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特開2024-134744無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134744
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20240927BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240927BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20240927BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01V3/12 A
H04W64/00 173
H04W4/029
G01S13/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045091
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】小林 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】國立 忠秀
(72)【発明者】
【氏名】金森 勝美
(72)【発明者】
【氏名】細川 元気
(72)【発明者】
【氏名】松井 研輔
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】山川 慧士
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
5K067
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB11
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH01
2G105KK06
5J070AC01
5J070AE09
5J070AF01
5J070BD10
5J070BF02
5J070BF16
5K067AA21
5K067BB44
5K067DD20
5K067DD28
(57)【要約】
【課題】データセンターとの適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能な無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線通信装置100は、無線通信装置100は、レーダを照射するレーダ照射処理部111aを備える。また、無線通信装置100は、レーダの反射波を取得する反射波取得処理部111bを備える。また、無線通信装置100は、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部を111c備える。また、無線通信装置100は、作業者と、生産設備との距離を判定する作業者距離判定部112を備える。また、無線通信装置100は、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部113を備える。無線通信装置100は、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンターと所定の回数の通信を行う通信処理部114と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備に設けられ、データセンターと通信可能な無線通信装置であって、
レーダを照射するレーダ照射処理部と、
照射された前記レーダの反射波を取得する反射波取得処理部と、
前記レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部と、
前記作業者の前記位置情報に基づいて、前記作業者と、前記生産設備との距離を判定する作業者距離判定部と、
前記作業者と、前記生産設備との距離に基づいて、前記レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部と、
前記レーダ処理の間隔に基づいて、前記レーダ処理が終了してから次の前記レーダ処理が実施されるまでの間に、前記データセンターと所定の回数の通信を行う通信処理部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記レーダ間隔変更部は、前記作業者と、前記生産設備との距離が短くなるのにしたがって、前記レーダ処理の間隔を短くする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
設備制御部をさらに備え、
前記設備制御部は、前記作業者距離判定部で、前記作業者と、前記生産設備との距離が第1の閾値距離以下となった場合にアラームを報知する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記設備制御部は、前記作業者距離判定部で、前記作業者と、前記生産設備との距離が第2の閾値距離以下となった場合に対象となる設備を停止させる、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
データセンターと、生産設備に設けられた無線通信装置と、を備える無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
レーダを照射するレーダ照射処理部と、
照射された前記レーダの反射波を取得する反射波取得処理部と、
前記レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部と、
前記作業者の前記位置情報に基づいて、前記作業者と、前記生産設備との距離を判定する作業者距離判定部と、
前記作業者と、前記生産設備との距離に基づいて、前記レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部と、
前記レーダ処理の間隔に基づいて、前記レーダ処理が終了してから次の前記レーダ処理が実施されるまでの間に、前記データセンターと所定の回数の通信を行う通信処理部と、
を有する無線通信システム。
【請求項6】
コンピュータによって実行される無線通信方法であって、
レーダを照射し、
照射された前記レーダの反射波を取得し、
前記レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出し、
前記作業者の前記位置情報に基づいて、前記作業者と、生産設備との距離を判定し、
前記作業者と、前記生産設備との距離に基づいて、前記レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更し、
前記レーダ処理の間隔に基づいて、前記レーダ処理が終了してから次の前記レーダ処理が実施されるまでの間に、データセンターと所定の回数の通信を行う、無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人を検出する機能を備えた通信装置が提案されている。特許文献1には、複数のアンテナに結合された人検出装置が開示されている。特許文献1に開示された人検出装置は、チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)の振幅情報に基づいて、人検出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-148428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、工場内の生産設備に無線通信装置を搭載し、生産設備と、データセンターとの無線通信を実施することで、生産工程を管理する管理システムが提案されている。また、生産設備に近接する人を検知し、工場内での事故の発生を防ぐことが求められている。例えば、この管理システムに、特許文献1で開示された人検出装置を適用した場合、人検出にデータセンターとの通信データが適用されてしまい、適切な通信が行われないことがある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、データセンターとの適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能な無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る無線通信装置は、生産設備に設けられ、データセンターと通信可能な無線通信装置であって、レーダを照射するレーダ照射処理部と、照射されたレーダの反射波を取得する反射波取得処理部と、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部と、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備との距離を判定する作業者距離判定部と、作業者と、生産設備との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部と、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンターと所定の回数の通信を行う通信処理部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様に係る無線通信システムは、データセンターと、生産設備に設けられた無線通信装置と、を備える無線通信システムであって、無線通信装置は、レーダを照射するレーダ照射処理部と、照射されたレーダの反射波を取得する反射波取得処理部と、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部と、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備との距離を判定する作業者距離判定部と、作業者と、生産設備との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部と、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンターと所定の回数の通信を行う通信処理部と、を有する。
【0008】
本発明の他の態様に係る無線通信方法は、コンピュータによって実行される無線通信方法であって、レーダを照射し、照射されたレーダの反射波を取得し、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出し、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備との距離を判定し、作業者と、生産設備との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更し、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンターと所定の回数の通信を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、データセンターとの適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能な無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る無線通信装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る無線通信装置において実施されるレーダ処理と通信処理との関係について説明するための図である。
図5】本実施形態に係る無線通信装置におけるレーダ照射の周期と通信パケットの数について説明するための図である。
図6】本実施形態に係る無線通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る無線通信装置の作業者位置検出に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る無線通信装置のレーダ間隔変更に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係る無線通信装置100について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0012】
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の構成を示す図である。無線通信システム10は、データセンター20と、無線通信装置100と、を含んで構成される。
【0013】
無線通信装置100は、生産設備30に設けられ、データセンター20と通信可能な装置である。例えば、無線通信装置100は、作業進捗状況等を所定の間隔でデータセンター20に送信する。また、無線通信装置100は、生産設備30に必要な品番情報などのデータをデータセンター20から受信する。
【0014】
本実施形態においては図1に示す通り、無線通信装置100は、生産設備30とデータセンター20との間で通信を実施している。なお、本実施形態において生産設備30は、例えば、ワイヤーハーネスの前工程の端子圧着工程やツイスト電線撚り工程であるが、これに限定したものではない。また、データセンター20には、ワイヤーハーネス等の品番情報をDB(データベース)に集積しており、データセンター20から品番情報を生産設備30へ無線伝送するとする。さらに、無線通信装置100は、生産設備30での作業完了情報をデータセンター20へ伝送し、生産管理に役立てるものとする。また、無線通信装置100は、工場内に生産設備30が複数存在する場合には、それぞれの生産設備30に設けられてもよい。
【0015】
近年、ワイヤーハーネス生産設備においては、生産効率向上のために自動化が進み、配線の煩わしさを解消するため、無線通信が適用されている。このように、配線の煩わしさを解消するために生産設備30に無線通信装置100を設けることで、工場内における生産設備30のレイアウト変更の自由度が増すことが可能となる。
【0016】
また、ワイヤーハーネスの生産設備30で自動化を図る際に、多種多様な品番に対応させる必要がある。ワイヤーハーネスは主に電線と端子コネクタ、テープやコルゲート等の外装部品で構成されており、それらの種類や使用数量により多種多様な品番が存在する。すなわち、例えば、ワイヤーハーネスの電線においては、電線径や電線長、芯線や被覆の材質によって、様々な種類がある。このように多種多様なワイヤーハーネスの仕様に対応すべく、生産設備30の自動化が進められている。ここで、自動化を進める際に初期レイアウト設計工数削減、レイアウト変更の自由度向上、ライン内の配線の煩わしさ解消、ライン変更・工程の組み替え対応容易のため工場現場の情報収集にネットワーク工事が不要等の理由で無線利用が進められている。
【0017】
また、本実施形態における無線通信装置100は、レーダ機能を有し、このレーダ機能により、生産設備30に近接する作業者の位置を把握し、作業者に対し、危険回避の対応を可能とする生産設備30を実現する。工場内における作業者の検出は、自動化して稼働している生産設備30への作業者の接近による危険防止の観点からも重要となる。
【0018】
上述の通り、自動化が進められる工場内の生産設備30においては、作業者の数も少なく、また、作業者が生産設備30に近接することにより発生する危険を回避する必要がある。例えば、図1に示す例においては、生産設備30の周辺の所定の距離を危険エリアとして設け、この危険エリアに作業者が入った場合には、生産設備30を停止させるなどの処理が必要とされる。また、図1に示す例においては、生産設備30の周辺の所定の距離であって、危険エリアより広い範囲に感知エリアを設け、作業者が感知エリアに入った場合に、作業者がさらに生産設備30に近づくのを防ぐために、アラーム等の報知を実施することが求められる。本実施形態における無線通信装置100は、このような生産設備30の停止や、アラームの報知を実施することが可能な装置を実現する。
【0019】
(無線通信装置100の構成)
図2は、本実施形態に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態において、この無線通信装置100は、制御部110と、記憶部120と、入出力IF130(Interface)と、通信IF140と、を備える一般的なコンピュータによって構成される。制御部110及び記憶部120の詳細については後述する。
【0020】
また、データセンター20の構成も、図2に示すブロック図と同様の構成を適用される。
【0021】
入出力IF130は、例えば、ユーザが無線通信装置100との間においてデータをやり取りするための構成要素(インタフェース)である。入出力IF130は、例えば、入力IFと、出力IFとを備える(図示なし)。
【0022】
入出力IF130における入力IFは、ユーザによるさまざまな情報を入力するためのインタフェース機能を有し、無線通信装置100の外部より情報が入力される。入力IFには、無線通信装置100と接続された、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、及び、音声認識デバイス等を通じてユーザによって情報が入力される。また、入力IFは、外部記憶装置(図示なし)等からデータを入力するためのデータ入力端子として、情報を入力することができる。
【0023】
通信IF140は、アンテナ150を介して、データセンター20と、の相互の通信を可能にするためのインタフェースである。
【0024】
また本実施形態においては、通信IF140及びアンテナ150は、例えば、IEEE.801.11ayのように、通信機能と、レーダ機能とが一体化され、併用可能な通信機器の一部として構成される。
【0025】
(無線通信装置100の構成)
図3は、本実施形態に係る無線通信装置100の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、無線通信装置100の制御部110は、作業者位置検出部111、作業者距離判定部112、レーダ間隔変更部113、通信処理部114、及び設備制御部115を機能として備える。これら制御部110における各機能については後述する。
【0026】
また、制御部110は、例えば、オペレーティングシステムを動作させて、無線通信装置100の全体を制御する。さらに、制御部110は、記憶部120に格納されたプログラムに基づいて動作し、上述の各機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部120に格納される形態に限定されず、例えば、無線通信装置100内の、ROM(Read Only Memory)等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。
【0027】
記憶部120は、図3に示すように、タイマ情報DB121(DB:Database)と、送信タイミング情報DB122と、工場情報DB123と、測定データ情報DB124と、に含まれる情報をデータとして格納する。なお、これらの各データを格納する記憶部120は、1つであっても複数であってもよい。例えば、1つの記憶部120に対し、領域を分けて記憶する構成としてもよい。あるいは、物理的に離れた場所に設置された複数の記憶装置に、データが分散して格納されていてもよい。
【0028】
タイマ情報DB121は、リアルタイムな時間情報が記録されている。送信タイミング情報DB122には、通信処理部114による無線通信のタイミングと、レーダ照射処理部111aが電波を照射するタイミングが記録されている。後述のレーダ間隔変更部113によって、電波を照射する時間が重ならないように送信タイミングが設定され、相互干渉しないように調整される。
【0029】
工場情報DB123は、工場内の静止している生産設備30である機器の配置が記憶されている。また、作業者は、機器の配置が変更されるたびに、この工場情報DB123に格納された情報を更新するものとする。これにより、工場内の作業者は、工場情報で記録されている生産設備30等の静止物に対して、その静止物以外の移動する対象物となり、無線通信装置100の検知対象となる。
【0030】
測定データ情報DB124には、後述の反射波取得処理部111bで取得したレーダの反射波に関する測定データに関する情報が格納される。また、測定データ情報DB124には、データセンター20との通信で取得した情報が格納されてもよい。
【0031】
作業者位置検出部111は、レーダ照射処理部111a、反射波取得処理部111b、及び作業者位置算出部111cを含んで構成される。作業者位置検出部111は、これらレーダ照射処理部111a、反射波取得処理部111b、及び作業者位置算出部111cにより、照射したレーダの反射波に基づいて作業者の位置情報を検出する。
【0032】
レーダ照射処理部111aは、アンテナ150を介して、レーダを照射する。本実施形態においてレーダは、逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Rada:ISAR)が適用される。この逆合成開口レーダは、目標が移動することを利用して、画像化を行う手法であり、アンテナを固定していても、運動している対象物の画像が得られるという特徴を有する。
【0033】
例えば、一般的にレーダを用いて電波的に測距する場合には、アンテナ開口面を広くすることが有効であるとされるが、生産設備30を含め、様々な設備が設置してある工場内に大口径なアンテナを設置することは難しいとされる。本実施形態に適用される逆合成開口レーダは、アンテナを固定し、大口径なアンテナを用いる必要がないため、生産設備30を含め、様々な設備が設置してある工場内への設置が適している。
【0034】
反射波取得処理部111bは、レーダ照射処理部111aで照射したレーダの反射波を取得する。
【0035】
作業者位置算出部111cは、反射波取得処理部111bで取得した反射波に基づいて、作業者の位置を算出する。本実施形態においては、一般的な逆合成開口レーダによる作業者の位置の算出が実施される。
【0036】
作業者距離判定部112は、作業者位置検出部111で検出された作業者の位置情報に基づいて、作業者との距離を判定する。本実施形態においては、例えば、作業者と、生産設備30との距離が7m以上であるか否か、2m~7mの間の1m間隔に位置するか否か、又は、2m以内に位置するか否か、を判定する。
【0037】
レーダ間隔変更部113は、作業者と、生産設備30との距離に基づいて、照射するレーダの間隔を変更する。具体的には、レーダ間隔変更部113は、作業者と、生産設備30との距離が短くなるのにしたがって、レーダ処理の間隔を短くする。本実施形態において、レーダ間隔変更部113は、作業者と、生産設備30との距離が7m以内である場合、レーダ照射処理部111aから照射するレーダの間隔を変更する。
【0038】
図4は、本実施形態に係る無線通信装置100において実施されるレーダ処理と通信処理との関係について説明するための図である。図4において、「R」は、レーダの照射及び反射タイミング(以下、レーダ処理と称する)を模式的に示している。また、「C」は、無線通信装置100からデータセンター20への通信処理を模式的に示している。
【0039】
また、図5は、本実施形態に係る無線通信装置100におけるレーダ処理の周期と通信処理(通信パケットの数)との関係を示す図である。
【0040】
図4に示す最上段の図においては、作業者と、生産設備30との距離が7m以上の場合であり、レーダ処理の間に、通信処理が20回実施される周期がt1の場合の例を示している。
【0041】
また、図4に示す図において、上から2番目の図は、作業者と生産設備30との距離が7m以下になった場合に変更されたレーダ間隔の例を示す。この図4の上から2番目の図においては、レーダ処理の間に、通信処理が5回実施される周期がt2の場合の例を示している。このように、作業者が生産設備30に近づいたため、レーダ間隔を短くすることで、作業者が生産設備30に接近しすぎることによる危険の発生を、事前に検知することが可能となる。
【0042】
また、図4に示す図において、上から3番目の図は、作業者と生産設備30との距離が4m以下になった場合に変更されたレーダ間隔の例を示す。この図4の上から3番目の図においては、レーダ処理の間に、通信処理が2回実施される周期がt5の場合の例を示している。
【0043】
さらに、図4に示す図において、上から4番目の図は、作業者と生産設備30との距離が3m以下になった場合に変更されたレーダ間隔の例を示す。この図4の上から4番目の図においては、レーダ処理の間に、通信処理が1回実施される周期がt6の場合の例を示している。上述の図4の上から1番目~3番目の場合と同様に、作業者が生産設備30に近づいたため、レーダ間隔をより短くすることで、作業者が生産設備30に接近しすぎることによる危険の発生を、事前に検知することが可能となる。
【0044】
通信処理部114は、レーダの間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンター20と所定の回数の通信を行う。具体的には、図4に示すように、レーダ処理「R」の間の時間帯に通信処理「C」が所定の回数、実施される。なお、本実施形態において、所定の回数は、図5に示す通信パケットの数に相当する。このように、作業者の位置に応じて、レーダ処理及び通信処理の間隔を変更することで、データセンター20との適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能な無線通信装置100を実現することができる。
【0045】
設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者との距離が第1の閾値距離以下となった場合にアラームを報知する。本実施形態において、第1の閾値距離は7mであるとする。このように、作業者と生産設備30との距離が7m以内となった場合に、設備制御部115がアラームを報知することで、作業者は生産設備30に近づいていることを認識することが可能となる。
【0046】
また、設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者との距離が第2の閾値距離以下となった場合に対象となる設備を停止させる。本実施形態において、第2の閾値距離は2mであるとする。このように、作業者と生産設備30との距離が2m以内となった場合に、設備制御部115が設備を停止させることで、作業者が生産設備30に近づきすぎたことによる危険の発生を防ぐことが可能となる。
【0047】
(無線通信装置100の処理フローの概略)
次に、図6図8に示すフローチャートを用いて無線通信装置100における処理の流れを示す。図6図8のフローチャートに示す無線通信装置100の一連の動作は、無線通信装置100が起動されると開始され、無線通信装置100の終了により処理を終了する。また、図6図8に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の無線通信システム10及び無線通信装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0048】
まず図6に示すフローチャートについて説明する。ステップS601において、制御部110は、初期値の設定を行う。本実施形態において、制御部110は、作業者との距離である変数nの初期値を7として設定する。また、制御部110は、周期Pの初期値をt1として定める。その後、処理はステップS602に進む。
【0049】
ステップS602において、作業者位置検出部111は、作業者の位置検出処理を実施する。具体的には、図7に示す作業者位置検出に関するフローチャート(サブルーチン処理)の内容が実施される。次に図7に示すフローチャートについて説明する。
【0050】
ステップS701において、レーダ照射処理部111aは、アンテナ150を介して、レーダを照射する。本実施形態においてレーダは、逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Rada:ISAR)が適用される。この逆合成開口レーダは、目標が移動することを利用して、画像化を行う手法であり、アンテナを固定していても、運動している対象物の画像が得られるという特徴を有する。その後、処理はステップS702に進む。
【0051】
ステップS702において、反射波取得処理部111bは、レーダ照射処理部111aで照射したレーダの反射波を取得する。その後、処理はステップS703に進む。
【0052】
ステップS703において、作業者位置算出部111cは、反射波取得処理部111bで取得した反射波に基づいて、作業者の位置を算出する。一般的な逆合成開口レーダによる位置の算出が実施される。その後、処理は、図6に示すステップS602に戻り、ステップS603に進む。図6に示すステップS603の処理に戻り説明を続ける。
【0053】
ステップS603において、作業者距離判定部112は、作業者位置検出部111で検出された作業者の位置情報に基づいて、作業者と生産設備30との距離を判定する。本実施形態においては、例えば、作業者と、生産設備30との距離が7m以上であるか否か、2m~7mの間の1m間隔に位置するか否か、又は、2m以内に位置するか否か、を判定する。
【0054】
ステップS603においては、変数nの値に基づいて、判定が実施される。すなわち、ステップS603において、作業者距離判定部112は、作業者との距離がnm以内であると判定した場合(ステップS603:YES)には、処理はステップS604に進む。一方で、ステップS603において、作業者距離判定部112は、作業者との距離がnm以内でないと判定した場合(ステップS603:NO)には、処理はステップS601に戻り、ステップS601からの処理が繰り返し実施される。すなわち、作業者距離判定部112が作業者との距離がnm以内でないと判定した場合、処理はステップS601に戻り、初期化が実施される。これにより、作業者が生産設備30から7m以上離れた場合には、とくにアラーム等は報知されず、一方で、作業者が生産設備30から7m以内に居る場合(ある場所で留まっている場合)には、再度アラームが報知されることになる。
【0055】
ステップS604において、レーダ間隔変更部113は、レーダ間隔の変更処理を行う。具体的には、図8に示すレーダ間隔変更に関するフローチャートの内容が実施される。図8に示すフローチャートについて説明する。
【0056】
ステップS801において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が7であるか否かを判定する。ステップS801において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が7であると判定した場合(ステップS801:YES)には、処理は、ステップS802に進む。一方で、ステップS801において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が7でないと判定した場合(ステップS801:NO)には、処理は、ステップS804に進む。
【0057】
ステップS802において、レーダ間隔変更部113は、周期Pをt2とする。なお、本実施形態において、t2は図5に示すように、レーダ処理の間の時間帯に送受信される通信パケットの数が5の場合に相当する。その後、処理はステップS803に進む。
【0058】
ステップS803において、設備制御部115は、アラームを報知(出力)する。すなわち、ステップS803において、設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者との距離が第1の閾値距離である7m以下となったと判定したためアラームを報知する。このように、作業者と生産設備30との距離が7m以内となった場合に、設備制御部115がアラームを報知することで、作業者は生産設備30に近づいていることを認識することが可能となる。その後の処理は、ステップS604に戻り、ステップS605に進む。
【0059】
ステップS804において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が6であるか否かを判定する。ステップS804において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が6であると判定した場合(ステップS804:YES)には、処理は、ステップS805に進む。一方で、ステップS804において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が6でないと判定した場合(ステップS804:NO)には、処理は、ステップS806に進む。
【0060】
ステップS805において、レーダ間隔変更部113は、周期Pをt3とする。なお、本実施形態において、t3は図5に示すように、レーダ処理の間の時間帯に送受信される通信パケットの数が4の場合に相当する。その後、処理は、ステップS604に戻り、ステップS605に進む。
【0061】
ステップS806において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が5であるか否かを判定する。ステップS806において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が5であると判定した場合(ステップS806:YES)には、処理は、ステップS807に進む。一方で、ステップS806において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が5でないと判定した場合(ステップS806:NO)には、処理は、ステップS808に進む。
【0062】
ステップS807において、レーダ間隔変更部113は、周期Pをt4とする。なお、本実施形態において、t4は図5に示すように、レーダ処理の間の時間帯に送受信される通信パケットの数が3の場合に相当する。その後、処理は、ステップS604に戻り、ステップS605に進む。
【0063】
ステップS808において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が4であるか否かを判定する。ステップS808において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が4であると判定した場合(ステップS808:YES)には、処理は、ステップS809に進む。一方で、ステップS808において、レーダ間隔変更部113は、変数nの値が4でないと判定した場合(ステップS808:NO)には、処理は、ステップS810に進む。
【0064】
ステップS809において、レーダ間隔変更部113は、周期Pをt5とする。なお、本実施形態において、t5は図5に示すように、レーダ処理の間の時間帯に送受信される通信パケットの数が2の場合に相当する。その後、処理は、ステップS604に戻り、ステップS605に進む。
【0065】
ステップS810において、レーダ間隔変更部113は、周期Pをt6とする。なお、本実施形態において、t6は図5に示すように、レーダ処理の間の時間帯に送受信される通信パケットの数が1の場合に相当する。その後、処理は、ステップS604に戻り、ステップS605に進む。
【0066】
図6に示すステップS605の処理に戻り説明を続ける。ステップS605において、制御部110は、変数nの値を一つ減算する。その後、処理はステップS606に進む。
【0067】
ステップS606において、制御部110は、変数nの値が2であるか否かを判定する。ステップS606において、制御部110は、変数nの値が2であると判定した場合(ステップS606:YES)には、処理はステップS607に進む。一方で、ステップS606において、制御部110は、変数nの値が2でないと判定した場合(ステップS606:NO)には、処理はステップS602に戻り、ステップS602からの処理を繰り返し実施する。
【0068】
ステップS607において、設備制御部115は、対象となる設備を停止させる。すなわち、ステップS607においては、作業者と生産設備30との距離が第2の閾値距離である2m以下となったため、対象となる設備を停止させる。このように、作業者と生産設備30との距離が2m以内となった場合に、設備制御部115が設備を停止させることで、作業者が生産設備30に近づきすぎたことによる危険の発生を防ぐことが可能となる。その後、処理は終了する。
【0069】
なお、設備停止が確認された場合には、作業者によって、生産設備30のリセットボタンが押下され、設備が復旧する。
【0070】
上述の通り、無線通信装置100は、生産設備30に設けられ、データセンター20と通信可能な無線通信装置100である。無線通信装置100は、レーダを照射するレーダ照射処理部111aを備える。また、無線通信装置100は、照射されたレーダの反射波を取得する反射波取得処理部111bを備える。また、無線通信装置100は、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部111cを備える。また、無線通信装置100は、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備30との距離を判定する作業者距離判定部112を備える。また、無線通信装置100は、作業者と、生産設備30との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部113を備える。さらに、無線通信装置100は、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンター20と所定の回数の通信を行う通信処理部114を備える。
【0071】
このように、無線通信装置100は、データセンター20との適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能となる。
【0072】
また、レーダ間隔変更部113は、作業者と、生産設備30との距離が短くなるのにしたがって、レーダ処理の間隔を短くしてもよい。これにより、無線通信装置100は、作業者が生産設備30に近づくに従って、レーダ処理の間隔が短くなるので、より適切に作業者の接近による事故を軽減することが可能となる。
【0073】
また、無線通信装置100は、設備制御部115をさらに備え、設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者と、生産設備30との距離が第1の閾値距離以下となった場合にアラームを報知してもよい。これにより、無線通信装置100は、作業者と生産設備30との距離が第1の閾値距離である7m以内となった場合に、設備制御部115がアラームを報知することで、作業者は生産設備30に近づいていることを認識することが可能となる。すなわち、無線通信装置100は、作業者が生産設備30に近づきすぎることにより発生する恐れのある事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0074】
さらに、設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者と、生産設備30との距離が第2の閾値距離以下となった場合に対象となる設備を停止させてもよい。これにより、無線通信装置100は、作業者と生産設備30との距離が第2の閾値距離である2m以内となった場合に、設備制御部115が設備を停止させることで、作業者が生産設備30に近づきすぎたことによる危険の発生を防ぐことが可能となる。
【0075】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0076】
上述の実施形態において、無線通信装置100は、生産設備30に接近する作業者の検知を可能とするものであるが、無線通信装置100の適用は、生産設備30に限定されない。例えば、無線通信装置100は、路車間で衝突予防用レーダ装置と、路車間協調通信とで構成される通信システムに適用してもよい。
【0077】
また、上述の実施形態において、無線通信装置100で適用されるレーダとして、逆合成開口レーダ(ISAR)が適用される例を示した。無線通信装置100で適用されるレーダは、逆合成開口レーダに限定されるものではなく、合成開口レーダ(SAR)を適用してもよい。例えば、船舶に無線通信装置100を適用する場合には、レーダには合成開口レーダ(SAR)を適用してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態において、無線通信装置100は、工場内での使用について示し、レーダの設置側を固定物とする場合について説明した。この構成は、実施形態の構成を限定するものではなく、レーダが移動体に設置されている場合には、合成開口レーダ(SAR)を適用してもよい。
【0079】
また、上述した無線通信装置100における処理(無線通信方法)をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(無線通信プログラム)、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0080】
以下に、無線通信装置100、無線通信システム10、及び無線通信方法の特徴について記載する。
【0081】
第1の態様に係る無線通信装置100は、生産設備30に設けられ、データセンター20と通信可能な無線通信装置100である。無線通信装置100は、レーダを照射するレーダ照射処理部111aを備える。また、無線通信装置100は、照射されたレーダの反射波を取得する反射波取得処理部111bを備える。また、無線通信装置100は、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部111cを備える。また、無線通信装置100は、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備30との距離を判定する作業者距離判定部112を備える。また、無線通信装置100は、作業者と、生産設備30との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部113を備える。さらに、無線通信装置100は、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンター20と所定の回数の通信を行う通信処理部114を備える。
【0082】
上記構成によれば、無線通信装置100は、データセンター20との適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能となる。
【0083】
第2の態様に係る無線通信装置100のレーダ間隔変更部113は、作業者と、生産設備30との距離が短くなるのにしたがって、レーダ処理の間隔を短くしてもよい。
【0084】
上記構成によれば、無線通信装置100は、作業者が生産設備30に近づくに従って、レーダ処理の間隔が短くなるので、より適切に作業者の接近による事故を軽減することが可能となる。
【0085】
第3の態様に係る無線通信装置100は、設備制御部115をさらに備え、設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者と、生産設備30との距離が第1の閾値距離以下となった場合にアラームを報知してもよい。
【0086】
上記構成によれば、無線通信装置100は、作業者と生産設備30との距離が第1の閾値距離である7m以内となった場合に、設備制御部115がアラームを報知することで、作業者は生産設備30に近づいていることを認識することが可能となる。すなわち、無線通信装置100は、作業者が生産設備30に近づきすぎることにより発生する恐れのある事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0087】
第4の態様に係る無線通信装置100の設備制御部115は、作業者距離判定部112で、作業者と、生産設備30との距離が第2の閾値距離以下となった場合に対象となる設備を停止させてもよい。
【0088】
上記構成によれば、無線通信装置100は、作業者と生産設備30との距離が第2の閾値距離である2m以内となった場合に、設備制御部115が設備を停止させることで、作業者が生産設備30に近づきすぎたことによる危険の発生を防ぐことが可能となる。
【0089】
第5の態様に係る無線通信システム10は、データセンター20と、生産設備30に設けられた無線通信装置100と、を備える無線通信システム10である。無線通信装置100は、レーダを照射するレーダ照射処理部111aを有する。また、無線通信装置100は、照射されたレーダの反射波を取得する反射波取得処理部111bを有する。また、無線通信装置100は、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する作業者位置算出部111cを有する。また、無線通信装置100は、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備30との距離を判定する作業者距離判定部112を有する。また、無線通信装置100は、作業者と、生産設備30との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更するレーダ間隔変更部113を有する。さらに、無線通信装置100は、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンター20と所定の回数の通信を行う通信処理部114を有する。
【0090】
上記構成によれば、無線通信システム10は、無線通信装置100と、データセンター20との適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することが可能となる。
【0091】
第6の態様に係る無線通信方法は、コンピュータによって実行される無線通信方法である。無線通信方法は、レーダを照射する。また、無線通信方法は、照射された前記レーダの反射波を取得する。また、無線通信方法は、レーダの照射及び反射波に基づいて、作業者の位置情報を算出する。また、無線通信方法は、作業者の位置情報に基づいて、作業者と、生産設備30との距離を判定する。また、無線通信方法は、作業者と、生産設備30との距離に基づいて、レーダの照射及び反射波の取得に関するレーダ処理の間隔を変更する。さらに、無線通信方法は、レーダ処理の間隔に基づいて、レーダ処理が終了してから次のレーダ処理が実施されるまでの間に、データセンター20と所定の回数の通信を行う。
【0092】
上記構成によれば、無線通信方法は、データセンター20との適切な通信量を維持しつつ、作業者の接近による事故を軽減することを可能にする。
【符号の説明】
【0093】
10 無線通信システム
20 データセンター
30 生産設備
100 無線通信装置
110 制御部
111 作業者位置検出部
111a レーダ照射処理部
111b 反射波取得処理部
111c 作業者位置算出部
112 作業者距離判定部
113 レーダ間隔変更部
114 通信処理部
115 設備制御部
120 記憶部
130 入出力IF
140 通信IF
150 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8