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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134820
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】放射線撮像装置及び剥離方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20240927BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
G01T1/20 G
G01T1/20 E
A61B6/00 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045208
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 順一朗
(72)【発明者】
【氏名】石本 一
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD10
2G188DD12
2G188DD47
4C093AA03
4C093CA32
4C093CA38
4C093EB12
4C093EB17
4C093EB20
(57)【要約】
【課題】装置の大型化や重量の増加を防ぎつつ、放射線変換パネルの破損を防止することが可能な放射線撮像装置及び剥離方法を提供する。
【解決手段】被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネル11と、放射線変換パネル11を駆動する回路基板13と、第1面に放射線変換パネル11を第1面と反対側の第2面に回路基板13をそれぞれ支持する支持体(基台12)と、からなる内部モジュール100と、内部モジュール100を収納する筐体と、を備える。内部モジュール100は、放射線変換パネル11側の面が筐体の内面に剥離可能に固定される。内部モジュール100の筐体固定面には、筐体固定面から突出して内部モジュール100の剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材14が設けられ、支持体の第2面には、支持体の剛性を増加する剛性補助部材を着脱可能に取り付け可能な取付部40が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルを駆動する回路基板と、第1面に前記放射線変換パネルを、前記第1面と反対側の第2面に前記回路基板を、それぞれ支持する支持体と、からなる内部モジュールと、
前記内部モジュールを収納する筐体と、
を備える放射線撮像装置であって、
前記内部モジュールは、前記放射線変換パネル側の面が前記筐体の内面に剥離可能に固定され、
前記内部モジュールの前記筐体に固定される面である筐体固定面には、当該筐体固定面から突出して前記内部モジュールの剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材が設けられ、
前記支持体の前記第2面には、当該支持体の剛性を増加する剛性補助部材を着脱可能に取り付け可能な取付部が設けられていることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記剥離補助部材は、樹脂で形成されたフィルムであり、一部が切り欠かれていることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記剥離補助部材は、前記内部モジュールの前記筐体固定面の前記剥離補助部材が突出している端部に沿う方向である幅方向の長さが、前記支持体の前記幅方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
前記剛性補助部材は、
前記取付部を介して前記支持体に取り付けられた際、前記支持体の側面を覆うように先端部が前記第1面を越えて突出し、
前記支持体からの突出量が前記放射線変換パネルのパネル基板の厚さ以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項5】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルを駆動する回路基板と、第1面に前記放射線変換パネルを、前記第1面と反対側の第2面に前記回路基板を、それぞれ支持する支持体と、からなる内部モジュールと、前記内部モジュールを収納する筐体と、を備える放射線撮像装置の剥離方法であって、
前記内部モジュールは、前記放射線変換パネル側の面が前記筐体の内面に剥離可能に固定され、
前記内部モジュールの前記筐体に固定される面である筐体固定面には、当該筐体固定面から突出して前記内部モジュールの剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材が設けられ、
前記内部モジュールを前記筐体から剥離する際に、前記支持体に当該支持体の剛性を増加する剛性補助部材を取り付けることを特徴とする剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮像装置及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に放射線を照射し、当該対象物を透過した放射線の強度分布を検出して放射線画像を撮影する放射線撮像装置が知られており、医療分野・産業分野等で広く利用されている。近年、撮影台からの分離・持ち運びを可能とした可搬型(カセッテ型)の放射線撮像装置が開発され、実用化されている。このような放射線撮像装置は、パネル状をしていることから、FPD(Flat Panel Detector)と呼ばれることがある。FPDは、内部に放射線を検出する放射線検出部を備える。
【0003】
上記の可搬型の放射線撮像装置は、被写体を透過した放射線を電気信号に変換する放射線変換パネルを筐体内に収納している。例えば、高剛性の中間部材を介して放射線変換パネルを筐体に貼り付ける構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の構成によれば、放射線変換パネルを筐体から剥離する際に、放射線変換パネルに作用する曲げ応力を低減させることができる。したがって、筐体からの剥離時に、曲げ応力による放射線変換パネルの変形を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-133315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、高剛性の中間部材を用いているため、重量の面で重くなり、ユーザーの取り扱いの点で不利である。また、特許文献1に記載の構成は、高剛性の中間部材が分厚くなるうえ、カセッテ制御部が遮蔽板に支持される構成である。分厚い中間部材を介して放射線変換パネルを筐体に貼り付け、制御部類を別に積層すると、JISZ4905規定のカセッテ厚さに収まらないおそれがある。
【0006】
そこで、支持体の一面に放射線変換パネルを、反対側の面に電装装置(制御用の回路基板など)を支持し、一体として厚さを抑えた内部モジュールを形成した構成が考案されている。内部モジュールは、放射線変換パネル側が筐体に貼り付けられる。放射線変換パネルの一部には、柔軟な樹脂等で形成されたフィルム状の剥離補助部材が設けられている。剥離補助部材は、通常時は畳まれており、筐体から内部モジュールを剥離する際に把持される。
【0007】
剥離補助部材には、筐体に設けられたコネクターや操作部と、内部の回路基板とを接続する配線を通すための切り欠きが設けられている。剥離補助部材は、筐体内部で邪魔にならないように、幅方向の長さが、放射線変換パネルの幅方向の長さよりも短い。内部モジュールは、筐体から剥離される際に、剥離補助部材が引っ張られると、切り欠き近傍や端部近傍において剥離補助部材がある部分のみが引っ張られる。したがって、内部モジュールは、不均一に引っ張られて変形してしまい、放射線変換パネルが破損するという課題がある。
曲げに対する剛性を向上させるために、支持体を厚くすることが考えられる。しかしながら、支持体を厚くした場合、装置が厚くなったり重くなったりするという別の課題が生じる。
【0008】
本発明は、装置の大型化や重量の増加を防ぎつつ、放射線変換パネルの破損を防止することが可能な放射線撮像装置及び剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
放射線撮像装置において、
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルを駆動する回路基板と、第1面に前記放射線変換パネルを、前記第1面と反対側の第2面に前記回路基板を、それぞれ支持する支持体と、からなる内部モジュールと、
前記内部モジュールを収納する筐体と、
を備える放射線撮像装置であって、
前記内部モジュールは、前記放射線変換パネル側の面が前記筐体の内面に剥離可能に固定され、
前記内部モジュールの前記筐体に固定される面である筐体固定面には、当該筐体固定面から突出して前記内部モジュールの剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材が設けられ、
前記支持体の前記第2面には、当該支持体の剛性を増加する剛性補助部材を着脱可能に取り付け可能な取付部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線撮像装置において、
前記剥離補助部材は、樹脂で形成されたフィルムであり、一部が切り欠かれていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の放射線撮像装置において、
前記剥離補助部材は、前記内部モジュールの前記筐体固定面の前記剥離補助部材が突出している端部に沿う方向である幅方向の長さが、前記支持体の前記幅方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の放射線撮像装置において、
前記剛性補助部材は、
前記取付部を介して前記支持体に取り付けられた際、前記支持体の側面を覆うように先端部が前記第1面を越えて突出し、
前記支持体からの突出量が前記放射線変換パネルのパネル基板の厚さ以上であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルを駆動する回路基板と、第1面に前記放射線変換パネルを、前記第1面と反対側の第2面に前記回路基板を、それぞれ支持する支持体と、からなる内部モジュールと、前記内部モジュールを収納する筐体と、を備える放射線撮像装置の剥離方法であって、
前記内部モジュールは、前記放射線変換パネル側の面が前記筐体の内面に剥離可能に固定され、
前記内部モジュールの前記筐体に固定される面である筐体固定面には、当該筐体固定面から突出して前記内部モジュールの剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材が設けられ、
前記内部モジュールを前記筐体から剥離する際に、前記支持体に当該支持体の剛性を増加する剛性補助部材を取り付けることを特徴とする剥離方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置の大型化や重量の増加を防ぎつつ、放射線変換パネルの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る放射線撮像装置の外観を示す斜視図である。
図2】放射線撮像装置の構成を示す側面断面図である。
図3】内部モジュールの構成を示す側面断面図である。
図4】内部モジュールを筐体から剥離する様子の一例を示す側面断面図である。
図5図4のX方向からみた内部モジュールの側面図である。
図6図5の符号Pが差し示す部分を拡大した図である。
図7】基台に剛性補助部材が取り付けられた様子の一例を示す側面断面図である。
図8】基台に剛性補助部材が取り付けられる様子の一例を示す外観斜視図である。
図9】基台に取付部が設けられた様子の一例を示す側面断面図である。
図10】基台に取付部が設けられた様子の一例を示す平面図である。
図11】剛性補助部材の突出部の基台からの突出量がパネル基板の厚さ以上である様子の一例を示す側面断面図である。
図12】剛性補助部材と基台とがネジで固定された様子の一例を示す側面断面図である。
図13】変形例1に係る剛性補助部材及び取付部の構成の一例を示す側面断面図である。
図14】変形例2に係る剛性補助部材及び取付部の構成の一例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係る放射線撮像装置1は、図1に示すように、筐体10を備える。筐体10の中には、図2に示すように、内部モジュール100が収納されている。内部モジュール100は、筐体10に収納される際、粘着剤N1を介して筐体10の内面に貼り付けられる。
放射線撮像装置1は、筐体10の外側面に、電源スイッチ21と、操作スイッチ22と、インジケーター23と、コネクター24と、を備える(図1参照)。
【0018】
筐体10は、例えば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)により形成されている。筐体10は、放射線照射面である前面部と側面部とを有する箱型のフロント板10aと、蓋体としてのバック板10bと、に分割されて構成されている。フロント板10aとバック板10bとは、例えばネジ止めされており、容易に分離可能である。フロント板10aとバック板10bとの結合部には、内部に液体が入らないように、図示しないパッキン等の防水部材が設けられている。
【0019】
内部モジュール100は、図3に示すように、放射線変換パネル11と、基台12と、回路基板13と、を備える。
【0020】
放射線変換パネル11は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する。放射線変換パネル11は、シンチレーター111と、TFTガラス基板112と、を積層したものである。TFTガラス基板112は、ガラス基板の撮像面に、複数の半導体素子及びスイッチ素子であるTFT(Thin Film Transistor)がマトリクス上に配列されたものである。ガラス基板の撮像面は、放射線が照射される側の面である。
放射線変換パネル11は、放射線が照射された際に、まず、シンチレーター111が放射線の強度に応じた光を発する。次に、TFTガラス基板112上の半導体素子(フォトダイオード)が、シンチレーター111が発した光を電荷に変換し、信号として回路基板13に出力する。
【0021】
基台12は、第1面に放射線変換パネル11を、第1面と反対側の第2面に回路基板13を、それぞれ支持する。すなわち、基台12は、本発明の支持体として機能する。基台12は、筐体10の内面に接着剤や粘着剤によって固定されていてもよい。基台12は、筐体10と基台12の間に図示しない位置決め部材を設け、移動しないようにしてもよい。
【0022】
回路基板13は、CPU、ROM、RAM、通信部等を含む処理回路131を備える(図10参照)。処理回路131は、放射線変換パネル11の駆動を制御するとともに、放射線変換パネル11から読み出された信号を処理する。具体的には、処理回路131は、放射線変換パネル11から読み出された信号から画像データを生成し、図示しないコンソール等へ出力する。
【0023】
内部モジュール100は、図2に示すように、筐体10に収納される際、粘着剤N1を介して筐体10(フロント板10a)の内面に貼り付けられる。内部モジュール100は、筐体10に収納される際、放射線変換パネル11側の面が筐体10の内面に剥離可能に固定される(図6等参照)。
【0024】
内部モジュール100の筐体固定面には、図2及び図3に示すように、当該筐体固定面から突出して内部モジュール100の剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材14が設けられている。筐体固定面は、内部モジュール100の筐体10に固定される面であり、すなわち、放射線変換パネル11側の面である。内部モジュール100は、剥離補助部材14が設けられたことで、筐体10から容易に剥離することができる。剥離補助部材14は、筐体10に収納される際、内部モジュール100側に折り畳まれた状態で収納される。
【0025】
ユーザーは、内部モジュール100を筐体10から剥離する際、まず、バック板10bを取り外すとともに、フロント板10aを裏返す(図4(A)参照)。次に、ユーザーは、折り畳まれている剥離補助部材14を把持し、剥離する方向(図中上方)に引っ張る(図4(B)参照)。これにより、容易に内部モジュール100を筐体10から剥離することができる。
【0026】
剥離補助部材14は、樹脂で形成されたフィルムであり、一部が切り欠かれている。具体的には、剥離補助部材14には、図5に示すように、内部モジュール100上のコネクターCや配線L等を避けるための切り欠き部14aが形成されている。
一部が切り欠かれた剥離補助部材14が引っ張られると、図6に示すように、内部モジュール100に対して局所的に力が掛かる。基台12の剥離補助部材14が設けられている側の端部には、基台12の剛性を向上させる目的で、側壁12a(図3等参照)が設けられている。しかしながら、切り欠き部14aが形成されている部分にはコネクターCや配線L等が配置されているため、基台12に側壁やリブ等を設けることができない。すなわち、基台12の曲げ剛性が不十分であるため、剥離時に生じる局所的な力により基台12もろともTFTガラス基板112が曲がってしまい、放射線変換パネル11が破損する。剛性を向上させる目的で基台12全体を厚くすることも考えられるが、重くなるうえ、JISサイズという厚さの制約もあり、困難である。
上記のように、一部が切り欠かれて不均一な形状の剥離補助部材14を用い、かつ、放射線変換パネル11にガラス基板(TFTガラス基板112)を用いると、内部モジュール100を筐体10から剥離する際に、ガラス基板が割れるおそれがある。
【0027】
剥離補助部材14は、図5に示すように、幅方向の長さW1が、基台12の幅方向の長さW2よりも短い。剥離補助部材14の幅方向及び基台12の幅方向は、内部モジュール100の筐体固定面の剥離補助部材14が設けられている(剥離補助部材14が突出している)端部に沿う方向である。この構成により、内部モジュール100の剥離時に、剥離補助部材14の幅方向端部において、不均一な力が内部モジュール100に掛かる。
【0028】
本発明では、内部モジュール100を筐体10から剥離するときだけ、一時的に基台12の端部を厚くする剛性補助部材30を取り付ける(図7参照)。これにより、基台12の曲げ剛性を増加することができるので、局所的な曲がりを抑制することができる。よって、剥離時に放射線変換パネル11が割れることを防止することができる。
【0029】
剛性補助部材30は、例えば、ステンレス等の金属製の部材である。剛性補助部材30は、基台12に取り付けられることで、基台12の剛性を増加する。剛性補助部材30は、図8に示すように、基台12に取り付けられる被取付部31と、被取付部31の基台12に取り付けられる側の端部と反対側の端部から垂直方向に突出する突出部32と、から構成される側面視略L字状の部材である。剛性補助部材30が基台12に取り付けられる際、突出部32は、基台12と筐体10との隙間に入り込む。剛性補助部材30は、長手方向の長さが基台12の幅方向の長さW2と略同一である。
剛性補助部材30は、被取付部31を備えることで、基台12に取り付けられた際に、基台12の剥離補助部材14が設けられている側の端部を厚くすることができる。
【0030】
基台12の第2面には、図9及び図10に示すように、剛性補助部材30を着脱可能に取り付け可能な取付部40が設けられている。
取付部40には、剛性補助部材30を取り付ける際に、ネジ41で固定するためのネジ穴40aが設けられている。ネジ穴40aは、剛性補助部材30を取り付けるときに、剛性補助部材30の被取付部31に設けられたネジ穴31aの位置と一致する位置に設けられている。
取付部40は、図10に示すように、複数設けられることがより好ましい。取付部40を複数設けることで、複数箇所で剛性補助部材30を固定することができるので、曲げに対する剛性を向上させることができる。
取付部40は、基台12の側壁12aの内側に、側壁12aと接するように配置される。取付部40は、側壁12aやリブが設けられていない箇所では、端部まで延在する構成であってもよい。
【0031】
剛性補助部材30は、図7及び図11に示すように、基台12に取り付けられた際、基台12の側面を覆うように突出部32の先端部32aが基台12の第1面を越えて突出している。剛性補助部材30は、基台12からの突出量H1が放射線変換パネル11のパネル基板(TFTガラス基板112)の厚さH2以上である(図11参照)。これにより、剥離補助部材14が引っ張られた際に、剥離補助部材14がTFTガラス基板112のエッジに接触しなくなる。よって、TFTガラス基板112や剥離補助部材14の破損を防止することができる。なお、剥離補助部材14の破損をより確実に防止するため、先端部32aの形状は、丸みを帯びたR形状とすることがより好ましい。
【0032】
次に、内部モジュール100を筐体10から剥離する方法について説明する。
まず、ユーザーは、バック板10bを取り外すとともに、フロント板10aを裏返す(図4(A)参照)。
次に、ユーザーは、折り畳まれている剥離補助部材14を基台12から引き離す。
次に、ユーザーは、剥離補助部材14を基台12から引き離した状態で、剛性補助部材30を基台12に取り付ける(図7参照)。
このとき、ユーザーは、剛性補助部材30と基台12に設けられた取付部40とをネジ41で固定する(図12参照)。これにより、剛性補助部材30を基台12に固定することができるので、基台12の曲げ剛性を増加することができる。
次に、ユーザーは、剛性補助部材30を基台12に固定した状態で剥離補助部材14を把持し、剥離する方向に引っ張る。
これにより、容易に内部モジュール100を筐体10から剥離することができる。また、剥離時に放射線変換パネル11が割れることを防止することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る放射線撮像装置1は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネル11と、放射線変換パネル11を駆動する回路基板13と、第1面に放射線変換パネル11を、第1面と反対側の第2面に回路基板13を、それぞれ支持する支持体(基台12)と、からなる内部モジュール100と、内部モジュール100を収納する筐体10と、を備える。内部モジュール100は、放射線変換パネル11側の面が筐体10の内面に剥離可能に固定される。内部モジュール100の筐体10に固定される面である筐体固定面には、当該筐体固定面から突出して内部モジュール100の剥離時に把持可能に構成された剥離補助部材14が設けられ、支持体の第2面には、当該支持体の剛性を増加する剛性補助部材30を着脱可能に取り付け可能な取付部40が設けられている。
したがって、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、内部モジュール100を筐体10から剥離する際に支持体の剛性を増加する剛性補助部材30を取り付けることができるので、剥離補助部材14により不均一に引っ張られた場合であっても、内部モジュール100の変形を抑制することができる。よって、放射線変換パネル11の破損を防止することができる。また、内部モジュール100の剥離時のみ剛性補助部材30を取り付けるので、支持体を厚く構成する必要がなく、装置の大型化や重量の増加を防ぐことができる。
【0034】
また、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、剥離補助部材14は、樹脂で形成されたフィルムであり、一部が切り欠かれている。
したがって、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、内部モジュール100の剥離を補助する部材を柔軟で薄くすることができるので、装置の大型化や重量の増加を防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、剥離補助部材14は、内部モジュール100の筐体固定面の剥離補助部材14が突出している端部に沿う方向である幅方向の長さが、支持体の幅方向の長さよりも短い。
したがって、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、筐体内部で剥離補助部材14が邪魔になることを抑制することができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、剛性補助部材30は、取付部40を介して支持体に取り付けられた際、支持体の側面を覆うように先端部32aが第1面を越えて突出し、支持体からの突出量が放射線変換パネル11のパネル基板(TFTガラス基板112)の厚さ以上である。
したがって、本実施形態に係る放射線撮像装置1によれば、剥離補助部材14が引っ張られた際に、TFTガラス基板112のエッジに接触することを抑制することができるので、TFTガラス基板112や剥離補助部材14の破損を防止することができる。
【0037】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0038】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、剛性補助部材30と基台12に設けられた取付部40とをネジ41で固定するようにしているが、これに限定されるものではない。
変形例1に係る剛性補助部材30Aは、図13に示すように、被取付部31の先端に爪部31bが設けられている。変形例1に係る取付部40Aは、側壁12aと接する側面と反対側の側面に、凹部40bが設けられている。変形例1では、剛性補助部材30Aを取付部40Aに取り付ける際、取付部40Aの凹部40bに剛性補助部材30Aの爪部31bを引っ掛けて固定する。これにより、剛性補助部材30Aを基台12に固定することができる。
【0039】
(変形例2)
変形例2に係る剛性補助部材30Bは、ネジ穴31aが設けられていない点を除き、実施形態に係る剛性補助部材30と同一の構成である。変形例2に係る取付部40Bは、図14に示すように、実施形態に係る取付部40と異なり、ネジ穴40aが設けられていない構成である。変形例2では、剛性補助部材30Bを取付部40Bに取り付ける際、剛性補助部材30Bと取付部40及び側壁12aとの接触部分に剥離可能な粘着剤N2を用いて固定する。これにより、剛性補助部材30Bを基台12に固定することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、一部が切り欠かれて不均一な形状の剥離補助部材14を用いることを課題としているが、これに限定されるものではない。仮に切り欠き部14aが形成されていない均一な形状の剥離補助部材を用いる場合であっても、局所的な曲がりが発生するおそれはある。例えば、剥離補助部材14を引っ張る力の分布にバラつきがあったり、基台12の構造に起因して剛性が不均一であったりする場合である、
したがって、均一な形状の剥離補助部材を用いる場合であっても、内部モジュール100を筐体10から剥離する際には、剛性補助部材30Bを基台12に取り付けることがより好ましい。
【0041】
また、上記実施形態では、放射線変換パネル11にTFTガラス基板112を用いる構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、TFTガラス基板112の代わりに、フレキシブルTFTを用いる構成としてもよい。フレキシブルTFTを用いる構成であっても、局所的に曲がると、シンチレーター111やTFT配線が破損するおそれがあるからである。したがって、フレキシブルTFTを用いる構成であっても、剛性補助部材30を着脱可能とすることが好ましい。
【0042】
その他、放射線撮像装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 放射線撮像装置
10 筐体
10a フロント板
10b バック板
11 放射線変換パネル
111 シンチレーター
112 TFTガラス基板(パネル基板)
12 基台(支持体)
12a 側壁
13 回路基板
131 処理回路
14 剥離補助部材
14a 切り欠き部
21 電源スイッチ
22 操作スイッチ
23 インジケーター
24 コネクター
30、30A、30B 剛性補助部材
31 被取付部
31a ネジ穴
31b 爪部
32 突出部
40、40A、40B 取付部
40a ネジ穴
40b 凹部
41 ネジ
100 内部モジュール
N1、N2 粘着剤
図1
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図14