(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134770
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】カバン類の汚れ防止カバー及びこれを備えたカバン類
(51)【国際特許分類】
A45C 13/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A45C13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045124
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】507158905
【氏名又は名称】株式会社アルトエイジ
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】馬場 潤
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA00
3B045CE07
3B045LA10
3B045LB01
(57)【要約】
【課題】カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避する。
【解決手段】使用状態において拡張され、カバン類の底面として使用される接地面を覆うカバー部10と、使用状態においてカバー部10の外表面となる部位を内包するようにカバー部10を縮小させた収納状態において、カバー部10の収納状態を維持する縮小維持手段20とを備え、収納状態におけるカバー部10は、カバン類の底面の一部、又は底面近傍のカバン1の一部として取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用状態において拡張され、カバン類の底面として使用される接地面を覆うカバー部と、
前記使用状態において前記カバー部の外表面となる部位を内包するように前記カバー部を縮小させた収納状態において、前記カバー部の収納状態を維持する縮小維持手段と
を備え、
前記収納状態における前記カバー部は、前記カバン類の底面の一部、又は底面近傍の前記カバンの一部として取り付けられている
ことを特徴とするカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項2】
前記カバー部は、
前記接地面の所定範囲を形成する接地面形成部と、
一端が前記接地面形成部と連続的に接続され、前記接地面形成部と同形若しくは同形以上の面積を有し、前記収納状態において前記接地面形成部に重畳される形状の可動部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項3】
前記所定範囲は、前記接地面の中心付近を通る線を軸として両側が線対称となるように分割された一方の領域であることを特徴とする請求項2に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項4】
前記接地面形成部は、前記カバン類の前記所定範囲に貼り付けられたシート状又は板状の付着部であることを特徴とする請求項2に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項5】
前記接地面には、少なくとも前記カバン類の底面、及び当該底面に隣接する側面の二面が含まれ、
前記可動部は、前記二面の境界部分を跨ぐように配置され、
前記接地面形成部は、前記二面のいずれかの面の前記境界部分に隣接されて配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項6】
前記可動部は、前記外表面となる部位が内方になるように折り畳まれて、前記接地面形成部に重畳されることを特徴とする請求項2に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項7】
前記縮小維持手段は、前記接地面形成部側と、前記可動部側とのそれぞれ、若しくは一方に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段であることを特徴とする請求項2に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項8】
前記カバー部は、前記接地面を覆う可撓性のシート部材であり、
前記縮小維持手段は、前記カバン類の底面の一部、又は底面近傍の前記カバンの一部に取り付けられ、前記シート部材を巻き取り又は折り畳んで収納する収納手段である
ことを特徴とする請求項1に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項9】
前記収納手段は、前記シート部材を巻き取るローラー機構を有することを特徴とする請求項8に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項10】
前記使用状態における前記カバー部の拡張状態を維持する拡張維持手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のカバン類の汚れ防止カバー。
【請求項11】
前記請求項1乃至10のいずれかに記載のカバン類の汚れ防止カバーを備えたことを特徴とするカバン類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバンを地面に置いたときなどに、地面に接触する部分に付着した汚れなどが、他の汚れていない場所などに拡散されにくくするようにするカバン類の汚れ防止カバー及びこれを備えたカバン類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カバンを地面に置いたときなどに、地面に接触する底面を汚さないようにする方法としては、カバンの底板に打たれた底鋲により、カバン底面が地面に直接接触するのを回避するものが主流である。そのため、カバンと別体のカバーやトレーとして商品化されたものはほとんどないものの、発明として提案されたものが複数存在する。
【0003】
例えば特許文献1では、折り畳んでカバンに装着できるシートが提案されている。これを利用すれば、既に所有しているカバンに取り付けて利用でき、カバンを濡らしたり汚したりすることはなくなる。
【0004】
次いで、特許文献2では、折りたたみ式のバッグトレーが提案されている。これを袋から取り出して地面に置き、その上にカバンを置けばカバンを汚れるのを防ぐことができる。これも既に所有しているカバンを使用する際に利用できることに加えて、カバンに固定する訳ではないため、汚れている場所と汚れていない場所で使い分けることができる。
【0005】
また特許文献3及び特許文献4では、デザインや仕様は少し違うが、カバンに着脱できるカバーが提案されている。これらも利用すれば、カバンを汚してしまうのを防ぐことができる。これらも既に所有しているカバンに取り付けて利用できることに加えて、カバンに固定する訳ではないため、汚れている場所と汚れていない場所で使い分けることができる。
【0006】
さらに特許文献5では、カバンの底面と同サイズの基本部に対して、前記基本部の中心線の両側で線対称となるように固着させたカバーを提案している。このカバーを活用することによって、汚れた場所に置くときには基本部やカバーのきれいな部分を覆って守ることができる。逆にきれいな場所に置くときには、基本部やカバーの汚れた部分を覆って隠すことによって、汚れを拡散しないようにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-327924公報
【特許文献2】実用新案登録第3224315号公報
【特許文献3】実用新案登録第3019565号公報
【特許文献4】実用新案登録第3161084号公報
【特許文献5】特開2021-194499公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような現在主流の底鋲を使用する場合、カバン内部に収納した荷物が重くなるときには、その重量で底板がたわんで地面に接触し、汚れてしまう。そのため、底鋲の数を増やす試みもなされているが、底鋲自体の接地面が汚れてしまうことには変わりがなく、その汚れが他の部位に拡散されてしまう。
【0009】
一方、特許文献1で提案されているシートでは、底面防水シートをカバンに固定して利用するしかないという弱点がある。そのため、濡れたり汚れたりしている場所にカバンを置いて底が濡れたり汚れたりしてしまった状態で、汚れていない場所やイスに座ったときの膝上にカバンを置くと、他の汚れていない場所や膝上も汚れてしまう可能性がある。
【0010】
他方、特許文献2で提案されているバッグトレーでは、汚れている場所と汚れていない場所で使い分けることができるが、移動のたびに前記トレーを袋から出して地面に置いたり、また拾い上げて袋に片付けたりという手間が発生するため非常に煩雑になる。電車で待っている場合だと待っている間だけトレーを置いてカバンも置き、電車が来て座席に座るときにはまた片付けるという手間が発生するため、混雑していれば利用は現実的ではなくなってしまう。
【0011】
また、特許文献3及び特許文献4で提案されているカバーでは、特許文献2のトレーと違ってカバンに直接着脱できるため、地面に置いたり拾い上げたりという手間はなくなる。しかし、地面に置こうとするたびにカバンから取り出して取り付けたり、また取り外して収納したりする手間は依然残ってしまう。
【0012】
さらに、特許文献5で提案されているカバーのように、カバン底面と同程度の面積を有する基本部がカバン底面に対して着脱式になっているため、カバン底面の全面積に着脱させる構造にある程度の強度や耐久性を持たせる必要があり、その強度が劣化したときには基本部が外れやすくなり、また、劣化していないときであっても、移動中に引っ掛かったりなど過大な外力がかかったときにはやはり基本部が外れてしまうという問題があった。このため、カバン底面全体に、落下防止のための仕組みを別途設けるなどの必要があり、構造が複雑化、重量化し、製造コストも増大する可能性があるうえ、収納状態と使用状態の切り替え操作も煩雑になる傾向があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避できるカバン類の汚れ防止カバー及びこれを備えたカバン類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明のカバン類の汚れ防止カバー、及びカバン類は、使用状態において拡張され、カバン類の底面として使用される接地面を覆うカバー部と、使用状態において前記カバー部の外表面となる部位を内包するようにカバー部を縮小させた収納状態において、カバー部の収納状態を維持する縮小維持手段とを備え、収納状態におけるカバー部は、カバン類の底面の一部、又は底面近傍のカバンの一部として取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
上記発明において、カバー部は、接地面の所定範囲を形成する接地面形成部と、一端が接地面形成部と連続的に接続され、接地面形成部と同形若しくは同形以上の面積を有し、収納状態において接地面形成部に重畳される形状の可動部とを備えることが好ましい。
【0016】
上記発明において所定範囲は、接地面の中心付近を通る線を軸として両側が線対称となるように分割された一方の領域であることが好ましい。上記発明において接地面形成部は、カバン類の所定範囲に貼り付けられたシート状又は板状の付着部であることが好ましい。
【0017】
上記発明において接地面には、少なくともカバン類の底面、及び当該底面に隣接する側面の二面が含まれ、可動部は、二面の境界部分を跨ぐように配置され、接地面形成部は、二面のいずれかの面の境界部分に隣接されて配置されていることが好ましい。
【0018】
上記発明において可動部は、外表面となる部位が内方になるように折り畳まれて、接地面形成部に重畳されることが好ましい。上記発明において縮小維持手段は、接地面形成部側と、可動部側とのそれぞれ、若しくは一方に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段であることが好ましい。
【0019】
上記発明においてカバー部は、接地面を覆う可撓性のシート部材であり、縮小維持手段は、カバン類の底面の一部、又は底面近傍のカバンの一部に取り付けられ、シート部材を巻き取り又は折り畳んで収納する収納手段であることが好ましい。上記発明において収納手段は、シート部材を巻き取るローラー機構を有することが好ましい。さらに、上記発明では、使用状態におけるカバー部の拡張状態を維持する拡張維持手段をさらに設けてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように、本発明によれば、基本的にはカバン類の使用時にあっては底面カバーはカバンの一部に取り付けることができるため、持ち運びの都度カバーやトレーを、カバンから出したり仕舞ったり、地面に置いたり拾ったりする手間もない。またカバンの底面として利用する面の一部に付けられた可動部を収納状態から使用状態に切り替えるという簡単な構造によって、汚れた場所に置く場合と汚れていない場所に置く場合の操作が非常に容易になり、汚れを拡散しにくくできる。これらの結果、本発明によれば、カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避できる。
【0021】
また、前記カバーは中心付近を通る線の両側が線対称となるように取り付けた場合には、底面として使用する面と前記カバーの汚れていない方の半分部分を覆って保護し、汚れている場所に置くことができる。その後汚れていない場所に置くときには、前記カバーの汚れた面で前記底面として使用する面の汚れた側の半分を覆えば、汚れを拡散させてしまうこともない。またこの構造であれば、側面で汚れが露になることもない。加えて、前記カバーが覆う側面の面積が狭くなるように工夫されているため、デザインに対する制約も小さくなる。
【0022】
さらに、本発明は、2wayバッグでも好適に応用可能である。すなわち、横向きでビジネスバッグとして使用する際の底面にカバーを付けていても、基本部をなくすことによって縦向きでバックパックとして利用するときにこのカバーが邪魔することがなくなり、ファスナーも延伸できる。結果として、カバンを開けづらくなることもなくなる。そのため、ファスナーを全開できるようにすることと、ビジネスバッグとして使用する場合に底面を汚さないことは両立できるようになった。
【0023】
それに加えて、本発明では、底面カバーの先端に第1段と第2段の可動部をさらに付けることによって、バックパックとして利用するときの底面もカバーで覆うことができるようになっている。なおこの第1段と第2段の可動部も、汚れた場所に置く際には折り畳むことによってきれいな部分を覆って守り、きれいな場所に置く際には汚れた部分を覆って隠すことによって、汚れを拡散させないようにできる。
【0024】
なお、底面カバーはカバンと一体型のものと着脱型のものの好きな方を選ぶことができる。着脱型のものなら既に所有している複数のカバンでも使い回すことができるし、汚れが頑固な場合には底面カバーだけ買い替えることも可能である。逆に一体型なら着脱型の場合に比べて着脱部などの部材が不要になるため少し軽くできるし、底面カバーを何かに引っ掛けて落としてしまうこともない。
【0025】
また、本発明の引き出して使用するカバーを採用した場合には、カバーを使用しない場合は収納しておけるため、邪魔になりにくい。またカバーを引き出す長さを調整できることから、奥行きの違うカバンにも対応でき、汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの説明図である。
【
図2】第1実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの変形例の説明図である。
【
図3】第2実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの説明図である。
【
図4】第2実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの変形例の説明図である。
【
図5】第3実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの説明図である。
【
図6】第3実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの変形例の説明図である。
【
図7】第3実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの説明図である。
【
図8】第3実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの変形例の説明図である。
【
図9】第4実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの説明図である。
【
図10】第4実施形態に係るカバン類の汚れ防止カバーの変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0028】
以下の各実施形態では、本発明の汚れ防止カバーをカバン類に取り付けた例を説明する。各実施形態においてカバン類としては、横置きで使うビジネスバッグと縦置きで使うバックパックの2態様で利用する2wayバッグを例に説明する。なお、発明はカバン類全般に適用が可能であり、この2wayバッグの他、例えば、手提げカバンや、学生カバン、ハンドバッグ、トートバッグ、ショルダーバッグ、ダッフルバッグ、トラベルバッグ、スーツケースなどが挙げられる。
【0029】
本実施形態に係る汚れ防止カバーは、上述した各種カバン類であるカバン本体1に取り付けられるものであり、その基本構成としては、
図1に示すように、カバー部10と、縮小維持手段20とが含まれている。
【0030】
カバー部10は、収納状態から使用状態に移行する際に拡張され、カバン本体1の底面として使用される接地面(
図1の例では横持ちした際に下側となる底面1a)を覆う部材であり、シート状や板状の素材で形成される。また、縮小維持手段20は、カバー部10の使用状態においてカバー部10の外表面となる部位10aを内包するように、カバー部10を縮小させた収納状態において、カバー部10の収納状態を維持する部材若しくは機構である。そして、収納状態におけるカバー部10は、カバン本体1の底面1aの一部、又は底面1a近傍のカバン本体1の一部として取り付けられている。
【0031】
ここで、接地面とは、カバン本体1を地面に置いたときに、地面に接触する部位であり、基本的にはカバン本体1の底面であるが、カバン類の種類によっては、縦持ち、横持ちの両方が可能なトラベルケースや2wayバッグなど、底面を下にして置いたり、側面を下にして置いたりなど、下になる側を選択的に使用できる場合には、接地面には、そのカバン類の底面1a、及び当該底面に隣接する側面1bの二面が含まれることとなる。
【0032】
また、縮小維持手段20は、カバー部10の収納状態を維持する部材や機構であり、カバン類やカバー部の形態に応じて、ボタンや面ファスナー、磁石などの接離可能に吸着する吸着手段を用いたり、チャックで開閉する袋体や、ローラーで巻き取って収納する手段などが用いたりできる。
【0033】
以下に各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態に係るカバン及びその汚れ防止カバーを
図1及び
図2に示す。本実施形態では、カバー部10が接地面形成部21及び底面カバー可動部2とから形成されている。接地面形成部21は、カバン底面若しくは側面において地面に接触する面(接地面)の所定範囲を形成する部分であり、底面カバー可動部2は、その一端が接地面形成部21と連続的に接続される部材である。
【0034】
上述した接地面中の所定範囲とは、上述したように、カバン底面や側面など、カバンを横持ち若しくは縦持ちなどをしたときに最下面となる接地面の一部分若しくは全部であり、基本的には、底面や側面の半分の範囲であり、例えば、底面1aの長手方向を縦断するように中心付近を通る線を軸として両側が線対称となるように分割された一方の領域とすることができ、その一方の領域が接地面形成部21となっている。
【0035】
底面カバー可動部2は、使用状態にあっては回動されて分割された他方の領域を覆うようになっており、
図1に示した例では、使用状態において展開され、ファスナー11が形成された部位を覆うようになっている。また、底面カバー可動部2は、接地面形成部21と同形若しくは同形以上の面積を有し、底面カバー可動部2の収納状態において、接地面形成部21に重畳される形状となっている。また、底面カバー可動部2は、その一端が、カバン本体1の底面1aに固着されており、この一端を中心に回動するように構成されている。そして、接地面形成部21側に回動されることによって、収納状態にあっては、底面カバー可動部2は、接地面形成部21に重畳されるように収納され、使用状態に外表面となる部位が折り畳まれて内包される。
【0036】
そして、使用状態におけるカバー部10は、接地面形成部21に重畳された状態から他方側へ回動されて、カバン本体1の底面1a全体を覆う形状に拡張(展開)される。また、使用状態におけるカバー部10の接地面(底面1a)は、接地面形成部21及び底面カバー可動部2の表面により形成されることとなり、カバン本体1を地面に置いたときに、カバー部10を構成する接地面形成部21及び底面カバー可動部2が地面に接触することとなる。
【0037】
底面カバー可動部2の材質としては、例えば、合成皮革、天然皮革、布地、合成樹脂製の生地や板などが挙げられる。また、底面カバー可動部2の形状は、カバン本体1の底面形状の半分を覆うように設定される。また、本実施形態ではカバン本体1の底面の布地がそのまま接地面形成部21となっているが、この部位にビニールその他の汚れにくい素材で形成された保護シートなどを貼り付けるようにしてもよい。なお、本実施形態では、底面カバー可動部2の形状をカバン本体1の底面の形状と合致するように矩形状とするが、例えば
図2(b)に示すように、取っ手2aを付加してもよい。
【0038】
さらに、底面カバー可動部2又はカバン本体1、若しくはこれらの両方に、底面カバー可動部2の使用状態における拡張状態を維持する拡張維持手段を設けてもよい。この拡張維持手段としては、例えば、カバン本体1側の対応箇所と、底面カバー可動部2側とのそれぞれ(若しくは一方)に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段を採用することができる。具体的には、底面カバー可動部2の自由端側、及び使用状態における底面カバー可動部2の自由端側が重なるカバン本体1の底面として使用される面(底面1a)の対応箇所に、ボタンや面ファスナー、磁石その他の接離可能に吸着する吸着手段を取り付ける。取っ手2aを設ける場合には、この取っ手2aに上記拡張維持手段を配置してもよい。
【0039】
縮小維持手段20は、カバー部10を収納状態に維持する部材又は機構であり、接地面形成部21側と、底面カバー付着部3側とのそれぞれ(若しくは一方)に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段である。具体的には、底面カバー可動部2の自由端側、及び収納状態における底面カバー可動部2の自由端側が重なる接地面形成部21の対応箇所に、ボタンや面ファスナー、磁石などの接離可能に吸着する吸着手段が用いられる。
【0040】
なお、上述した所定範囲は、接地面(底面1a若しくは側面1b)の長手方向を横断する中心付近を通る線を軸として両側が線対称となるように分割したが、
図2(a)に示すように、接地面(底面1a若しくは側面1b)の長手方向に縦断する中心付近を通る線を軸として、両側が線対称となるように分割した一方の領域としてもよい。すなわち、底面カバー可動部2を固着する向きは縦でも横でも問題ない。あくまで重要なのは底面をしっかりとカバーすることであって、底面カバー可動部2を固着する中央線の両側が線対称になっていればよいためである。そのため、底面カバー可動部2を接地面の長辺と平行方向に固着しても構わないし、底面カバー可動部2を接地面の短辺と平行方向に固着しても構わない。
【0041】
また、上述した、カバン本体1底面の形は長方形となっている。しかし楕円形でも問題ない。この場合も重要なのは底面をカバーできることであり、底面上で底面カバー可動部2を固着している中央線の両側が線対称になっていればよい。
【0042】
そして、このような実施形態によれば、使用状態では、カバー部10の一部である底面カバー可動部2を展開させることによって、内包されていた底面カバー可動部2の外表面側が、接地面形成部21とともに接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される。
【0043】
また、カバー部10の収納状態においては、底面カバー可動部2を接地面形成部21に重ね合わせることで、汚れた接地面が内方になるように、底面カバー可動部2を回動させて、底面カバー可動部2が接地面形成部21に重畳された状態に戻すことができる。これによって、カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、底面カバー可動部2を回動させて簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避することができる。
【0044】
(第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係るカバン及びその汚れ防止カバーを
図3及び
図4に示す。本実施形態では、第1実施形態で説明した接地面形成部21が、カバン本体1の所定範囲に貼り付けられたシート状又は板状の底面カバー付着部3であることを要旨とする。本実施形態では、カバー部が底面カバー付着部3及び底面カバー可動部2とから形成されている。なお、以下の各実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0045】
詳述すると、底面カバー付着部3は、第1実施形態における接地面形成部21と同様の形状及び面積を有しており、カバン本体1の所定範囲に貼り付けられたシート状又は板状の部材である。すなわち、底面カバー付着部3は、第1実施形態における接地面形成部21と同様に、カバン本体1の底面1aの半分、すなわち底面1aの長手方向を横断する中心付近を通る線を軸として、両側が線対称となるように分割された一方の領域と合致した形状を有している。
【0046】
また、底面カバー付着部3は、上述した底面カバー可動部2と一体的に形成されており、屈曲部3aで折り曲げられて回動可能となっている。この底面カバー付着部3は、カバン本体1の底面として使用される面(接地面)に固着、或いは着脱自在に取り付けられている。そして、底面カバー付着部3は、底面カバー可動部2が回動されて展開された使用状態において、底面カバー可動部2とともにカバン本体1の底面全体を覆うように配置される。
【0047】
そして、底面カバー付着部3はカバン本体1の底面1aの所定範囲に取り付けられており、底面カバー付着部3の端部において底面カバー可動部2の一端が接続されている。底面カバー可動部2は汚れていない場所に置くときに一方の半分を覆い、汚れている場所に置くときには向きを変えてもう一方の半分を覆うようにする。なお、底面カバー付着部3の形状や大きさは、カバン本体1のサイズや構造、材質によって設置場所や数が変わりうるため、本実施形態に限定されるものではない。
【0048】
本実施形態において、底面カバー可動部2は、使用状態にあっては回動されて分割された他方の領域を覆うようになっており、
図2に示した例でも、使用状態において展開され、ファスナー11が形成された部位を覆うようになっている。また、底面カバー可動部2は、底面カバー付着部3と同形若しくは同形以上の面積を有し、底面カバー可動部2の収納状態において、底面カバー付着部3に重畳される形状となっている。
【0049】
また、底面カバー可動部2は、その一端が、カバン本体1の底面1aに固着されており、この一端を中心に回動するように構成されている。そして、底面カバー付着部3側に回動されることによって、収納状態にあっては、底面カバー可動部2は、底面カバー付着部3に重畳されるように収納され、使用状態に外表面となる部位が折り畳まれて内包される。
【0050】
そして、使用状態におけるカバー部10は、底面カバー付着部3に重畳された状態から他方側へ回動されて、カバン本体1の底面1a全体を覆う形状に拡張(展開)される。また、使用状態におけるカバー部10の接地面(底面1a)は、底面カバー付着部3及び底面カバー可動部2の表面により形成されることとなり、カバン本体1を地面に置いたときに、カバー部10を構成する底面カバー付着部3及び底面カバー可動部2が地面に接触することとなる。
【0051】
底面カバー可動部2の材質としては、例えば、合成皮革、天然皮革、布地、合成樹脂板などが挙げられる。また、底面カバー可動部2の形状は、カバン本体1の底面形状の半分を覆うように設定される。なお、本実施形態では、底面カバー可動部2の形状をカバン本体1の底面の形状と合致するように矩形状とするが、例えば
図4(b)に示すように、取っ手2aを付加してもよい。
【0052】
さらに、底面カバー可動部2又はカバン本体1、若しくはこれらの両方に、底面カバー可動部2の使用状態における拡張状態を維持する拡張維持手段を設けてもよい。この拡張維持手段としては、例えば、カバン本体1側の対応箇所と、底面カバー可動部2側とのそれぞれ(若しくは一方)に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段を採用することができる。具体的には、底面カバー可動部2の自由端側、及び使用状態における底面カバー可動部2の自由端側が重なるカバン本体1の底面として使用される面(底面1a)の対応箇所に、ボタンや面ファスナー、磁石その他の接離可能に吸着する吸着手段を取り付ける。なお、取っ手2aを設ける場合には、この取っ手2aに上記拡張維持手段を配置してもよい。
【0053】
他方、縮小維持手段20は、上記第1実施形態と同様に、カバー部10を収納状態に維持する部材又は機構であり、底面カバー付着部3側と、底面カバー可動部2側とのそれぞれ(若しくは一方)に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段を採用することができる。具体的には、底面カバー可動部2の自由端側、及び収納状態における底面カバー可動部2の自由端側が重なる底面カバー付着部3の対応箇所に、ボタンや面ファスナー、磁石などの接離可能に吸着する吸着手段が用いられる。
【0054】
なお、上述した所定範囲は、底面1aの長手方向を横断する中心付近を通る線を軸として両側が線対称となるように分割したが、
図4(a)に示すように、底面1aの長手方向に縦断する中心付近を通る線を軸として、両側が線対称となるように分割した一方の領域としてもよい。すなわち、底面カバー可動部2を固着する向きは縦でも横でも問題ない。あくまで重要なのは底面をしっかりとカバーすることであって、可動部を固着する中央線の両側が線対称になっていればよいためである。そのため、底面カバー可動部2を底面カバー付着部3の長辺と平行方向に固着しても構わないし、底面カバー可動部2を底面カバー付着部3の短辺と平行方向に固着しても構わない。
【0055】
また、上述した、カバン本体1底面の形は長方形となっている。しかし楕円形でも問題ない。この場合も重要なのは底面をカバーできることであり、底面上で底面カバー可動部2を固着している中央線の両側が線対称になっていればよい。
【0056】
なお、底面カバー付着部3は、接地面に対して着脱自在に設けてもよい。接地面と底面カバー付着部3を着脱する方法としては、底面カバー付着部3と接地面に面ファスナーやボタン、フックなどを利用することが考えられる。また、クリップのようなものでカバン本体を挟むなどの方法を用いてもよい。
【0057】
また、底面カバー付着部3及び底面カバー可動部2の形状や大きさについては、全体的なデザインや調和性、コストのことを考えて、小さめにすることも可能である。例えば底面カバー付着部3のサイズを底面カバー可動部2の1/10程度のサイズにしてコストを抑え、底面として使用する面に付けることだけを目的として利用することが可能である。また底面カバー可動部の半分ほどのサイズにして色を変えることで、デザインを際立たせることもできる。
【0058】
底面カバー可動部2の縮小状態(収納状態)及び展開状態(使用状態)を変えてカバン本体1に留める方法としては、マグネットやボタン、面ファスナーなどが挙げられる。ここで留める方法としては、底面カバー付着部をカバンの底面として使用する面に付ける場合と違って、頻繁に向きを変えて付け替えるものであるため、ガッチリと固定する必要はない。逆に固定してしまうと非常に使いづらくなってしまう。そして底面として使用する面の四隅にこれらの部材を使用して留めることもできるが、その場合カバーの向きを変えるときに底に置いた面に直接手を触れる必要が出て来る。そのため、取っ手を付けて、そこに上記の部材を利用してもよい。
【0059】
このような実施形態によれば、使用状態では、カバー部10の一部である底面カバー可動部2を回動させ展開させることによって、内包されていた底面カバー可動部2の外表面側が、底面カバー付着部3とともに接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される。
【0060】
また、カバー部10の収納状態においては、底面カバー可動部2を底面カバー付着部3に重ね合わせることで、汚れた接地面が内方になるように、底面カバー可動部2を回動させて、底面カバー可動部2が底面カバー付着部3に重畳された状態に戻すことができる。これによって、カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、底面カバー可動部2を回動させるという簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係るカバン及びその汚れ防止カバーを
図5~
図9に示す。本実施形態では、カバン本体1が、縦持ち、横持ちの両方が可能なトラベルケースや2wayバッグなど、底面を下にして置いたり、側面を下にして置いたりなど、下になる側を選択的に使用できるタイプであり、この二通りの使用状態に適合可能としたことを要旨とする。ここでの接地面には、そのカバン類の底面1a、及び当該底面に隣接する側面1bの二面が含まれる。
【0062】
本実施形態に係るカバン本体1は、本実施形態では、いわゆる2wayバッグであり、底面1aに対する上部には取っ手が取り付けられて、いわゆる横持ちができるようになりこの横持ちをした場合には、底面1aが接地面となる。一方、カバン本体1の背面にはショルダーストラップが取り付けられて、いわゆる縦持ちができるようになっており、この縦持ちをした場合には、側面1bが接地面となる。なお、カバン本体1は、その内部に収納スペースを有し、開閉部にはファスナー11が設けられている。
【0063】
本実施形態において、
図5及び
図6に示す長尺可動部23は、接続端側でカバン本体1の底面1aの中央に回動可能に取り付けられているとともに、他端側が延長された展開部23a及び23bとなっている。この展開部23a及び23bは、収納時は折り畳まれて長尺可動部23に重畳されるようになっている。そして、長尺可動部23を回動させ、さらに展開部23a及び23bを展開させることによって、2wayバッグの底面1a及びこれに隣接する側面1bの境界部分を跨ぐように拡大されて、底面1a側から側面1b側をカバーできるようになっている。
【0064】
なお、本実施形態において接地面形成部21は、
図6(a)及び(b)に示すように、底面1a及びこれに隣接する側面1bの二面のうち、底面1aの境界部分1abに隣接されて配置されている。そして、長尺可動部23は、
図6(a)に示すような、横持ちの使用状態において接地される外表面となる部位が内方になるように、同図(b)のように接続端を中心に回動されて、
図5(a)に示すように接地面形成部21に重畳されて収納状態となる。
【0065】
すなわち、本実施形態では、横持ちの使用状態では、長尺可動部23及び接地面形成部21がカバー部として機能し、
図6(a)に示すように、収納状態時に内包されていた長尺可動部23の外表面側が接地面形成部21とともに接地される。一方、縦持ちの使用状態にあっては、展開部23a及び23bがカバー部として機能し、折り畳まれていた展開部23a及び23bを展開させることによって、
図5(c)及び
図6(c)に示すように、収納状態時に内包されていた展開部23a及び23bの外表面側が接地される。
【0066】
そして、本実施形態のように、ビジネスバッグとバックパックの2態様で利用する2wayバッグの場合では、
図5(a)~(c)に示すように、縦持ちのバックパックとして利用するときの接触面となる側面1bまで覆うことができるようになっている。そのため本実施形態では、長尺可動部23は、接地面として使用する底面1aの短辺に平行方向に付けられている。
【0067】
そして、このような実施形態によれば、横持ちの使用状態では、カバー部10の一部である長尺可動部23を展開させることによって、
図6(a)に示すように、内包されていた長尺可動部23の外表面側が、接地面形成部21とともに接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される。
【0068】
また、
図5(a)に示すように、カバー部10の収納状態においては、長尺可動部23を重ね合わせることで、汚れた接地面が内方になるように、長尺可動部23を回動させて、長尺可動部23が接地面形成部21に重畳された状態に戻すことができる。さらに、縦持ちの使用状態にあっては、カバー部10の一部である長尺可動部23及び屈曲されていた展開部23a及び23bを展開させることによって、
図5(b)及び(c)に示すように、内包されていた長尺可動部23の外表面側が、接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される。
【0069】
これによって、カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、長尺可動部23を回動させて簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避することができる。
【0070】
なお、
図6(c)に示すように、本実施形態で説明した接地面形成部21に代えて、底面カバー付着部3を介して底面1aに取り付けるようにしてもよい。また、
図7に示すように、上述した長尺可動部23の取り付け位置を、ファスナー11の位置に合わせて境界部分1ab寄りに配置するとともに、展開部(図中延長部分23c)を長めに設定して延長部分の折り畳みを省略してもよい。これにより、折り畳む操作の煩わしさを軽減することができる。この場合も、
図8に示すように接地面形成部21に代えて、底面カバー付着部3を介して底面1aに取り付けるようにしてもよい。
【0071】
さらに、長尺可動部23(展開部23a、23b、延長部分23cを含む。)又はカバン本体1、若しくはこれらの双方に、長尺可動部23等の使用状態における拡張状態を維持する拡張維持手段を設けてもよい。この拡張維持手段としては、例えば、カバン本体1側の対応箇所と、長尺可動部23(展開部23a、23b、延長部分23cを含む。)側とのそれぞれ(若しくは一方)に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段を採用することができる。具体的には、長尺可動部23等の自由端側、及び使用状態における長尺可動部23等の自由端側が重なるカバン本体1の底面として使用される面(底面1a又は側面1b)の対応箇所に、ボタンや面ファスナー、磁石その他の接離可能に吸着する吸着手段を取り付ける。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態に係るカバン及びその汚れ防止カバーを
図9及び
図10に示す。本実施形態では、カバー部が、接地面を覆う可撓性のシート部材で形成された巻カバー22あり、縮小維持手段が、巻カバー22を巻き取り又は折り畳んで収納する収納手段であることを要旨とする。
【0073】
巻カバー22は、例えば、ビニールやプラスチック、アクリル等の合成樹脂製の生地や、合成皮革、天然皮革、布地など可撓性を有する素材であれば公知の素材を採用することができる。また、この巻カバー22には、その使用状態における拡張状態を維持する拡張維持手段を設けてもよい。
【0074】
この拡張維持手段としては、例えば、カバン本体1側の対応箇所と、巻カバー22とのそれぞれ(若しくは一方)に取り付けられて接離可能に吸着する吸着手段を採用することができる。具体的には、巻カバー22の自由端側、及び使用状態における巻カバー22の自由端側が重なるカバン本体1の底面として使用される面(底面1a又は側面1b)の対応箇所に、ボタンや面ファスナー、磁石その他の接離可能に吸着する吸着手段を取り付ける。
【0075】
収納手段は、カバン本体1の底面1aの一部、又は底面近傍のカバン本体の一部に取り付けられる部材若しくは機構であり、本実施形態では、カバン本体1底面1a近傍の側部に取り付けられている。具体的にこの収納手段は、シート部材である巻きカバー22を巻き取るローラー機構を有するカバーホルダー12となっている。
【0076】
このローラー機構では、収納状態では巻きカバー22をローラーで巻き取って縮小状態とし、使用状態においては、ローラーから巻カバー22を引き出して展開させ、接地面(底面1a)を覆うようにする。巻カバー22をカバン本体1に付ける場合には、カバン本体1の底面1aの一つの内側に付けた方が使いやすくなる。その方が邪魔になりにくいためである。この場合、カバン本体1の底面1aを覆うことができる幅を広くするため、カバーを支えている部分は薄くすることが好ましい。しかもカバーを支える必要もあるため、材料としては金属やプラスチックなど硬いものを用いることができる。
【0077】
さらにカバン本体1の底面1aを全て覆うことができるようにするには、外付けに近い形状としてもよい。この外付けに近い形状の場合は、カバン本体1内部の容量を減らすこともないし、着脱もできるものだと他のカバン本体1で使用する際の汎用性が非常に高くなる。
【0078】
ちなみに外付けで着脱可能なカバーにする場合の着脱方法としては、留め具で挟み込んだりピンで留めたりすることが考えられる。しかし、これもカバン本体1の材質や形状によって大きく変わりうるため、ここで述べたものに限られるものではない。ただし、外付けの場合は邪魔になりがちでもあるため、巻カバー22を支えている部分を広めにとることも可能である。
【0079】
そして、このような実施形態によれば、使用状態では、カバー部10の一部である巻カバー22をローラーから引き出して展開させることによって、接地面を覆うことができ、内包されていた巻カバー22の外表面側が接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される。
【0080】
また、巻カバー22の収納状態においては、巻カバー22をローラーで巻き取ることによって、汚れた接地面をローラー内に納めることができる。これによって、巻カバー22を引き出したり、巻き取ったりという簡単な操作により、収納状態と使用状態の切り替えることができ、カバン類を地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避することができる。
【0081】
なお、
図10に示すように、この巻カバー22を収納するカバーホルダー12は、底面1aと隣接する側面1bとの間に設けて、この場合には、巻カバー22の両面を接地面として用いる用にしてもよい。すなわち、縦持ちの使用状態にあっては、巻カバー22を側面1b側へ引き出して、
図10(a)に示すように、巻カバー22の外表面側が接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される。他方、
図10(b)に示すように、横持ちの使用状態にあっては、巻カバー22を底面1a側に引き出して、巻カバー22の反対側の表面が接地されることとなり、接地して汚れる部分がこれらの部位に限定される
【0082】
これによっても、カバン底面全体に対する着脱や落下防止のための構造を要することなく、巻カバー22を底面1a側若しくは側面1b側に適宜引き出すという、簡単な収納状態と使用状態の切り替え操作により、2wayバッグを縦持ち若しくは横持ちのいずれの態様で使用する場合であっても、地面に置いたときなどに、地面に接触した部位の汚れが他の部位に拡散するのを回避することができる。
【0083】
例えば、ビジネスバッグとバックパックの2wayで使うカバンで短辺に取り付ける場合は、
図10(a)及び(b)に示すような、回転式のカバーを短尺にカバンの下方に取り付けたり、側方に付けたりすることができ、これにより底面1aと側面1bの2つの面をカバーで覆うことが可能になる。また、
図10(c)に示すように、回転式のカバーを、カバン本体1の上部に取り付ければ、横持ちのビジネスバッグとして利用する場合も、縦持ちのバックパックとして利用する場合も外に向く面は同じであるため、汚れの拡散を低減することができる。
【0084】
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…カバン本体
1a…底面
1ab…境界部分
1b…側面
2…底面カバー可動部
3…底面カバー付着部
3a…屈曲部
10…カバー部
10a…部位
11…ファスナー
12…カバーホルダー
20…縮小維持手段
21…接地面形成部
22…巻カバー
23…長尺可動部
23a,23b…展開部
23c…延長部分