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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134825
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】煙可視化装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240927BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H04N7/18 K
G06T5/50
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045221
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古川 純也
【テーマコード(参考)】
5B057
5C054
【Fターム(参考)】
5B057AA19
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057CE12
5B057CE13
5B057CE14
5B057DA02
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054EA07
5C054EJ04
5C054FC01
5C054FC12
5C054FE05
5C054FE09
5C054FE12
5C054FE28
5C054FF06
5C054GB01
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】高精度に煙を可視化できる煙可視化装置を提供する。
【解決手段】煙可視化装置100は、所定の範囲に、当該所定の範囲に存在する煙6の粒子が光散乱するように所定の光を照射する照明120と、照明120によって所定の光が照射された所定の範囲を撮像して得られた撮像画像データ142と、所定の範囲の基準画像データ143とを、少なくとも1つの所定の閾値に基づいて多値化処理した後、差分処理を行って、差分画像データを生成する差分処理部145と、を備え、上記所定の閾値は、所定の範囲の色又は照明120が照射する光の種類に応じて設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲に、前記所定の範囲に存在する煙の粒子が光散乱するように所定の光を照射する照明と、
前記照明によって前記所定の光が照射された前記所定の範囲を撮像して得られた撮像画像データと、前記所定の範囲の基準画像データとを、少なくとも1つの所定の閾値に基づいて多値化処理した後、差分処理を行って、差分画像データを生成する差分処理部と、
を備え、
前記所定の閾値は、前記所定の範囲の色又は前記照明が照射する光の種類に応じて設定される、
煙可視化装置。
【請求項2】
前記照明は、煙検知器によって煙が検知された場合に、前記所定の光を照射し、
前記差分画像データを前記撮像画像データに合成して合成画像データを生成する合成部をさらに備える、
請求項1に記載の煙可視化装置。
【請求項3】
前記合成部は、前記差分画像データの画素の色を前記所定の範囲の色に対して視認しやすい色に変更し、前記撮像画像データに合成する、
請求項2に記載の煙可視化装置。
【請求項4】
前記差分画像データに基づいて、前記所定の範囲における煙の有無を判定する判定部と、
前記判定部が、前記所定の範囲に煙が有ると判定した場合に、所定の通知を行う通知部と、
を備える、
請求項1に記載の煙可視化装置。
【請求項5】
前記撮像画像データから前記所定の範囲に存在する所定の対象物を検出する対象物検出部をさらに備え、
前記差分処理部は、前記撮像画像データの前記所定の対象物に相当する部分である対象物画素部分を、前記基準画像データの前記対象物画素部分に対応する基準画素部分に置き換えた修正撮像画像データを生成し、前記修正撮像画像データと前記基準画像データとに前記多値化処理及び前記差分処理を行って前記差分画像データを生成する、
請求項1に記載の煙可視化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙可視化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、監視カメラにより撮像された複数の画像の煙候補領域内において、輝度が増加する画素数の総数を第1の特徴量、輝度が減少する画素数の総数を第2の特徴量として算出し、これらの特徴量に基づいて煙検出を行う煙検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-110263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、空調が行われた室内では、煙が拡散されて煙の濃度が低くなるため、特許文献1のような、画素の輝度の増減に基づいて煙検出を行う技術では煙を検出できない可能性がある。また、煙の検出自体は、一般的な煙検知器によって行うことが可能だが、誤検出か否かを判断するため、通常の撮像画像では視認不可能な程度に濃度が低い煙であっても高精度に可視化することが求められる。
【0005】
本発明は、高精度に煙を可視化できる煙可視化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る煙可視化装置は、所定の範囲に、前記所定の範囲に存在する煙の粒子が光散乱するように所定の光を照射する照明と、前記照明によって前記所定の光が照射された前記所定の範囲を撮像して得られた撮像画像データと、前記所定の範囲の基準画像データとを、少なくとも1つの所定の閾値に基づいて多値化処理した後、差分処理を行って、差分画像データを生成する差分処理部と、を備え、前記所定の閾値は、前記所定の範囲の色又は前記照明が照射する光の種類に応じて設定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高精度に煙を可視化できる煙可視化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る煙可視化装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る基準画像の一例を示す図である。
図3】実施形態1に係る撮像画像の一例を示す図である。
図4】実施形態1に係る差分画像の一例を示す図である。
図5】実施形態1に係る合成画像の一例を示す図である。
図6】実施形態1に係る煙可視化方法の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態2に係る煙可視化装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8】実施形態2に係る煙可視化方法の一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態3に係る煙可視化装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10】実施形態3に係る撮像画像の一例を示す図である。
図11】実施形態3に係る修正撮像画像の一例を示す図である。
図12】実施形態3に係る煙可視化方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る煙可視化装置100の構成の一例を示す。煙可視化装置100は、図1に示すように、照明120、画像処理部140、を備える。煙可視化装置100は、所定の範囲を監視し、当該所定の範囲に存在する煙を可視化する。具体的には、煙可視化装置100は、当該所定の範囲における煙の発生を検知する煙検知器200及び当該所定の範囲を撮像するカメラ300とLAN(Local Area Network)、インターネット等を介して通信可能となっている。なお、煙検知器200は、市販されている通常の煙検知器であればよく、特に限定されない。また、カメラ300は、監視カメラ、防犯カメラ等であり、特に限定されない。また、カメラ300は、煙可視化装置100の構成要素であってもよい。また、照明120は、カメラ300の構成要素であってもよい。
【0010】
照明120は、所定の範囲に、当該所定の範囲に存在する煙の粒子が光散乱するように所定の光を照射する。照明120は、例えば、LED(Light Emitting Diode)であり、LEDの色は、所定の範囲の色、想定される煙の粒子の形状、大きさ、色等に応じて決定される。ここで、所定の範囲の色とは、当該所定の範囲に存在する物体の色であり、様々な色を含むことが想定される。そして、例えば、所定の範囲の色が黒を基調とする場合、照明120は白色LEDであることが好ましく、所定の範囲の色が白を基調とする場合、照明120は赤色LEDであることが好ましい。
【0011】
また、照明120は、煙検知器200によって煙が検知された場合に、所定の範囲に所定の光を照射する。具体的には、煙検知器200から煙検知信号を画像処理部140の点灯制御部144(後述)が受信した場合に、点灯制御部144が照明120を点灯させる。
【0012】
画像処理部140は、図1に示すように、記憶部141、点灯制御部144、差分処理部145、合成部146、表示部147を備える。
【0013】
記憶部141は、撮像画像データ142、基準画像データ143等を記憶している。撮像画像データ142は、カメラ300が所定の範囲を撮像して得られた撮像画像G2(例えば、図3参照)のデータである。記憶部141は、カメラ300が所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で撮像する場合、複数フレームの撮像画像データ142を記憶してもよい。基準画像データ143は、カメラ300が所定の範囲を撮像して得られた画像であって、後述する差分処理において基準となる基準画像G1(例えば、図2参照)のデータである。基準画像G1は、カメラ300が予め所定の範囲を撮像した画像であってもよいし、新たに記憶部141に格納される撮像画像データ142の撮像画像G2よりも所定フレーム前の撮像画像であってもよい。
【0014】
図2に、基準画像G1の一例を示す。図2に示す例では、基準画像G1に、所定の範囲に存在する空調設備1、複数のサーバを収納したサーバラック2、机3、机3の上に載置されたPC(Personal Computer)4、ドア5が写っている。基準画像G1は、カメラ300が、通常の状態、例えば、煙が発生していない状態における所定の範囲を撮像して得られた画像である。
【0015】
図3に、撮像画像G2の一例を示す。図3に示す例では、撮像画像G2に、所定の範囲に存在する空調設備1、複数のサーバを収納したサーバラック2、机3、机3の上に載置されたPC4、ドア5の他に、煙6が写っている。なお、図3において、撮像画像G2は、照明120が点灯している際にカメラ300が所定の範囲を撮像して得られたものとする。また、煙6は、空調設備1によって作り出された空気の流れによって拡散され、撮像画像G2上において人が視認不可能な程度に濃度が薄くなっているものとする。
【0016】
点灯制御部144は、照明120の点灯を制御する。具体的には、点灯制御部144は、煙検知器200によって煙が検知された場合に照明120を点灯させ、煙検知器200によって煙が検知されていない場合に照明120を消灯させる。換言すれば、点灯制御部144は、煙検知器200から煙検知信号を受信している場合に照明120を点灯させ、煙検知器200から煙検知信号を受信していない場合に照明120を消灯させる。
【0017】
差分処理部145は、照明120によって所定の光が照射された所定の範囲を撮像して得られた撮像画像データ142と、所定の範囲の基準画像データ143とを、多値化処理した後、差分処理を行って、差分画像データを生成する。ここで、差分画像データとは、基準画像G1と撮像画像G2とを多値化処理した後、差分処理することによって生成された差分画像G3(例えば、図4参照)のデータである。また、多値化処理とは、二値化処理、三値化処理、・・・、n(nは2以上の正の整数)値化処理であり、二値化処理では1つの閾値を用い、三値化処理では2つの閾値を用い、・・・、n値化処理では、n-1個の閾値を用いる。ここで、多値化処理で用いる閾値は、例えば、画素値に対応する値である。また、画素値は、カメラ300がグレースケール画像を撮像する場合、白黒の濃淡を256階調(0~255)で表す値である。また、カメラ300がRGBカラー画像を撮像する場合、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれの濃度を256階調(0~255)で表す値である。また、画素値は、輝度値を含んでもよい。カメラ300がグレースケール画像を撮像する場合、二値化処理では、所定の閾値より画素値が低い画素の画素値が0に変換され、所定の閾値以上の画素値を有する画素の画素値が255に変換される。三値化処理では、第1の閾値より画素値が低い画素の画素値が0に変換され、第1の閾値より高い第2の閾値より画素値が低い画素の画素値が例えば128に変換され、第2の閾値以上の画素値を有する画素の画素値が255に変換される。そして、差分処理部145は、多値化処理を行った撮像画像データ142のそれぞれの画素の画素値から、多値化処理を行った基準画像データ143のそれぞれの画素の画素値を差し引いて、差分画像データを生成する。
【0018】
なお、多値化処理で用いられる所定の閾値は、所定の範囲の色又は照明120が照射する光の種類に応じて設定される。例えば、照明120が白色LEDである場合、煙6は白色光を反射するため、所定の範囲の色が黒を基調とする場合、所定の閾値は比較的高く設定され、所定の範囲の色が白を基調とする場合、所定の閾値は比較的低く設定される。例えば、二値化処理を行う場合であって、所定の範囲の色が黒を基調とする場合、所定の閾値は10~25であることが好ましく、二値化処理を行う場合であって、所定の範囲の色が白を基調とする場合、所定の閾値は5~15であることが好ましい。また、ここで、光の種類とは、例えば、当該光の色(波長)であり、照明120がLEDである場合、光の種類には、色温度も含まれてもよい。ここで、所定の範囲の基調となる色は、差分処理部145が基準画像G1から検出してもよく、この場合、差分処理部145は、検出した色に基づいて、所定の閾値を決定してもよい。
【0019】
また、差分処理部145は、基準画像G1及び撮像画像G2の二値化処理及び差分処理を行う際に、処理を行う横xピクセル×縦yピクセルの矩形範囲(x及びyは正の整数)毎に行ってもよい。この場合、所定範囲の色の検出も当該矩形範囲毎に行われ、多値化処理で用いられる所定の閾値も当該矩形範囲毎に設定されてもよい。
【0020】
図4に、差分画像G3の一例を示す。図4に示すように、多値化処理及び差分処理を行うことにより、図3に示す撮像画像G2では視認不可能であった煙6が、図4に示す差分画像G3では視認可能に強調される。なお、図4に示す差分画像G3では、空調設備1の外形、サーバラック2の一部、PC4の一部、ドア5のドアノブ部分も強調されている。これは、照明120による光の照射により、これらの部分も当該光を反射するためである。
【0021】
合成部146は、差分画像データを撮像画像データ142に合成して合成画像データを生成する。なお、合成画像データとは、撮像画像G2と差分画像G3とを合成することによって生成された合成画像G4(例えば、図5参照)のデータである。また、合成部146は、差分画像データの画素の色を所定の範囲の色に対して視認しやすい色に変更し、撮像画像データに合成してもよい。ここで、所定の範囲の色に対して視認しやすい色とは、例えば、当該所定の範囲の色の反対色である。例えば、所定の範囲の色が黒を基調とする場合、視認しやすい色は白である。また、当該視認しやすい色は、基準画像G1において、煙6に相当する部分の色の反対色又は補色であってもよい。この場合、合成部146は、基準画像G1の煙6に相当する部分の色を検出してもよい。また、合成部146は、2つ以上の閾値を用いる多値化処理が行われて差分画像データが生成されている場合、差分画像データの画素の画素値によって当該画素の色を変更し、撮像画像データに合成してもよい。これにより、合成画像G4において煙の濃度分布を表示することが可能となる。
【0022】
表示部147は、合成部146が合成した合成画像G4を表示する。表示部147は、基準画像G1、撮像画像G2、差分画像G3を表示してもよい。
【0023】
次に、図6を参照しながら、本実施形態1に係る煙可視化方法について説明する。
まず、点灯制御部144が煙検知器200から煙検知信号を受信すると(ステップS101)、点灯制御部144が、照明120を点灯させる(ステップS102)。
【0024】
次に、差分処理部145が、記憶部141から撮像画像データ142を取得し(ステップS103)、差分処理部145が、撮像画像データ142及び基準画像データ143の多値化処理を行う(ステップS104)。
【0025】
次に、差分処理部145が、多値化処理した撮像画像データ142と多値化処理した基準画像データ143との差分処理を行って差分画像データを生成する(ステップS105)。
【0026】
次に、合成部146が、差分画像データと記憶部141に格納されている撮像画像データ142とを合成して合成画像データを生成する(ステップS106)。
【0027】
次に、表示部147が、合成画像データに基づいて合成画像G4を表示する(ステップS107)。
【0028】
次に、点灯制御部144が、煙可視化処理を終了するか否かを判断する(ステップS108)。具体的には、点灯制御部144は、煙検知器200によって煙が検知されていない場合に、煙可視化処理を終了すると判断する。換言すれば、点灯制御部144は、煙検知器200から煙検知信号を受信していない場合に、煙可視化処理を終了すると判断する。
【0029】
ステップS108において、点灯制御部144が、煙可視化処理を終了しないと判断した場合(ステップS108;No)、ステップS103の処理に戻る。
ステップS108において、点灯制御部144が、煙可視化処理を終了すると判断した場合(ステップS108;Yes)、点灯制御部144は、照明120を消灯させ(ステップS109)、本処理を終了する。
【0030】
以上に説明した、実施形態1に係る煙可視化装置100及び煙可視化方法によれば、照明120によって煙6の粒子を光らせることができる。さらに、多値化処理及び差分処理を行うことにより、撮像画像G2上において視認不可能な程度に濃度が薄い煙6であっても、差分画像G3上において視認可能とすることができる。そして、差分画像G3を撮像画像G2に合成して生成した合成画像G4により、所定の範囲において発生した、通常では視認不可能な程度に濃度が薄い煙6を可視化することができる。
【0031】
なお、本発明において、差分処理部145は、多値化処理は行わなくてもよい。差分処理部145が多値化処理を行うことにより、煙6をより強調することができるため、濃度の薄い煙6であっても高精度に可視化することが可能となる。
【0032】
また、合成部146が、差分画像データの色を所定の範囲の色に対して視認しやすい色に変更し、撮像画像データ142に合成することにより、合成画像G4において、煙6をさらに見やすくすることができる。
【0033】
また、2つ以上の閾値を用いる多値化処理が行われて差分画像データが生成されている場合に、合成部146が差分画像データの画素の画素値によって当該画素の色を変更することにより、合成画像G4において煙の濃度分布を表示することが可能となる。
【0034】
実施形態2
次に、本発明の実施形態2に係る煙可視化装置400について説明する。図7は、実施形態2に係る煙可視化装置400の構成の一例を示す。実施形態2に係る煙可視化装置400は、煙検知器200と通信可能となっていない点で、実施形態1に係る煙可視化装置100と異なる。また、実施形態2に係る煙可視化装置400の画像処理部440の構成は、実施形態1に係る煙可視化装置100の画像処理部140と異なる。具体的には、画像処理部440は、合成部146に相当する構成を備えず、判定部442、通知部443をさらに備える。また、画像処理部440の点灯制御部441の点灯制御は、点灯制御部144と異なる。そのため、実施形態2の煙可視化装置400の構成のうち、実施形態1の煙可視化装置100と同様の構成については、同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0035】
点灯制御部441は、所定の時間間隔で、照明120を点灯させる。
【0036】
判定部442は、差分処理部145が生成した差分画像データに基づいて、所定の範囲における煙6の有無を判定する。例えば、判定部442は、予め設定された煙検出閾値を超える画素値を有する画素が、差分画像G3全体に対して、予め設定された所定の割合以上ある場合に、所定の範囲に煙6が有ると判定する。ここで、予め設定された煙検出閾値は、差分画像データにおいて煙6に相当する画素が取り得る画素値であり、多値化処理における閾値の数や、照明120の光の種類等に応じて設定される。また、所定の割合とは、差分画像G3において煙6に相当する画素が占め得る最小の割合である。
【0037】
通知部443は、判定部442が、所定の範囲に煙6が有ると判定した場合に、所定の通知を行う。ここで、所定の通知とは、例えば、アラーム音、音声、表示部147へのアラームの表示等により、煙6が発生したことを、煙可視化装置400のユーザへ知らせる通知である。
【0038】
次に、図8を参照しながら、本実施形態2に係る煙可視化方法について説明する。図8に示すステップS202~ステップS204の処理は、図6に示すステップS103~ステップS105と同様であるため、その説明を省略する。
【0039】
まず、点灯制御部441は、所定の時間間隔で、照明120を点灯させる(ステップS201)。
【0040】
判定部442は、ステップS204において生成された差分画像データに基づいて、所定範囲における煙6の有無を判定する(ステップS205)。
【0041】
ステップS205において、判定部442が、所定範囲に煙6が無いと判定した場合(ステップS205;No)、ステップS201の処理に戻る。
【0042】
ステップS205において、判定部442が、所定の範囲に煙6が有ると判定した場合(ステップS205;Yes)、通知部443が所定の通知を行って(ステップS206)、本処理を終了する。
【0043】
以上に説明した、実施形態2に係る煙可視化装置400及び煙可視化方法によれば、差分画像データを利用して、撮像画像G2上において視認不可能な程度に濃度が薄い煙6が発生した場合でも、煙の有無を判定することができ、煙が有ると判定した場合には通知を行うことができる。したがって、煙検知器200の代わりに、煙検出を行うことができる。さらに、ユーザが、表示部147に表示された差分画像G3を確認することにより、誤検出か否かも判断することが可能となる。
【0044】
実施形態3
次に、本発明の実施形態3に係る煙可視化装置500について説明する。図9は、実施形態3に係る煙可視化装置500の構成の一例を示す。実施形態3に係る煙可視化装置500の画像処理部540の構成は、実施形態1に係る煙可視化装置100の画像処理部140と異なる。具体的には、画像処理部540は、さらに、対象物検出部541を備える。また、画像処理部540の差分処理部542の処理は、差分処理部145と異なる。そのため、実施形態3の煙可視化装置500の構成のうち、実施形態1の煙可視化装置100と同様の構成については、同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0045】
対象物検出部541は、記憶部141から撮像画像データ142を取得し、撮像画像データ142から所定の範囲に存在する所定の対象物を検出する。ここで、所定の対象物とは、所定の範囲に恒常的に存在しない物であって煙6以外の物である。具体的には、基準画像G1に写っていない物であって煙6以外のものである。対象物検出部541は、例えば、画像認識処理を行うことによって、所定の対象物を検出する。画像認識処理は、通常の画像認識処理であればよく、特に限定されない。
【0046】
図10に、撮像画像G5の一例を示す。図10に示す撮像画像G5は、図3に示す撮像画像G2と異なり、所定の範囲に存在する空調設備1、サーバラック2、机3、PC4、ドア5、煙6の他に、人物7が写っている。なお、図10において、撮像画像G2と同様に、撮像画像G5は、照明120が点灯している際にカメラ300が所定の範囲を撮像して得られたものとする。また、煙6は、空調設備1によって作り出された空気の流れによって拡散され、撮像画像G5上において人が視認不可能な程度に濃度が薄くなっているものとする。撮像画像G5において、対象物検出部541は、人物7を所定の対象物に相当する部分として検出し対象物画像部分P1とする。対象物画素部分P1の部分を一点鎖線で示す。
【0047】
差分処理部542は、撮像画像データ142の所定の対象物に相当する部分である対象物画素部分P1を、基準画像データ143の対象物画素部分P1に対応する基準画素部分P2(図11参照)に置き換えた修正撮像画像データを生成する。ここで、修正撮像画像データとは、修正撮像画像G6(例えば、図11参照)のデータである。そして、差分処理部542は、修正撮像画像データと基準画像データとに多値化処理及び差分処理を行う。
【0048】
図11に、修正撮像画像G6の一例を示す。図11に示すように、修正撮像画像G6は、図10に示す撮像画像G5の対象物画素部分P1が基準画素部分P2に置き換えられた画像である。修正撮像画像G6において、基準画素部分P2の部分を一点鎖線で示す。
【0049】
なお、対象物検出部541は、差分画像G3から対象物検出を行ってもよい。この場合、差分処理部542の処理は、差分処理部145と変わらず、合成部146において、差分画像G3の修正が行われる。具体的には、合成部146は、差分画像データの対象物画素部分の画素値を例えば0とした修正差分画像データを生成する。そして、合成部146は、修正差分画像データを撮像画像データに合成して合成画像データを生成する。
【0050】
次に、図12を参照しながら、本実施形態3に係る煙可視化方法について説明する。図12に示すステップS301、ステップS302、ステップS306~ステップS311の処理は、図6に示すステップS101、ステップS102、ステップS104~ステップS109と同様であるため、その説明を省略する。
【0051】
次に、対象物検出部541が、記憶部141から撮像画像データ142を取得し(ステップS303)、対象物検出部541が、撮像画像データ142から所定の範囲に存在する所定の対象物を検出する(ステップS304)。
【0052】
次に、差分処理部542が、撮像画像データ142の対象物画素部分P1を、基準画像データ143の基準画素部分P2に置き換えた修正撮像画像データを生成する(ステップS305)。
【0053】
以上に説明した、実施形態3に係る煙可視化装置500及び煙可視化方法によれば、所定の範囲に人物7等の元々所定の範囲に存在しない対象物が存在する場合でも、当該対象物を煙6と誤検出することを防ぐことができる。
【0054】
上述の実施形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、図6図8及び図12のフローチャートに記載の処理手順を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0055】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態2に係る煙可視化装置400は、実施形態3に係る対象物検出部541に相当する構成を備えていてもよい。
【0057】
また、本開示は、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」の実現に貢献し、公共施設の安心・安全に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0058】
100、400、500 煙可視化装置
120 照明
140、440、540 画像処理部
141 記憶部
142 撮像画像データ
143 基準画像データ
144、441 点灯制御部
145、542 差分処理部
146 合成部
147 表示部
442 判定部
443 通知部
200 煙検知器
300 カメラ
G1 基準画像
G2、G5 撮像画像
G3 差分画像
G4 合成画像
G6 修正撮像画像
6 煙
7 人物(所定の対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12