(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134835
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045236
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟田 恵吾
(72)【発明者】
【氏名】時吉 康範
(72)【発明者】
【氏名】八幡 晃久
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】 道路のレーン状態を適切に変更することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 交通に関する情報である交通情報を取得する情報取得部と、情報取得部により取得された交通情報に応じて、移動体が移動する道路のレーン状態を制御する状態制御部と、状態制御部により制御されているレーン状態を移動体に向けて通知または表示する状態通知部と、を備える。交通情報には、移動体の属性、移動体の交通量、または移動体の速度が含まれてもよい。レーン状態には、各レーンに割り当てられる移動体の属性、各レーンに設定される制限速度、または各レーンに設定されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通に関する情報である交通情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記交通情報に応じて、移動体が移動する道路のレーン状態を制御する状態制御部と、
前記状態制御部により制御されている前記レーン状態を前記移動体に向けて通知または表示する状態通知部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記交通情報には、前記移動体の属性が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記交通情報には、前記移動体の交通量が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記交通情報には、前記移動体の速度が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記レーン状態には、各レーンに割り当てられる前記移動体の属性が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記レーン状態には、各レーンに設定される制限速度が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記レーン状態には、各レーンに設定されるレーン幅が含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行車線ごとの交通量に基づいて、走行中の車両に対して車線変更を指示することにより、渋滞する車線の発生を抑制する交通管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電動キックボード等の時速5km~20km程度の移動手段が交通体系に組み込まれようとしている。これらの新しい移動手段は、従来の自転車やバイク、自動車とは異なる性格を持つため従来型の歩道や車道と異なる走行路の設定や交通規則の見直しが望まれている。仮に、道路のレーン状態そのものを変更することができれば、道路を交通インフラとしてより効果的に機能させることが可能となる。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、歩道を含む道路のレーン(通行帯)状態を適切に変更することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、
交通に関する情報である交通情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された情報に応じて、移動体が移動する道路のレーン状態を制御する状態制御部と、
前記状態制御部により制御されている前記レーン状態を前記移動体に向けて通知または表示する状態通知部と、
を備える、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、歩道を含む道路のレーン(通行帯)状態を適切に変更することができる情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例の情報処理装置を備える情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】歩道として1つのレーンが、車道(片側の通行方向)に3つのレーンが、それぞれ道路に設けられた例を示す図である。
【
図4】歩道または車道として使用可能な3つのレーンL11、L12、L13がある場合(例えば、人出の多い繁華街を通る道路の例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施例の情報処理装置を備える情報処理システムの構成例を示す図である。
【0011】
図1の例では、情報処理システムは、情報処理装置10と、道路の近傍に設置された路側装置20と、を含んで構成される。
【0012】
情報処理装置10と路側装置20は、互いに通信回線を介して接続される。通信回線の構成は任意であり、情報処理装置10および路側装置20の実装態様や設置場所に応じて適宜、選択される。
【0013】
図1に示すように、情報処理装置10は、交通に関する情報である交通情報を取得する情報取得部11と、情報取得部11により取得された交通情報に応じて、移動体としての車両30や歩行者が移動する道路のレーン状態を制御する状態制御部12と、状態制御部12により制御されているレーン状態を車両20等に向けて通知または表示する状態通知部13と、を備える。
【0014】
情報処理装置10の構成は任意であるが、例えば、単一のまたは複数のサーバとして構成してもよい。
【0015】
【0016】
図2の例では、路側装置20は、道路のレーン状態を示す表示部21と、道路を走行する車両20等の速度や車種を検出するセンサ22と、道路を走行する車両20等との間での通信を行う路側通信部24と、表示部21、センサ22および路側通信部24を制御する制御部25と、を備える。センサ22としては、カメラや赤外線センサ、レーダーなど、任意のセンサ22を使用できる。例えば、センサ22としてのカメラの映像は、画像認識装置(不図示)により解析され、移動体の属性、例えば、歩行者、自転車、小型車、大型車などを認識することができる。したがって、移動体の交通量や速度も、移動体の属性ごとに検出することができる。
【0017】
路側装置20は、道路の近傍に、例えば、状態制御部12によってレーン状態が制御される道路の全長にわたり、所定の間隔で配置される。
【0018】
次に、情報処理システムの動作について説明する。
【0019】
情報処理装置10の情報取得部11は、交通情報を取得する。
【0020】
交通情報には、移動体の属性、例えば、歩行者、自転車、小型車、大型車、緊急車両、公共交通機関に属する車両などが含まれる。また、交通情報には、移動体の交通量、すなわち、自転車、小型車、大型車の単位時間当たりの交通量などが含まれる。さらに、交通情報には、移動体の速度や、車両に対する制限速度などが含まれる。
【0021】
また、交通情報には、道路の状況に関連のある多様な情報が含まれうる。例えば、道路工事の予定や実施状況、道路の凍結、降雪や霧の発生等の気象、イベントの開催などに関する情報が該当する。
【0022】
交通情報の取得先には、民間および公共機関の交通情報センター、警察、道路交通管理者、その他外部から提供される交通情報が含まれる。また、交通情報は、路側装置20のセンサ22または路側通信部24を介して得ることができる。路側装置20のセンサ22または路側通信部24を介して得た交通情報は、路側装置20から情報処理装置10に送信され、情報取得部11により取得される。
【0023】
情報処理装置10の状態制御部12は、情報取得部11により取得された交通情報に応じて、移動体が移動する道路のレーン状態を制御する。また、状態通知部13は、状態制御部12により制御されているレーン状態を移動体に向けて通知または表示する。
【0024】
次に、状態制御部12により制御されるレーン状態について説明する。
【0025】
図3は、歩道として1つのレーンが、車道(片側の通行方向)に3つのレーンが、それぞれ道路に設けられた例を示す図である。状態制御部12は、レーン状態として、各レーンに割り当てられる移動体の属性(歩行者、車両)を制御することができる。
【0026】
図3において矢印は、移動体の移動方向を示しており、歩行者のための歩行レーンL1と、車両のための3つの走行レーンL2、L3、L4とが示されている。この場合、状態制御部12は、走行レーンL2、L3、L4のそれぞれに、移動体の属性を割り当てることができる。例えば、状態制御部12は、走行レーンL2に自転車などの低速の乗り物を、走行レーンL3および走行レーンL4に高速で走行できる自動車を、それぞれ割り当てることができる。ここで、通常、時間帯によって、自転車などの低速の乗り物と高速で走行できる自動車の通行量やその比率が変化する。例えば、低速の乗り物の交通量やその比率が増加した時間帯には、状態制御部12は、走行レーンL2および走行レーンL3に自転車などの低速の乗り物を、走行レーンL4に高速で走行できる自動車を、それぞれ割り当てることができる。このように、交通情報が示す通行量等に基づいて、状態制御部12は、走行レーンL2、L3、L4のそれぞれに割り当てる移動体の属性を切り替えることができる。
【0027】
また、走行レーンL2、L3、L4のそれぞれに制限速度が割り当てられる場合には、移動体の属性に応じた制限速度を走行レーンL2、L3、L4のそれぞれに割り当てることができる。また、例えば、道路状況に応じて、同一の属性の移動体に適応する制限速度を切り替えてもよい。
【0028】
状態通知部13は、状態制御部12により制御されているレーン状態を、路側装置20の表示部21を介して視覚的に表示することができる。例えば、走行レーンL2、L3、L4の路面にLEDなどの発光体を埋め込み、表示部21を介して点灯させることにより、走行レーンL2、L3、L4のそれぞれに割り当てられた移動体の属性や制限速度を記号や文字で表示することができる。また、状態通知部13は、路側装置20の表示部21を介して、路面を走行する移動体の上方に設置された表示パネルに、走行レーンL2、L3、L4のそれぞれに割り当てられた移動体の属性を記号や文字で表示してもよい。
また、移動体が、走行予定ルートを設定している場合は、ルート検索・設定時にその時点でのルート上のレーン状態が反映された状態で検索・設定できるようにしてもよい。この場合、情報が更新されるごとに、移動体に更新情報を送信してもよい。
【0029】
また、所定領域に移動体が進入する前に、所定領域内の(更新済み)レーン状態を取得済みかどうかを移動体に確認する手段を備えてもよい。この場合、移動体の返答が「未取得」の場合に情報の更新を促すまたは更新情報をプッシュ送信するようにしても良い。また、更新が出来ていない移動体を所定領域への進入を制限するようにしても良い。更にまた、所定領域の道路の天候や時間帯ごとのレーン状態が予め分かっている場合は、全ての条件でのレーン筐体を予め移動体に送信しておくと良い。これから通行予定のルート上のレーン状態が、(ルート設定後に)更新された場合は、移動体に通行予定ルート上のレーン状態が変更された旨のアラートを送信しても良い。移動体のレーン状態情報の更新は、ブロックごと(5kmメッシュなど)に管理されていてよく、進行方向に存在するブロックの情報のみを更新するようにしても良い。こうすることによって、移動体への更新情報の通信量を減らすことができる。
【0030】
また、状態通知部13は、状態制御部12により制御されているレーン状態を、路側装置20の路側通信部24を介して車両30に通知することができる。車両30が自動運転により走行している場合には、自動運転制御装置(不図示)にレーン状態が通知され、その通知に従った走行が実行される。また、運転者による手運転により車両30が走行している場合には、車両30に送信された通知が、例えばカーナビ等の表示部に表示される。
【0031】
図4は、歩道または車道として使用可能な3つのレーンL11、L12、L13がある場合(例えば、人出の多い繁華街を通る道路の例)を示す図である。この例では、状態制御部12は、レーン状態として、移動体の属性(歩行者、車両)に割り当てられるレーンのレーン幅を制御することができる。
【0032】
図4における状態Aでは、状態制御部12は、レーンL11を歩行者のための歩行レーンに設定し、レーンL12、L13を車両30のための走行レーンに設定している。しかし、歩行者が多くなる時間帯では、状態制御部12は、
図4における状態Bとして示すように、レーンL11およびレーンL12を歩行者のための歩行レーンに設定し、レーンL13のみを車両30のための走行レーンに設定している。このように、特定のレーン(歩行レーン、走行レーンなど)の幅を状況に応じて変化させてもよい。
【0033】
この場合においても、
図3の例と同様、状態通知部13は、状態制御部12により制御されているレーン状態を、路側装置20の表示部21を介して視覚的に表示することができる。また、状態通知部13は、状態制御部12により制御されているレーン状態を、路側装置20の路側通信部24を介して車両30に通知することができる。
【0034】
さらに、状態通知部13は、歩行者の安全を確保するために、歩行者のための歩行レーンと車両が走行する走行レーンとの間に、歩行レーンへの車両の進入を防ぐガードを形成してもよい。例えば、
図4における状態Aでは、レーンL11とレーンL12の境界に沿ってガード部材を配列し、
図4における状態Bでは、レーンL12とレーンL13の境界に沿ってガード部材を配列すればよい。この場合、例えば、路側装置20の制御に従って、柱状のガード部材を路面から上方に突出させることでガードを形成し、ガードが不要な場合には、ガード部材を路面下に収容してもよい。
【0035】
レーン状態は、交通情報の内容に応じて、適宜、設定することができる。例えば、交通情報が示す、緊急車両や予定のタイムスケジュールよりも運行が遅れているバスの存在に対応して、緊急車両やバスに特定のレーンを譲るようなレーン状態の制御を実行することもできる。
【0036】
また、相互通行の道路において、特定のレーンにおける通行方向を切り替えることもできる。例えば、センターラインの位置を交通量に応じて移動させてもよい。
【0037】
以上のように、本実施例によれば、情報取得部11により取得された交通情報に応じて、状態制御部12により、移動体が移動する道路のレーン状態を制御することができる。このため、道路のレーン状態を適切に変更することができ、道路を交通インフラとしてより効果的に機能させることが可能となる。例えば、道路における渋滞や事故の発生等を効果的に抑制できる。
【0038】
また、状態通知部13は、状態制御部12により設定されているレーン状態を移動体に向けて通知または表示している。このため、道路を移動する歩行者や車両が道路のレーン状態を正しく認識できるので、安全性が確保される。
【0039】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 情報処理装置
11 情報取得部
12 状態制御部
13 状態通知部
20 路側装置
21 表示部
30 車両