(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134790
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20240927BHJP
E06B 3/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E06B9/52 E
E06B9/52 B
E06B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045153
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】冨田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014EB02
2E014EB04
2E014EB08
(57)【要約】
【課題】好適に採風可能且つ網戸の弛みを抑制可能な建具を提供すること。
【解決手段】枠体10と、枠体10の内周側に保持された障子30と、網材71と、網材71を枠体10に対して固定するマグネット73と、を有し、枠体10の内周側にて障子30よりも室外側X1に設けられた網戸70と、枠体10と、障子30と、の間の隙間を封止する気密部材60と、を備え、枠体10は、障子30よりも室外側X1において枠体10の内周側に突出する突出部19を有し、気密部材60は、マグネット73よりも内周側に配置されている、内倒し窓1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体の内周側に保持された障子と、
網材と、前記網材を前記枠体に対して固定する網固定部と、を有し、前記枠体の内周側にて前記障子よりも室外側に設けられた網戸と、
前記枠体と、前記障子と、の間の隙間を封止する気密部材と、
を備え、
前記枠体は、前記障子よりも室外側において前記枠体の内周側に突出する突出部を有し、
前記気密部材は、前記網固定部よりも前記枠体の内周側に配置されている、建具。
【請求項2】
前記網固定部は、粘着テープである、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記網固定部は、磁石である、請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記網固定部には、網戸框が設けられ、前記枠体と前記網戸框の間に前記網固定部が設けられている、請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記網戸は、前記網材に設けられ、前記気密部材と当接する当接部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記当接部は、前記網材よりも軟質の素材で形成されている、請求項5に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、網戸と、障子とを備える建具において、種々の網戸(網材)の固定方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の建具は、室内側に開く障子と、障子により閉止される開口を備えた枠体と、当該開口を障子の室外側にて覆う網材と、を備えている。枠体には、開口の内周側に突出する内周突出部が設けられており、その室内側の面には、面ファスナーの雌係止要素が設けられている。網材の周縁部には、その室外側の面に、面ファスナーの雄係止要素が設けられている。面ファスナーの雄係止要素と雌係止要素とを貼り合わせることで、網材を枠体に固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の建具では、内周突出部の室内側の面上において、面ファスナーの雌係止要素と、閉状態の障子と当接して開口の気密性を高めるシール材と、が並んでいる。この場合、内周突出部は、突出寸法が比較的大きくなってしまうため、建具による採風を妨げてしまうおそれがある。
【0006】
また、面ファスナーや粘着テープといった貼り合わせにより対象を固定するものは、比較的固定力が弱いため、固定箇所にずれが生じ易いと考えられる。そのため、網戸に弛みが発生してしまうおそれがある。
【0007】
本開示は、好適に採風可能且つ網戸の弛みを抑制可能な建具を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、枠体と、前記枠体の内周側に保持された障子と、網材と、前記網材を前記枠体に対して固定する網固定部と、を有し、前記枠体の内周側にて前記障子よりも室外側に設けられた網戸と、前記枠体と、前記障子と、の間の隙間を封止する気密部材と、を備え、前記枠体は、前記障子よりも室外側において前記枠体の内周側に突出する突出部を有し、前記突出部により囲まれて形成され、空気が通過する領域を採風領域とすると、前記網固定部は、前記気密部材よりも前記採風領域から離間する側に配置されている、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本実施形態の内倒し窓の変形例を示す縦断面図である。
【
図4】本実施形態の内倒し窓の変形例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る内倒し窓1について、
図1~
図2を参照しつつ説明する。内倒し窓1は、建物の外壁部に形成された開口部(図示略)に設けられている。内倒し窓1は、建具に相当する。
【0011】
本明細書において、「見付方向」とは、建物に取り付けられた内倒し窓1における障子30の面材(ガラス35)の面方向を意味し、「見込方向」とは、当該面材の厚さ方向を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「左右方向」とは、内倒し窓1を見込方向に見た場合の横方向をいい、「左右」とは、室内側X2から見た場合の左右をいう。図面において、内倒し窓1の室外側を室外側X1とし、内倒し窓1の室内側を室内側X2とする。「開方向」とは、障子30が閉状態から開状態へと移行する場合の動作方向であり、「閉方向」とは、障子30が開状態から閉状態へと移行する場合の動作方向である。内倒し窓1の場合、障子30から見た室内側X2方向が、開方向に相当し、障子30から見た室外側X1方向が、閉方向に相当する。
【0012】
なお、
図1の縦断面図は、内倒し窓1を左右方向の中央部で切断し、左方向から見た断面図である。
図2の横断面図は、内倒し窓1を上下方向の中央部で切断し、上方向から見た断面図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、内倒し窓1は、枠体10と、障子30と、気密部材60と、網戸70と、を備える。
【0014】
枠体10は、上枠11と、下枠15と、左右一対の縦枠18と、を有する。上枠11と、下枠15と、各縦枠18とは、矩形状に枠組みされている。各縦枠18と、上枠11と、下枠15とで囲まれた空間は、矩形状の開口10aとなっている。開口10aの内部には、障子30と、網戸70とが設けられている。なお、枠体10に対して、枠体10の開口10a側を「内周側」とし、その反対側を「外周側」とする。
【0015】
枠体10は、内周側(すなわち、内倒し窓1の見付方向の中央部側)に突出する突出部19を有する。突出部19は、その板面が見付方向と平行となる板状をなしており、且つ、見込方向に見て矩形の環状をなしている。突出部19により囲まれた領域は、見込方向に見て矩形状をなしている。風が開口10aを通過する際には、その風は、突出部19で囲まれた領域(以下、「採風領域20」という)を通過する。
【0016】
上枠11は、ラッチ係合部13を有する。ラッチ係合部13は、鉤状をなし、上枠11の内周側に設けられている。ラッチ係合部13には、後述するラッチ部43のラッチボルト432が係合する。
【0017】
下枠15は、ヒンジ部17を有する。ヒンジ部17は、障子30を枠体10に対して開閉可能に接続する。ヒンジ部17は、下枠15の内周側に設けられ、下枠15から内周側に立ち上がる立ち上がり部171と、立ち上がり部171の先端部に形成され、断面視半円形をなす軸固定部172と、を有する。軸固定部172には、後述する軸部41が嵌め込まれる。
【0018】
障子30は、枠体10の開口10aの内部に設けられている。障子30は、障子枠31と、2つのガラス35と、スペーサ36と、軸部41と、ハンドル42と、ラッチ部43と、開閉アーム44と、を有する。
【0019】
障子枠31は、上框32と、下框33と、一対の縦框34と、が、矩形状に枠組みされて形成されている。
【0020】
2つのガラス35は、障子枠31の内側に配置されている。
【0021】
スペーサ36は、2つのガラス35の間に配置されている。
【0022】
軸部41は、下框33の下端側に設けられている。軸部41は、左右方向に延びている。軸部41は、ヒンジ部17の軸固定部172に嵌め込まれている。これにより、障子30は、枠体10に対して接続されるとともに、軸部41の中心軸線を中心として回動可能となっている。障子30は、開口10aを閉鎖する閉状態と、開口10aを閉鎖しない開状態と、のいずれかをとることができる。
【0023】
ハンドル42は、ユーザが障子30を開閉させる際に操作するものである。ハンドル42は、上框32の室内側X2の面に設けられている。ユーザがハンドル42を掴んで押し引きすると、障子30は、その下端側を中心として回動する。これにより、障子30が開閉され、詳しくは、障子30は、室内側X2において開閉動作する。
【0024】
ラッチ部43は、上框32の上端側に設けられている。ラッチ部43は、ラッチ本体部431と、ラッチ本体部431の上部に設けられ、上下方向に動作可能なラッチボルト432と、を有する。ラッチボルト432は、ラッチ本体部431から上方に突出している突出状態と、ラッチ本体部431に収納されている収納状態とをとる。障子30を閉状態とすると、ラッチボルト432は、突出状態となりラッチ係合部13に係合する。この場合、障子30は、閉じた状態で枠体10に留められる。ユーザがハンドル42を室内側X2に引くと、ラッチボルト432は、収納状態に移行するとともに、ラッチ係合部13との係合が解除される。このため、障子30を開状態へと移行させることができる。
【0025】
開閉アーム44は、左右一対として設けられている。各開閉アーム44のうち一方は、各縦枠18のうち一方と各縦框34のうち一方とを連結し、各開閉アーム44のうち他方は、各縦枠18のうち他方と各縦框34のうち他方とを連結する。障子30は、開状態とされると、開閉アーム44により所定の位置で固定される。
【0026】
気密部材60は、突出部19の室内側X2に設けられている。気密部材60は、見込方向に見て環状をなしている。気密部材60は、例えば、ゴム等の弾性素材により形成されている。気密部材60は、気密本体部61と、気密本体部61から室外側X1に突出する凸部62と、を有する。
【0027】
気密本体部61は、見込方向に見て環状に形成されている。気密本体部61は、断面がコ字状に形成されており、コ字状の開放部分は、採風領域20側を向いている。
【0028】
凸部62は、気密本体部61の環に沿って延びており、見込方向に見て環状をなしている。凸部62は、その室外側X1の端部から凸部62の環の内周側及び外周側にそれぞれ立ち上がる返し部63を有する。凸部62は、断面がT字状となっている。
【0029】
また、突出部19は、室内側X2に開口する溝部191と、マグネット192と、を有する。溝部191と、マグネット192とは、いずれも、採風領域20の外周に沿って延びており、室内側X2から見て矩形の環状をなしている。マグネット192は、溝部191よりも採風領域20から離間している。溝部191の溝幅は、室内側X2よりも室外側X1が大きくなっている。溝部191内の空間の断面形状は、T字状となっている。マグネット192は、薄板状をなしている。
【0030】
気密部材60の凸部62は、溝部58に挿入されている。これにより、気密部材60は、突出部19に対して固定されている。凸部62の返し部63は、溝部191の開口周縁部に係合している。これにより、凸部62の溝部58からの脱離が抑制されている。
【0031】
網戸70は、枠体10の開口10aの内部に設けられている。網戸70は、障子30よりも室外側X1に配置され、且つ突出部19及び気密部材60よりも室内側X2に配置されている。網戸70は、矩形状の網材71と、シート部72と、網固定部及び磁石としてのマグネット73と、を有する。なお、網材71の素材は、例えば、ステンレスである。
【0032】
シート部72は、網材71よりも軟質の素材により形成されたシートであり、例えば、軟質の樹脂により形成されている。シート部72は、網材71の周縁部に設けられており、詳しくは、網材71の周縁部の全周に亘って設けられている。なお、シート部72は、網材71よりも密に構成されており、詳しくは、均一な面状で実質的に無孔(非メッシュ状)に形成されている。これにより、シート部72は、空気を透過させにくくなっている。なお、シート部72の厚さは特に限定されるものではない。換言すると、当接部は、シート状に形成されているものに限定されず、例えば、角柱状に形成されていてもよい。
【0033】
マグネット73は、網戸70の周縁部に設けられており、詳しくは、シート部72の周縁部の全周に亘って設けられている。換言すると、マグネット73と、網材71とは、シート部72により繋がっている。マグネット73と、マグネット192とを対面させると、マグネット73と、マグネット192とは、磁力により吸着状態となる。網戸70は、マグネット73とマグネット192とが吸着状態となることで、突出部19の室内側X2に対して固定されている。なお、マグネット73とマグネット192とは、ユーザにより着脱自在となっている。
【0034】
障子30を閉状態とした場合、網戸70は、マグネット73よりも内周側(すなわち、突出部19が突出する方向側)において、気密部材60(気密本体部61)と、障子30(障子枠31)とにより挟まれている。詳しくは、シート部72が、気密部材60と障子30とにより挟まれている。これにより、網材71のずれを抑制することができるため、網戸70における弛みの発生を抑制することができる。
【0035】
気密部材60は、マグネット73よりも内周側に配置されている。このため、マグネット73により内倒し窓1の採風面積が小さくなってしまうのを抑制することができる。これにより、採風面積を確保し易くできるため、好適に採風可能とすることができる。
【0036】
シート部72は、網材71よりも軟質の素材で形成されている。これにより、気密部材60とシート部72との密着性は、気密部材60と網材71とを当接させた場合の密着性よりも高くなっている。このため、網材71のずれを好適に抑制することができる。なお、シート部72は、当接部に相当する。
【0037】
突出部19と障子枠31との間は、気密部材60と、網戸70(シート部72)と、により封止されている。これにより、障子30と枠体10との隙間を通じて室外側X1からの雨水や風等が室内に入り込むのを抑制することができる。また、シート部72は、非メッシュ状となっている。これにより、シート部72を空気が透過しにくくなっているため、気密部材60と網戸70との当接部分における気密性を向上させることができる。
【0038】
気密本体部61は、断面がコ字状に形成されている。このため、突出部19と、障子30とに挟まれた際に好適に押しつぶされる。これにより、突出部19と、障子30との間を、好適に封止することができる。
【0039】
本実施形態の内倒し窓1によれば、以下の効果が奏される。
【0040】
本実施形態によれば、枠体10と、枠体10の内周側に保持された障子30と、網材71と、網材71を枠体10に対して固定するマグネット73と、を有し、枠体10の内周側にて障子30よりも室外側X1に設けられた網戸70と、枠体10と、障子30と、の間の隙間を封止する気密部材60と、を備え、枠体10は、障子30よりも室外側X1において枠体10の内周側に突出する突出部19を有し、気密部材60は、マグネット73よりも内周側に配置されている、内倒し窓1を提供することができる。
【0041】
気密部材60は障子30(障子枠31)と当接するように設けられる。この場合、従来のように面ファスナー等の固定部材が気密部材よりも内周側にあると、採風面積が小さくなってしまうと考えられる。しかし、本実施形態では、気密部材60は、マグネット73より内周側に配置されている。これにより、採風面積を確保し易くすることができる。
【0042】
また、網戸70は、マグネット73により突出部19に対して固定されている。さらに、網戸70は、マグネット73よりも内周側において、気密部材60と、閉状態の障子30とにより挟まれている。これにより、網材71のずれを抑制することができる。
【0043】
したがって、好適に採風可能且つ網戸の弛みを抑制可能な内倒し窓1を提供することができる。
【0044】
本実施形態によれば、網戸70は、網材71に設けられ、障子30を閉状態とした場合に、気密部材60と当接するシート部72を有する。気密部材60とシート部72との密着性は、気密部材60と網材71とを当接させた場合の密着性よりも高くなっている。このため、網材71のずれを好適に抑制することができる。
【0045】
本実施形態によれば、シート部72は、網材71よりも軟質の素材で形成されている。これにより、気密部材60とシート部72との密着性を更に向上させることができるため、網材71のずれをより好適に抑制することができる。
【0046】
本実施形態によれば、シート部72は、非メッシュ状に構成されている。これにより、シート部72を空気が透過しにくくなっているため、気密部材60と網戸70との当接部分における気密性を向上させることができる。
【0047】
本実施形態によれば、建具は、内倒し窓1である。かかる構成においても、所望の効果を得ることができる。
【0048】
続いて、内倒し窓1の変形例について、
図3及び
図4に基づき説明する。変形例に係る内倒し窓1においては、網戸70の構成が上記実施形態とは異なっている。以下、相違点を中心に説明する。
【0049】
図3及び
図4に示すように、網戸70は、マグネット73に代えて、網戸70の周縁部に設けられた網戸框75を有する。網戸框75は、網戸70の周縁部の全周に亘って設けられており、見込方向に見て矩形の環状をなしている。
【0050】
網戸框75の内部には、網戸框75の内周に沿って形成された内部空間76が設けられている。内部空間76は、網戸框75の全周に亘って設けられており、見込方向に見て矩形の環状をなしている。内部空間76の空間の断面形状は、略正方形状となっている。内部空間76は、室外側X1に開口している。網戸框75には、内部空間76の開口縁のうち、内倒し窓1の見付方向の中央部側の開口縁に沿って延び、内部空間76の一部を室外側X1から覆う返し部77が設けられている。
【0051】
また、網戸70は、シート部72の外周縁に設けられ、網戸框75の内部空間76に挿入される挿入部78を有する。換言すると、網材71と、挿入部78とは、シート部72により繋がっている。挿入部78は、シート部72の外周縁の全周に亘って設けられている。挿入部78は、弾性を有する素材により、中空に形成されている。挿入部78の断面形状は、円環状となっている。挿入部78の断面の直径は、挿入部78が内部空間76にぴったり収容される大きさとなっており、詳しくは、挿入部78が太さ方向に若干圧縮された状態で内部空間76に収容される大きさとなっている。
【0052】
挿入部78は、網戸框75の内部空間76に収容されている。これにより、網材71及びシート部72は、網戸框75に取り付けられている。網戸70の外周縁に網戸框75が設けられていることにより、網材71の弛みが好適に抑制されている。
【0053】
挿入部78は、網戸框75が枠体10に固定されていない状態で、内部空間56の開口部分を通じて内部空間56に挿入可能である。挿入部52は、内部空間56に収容されると、返し部77により内部空間56の外方から抑えられる。これにより、網戸框75が突出部19に固定されていない状態であっても、挿入部52は、内部空間56から容易には脱離しない。また、挿入部52は、中空状に形成されているため、太さ方向に圧縮可能である。このため、挿入部52を太さ方向に圧縮しつつ、内部空間56に対して導入することで、返し部77が設けられていても、網材51を網戸框75に取り付けることができる。
【0054】
網戸框75は、磁性体で形成され、マグネット192が吸着可能となっている。このため、網戸70を開口10a内の所定の位置に配置すると、突出部19に対して、マグネット192が吸着する。これにより、網戸框75は、突出部19に対して固定される。なお、網戸框75は、枠材及び網固定部に相当する。
【0055】
網戸框75が突出部19に固定されている状態においては、内部空間76の開口部分は、突出部19により覆われている。これにより、挿入部78の内部空間76からの脱離が抑制されている。
【0056】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0057】
上記実施形態では、網戸70は、マグネット73及びマグネット192により突出部19に固定されていたが、網固定部は、これに限定されるものではない。例えば、網固定部は、粘着テープであってもよい。これにより、簡素な構成により所望の効果を得ることができる。
【0058】
その他にも、例えば、網固定部は、面ファスナーであってもよい。これにより、網材の枠体に対する着脱を容易なものとすることができる。また、網戸は、面ファスナーに加えて、気密部材と閉状態の障子とによる挟み込みによっても固定されている。これにより、網材のずれは、十分に抑制されている。
【0059】
網固定部は、網戸70を枠体10に対して十分な強度で固定可能であれば、特に限定されるものではない。なお、網固定部は、必ずしも網戸を枠体に対して気密に固定するものでなくてもよい。また、網固定部は、網戸を、枠体に対してユーザにより着脱自在に固定するものには限定されず、比較的強固に固定するものであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、シート部72の素材は、軟質の樹脂シートであったが、当接部の素材は、これに限定されるものではない。当接部の素材は、例えば、フィルム、布等であってもよく、障子と、気密部材とに挟まれた際に、これらと密着できるものであればよい。
【0061】
上記実施形態では、網戸70は、シート部72を有していたが、シート部72は、必須の構成ではない。例えば、網戸70は、障子30を閉状態にした場合に、網材71が、気密部材60と、障子枠31とにより挟み込まれるようになっていてもよい。すなわち、当接部は、網材であってもよい。これにより、構成の簡素化を図ることができる。ただし、突出部19と障子枠31との間をより好適に封止可能である点で、シート部72が設けられていることが好ましい。
【0062】
上記実施形態では、網戸は、網固定部により突出部19に対して固定されていたが、網固定部が網戸をする対象は、突出部19に限定されるものではない。例えば、網戸70の外周側と、枠体10の内周側と、を固定するようにしてもよい。その場合、突出部19は、必須の構成ではない。枠体10に突出部19が設けられていない構成とすることで、内倒し窓1の採風の効率を高めることができる。
【0063】
上記実施形態では、突出部19は、見込方向に見て環状に形成されていたが、これに限定されるものではなく、環が途切れている箇所があってもよい。気密部材についても同様である。
【0064】
上記実施形態では、建具は、内倒し窓であったが、これに限定されるものではなく、例えば、外倒し窓であってもよい。その場合、障子と、気密部材と、網材と、突出部とは、室外側X1から室内側X2に向けてこの順で配置される。障子から見た室外側X1方向は、障子の開方向に相当し、障子から見た室内側X2方向は、障子の閉方向に相当する。かかる構成においても所望の効果を得ることができる。
【0065】
なお、建具が外倒し窓である場合、障子は、例えば、一端部が障子の上部に接続され、他端部が室内に配置されたワイヤーケーブルを操作して開閉可能とすることができる。その場合、ワイヤーケーブルは、網材や気密部材と干渉しないように配線され、例えば、網材や気密部材の上部において配線される。
【0066】
また、建具は、倒し窓に限定されるものではない。例えば、開き窓であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:内倒し窓(建具)、10:枠体、19:突出部、20:採風領域、30:障子、60:気密部材、70:網戸、71:網材、72:シート部(当接部)、73:マグネット(網固定部及び磁石)、75:網戸框。