成されているので、高解像度化が容易であり、文字や画像等の表示に利用することが容易にできる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 表示部
1a 発光ダイオード(発光素子)
2 フロントウインドウ
2L 下端部
3 虚像
5 表示装置