(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134773
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】異常温度検出装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240927BHJP
G08B 17/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045127
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】浅井 伯公
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AC16
5C085AC18
5C085BA12
5C085CA07
5C085CA19
5C085CA23
5C085FA13
5C085FA21
5G405AA01
5G405AB01
5G405AD01
5G405AD04
5G405CA06
5G405CA08
5G405CA19
5G405FA08
(57)【要約】
【課題】測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を迅速に検出することができる「インシデントセンサ」としての機能を備えるとともに、自動火災報知設備に対して容易に組み込むことができる異常温度検出装置を得る
【解決手段】異常温度を検出するための測定対象の温度測定値をアナログ信号として出力する温度測定部と、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇したことを検出するためにあらかじめ設定された温度閾値と、温度測定部から出力された温度測定値とを比較し、温度測定値が温度閾値に到達した際に閉状態となる接点信号を警報信号として出力するコントローラとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常温度を検出するための測定対象の温度測定値をアナログ信号として出力する温度測定部と、
前記測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇したことを検出するためにあらかじめ設定された温度閾値と、前記温度測定部から出力された前記温度測定値とを比較し、前記温度測定値が前記温度閾値に到達した際に閉状態となる接点信号を警報信号として出力するコントローラと
を備える異常温度検出装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記測定対象に応じて前記温度閾値を設定変更できる設定入力部を有している
請求項1に記載の異常温度検出装置。
【請求項3】
前記温度測定部は、前記測定対象に対して着脱可能であり、前記測定対象に取り付けられることで、前記測定対象に接触した状態で測定した前記温度測定値を前記アナログ信号として出力する
請求項1または2に記載の異常温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を検出することに適した異常温度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある損保会社のプレスリリースでは、保険会社において、火災に関する支払保険金が増加傾向にあることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1では、支払保険金の内訳を調査した結果、電気系統が、要因の割合としては約3割であるのに対して、支払保険金の割合としては5割を超えていることが示されている。
【0003】
さらに、非特許文献1では、電気系統の事故の7割強は、サーモグラフィで発見可能な事故に分類されることが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】AIG損保 プレスリリース 「企業向け火災保険の顧客企業向けに、業界初、赤外線サーモグラフィによる電気系統の危険診断調査サービスを開始」(URL:https://www.aig.co.jp/sonpo/company/press/2022/20220930-01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な自動火災報知設備では、火災監視エリアに火災感知器を設置し、熱、煙などが発生した状態を検知することで、火災が発生した状態を判定している。しかしながら、非特許文献1による報告内容を参照すると、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を迅速に検出することができる「インシデントセンサ」としての機能を設けることも重要である。
【0006】
自動火災報知設備に対して、このような「インシデントセンサ」の機能を付加するためには、異常温度になった状態を接点信号として出力し、自動火災報知設備に含まれる火災受信機に移報信号として読み込ませる構成とする必要がある。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を迅速に検出することができる「インシデントセンサ」としての機能を備えるとともに、自動火災報知設備に対して容易に組み込むことができる異常温度検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る異常温度検出装置は、異常温度を検出するための測定対象の温度測定値をアナログ信号として出力する温度測定部と、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇したことを検出するためにあらかじめ設定された温度閾値と、温度測定部から出力された温度測定値とを比較し、温度測定値が温度閾値に到達した際に閉状態となる接点信号を警報信号として出力するコントローラとを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を迅速に検出することができる「インシデントセンサ」としての機能を備えるとともに、自動火災報知設備に対して容易に組み込むことができる異常温度検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る異常温度検出装置の全体構成図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る異常温度検出装置を組み込んだ自動火災報知設備の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の異常温度検出装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る異常温度検出装置は、所望の測定対象における温度をモニタし、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を警報信号として迅速に検出する「インシデントセンサ」としての機能を実現し、かつ、警報信号を接点信号として出力することで、自動火災報知設備をはじめとする既存の防災設備、防災機器にも容易に組み込むことができる構成を有することを技術的特徴とするものである。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る異常温度検出装置の全体構成図である。本実施の形態1に係る異常温度検出装置100は、温度測定部110およびコントローラ120を備えて構成されている。
【0013】
なお、
図1では、異常温度を検出するための測定対象1を、配電盤等に収納されている機器を電気的に接続する配線として例示している。ただし、測定対象1は、配線には限定されず、電気系統を構成する機器、装置などを、異常温度を検出するための所望の測定対象1とすることができる。
【0014】
温度測定部110は、異常温度を検出するための測定対象1である配線の温度測定値をアナログ信号として出力する。温度測定部110としては、温度測定を行うためのサーミスタが組み込まれたバンドとして構成することができる。
【0015】
このようなバンドを配線に巻き付けることで、測定対象1である配線に温度測定部110を接触させた状態で、温度測定値をアナログ信号として出力することができる。また、バンドとして構成することで、温度測定部110の着脱が容易となり、所望の測定対象1に対して取り付けることが可能となる。
【0016】
なお、温度測定部110は、サーミスタを用いた構成には限定されず、サーモパイル等、温度が測定できるものを用いた構成であればよい。ただし、本実施の形態1に係る温度測定部110は、温度測定値をアナログ信号として出力することを必須の機能としている。すなわち、温度測定部110は、測定対象1の現状の温度状態をモニタすることができるものである。
【0017】
コントローラ120は、受信処理部121、温度監視部122、および設定入力部123を備えて構成されている。受信処理部121は、温度測定部110から出力される温度測定値をアナログ信号として受信する。
【0018】
温度監視部122は、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇したことを検出するためにあらかじめ設定された温度閾値と、温度測定部110から出力されて受信処理部121を介して受信した温度測定値とを比較する。
【0019】
そして、温度監視部122は、比較結果に基づいて、温度測定値が温度閾値に到達した場合には、閉状態となる接点信号を警報信号として出力する。従って、コントローラ120は、測定対象1の現状の温度状態のモニタ結果に基づいて、測定対象1の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を迅速に検出することができる「インシデントセンサ」としての機能を実現できる。
【0020】
なお、温度監視部122は、接点信号として警報信号を出力する機能に加え、無線通信機能を備えている場合には、測定対象1の温度が異常温度まで上昇した状態を、管理者等が所持する携帯端末に対して無線通信により報知することが可能となる。
【0021】
設定入力部123は、ユーザが、測定対象に応じて温度閾値を所望の値に設定変更できる入力部として機能する。なお、設定入力部123を備えていない場合には、温度閾値を固定値として持たせることができるが、設定入力部123を備えている場合には、ユーザは、測定対象1に応じて、あるいは測定対象1の設置環境に応じて、所望の温度閾値に変更することが可能となる。
【0022】
さらに、本実施の形態1に係る異常温度検出装置100は、異常温度状態を接点信号として出力できる機能を備えることで、自動火災報知設備に含まれる火災受信機に対して移報接点として接続することができる。
【0023】
図2は、本開示の実施の形態1に係る異常温度検出装置100を組み込んだ自動火災報知設備の全体構成図である。
図2では、既存の防災設備の一例である自動火災報知設備に対して、さらに、本開示に係る異常温度検出装置100が組み込まれている場合を例示している。なお、既存の自動火災報知設備に関する説明は省略する。
【0024】
図2の構成とすることで、火災受信機10は、感知器群あるいはアドレッサブル発信機20からの火災信号をモニタするとともに、異常温度検出装置100から出力される接点信号である警報信号をさらにモニタすることができる。
【0025】
この結果、一般的な自動火災報知設備に対して、測定対象の温度が火災に至る前の異常温度まで上昇した状態を迅速に検出することができる「インシデントセンサ」としての機能を容易に付加することができる。
【0026】
さらに、火災受信機10からネットワークを介して上位装置に対して警報信号が検出されたことを直ちに報知することができる。
【0027】
以上のように、実施の形態1によれば、簡易構成により、所望の測定対象の温度状態をモニタし、温度閾値に到達した際に、直ちに閉状態となる接点信号を出力することができる異常温度検出装置を実現できる。
【0028】
特に、温度測定部を、マジックテープ(登録商標)のような形状を備えるバンドとして構成した場合には、所望の測定対象に容易に着脱可能とすることができる。従って、配電盤内の配線、火災に至る前の異常温度状態を検出したい機器など、所望の測定対象に対して温度測定部を容易に設置でき、インシデントセンサとしての機能を実現することができる。
【0029】
また、温度閾値を容易に設定変更できる機能を付加することで、種々の現場において、所望の測定対象に対して、適切な閾値を用いた温度監視を実現することができる。
【0030】
さらに、異常温度状態を接点信号として出力できる機能を備えることで、火災受信機に対して移報接点として接続することができる。このような接続構成を採用することで、既存の自動火災報知設備をはじめとする既存の防災設備、防災機器に対して、インシデントセンサの機能を容易に付加する、あるいは後付けすることが可能となり、電気系統のヘルスモニタリングを実現するシステムを構築することができる。
【0031】
すなわち、サーモグラフィで発見可能な電気系統の事故に対して本開示に係る異常温度検出装置を適用することにより、電気系統の事故の発生を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 測定対象、10 火災受信機、100 異常温度検出装置、110 温度測定部、120 コントローラ、121 受信処理部、122 温度監視部、123 設定入力部。