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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134830
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】表面計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045227
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390002185
【氏名又は名称】大成ロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 敏広
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065BB28
2F065CC40
2F065FF05
2F065FF11
2F065FF67
2F065GG04
2F065HH04
2F065MM06
2F065QQ21
(57)【要約】
【課題】 平面的及び/又は曲面的な部分の形状に加えて角部及び/又は隅部の形状を好適に計測することが可能な表面計測システムを提供する。
【解決手段】 表面計測システム1Xの制御部43は、第一の距離検出部33によって検出された第一の三次元座標取得装置10Aの位置データと第一の位置の三次元座標とを合わせ、第一の距離検出部33によって検出された第二の三次元座標取得装置10Bの位置データと第二の位置の三次元座標とを合わせるとともに、姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果に基づいて、計測領域の表面の三次元座標を算出する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測領域の第一の位置に設けられており、前記第一の位置の三次元座標を取得する第一の三次元座標取得装置と、
前記計測領域の第二の位置に設けられており、前記第二の位置の三次元座標を取得する第二の三次元座標取得装置と、
前記計測領域の表面の位置データを計測する位置計測装置と、
を備え、
前記位置計測装置は、
当該位置計測装置の姿勢を検出する姿勢検出部と、
当該位置計測装置の移動量を検出する移動検出部と、
前記位置データとして、当該位置計測装置から前記計測領域の表面の複数の点までの距離を検出する第一の距離検出部と、
前記位置データとして、当該位置計測装置から前記計測領域の表面の複数の点までの距離を検出し、検出結果を用いてメッシュを形成する第二の距離検出部と、
測定された前記位置データ、前記第一の位置の三次元座標及び前記第二の位置の三次元座標に基づいて、前記位置データを三次元座標に変換する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第一の距離検出部によって検出された前記第一の三次元座標取得装置の前記位置データと前記第一の位置の三次元座標とを合わせ、前記第一の距離検出部によって検出された前記第二の三次元座標取得装置の前記位置データと前記第二の位置の三次元座標とを合わせるとともに、前記姿勢検出部、前記移動検出部、前記第一の距離検出部及び前記第二の距離検出部の検出結果に基づいて、前記計測領域の表面の三次元座標を算出する
ことを特徴とする表面計測システム。
【請求項2】
前記計測領域に設けられているマーカを備え、
前記制御部は、前記第一の距離検出部及び前記第二の距離検出部の一連の第一の検出結果と、前記第一の距離検出部及び前記第二の距離検出部の一連の第二の検出結果とを、前記第一の検出結果及び前記第二の検出結果に含まれる前記マーカの前記位置データに基づいて位置合わせする
ことを特徴とする請求項1に記載の表面計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、舗装路面及び側溝等といった施工物の表面形状を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、道路及びその縁部に沿って設けられる構造物(例えば、側溝)の表面形状を計測するための技術として、レーザ光を走査して道路及び構造物の表面上の複数の点までの距離を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、検出点が構造物の角部及び/又は隅部とずれた位置にある場合に、かかる角部及び/又は隅部の形状を好適に計測することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、平面的及び/又は曲面的な部分の形状に加えて角部及び/又は隅部の形状を好適に計測することが可能な表面計測システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明の表面計測システムは、計測領域の第一の位置に設けられており、前記第一の位置の三次元座標を取得する第一の三次元座標取得装置と、前記計測領域の第二の位置に設けられており、前記第二の位置の三次元座標を取得する第二の三次元座標取得装置と、前記計測領域の表面の位置データを計測する位置計測装置と、を備え、前記位置計測装置は、当該位置計測装置の姿勢を検出する姿勢検出部と、当該位置計測装置の移動量を検出する移動検出部と、前記位置データとして、当該位置計測装置から前記計測領域の表面の複数の点までの距離を検出する第一の距離検出部と、前記位置データとして、当該位置計測装置から前記計測領域の表面の複数の点までの距離を検出し、検出結果を用いてメッシュを形成する第二の距離検出部と、測定された前記位置データ、前記第一の位置の三次元座標及び前記第二の位置の三次元座標に基づいて、前記位置データを三次元座標に変換する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一の距離検出部によって検出された前記第一の三次元座標取得装置の前記位置データと前記第一の位置の三次元座標とを合わせ、前記第一の距離検出部によって検出された前記第二の三次元座標取得装置の前記位置データと前記第二の位置の三次元座標とを合わせるとともに、前記姿勢検出部、前記移動検出部、前記第一の距離検出部及び前記第二の距離検出部の検出結果に基づいて、前記計測領域の表面の三次元座標を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、位置の検出点でメッシュデータを形成するので、平面的及び/又は曲面的な部分の形状に加えて角部及び/又は隅部の形状を好適に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一の実施形態に係る表面計測システムによって表面形状が計測される計測領域としての路面及び側溝を模式的に示す平面図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る表面計測システムを模式的に示すブロック図である。
図3】位置計測装置による計測領域ごとの計測結果の位置合わせを説明するための模式図である。
図4】位置計測装置による計測領域ごとの計測結果を位置合わせして三次元座標に変換した状態を説明するための模式図である。
図5】位置計測装置による計測結果と設計データとを重ねて表示した状態を示す模式図である。
図6】施工計画の一例を模式的に示す図である。
図7】工程管理曲線の一例を示すグラフである。
図8】本発明の第二の実施形態に係る表面計測システムによって表面形状が計測される計測領域としての路面及び管路を模式的に示す平面図である。
図9図8の管路を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
<第一の実施形態>
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る表面計測システム1Xは、計測領域、すなわち、舗装された路面2及び当該路面2の幅方向両端部にそれぞれ形成された側溝3A,3Bの所定領域の表面形状を計測するシステムである。表面計測システム1Xは、計測領域(本実施形態では、路面2X)の表面に設置される装置として、第一の三次元座標取得装置10Aと、第二の三次元座標取得装置10Bと、複数のマーカ20A~20Hと、を備える。また、図2に示すように、表面計測システム1Xは、位置計測装置30と、端末装置40と、を備える。ここで、位置計測装置30及び端末装置40の組み合わせが、本発明の位置計測装置を構成する。
【0011】
<第一の三次元座標取得装置>
図1及び図2に示すように、第一の三次元座標取得装置10Aは、GNSS(Global Navigation Satellite System)から当該第一の三次元座標取得装置10Aの三次元座標を取得する装置(GNSS標識)である。第一の三次元座標取得装置10Aは、計測領域のうち、計測開始時に後記する位置計測装置30によって計測される範囲(始点)に設けられている。第一の三次元座標取得装置10Aは、取得された三次元座標を端末装置40へ送信する。
【0012】
<第二の三次元座標取得装置>
第二の三次元座標取得装置10Bは、GNSS(Global Navigation Satellite System)から当該第一の三次元座標取得装置10Aの三次元座標を取得する装置(GNSS標識)である。第二の三次元座標取得装置10Bは、計測領域のうち、計測開始時に後記する位置計測装置30によって計測される範囲(終点)に設けられている。第二の三次元座標取得装置10Bは、取得された三次元座標を端末装置40へ送信する。
【0013】
<マーカ>
マーカ20A~20Hは、計測領域の所定位置に設けられる標定点である。本実施形態において、マーカ20A~20Hは、三次元座標取得装置10A,10Bと同一形状かつ異なる配色となるように形成されている。
【0014】
第一の三次元座標取得装置10Aは、計測領域の路面延伸方向一端部側の幅方向一端部側に設けられている。第二の三次元座標取得装置10Bは、計測領域の路面延伸方向他端部側の幅方向他端部側に設けられている。計測領域の路面延伸方向一端部側には、幅方向一端部側から幅方向他端部側に向けて、第一の三次元座標取得装置10A、マーカ20B、マーカ20D、マーカ20F及びマーカ20Hが所定間隔を空けて直列的に設けられている。計測領域の路面延伸方向他端部側には、幅方向一端部側から幅方向他端部側に向けて、マーカ20A、マーカ20C、マーカ20E、マーカ20G及び第二の三次元座標取得装置10Bが所定間隔を空けて直列的に設けられている。マーカ20Aは、路面延伸方向において、第一の三次元座標取得装置10Aの先に設けられている。マーカ20Cは、路面延伸方向において、マーカ20Bの先に設けられている。マーカ20Eは、路面延伸方向において、マーカ20Dの先に設けられている。マーカ20Gは、路面延伸方向において、マーカ20Fの先に設けられている。第二の三次元座標取得装置10Bは、路面延伸方向において、マーカ20Hの先に設けられている。
【0015】
<位置計測装置>
位置計測装置30は、計測領域の表面の位置データを計測する装置である。位置計測装置30は、姿勢検出部31と、移動検出部32と、第一の距離検出部33と、第二の距離検出部34と、データ出力部35と、を備える。かかる位置計測装置30は、例えば、作業者が携行可能なモバイル端末装置に所定のアプリを実装することによって実現可能である。
【0016】
≪姿勢検出部≫
姿勢検出部31は、位置計測装置30の三次元的な姿勢(向き)を検出するセンサである。姿勢検出部31は、検出結果をデータ出力部35へ出力する。
【0017】
≪移動検出部≫
移動検出部32は、位置計測装置30の三次元的な移動量(スカラー量)、又は、移動量及び移動方向を含む移動ベクトル(本実施形態では、移動ベクトル)を検出するセンサである。移動検出部32は、検出結果をデータ出力部35へ出力する。
【0018】
≪第一の距離検出部≫
第一の距離検出部33は、位置データとして、位置計測装置30の計測範囲内において、位置計測装置30から計測領域の表面の複数の点までの距離を検出する。第一の距離検出部33は、検出結果をデータ出力部35へ出力する。第一の距離検出部33は、第二の距離検出部34よりも密な点分布で距離を検出する。第一の距離検出部33の検出結果は、路面2X及び側溝3A,3Bの表面形状(高さ方向の凹凸)を計測するのに好適に用いられる。
【0019】
≪第二の距離検出部≫
第二の距離検出部34は、位置データとして、位置計測装置30の計測範囲内において、位置計測装置30から計測領域の表面の複数の点までの距離を検出し、距離が検出された点でメッシュを形成する。第二の距離検出部34は、検出結果をデータ出力部35へ出力する。第二の距離検出部34は、第一の距離検出部33よりも粗な点分布で距離を検出する。第二の距離検出部34の検出結果は、距離が検出された点のうち近傍に位置する3点を三角形状に繋ぐことによってメッシュを形成するので、側溝3A,3Bの角部及び隅部の形状を計測するのに好適に用いられる。
【0020】
第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34は、それぞれ、連続して発光発射される波長の短い赤外線が計測対象物によって反射した赤外線を受光することで計測対象物の位置を点群として連続的に形成する。
【0021】
第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34による検出手法としては、例えば、ステレオカメラによる異なる視点からの2枚の画像を用いて距離を算出する手法、レーザ光を照射して反射光を受光するまでの時間を用いて距離を算出する手法等、各種手法が好適に利用可能である。
【0022】
≪データ出力部≫
データ出力部35は、姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果を端末装置40へ出力(送信)する。データ出力部35は、同じ計測範囲に対応する姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果を関連付けて端末装置40へ出力することができる。
【0023】
<端末装置>
端末装置40は、位置計測装置30の各種計測結果に基づいて、施工された路面2X及び側溝3A,3Bの表面形状を表示させる。端末装置40は、例えば、据置型、ノート型等のコンピュータであって、操作部41と、表示部42と、制御部43と、を備える。
【0024】
≪操作部≫
操作部41は、キーボード、マウス、タッチパネル等によって構成されており、作業者による当該操作部41の操作結果を制御部43へ出力する。
【0025】
≪表示部≫
表示部42は、モニタ等によって構成されており、制御部43からの信号に基づいて画像を表示させる。
【0026】
≪制御部≫
制御部43は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部43は、第一の三次元座標取得装置10A、第二の三次元座標取得装置10B及び位置計測装置30から送信されたデータを受信する。
【0027】
制御部43内の記憶部43aには、設計データ43bと、施工計画43cと、が記憶されている。設計データ43bは、施工計画時に決められた、前記した路面2Xの舗装面の理想的な表面形状及び側溝3A,3Bの理想的な表面形状を示す位置データ(三次元座標)である。施工計画43cは、施工日時(本実施形態では、月の上旬、中旬、下旬)と、当該施工日時に実施予定の施工内容(工事区分の細別)と、が関連付けられたデータである。
【0028】
<第一の動作例>
始めに、第一の実施形態における、作業者による位置計測装置30を用いた計測の動作例について説明する。まず、作業者は、計測対象となる施工後の路面2X及び側溝3A,3Bの表面上に、三次元座標取得装置10A,10B及びマーカ20A~20Hを設置する。
【0029】
続いて、作業者は、位置計測装置30を携行して路面2X上を計測方向に移動し、部分的な計測領域M1の表面形状を位置計測装置30によって計測する。すなわち、部分的な計測領域M1の表面形状は、位置計測装置30がその計測範囲で当該計測領域M1をカバーするように移動することによって計測される(他の部分的な計測領域についても同様)。計測領域M1において、計測開始側には、第一の三次元座標取得装置10A及びマーカ20Bが設置されており、計測終了側には、マーカ20A及びマーカ20Cが設置されている。
【0030】
続いて、作業者は、位置計測装置30を携行して路面2X上を計測方向に移動し、部分的な計測領域M2の表面形状を位置計測装置30によって計測する。計測領域M2において、計測開始側には、マーカ20B,20Dが設置されており、計測終了側には、マーカ20C,20Eが設置されている。
【0031】
続いて、作業者は、位置計測装置30を携行して路面2X上を計測方向に移動し、部分的な計測領域M3の表面形状を位置計測装置30によって計測する。計測領域M3において、計測開始側には、マーカ20D,20Fが設置されており、計測終了側には、マーカ20E,20Gが設置されている。
【0032】
続いて、作業者は、位置計測装置30を携行して路面2X上を計測方向に移動し、部分的な計測領域M4の表面形状を位置計測装置30によって計測する。計測領域M4において、計測開始側には、マーカ20F,20Hが設置されており、計測終了側には、マーカ20G及び第二の三次元座標取得装置10Bが設置されている。
【0033】
位置計測装置30のデータ出力部35は、各計測領域M1~M4の計測中に逐次、又は、各計測領域M1~M4の計測終了後にまとめて、姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果を端末装置40へ出力(送信)する。
【0034】
第一の動作例において、全体的な計測領域の表面形状は、部分的な計測領域M1~M4に分けて計測される。計測領域M1~M4のうち、隣接するもの同士は、互いに重なり合っている。
【0035】
<第二の動作例>
続いて、第一の実施形態における、端末装置40の制御部43による位置計測装置30の計測結果の統合について説明する。まず、制御部43は、位置計測装置30から出力(送信)された姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果を取得(受信)する。続いて、制御部43は、計測領域M1~M4ごとに、姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果に基づいて、路面2X及び側溝3A,3Bの表面の位置データを算出する(図3(a)参照)。かかる状態では、計測領域M1~M4のそれぞれの中において、検出された点及びメッシュの位置データの相対的な関係は、正しく保たれているが、計測領域M1~M4の異なるもの同士では、検出された点及びメッシュの位置データの相対的な関係は、関連性を有しない。続いて、制御部43は、計測領域M1~M4において複数に跨って計測されているマーカ20B~20Gの位置データに基づいて、計測領域M1~M4の位置データの位置合わせを行う。例えば、図3(b)に示すように、制御部43は、計測領域M1,M2内のマーカ20Bの位置データを同一にするとともに計測領域M1,M2内のマーカ20Cの位置データを同一にし、計測領域M1,M2内の他の点及びメッシュの位置データをかかる位置合わせに応じて補正することによって、計測領域M1,M2の計測結果を繋ぎ合わせる。
【0036】
続いて、制御部43は、繋ぎ合わされた計測領域M1~M4の位置データを、三次元座標取得装置10A,10Bの位置データがこれらの三次元座標となるように補正することによって、計測領域M1~M4の計測結果を地球上の三次元座標に変換する(図4参照)。
【0037】
ここで、制御部43は、例えば形状によって、三次元座標取得装置10A,10B及びマーカ20A~20Hを認識することができる。また、制御部43は、例えば色によって、認識されたものが三次元座標取得装置10A,10Bであるかマーカ20A~20Hであるかを識別することができる。また、制御部43は、例えば表面に描画された文字、数字、図形等によって、識別されたものが三次元座標取得装置10A,10Bのどれであるかをさらに識別したり、識別されたものがマーカ20A~20Hのどれであるかをさらに識別したりすることができる。
【0038】
また、制御部43は、計測領域M1~M4において、第一の距離検出部33の検出結果を路面2Xの表面形状の三次元座標として採用し、第二の距離検出部34の検出結果を側溝3A,3B(特に、側溝3A,3Bの角部及び隅部)の三次元座標として採用する。
【0039】
例えば、制御部43は、作業者による操作部41の操作結果に基づいて、計測領域M1~M4の各部位において、第一の距離検出部33の検出結果及び第二の距離検出部34の検出結果のいずれかを採用する構成であってもよい。この場合には、作業者は、例えば計測領域M1~M4における第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果が表示部42に表示された画像を見て、計測領域M1~M4において第一の距離検出部33の検出結果及び第二の距離検出部34の検出結果のどちらを採用すべきかを判断し、当該判断結果に基づいて操作部41を操作する。
【0040】
また、制御部43は、第一の距離検出部33の検出結果及び第二の距離検出部34の検出結果(第一の距離検出部33の検出結果としての平面の面積、辺長等、及び/又は、第二の距離検出部34の検出結果としてのメッシュデータの形状等)に基づいて、計測領域M1~M4の各部位において、第一の距離検出部33の検出結果及び第二の距離検出部34の検出結果のいずれかを採用する構成であってもよい。例えば、制御部43は、第一の距離検出部33の検出結果としての平面の面積又は辺長が閾値以上である場合には、当該平面において第一の距離検出部33の検出結果を採用し、閾値未満である場合には、当該平面において第二の距離検出部34の検出結果を採用することができる。また、制御部43は、第二の距離検出部34の検出結果としてのメッシュデータが平面形状を示す場合には、当該部位において第一の距離検出部33の検出結果を採用し、第二の距離検出部34の検出結果としてのメッシュデータが立体形状を示す場合には、当該部位において第二の距離検出部34の検出結果を採用することができる。
【0041】
<第三の動作例>
続いて、端末装置40の制御部43による位置計測装置30の計測結果の評価手法について説明する。図5に示すように、制御部43は、統合されて三次元座標に変換された計測領域M1~M4の検出結果、すなわち、施工結果としての路面2X及び側溝3A,3Bの表面形状と、記憶部43aに予め記憶された設計データ43b、すなわち、施工計画としての路面2X及び側溝3A,3Bの表面形状と、を重畳させて表示部42に表示させる。ここで、制御部43は、施工計画と施工結果との間における路面2X及び側溝3A,3Bの各位置(二次元データ)における高さの差を算出し、算出結果を表面形状に重畳させて表示部42に表示させる。作業者は、かかる表示内容を見ることによって、施工済みの路面2X及び側溝3A,3Bの調整を行うことができる。
【0042】
<第四の動作例>
続いて、端末装置40の制御部43による施工工程の管理手法について説明する。制御部43は、記憶部43aに予め記憶された施工計画43c(図6参照)に基づいて、工程管理曲線Cを生成する(図7参照)。工程管理曲線Cは、該当日時における計画の出来高(積み上げ度、達成率、進捗率)を百分率で示す曲線である。また、制御部43は、工程管理曲線Cに基づいて、下限工程管理曲線C1及び上限工程管理曲線C2を生成する。
【0043】
下限工程管理曲線C1は、同一日時では計画の出来高が工程管理曲線Cよりも小さい(工程開始時及び終了時では工程管理曲線Cと一致)曲線であって、後記する実際に施工された実施工程が当該曲線を下回った場合には施工計画43cの見直しが必要である旨を示すものである。上限工程管理曲線C2は、同一日時では計画の出来高が工程管理曲線Cよりも大きい(工程開始時及び終了時では工程管理曲線Cと一致)となる曲線であって、後記する実際に施工された実施工程が当該曲線を上回った場合には施工計画43cの見直しが必要である旨を示すものである。
【0044】
一方、作業者は、操作部41を操作することによって、施工工程(計画工程、日時)(図6の右のカレンダーにおける点線参照)に対する実際の実施工程(日時)(図6の右のカレンダーにおける実線参照)を入力する。制御部43は、かかる入力結果を施工計画43cと関連付けて記憶部43aに記憶させる。また、制御部43は、実際に施工された実施工程の現時点における積み上げ度(進捗率、達成度)を算出し、算出結果を工程管理曲線C、下限工程管理曲線C1及び上限工程管理曲線C2とともに表示部42に表示させる。
【0045】
管理手法のその他の例として、制御部43は、かかる算出結果が現時点における下限工程管理曲線C1を下回っている場合には、その旨を示す警告を表示部42に表示させることができる。また、制御部43は、かかる算出結果が現時点における上限工程管理曲線C2を上回っている場合には、その旨を示す警告を表示部42に表示させることができる。
【0046】
本発明の第一の実施形態に係る表面計測システム1Xは、計測領域の第一の位置に設けられており、前記第一の位置の三次元座標を取得する第一の三次元座標取得装置10Aと、前記計測領域の第二の位置に設けられており、前記第二の位置の三次元座標を取得する第二の三次元座標取得装置10Bと、前記計測領域の表面の位置データを計測する位置計測装置30(及び端末装置40)と、を備える。前記位置計測装置30は、当該位置計測装置30の姿勢を検出する姿勢検出部31と、当該位置計測装置30の移動量を検出する移動検出部32と、前記位置データとして、当該位置計測装置30から前記計測領域の表面の複数の点までの距離を検出する第一の距離検出部33と、前記位置データとして、当該位置計測装置30から前記計測領域の表面の複数の点までの距離を検出し、検出結果を用いてメッシュを形成する第二の距離検出部34と、測定された前記位置データ、前記第一の位置の三次元座標及び前記第二の位置の三次元座標に基づいて、前記位置データを三次元座標に変換する制御部43と、を備える。前記制御部43は、前記第一の距離検出部33によって検出された前記第一の三次元座標取得装置10Aの前記位置データと前記第一の位置の三次元座標とを合わせ、前記第一の距離検出部33によって検出された前記第二の三次元座標取得装置10Bの前記位置データと前記第二の位置の三次元座標とを合わせるとともに、前記姿勢検出部31、前記移動検出部32、前記第一の距離検出部33及び前記第二の距離検出部34の検出結果に基づいて、前記計測領域の表面の三次元座標を算出する。
すなわち、表面計測システム1Xは、第一の距離検出部33の検出結果に基づいて、計測領域における平面的及び/又は曲面的な部分の形状を得ることができるとともに、第二の距離検出部34の検出結果に基づいて、計測領域における角部及び/又は隅部の形状を得ることができる。したがって、表面計測システム1Xは、計測領域(例えば、施工された路面2X及び側溝3A,3B)の表面形状を好適に得ることができる。
【0047】
また、表面計測システム1Xは、前記計測領域に設けられているマーカ20A~20Hを備え、前記制御部43は、前記第一の距離検出部33及び前記第二の距離検出部34の一連の第一の検出結果と、前記第一の距離検出部33及び前記第二の距離検出部34の一連の第二の検出結果とを、前記第一の検出結果及び前記第二の検出結果に含まれる前記マーカ20A~20Hの前記位置データに基づいて位置合わせする。
したがって、表面計測システム1Xは、計測領域を複数回(2回以上、特に3回以上)に分けて計測する場合に、マーカの検出結果に基づいて計測結果を好適に統合することができる。
【0048】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る表面計測システムについて、第一の実施形態に係る表面計測システム1Xとの相違点を中心に説明する。
【0049】
図8に示すように、本発明の第二の実施形態に係る表面計測システム1Yは、計測領域、すなわち、舗装された路面2Y及び当該路面2Yの幅方向端部に形成された管路4の所定領域の表面形状を計測するシステムである。管路4は、路面2Yのうち、車道2aの歩道2b側端部に延設されており、管体5(水道管、ガス管等)が配置される溝部である。管路4は、路面2Yの敷設方向に延設される底面部4aと、底面部4aの幅方向両端部から上方に延設されており、底面部4aと路面2Yとを繋ぐ一対の側面部4b,4bと、を備える。表面計測システム1Yは、計測領域(本実施形態では、路面2Y)の表面に設置される装置として、第一の三次元座標取得装置10Aと、第二の三次元座標取得装置10Bと、を備える。
<第五の動作例>
始めに、第二の実施形態における、作業者による位置計測装置30を用いた計測の動作例について説明する。まず、作業者は、計測対象となる施工後の路面2Y及び管路4の表面上、より詳細には、路面2Yにおける管路4の長手方向両端部の近傍のそれぞれに、三次元座標取得装置10A,10Bを設置する。
【0050】
続いて、作業者は、位置計測装置30を携行して路面2Y上を計測方向に移動し、部分的な計測領域M11の表面形状を位置計測装置30によって計測する。計測領域M11は、作業者が管路4の左側(歩道2b側)を移動することによって、管路4を斜めに計測することが可能な領域である。計測領域M11において、計測開始側には、第一の三次元座標取得装置10Aが設置されており、計測終了側には、第二の三次元座標取得装置10Bが設置されている。
【0051】
続いて、作業者は、位置計測装置30を携行して路面2Y上を計測方向に移動し、部分的な計測領域M12の表面形状を位置計測装置30によって計測する。計測領域M12は、作業者が管路4の右側(車道2a側)を移動することによって、管路4を斜め(計測領域M11とは反対)に計測することが可能な領域である。計測領域M12において、計測開始側には、第一の三次元座標取得装置10Aが設置されており、計測終了側には、第二の三次元座標取得装置10Bが設置されている。
【0052】
位置計測装置30のデータ出力部35は、各計測領域M11,M12の計測中に逐次、又は、各計測領域M11,M12の計測終了後にまとめて、姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果を端末装置40へ出力(送信)する。
【0053】
第五の動作例において、全体的な計測領域の表面形状は、部分的な計測領域M11,M12に分けて計測される。計測領域M11,M12は、隣接しており、互いに重なり合っている。
【0054】
<第六の動作例>
続いて、第一の実施形態における、端末装置40の制御部43による位置計測装置30の計測結果の統合について説明する。まず、制御部43は、位置計測装置30から出力(送信)された姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果を取得(受信)する。続いて、制御部43は、計測領域M11,M12ごとに、姿勢検出部31、移動検出部32、第一の距離検出部33及び第二の距離検出部34の検出結果に基づいて、路面2Y及び管路4の表面の位置データを算出する。かかる状態では、計測領域M11,M12のそれぞれの中において、検出された点及びメッシュの位置データの相対的な関係は、正しく保たれているが、計測領域M11,M12の異なるもの同士では、検出された点及びメッシュの位置データの相対的な関係は、関連性を有しない。続いて、制御部43は、計測領域M11,M12に跨って計測されている三次元座標取得装置10A,10Bの位置データに基づいて、計測領域M11,M12の位置データの位置合わせを行う。例えば、制御部43は、計測領域M11,M12内の三次元座標取得装置10A,10Bの位置データを同一にするとともに計測領域M1,M12内の他の点及びメッシュの位置データをかかる位置合わせに応じて補正することによって、計測領域M11,M12の計測結果を繋ぎ合わせる。すなわち、制御部43は、第五及び第六の動作例における三次元座標取得装置10A,10Bを、第一及び第二の動作例におけるマーカ20A~20Gと同様に用いる。
【0055】
続いて、制御部43は、繋ぎ合わされた計測領域M11,M12の位置データを、三次元座標取得装置10A,10Bの位置データがこれらの三次元座標となるように補正することによって、計測領域M11、M12の計測結果を地球上の三次元座標に変換する。
【0056】
かかる第五及び第六の動作例によると、管路4及び管体5の三次元座標(第二の距離検出部34によるメッシュ状の位置データ)が管路4及び管体5の幅方向における両側から取得されるので、管路4(特に側面部4b,4b)及び管体5(上部及び側部)の表面の三次元座標を好適に計測することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第一の実施形態に係る表面計測システム1X(第一及び第二の動作例)並びに第二の実施形態に係る表面計測システム1Y(第五及び第六の動作例)は、適宜組み合わせ可能である。また、一の計測領域の一部が隣接する一方の計測領域と重なるとともに一の計測領域の他部が隣接する他方の計測領域と重なるように計測領域が設定されることによって、一の計測領域における三次元座標をより好適に計測することができる。
【0058】
また、移動検出部32が位置計測装置30の移動量(スカラー量)を検出する場合には、制御部43は、第一の距離検出部33及び/又は第二の距離検出部34の検出結果(位置計測装置30の移動による、計測範囲における同一の点の移動方向)に基づいて、位置計測装置30の移動方向を算出することができる。
【0059】
計測領域(計測対象)は、路面に限定されない。また、第二の距離検出部34によってメッシュ状に検出される対象物は、側溝3A,3Bや管路4等の凹部に限定されず、凸形状を呈するものであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1X,1Y 表面計測システム
2X,2Y 路面(計測領域)
3A,3B 側溝(計測領域)
4 管路(計測領域)
10A 第一の三次元座標取得装置
10B 第二の三次元座標取得装置
20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G マーカ
30 位置計測装置
31 姿勢検出部
32 移動検出部
33 第一の距離検出部
34 第二の距離検出部
35 データ出力部
40 端末装置(位置計測装置)
43 制御部
M1,M2,M3,M4,M11,M12 計測領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9