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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134807
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/15 20060101AFI20240927BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F24F13/15 B
B60H1/34 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045187
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】汐月 隆仁
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L081FB04
3L081FC01
3L081HB02
3L211BA22
3L211DA14
3L211DA92
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ルーバの操作フィーリングを安定化することができる風向調整装置を提供する。
【解決手段】風向調整装置が、回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、ルーバの回動に対して、操作荷重を付与する荷重付与部材13と、荷重付与部材13が付与する操作荷重を調整可能な調整部材15とを備えた。荷重付与部材は、圧縮方向の荷重を付与し、前記調整部材は、前記荷重付与部材が付与する圧縮方向の荷重を調整する
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、
前記ルーバの回動に対して、操作荷重を付与する荷重付与部材と、
前記荷重付与部材が付与する操作荷重を調整可能な調整部材と、
を備えた風向調整装置。
【請求項2】
前記荷重付与部材は、圧縮方向の荷重を付与し、
前記調整部材は、前記荷重付与部材が付与する圧縮方向の荷重を調整する請求項1に記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記ルーバは、複数設けられ、
複数の前記ルーバは、リンク部材を介して連動して回動可能に配置され、
前記荷重付与部材は、前記ルーバと前記リンク部材との間に摺動抵抗を付与し、
前記調整部材は、前記荷重付与部材が付与する摺動抵抗を調整する請求項1又は2に記載の風向調整装置。
【請求項4】
前記リンク部材は、前記ルーバの長さ方向の両側に一対配置され、
前記荷重付与部材は、弾性変形からの復元力により一対の前記リンク部材を互いに近接する方向に引っ張る弾性体であり、
前記調整部材は、前記荷重付与部材と一体に移動可能に連結され、一対の前記リンク部材の少なくとも一方に対して、配置位置を変動可能に配置されている請求項3に記載の風向調整装置。
【請求項5】
前記ルーバと前記荷重付与部材と前記調整部材とは、ケーシングの内部に配置され、
前記ケーシングには、外部から前記リンク部材に対する前記調整部材の配置位置を変動可能な調整孔が設けられている請求項4に記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風向調整装置としては、回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、ルーバの回動に対して、操作荷重を付与する荷重付与部材としての支持片とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この風向調整装置では、支持片が、弾性変形可能に設けられている。支持片は、ルーバを回動可能に支持する軸部に、付勢力を付与して当接されている。このため、ルーバが回動すると、支持片と軸部との間に、摺動抵抗が生じる。摺動抵抗を生じさせることにより、ルーバの回動に対して、操作荷重が付与され、操作者に操作フィーリングを与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-132204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の風向調整装置では、ルーバの回動に対して、荷重付与部材としての支持片が付与する操作荷重が、予め設定されている。このため、例えば、経年劣化などによって、支持片の弾性変形力が変化(低下)してしまえば、予め設定した所望のルーバの操作フィーリングを得ることができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ルーバの操作フィーリングを安定化することができる風向調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る風向調整装置は、回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、前記ルーバの回動に対して、操作荷重を付与する荷重付与部材と、前記荷重付与部材が付与する操作荷重を調整可能な調整部材とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ルーバの操作フィーリングを安定化することができる風向調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る風向調整装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る風向調整装置の正面図である。
図3】本実施形態に係る風向調整装置のケーシングの斜視図である。
図4】本実施形態に係る風向調整装置のスペーサの斜視図である。
図5】本実施形態に係る風向調整装置のルーバの斜視図である。
図6】本実施形態に係る風向調整装置のリンク部材とスプリングと調整部材との斜視図である。
図7】本実施形態に係る風向調整装置のリンク部材の斜視図である。
図8】本実施形態に係る風向調整装置の調整部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る風向調整装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る風向調整装置1は、例えば、車両に搭載された空調装置(不図示)の吹き出し口3に適用される。風向調整装置1は、吹き出し口3から吹き出る風向きを変更することができる。風向調整装置1は、例えば、車両の乗員などの操作者が操作可能となっている。
【0011】
図1図8に示すように、風向調整装置1は、ケーシング5と、スペーサ7R,7Lと、ルーバ9と、リンク部材11R,11Lと、荷重付与部材としてのスプリング13と、調整部材15とを備えている。
【0012】
図1図3に示すように、ケーシング5は、内部に送風路17が形成されるように、筒状に形成されている。ケーシング5の一側の開口は、空調装置の温度が調整された空気が出る出口と連通するように配置される。ケーシング5の他側の開口は、例えば、車室側に位置するパネル(不図示)に形成された孔の周縁に配置され、送風路17を流れた空気が吹き出す吹き出し口3となっている。
【0013】
ケーシング5の吹き出し口3の幅方向の両側には、スペーサ7R,7Lが組付けられるスペーサ配置部19がそれぞれ設けられている。スペーサ7Lが組付けられるスペーサ配置部19の送風路17の上流側には、ケーシング5の側壁を貫通して形成された調整孔21が設けられている。ケーシング5の内部には、スペーサ7R,7Lと、ルーバ9と、リンク部材11R,11Lと、スプリング13と、調整部材15とが収容される。
【0014】
図1図2図4に示すように、スペーサ7R,7Lは、長方形の板状に形成されている。スペーサ7R,7Lには、スペーサ7R,7Lを貫通して形成された軸孔23が設けられている。軸孔23は、スペーサ7R,7Lの長さ方向に沿って所定の間隔で離間して複数(ここでは3つ)設けられている。スペーサ7R,7Lは、それぞれケーシング5のスペーサ配置部19に組付けられる。スペーサ7R,7Lの間には、ルーバ9が回動可能に配置される。
【0015】
図1図2図5に示すように、ルーバ9は、例えば、車両の幅方向に延出された板状に形成されている、ルーバ9は、車両の高さ方向に沿って所定の間隔で離間して複数列(ここでは3列)配置されている。ルーバ9の長さ方向の両端部において、送風路17の下流側には、ルーバ9の両側面から外方に向けて突出された軸部25がそれぞれ設けられている。軸部25は、スペーサ7R,7Lの軸孔23に回転可能に挿入され、ルーバ9が、スペーサ7R,7Lに回動可能に支持される。複数のルーバ9は、後述するリンク部材11R,11Lを介して連動して回動可能となっている。ルーバ9は、回動することにより、傾きを変更し、吹き出し口3から吹き出す空気の車両の高さ方向(上下方向)に対する風向きを調整する。
【0016】
なお、不図示であるが、ルーバ9の送風路17の上流側には、縦ルーバが配置されている。縦ルーバは、例えば、車両の高さ方向に延出された板状に形成されている。縦ルーバは、車両の幅方向に沿って所定の間隔で離間して複数列配置されている。複数の縦ルーバは、それぞれ軸部を介して回動可能にケーシング5に支持されている。複数の縦ルーバは、リンク部材を介して連動して回動可能となっている。縦ルーバは、回動することにより、傾きを変更し、吹き出し口3から吹き出す空気の車両の幅方向(左右方向)に対する風向きを調整する。
【0017】
このようなルーバ9と縦ルーバとは、操作ノブ27を操作することによって回動される。図1図2に示すように、操作ノブ27は、複数のルーバ9のうち中央に位置する1つのルーバ9に設けられている。操作ノブ27は、ルーバ9と一体的に回動し、ルーバ9の長さ方向に移動可能に、ルーバ9に組付けられている。なお、操作ノブ27のルーバ9の長さ方向の移動は、ルーバ9の長さ方向の両側に設けられた一対の規制部(不図示)によって規制されている。操作ノブ27には、複数の縦ルーバのうち1つの縦ルーバを回動させる係合部(不図示)が設けられている。操作ノブ27は、操作者が、上下方向に操作することにより、複数のルーバ9の上下方向に対する傾きを変更する。操作ノブ27は、操作者が、左右方向に操作することにより、複数の縦ルーバの左右方向に対する傾きを変更する。このような操作ノブ27によって操作されるルーバ9の長さ方向の両端部において、送風路17の上流側には、図5に示すように、ルーバ9の両側面から外方に向けて突出されたリンク軸部29がそれぞれ設けられている。
【0018】
図6に示すように、リンク部材11R,11Lは、T字状の板状に形成されている。リンク部材11R,11Lには、リンク部材11R,11Lを貫通して形成されたリンク孔31が設けられている。リンク孔31は、複数のルーバ9のリンク軸部29に対応して、複数(ここでは3つ)設けられている。複数のリンク孔31には、複数のルーバ9のリンク軸部29が回転可能に挿入され、複数のルーバ9が、リンク部材11R,11Lを介して連動して回動可能となる。
【0019】
リンク部材11Rには、リンク部材11Rを貫通して形成された係合孔33Rが設けられている。図7に示すように、リンク部材11Lには、リンク部材11Lを貫通して形成された挿通孔35が設けられている。挿通孔35には、リンク部材11Lを貫通し、挿通孔35に連続して形成された固定孔37が設けられている。固定孔37は、挿通孔35からリンク孔31に向けて、挿通孔35の径より短い幅となるように、長円状に延出されている。リンク部材11R,11Lの間で、ルーバ9より送風路17の上流側には、スプリング13が配置される。
【0020】
図6に示すように、スプリング13は、長さ方向に伸縮するように、弾性変形可能な弾性体である。スプリング13の長さ方向の両端側には、それぞれフック形状の係合部39R,39Lが設けられている。係合部39Rは、リンク部材11Rの係合孔33Rに係合される。係合部39Lは、リンク部材11Lに固定された後述する調整部材15の係合孔33Lに係合される。スプリング13は、長さ方向に伸びるように弾性変形された状態で、リンク部材11R,11Lの間に配置される。このため、リンク部材11R,11Lは、スプリング13の弾性変形からの復元力によって、互いに近接する方向に引っ張られる。すなわち、スプリング13は、リンク部材11R,11Lに対して、圧縮方向の荷重を付与する。このとき、リンク部材11R,11Lは、ルーバ9の長さ方向の側面に当接される。このため、ルーバ9が回動するときに、ルーバ9とリンク部材11R,11Lとの間に摺動抵抗が発生する。発生された摺動抵抗は、操作者がルーバ9を操作するときの操作荷重となり、操作者に対して、操作フィーリングを付与する。
【0021】
ここで、スプリング13のような荷重付与部材を用いていない場合には、例えば、スペーサ7R,7Lの軸孔23とルーバ9の軸部25との間で発生する摺動抵抗を、ルーバ9の操作フィーリングとして利用していた。しかしながら、軸孔23と軸部25との摺動では、例えば、製造公差などによって、軸部25が、軸孔23の内面に片当たりするなど、所望のルーバ9の操作フィーリングを得られないことがあった。そこで、スプリング13のような荷重付与部材を用いることにより、製造公差などを吸収することができ、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0022】
ところで、従来の荷重付与部材は、ルーバ9に、直接、接触して摺動する部材であった。荷重付与部材が、ルーバ9と摺動すると、摺動によって、荷重付与部材が付与するルーバ9の操作荷重が変化する可能性があった。
【0023】
これに対して、荷重付与部材としてのスプリング13は、ルーバ9と摺動するリンク部材11R,11Lの間に配置され、ルーバ9とリンク部材11R,11Lとの間に摺動抵抗を付与する。このため、スプリング13は、ルーバ9に、直接、摺動することがなく、スプリング13がルーバ9に付与する操作荷重が変化することを抑制することができる。
【0024】
ここで、スプリング13のような弾性体は、例えば、経年劣化などによって、弾性変形力が変化(低下)することがある。スプリング13の弾性変形力が変化してしまうと、ルーバ9の操作荷重が変化し、予め設定した所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができなくなってしまう。そこで、スプリング13の弾性変形力は、調整部材15によって調整可能となっている。
【0025】
図6図8に示すように、調整部材15は、板状に形成された板部41と、板部41と連続する一部材で形成された固定部43とを有する。板部41は、リンク部材11Lの挿通孔35を挿通可能な大きさの長方形状に形成されている。板部41には、板部41を貫通して形成された係合孔33Lが設けられている。係合孔33Lには、スプリング13の係合部39Lが係合される。係合孔33Lと係合部39Lとの係合により、スプリング13と調整部材15とが一体に移動可能に連結される。
【0026】
固定部43は、リンク部材11Lの挿通孔35を挿通可能な大きさの円柱状に形成されている。固定部43は、複数(ここでは4つ)の大径部45と、複数(ここでは3つ)の小径部47とを有する。複数の大径部45は、挿通孔35への挿通方向に沿ってリンク部材11Lの板厚と同等、或いは僅かに広い間隔で離間して設けられている。複数の小径部47は、それぞれリンク部材11Lの固定孔37に挿入可能な径を有し、隣り合う大径部45,45の軸心部分で隣り合う大径部45,45を連結している。固定部43は、小径部47を固定孔37に挿入させることにより、隣り合う大径部45,45の間に挟まれるように、リンク部材11Lが配置され、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を固定する。固定部43の大径部45と小径部47とは、複数設けられているので、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置が変動可能となっている。なお、固定部43では、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置の固定が、3箇所となっているが、これに限らず、2箇所、或いは4箇所以上としてもよい。
【0027】
スプリング13の弾性変形からの復元力(圧縮方向の荷重)を増大させたい場合には、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を、スプリング13を伸ばすような位置に変動させる。一方、スプリング13の弾性変形からの復元力(圧縮方向の荷重)を減少させたい場合には、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を、スプリング13を縮めるような位置に変動させる。調整部材15によってスプリング13の弾性変形力を調整することにより、ルーバ9とリンク部材11R,11Lとの間の摺動抵抗を調整することができ、ルーバ9の操作荷重を調整することができる。このため、予め設定したスプリング13が付与する操作荷重が変化したとしても、調整部材15でスプリング13が付与する操作荷重を調整することにより、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0028】
このように調整部材15が配置位置を変動することにより、スプリング13が付与する圧縮方向の荷重を調整する構造の方が、スプリング13が押圧方向の荷重を付与する構造に比較して、スプリング13が付与する荷重を調整し易い。例えば、スプリング13が押圧方向の荷重を付与する場合、スプリング13は、縮んだ弾性変形からの復元力により、リンク部材11R、或いはリンク部材11Lを、ルーバ9に向けて押圧することになる。この場合、スプリング13は、例えば、リンク部材11R(リンク部材11L)とケーシング5との間に、縮むように弾性変形された状態で配置される。調整部材15は、例えば、ケーシング5に対して、配置位置を変動可能に組付けられている。スプリング13の押圧方向の荷重を減少させる場合、スプリング13を伸ばすように、調整部材15の配置位置を変動させることは容易である。しかしながら、スプリング13の押圧方向の荷重を増大させる場合、既に縮んでいるスプリング13をさらに縮むように、調整部材15の配置位置を変動させることは困難である。加えて、リンク部材11R(リンク部材11L)とケーシング5との間に、ある程度余裕をもって、スプリング13を縮んだ状態で配置させるためには、配置スペースを大型化しなければならない。これに対して、リンク部材11R,11Lの間に配置されるスプリング13は、ルーバ9の長さ分の余裕があり、ある程度余裕をもって、スプリング13を伸ばした状態で配置させることができる。このため、スプリング13の圧縮方向の荷重を増大させる場合であっても、スプリング13を伸ばすように、調整部材15の配置位置を変動させることが容易である。
【0029】
ここで、リンク部材11Lの挿通孔35及び固定孔37と調整部材15とは、ケーシング5の内部において、調整孔21と対応する位置に配置されている。このため、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を、ケーシング5の外部から調整孔21を介して変動することができる。
【0030】
なお、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を変動させる構造は、固定孔37と固定部43との構造に限るものではない。例えば、調整部材15において、板部41に対して、回転可能な円柱部分を設け、円柱部分の外周面に雄ねじを形成する。リンク部材11Lの挿通孔35が位置する部分に、調整部材15の雄ねじが螺合される雌ねじを形成する。調整部材15の円柱部分を回転させて、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を変動させてもよい。また、リンク部材11Lの挿通孔35の内縁に係合可能な複数の係合部を、調整部材15の長さ方向に沿って設けるなど、リンク部材11Lに対して調整部材15の配置位置を変動させることができれば、どのような構造であってもよい。
【0031】
ここで、スプリング13は、リンク部材11R,11Lの間に配置されているが、これに限るものではない。例えば、スプリング13を、スペーサ7R,7Lの間に配置してもよい。この場合では、調整部材15を、例えば、スペーサ7Lに対して、配置位置を変動可能に組付ける。このような場合であっても、スプリング13は、スペーサ7R,7Lに対して、圧縮方向の荷重を付与し、ルーバ9とスペーサ7R,7Lとの間に摺動抵抗を発生させ、ルーバ9の操作荷重を得ることができる。調整部材15のスペーサ7Lに対する配置位置の変動により、スプリング13が付与する圧縮方向の荷重を調整することができる。このような場合であっても、スプリング13が、直接、ルーバ9と摺動することがなく、スプリング13がルーバ9に付与する操作荷重が変化することを抑制することができる。
【0032】
加えて、スプリング13を、例えば、スペーサ7Lとケーシング5の内面との間に配置してもよい。この場合には、スプリング13が、スペーサ7Lに対して、スペーサ7Lをルーバ9に向けて移動させる押圧方向の荷重を付与し、ルーバ9とスペーサ7R,7Lとの間に摺動抵抗を発生させ、ルーバ9の操作荷重を得ることができる。この場合には、調整部材15を、例えば、ケーシング5に対して、配置位置を変動可能に組付ける。調整部材15のケーシング5に対する置位置の変動により、スプリング13が付与する押圧方向の荷重を調整することができる。このような場合であっても、スプリング13が、直接、ルーバ9と摺動することがなく、スプリング13がルーバ9に付与する操作荷重が変化することを抑制することができる。
【0033】
このような風向調整装置1では、回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバ9を備えている。また、ルーバ9の回動に対して、操作荷重を付与する荷重付与部材としてのスプリング13を備えている。そして、スプリング13が付与する操作荷重を調整可能な調整部材15を備えている。
【0034】
このため、予め設定したスプリング13が付与する操作荷重が変化したとしても、調整部材15でスプリング13が付与する操作荷重を調整することにより、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0035】
従って、このような風向調整装置1では、ルーバ9の操作フィーリングを安定化することができる。
【0036】
また、スプリング13は、圧縮方向の荷重を付与する。そして、調整部材15は、スプリング13が付与する圧縮方向の荷重を調整する。
【0037】
このため、スプリング13が押圧方向の荷重を付与する場合に比較して、調整部材15によって、スプリング13の荷重を調整し易くすることができる。
【0038】
また、ルーバ9は、複数設けられている。さらに、複数のルーバ9は、リンク部材11R,11Lを介して連動して回動可能に配置されている。また、スプリング13は、ルーバ9とリンク部材11R,11Lとの間に摺動抵抗を付与する。そして、調整部材15は、スプリング13が付与する摺動抵抗を調整する。
【0039】
スプリング13は、ルーバ9とリンク部材11R,11Lとの間に摺動抵抗を付与する。このため、スプリング13は、ルーバ9に、直接、摺動することがなく、スプリング13がルーバ9に付与する操作荷重が変化することを抑制することができる。スプリング13が付与する摺動抵抗に変化が生じたとしても、調整部材15によって、スプリング13が付与する摺動抵抗を調整することができる。
【0040】
また、リンク部材11R,11Lは、ルーバ9の長さ方向の両側に一対配置されている。さらに、スプリング13は、弾性変形からの復元力により一対のリンク部材11R,11Lを互いに近接する方向に引っ張る弾性体である。そして、調整部材15は、スプリング13と一体に移動可能に連結され、一対のリンク部材11R,11Lの少なくとも一方のリンク部材11Lに対して、配置位置を変動可能に配置されている。
【0041】
このため、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を変動させることにより、スプリング13の弾性変形からの復元力を調整することができる。スプリング13の弾性変形からの復元力を調整することにより、ルーバ9の操作荷重を調整でき、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0042】
また、ルーバ9とスプリング13と調整部材15とは、ケーシング5の内部に配置されている。そして、ケーシング5には、外部からリンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を変動可能な調整孔21が設けられている。
【0043】
このため、リンク部材11Lに対する調整部材15の配置位置を、ケーシング5の外部から調整孔21を介して変動することができる。
【0044】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0045】
例えば、本実施形態に係る風向調整装置では、ルーバが、上下方向の風向きを調整しているが、これに限らず、ルーバを、左右方向の風向きを調整するように配置してもよい。加えて、ルーバは、3つとなっているが、これに限らず、2つ、或いは4つ以上としてもよい。
【0046】
また、調整部材は、一方のリンク部材のみに配置されているが、これに限らず、両方のリンク部材に、それぞれ調整部材を配置してもよい。この場合には、一対のリンク部材に、それぞれ挿通孔と固定孔とを設ける。スプリングの長さ方向の両端の係合部は、それぞれ調整部材の係合孔に係合させる。一対のリンク部材に対する調整部材のそれぞれの配置位置を変動させることにより、さらに繊細なスプリングが付与するルーバの操作荷重の調整を行うことができる。
【0047】
また、荷重付与部材は、スプリングに限らず、例えば、ゴムなどの弾性体など、どのような部材であってもよい。加えて、ルーバの軸部を支持する軸受部材を、例えば、ゴムなどの弾性体で形成し、この軸受部材を荷重付与部材としてもよい。この荷重付与部材は、ルーバの軸部との間に摺動抵抗を発生する。この荷重付与部材の外面を押圧する部材を、調整部材とし、調整部材の押圧力を変化させることにより、荷重付与部材の圧縮方向の荷重を調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 風向調整装置
5 ケーシング
9 ルーバ
11L,11R リンク部材
13 スプリング(荷重付与部材)
15 調整部材
21 調整孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8