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特開2024-134749半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134749
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240927BHJP
   C23C 18/16 20060101ALI20240927BHJP
   C23C 18/52 20060101ALI20240927BHJP
   C23C 18/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/28 301R
H01L21/288 E
H01L21/88 T
H01L21/88 R
C23C18/16 B
C23C18/52 B
C23C18/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045097
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 隆二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幹人
(72)【発明者】
【氏名】前川 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】三好 啓友
【テーマコード(参考)】
4K022
4M104
5F033
【Fターム(参考)】
4K022AA05
4K022BA14
4K022BA25
4K022BA36
4K022DA01
4K022DA03
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA04
4M104BB02
4M104BB03
4M104CC01
4M104DD37
4M104DD53
4M104DD64
4M104DD81
4M104EE18
4M104FF02
4M104GG03
4M104GG06
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH12
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH09
5F033HH13
5F033HH18
5F033MM08
5F033PP15
5F033PP28
5F033QQ19
5F033QQ96
5F033RR22
5F033VV07
5F033XX01
(57)【要約】
【課題】電極上の金属層における外観ムラが軽減する半導体装置の提供を目的とする。
【解決手段】半導体装置101は、半導体基板1、表面電極2、第1金属層3および第2金属層4を備える。表面電極2は、Alを含む。表面電極2は、半導体基板1の表面に設けられている。第1金属層3は、Niを含む。第1金属層3は、表面電極2上に設けられている。第2金属層4は、Niを含む。第2金属層4は、第1金属層3上に設けられている。第1金属層3の表面粗さは、第2金属層4の表面粗さよりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
Alを含み、前記半導体基板の表面に設けられた表面電極と、
Niを含み、前記表面電極上に設けられた第1金属層と、
Niを含み、前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、を備え、
前記第1金属層の表面粗さは、前記第2金属層の表面粗さよりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記第2金属層よりも貴な金属を含み、前記第2金属層上に設けられた表面側貴金属膜を、さらに備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
Alを含み、前記半導体基板の裏面に設けられた裏面電極と、
Niを含み、前記裏面電極上に設けられた第3金属層と、
Niを含み、前記第3金属層上に設けられた第4金属層と、をさらに備え、
前記第3金属層の表面粗さは、前記第4金属層の表面粗さよりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第4金属層よりも貴な金属を含み、前記第4金属層上に設けられた裏面側貴金属膜を、さらに備える、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3金属層の組成は、前記第1金属層の組成と同じであり、
前記第4金属層の組成は、前記第2金属層の組成と同じである、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置を含み、電源から入力される電力を変換して負荷に出力する主変換回路と、
前記半導体装置を駆動するための駆動信号を前記半導体装置に出力する駆動回路と、
前記駆動回路を制御するための制御信号を前記駆動回路に出力する制御回路と、を備える電力変換装置。
【請求項7】
半導体基板の表面に、Alを含む表面電極を形成する工程と、
前記表面電極上に、Niを含む第1金属層を形成する工程と、
前記第1金属層上に、Niを含む第2金属層を形成する工程と、を備え、
前記第1金属層の表面粗さは、前記第2金属層の表面粗さよりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1金属層および前記第2金属層は、無電解めっき法によって形成され、
前記第1金属層を形成する前記工程におけるめっき液の撹拌速度は、前記第2金属層を形成する前記工程における前記めっき液の撹拌速度よりも速い、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2金属層上に、前記第2金属層よりも貴な金属を含む表面側貴金属膜を形成する工程をさらに備える、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板の裏面に、Alを含む裏面電極を形成する工程と、
前記裏面電極上に、Niを含む第3金属層を形成する工程と、
前記第3金属層上に、Niを含む第4金属層を形成する工程と、を備え、
前記第3金属層の表面粗さは、前記第4金属層の表面粗さよりも大きい、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3金属層および前記第4金属層は、無電解めっき法によって形成され、
前記第3金属層を形成する前記工程におけるめっき液の撹拌速度は、前記第4金属層を形成する前記工程における前記めっき液の撹拌速度よりも速い、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第4金属層上に、前記第4金属層よりも貴な金属を含む裏面側貴金属膜を形成する工程をさらに備える、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属層、前記第2金属層、前記第3金属層および前記第4金属層は、無電解めっき法によって形成され、
前記第3金属層を形成する前記工程は、前記第1金属層を形成する前記工程と、同時に実行され、
前記第4金属層を形成する前記工程は、前記第2金属層を形成する前記工程と、同時に実行され、
前記第1金属層を形成する前記工程および前記第3金属層を形成する前記工程におけるめっき液の撹拌速度は、前記第2金属層を形成する前記工程および前記第4金属層を形成する前記工程における前記めっき液の撹拌速度よりも速い、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電極は、その半導体装置の仕様によって、金属ワイヤ、回路パターン、金属板など様々な接合対象物に接合される。その電極と接合対象物との優れた接合状態を実現するためには、はんだ接合に優れた例えばNi/Au層が用いられる。Ni層は、はんだ接合時にはんだに喰われて減少するため、半導体装置の電極に厚膜のNi含有金属層が形成されていることが必要である。そのような厚膜のNi含有金属層は、一般的にめっき法によって形成される。特許文献1には、半導体装置とは技術分野が異なるものの、蓄電装置におけるNi層を形成するための電解メッキ法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/111556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1を適用した厚膜のNi含有金属層の表面状態は、外観ムラを生ずる場合がある。半導体装置の電極の形成工程において、その厚膜の電極に外観ムラが生じた場合には、その後の工程における歩留まりが悪化する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するため、電極上のNi含有金属層における外観ムラが軽減する半導体装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、半導体基板、表面電極、第1金属層および第2金属層を備える。表面電極は、Alを含む。表面電極は、半導体基板の表面に設けられている。第1金属層は、Niを含む。第1金属層は、表面電極上に設けられている。第2金属層は、Niを含む。第2金属層は、第1金属層上に設けられている。第1金属層の表面粗さは、第2金属層の表面粗さよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電極上のNi含有金属層における外観ムラが軽減する半導体装置が提供される。
【0008】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における半導体装置の構成を示す断面図である。
図2】半導体装置の構成を示す拡大断面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図5】実施の形態1の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図6】実施の形態1の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図7】実施の形態1の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図8】半導体装置の製造方法における詳細なプロセスレシピを示す図である。
図9】実施の形態2における半導体装置の構成を示す断面図である。
図10】半導体装置の構成を示す拡大断面図である。
図11】実施の形態2における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図12】実施の形態2の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図13】実施の形態2の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図14】実施の形態2の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図15】実施の形態2の製造工程における半導体装置の構成を示す断面図である。
図16】半導体装置の製造方法における詳細なプロセスレシピを示す図である。
図17】実施の形態3における電力変換システムの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における半導体装置101の構成を示す断面図である。図2は、半導体装置101の構成を示す拡大断面図である。半導体装置101は、半導体基板1、表面電極2、第1金属層3、第2金属層4、表面側貴金属膜5、保護膜6および裏面電極7を含む。
【0011】
半導体基板1は、半導体ウエハとも言う。半導体基板1には、半導体素子(図示せず)が形成されている。その半導体素子は、表面素子領域1Aおよび裏面拡散領域1Bを含む。表面素子領域1Aは、半導体基板1の表面側の表層に形成されている。裏面拡散領域1Bは、半導体基板1の裏面側の表層に形成されている。実施の形態1における半導体素子は、その表面素子領域1Aと裏面拡散領域1Bとの間に電流が流れる縦型の半導体素子である。
【0012】
半導体素子は、例えば、Si等の半導体によって、または、SiC、GaN、Ga、ダイヤモンド等のいわゆるワイドバンドギャップ半導体によって形成されている。半導体素子は、パワー半導体素子、そのパワー半導体素子を制御するための制御IC(Integrated Circuit)に含まれる素子等である。半導体素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、ショットキーバリアダイオード等である。または、半導体素子は、IGBTおよび還流ダイオードが1つの半導体基板1内に形成されたRC-IGBT(Reverse-Conducting IGBT)であってもよい。
【0013】
表面電極2は、表面素子領域1A上に、つまり半導体基板1の表面に設けられている。表面電極2は、Alを含む。表面電極2は、例えば、AlSi、AlCu、AlSiCuなどを含むAl合金層である。
【0014】
第1金属層3は、表面電極2上に設けられている。第1金属層3は、Niを含む。第1金属層3は、例えば、無電解めっき法によって形成される。実施の形態1における第1金属層3は、無電解Niめっき層である。
【0015】
第2金属層4は、第1金属層3上に設けられている。第2金属層4は、Niを含む。第2金属層4は、例えば、無電解めっき法によって形成される。実施の形態1における第2金属層4は、無電解Niめっき層である。
【0016】
第1金属層3の表面粗さは、第2金属層4の表面粗さよりも大きい。表面粗さは、例えば、接触式または非接触式の計測機器によって測定される。表面粗さは、例えば、AFM(Atomic Force Microscope)、SEM(Scanning Electron Microscope)、光干渉計などによって測定される。
【0017】
表面側貴金属膜5は、第2金属層4上に設けられている。表面側貴金属膜5は、第2金属層4よりも貴な金属を含む。実施の形態1における表面側貴金属膜5は、Auを含む。表面側貴金属膜5の厚みは、例えば、第1金属層3および第2金属層4の厚みよりも薄い。表面側貴金属膜5は、第2金属層4の酸化を防止する。後述するように、表面側貴金属膜5は、例えば、無電解めっき法によって形成される。実施の形態1における表面側貴金属膜5は、無電解Auめっき膜である。
【0018】
保護膜6は、表面電極2の縁を覆うように設けられている。保護膜6は、例えば、ポリイミドで形成されている。
【0019】
裏面電極7は、裏面拡散領域1B上に、つまり半導体基板1の裏面に設けられている。実施の形態1における裏面電極7は、Al合金層、Ti層、Ni層およびAu層が順に積層された構造を有する。Al合金層は、AlSi、AlCu、AlSiCuなどを含む。Al合金層は、裏面電極7と半導体基板1との接合性を向上させる。Ti層は、バリアメタルとして機能する。Ni層およびAu層は、半導体装置101に接続される配線(図示せず)または配線のための接合材(図示せず)との良好な接合性を得るために設けられる。接合材は、例えばはんだである。
【0020】
図3は、実施の形態1における半導体装置101の製造方法を示すフローチャートである。図4から図7は、実施の形態1の製造工程における半導体装置101の構成を示す断面図である。
【0021】
ステップS11において、表面素子領域1Aが形成される。図4に示されるように、表面素子領域1Aは、半導体基板1の表面側の表層に形成される。
【0022】
ステップS12において、半導体基板1の表面に表面電極2が形成される。図4に示されるように、表面電極2は、表面素子領域1A上の予め定められた領域に形成される。表面電極2は、スパッタ法によって形成される。実施の形態1における表面電極2は、Al合金層である。
【0023】
ステップS13において、保護膜6が形成される。図5に示されるように、保護膜6は、表面電極2の縁を覆うように形成される。保護膜6は、ポリイミドで形成される。
【0024】
ステップS14において、半導体基板1の裏面が機械研削され、半導体基板1が薄厚化される。その機械研削によって、半導体基板1の裏面には欠陥層が生じる。その欠陥層を除去するため、半導体基板1の裏面における5~20μmの厚みの半導体層がウェットエッチングされる。半導体基板1は、予め定められた厚みに薄厚化される。
【0025】
ステップS15において、裏面拡散領域1Bが形成される。図6に示されるように、裏面拡散領域1Bは、半導体基板1の裏面側の表層に形成される。
【0026】
ステップS16において、裏面電極7が形成される。図6に示されるように、裏面電極7は、裏面拡散領域1B上につまり半導体基板1の裏面に形成される。裏面電極7は、スパッタ法によって形成される。ここでは、裏面電極7として、Al合金層、Ti層、Ni層およびAu層が順に成膜される。
【0027】
ステップS17において、裏面電極7が保護材(図示せず)で覆われる。保護材は、例えばPET(polyethylene terephthalate)フィルムである。実施の形態1における第1金属層3、第2金属層4および表面側貴金属膜5は、後述するように無電解めっき法によって形成される。保護材は、その無電解めっき法で使用されるめっき液などの薬液から裏面電極7を保護する。
【0028】
ステップS18において、表面電極2の表面が酸素プラズマでクリーニングされる。この酸素プラズマクリーニング処理によって、表面電極2に付着した有機物の残渣が酸化され分解される。後述する無電解めっき法の前処理では除去できないような強固な残渣も除去される。表面電極2の全体が清浄化されることで、表面電極2とめっき液との濡れ性が向上し、均一な置換反応が促進される。その結果、表面電極2との密着性が良好な第1金属層3の形成が可能となる。
【0029】
ステップS19において、第1金属層3および第2金属層4が形成される。図7に示されるように、第1金属層3は表面電極2上に形成され、第2金属層4はその第1金属層3上に形成される。第1金属層3および第2金属層4は、無電解めっき法によって形成される。第1金属層3および第2金属層4は、Niを含む無電解Niめっき層であり、ジンケート法で形成される。ジンケート法では、表面電極2の表層のAlがZnで置換され、Znがその表層に析出する。さらに、そのZnを起点にNiを含むめっき層が形成される。以下、ジンケート法の手順を説明する。
【0030】
キャリアに設置された半導体基板1をアルカリ性の脱脂液に浸漬させる。表面電極2に付着していた油脂および有機物が除去される。
【0031】
酸洗浄が実施される。酸洗浄は、表面電極2の表層に形成されている酸化物を除去するとともに、表面電極2の表面を荒らす。これにより、酸洗浄の後に実行されるジンケート処理における反応性が高まり、ひいては表面電極2と第1金属層3との密着性が向上する。
【0032】
半導体基板1をアルカリ性のジンケート処理液に浸漬させる。Znの標準酸化還元電位がAlよりも貴であることにより、表面電極2の表層のAlがZnに置換され、Znがその表層に析出する。その後、半導体基板1を硝酸に浸漬させる。表面電極2上に析出したZnは、その硝酸によって除去される。その後、再び、半導体基板1をアルカリ性のジンケート処理液に浸漬させる。表面電極2の表層のAlがZnに置換され、Znがその表層に析出する。ジンケート処理を繰り返すことによって、表面電極2の表面には緻密なZn膜が形成される。そのような緻密なZn膜は、Znを起点に形成されるNiめっき膜と表面電極2との密着性を向上させる。このジンケート処理の繰り返し回数は、2回以上であることが好ましいが、生産性を考慮し多くとも3回が好ましい。
【0033】
第1金属層3を形成するため、半導体基板1を酸性の無電解Niめっき液に浸漬させる。その第1金属層3の形成時における無電解Niめっき液の循環流量は、50L/minである。まず、表面電極2の表層のZnがNiに置換され、Niがその表層に析出する。その後、無電解Niめっき液中に含まれている還元剤によってNiが連続的に析出し、Ni層の厚みが増加する。これにより、第1金属層3が形成される。第1金属層3の厚みは、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0034】
第2金属層4は、第1金属層3と同様の処理で形成されるが、無電解Niめっき液の撹拌速度が第1金属層3の形成時の撹拌速度とは異なる。第2金属層4の形成時における無電解Niめっき液の循環流量は、25L/minである。無電解Niめっき液中に含まれている還元剤によってNiが連続的に析出し、第2金属層4が形成される。第2金属層4の厚みは、1.5μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0035】
上記のように、第1金属層3を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度は、第2金属層4を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度よりも速い。
【0036】
第1金属層3および第2金属層4の合計の厚みは、半導体基板1に加わる膜応力なども考慮し、2μm以上10μm以下であることが好ましい。第1金属層3および第2金属層4の形成後、半導体基板1は水洗される。
【0037】
ステップS20において、表面側貴金属膜5が形成される。図7に示されるように、表面側貴金属膜5は、第2金属層4上に形成される。表面側貴金属膜5は、無電解めっき法で形成される。表面側貴金属膜5は、Auを含む無電解Auめっき膜である。このステップS20においては、半導体基板1を無電解Auめっき液に浸漬させる。これにより、第2金属層4上にAuが連続的に析出し、表面側貴金属膜5が形成される。表面側貴金属膜5の厚みは、20nm以上100nm以下である。表面側貴金属膜5の形成後、半導体基板1は水洗される。
【0038】
ステップS21において、裏面電極7を覆っていた保護材が剥離される。以上のステップS11からS21が、実施の形態1における半導体装置101の製造方法である。
【0039】
この製造方法においては、上記のように、第1金属層3を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度は、第2金属層4を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度よりも速い。このような処理により、第2金属層4の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する第1金属層3が形成される。
【0040】
図8は、半導体装置101の製造方法における詳細なプロセスレシピを示す図である。このようなプロセスレシピで半導体装置101を製造した結果、第1金属層3の表面粗さは86.2nmであり、第2金属層4の表面粗さは53.2nmであった。表面側貴金属膜5の上方からの外観検査において、外観ムラが軽減されていることが確認された。
【0041】
以上をまとめると、実施の形態1における半導体装置101は、半導体基板1、表面電極2、第1金属層3および第2金属層4を備える。表面電極2は、Alを含む。表面電極2は、半導体基板1の表面に設けられている。第1金属層3は、Niを含む。第1金属層3は、表面電極2上に設けられている。第2金属層4は、Niを含む。第2金属層4は、第1金属層3上に設けられている。第1金属層3の表面粗さは、第2金属層4の表面粗さよりも大きい。
【0042】
このような半導体装置101においては、表面電極2上の第2金属層4の外観ムラが軽減する。これは、例えば、下地の表面電極2の配向の影響またはグレインサイズの影響が緩和されるからである。めっき処理工程後の外観検査工程にいて、視認性不具合およびそれに伴う検査エラーの頻度が低減する。そのため、工期の遅延、擬似欠陥による歩留まり低下が避けられる。
【0043】
また、第1金属層3を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度は、第2金属層4を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度よりも速い。これにより第2金属層4の表面の凹凸を第1金属層3に対し抑制することができる。第1金属層3の形成時のめっき液の循環流量と第2金属層4の形成時のめっき液の循環流量との差は、少なくとも1倍より大きいことが好ましい。特に、循環流量の差が2倍以上である場合に、外観ムラが顕著に改善される。めっき液の撹拌速度の差は、めっき液の循環流量による制御に限定されるものではなく、例えば、半導体基板1が収納されたキャリアの揺動速度による制御であってもよい。
【0044】
攪拌とは、ポンプによるめっき槽内のめっき液の循環動作、または半導体基板1が収納されているキャリアの揺動動作を示す。キャリアの揺動動作において、キャリアは一定方向に揺れるため、めっき液の振幅等の制御が難しい。一方で、ポンプによる循環動作は、めっき液がめっき槽内で一方向に回転するような流れを形成する。そのため、めっき液の制御が容易であり、攪拌速度も調整しやすい。つまり、キャリアの揺動動作によってめっき液の流れを制御するよりも、ポンプによる循環動作によってめっき液の流れを制御する方が、攪拌速度を調整しやすい。
【0045】
また、第2金属層4上にAuを含む表面側貴金属膜5が設けられていることにより、接合対象物との優れた接合性が得られる。接合対象物とは、半導体素子に外部から電流を流すための金属ワイヤ、回路パターン、金属板などである。
【0046】
半導体基板1の表面と裏面との間に電流が流れる縦型の半導体装置101においては、表面電極2には金属ワイヤが接合され、裏面電極7には接合材を介して回路基板が接合される。さらなる低コスト化および放熱性向上のため、表面電極2も接合材を介して金属板等に接合される構成が用いられつつある。そのような構成には、表面電極2として、接合性に優れたNi/Au層が必要である。また、良好な接合性を実現するためには、2μm以上の厚膜のNi層が必要である。厚さ2μm以上のNi層の形成には、無電解めっき法が好ましい。無電解めっき法によれば、低コストかつパターニングも容易なNi層の形成が可能である。
【0047】
<実施の形態2>
図9は、実施の形態2における半導体装置102の構成を示す断面図である。図10は、半導体装置102の構成を示す拡大断面図である。半導体装置102は、半導体基板1、表面電極2、第1金属層3、第2金属層4、表面側貴金属膜5、保護膜6、裏面電極8、第3金属層9、第4金属層10および裏面側貴金属膜11を含む。
【0048】
実施の形態2における半導体基板1、表面電極2、第1金属層3、第2金属層4、表面側貴金属膜5および保護膜6の構成は、実施の形態1におけるそれらと同じである。
【0049】
裏面電極8は、裏面拡散領域1B上に、つまり半導体基板1の裏面に設けられている。裏面電極8は、Alを含む。実施の形態2における裏面電極8は、AlSi、AlCu、AlSiCuなどを含むAl合金層である。
【0050】
第3金属層9は、裏面電極8上に設けられている。第3金属層9は、Niを含む。第3金属層9は、例えば、無電解めっき法によって形成される。実施の形態2における第3金属層9は、無電解Niめっき層である。
【0051】
第4金属層10は、第3金属層9上に設けられている。第4金属層10は、Niを含む。第4金属層10は、例えば、無電解めっき法によって形成される。実施の形態2における第4金属層10は、無電解Niめっき層である。
【0052】
第3金属層9の表面粗さは、第4金属層10の表面粗さよりも大きい。第3金属層9の組成は、第1金属層3の組成と同じであり、第4金属層10の組成は、第2金属層4の組成と同じである。
【0053】
裏面側貴金属膜11は、第4金属層10上に設けられている。裏面側貴金属膜11は、第4金属層10よりも貴な金属を含む。実施の形態2における裏面側貴金属膜11は、Auを含む。裏面側貴金属膜11の厚みは、例えば、第3金属層9および第4金属層10の厚みよりも薄い。裏面側貴金属膜11は、第4金属層10の酸化を防止する。後述するように、裏面側貴金属膜11は、例えば、無電解めっき法によって形成される。実施の形態2における裏面側貴金属膜11は、無電解Auめっき膜である。
【0054】
図11は、実施の形態2における半導体装置102の製造方法を示すフローチャートである。図12から図15は、実施の形態2の製造工程における半導体装置102の構成を示す断面図である。
【0055】
ステップS31において、表面素子領域1Aが形成される。図12に示されるように、表面素子領域1Aは、半導体基板1の表面側の表層に形成される。
【0056】
ステップS32において、半導体基板1の表面に表面電極2が形成される。図12に示されるように、表面電極2は、表面素子領域1A上の予め定められた領域に形成される。表面電極2は、スパッタ法によって形成される。実施の形態2における表面電極2は、Al合金層である。
【0057】
ステップS33において、保護膜6が形成される。図13に示されるように、保護膜6は、表面電極2の縁を覆うように形成される。保護膜6は、ポリイミドで形成される。
【0058】
ステップS34において、半導体基板1の裏面が機械研削され、半導体基板1が薄厚化される。その機械研削によって、半導体基板1の裏面には欠陥層が生じる。その欠陥層を除去するため、半導体基板1の裏面における5~20μmの厚みの半導体層がウェットエッチングされる。半導体基板1は、予め定められた厚みに薄厚化される。
【0059】
ステップS35において、裏面拡散領域1Bが形成される。図14に示されるように、裏面拡散領域1Bは、半導体基板1の裏面側の表層に形成される。
【0060】
ステップS36において、裏面電極8が形成される。図14に示されるように、裏面電極8は、裏面拡散領域1B上につまり半導体基板1の裏面に形成される。裏面電極8は、スパッタ法によって形成される。実施の形態2における裏面電極8は、AlSi,AlCu,AlSiCuなどのAl合金層である。
【0061】
ステップS37において、表面電極2および裏面電極8の表面が酸素プラズマでクリーニングされる。この酸素プラズマクリーニング処理によって、表面電極2および裏面電極8に付着した有機物の残渣が酸化され分解される。後述する無電解めっき法の前処理では除去できないような強固な残渣も除去される。表面電極2および裏面電極8の全体が清浄化されることで、表面電極2とめっき液との濡れ性および裏面電極8とめっき液との濡れ性が向上し、均一な置換反応が促進される。その結果、表面電極2との密着性が良好な第1金属層3の形成、および、裏面電極8との密着性が良好な第3金属層9の形成が可能となる。
【0062】
ステップS38において、第1金属層3、第2金属層4、第3金属層9および第4金属層10が形成される。図15に示されるように、第1金属層3は表面電極2上に形成され、第2金属層4はその第1金属層3上に形成される。第3金属層9は裏面電極8上に形成され、第4金属層10はその第3金属層9上に形成される。第1金属層3、第2金属層4、第3金属層9および第4金属層10は、無電解めっき法によって形成される。第1金属層3、第2金属層4、第3金属層9および第4金属層10は、Niを含む無電解Niめっき層であり、ジンケート法で形成される。以下、ジンケート法の手順を説明する。
【0063】
キャリアに設置された半導体基板1をアルカリ性の脱脂液に浸漬させる。表面電極2および裏面電極8に付着していた油脂および有機物が除去される。
【0064】
酸洗浄が実施される。酸洗浄は、表面電極2および裏面電極8の表層に形成されている酸化物を除去するとともに、表面電極2および裏面電極8の表面を荒らす。これにより、酸洗浄の後に実行されるジンケート処理における反応性が高まり、ひいては表面電極2と第1金属層3との密着性および裏面電極8と第3金属層9との密着性が向上する。
【0065】
半導体基板1をアルカリ性のジンケート処理液に浸漬させる。表面電極2および裏面電極8の表層のAlがZnに置換され、Znがそれらの表層に析出する。その後、半導体基板1を硝酸に浸漬させる。表面電極2上および裏面電極8上に析出したZnは、その硝酸によって除去される。その後、再び、半導体基板1をアルカリ性のジンケート処理液に浸漬させる。表面電極2および裏面電極8の表層のAlがZnに置換され、Znがそれらの表層に析出する。ジンケート処理を繰り返すことによって、表面電極2および裏面電極8の表面には緻密なZn膜が形成される。そのような緻密なZn膜は、Znを起点に形成されるNiめっき膜と表面電極2との密着性およびNiめっき膜と裏面電極8との密着性を向上させる。このジンケート処理の繰り返し回数は、2回以上であることが好ましいが、生産性を考慮し多くとも3回が好ましい。
【0066】
第1金属層3および第3金属層9を形成するため、半導体基板1を酸性の無電解Niめっき液に浸漬させる。その第1金属層3および第3金属層9の形成時における無電解Niめっき液の循環流量は、50L/minである。まず、表面電極2および裏面電極8の表層のZnがNiに置換され、Niがその表層に析出する。その後、無電解Niめっき液中に含まれている還元剤によってNiが連続的に析出し、Ni層の厚みが増加する。これにより、第1金属層3および第3金属層9が形成される。実施の形態2において、第3金属層9を形成する工程は、第1金属層3を形成する工程と、同時に実行される。つまり、第3金属層9の組成は、第1金属層3の組成と同じである。第1金属層3および第3金属層9の厚みは、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0067】
次に、第2金属層4および第4金属層10が形成される。第2金属層4および第4金属層10の形成時における無電解Niめっき液の撹拌速度は、第1金属層3および第3金属層9の形成時における撹拌速度とは異なる。第2金属層4および第4金属層10の形成時における無電解Niめっき液の循環流量は、25L/minである。無電解Niめっき液中に含まれている還元剤によってNiが連続的に析出し、第2金属層4および第4金属層10が形成される。実施の形態2において、第4金属層10を形成する工程は、第2金属層4を形成する工程と、同時に実行される。つまり、第4金属層10の組成は、第2金属層4の組成と同じである。第2金属層4および第4金属層10の厚みは、1.5μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0068】
上記のように、第1金属層3および第3金属層9を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度は、第2金属層4および第4金属層10を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度よりも速い。
【0069】
第1金属層3および第2金属層4の合計の厚みは、半導体基板1に加わる膜応力なども考慮し、2μm以上10μm以下であることが好ましい。同様に、第3金属層9および第4金属層10の合計の厚みは、2μm以上10μm以下であることが好ましい。第1金属層3、第2金属層4、第3金属層9および第4金属層10の形成後、半導体基板1は水洗される。
【0070】
ステップS39において、表面側貴金属膜5および裏面側貴金属膜11が形成される。図15に示されるように、表面側貴金属膜5は第2金属層4上に形成され、裏面側貴金属膜11は第4金属層10上に形成される。表面側貴金属膜5および裏面側貴金属膜11は、無電解めっき法で形成される。表面側貴金属膜5および裏面側貴金属膜11は、Auを含む無電解Auめっき膜である。このステップS39においては、半導体基板1を無電解Auめっき液に浸漬させる。これにより、第2金属層4上および第4金属層10上にAuが連続的に析出し、表面側貴金属膜5および裏面側貴金属膜11が形成される。表面側貴金属膜5および裏面側貴金属膜11の厚みは、20nm以上100nm以下である。表面側貴金属膜5および裏面側貴金属膜11の形成後、半導体基板1は水洗される。以上のステップS31からS39が、実施の形態2における半導体装置102の製造方法である。
【0071】
この製造方法においては、上記のように、第1金属層3および第3金属層9を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度は、第2金属層4および第4金属層10を形成する工程におけるめっき液の撹拌速度よりも速い。このような処理により、第2金属層4の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する第1金属層3が形成される。同様に、第4金属層10の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する第3金属層9が形成される。
【0072】
図16は、半導体装置102の製造方法における詳細なプロセスレシピを示す図である。表面側貴金属膜5の上方からの外観検査および裏面側貴金属膜11の上方からの外観検査において、外観ムラが軽減していることが確認された。
【0073】
実施の形態2においては、半導体基板1の表面側の無電解Niめっき層と裏面側の無電解Niめっき層とは、同時に形成されたが、別々に形成されてもよい。例えば、半導体基板1の表面側の第1金属層3および第2金属層4が形成された後に、裏面側の第3金属層9および第4金属層10が形成されてもよい。または、半導体基板1の裏面側の第3金属層9および第4金属層10が形成された後に、表面側の第1金属層3および第2金属層4が形成されてもよい。
【0074】
<実施の形態3>
図17は、実施の形態3における電力変換システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0075】
電力変換システムは、電源100、電力変換装置200および負荷300を含む。
【0076】
電源100は、直流電源である。電源100は、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源100は、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池などである。電源100は、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータで構成されていてもよい。電源100は、交流系統に接続された整流回路、AC/DCコンバータなどであってもよい。
【0077】
電力変換装置200は、電源100と負荷300との間に接続されている。実施の形態3における電力変換装置200は、三相インバータである。電力変換装置200は、電源100から供給された直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置200は、その交流電力を負荷300に供給する。
【0078】
負荷300は、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動する。実施の形態3における負荷300は、三相電動機である。その三相電動機は、特定の用途に限定されるものではない。三相電動機は、様々な電気機器に搭載される。三相電動機は、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道車両、エレベーター、空調機器に搭載される。
【0079】
以下、電力変換装置200の詳細を説明する。電力変換装置200は、主変換回路201、駆動回路202および制御回路203を含む。
【0080】
主変換回路201は、2レベルの三相フルブリッジ回路(図示せず)を含む。その三相フルブリッジ回路は、6つのスイッチング素子(図示せず)および6つの還流ダイオード(図示せず)を含む。
【0081】
それらスイッチング素子および還流ダイオードのうち少なくとも1つの素子が、実施の形態1または2に示された半導体素子に対応する。言い換えると、主変換回路201は、実施の形態1に示された半導体装置101または実施の形態2に示された半導体装置102を含む。
【0082】
三相フルブリッジ回路は、3つの上アームおよび3つの下アームを含む。上アームおよび下アームの各々は、1つのスイッチング素子と、そのスイッチング素子に逆並列に接続される1つの還流ダイオードとを含む。また、1つの上アームに含まれるスイッチング素子は、1つの下アームに含まれるスイッチング素子に直列に接続されており、それらは1組の上下アームを構成している。3組の上下アームは、三相フルブリッジ回路のU相、V相、W相にそれぞれ対応している。3組の上下アームの出力端子、すなわち主変換回路201の3つの出力端子は、負荷300に接続されている。
【0083】
主変換回路201は、スイッチング素子のスイッチング動作によって、電源100から供給される直流電力を交流電力に変換する。主変換回路201は、出力端子を介して、その交流電力を負荷300に供給する。
【0084】
駆動回路202は、制御回路203から出力される制御信号に従い、主変換回路201のスイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する。駆動回路202は、その駆動信号を、主変換回路201のスイッチング素子の制御電極に供給する。
【0085】
駆動信号は、スイッチング素子をオン状態にするための信号、または、スイッチング素子をオフ状態にするための信号である。より詳細には、スイッチング素子がオン状態に維持される場合の駆動信号は、スイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)である。スイッチング素子がオフ状態に維持される場合の駆動信号は、スイッチング素子の閾値電圧よりも小さい電圧信号(オフ信号)である。
【0086】
制御回路203は、駆動回路202を制御するための制御信号を駆動回路202に出力する。その際、制御回路203は、負荷300に供給すべき電力に基づいて主変換回路201の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出して、制御信号を生成する。つまり、制御回路203は主変換回路201がPWM(Pulse Width Modulation)制御されるように制御信号を生成する。制御回路203は、駆動回路202がオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号を、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号を出力するように、制御信号を駆動回路202に出力する。このようにして、制御回路203は、負荷300に所定の電力が供給されるよう主変換回路201のスイッチング素子を制御する。
【0087】
実施の形態3における主変換回路201には、実施の形態1に示された半導体装置101または実施の形態2に示された半導体装置102が適用されるため、電力変換装置200の信頼性が向上する。
【0088】
実施の形態3においては、電力変換装置200が2レベルの三相インバータである例が示されたが、電力変換装置200の構成はそれに限定されるものではない。例えば、電力変換装置200は、3レベルなどマルチレベルの電力変換装置であってもよい。または、電力変換装置200は、単相負荷に電力を供給するための単相のインバータであってもよい。負荷300が直流負荷である場合には、電力変換装置200は、DC/DCコンバータあるいはAC/DCコンバータであってもよい。負荷300が太陽光発電システム、蓄電システム等である場合には、電力変換装置200はパワーコンディショナーであってもよい。
【0089】
実施の形態3においては、負荷300が三相電動機である例が示されたが、負荷300の構成はそれに限定されるものではない。例えば、負荷300は、放電加工機、レーザー加工機、誘導加熱調理器、非接触式給電システムであってもよい。
【0090】
本開示は、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0091】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0092】
(付記1)
半導体基板と、
Alを含み、前記半導体基板の表面に設けられた表面電極と、
Niを含み、前記表面電極上に設けられた第1金属層と、
Niを含み、前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、を備え、
前記第1金属層の表面粗さは、前記第2金属層の表面粗さよりも大きい、半導体装置。
【0093】
(付記2)
前記第2金属層よりも貴な金属を含み、前記第2金属層上に設けられた表面側貴金属膜を、さらに備える付記1に記載の半導体装置。
【0094】
(付記3)
Alを含み、前記半導体基板の裏面に設けられた裏面電極と、
Niを含み、前記裏面電極上に設けられた第3金属層と、
Niを含み、前記第3金属層上に設けられた第4金属層と、をさらに備え、
前記第3金属層の表面粗さは、前記第4金属層の表面粗さよりも大きい、付記1または付記2に記載の半導体装置。
【0095】
(付記4)
前記第4金属層よりも貴な金属を含み、前記第4金属層上に設けられた裏面側貴金属膜を、さらに備える、付記3に記載の半導体装置。
【0096】
(付記5)
前記第3金属層の組成は、前記第1金属層の組成と同じであり、
前記第4金属層の組成は、前記第2金属層の組成と同じである、付記3または付記4に記載の半導体装置。
【0097】
(付記6)
付記1から付記5のいずれかに記載の半導体装置を含み、電源から入力される電力を変換して負荷に出力する主変換回路と、
前記半導体装置を駆動するための駆動信号を前記半導体装置に出力する駆動回路と、
前記駆動回路を制御するための制御信号を前記駆動回路に出力する制御回路と、を備える電力変換装置。
【0098】
(付記7)
半導体基板の表面に、Alを含む表面電極を形成する工程と、
前記表面電極上に、Niを含む第1金属層を形成する工程と、
前記第1金属層上に、Niを含む第2金属層を形成する工程と、を備え、
前記第1金属層の表面粗さは、前記第2金属層の表面粗さよりも大きい、半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記8)
前記第1金属層および前記第2金属層は、無電解めっき法によって形成され、
前記第1金属層を形成する前記工程におけるめっき液の撹拌速度は、前記第2金属層を形成する前記工程における前記めっき液の撹拌速度よりも速い、付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記9)
前記第2金属層上に、前記第2金属層よりも貴な金属を含む表面側貴金属膜を形成する工程をさらに備える、付記7または付記8に記載の半導体装置の製造方法。
【0101】
(付記10)
前記半導体基板の裏面に、Alを含む裏面電極を形成する工程と、
前記裏面電極上に、Niを含む第3金属層を形成する工程と、
前記第3金属層上に、Niを含む第4金属層を形成する工程と、を備え、
前記第3金属層の表面粗さは、前記第4金属層の表面粗さよりも大きい、付記7から付記9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0102】
(付記11)
前記第3金属層および前記第4金属層は、無電解めっき法によって形成され、
前記第3金属層を形成する前記工程におけるめっき液の撹拌速度は、前記第4金属層を形成する前記工程における前記めっき液の撹拌速度よりも速い、付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0103】
(付記12)
前記第4金属層上に、前記第4金属層よりも貴な金属を含む裏面側貴金属膜を形成する工程をさらに備える、付記10または付記11に記載の半導体装置の製造方法。
【0104】
(付記13)
前記第1金属層、前記第2金属層、前記第3金属層および前記第4金属層は、無電解めっき法によって形成され、
前記第3金属層を形成する前記工程は、前記第1金属層を形成する前記工程と、同時に実行され、
前記第4金属層を形成する前記工程は、前記第2金属層を形成する前記工程と、同時に実行され、
前記第1金属層を形成する前記工程および前記第3金属層を形成する前記工程におけるめっき液の撹拌速度は、前記第2金属層を形成する前記工程および前記第4金属層を形成する前記工程における前記めっき液の撹拌速度よりも速い、付記10から付記12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0105】
1 半導体基板、1A 表面素子領域、1B 裏面拡散領域、2 表面電極、3 第1金属層、4 第2金属層、5 表面側貴金属膜、6 保護膜、7 裏面電極、8 裏面電極、9 第3金属層、10 第4金属層、11 裏面側貴金属膜、100 電源、101 半導体装置、102 半導体装置、200 電力変換装置、201 主変換回路、202 駆動回路、203 制御回路、300 負荷。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17