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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134771
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240927BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045125
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】並木 政樹
(72)【発明者】
【氏名】津山 和彦
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB10
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC65
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF10
5C072AA01
5C072BA13
5C072EA04
5C072NA01
5C072NA07
5C072RA01
5C072RA16
5C072UA13
5C072VA05
5C072VA06
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】厚みの厚い原稿3が搬送された場合、回転部材31,32を読取部51,52に対してその厚みの増加分だけ離間させ、その厚みに応じて適切な位置に背景部9を位置させること。
【解決手段】原稿3を搬送する搬送部5と、搬送部5により搬送方向Fに搬送される原稿の画像を読み取る読取部51,52と、互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部9を周面に備え、読取部51,52に対向する位置に設けられ、回転することで読取部51,52の読取位置に対する背景部9の位置を変える回転部材31,32とを備え、回転部材31,32は読取部51,52に対して離間可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送方向に搬送される前記原稿の画像を読み取る読取部と、
互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を周面に備え、前記読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える回転部材と、を備え、
前記回転部材は、前記読取部に対して離間可能である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記搬送方向において前記回転部材に対して上流に設けられ、前記原稿を前記読取部と前記回転部材との間に案内する案内部材を備え、
前記案内部材は、前記原稿が搬送される搬送経路に対して離間可能である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置において、
前記回転部材は、前記案内部材が前記搬送経路に対して離間することに連動して、前記読取部から離間する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記案内部材は、搬送される前記原稿と接触することにより前記搬送経路に対して離間する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置において、
前記案内部材と前記回転部材は、前記原稿の幅方向の一端側と他端側に位置する一対の連結部材により一体化され、前記離間する方向に一体に移動するように構成され、
前記原稿が搬送されていない状態における前記回転部材と前記読取部との相対配置及び前記案内部材と前記搬送経路との相対配置は、前記連結部材の接触面が前記読取部の被接触面に接触する状態で決められている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像読取装置において、
前記案内部材を前記搬送経路に向かって弾性的に押す押し部材を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6の何れか1項に記載の画像読取装置において、
前記案内部材は、周面が曲面であるローラーを有する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像読取装置において、
前記ローラーは、第1駆動源により回転する駆動ローラーである、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置において、
前記搬送部は、前記第1駆動源の動力で駆動する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の画像読取装置において、
前記回転部材は、
前記背景部として周面が第1色である第1回転ローラーと、
前記背景部として周面が第1色とは異なる色である第2回転ローラーと、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像読取装置において、
前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーは、駆動源の動力により回転する駆動ローラーである、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項2から請求項6の何れか1項に記載の画像読取装置において、
前記回転部材は、前記読取部の色校正を行うための校正基準部を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
原稿を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送経路を搬送方向に搬送される前記原稿の第1面の画像を読み取る第1読取部と、
互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を備え、前記第1読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える第1回転部材と、
前記搬送方向において前記第1読取部に対して下流に設けられ、前記搬送部により搬送される前記原稿の第2面の画像を読み取る第2読取部と、
互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を備え、前記第2読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える第2回転部材と、を備え、
前記第1読取部及び第1回転部材の少なくとも一方は、他方に対して離間可能であり、
前記第2読取部及び第2回転部材の少なくとも一方は、他方に対して離間可能である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像読取装置において、
前記第1面は上面であり、前記第2面は下面として、
前記第1回転部材は固定され、前記第1読取部は前記第1回転部材に対して離間可能であり、
前記第2読取部は固定され、前記第2回転部材は前記第2読取部に対して離間可能である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像読取装置において、
前記第1読取部は固定され、前記第1回転部材は前記第1読取部に対して離間可能であり、
前記第2読取部は固定され、前記第2回転部材は前記第2読取部に対して離間可能である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項16】
請求項15に記載の画像読取装置において、
前記第1面は上面であり、前記第2面は下面として、
前記第1回転部材を前記第1読取部に向かって弾性的に押す第1押し部材と、
前記第2回転部材を前記第2読取部に向かって弾性的に押す第2押し部材と、を備え、
前記第1押し部材の押し力は、前記第2押し部材の押し力よりも大きい、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、プラテンローラー10は、半円筒状の白色部材(円弧筒部材)14と、半円筒状の黒色部材(円弧筒部材)15とを備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-252378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている構成では、プラテンローラーと読取センサーとの間の隙間が一定であり、厚みの異なる原稿を読み取ることが考慮されていない。そのため、厚い原稿を搬送する場合、原稿と読取センサーとの間隔が厚みの薄い原稿用のままであるので読み取り品質が安定しない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置は、原稿を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送方向に搬送される前記原稿の画像を読み取る読取部と、互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を周面に備え、前記読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える回転部材と、を備え、前記回転部材は、前記読取部に対して離間可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る画像読取装置の内部構成を表す図。
図2】同実施形態1の要部斜視図。
図3】同実施形態1の一部を断面とした要部斜視図。
図4】同実施形態1の要部側断面図。
図5】同実施形態1の要部側断面図。
図6】同実施形態1の要部斜視図。
図7】実施形態2の要部側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置の第1の態様は、原稿を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送方向に搬送される前記原稿の画像を読み取る読取部と、互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を周面に備え、前記読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える回転部材と、を備え、前記回転部材は、前記読取部に対して離間可能であることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、少なくとも2つの背景部を周面に備える前記回転部材は、前記読取部に対して離間可能に構成されている。これにより、厚みの厚い原稿が搬送された場合、前記回転部材を前記読取部に対してその厚みの増加分だけ離間させることで、その厚みに応じて適切な位置に背景部を位置させることが可能となり、以って読み取り品質を安定させることができる。
また、前記回転部材が離間可能であるので、厚い原稿が搬送された際に前記原稿が前記背景部に当たる虞を抑制することができ、前記背景部が破損したり、前記原稿がジャムしたりする虞を低減することができる。
【0009】
本発明に係る画像読取装置の第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記搬送方向において前記回転部材に対して上流に設けられ、前記原稿を前記読取部と前記回転部材との間に案内する案内部材を備え、前記案内部材は、前記原稿が搬送される搬送経路に対して離間可能であることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記搬送方向において前記回転部材に対して上流に設けられ、前記原稿を前記読取部と前記回転部材との間に案内する案内部材を備えているので、前記原稿を前記読取部と前記回転部材との間に適切に案内することができる。
また、前記案内部材は、前記原稿が搬送される搬送経路に対して離間可能である。これにより、厚みの厚い原稿が搬送された場合、前記案内部材を前記搬送経路に対してその厚みの増加分だけ離間させることで、その厚みに応じて適切な位置で前記原稿を案内することが可能となる。
【0011】
本発明に係る画像読取装置の第3の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記回転部材は、前記案内部材が前記搬送経路に対して離間することに連動して、前記読取部から離間することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記回転部材は、前記案内部材の離間に連動して前記読取部から離間する。これにより、前記回転部材は厚みが異なる原稿が搬送された場合にレスポンスよく前記読取部から離間することができる。
【0013】
本発明に係る画像読取装置の第4の態様は、第3の態様に従属する態様であって、前記案内部材は、搬送される前記原稿と接触することにより前記原稿の厚みの分だけ前記搬送経路に対して離間することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記案内部材は、搬送される前記原稿と接触することにより前記搬送経路に対して離間するので、前記案内部材を離間させる駆動源が不要となり、構成が簡易化できる。
【0015】
本発明に係る画像読取装置の第5の態様は、第4の態様に従属する態様であって、前記案内部材と前記回転部材は、前記原稿の幅方向の一端側と他端側に位置する一対の連結部材により一体化され、前記離間する方向に一体に移動するように構成され、前記原稿が搬送されていない状態における前記回転部材と前記読取部との相対配置及び前記案内部材と前記搬送経路との相対配置は、前記連結部材が前記読取部の被接触面に接触する状態で決められていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記案内部材と前記回転部材は、前記連結部材を介して前記離間する方向に一体に移動する。これにより、簡単な構造で前記案内部材の前記搬送経路からの離間、及び前記回転部材の前記読取部からの離間を、一緒に行うことができる。また、搬送される原稿の先端が前記案内部材と接触してから前記原稿の後端が前記回転部材との接触が外れるまでの間、前記読取部と前記回転部材との離間状態を維持することができる。
【0017】
本発明に係る画像読取装置の第6の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記案内部材を前記搬送経路に向かって弾性的に押す押し部材を備えることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記案内部材を前記搬送経路に向かって弾性的に押す押し部材を備えているので、前記案内部材により前記原稿を抑え込むことができ、以って搬送性能を向上することができる。
【0019】
本発明に係る画像読取装置の第7の態様は、第2の態様から第6の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記案内部材は、周面が曲面であるローラーを有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記案内部材として周面が曲面であるローラーを用いることで、前記原稿の先端が前記ローラーの曲面に接触することになり、前記原稿の先端が折れたり、搬送負荷が生じて搬送不良となったりすることを抑制することができる。
【0021】
本発明に係る画像読取装置の第8の態様は、第7の態様に従属する態様であって、前記ローラーは、第1駆動源により回転する駆動ローラーであることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、パスポート、冊子等の厚い原稿を搬送する場合前記搬送経路から受ける搬送負荷により搬送量が安定しない場合がある。本態様では前記駆動ローラーとすることで厚い原稿を搬送する際の搬送量を安定させることができる。
【0023】
本発明に係る画像読取装置の第9の態様は、第8の態様に従属する態様であって、前記搬送部は、前記第1駆動源の動力で駆動することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記搬送部と前記駆動ローラーとが同じ第1駆動源により回転するため、前記原稿の搬送量が安定し、画像をより高品質で読み取ることができる。
【0025】
本発明に係る画像読取装置の第10の態様は、第1の態様から第6の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記回転部材は、前記背景部として周面が第1色である第1回転ローラーと、前記背景部として周面が第1色とは異なる色である第2回転ローラーとを備えることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記背景部として前記第1回転ローラーと前記第2回転ローラーとを備える。これにより、前記回転部材まで前記原稿が搬送された際に、前記第1回転ローラーと前記第2回転ローラーは、前記背景部としての機能を発揮しつつ、回転することで前記原稿の搬送の安定性を向上することができる。また、回転することで前記背景部が破損したり、前記原稿がジャムしたりする虞を低減することができる。
【0027】
本発明に係る画像読取装置の第11の態様は、第10の態様に従属する態様であって、前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーは、駆動源の動力により回転する駆動ローラーであることを特徴とする。
【0028】
厚い原稿を搬送する場合、前記搬送経路から受ける搬送負荷により搬送量が安定しない場合がある。本態様によれば、前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーは、駆動源の動力により回転する駆動ローラーである。これにより、背景部としての前記ローラーが駆動回転することで厚い原稿に搬送力を与えること可能となり、以って搬送する際の搬送量を安定させることができる。
【0029】
本発明に係る画像読取装置の第12の態様は、第2の態様から第6の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記回転部材は、前記読取部の色校正を行うための校正基準部を備えることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、前記回転部材は、前記読取部の色校正を行うための校正基準部を備える。これにより、色校正専用の構成基準部を、前記背景部と同じ前記回転部材に設けることで、部品点数を増やすことなく、構造簡単に設けることができる。
【0031】
本発明に係る画像読取装置の第13の態様は、原稿を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送経路を搬送方向に搬送される前記原稿の第1面の画像を読み取る第1読取部と、互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を備え、前記第1読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える第1回転部材と、前記搬送方向において前記第1読取部に対して下流に設けられ、前記搬送部により搬送される前記原稿の第2面の画像を読み取る第2読取部と、互いに明度の異なる色を有する少なくとも2つの背景部を備え、前記第2読取部に対向する位置に設けられ、回転することで前記読取部の読取位置に対する前記背景部の位置を変える第2回転部材と、を備え、前記第1読取部及び第1回転部材の少なくとも一方は、他方に対して離間可能であり、前記第2読取部及び第2回転部材の少なくとも一方は、他方に対して離間可能であることを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、前記第1読取部及び第1回転部材の少なくとも一方は、他方に対して離間可能に構成され、前記第2読取部及び第2回転部材の少なくとも一方は、他方に対して離間可能に構成されている。即ち、少なくとも2つの背景部を周面に備える前記第1回転部材及び第2回転部材は、前記第1読取部及び前記第2読取部に対して相対的に離間可能に構成されている。これにより、厚みの厚い原稿が搬送された場合、前記第1回転部材及び第2回転部材を前記第1読取部及び前記第2読取部に対してその厚みの増加分だけ離間させることで、その厚みに応じて適切な位置に背景部を位置させることが可能となり、以って読み取り品質を安定させることができる。
【0033】
本発明に係る画像読取装置の第14の態様は、第13の態様に従属する態様であって、前記第1面は上面であり、前記第2面は下面として、前記第1読取部は固定され、前記第1回転部材は前記第1読取部に対して離間可能であり、前記第2回転部材は固定され、前記第2読取部は前記第2回転部材に対して離間可能であることを特徴とする。
【0034】
前記搬送経路に対して下方に位置する部材を移動させて離間及び接近させる場合、前記部材を上方に押し上げたり、前記部材の姿勢を維持したりする機構が必要となり、構造が複雑化し易い。本態様によれば、前記搬送経路に対して下方にある部材を固定し、上方にある部材を離間及び接近させる構造にすることで構造の複雑化を抑制することができる。
【0035】
本発明に係る画像読取装置の第15の態様は、第13の態様に従属する態様であって、前記第1読取部は固定され、前記第1回転部材は前記第1読取部に対して離間可能であり、前記第2読取部は固定され、前記第2回転部材は前記第2読取部に対して離間可能であることを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、第1読取部と第2読取部は固定されているので、前記読取の品質を安定させることができる。
【0037】
本発明に係る画像読取装置の第16の態様は、第15の態様に従属する態様であって、前記第1回転部材を前記第1読取部に向かって弾性的に押す第1押し部材と、前記第2回転部材を前記第2読取部に向かって弾性的に押す第2押し部材と、を備え、前記第1押し部材の押し力は、前記第2押し部材の押し力よりも大きいことを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、前記第1押し部材の押し力は、前記第2押し部材の押し力よりも大きいことで、前記搬送経路に対して下方に設けられる第1回転部材を適切な姿勢で維持させることができる。
【0039】
[実施形態]
以下、本発明に係る画像読取装置の実施形態について、図1から図6に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0040】
[実施形態1]
<画像読取装置の全体構造>
本実施形態の画像読取装置1は、原稿の画像を読み取り可能なスキャナーである。ここで、前記画像は、前記原稿に視覚的に記録されているものを意味し、例えば文字、図形、表、絵、写真等である。前記原稿は、シートに限らず、カード、冊子等も含まれる。
図1に示したように、画像読取装置1は、原稿3の画像を読み取る第1読取部51と第2読取部52と、原稿3を搬送経路2に沿って搬送方向Fに搬送し、搬送方向Fにおいて、第1読取部51の上流に設けられた第1搬送ローラー4と、第1読取部51より下流に位置する第2読取部52の上流に設けられた第2搬送ローラー6と、第2読取部52の下流に設けられた第3搬送ローラー8とを備えている。
第1搬送ローラー4の搬送方向Fにおける上流には、給送ローラー10と分離ローラー7のローラー対が配置されている。給送ローラー10は、不図示の駆動源の動力によって回転する駆動ローラーであり、原稿3を搬送方向Fに向かって搬送する。分離ローラー7は、図示を省く駆動源の動力によって回転する駆動ローラーであり、複数枚の原稿3から原稿を1枚に分離するローラーである。
【0041】
ここで、分離ローラー7はリタードローラーが使われている。分離ローラー7は、前記駆動源の動力によって原稿3を搬送方向Fの上流側(+Y方向)に送る回転方向に回転する。分離ローラー7は、不図示のトルクリミッタを備えており、分離された原稿3を搬送する場合トルクリミッタに設定値を超えるトルクがかかるので原稿3を搬送方向Fに下流側(-Y方向)に送る回転方向に従動回転する。
分離ローラー7の上流にはピックローラー12が配置されている。ピックローラー12は、給送ローラー10と同じ駆動源の動力によって回転する駆動ローラーであり、原稿3を搬送方向Fに向かって搬送する。原稿3を搬送方向Fに搬送する搬送部5を成す第1搬送ローラー4、第2搬送ローラー6、及び第3搬送ローラー8も第1駆動源15の動力によって回転する駆動ローラーを備えている。
本実施形態では、第3搬送ローラー8の下流に湾曲反転経路18が設けられている。湾曲反転経路18には、第4搬送ローラー20、第5搬送ローラー22、排出ローラー24が、搬送方向Fに沿ってこの順番で配置されている。
【0042】
図1において、符号71は制御部である。制御部71は、第1駆動源15の駆動及び第2駆動源27の駆動を媒体3の搬送に対応させて制御する。制御部71は、CPU、フラッシュROM、及びRAMを備えている。CPUはフラッシュROMに格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、画像読取装置1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROMは読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。記憶手段の一例であるRAMには、一時的に各種情報が格納される。
【0043】
図1において、符号14は読取対象となる原稿3をセットする原稿載置部であり、符号16は読取が済んだ原稿3が排出される排出受け部である。
原稿載置部14は、上下に移動するように構成されている。原稿載置部14にセットされている原稿3を搬送方向Fに送る場合は、先ず原稿載置部14が上方(+Z方向)に移動し、セットされている原稿3の最上位に位置するものがピックローラー12に接触した状態で停止する。その状態でピックローラー12が回転することで原稿3が搬送方向Fに送られ、原稿3の先端が給送ローラー10と分離ローラー7のローラー対のニップ位置に達する。
【0044】
原稿3が複数枚で送られる重送状態の場合は、分離ローラー7によって1枚に分離され、その1枚が第1搬送ローラー4により搬送方向Fに搬送され、第1読取部51で原稿3の第1面の画像の読み取りが実行される。更に、第1読取部51で読み取りが実行された原稿3は、第2搬送ローラー6により搬送され、第2読取部52で原稿3の第1面と反対側の第2面の画像の読み取りが実行される。
第2読取部52で読み取りが実行された原稿3は、第3搬送ローラー8によって湾曲反転経路18に送られ、第4搬送ローラー20、第5搬送ローラー22により搬送され、排出ローラー24によって排出受け部16には排出される。
【0045】
<回転部材 背景部>
図1から図6に示したように、本実施形態では、画像読取装置1は、原稿3を搬送する搬送部5と、搬送部5により搬送経路2を搬送方向Fに搬送される原稿3の上面となる第1面301(図4)の画像を読み取る読取部である第1読取部51を備えている。更に、搬送方向Fにおいて第1読取部51に対して下流に設けられ、搬送部5により搬送される原稿3の下面となる第2面302(図4)の画像を読み取る読取部である第2読取部52を備えている。
第1読取部51と対向する位置には、回転部材である第1回転部材31が設けられている。第2読取部52と対向する位置には、回転部材である第2回転部材32が設けられている。
【0046】
本実施形態では、第1読取部51は搬送経路1の上側に位置し、対向する第1回転部材31は搬送経路2の下側に位置する。一方、第2読取部52は搬送経路2の下側に位置し、対向する第2回転部材32は搬送経路2の上側に位置する。
第1読取部51と第2読取部52は同じ構造のものであり、第1回転部材31と第2回転部材32も同じ構造のものである。両者は上下の配置の関係が逆である点だけが相違する。そのため、以下では図に基づく説明においては、一方の第2読取部52と第2回転部材32の部分についての図を用いて説明し、他方の第1読取部51と第1回転部材31の部分についての図は省く。
【0047】
図4に示したように、第1回転部材31及び第2回転部材32は、互いに明度の異なる色を有する2つの背景部9である白背景部91と黒背景部92とを周面13に備えている。ここでは、互いに明度の異なる色として白色と黒色が採用されている。尚、背景部9としては、これらの2色のものに限定されないことは勿論であり、また、原稿の地色に合わせて色等を含めて3色以上の色で背景部を構成してもよい。
第1回転部材31及び第2回転部材32は、第2駆動源27(図2図6)を成すモーターの動力により軸11(図1図2)の回りに回転することで、第1読取部51及び第2読取部52の読取位置41、42(図1図2)に対して白背景部91と黒背景部92をそれぞれ位置させることができるように構成されている。図4は、白背景部91が第2読取部52の読取位置42に位置している状態である。
【0048】
更に、図2から図6に示したように、本実施形態では、第1回転部材31及び第2回転部材32は、第1読取部51及び第2読取部52の色校正を行うための校正基準部33を備えている。ここでは、構成基準部33の色は白であるが、白色のものに限定されない。例えばグレー等の色も用いることができる。
図5は、第2回転部材32が回転されて構成基準部33が読取位置42と対向する位置に移動された状態である。
【0049】
更に、第1回転部材31は、図示を省く装置フレームに固定されている第1読取部51に対して離間可能に構成されている。第2回転部材32も、同じく前記装置フレームに固定されている第2読取部52に対して離間可能に構成されている。
具体的には、第1回転部材31は、第1読取部51の透光板43(図1)に対して離間可能に構成され、第2回転部材32は、第2読取部52の透光板43(図1図4)に対して離間可能に構成されている。透光板43は、搬送方向Fの上流の端部に傾斜面44が形成されており、搬送される原稿3は、傾斜面44にガイドされて第2回転部材32の方向に導かれる。
【0050】
<案内部材>
また、図1に示したように、本実施形態では、搬送方向Fにおいて第1回転部材31に対して上流に設けられ、原稿3を第1読取部51と第1回転部材31との間に案内する案内部材として第1案内部材61を備えている。同様に、図1図4に示したように、搬送方向Fにおいて第2回転部材32に対して上流に設けられ、原稿3を第2読取部52と第2回転部材32との間に案内する案内部材として第2案内部材62を備えている。
更に、第1案内部材61は、原稿3が搬送される搬送経路2に対して離間可能に構成されている。同様に、第2案内部材62も、原稿3が搬送される搬送経路2に対して離間可能に構成されている。図4に示したように、具体的には、第1案内部材61は、第1読取部51の透光板43に対して離間可能に構成され、第2案内部材62は、第2読取部52の透光板43に対して離間可能に構成されている。
【0051】
また、図2から図4に示したように、本実施形態では、第1案内部材61及び第2案内部材62は、周面が曲面であるローラー26を有している。ローラー26の周面は円筒形状である。そして、このローラー26は、第1駆動源15の動力の伝達を受けて回転する駆動ローラー26(同じものなので同じ符号を用いる)として構成されている。第1駆動源15は搬送部5を駆動するモーターである。
尚、駆動ローラー26は、第1駆動源15とは異なるモーターで駆動されるようにしてもよい。
【0052】
<離間可能とする構造>
また、図2図4に示したように、本実施形態では、第2案内部材62と第2回転部材32は、両者の各軸48、11(図2)が原稿3の幅方向の一端側と他端側に位置する一対の連結部材16、17の図示を省く軸受より軸受されて一体化されている。この一体化により、第2案内部材62と第2回転部材32は、連結部材16、17によって前記離間する方向に一体に移動するように構成されている。
第2読取部52の透光板43上に原稿3が搬送されていない状態(図4の上の図)における第2回転部材32と第2読取部52との相対配置及び第2案内部材62と搬送経路2、ここでは透光板43との相対配置は、連結部材16、17の接触面19(図2)が第2読取部52の被接触面21(図2)に接触する状態で決められている。尚、図4では、被接触面21の図示は、図が複雑化するので省かれている。
なお、第2読取部52の透光板43上に原稿3が搬送されていない状態では、第2回転部材32と第2読取部52との間には所定の隙間が設けられている。同様に、第2案内部材62と透光板43との間には所定の隙間が設けられている。当該所定の隙間は、厚みが薄い原稿3や剛性弱い原稿3が搬送される場合に第2回転部材32と第2読取部52の間及び第2案内部材62と透光板43との間に当該原稿3を適切に搬送するために設けられている。なお、当該所定の隙間が設けられていなくてもよい。
第1案内部材61と第1回転部材31も、第2案内部材62と第2回転部材32と同様の構造で一対の連結部材16、17により一体化されている。
【0053】
本実施形態では、図2図4に示したように、第1回転部材31は、第1案内部材61が搬送経路2に対して離間することに連動して、第1読取部51から離間する、具体的は透光板43に対して離間するように構成されている。同様に、第2回転部材32も、第2案内部材62が搬送経路2に対して離間することに連動して、第2読取部52から離間する、具体的は透光板43に対して離間するように構成されている。
即ち、第1回転部材31と第1案内部材61の前記連動、及び第2回転部材32と第2案内部材62の前記連動は、連結部材16、17による前記一体化された構造により実現されている。
【0054】
更に本実施形態では、図4の下の図に示したように、第2案内部材62は、搬送される原稿3と接触することにより搬送経路2に対して離間するように構成されている。ここでは、搬送される原稿3が第2読取部52の透光板43の上面に達し、更に搬送されて第2案内部材62の位置まで達すると、上側の第2案内部材62と下側の透光板43との間に入り込み、これにより原稿3の厚みの分だけ、第2案内部材62が透光板43対して上方に持ち上げられて離間するように構成されている。そして、第2案内部材62が上記のように透光板43対して離間移動すると、連結部材16、17も一緒に移動し、第2回転部材32も一緒に透光板43に対して離間移動することになる。
第1案内部材61も、第2案内部材62と同様の構造で、搬送される原稿3と接触することにより搬送経路2に対して、即ち透光板43に対して離間するように構成されている。
【0055】
更に本実施形態では、図1図2に示したように、第1回転部材31を第1読取部51に向かって弾性的に押す押し部材である第1押し部材201と、第2回転部材32を第2読取部52に向かって弾性的に押す第2押し部材202とを備えている。第1押し部材201は、原稿3の第1面301である下面に対して下方から上方に向かって押し、第2押し部材202は、原稿3の第2面302である上面を上方から下方に向かって押すように配置されている。なお、第1押し部材201と第2押し部材202は、一例としてコイルばねを有する。
更に、上記配置の下で、第1押し部材210の+Z方向に向かって押す押し力は、第2押し部材202の-Z方向に向かって押す押し力よりも大きい押し力となるように設定されていてもよい。
【0056】
<実施形態1の動作の説明>
図4に基いて、実施形態1の動作を説明する。図4の上の図に示したように、原稿3が搬送部5によって搬送方向Fに搬送されて、その先端が第2案内部材62と透光板43との間を通過すると、図4の下の図に示したように、原稿3の厚みの分だけ第2案内部62が上方に持ち上げられて移動し、透光板43から離間する。この第2案内部62の離間移動により連結部材16、17を介して第2回転部材32も連動して一緒に上方に持ち上げられる。即ち、第2回転部材32も原稿3厚みの分だけ上方に移動し、透光板43から離間する。これにより、原稿3の厚みの増加に対応した搬送、及び画像の読み取りを行うことができる。
【0057】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態によれば、少なくとも2つの背景部9を周面13に備える回転部材である第1回転部材31及び第2回転部材32は、第1読取部51及び第2読取部52に対して離間可能に構成されている。これにより、厚みの厚い原稿3が搬送された場合、第1回転部材31及び第2回転部材32を第1読取部51及び第2読取部52に対してその厚みの増加分だけ離間させることで、その厚みに応じて適切な位置に背景部9を位置させることが可能となり、以って読み取り品質を安定させることができる。
また、第1回転部材31及び第2回転部材32が離間可能であるので、厚い原稿3が搬送された際に原稿3が背景部9に当たる虞を抑制することができ、背景部9が破損したり、原稿3がジャムしたりする虞を低減することができる。
【0058】
(2)また、本実施形態によれば、搬送方向Fにおいて第1回転部材31及び第2回転部材32に対して上流に設けられ、原稿3を第1読取部51及び第2読取部52と第1回転部材31及び第2回転部材32との間に案内する案内部材である第1案内部材61及び第2案内部材62を備えているので、原稿3を第1読取部51及び第2読取部52と第1回転部材31及び第2回転部材32との間に適切に案内することができる。
また、第1案内部材61及び第2案内部材62は、原稿3が搬送される搬送経路2に対して離間可能である。これにより、厚みの厚い原稿3が搬送された場合、第1案内部材61及び第2案内部材62を搬送経路2に対してその厚みの増加分だけ離間させることで、その厚みに応じて適切な位置で原稿3を案内することが可能となる。
【0059】
(3)また、本実施形態によれば、第1回転部材31及び第2回転部材32は、第1案内部材61及び第2案内部材62の離間に連動して第1読取部51及び第2読取部52から離間する。これにより、第1回転部材31及び第2回転部材32は厚みが異なる原稿3が搬送された場合にレスポンスよく第1読取部51及び第2読取部52から離間することができる。
(4)また、本実施形態によれば、第1案内部材61及び第2案内部材62は、搬送される原稿3と接触することにより搬送経路2に対して離間するので、第1案内部材61及び第2案内部材62を離間させる駆動源が不要となり、構成が簡易化できる。
【0060】
(5)また、本実施形態によれば、第1案内部材61及び第2案内部材62と第1回転部材31及び第2回転部材32は、連結部材16、17を介して前記離間する方向に一体に移動する。これにより、簡単な構造で第1案内部材61及び第2案内部材62の搬送経路2からの離間、及び第1回転部材31及び第2回転部材32の第1読取部51及び第2読取部52からの離間を、一緒に行うことができる。また、搬送される原稿3の先端が第1案内部材61及び第2案内部材62と接触してから原稿3の後端が第1回転部材31及び第2回転部材32との接触が外れるまでの間、第1読取部51及び第2読取部52と第1回転部材31及び第2回転部材32との離間状態を維持することができる。
(6)また、本実施形態によれば、第1案内部材61及び第2案内部材62を搬送経路2に向かって弾性的に押す第1押し部材201及び第2押し部材202を備えているので、第1案内部材61及び第2案内部材62により原稿3を抑え込むことができ、以って搬送性能を向上することができる。
【0061】
(7)また、本実施形態によれば、第1案内部材61及び第2案内部材62として周面が曲面であるローラー26を用いることで、原稿3の先端がローラー26の曲面に接触することになり、原稿3の先端が折れたり、搬送負荷が生じて搬送不良となったりすることを抑制することができる。
(8)パスポート、冊子等の厚い原稿を搬送する場合前記搬送経路から受ける搬送負荷により搬送量が安定しない場合がある。本実施形態によれば、ローラー26を駆動ローラー26とすることで厚い原稿3を搬送する際の搬送量を安定させることができる。
(9)また、本実施形態によれば、搬送部5と駆動ローラー26とが同じ第1駆動源15により回転するため、原稿3の搬送量が安定し、画像をより高品質で読み取ることができる。
(10)また、本実施形態によれば、第1回転部材31及び第2回転部材32は、第1読取部51及び第2読取部52の色校正を行うための校正基準部33を備える。これにより、色校正専用の構成基準部33を、背景部9と同じく第1回転部材31及び第2回転部材32に設けることで、部品点数を増やすことなく、構造簡単に設けることができる。
【0062】
(11)また、少なくとも2つの背景部9を周面に備える第1回転部材31及び第2回転部材32は、第1読取部51及び第2読取部52に対して相対的に離間可能に構成されている。これにより、厚みの厚い原稿3が搬送された場合、第1回転部材31及び第2回転部材32を第1読取部51及び第2読取部52に対してその厚みの増加分だけ離間させることで、その厚みに応じて適切な位置に背景部9を位置させることが可能となり、以って読み取り品質を安定させることができる。
(12)また、本実施形態によれば、第1読取部51と第2読取部52は固定されているので、前記読取の品質を安定させることができる。
(13)また、本実施形態によれば、第1押し部材201の押し力は、第2押し部材202の押し力よりも大きいことで、搬送経路2に対して下方に設けられる第1回転部材31を適切な姿勢で維持させることができる。
【0063】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る画像読取装置1について説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
実施形態1では、第1読取部51と第2読取部52は固定され、第1回転部材31と第2回転部材32は離間可能である構造である。しかし、本実施形態では、原稿3の第1面301は上面であり、第2面302は下面として、第1回転部材31は固定され、第1読取部51は第1回転部材31に対して離間可能であり、第2読取部52は固定され、第2回転部材32は第2読取部52に対して離間可能に構成されている。
【0064】
搬送経路2に対して下方に位置する部材を移動させて離間及び接近させる場合、前記部材を上方に押し上げたり、前記部材の姿勢を維持したりする機構が必要となり、構造が複雑化し易い。本実施形態によれば、搬送経路2に対して下方にある部材である第1回転部材31と第2読取部52は固定され、上方にある部材である第1読取部51と第2回転部材32を離間及び接近させる構造にしたので、構造の複雑化を抑制することができる。
【0065】
[実施形態3]
次に、実施形態3に係る画像読取装置1について図7に基いて説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付して、その構成及び対応する効果の説明は省略する。
実施形態3では、前記案内部材と前記背景部とを一つの部材で構成したものである。具体的には、第1回転部材31と第2回転部材32は、背景部9として周面が第1色29である第1回転ローラー81と、背景部9として周面が第1色29とは異なる色30である第2回転ローラーと82を備えている。ここで3は第1色29は白であり、異なる色30は黒である。尚、図7は、第2回転部材32の部分を示す図であるので、第1回転部材31は同図に表れていない。第1回転部材31の部分については、基本構造は同じであるので、その図示は省く。
更に、第1回転ローラー81及び第2回転ローラー82は、駆動源の動力により回転する駆動ローラーとして構成されている。ここでは、前記駆動源として搬送部5を駆動させる第1駆動源15の動力が、図示を省く動力伝達機構を介して伝達されて回転駆動するように構成されている。尚、前記駆動源は第1駆動源15とは別のモーターで駆動させてもよい。
【0066】
本実施形態によれば、第1回転部材31と第2回転部材32は、背景部9として第1回転ローラー81と第2回転ローラー82とを備える。これにより、第1回転部材31と第2回転部材32まで原稿3が搬送された際に、第1回転ローラー81と第2回転ローラー82は、背景部9としての機能を発揮しつつ、回転することで原稿3の搬送の安定性を向上することができる。また、回転することで背景部9が破損したり原稿3がジャムしたりする虞を低減することができる。
また、厚い原稿3を搬送する場合、搬送経路2から受ける搬送負荷により搬送量が安定しない場合がある。本実施形態によれば、第1回転ローラー81及び第2回転ローラー82は、駆動源の動力により回転する駆動ローラー26である。これにより、背景部9としてのローラー26が駆動回転することで厚い原稿3に搬送力を与えること可能となり、以って搬送する際の搬送量を安定させることができる。
【0067】
〔他の実施形態〕
本発明に係る画像読取装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
上記第1実施形態では第1回転部材31及び第2回転部材32が第1読取部51及び第2読取部52に対して離間可能に構成されていたが、第1読取部51及び第1回転部材31の少なくとも一方が他方に対して離間可能に構成され、第2読取部52及び第2回転部材32の少なくとも一方が他方に対して離間可能に構成されていてもよい。
上記実施形態では、読取部として第1読取部51と第2読取部52を備え、媒体3の第1面と第2面の両面読取を行える画像読取装置を説明したが、片面読取構造の画像読取装置にも適用することができるものである。
また、上記実施形態では、前記回転部材が前記読取部に対して離間可能である構造を説明したが、前記読取部が前記回転部材に対して離間可能である構造でもよい。
また、上記実施形態では、前記案内部材がローラー26を有する構造を説明したが、ローラー26ではなく、案内用のガイドであってもよい。また、案内部材がローラー26と案内用のガイドとを有する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、前記案内部材は原稿3により押し上げられる構成であるが、駆動源により離間させる構成としても良い。
また、厚みの薄い原稿3、すなわち、所定の厚みよりも薄い原稿3が搬送される場合、第1回転部材31及び第2回転部材32を第1読取部51及び第2読取部52に対して離間しない構成にしてもよい。例えば、第1回転部材31及び第2回転部材32を透光板43から所定の厚み分離間させた位置に設ければよい。
また、所定の厚みよりも薄い原稿3が搬送される場合、第1回転部材31及び第2回転部材32が第1案内部材61及び第2案内部材62と連動しない構成であってもよい。換言すると、所定の厚みよりも厚い原稿3が搬送される場合にのみ、第1回転部材31及び第2回転部材32が第1案内部材61及び第2案内部材62と連動する構成であってもよい。例えば、連結部材16、17が、所定の厚みよりも薄い原稿3が搬送される場合、第1案内部材61及び第2案内部材62の所定の厚み分の変位を第1回転部材31及び第2回転部材32に伝達しない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…画像読取装置、2…搬送経路、3…原稿、4…第1搬送ローラー、
5…搬送部、6…第2搬送ローラー、7…分離ローラー、8…第3搬送ローラー、
9…背景部、10…給送ローラー、11…軸、12…ピックローラー、
13…周面、14…原稿載置部、15…第1駆動源、16…排出受け部、
17…連結部材、18…湾曲反転経路、19…接触面、
20…第4搬送ローラー、21…被接触面、22…第5搬送ローラー、
24…排出ローラー、26…ローラー、27…第2駆動源、29…第1色、
30…第1色と異なる色、31…第1回転部材、32…第2回転部材、
33…構成基準部、41…読取位置、42…読取位置、43…透光板、
44…傾斜面、48…軸、61…第1案内部材、62…第2案内部材、
71…制御部、91…白背景部、92…黒背景部、201…第1押し部材、
202…第2押し部材、301…第1面、302…第2面、
F…搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7