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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134748
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シールド端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20240927BHJP
【FI】
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045096
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜田 和明
(72)【発明者】
【氏名】康 麗萍
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FA14
5E021FB07
5E021FC29
5E021LA09
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】溶接の安定性を確保できる上、組み付け時の作業性を向上させることが可能なシールド端子を提供する。
【解決手段】シールド端子10の外導体は、第1外導体20Aと、第2外導体20Bと、を有している。第1外導体20Aは、筒状であって、第1端部24を有し、第2外導体20Bは、筒状であって、第1端部24の内側に配置される第2端部を有している。第1端部24と第2端部32のうち、いずれか一方は、他方に向けて突出して先端を他方に接触させる突部28を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体と、前記内導体を包囲する外導体と、前記内導体と前記外導体との間に介在する誘電体と、を備え、
前記外導体は、第1外導体と、第2外導体と、を有し、
前記第1外導体は、筒状であって、第1端部を有し、
前記第2外導体は、筒状であって、前記第1端部の内側に配置される第2端部を有し、
前記第1端部と前記第2端部のうち、いずれか一方は、他方に向けて突出して先端を前記他方に接触させた突部を有している、シールド端子。
【請求項2】
前記第1端部は、切れ目を介して周方向に連続しており、
前記突部は、前記一方において、前記切れ目から周方向に4分の1周の範囲内に設けられている、請求項1に記載のシールド端子。
【請求項3】
前記第1端部は、前記第1端部に形成された切り込み部の内側部分を曲げ起こしてなるスタビライザを有し、
前記突部は、前記一方において、前記切り込み部の近傍位置に設けられている、請求項1に記載のシールド端子。
【請求項4】
前記突部の前記先端は、平坦面である、請求項1に記載のシールド端子。
【請求項5】
前記一方を周方向に均等に仮想的に4分割して4つの分割部を形成した場合に、前記突部は、前記4つの分割部の各々に分かれて設けられている、請求項1に記載のシールド端子。
【請求項6】
前記突部は、前記第1端部に設けられ、
前記第1端部の外周面は、前記突部と対応する位置に凹部を有している、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシールド端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたシールド端子は、外導体前部と外導体後部とを有する外導体を備えている。外導体後部の先端部は、外導体前部の内側に嵌合され、嵌合部分に溶接が施され、外導体前部に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/144070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成は、外導体の嵌合部分において、外導体前部の内周面と外導体後部の外周面との間のクリアランスを高い精度で管理する必要があった。例えば、クリアランスが大きいと、溶接が不安定になるという問題があった。これに対し、例えば、クリアランスが小さいと、外導体前部と外導体後部との嵌合工程で組み付け抵抗が過大になり、作業性が悪化するという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、溶接の安定性を確保できる上、組み付け時の作業性を向上させることが可能なシールド端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールド端子は、内導体と、前記内導体を包囲する外導体と、前記内導体と前記外導体との間に介在する誘電体と、を備え、前記外導体は、第1外導体と、第2外導体と、を有し、前記第1外導体は、筒状であって、第1端部を有し、前記第2外導体は、筒状であって、前記第1端部の内側に配置される第2端部を有し、前記第1端部と前記第2端部のうち、いずれか一方は、他方に向けて突出して先端を前記他方に接触させた突部を有している、シールド端子である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、溶接の安定性を確保できる上、組み付け時の作業性を向上させることが可能なシールド端子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態1において、シールド電線の端末部に接続されたシールド端子の側断面図である。
図2図2は、図1に示すシールド電線の端末部に接続されたシールド端子の側面図である。
図3図3は、図1に示すシールド電線の端末部に接続されたシールド端子の横断面図である。
図4図4は、実施形態1において、突部の先端が第2端部の外周面に接触して接合された状態を示す部分拡大側断面図である。
図5図5は、図1に示す第1外導体の背面図である。
図6図6は、図1に示すシールド端子の製造過程で第2外導体の後方の部分が開いた状態を示す斜視図である。
図7図7は、本開示の実施形態2の図4相当図である。
図8図8は、本開示の実施形態3の図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のシールド端子は、
(1)内導体と、前記内導体を包囲する外導体と、前記内導体と前記外導体との間に介在する誘電体と、を備え、前記外導体は、第1外導体と、第2外導体と、を有し、前記第1外導体は、筒状であって、第1端部を有し、前記第2外導体は、筒状であって、前記第1端部の内側に配置される第2端部を有し、前記第1端部と前記第2端部のうち、いずれか一方は、他方に向けて突出して先端を前記他方に接触させた突部を有している。
上記構成は、第1外導体と第2外導体とを組み付ける際に、他方に接触する一方の突部を溶接ポイントにすることができるため、第1外導体の第1端部と第2外導体の第2端部とを安定して溶接することができる。第1外導体と第2外導体とを組み付ける過程では、突部の先端が他方に接触するに留めることができるため、組み付け抵抗が大きくならずに済み、組み付け時の作業性を向上させることができる。
【0010】
(2)上記(1)に記載のシールド端子において、前記第1端部は、切れ目を介して周方向に連続しており、前記突部は、前記一方において、前記切れ目から周方向に4分の1周の範囲内に設けられていることが好ましい。
上記構成は、突部の先端が他方に接触したときに、第1端部が切り目を介して弾性的に拡開することができる。突部が切れ目から周方向に4分の1周の範囲内に設けられているため、例えば、突部が4分の1周の範囲外に離れて設けられる場合と比べ、第1外導体と第2外導体との組み付け抵抗を小さくでき、組み付け時の作業性をより向上させることができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)に記載のシールド端子において、前記第1端部は、前記第1端部に形成された切り込み部の内側部分を曲げ起こしてなるスタビライザを有し、前記突部は、前記一方において、前記切り込み部の近傍位置に設けられていることが好ましい。
上記構成は、突部の先端が他方と接触したときに、第1端部が切り込み部を介して弾性的に拡開することができる。突部が切り込み部の近傍位置に設けられているため、組み付け抵抗を小さくでき、組み付け時の作業性をより向上させることができる。なお、「切り込み部の近傍位置」とは、当該近傍位置に設けられた突部によって、第1外導体と第2外導体との組み付け時に、切り込み部を変形させながら第1端部を弾性的に拡開させることができる位置である。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載のシールド端子において、前記突部の前記先端は、平坦面であることが好ましい。
上記構成は、突部の平坦面が他方に接触するため、第1端部と第2端部との接触面積を大きく確保でき、溶接の安定性をより向上させることができる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のシールド端子において、前記一方を周方向に均等に仮想的に4分割して4つの分割部を形成した場合に、前記突部は、前記4つの分割部の各々に分かれて設けられていることが好ましい。
上記構成は、溶接ポイントになり得る突部を一方の周方向に等配または等配に近い配置で設けることができるため、外導体にリターン電流の径路を確保でき、外導体のシールド性能を適正に発揮させることができる。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載のシールド端子において、前記突部は、前記第1端部に設けられ、前記第1端部の外周面は、前記突部と対応する位置に凹部を有していることが好ましい。
上記構成は、第1端部の外周面の凹部を、例えば、目視によって確認し、溶接ポイントにすることができるので、第1端部と第2端部とを溶接する際の作業性を向上させることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<実施形態1>
本実施形態1に係るシールド端子10は、図1に示すように、導電性の内導体11と、絶縁性の誘電体12と、導電性の外導体20と、を備えている。内導体11は、シールド電線60の端末部に接続されている。シールド端子10は、図示しないハウジングに収容され、ハウジングとともにシールドコネクタを構成する。なお、以下の説明において、前後方向については、シールド電線60に対してシールド端子10が接続される側を前側とする。図1の矢印Xが前側である。左右方向は、図3の左右方向を基準とする。上下方向は、各図の上下方向を基準とする。本明細書において、左右方向は幅方向と同義であり、上下方向は高さ方向と同義である。これら方向は、便宜的に定めたものに過ぎない。
【0017】
(内導体11および誘電体12)
内導体11は、導電金属製であって、例えば、雌型端子として構成される。内導体11は、図1に示すように、シールド電線60の端末部において露出する芯線61に接続される。
【0018】
誘電体12は合成樹脂製であって、内部に内導体11を収容する。誘電体12は、外導体20と内導体11との間に配置され、外導体20と内導体11とを絶縁状態に維持する。
【0019】
(外導体20)
外導体20は、導電性の金属板材を曲げ加工等して形成される。外導体20は、内導体11の外周を包囲し、内導体11を電磁ノイズからシールドする。外導体20は、筒状、例えば、円筒状の第1外導体20Aと、同じく、筒状、例えば、円筒状の第2外導体20Bと、を有している。
【0020】
第1外導体20Aは、内部に、誘電体12を収容する。第1外導体20Aは、図2に示すように、筒形状に曲げ形成され、周方向の両端間の切れ目25A(継ぎ目でもある)を合わせて構成される。第1外導体20Aの周方向の両端には、凹凸状に嵌り合う係止部21Aが形成されている。第1外導体20Aは、係止部21Aによって筒形状を維持する。
【0021】
第1外導体20Aは、前後中間部に、段差部22を有し、段差部22を挟んだ前後両側のうち、前側を後側よりも小径として構成される。誘電体12は、図1に示すように、第1外導体20Aの後側に収容された状態で、段差部22に後方から接触可能に配置される。第1外導体20Aの前側には、周方向に間隔を置いて、複数の接点部23が設けられている。各接点部23は、それぞれ可動部分と固定部分とで構成され、図示しない相手外導体に接触し、外導体20と相手外導体とを接続させる。
【0022】
第1外導体20Aの後側の後端部は、第2外導体20Bに連結される第1端部24になっている。第1端部24は、図5に示すように、切れ目25Aを中心とする半周の範囲(図5の上半部であり、後述する分割部D1,D2を有する範囲)とは反対側の半周の範囲(図5の下半部であり、後述する分割部D3,D4を有する範囲)に、一対のスタビライザ26を有している。各スタビライザ26は、第1端部24において、第1外導体20Aの径方向中心と切れ目25Aとを通る対称軸C1を挟んで線対称の形状に設けられている。
【0023】
スタビライザ26は、図2に示すように、側面視矩形の板状をなし、前後両側に板厚面を向けて配置される。スタビライザ26は、図6に示すように、第1端部24の後端に開口するL字形状の切り込み部27の内側部分を径方向外側に曲げ起こして形成される。図示はしないが、各スタビライザ26がハウジングに形成された各ガイド溝に適合して進入することにより、ハウジングに対するシールド端子10の挿入動作がガイドされる。また、各スタビライザ26がハウジングのガイド溝に適合して進入することにより、シールド端子10がハウジングに対して軸周りに回転するのが規制される。さらにハウジングに対するシールド端子10の誤挿入も各スタビライザ26によって規制される。
【0024】
第1外導体20Aは、図5に示すように、第1端部24に、周方向に間隔を置いて配置される、複数の突部28を有している。各突部28は、第1端部24の外周面をプレス加工で叩くことによって形成される。各突部28は、第1端部24の径方向内側に突出(膨出)するエンボス形状をなしている。第1端部24の外周面には、突部28と対応する位置に、プレス加工に伴う凹部29が形成される。凹部29は、図2に示すように、径方向外側から見て、円形の輪郭を呈している。突部28も、径方向内側から見ると、円形の輪郭を呈している。突部28の突出方向の先端は、図5に示すように、平面状の平坦面31になっている。突部28の平坦面31は、図4に示すように、第1端部24の断面視において直線状に配置される。
【0025】
各突部28は、第1端部24において、切れ目25Aを中心とした半周の範囲内(図5の上半部であり、後述する分割部D1,D2を有する範囲)に配置される2つの突部(以下、第1突部28Aと称する)と、各スタビライザ26を有する半周の範囲内(図5の下半部であり、後述する分割部D3,D4を有する範囲)に配置される2つの突部(以下、第2突部28Bと称する)と、を有している。
【0026】
各第1突部28Aは、それぞれ、対称軸C1を挟んだ線対称の位置に配置される。本実施形態1の場合、各第1突部28Aは、第1端部24の周方向において、切れ目25Aを介して90度間隔を置いて配置される。つまり、各第1突部28Aは、第1端部24の周方向に4分の1周の範囲内に配置される。図示する場合、各第1突部28Aは、切れ目25Aから4分円弧の範囲内であって、分割部D1,D2にそれぞれ配置される。
【0027】
各第2突部28Bも、それぞれ、対称軸C1を挟んだ線対称の位置に配置される。本実施形態1の場合、各第2突部28Bは、第1端部24の周方向において、切れ目25Aと径方向反対側である下端位置(対称軸C1が通る位置)を介して90度未満の間隔を置いて配置される。各第2突部28Bは、第1端部24の周方向において、各スタビライザ26の付け根部分および各切り込み部27の各々の近傍位置に配置される。各第2突部28Bは、分割部D3,D4にそれぞれ配置される。
【0028】
第1端部24を周方向に90度間隔で均等に仮想的に分割し、4つの分割部D1-D4(図5の矢印範囲を参照)を形成した場合に、各突部28(各第1突部28Aおよび各第2突部28B)は、4つの分割部D1-D4の各々に分かれて配置される。なお、本実施形態1の場合、第1端部24は、便宜上、図5の上左側の4分円弧部である分割部D1と、図5の上右側の4分円弧部である分割部D2と、図5の下右側の4分円弧部である分割部D3と、図5の下左側の4分円弧部である分割部D4と、に分割されるものとする。
【0029】
第2外導体20Bは、第1端部24の内側に嵌合状態に配置される断面円形の第2端部32を有している。本実施形態1の場合、第2端部32の外周面は、図3に示すように、各突部28の先端に接触するように構成され、例えば、各突部28の平坦面31に線接触状態で接触するように構成されている。第2端部32が第1端部24の内側に配置された状態で、各突部28は、例えば、レーザ溶接等の溶接によってスポット溶接される。これにより、第1端部24と第2端部32とは互いに接合されて固定される。
【0030】
第2外導体20Bは、第1外導体20Aと同様、筒形状に曲げ形成され、周方向の両端間の切れ目25Bを合わせて構成される。第2外導体20Bは、内部に、シールド電線60の端末部を収容する。本実施形態1のシールド電線60は、図1に示すように、径方向中心側から順に、芯線61、被覆62、編組線63(シールド層)、シース64を積層して構成される。シールド電線60の端末部においては、シース64が除去されて、スリーブ65が嵌められ、編組線63がスリーブ65の外周側に折り返されている。第2外導体20Bは、折り返された編組線63に対してスリーブ65を下敷きとして圧着されて接続される。
【0031】
第2外導体20Bの周方向の一端には、図6に示すように、圧着片33が突出して形成されている。圧着片33は、上記の圧着工程において、図2に示すように、切れ目25Bを介して反対側に位置する第2外導体20Bの外周部分にオーバラップして固定される。第2外導体20Bは、圧着片33の固定作用と切れ目25Bにおける係止部21Bの凹凸嵌合によって筒形状を維持する。
【0032】
第2外導体20Bは、第2端部32に後方から隣接し且つ圧着片33よりも前方の位置に、全周に亘って縮径する括れ形状の係止凹部34を有している。図示はしないが、シールド端子10がハウジングに収容されたときに、係止凹部34にハウジングのランスが進入して係止可能とされる。シールド端子10は、ランスに係止されてハウジングからの抜け出しが規制される。
【0033】
(シールド端子10の製造方法)
まず、内導体11がシールド電線60の端末部に接続される。続いて、内導体11が誘電体12に収容される。次いで、内導体11を収容した誘電体12が第1外導体20Aに後方から挿入される。誘電体12は段差部22に当たって前止めされる。
【0034】
上記の状態で、第1外導体20Aと第2外導体20Bとが組み付けられる。このとき、第2外導体20Bは、図6に示すように、第2端部32と係止凹部34とを含む前端側が切れ目25Bを閉じた形状とされ、前端側より後方の部分が切れ目25Bを開いた形状とされる。
【0035】
第1外導体20Aと第2外導体20Bとの組み付けに際し、第1外導体20Aの第1端部24の内側に第2外導体20Bの第2端部32が挿入される。第2端部32は、誘電体12の後面に当たって前止めされる。誘電体12は、第1外導体20Aの内部に、段差部22と第2端部32との間で前後方向の動きを規制された状態に収容される(図1を参照)。
【0036】
各突部28の先端は、第2端部32の外周面に対して周方向に間隔を置いた4箇所で接触する。このとき、第1端部24は、切れ目25Aを開いて少し変形することができる。これにより、各第1突部28Aと第2端部32との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。また、各スタビライザ26は各切り込み部27を介して少し変形することができる。これにより、各第2突部28Bと第2端部32との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。よって、各突部28の先端が第2端部32に接触したときに、第1外導体20Aと第2外導体20Bとの組み付け抵抗が大きくなるのを回避できる。
【0037】
次いで、第1外導体20Aの第1端部24と第2外導体20Bの第2端部32とがレーザ溶接等の溶接によって接合される。溶接を行う際には、第1端部24の外周面に露出する凹部29を目視等で確認し、溶接ポイントの目印とすることができる。本実施形態1の場合、各突部28が第2端部32の外周面に接触している。このため、第1端部24と第2端部32との間に径方向のクリアランスが形成されている場合と違って、溶接作業を安定して精度良く行うことができる。溶接後、第2外導体20Bの後方の切れ目25Bが閉じられ、同時にシールド電線60の端末部に圧着して接続される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態1によれば、第1外導体20Aの第1端部24と第2外導体20Bの第2端部32とをレーザ溶接等の溶接で接合させる際に、第2外導体20Bの外周面に接触した各突部28を溶接ポイントにすることができる。このため、本実施形態1によれば、安定した品質のシールド端子10を提供することができる。
【0039】
第1外導体20Aと第2外導体20Bとの組み付け過程では、突部28の先端が第2端部32に接触するに留めることができるため、組み付け抵抗が大きくならずに済み、組み付け時の作業性を向上させることができる。したがって、本実施形態1の構成は、溶接状態の安定性の確保と組み付け時の作業性の向上とを両立させることができる。
【0040】
各第1突部28Aは、切れ目25Aから周方向に4分の1周の範囲内に設けられている。また、各第2突部28Bは、切り込み部27の近傍位置に設けられている。第1外導体20Aと第2外導体20Bとの組み付け過程で各突部28が第2端部32に接触したときに、第1端部24は切れ目25Aおよび切り込み部27を介して変形することができる。よって、本実施形態1の構成は、第1外導体20Aと第2外導体20Bとの組み付け抵抗をより小さく抑えることができ、組み付け時の作業性をより向上させることができる。また、各突部28の平坦面31が第2端部32に接触するため、第1端部24と第2端部32との接触面積を大きく確保でき、溶接状態の安定性をより向上させることができる。
【0041】
また、各突部28が第1端部24における4つの分割部D1-D4の各々に分かれて設けられているため、各突部28に対応する溶接ポイントを、第1端部24の周方向に等配に近い配置で設けることができる。その結果、外導体20にリターン電流の径路を確保でき、外導体20のシールド性能を適正に発揮させることができる。さらに、各突部28がエンボス形状をなし、第1端部24の外周面には各突部28と対応する位置に凹部29が形成されているため、各凹部29を、例えば、目視によって確認し、溶接ポイントにすることができる。その結果、本実施形態1の構成は、第1端部24と第2端部32とを溶接する際の溶接時の作業性を向上させることができる。
【0042】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1は、各突部28が第1端部24の内周側に突出し、各突部28の先端が第2端部32の外周面に接触可能な構成であった。これに対し、実施形態2によれば、図7に示すように、突部28Cが第2端部32の外周側に突出し、各突部28Cの先端が第1端部24の内周側に接触可能な構成であっても良い。
上記実施形態1の場合、突部28の先端は平坦面31であった。これに対し、実施形態3によれば、図8に示すように、突部28Dの先端は曲面であっても良い。突部28Dの先端が曲面であれば、第1外導体20Aと第2外導体20Bとの組み付け抵抗をより小さく抑えることができる。実施形態3の場合、第1端部24の外周面には、突部28Dと対応する位置に、凹曲面状の凹部29Dが形成されている。
上記実施形態1の場合、各突部28の先端は、溶接前の状態で第2端部32の外周面に接触していた。これに対し、実施形態3によれば、各突部の先端は、溶接前の状態で第2端部の外周面に接触せずに近接し、溶接後、第2端部の外周面に接触する構成であっても良い。
上記実施形態1の場合、4つの突部28が第1端部の周方向に等配に近い配置で設けられていた。これに対し、4つ未満または4つを超える突部が第1端部または第2端部の周方向に等配または等配に近い配置で設けられていても良い。ここで、4つを超える突部は、第1端部または第2端部における4つの分割部の各々に分れて設けられると良い。
上記実施形態1の場合、外導体は、円筒状をなしていた。これに対し、外導体は、角筒状をなしていても良い。
【符号の説明】
【0043】
10…シールド端子
11…内導体
12…誘電体
20…外導体
20A…第1外導体
20B…第2外導体
21A…第1外導体の係止部
21B…第2外導体の係止部
22…段差部
23…接点部
24…第1端部
25A…第1外導体の切れ目
25B…第2外導体の切れ目
26…スタビライザ
27…切り込み部
28…突部
28A…第1突部
28B…第2突部
28C…実施形態2の突部
28D…実施形態3の突部
29…凹部
29D…実施形態3の凹部
31…平坦面
32…第2端部
33…圧着片
34…係止凹部
60…シールド電線
61…芯線
62…被覆
63…編組線
64…シース
65…スリーブ
C1…対称軸
D1-D4…分割部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8