(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134844
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20240927BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/55 101
H01M50/531
H01M50/176
H01M50/131
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045248
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南田 善隆
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB04
5H011EE04
5H011FF03
5H011KK02
5H011KK03
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA05
5H043DA08
5H043EA11
(57)【要約】
【課題】エネルギー密度が高く、かつ製造プロセスが効率化された電池セルを提供する。
【解決手段】電池セルは、集電タブを含む電極体と、電極体を収納する角型の筐体と、集電タブと電気的に接続された導電部材とを備える。電極体は、第1電極および第2電極を含む。電極体の集電タブは、第1電極に設けられた第1集電タブと、第2電極に設けられた第2集電タブとを含む。導電部材は、第1集電タブに接続された第1導電部材と、第2集電タブに接続された第2導電部材とを含む。筐体は、底部および底部と対向する開口を有する本体と、本体に接合される外縁を有し、開口を封口する封口板とを含む。封口板は、底部と略平行に延在する第1部分と、第1部分よりも底部から離れた位置にある第2部分とを含む。第2部分は、第1部分と略平行に延在する第1領域と、第1領域に対して斜めに延在し、第1部分と第1領域とを接続する第2領域とを含む。少なくとも第1集電タブが底部と第2部分との間に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電タブを含む電極体と、
前記電極体を収納する角型の筐体と、
前記集電タブと電気的に接続された導電部材とを備え、
前記電極体は、第1電極および第2電極を含み、
前記電極体の前記集電タブは、前記第1電極に設けられた第1集電タブと、前記第2電極に設けられた第2集電タブとを含み、
前記導電部材は、前記第1集電タブに接続された第1導電部材と、前記第2集電タブに接続された第2導電部材とを含み、
前記筐体は、底部および前記底部と対向する開口を有する本体と、前記本体に接合される外縁を有し、前記開口を封口する封口板とを含み、
前記封口板は、前記底部と略平行に延在する第1部分と、前記第1部分よりも前記底部から離れた位置にある第2部分とを含み、
前記第2部分は、前記第1部分と略平行に延在する第1領域と、前記第1領域に対して斜めに延在し、前記第1部分と前記第1領域とを接続する第2領域とを含み、
少なくとも前記第1集電タブが前記底部と前記第2部分との間に位置する、電池セル。
【請求項2】
前記第1集電タブは、前記底部と前記第2部分の前記第1領域との間に位置する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1導電部材は、前記封口板の前記第2部分を貫通して前記筐体の外部に達する、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1導電部材は、前記封口板の前記第2部分における前記第2領域を貫通して前記筐体の外部に達する、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1集電タブおよび前記第2集電タブが前記底部と前記第2部分との間に位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1集電タブおよび前記第2集電タブは、前記底部と前記第2部分の前記第1領域との間に位置する、請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第1導電部材および前記第2導電部材は、前記封口板の前記第2部分を貫通して前記筐体の外部に達する、請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1導電部材および前記第2導電部材は、前記封口板の前記第2部分における前記第2領域を貫通して前記筐体の外部に達する、請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記封口板の前記第2部分は、前記第1導電部材と前記第2導電部材とが並ぶ方向における前記筐体の両端に各々位置する第1凸部および第2凸部を含み、前記第1集電タブは前記第1凸部の内側に位置し、前記第2集電タブは前記第2凸部の内側に位置する、請求項5に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第1凸部および前記第2凸部の各々の前記第1部分からの突出高さは、互いに略同じである、請求項9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記封口板の前記第2部分は、前記第1導電部材と前記第2導電部材とが並ぶ方向における前記筐体の中央部に位置する凸部を含み、前記第1集電タブおよび前記第2集電タブは前記凸部の内側に位置する、請求項5に記載の電池セル。
【請求項12】
前記電池セルの全幅(W)と全高(H)との比(W/H)は1よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
前記第1部分と前記第2部分の前記第2領域との交差角度は90°よりも大きく180°よりも小さい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
角型の筐体を有する電池セルにおいて、筐体の上面に凹凸を設け、その凸部の内側に電極タブを収納し、凹部の外側に電極端子を設けることにより、電池セル全体としての高さの増大を抑制しながら筐体内部の収納スペースを確保し、結果としてエネルギー密度を向上させることが行われている。
【0003】
このような電池セルは、たとえば特開2015-141798号公報(特許文献1)および特開2015-149362号公報(特許文献2)に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-141798号公報
【特許文献2】特開2015-149362号公報
【特許文献3】特開2015-060827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に示す電池セルにおいては、エネルギー密度を向上させることに着目し、電極タブに隣接する位置において、筐体の上面を構成する封口板が垂直に折り曲げられている。この結果、折り曲げ部分の近傍において、筐体の本体と封口板との溶接が行いにくい箇所が生じる。
【0006】
本技術の目的は、エネルギー密度が高く、かつ製造プロセスが効率化された電池セルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、以下の電池セルを提供する。
【0008】
[1]集電タブを含む電極体と、電極体を収納する角型の筐体と、集電タブと電気的に接続された導電部材とを備え、電極体は、第1電極および第2電極を含み、電極体の集電タブは、第1電極に設けられた第1集電タブと、第2電極に設けられた第2集電タブとを含み、導電部材は、第1集電タブに接続された第1導電部材と、第2集電タブに接続された第2導電部材とを含み、筐体は、底部および底部と対向する開口を有する本体と、本体に接合される外縁を有し、開口を封口する封口板とを含み、封口板は、底部と略平行に延在する第1部分と、第1部分よりも底部から離れた位置にある第2部分とを含み、第2部分は、第1部分と略平行に延在する第1領域と、第1領域に対して斜めに延在し、第1部分と第1領域とを接続する第2領域とを含み、少なくとも第1集電タブが底部と第2部分との間に位置する、電池セル。
【0009】
[2]第1集電タブは、底部と第2部分の第1領域との間に位置する、[1]に記載の電池セル。
【0010】
[3]第1導電部材は、封口板の第2部分を貫通して筐体の外部に達する、[2]に記載の電池セル。
【0011】
[4]第1導電部材は、封口板の第2部分における第2領域を貫通して筐体の外部に達する、[3]に記載の電池セル。
【0012】
[5]第1集電タブおよび第2集電タブが底部と第2部分との間に位置する、[1]から[4]のいずれか1項に記載の電池セル。
【0013】
[6]第1集電タブおよび第2集電タブは、底部と第2部分の第1領域との間に位置する、[5]に記載の電池セル。
【0014】
[7]第1導電部材および第2導電部材は、封口板の第2部分を貫通して筐体の外部に達する、[6]に記載の電池セル。
【0015】
[8]第1導電部材および第2導電部材は、封口板の第2部分における第2領域を貫通して筐体の外部に達する、[7]に記載の電池セル。
【0016】
[9]封口板の第2部分は、第1導電部材と第2導電部材とが並ぶ方向における筐体の両端に各々位置する第1凸部および第2凸部を含み、第1集電タブは第1凸部の内側に位置し、第2集電タブは第2凸部の内側に位置する、[5]から[8]のいずれか1項に記載の電池セル。
【0017】
[10]第1凸部および第2凸部の各々の第1部分からの突出高さは、互いに略同じである、[9]に記載の電池セル。
【0018】
[11]封口板の第2部分は、第1導電部材と第2導電部材とが並ぶ方向における筐体の中央部に位置する凸部を含み、第1集電タブおよび第2集電タブは凸部の内側に位置する、[5]から[8]のいずれか1項に記載の電池セル。
【0019】
[12]電池セルの全幅(W)と全高(H)との比(W/H)は1よりも大きい、[1]から[11]のいずれか1項に記載の電池セル。
【0020】
[13]第1部分と第2部分の第2領域との交差角度は90°よりも大きく180°よりも小さい、[1]から[12]のいずれか1項に記載の電池セル。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、エネルギー密度が高く、かつ製造プロセスが効率化された電池セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係る電池セルの断面図である。
【
図2】実施の形態2に係る電池セルの断面図である。
【
図7】
図2に示す電池セルの封口板溶接工程を模式的に示す図である。
【
図9】
図5に示す電池セルの封口板溶接工程を模式的に示す図である。
【
図10】実施の形態3に係る電池セルの断面図である。
【
図11】実施の形態4に係る電池セルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0024】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0025】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0026】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0027】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。
【0028】
本明細書において、「蓄電セル」ないし「蓄電モジュール」なる用語が用いられる場合、「蓄電セル」ないし「蓄電モジュール」は電池セルないし電池モジュールに限定されず、キャパシタセルないしキャパシタモジュールを含み得る。
【0029】
本明細書において、「電池セル」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、「電池セル」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0030】
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの断面図である。
図1に示すように、電池セル1は、電極体100と、筐体200と、導電部材300とを含む。
【0031】
電極体100は、正極タブ110(第1集電タブ)および負極タブ120(第2集電タブ)を含む。電極体100は、正極(第1電極)、負極(第2電極)、およびセパレータからなる。
【0032】
電極体100の正極は、たとえば、矩形状のアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質(たとえばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等)、結着材(ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等)、および導電材(たとえば炭素材料等)を含む正極活物質合剤層が形成された構造を有する。
【0033】
電極体100の負極は、たとえば、矩形状の銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質合剤層が形成された構造を有する。
【0034】
電極体100のセパレータは、たとえば、矩形状のポリオレフィン製部材からなる。これに代えて、長尺のセパレータをつづら折りして用いられてもよい。
【0035】
電極体100の矩形状の本体部端辺から正極芯体および負極芯体が図中上方向に突出し、この突出した正極芯体および負極芯体が、正極タブ110および負極タブ120を各々構成する。
【0036】
筐体200は、電極体100を収納する。筐体200は、本体210と、封口板220とを含む。
【0037】
筐体200の本体210は、底部211を有する。本体210の底部と対向する部分に開口が形成される。開口は、封口板220により封口される。
【0038】
筐体200の封口板220は、本体210に接合される外縁を有する。封口板220の外縁が本体210に接合されることにより、本体210が封口され、筐体200の内部空間に電極体100が封止される。本体210と封口板220との接合は、たとえばレーザ溶接により行われる。
【0039】
封口板220は、第1部分221(凹部分)および第2部分222(凸部分)を含む。第1部分221は、本体210の底部211と略平行に延在する。第2部分222は、第1部分221よりも本体210の底部211から離れた位置にある。第2部分222は、第1部分221よりも本体210の底部211から離れる方向に突出する。
【0040】
封口板220の第2部分222は、第1領域2221(水平領域)と、第2領域2222(傾斜領域)とを含む。第1領域2221は、第1部分221と略平行に延在する。第2領域2222は、第1領域2221に対して斜めに延在する。
【0041】
導電部材300は、正極集電体310(第1導電部材)と、負極集電体320(第2導電部材)とを含む。正極集電体310は、電極体100の正極タブ110に接続される。負極集電体320は、電極体100の負極タブ120に接続される。導電部材300と正極タブ110および負極タブ120との接続は、たとえば超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接により行われる。レーザ溶接においては、たとえば、3Dガルバノスキャナを搭載したレーザ溶接機など、溶接時に焦点距離を任意に変更可能な装置を用いることが好ましい。
【0042】
正極集電体310および負極集電体320は、各々、封口板220の第2部分222を貫通して筐体200の内部から外部に達する。より具体的には、正極集電体310および負極集電体320は、各々、封口板220の第2部分222における第2領域2222(傾斜領域)を貫通して筐体200の内部から外部に達する。ただし、正極集電体310および負極集電体320が第1領域2221(水平領域)を貫通して筐体200の外部に達してもよい。
【0043】
正極集電体310および負極集電体320の貫通する部分において、周知のハーメチックシール技術を用いることにより、筐体200の内外の電気的接続と、シール性とを両立することが可能である。
【0044】
正極集電体310および負極集電体320は、封口板220の形状に沿うように形成されている。正極集電体310および負極集電体320は、封口板220の第1部分221に沿う部分と、封口板220の第2部分222における第1領域2221(水平領域)および第2領域2222(傾斜領域)に沿う部分とを各々有する。
【0045】
正極集電体310は正極端子311を含み、負極集電体320は負極端子321を含む。正極端子311および負極端子321は、バスバー(図示せず)を介して他の電池セルと電気的に接続される。正極端子311および負極端子321は、封口板220の第1部分221(凹部分)上に位置するように設けられる。
【0046】
電池セル1において、電極体100の正極タブ110および負極タブ120は、筐体200の本体210の底部211と封口板220の第2部分222(凸部分)との間に位置する。より具体的には、正極タブ110および負極タブ120は、本体210の底部211と封口板220の第2部分222における第1領域2221(水平領域)との間に収納されている。ただし、正極タブ110および負極タブ120の一部または全部が底部211と第2領域2222(傾斜領域)との間に収納されてもよい。
【0047】
図1に示す電池セル1の例において、封口板220の第2部分222は、正極集電体310と負極集電体320とが並ぶ方向(図中左右方向)における筐体200の両端に各々位置する2つの凸部222α,222β(第1凸部および第2凸部)を含む。正極タブ110は凸部222αの内側に位置し、負極タブ120は凸部222βの内側に位置する。凸部222α,222βの第1部分221からの突出高さは、互いに略同じである。
【0048】
電池セル1を製造するときは、正極および負極を含む電極体100が形成され、正極集電体310および負極集電体320が封口板220に取り付けられる。次に、正極タブ110と正極集電体310とが電気的に接続されるとともに、負極タブ120と負極集電体320とが電気的に接続される。この状態で、筐体200の本体210に電極体100を収納し、封口板220により本体210の開口を封口する。
【0049】
図1に示す電池セル1の例においては、筐体200の図中左右方向の幅が電池セル1の全幅(W)となり、筐体200の図中上下方向の高さが電池セル1の全高(H)となる。好ましい一例において、電池セル1の全幅(W)と全高(H)との比(W/H)は、1よりも大きい(より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上である)。
【0050】
図2は、実施の形態2に係る電池セル1の断面図である。
図2に示す電池セル1は、
図1の例の変形例であって、
図1の例と同様に、正極端子311および負極端子321は、封口板220の第1部分221(凹部分)上に位置し、電極体100の正極タブ110および負極タブ120は、封口板220の第2部分222(凸部分)の内側に収納されている。
【0051】
図2の例においては、
図1とは異なり、封口板220の第2部分222は、正極集電体310と負極集電体320とが並ぶ方向(図中左右方向)における筐体200の中央部に位置する1つの凸部222αにより構成されている。正極タブ110および負極タブ120は共通の凸部222αの内側に位置する。
【0052】
図3~
図5は、各々、比較例1~3に係る電池セル1A,1B,1Cの断面図である。
図3~
図5に示す比較例において、電池セル1A,1B,1Cは、電極体100A,100B,100Cと、筐体200A,200B,200Cと、導電部材300A,300B,300Cとを各々含む。
【0053】
電極体100A,100B,100Cは、正極タブ110A,110B,110Cと、負極タブ120A,120B,120Cとを各々含む。
【0054】
筐体200A,200B,200Cは、本体210A,210B,210Cと、封口板220A,220B,220Cとを各々含む。本体210A,210B,210Cは、底部211A,211B,211Cを各々有する。
【0055】
導電部材300A,300B,300Cは、正極集電体310A,310B,310Cおよび負極集電体320A,320B,320Cを含む。正極集電体310A,310B,310Cは、正極端子311A,311B,311Cを各々含み、負極集電体320A,320B,320Cは、負極端子321A,321B,321Cを各々含む。
【0056】
図3~
図5に示す電池セル1A,1B,1Cにおいては、筐体200A,200B,200Cの形状が
図1,
図2に示す電池セル1とは異なる。
【0057】
具体的には、
図3に示す電池セル1Aの例では、封口板220Aが平板状に形成され、凹部分(第1部分221に相当)と凸部分(第2部分222に相当)とが存在しない。したがって、筐体200Aの外部においては、封口板220Aの上側に正極端子311Aおよび負極端子321Bが突出し、筐体200Aの内部においては、電極体100Aの本体部と封口板220Aとが、正極タブ110Aおよび負極タブ120Aの高さ分だけ離間する。この結果、
図3~
図5に示す電池セル1A,1B,1Cの全高は略同じであるにも関わらず、電池セル1Aの電極体100Aの高さは、電池セル1B,1Cの電極体100B,100Cの高さよりも低く、電池セル1Aをモジュール化したときのエネルギー密度は、電池セル1B,1Cに対して相対的に低くなる。
【0058】
これに対し、
図4,
図5に示す電池セル1B,1Cの例では、封口板220B,220Cは、第1部分221B,221C(凹部分)および第2部分222B,222C(凸部分)を各々有する。正極端子311B,311Cおよび負極端子321B,321Cは、第1部分221B,221C(凹部分)上に位置し、正極タブ110B,110Cおよび負極タブ120B,120Cは、第2部分222B,222C(凸部分)の内側に収納されている。したがって、電池セル1B,1Cをモジュール化したときのエネルギー密度は、電池セル1Aに対して相対的に高くなる。
【0059】
ただし、
図4,
図5の電池セル1B,1Cにおいては、第1部分221B,221Cと第2部分222B,222Cとの間において、封口板220B,220Cは垂直に折り曲げられており、第1部分221B,221Cに対して斜めに延在する部分(第2領域2222に相当)が第2部分222B,222Cに存在しない。
【0060】
これにより、電池セル1B,1Cにおいては、製造プロセスにおける効率性の観点からの課題が依然として存在する。この点について、
図6~
図9を用いて説明する。
【0061】
図6は、
図2(実施の形態2)に示す電池セル1の上面図であり、
図7は、その筐体200の封口板溶接工程を模式的に示す図である。
【0062】
図7に示すように、レーザ光源20から封口板220に向けてレーザ光21が照射される。封口板220の第1部分221と第2部分222との境界10には、第1部分221に対して角度φの方向からレーザ光21が照射される。このとき、第1部分221に対する第2部分222の第2領域2222(傾斜領域)の交差角度(θ)を角度φよりも大きく設定しておくことにより、レーザ光源20を移動させることなく、または、仮に移動させるとしても小さな距離の移動のみにより、境界10にもレーザ光21を照射することができる。
【0063】
本技術の実施の形態において、第1部分221と第2部分222の第2領域2222との交差角度(θ)は、90°よりも大きく180°よりも小さい。より好ましくは、上記交差角度(θ)は120°以上150°以下程度であり、さらに好ましくは、135°以上150°以下程度である。
【0064】
図8は、
図5(比較例3)に示す電池セル1Cの上面図であり、
図9は、その筐体200Cの封口板溶接工程を模式的に示す図である。
【0065】
図9に示すように、レーザ光源20から封口板220Cに向けてレーザ光21が照射される。このとき、封口板220Cの第1部分221Cと第2部分222Cとの境界10Cの近傍において、第1部分221Cと第2部分222Cとの段差部によりレーザ光源20からのレーザ光21が遮られる部分が生じる。したがって、境界10Cの近傍において、筐体200Cの本体210Cと封口板220Cとをレーザ溶接するために、レーザ光源20を図中左右方向に移動させる必要が生じる。この結果、製造プロセスの効率化が阻害され得る。
【0066】
このように、
図4,
図5に示す電池セル1B,1Cにおいては、正極タブ110B,110Cおよび負極タブ120B,120Cに隣接する位置において封口板220B,220Cを垂直に折り曲げることにより、
図3に示す電池セル1Aと比較してエネルギー密度を向上させることができるものの、この折り曲げ部分の近傍において筐体200B,200Cの本体210B,210Cと封口板220B,220Cとの溶接が行いにくい箇所が生じ、この結果として、製造プロセスの効率化が阻害される。
【0067】
これに対し、本技術の実施の形態1,2に係る電池セル1においては、封口板220の第1部分221と第2部分222の第2領域2222とを斜めに交差させることにより、エネルギー密度を向上させるとともに、製造プロセスを効率化することができる。
【0068】
なお、本技術の範囲は、
図1,
図2に例示する構造に限定されない。たとえば、
図1,
図2の例では、正極タブ110および負極タブ120の両方が封口板220の第2部分222(凸部分)の内側に収納される構造を示したが、正極タブ110および負極タブ120の一方のみが封口板220の第2部分222(凸部分)の内側に収納される構造であってもよい。
【0069】
また、
図1,
図2の例では、図中左右方向において筐体200が対称な形状を有する構造を示したが、
図10(実施の形態3)および
図11(実施の形態4)に示すように、図中左右方向において筐体200が対称でない形状を有してもよい。
【0070】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,1C 電池セル、10,10C 境界、20 レーザ光源、21 レーザ光、100,100A,100B,100C 電極体、110,110A,110B,110C 正極タブ、120,120A,120B,120C 負極タブ、200,200A,200B,200C 筐体、210,210A,210B,210C 本体、211,211A,211B,211C 底部、220,220A,220B,220C 封口板、221,221B,221C 第1部分、222,222B,222C 第2部分、222α,222β 凸部、300,300A,300B,300C 導電部材、310,310A,310B,310C 正極集電体、311,311A,311B,311C 正極端子、320,320A,320B,320C 負極集電体、321,321A,321B,321C 負極端子、2221 第1領域、2222 第2領域。