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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134815
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】管理機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/12 20060101AFI20240927BHJP
   A01B 13/02 20060101ALI20240927BHJP
   A01B 49/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A01B33/12 B
A01B13/02 Z
A01B49/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045200
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】松澤 岳治
【テーマコード(参考)】
2B032
2B033
2B034
【Fターム(参考)】
2B032AA04
2B032CA04
2B033AA06
2B033AB01
2B033AB11
2B033AC04
2B033DB32
2B033DB35
2B033DB42
2B033DB46
2B033ED01
2B033ED06
2B034JA06
2B034JA18
2B034JB18
(57)【要約】
【課題】畝の形状を変更できる管理機を提供することである。
【解決手段】管理機は、耕うん爪と、耕うん爪よりも後方に位置し、少なくとも上下方向と左右方向とに拡がり、可撓性を有するシート部材と、畝の形状に関する第1姿勢と、第1姿勢とは異なる畝の形状に関する第2姿勢との間で切り替え可能な畝立て部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕うん爪と、
前記耕うん爪よりも後方に位置し、少なくとも上下方向と左右方向とに拡がり、可撓性を有するシート部材と、
畝の形状に関する第1姿勢と、前記第1姿勢とは異なる畝の形状に関する第2姿勢との間で切り替え可能な畝立て部と
を備える、管理機。
【請求項2】
前記シート部材は、少なくとも前記上下方向と前記左右方向とに拡がる主面を有しており、
前記畝立て部は、
前記主面から突出するシャフトと、
第1端と第2端とを有しており、前記シート部材に沿って前記シャフト周りに回動可能に前記第1端が前記シャフトに支持され、前記第2端が、前記主面上の第1位置と、前記主面上で前記第1位置とは異なる第2位置との間で変位可能である回動部材と
を有し、
前記第2端が前記第1位置及び前記第2位置にあるとき、前記畝立て部は、前記第1姿勢及び前記第2姿勢をとる、請求項1に記載の管理機。
【請求項3】
前記畝立て部は、前記第2端を前記第1位置と前記第2位置とに固定する固定具を更に有する、請求項2に記載の管理機。
【請求項4】
前記シート部材は、少なくとも前記上下方向と前記左右方向とに拡がる主面を有しており、
前記畝立て部は、
前記主面において相異なる位置から突出する第1シャフト及び第2シャフトと、
第1端と第2端とを有しており、前記シート部材に沿って前記第1シャフト周りに回動可能に前記第1端が前記第1シャフトに支持され、前記第2端が、前記主面上の第1位置と、前記主面上で前記第1位置とは異なる第2位置との間で変位可能である第1回動部材と
第3端と第4端とを有しており、前記シート部材に沿って前記第2シャフト周りに回動可能に前記第3端が前記第2シャフトに支持され、前記第4端が、前記第2端と重なった状態で、前記主面上の第3位置と、前記主面上で前記第3位置とは異なる第4位置との間で変位可能である第2回動部材と
前記第2端を前記第4端に固定する固定具と
を更に有し、
前記第2端が前記第1位置にあり、前記第4端が前記第3位置にあるとき、前記畝立て部は、前記第1姿勢をとり、
前記第2端が前記第2位置にあり、前記第4端が前記第4位置にあるとき、前記畝立て部は、前記第2姿勢をとる、請求項1に記載の管理機。
【請求項5】
前記第1回動部材及び前記第2回動部材は、前記畝立て部が前記第1姿勢にあるときの方が、前記第2姿勢にあるときよりも、前記第1シャフト及び前記第2シャフトを結ぶ仮想線の近くに位置する、請求項4に記載の管理機。
【請求項6】
前記シート部材における左右両側に1つずつ前記畝立て部を備える、請求項4又は5に記載の管理機。
【請求項7】
前記主面は後ろ斜め上方を向いている、請求項2~5のいずれかに記載の管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌管理のための管理機が種々提案されている。管理機の中には、耕耘された土壌を畝立て可能なものがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-230501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
畝の形状を必要に応じて変更したいというニーズがある。
【0005】
本発明は、畝の形状を変更できる管理機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る管理機は、耕うん爪と、前記耕うん爪よりも後方に位置し、少なくとも上下方向と左右方向とに拡がり、可撓性を有するシート部材と、畝の形状に関する第1姿勢と、前記第1姿勢とは異なる畝の形状に関する第2姿勢との間で切り替え可能な畝立て部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、畝の形状を変更できる管理機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る管理機を右斜め前方から視た斜視図である。
図2図2は、図1に示す管理機を左斜め後方から視た斜視図である。
図3図3は、図1及び図2に示される畝立て部の側面図である。
図4図4は、図1図3に示す畝立て部の第1姿勢を示す図である。
図5図5は、図1図3に示す畝立て部の第2姿勢を示す図である。
図6図6(a)は、第1姿勢の畝立て部による畝を示す模式図であり、同図(b)は、第2姿勢の畝立て部による畝を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る管理機100を説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
本実施形態では、理解を容易にするために、前後方向X、左右方向Y、及び上下方向Zを記載することがある。前後方向Xは、前方X1及び後方X2を含む。前方X1は、管理機100が前進する方向である。後方X2は、前方X1の反対方向である。左右方向Yは、左方Y1及び右方Y2を含む。左方Y1は、管理機100の前端に向かって左手の方向である。右方Y2は、左方Y1の反対方向である。上下方向Zは、上方Z1及び下方Z2を含む。上方Z1は、鉛直上方向である。下方Z2は、上方Z1の反対方向である。
【0011】
図1は、実施形態に係る管理機100を右斜め前方から視た斜視図である。図2は、図1に示す管理機100を左斜め後方から視た斜視図である。
【0012】
図1及び図2に示されるように、管理機100は、大略的に、フレーム1と、動力源2と、トランスミッション3と、伝達機構4と、一対の駆動輪5と、耕うん部6と、操作部7と、シート部材8と、畝立て部9とを備える。
【0013】
フレーム1には、動力源2と、トランスミッション3とが据え付けられる。
【0014】
動力源2は、動力を発生する。動力は、少なくとも駆動輪5及び耕うん爪62の各々を回転させるために使用される。実施形態では、動力源2は、内燃機関であって、フレーム1の上面に位置する。
【0015】
トランスミッション3は、動力源2からの動力のトルク及び回転速度を、操作部7を通じたユーザ操作に応じて変更する。実施形態では、トランスミッション3は、フレーム1の後端に位置する。
【0016】
伝達機構4は、チェーン及びプーリ等を含み、トランスミッション3の出力軸からの動力を車輪軸51と爪軸61とに伝達する。
【0017】
車輪軸51は、フレーム1の後端に支持され、左右方向Yに沿って延びている。詳細には、車輪軸51は、フレーム1の後端においてトランスミッション3よりも下方に位置する。また、車輪軸51は、左右方向Yに沿う車輪軸51の軸心の周方向θ1に回転可能に支持される。車輪軸51は、伝達機構4により伝達される動力により、周方向θ1に回転する。駆動輪5の一方及び他方は、車輪軸51の左端及び右端に機械的に連結されている。駆動輪5は、車輪軸51に交差する面内で車輪軸51とともに回転する。駆動輪5が周方向θ1のいずれに回転するのかは、操作部7を通じたユーザ操作により定まる。駆動輪5の回転により、管理機100は、前方X1又は後方X2に走行にする。
【0018】
耕うん部6は、爪軸61に加え、複数の耕うん爪62と、ロータリーカバー63とを有する。即ち、管理機100は、耕うん爪62を備える。爪軸61は、トランスミッション3から後方斜め下方に離れて位置する。言い換えると、爪軸61は、車輪軸51よりも後方X2に位置する。この位置で、爪軸61は、左右方向Yに沿って延びている。また、爪軸61は、左右方向Yに沿う軸心の周方向θ2に回転可能に支持される。爪軸61は、伝達機構4により伝達される動力により、周方向θ2に回転する。
【0019】
複数の耕うん爪62は、左右方向Yにおいて互いに異なる爪軸61の周面上の位置に着脱可能に固定されている。各耕うん爪62は、爪軸61の外周面から爪軸61の径方向r1に屈曲しつつ延びる。各耕うん爪62は、爪軸61とともに回転する。その結果、管理機100が前進中に、耕うん部6により土壌を耕うんすることが可能となる。
【0020】
ロータリーカバー63は、複数の耕うん爪62の一部を覆う部材である。ロータリーカバー63は、回転する各耕うん爪62と接触しないように設けられる。詳細には、ロータリーカバー63は、各耕うん爪62の先端が爪軸61の周方向θ2に移動する軌跡から、爪軸61の径方向r1に離れて位置する。軌跡は、左右方向Yからの平面視で円形である。実施形態では、ロータリーカバー63は、周方向θ2において、各耕うん爪62の移動軌跡の前端付近から上端を通って後端付近まで覆う。
【0021】
以下では、爪軸61の左右方向Yにおける中心を通過し、前後方向Xに平行な仮想平面を「縦中心面P01」と記載する。
【0022】
操作部7は、管理機100の各種操作のためにユーザ(即ち、作業者)により操作される。操作部7は、ハンドル71と、主クラッチレバー72と、アクセルレバー73と、エンジンスイッチ74と、旋回レバー75とを含む。
【0023】
ハンドル71は、ユーザの手で握られる。ハンドル71は、トランスミッション3の直ぐ後方X2に取り付けられている。この位置から、ハンドル71は、耕うん部6の後方斜め上方に向かって延びる。
【0024】
主クラッチレバー72は、動力源2からの動力を、車輪軸51と爪軸61とに伝達したり、車輪軸51と爪軸61とから切り離したりする際にユーザにより操作される。詳細には、ユーザ操作により外力が主クラッチレバー72に加えられた場合に、図示しないクラッチが接続された状態になる。その結果、動力源2からの動力が車輪軸51と爪軸61とに伝達される。一方、ユーザ操作による外力が主クラッチレバー72に加わっていない場合に、図示しないクラッチが切断された状態になる。その結果、動力源2からの動力が車輪軸51と爪軸61とに伝達されない。
【0025】
アクセルレバー73は、動力源2(内燃機関)の回転数を調整する際にユーザにより操作される。
【0026】
エンジンスイッチ74は、ユーザ操作により、始動位置と、運転位置と、停止位置とのいずれかに切り換えられる。エンジンスイッチ74が停止位置から運転位置を介し始動位置に移動させられることで、動力源2が始動する。動力源2を動作させ続ける場合、エンジンスイッチ74は、始動位置から運転位置に移動させられる。エンジンスイッチ74が運転位置から停止位置に移動させられることで、動力源2が停止する。
【0027】
旋回レバー75は、ユーザ操作により直進位置と旋回位置とに切り換えられる。直進位置では、駆動輪5のディファレンシャルギア(図示せず)がロックされる。その結果、管理機100の直進性が向上する。一方、旋回位置では、同ディファレンシャルギアのロックが解除され、その結果、左右の駆動輪5に回転差が生じる。その結果、管理機100が旋回し易くなる。
【0028】
シート部材8は、可撓性を有する材料で作製される。材料は、典型的にはゴムである。シート部材8は、ロータリーカバー63の後縁631に、複数のノブ等を含む固定部材632を用いて取り付けられる。シート部材8は、耕うん爪62よりも後方X2に位置して耕うん爪62を後方から覆う。これにより、耕うん爪62の回転により生じうる後方への泥はねが防止される。シート部材8は、後縁631から後方斜め下方に向かって延びており、少なくとも上下方向Zと左右方向Yとに拡がっている。実施形態では、シート部材8は、後方斜め下方及び左右方向Yに拡がっている。即ち、シート部材8は、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zの三方向に拡がっている。
【0029】
詳細には、シート部材8は、第1主面81と、第2主面82とを有する。第1主面81は、後方斜め上方を向いており、少なくとも上下方向Zと左右方向Yとに拡がっている。第1主面81は、本開示における「主面」の一例である。
【0030】
詳細には、第1主面81は、第1辺81Aと、第2辺81Bと、第3辺81Cと、第4辺81Dとを有する。
【0031】
第1辺81Aは、上辺であって、ロータリーカバー63の後縁631に沿って位置する。実施形態では、第1辺81Aは、左右方向Yに沿って延びている。但し、第1辺81Aの左右端付近は、後方斜め下方に向かって湾曲している。第1辺81Aは、縦中心面P01を基準として左右方向に互いに対称な形状である。
【0032】
第2辺81B及び第3辺81Cは、第1辺81Aの左端及び右端から後方斜め下方に概ね直線的に延びる。第2辺81B及び第3辺81Cの長さは互いに略同一である。
【0033】
第4辺81Dは、第2辺81B及び第3辺81Cの下端同士を繋ぐ。第4辺81Dは、波形形状又はジグザグ形状である。
【0034】
第2主面82は、第1主面81と反対方向、即ち、前方斜め下方を向いている。実施形態では、第2主面82は、第1主面81と略同一形状である。第2主面82は、第1主面81と略平行であり、第1主面81から前方斜め下方に所定距離だけ離れている。所定距離は、第1辺81A、第2辺81B及び第3辺81Cの各々よりも遥かに短い。
【0035】
図3は、図1及び図2に示される畝立て部9の側面図である。図4は、図1図3に示す畝立て部9の第1状態を示す図である。図5は、図1図3に示す畝立て部9の第2状態を示す図である。
【0036】
図3図5に示されるように、畝立て部9は、畝の形状に関する第1姿勢(図4に示す姿勢)と、第1姿勢とは異なる畝の形状に関する第2姿勢(図5に示す姿勢)との間で、ユーザ操作により切り替え可能である。畝立て部9により畝の形状(図6(a),(b)参照)を変更できる管理機100が提供される。
【0037】
図4及び図5に示されるように、畝立て部9は、第1主面81において縦中心面P01よりも左方Y1の部分に、複数のシャフト91と、複数の回動部材92と、少なくとも1つの固定具93とを有する。第1主面81は、後ろ斜め上方を向いている。第2主面82ではなく第1主面81に畝立て部9が位置し、固定具93が操作部7を操作するユーザに対向するため、ユーザが畝立て部9にアクセスし易い。
【0038】
実施形態では、複数のシャフト91は、第1シャフト911と、第2シャフト912とである。また、複数の回動部材92は、第1回動部材921と、第2回動部材922とである。
【0039】
第1シャフト911及び第2シャフト912の各々は、第1主面81において相異なる位置から突出する。
【0040】
詳細には、第1シャフト911は、第1主面81における第1特定位置P11に設けられる。第1特定位置P11は、縦中心面P01及び第4辺81Dに比較的近い位置である。詳細には、第1特定位置P11は、第1主面81において、縦中心面P01及び第2辺81Bのうち縦中心面P01に近い位置であって、第1辺81A及び第4辺81Dのうち第4辺81Dに近い位置である。
【0041】
第1シャフト911は、第1特定位置P11から後方斜め上方に突出する。即ち、第1シャフト911は、第1主面81を基準として、第2主面82から離れる突出方向T1に突出する。突出方向T1は、第1主面81の法線方向Tに平行である。
【0042】
第2シャフト912は、第1主面81における第2特定位置P12に設けられる。第2特定位置P12は、第2辺81B及び第1辺81Aに比較的近い位置である。詳細には、第2特定位置P12は、第1主面81において、縦中心面P01及び第2辺81Bのうち第2辺81Bに近い位置であって、第1辺81A及び第4辺81Dのうち第4辺81Dに近い位置である。
【0043】
第1回動部材921及び第2回動部材922は、第1シャフト911及び第2シャフト912に対応して設けられる。
【0044】
第1回動部材921は、第1端921Aと第2端921Bとを有する。第1端921Aは、シート部材8に沿って、第1シャフト911周りに回動可能に、第1シャフト911に支持される。第2端921Bは、第1主面81上の第1位置P21(図4参照)と、第1主面81上で第1位置P21とは異なる第2位置P22(図5参照)との間で変位可能である。
【0045】
第2回動部材922は、第3端922Aと第4端922Bとを有する。第3端922Aは、シート部材8に沿って、第2シャフト912周りに回動可能に、第2シャフト912に支持される。第4端922Bは、第1主面81上の第3位置P23(図4参照)と、第1主面81上で第3位置P23とは異なる第4位置P24(図5参照)との間で変位可能である。第3位置P23は、第1位置P21と概ね同じ位置である。第4位置P24は、第2位置P22と概ね同じ位置である。
【0046】
図4に示されるように、第2端921Bが第1位置P21にあり、第4端922Bが第3位置P23にあるとき、畝立て部9は、第1姿勢をとる。図5に示されるように、第2端921Bが第2位置P22にあり、第4端922Bが第4位置P24にあるとき、畝立て部9は第2姿勢をとる。畝立て部9によれば、畝の形状を変更するには、第2端921B及び第4端922Bの位置を変えるだけでよい。よって、畝立て部9の構造が簡素化される。
【0047】
次に、図3図5を参照して、第1回動部材921及び第2回動部材922についてより具体的に説明する。第1回動部材921及び第2回動部材922の各々は、シート部材8よりも高剛性を有する材料で作製される。材料としては、金属が例示される。第1回動部材921及び第2回動部材922の各々は、円弧状の平面形状を有する平板である。
【0048】
第1回動部材921は、第1端921A及び第2端921Bのうち第1端921Aに近い位置に貫通孔9211(図3参照)を有する。貫通孔9211の平面形状は、円形である。貫通孔9211には、第1シャフト911に挿通される。第1シャフト911の周面にはネジが形成されている。この状態で第1シャフト911の突出端には、貫通孔9211よりも大径のワッシャー9212(図3参照)が挿通される。その後、ワッシャー9212は、ナット9213により第1シャフト911に固定される。これにより、第1回動部材921は、第1シャフト911の軸心周りに回転可能であって、第1シャフト911から抜け落ちない。第1回動部材921は、第1端921A及び第2端921Bのうち第2端921Bに近い位置に貫通孔9214を有する。貫通孔9214の平面形状は、円弧状に湾曲した長円形である。
【0049】
第2回動部材922は、第3端922A及び第4端922Bのうち第3端922Aに近い位置に貫通孔9221を有する。貫通孔9221の平面形状は、円形である。貫通孔9221には、第2シャフト912に挿通される。第2シャフト912の周面にはネジが形成されている。この状態で第2シャフト912の突出端には、貫通孔9221よりも大径のワッシャー9222(図3参照)が挿通される。その後、ワッシャー9222は、ナット9223により第2シャフト912に固定される。第2回動部材922は、第3端922A及び第4端922Bのうち第4端922Bに近い位置に貫通孔9224を有する。貫通孔9224の平面形状は、円弧状に湾曲した長円形である。
【0050】
固定具93は、第2端921Bを第1位置P21と第2位置P22とに固定するとともに、第4端922Bを第3位置P23と第4位置P24とに固定する。固定具93により、管理機100が畝立て作業中に第1回動部材921及び第2回動部材922の位置が変わり難くなる。その結果、畝の形状が長さ方向において大きくばらつかない。
【0051】
詳細には、固定具93は、つまみねじ931と、ナット932とを含む。つまみねじ931のねじ部は、貫通孔9214,9224の双方に挿通される。その後、ナット932は、第1回動部材921及び第2回動部材922から突出したつまみねじ931のねじ部に螺合され、つまみねじ(雌ネジ)931と、ボルト(雄ネジ)932との間に第1回動部材921及び第2回動部材922のそれぞれを固定する。これにより、畝立て部9は、第1姿勢及び第2姿勢のいずれかをとることが可能となる。
【0052】
第1回動部材921及び第2回動部材922は、畝立て部9が第1姿勢にあるときの方が、第2姿勢にあるときよりも、第1シャフト911及び第2シャフト912を結ぶ仮想線L01の近くに位置する。即ち、第1位置P21及び第3位置P23は、第2位置P22及び第4位置P24よりも仮想線L01に近い。これにより、畝ののり面を平面的(図6(a)参照)にしたり、畝ののり面を曲面的にしたりすることができる(図6(b)参照)。
【0053】
畝立て部9は、シート部材8における左側だけでなく、シート部材8の右側にも更に備わっていてもよい。即ち、管理機100は、シート部材8の左右両側に1つずつ畝立て部9を備える。右側の畝立て部9の構成は、左側の畝立て部9と、縦中心面P01を基準として対称である。よって、右側の畝立て部9の詳細な説明を控える。この構成によれば、管理機100が前進中に左右両側に畝が形成される。よって、効率的に畝立てすることができる。
【0054】
また、図2に示されるように、管理機100は、尾輪94を更に備える。尾輪94は、第1主面81から突出方向T1に離れた畝立て位置で、左右方向Yに沿う軸心周りに回転可能に設けられる。なお、尾輪94は、耕うん作業時には、畝立て位置とは異なる耕うん位置(図4図5に示す位置)に移動可能である。
【0055】
管理機100により畝立て作業を行う場合、ユーザは、尾輪94を畝立て位置(図2参照)に移動させる。また、ユーザは、各畝立て部9を、第1姿勢及び第2姿勢のいずれか一方にセットする。この状態で、ユーザは、耕うん済の土壌D01において管理機100を走行させる。その結果、各畝立て部9が第1姿勢にあるとき、土壌D01には、のり面が概ね平坦な畝D11(実線参照)が形成される。一方、各畝立て部9が第2姿勢にあるとき、土壌D01には、のり面が概ね円弧状に膨らんだ畝D12(実線参照)が形成される。
【0056】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0057】
また、図面は、本開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0058】
動力源2は、内燃機関に限らず、電動機であってもよい。
【0059】
第4辺81Dは、波形形状及びジグザグ形状に限らず、例えば直線状であってもよい。
【0060】
上記実施形態では、各畝立て部9は、第1回動部材921及び第2回動部材922を備えていた。しかし、これに限らず、各畝立て部9は、単一の回動部材92から構成されてもよいし、3以上の回動部材92から構成されてもよい。
【0061】
上記実施形態では、各回動部材92は、円弧状の平面形状を有していた。しかし、これに限らず、各回動部材92は、矩形状の平面形状を有していてもよい。
【0062】
本願は、以下の付記を開示する。以下の付記は、本発明を限定するものではない。
【0063】
(付記1)
耕うん爪と、
前記耕うん爪よりも後方に位置し、少なくとも上下方向と左右方向とに拡がり、可撓性を有するシート部材と、
畝の形状に関する第1姿勢と、前記第1姿勢とは異なる畝の形状に関する第2姿勢との間で切り替え可能な畝立て部と
を備える、管理機。
【0064】
(付記2)
前記シート部材は、少なくとも前記上下方向と前記左右方向とに拡がる主面を有しており、
前記畝立て部は、
前記主面から突出するシャフトと、
第1端と第2端とを有しており、前記シート部材に沿って前記シャフト周りに回動可能に前記第1端が前記シャフトに支持され、前記第2端が、前記主面上の第1位置と、前記主面上で前記第1位置とは異なる第2位置との間で変位可能である回動部材と
を有し、
前記第2端が前記第1位置及び前記第2位置にあるとき、前記畝立て部は、前記第1姿勢及び前記第2姿勢をとる、付記1に記載の管理機。
【0065】
(付記3)
前記畝立て部は、前記第2端を前記第1位置と前記第2位置とに固定する固定具を更に有する、付記2に記載の管理機。
【0066】
(付記4)
前記シート部材は、少なくとも前記上下方向と前記左右方向とに拡がる主面を有しており、
前記畝立て部は、
前記主面において相異なる位置から突出する第1シャフト及び第2シャフトと、
第1端と第2端とを有しており、前記シート部材に沿って前記第1シャフト周りに回動可能に前記第1端が前記第1シャフトに支持され、前記第2端が、前記主面上の第1位置と、前記主面上で前記第1位置とは異なる第2位置との間で変位可能である第1回動部材と
第3端と第4端とを有しており、前記シート部材に沿って前記第2シャフト周りに回動可能に前記第3端が前記第2シャフトに支持され、前記第4端が、前記第2端と重なった状態で、前記主面上の第3位置と、前記主面上で前記第3位置とは異なる第4位置との間で変位可能である第2回動部材と
前記第2端を前記第4端に固定する固定具と
を更に有し、
前記第2端が前記第1位置にあり、前記第4端が前記第3位置にあるとき、前記畝立て部は、前記第1姿勢をとり、
前記第2端が前記第2位置にあり、前記第4端が前記第4位置にあるとき、前記畝立て部は、前記第2姿勢をとる、付記1に記載の管理機。
【0067】
(付記5)
前記第1回動部材及び前記第2回動部材は、前記畝立て部が前記第1姿勢にあるときの方が、前記第2姿勢にあるときよりも、前記第1シャフト及び前記第2シャフトを結ぶ仮想線の近くに位置する、(付記4)に記載の管理機。
【0068】
(付記6)
前記シート部材における左右両側に1つずつ前記畝立て部を備える、付記4又は付記5に記載の管理機。
【0069】
(付記7)
前記主面は後ろ斜め上方を向いている、付記2~付記6に記載の管理機。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、管理機であり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0071】
100 :管理機
1 :フレーム
2 :動力源
3 :トランスミッション
4 :伝達機構
5 :駆動輪
6 :耕うん部
62 :耕うん爪
7 :操作部
8 :シート部材
81 :第1主面
82 :第2主面
9 :畝立て部
91 :シャフト
911 :第1シャフト
912 :第2シャフト
92 :回動部材
921 :第1回動部材
922 :第2回動部材
93 :固定具
L01 :仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6