(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134848
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ガス・スチーム併用タービン発電システム
(51)【国際特許分類】
F01D 1/00 20060101AFI20240927BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240927BHJP
F23R 3/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F01D1/00
F02C7/00 G
F23R3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045254
(22)【出願日】2023-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】591241970
【氏名又は名称】藤原 照家
(74)【代理人】
【識別番号】100109597
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 章
(72)【発明者】
【氏名】藤原 照家
(57)【要約】
【課題】逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスとスチームを動力源とする簡単な構成で発電できるガス・スチーム併用タービン発電システムを提供すること。
【解決手段】ガス・スチーム併用タービン発電システム100は、中空円柱体のハブ71の外周に多数のブレード72が形成され、ハブ71に貫装される中空円柱体の回転軸80に軸支されるローター70と、高温の完全燃焼ガスを放出する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60と、ブレード72に向けて水を噴射する水噴射機95と、回転軸80の回転により発電する発電機96と、回転軸80に連通する排気管92と、を備え、ローター70は全体を外カバー74で覆われ、また、隣り合うブレード72間のハブ71に排気孔73が穿設されると共に、回転軸80に排気孔73に連通する排気孔が穿設される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円柱体のハブの外周に多数のブレードが形成され、前記ハブに貫装される中空円柱体の回転軸に軸支されるローターと、
筒形周壁の周面に複数のガス噴出孔を穿設し、前方開口側を中心にガス吐出孔を設けた蓋板により被蓋した内側燃焼筒体の後方開口側周縁を、筒形で前方開口側を中心にガス放出口を有する前方側壁板に、又後方開口側を後方側壁板により閉塞する外側燃焼筒体の後方側壁板内面に接合して、内側燃焼筒体を外側燃焼筒体に内設し、内側燃焼筒体内に適量の流体燃料と加圧空気を供給点火して燃焼させ内側燃焼筒体を加熱すると共に、後方より外側燃焼筒体内に加圧空気を供給し周回させて加熱し、内側燃焼筒体に設けたガス噴出孔及びガス吐出孔より外側燃焼筒体内に噴出する気化した不完全燃焼ガスを、周回する加熱ガスの逆火熱により再燃焼して反復周回させて更に内側燃焼筒体を加熱して熱気化を促進し、ガス放出口より外部に高温の完全燃焼ガスを放出する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーと、
前記ブレードに向けて水を噴射する水噴射機と、
前記回転軸の回転により発電する発電機と、
前記回転軸に連通する排気管と、を備え、
前記ローターは全体を外カバーで覆われ、また、隣り合うブレード間のハブに排気孔が穿設されると共に、前記回転軸に前記排気孔に連通する排気孔が穿設され、
前記逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスを前記ブレードに向けて噴射して前記ローターを回転・駆動すると共に、前記完全燃焼ガスによるブレードの熱破壊を回避すべく水噴射機から前記ブレードに向けて噴射された水が瞬時に気化したスチームにより前記ローターを回転・駆動し、前記ローターを回転・駆動した完全燃焼ガスを前記排気孔を介して排気管から排気することを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システム。
【請求項2】
2台以上の請求項1に記載のガス・スチーム併用タービン発電システムを備え、隣り合うガス・スチーム併用タービン発電システムは、一方のガス・スチーム併用タービン発電システムから排気された排気ガスが他方のガス・スチーム併用タービン発電システムのローターのブレードに吹き込まれることを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たな発電システムに関し、詳細には、バーナーの完全燃焼ガスとスチームでローターを回転・駆動して発電するガス・スチーム併用タービン発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービンと蒸気タービンを利用する発電についての提案がある。例えば、燃料を燃焼して駆動されるガスタービンと、復水器から給水配管を介して供給された給水を前記ガスタービンの排ガスにより加熱し、蒸気を発生する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラから蒸気配管を介して供給された蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービンと蒸気タービンのいずれか、あるいは双方により駆動される発電機と、前記蒸気タービンで仕事をした後の蒸気を水に戻すための前記復水器とから構成されるコンバインドサイクル発電プラントであって、前記蒸気配管から分岐し、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気を前記復水器へ導くとともに減温器を備えるタービンバイパス管、前記減温器へ供給するスプレ水を貯留するためのスプレ水タンク、を備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラントがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のコンバインドサイクル発電プラントにおける蒸気タービンは、ガスタービンの排ガスで加熱して発生する蒸気で駆動するもので、蒸気を制御するための部品点数も多く構成が複雑である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガス及び当該完全燃焼ガスで高熱化したローターのブレードに向け噴射された水が気化したスチームを動力源とする簡単な構成で発電できるガス・スチーム併用タービン発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねて本発明に想到した。
すなわち、本発明は、中空円柱体のハブの外周に多数のブレードが形成され、前記ハブに貫装される中空円柱体の回転軸に軸支されるローターと、筒形周壁の周面に複数のガス噴出孔を穿設し、前方開口側を中心にガス吐出孔を設けた蓋板により被蓋した内側燃焼筒体の後方開口側周縁を、筒形で前方開口側を中心にガス放出口を有する前方側壁板に、又後方開口側を後方側壁板により閉塞する外側燃焼筒体の後方側壁板内面に接合して、内側燃焼筒体を外側燃焼筒体に内設し、内側燃焼筒体内に適量の流体燃料と加圧空気を供給点火して燃焼させ内側燃焼筒体を加熱すると共に、後方より外側燃焼筒体内に加圧空気を供給し周回させて加熱し、内側燃焼筒体に設けたガス噴出孔及びガス吐出孔より外側燃焼筒体内に噴出する気化した不完全燃焼ガスを、周回する加熱ガスの逆火熱により再燃焼して反復周回させて更に内側燃焼筒体を加熱して熱気化を促進し、ガス放出口より外部に高温の完全燃焼ガスを放出する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーと、前記ブレードに向けて水を噴射する水噴射機と、前記回転軸の回転により発電する発電機と、前記回転軸に連通する排気管と、を備え、前記ローターは全体を外カバーで覆われ、また、隣り合うブレード間のハブに排気孔が穿設されると共に、前記回転軸に前記排気孔に連通する排気孔が穿設され、前記逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスを前記ブレードに向けて噴射して前記ローターを回転・駆動すると共に、前記完全燃焼ガスによるブレードの熱破壊を回避すべく水噴射機から前記ブレードに向けて噴射された水が瞬時に気化したスチームにより前記ローターを回転・駆動し、前記ローターを回転・駆動した完全燃焼ガスを前記排気孔を介して排気管から排気することを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システムに関する。
【0007】
2台以上の上記のガス・スチーム併用タービン発電システムを備え、隣り合うガス・スチーム併用タービン発電システムは、一方のガス・スチーム併用タービン発電システムから排気された排気ガスが他方のガス・スチーム併用タービン発電システムのローターのブレードに吹き込まれることを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システムに関する。この構成により、エネルギーの有効な利用ができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バーナーの完全燃焼ガスとスチームを動力源とするガス・スチーム併用タービンとして発電できる、簡単な構成で効率性に優れた新たな発電システムを提供することができる。
【0009】
また、本発明によれば、上記の効果に加え、エネルギーのロスを低減し、より効率的な発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムの台座に支持されたローターの正面図である。
【
図2】本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムの概略図である。
【
図3】隣り合うブレード間のハブに穿設された排気孔を示す部分拡大図である。
【
図4】2台の本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムの使用状態を示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムを構成する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの基本的な構成の概要を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
【0012】
図1に示すように、ローター70は、中空円柱体のハブ71の外周に多数のブレード72が形成されている。ハブ71には、
図2に示すように、中空円柱体の回転軸80が貫装され、ハブ71が回転軸80に固着されているので、回転軸80はローター70の回転により回転する。また、ローター70は、台座90に固定された支持材76により支持される外カバー74で回転自在に全体が覆われている。外カバー74は、一方が開口した円柱体をローター70に被せ、円柱体の開口箇所に円板体を固定することによってローター70の全体を覆うことができる。また、外カバー74の縦方法の両側の中央には、回転軸80を貫入するための貫入孔75が穿設されている。
【0013】
隣り合うブレード72間のハブ71には、
図3に示すように、排気ガスを排気管93に逃がすための排気孔73が穿設されている。また、回転軸80には、ハブ71の前記排気孔73と連通する図示しない排気孔が穿設されている。
【0014】
図2に示すように、ローター70の両側には、台座90に固定された支持材92に支持されるベアリングボックス91が設けられ、回転軸80はベアリングボックス91に貫入されているので、円滑に回転することができる。
【0015】
次いで、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60について説明する。
図5に示す逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、特許第2838241号公報に開示がある。
【0016】
逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、外側燃焼筒体1に内側燃焼筒体15を内設し、内側燃焼筒体15内に適量の流体燃料と多量の加圧空気を供給点火し、燃焼させて内側燃焼筒体15を加熱すると共に、後方より外側燃焼筒体1内に加圧空気を供給し周回させて加熱し、内側燃焼筒体15に設けたガス噴出孔10及びガス吐出孔13より外側燃焼筒体1内に噴出する気化した不完全燃焼ガスを、周回する加熱ガスの逆火熱により再燃焼して反復周回させて更に内側燃焼筒体15を加熱して熱気化を促進し、外側燃焼筒体15に設けたガス放出口6より外部に完全燃焼ガスとして放出し高温の熱源を得る熱気化を利用したバーナーである。以下、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60を詳細に説明する。
【0017】
外側燃焼筒体1は、筒形の周壁胴2と、下部に設けたダクト接続孔3の後方に向け突出して送風ダクト4を接続した後方側壁板5及び中央部にガス放出口6を穿設し、該ガス放出口6に連通し前方に突出するガス放出筒7を接続した前方側壁板8とからなる。
【0018】
前記の外側燃焼筒体1の周壁胴2より小径の筒状の周壁筒9は、周壁に複数のガス噴出孔10を穿設すると共に、下側周壁前部に燃焼用給気孔11を、また、後部に点火用給気孔12を穿設し、周壁筒9の前方開口側の中心にガス吐出口13を設けた蓋板14により被蓋した内側燃焼筒体15を構成し、周壁筒9の後端縁16を外側燃焼筒体1の後方側壁板内壁面17の中間上部に密着接合する。
【0019】
内側燃焼筒体15には、周壁筒9の下側周壁前部に設けた燃焼用給気孔11を介して内側燃焼筒体15に連通するように送風ダクト4より適寸法小径の給気管18の前端周縁19を接合し、該給気管18の他端が送風ダクト4内に臨むように取り付け、又下側周壁後部に設けた点火用給気孔12を介し内側燃焼筒体15に連通するように給気管18より適寸法小径の補助給気管20の上端周縁21を接合し、他端が給気管18内に臨むように取り付けられる。
【0020】
このように給気管18及び補助給気管20を取り付け外側燃焼筒体1の後方側壁板内壁面17に接合した内側燃焼筒体15を、外側燃焼筒体1の周壁胴2の前方開口部をガス放出筒7を外方にして前方側壁板8により被蓋した該周壁胴2内に後方より挿入し、内側燃焼筒体15の蓋板14と外側燃焼筒体1の前方側壁板8間が適間隔tを隔てる状態で外側燃焼筒体1の周壁胴2の後端周縁と後方側壁板5の外周縁を密着接合して外側燃焼筒体1
内に内側燃焼筒体15を内設すると共に、内側燃焼筒体15内に連通する燃料供給管22と点火装置Sを設けて逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60が構成される。
【0021】
上記の構成からなる逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、
図1に示すように、支持材61に支持されてローター70の外カバー74の上部に取り付けられている。
外カバー74の上部に噴射孔77が穿設され、当該噴射孔77に逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60のガス放出筒7が挿入されて、ブレード72の回転方向に逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60の燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスが噴射できるようになっている。
【0022】
水噴射機95は高圧水を発生する公知の構成の装置からなる。
図1に示すように、水噴射機95は支持材96に支持されてローター70の外カバー74の下部に取り付けられている。外カバー74の下部に噴射孔78が穿設され、当該噴射孔78に水噴射機95の先端が挿入されて、ブレード72の回転方向に高圧水を噴射できるようになっている。
【0023】
図2に示すように、縦方向のローター70の一方の側における回転軸80には、台座90に固定された支持材98に支持される回転軸80の回転で発電する公知の構成の発電機97が設けられている。また、回転軸80に仕切材81が内設され、排気ガスが発電機97内に入らないようになっている。
【0024】
図2に示すように、縦方向のローター70の他方の側におけるベアリングボックス91の側部に継手94が設けられ、当該継手94を介して排気管93が接続されているので、排気管93は回転軸80に連通する。
【0025】
次いで、上記の構成のガス・スチーム併用タービン発電システム100の作用について説明する。
逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、供給される加圧空気の風量や風圧の急激な変化にも吹き消えがなく、着火後1分前後で完全燃焼し、完全燃焼ガスが1000℃前後の高温となる。また、空気にかえて純酸素を加圧して給気すれば完全燃焼ガスの温度は3000℃前後の高温となる。シャルルの法則によれば、あらゆる気体は、圧力が一定の場合、温度が1℃上昇するごとに0℃のときの体積の273分の1ずつ膨張する。そのことから、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60の燃焼による完全燃焼ガスの温度が1000℃前後あるいは3000℃前後になれば、完全燃焼ガスの圧力は一気に高まり高圧になる。
このように、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60から噴出される完全燃焼ガスは高温・高圧であるため、完全燃焼ガスをローター70のブレード72に向けて噴射すれば、ローター70を回転・駆動することができる。
また、完全燃焼ガスの温度が1000℃前後あるいは3000℃前後となるため、完全燃焼ガスが噴射されたブレード72は熱破壊のおそれがある。
そこで、ブレード72を冷却するためブレード72に向けて水噴射機95から水が噴射される。噴射された水は高温のブレード72により瞬時に気化し爆発的に膨張することにより、高圧なスチームがローター70の回転を加速させる。
すなわち、本発明のガス・スチーム併用タービン発電システム100は、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60の燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガス及び高圧のスチームを動力源として回転軸80を回転させ、発電することができる。
また、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60から噴射された完全燃焼ガスは排気ガスとしてハブ71の排気孔73及び回転軸80の排気孔を介して排気管93から排出される。
【0026】
排気ガスが高圧を維持していればこれを活用すべく、上記の構成のガス・スチーム併用タービン発電システム100を2台以上設置してもよい。この場合、
図4に示すように、一方のガス・スチーム併用タービン発電システム100から排気された排気ガスを排気管93を介して他方のガス・スチーム併用タービン発電システム100のローター70のブレード72に吹き込む。これにより、排気ガスでブレード72の回転・駆動を補完することができる。また、2台目以降のガス・スチーム併用タービン発電システム100の逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60及び水噴射機95は、ローター70のブレード72に吹き込まれる排気ガスの状況に応じ適宜稼働させる。
【符号の説明】
【0027】
1 外側燃焼筒体
2 周壁胴
5 後方側壁板
6 ガス放出口
7 ガス放出筒
8 前方側壁板
9 周壁筒
10 ガス噴出孔
13 ガス吐出孔
14 蓋板
15 内側燃焼筒体
60 逆火熱利用有酸素気化再燃焼式バーナー
70 ローター
71 ハブ
72 ブレード
73 排気孔
74 外カバー
75 貫入孔
77 噴射孔
78 噴射孔
80 回転軸
81 仕切材
90 台座
91 ベアリングボックス
93 排気管
94 継手
95 水噴射機
97 発電機
100 ガス・スチーム併用タービン発電システム
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円柱体のハブの外周に多数のブレードが形成され、前記ハブに貫装される中空円柱体の回転軸に軸支されるローターと、
筒形周壁の周面に複数のガス噴出孔を穿設し、前方開口側を中心にガス吐出孔を設けた蓋板により被蓋した内側燃焼筒体の後方開口側周縁を、筒形で前方開口側を中心にガス放出口を有する前方側壁板に、又後方開口側を後方側壁板により閉塞する外側燃焼筒体の後方側壁板内面に接合して、内側燃焼筒体を外側燃焼筒体に内設し、内側燃焼筒体内に適量の流体燃料と加圧空気を供給点火して燃焼させ内側燃焼筒体を加熱すると共に、後方より外側燃焼筒体内に加圧空気を供給し周回させて加熱し、内側燃焼筒体に設けたガス噴出孔及びガス吐出孔より外側燃焼筒体内に噴出する気化した不完全燃焼ガスを、周回する加熱ガスの逆火熱により再燃焼して反復周回させて更に内側燃焼筒体を加熱して熱気化を促進し、ガス放出口より外部に高温の完全燃焼ガスを放出する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーと、
前記ブレードに向けて水を噴射する水噴射機と、
前記回転軸の回転により発電する発電機と、
前記回転軸に連通する排気管と、を備え、
前記ローターは全体を外カバーで覆われ、また、隣り合うブレード間のハブにハブ排気孔が穿設されると共に、前記回転軸に前記ハブ排気孔に連通する回転軸排気孔が穿設され、
前記逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスを前記ブレードに向けて噴射して前記ローターを回転・駆動すると共に、前記完全燃焼ガスによるブレードの熱破壊を回避すべく水噴射機から前記ブレードに向けて噴射された水が瞬時に気化したスチームにより前記ローターを回転・駆動し、前記ローターを回転・駆動した完全燃焼ガスを前記ハブ排気孔及び前記回転軸排気孔を介して排気管から排気することを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システム。
【請求項2】
2台以上の請求項1に記載のガス・スチーム併用タービン発電システムを備え、隣り合うガス・スチーム併用タービン発電システムは、一方のガス・スチーム併用タービン発電システムから排気された排気ガスが他方のガス・スチーム併用タービン発電システムのローターのブレードに吹き込まれることを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たな発電システムに関し、詳細には、バーナーの完全燃焼ガスとスチームでローターを回転・駆動して発電するガス・スチーム併用タービン発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービンと蒸気タービンを利用する発電についての提案がある。例えば、燃料を燃焼して駆動されるガスタービンと、復水器から給水配管を介して供給された給水を前記ガスタービンの排ガスにより加熱し、蒸気を発生する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラから蒸気配管を介して供給された蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービンと蒸気タービンのいずれか、あるいは双方により駆動される発電機と、前記蒸気タービンで仕事をした後の蒸気を水に戻すための前記復水器とから構成されるコンバインドサイクル発電プラントであって、前記蒸気配管から分岐し、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気を前記復水器へ導くとともに減温器を備えるタービンバイパス管、前記減温器へ供給するスプレ水を貯留するためのスプレ水タンク、を備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラントがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のコンバインドサイクル発電プラントにおける蒸気タービンは、ガスタービンの排ガスで加熱して発生する蒸気で駆動するもので、蒸気を制御するための部品点数も多く構成が複雑である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガス及び当該完全燃焼ガスで高熱化したローターのブレードに向け噴射された水が気化したスチームを動力源とする簡単な構成で発電できるガス・スチーム併用タービン発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねて本発明に想到した。
すなわち、本発明は、中空円柱体のハブの外周に多数のブレードが形成され、前記ハブに貫装される中空円柱体の回転軸に軸支されるローターと、筒形周壁の周面に複数のガス噴出孔を穿設し、前方開口側を中心にガス吐出孔を設けた蓋板により被蓋した内側燃焼筒体の後方開口側周縁を、筒形で前方開口側を中心にガス放出口を有する前方側壁板に、又後方開口側を後方側壁板により閉塞する外側燃焼筒体の後方側壁板内面に接合して、内側燃焼筒体を外側燃焼筒体に内設し、内側燃焼筒体内に適量の流体燃料と加圧空気を供給点火して燃焼させ内側燃焼筒体を加熱すると共に、後方より外側燃焼筒体内に加圧空気を供給し周回させて加熱し、内側燃焼筒体に設けたガス噴出孔及びガス吐出孔より外側燃焼筒体内に噴出する気化した不完全燃焼ガスを、周回する加熱ガスの逆火熱により再燃焼して反復周回させて更に内側燃焼筒体を加熱して熱気化を促進し、ガス放出口より外部に高温の完全燃焼ガスを放出する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーと、前記ブレードに向けて水を噴射する水噴射機と、前記回転軸の回転により発電する発電機と、前記回転軸に連通する排気管と、を備え、前記ローターは全体を外カバーで覆われ、また、隣り合うブレード間のハブにハブ排気孔が穿設されると共に、前記回転軸に前記ハブ排気孔に連通する回転軸排気孔が穿設され、前記逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスを前記ブレードに向けて噴射して前記ローターを回転・駆動すると共に、前記完全燃焼ガスによるブレードの熱破壊を回避すべく水噴射機から前記ブレードに向けて噴射された水が瞬時に気化したスチームにより前記ローターを回転・駆動し、前記ローターを回転・駆動した完全燃焼ガスを前記ハブ排気孔及び前記回転軸排気孔を介して排気管から排気することを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システムに関する。
【0007】
2台以上の上記のガス・スチーム併用タービン発電システムを備え、隣り合うガス・スチーム併用タービン発電システムは、一方のガス・スチーム併用タービン発電システムから排気された排気ガスが他方のガス・スチーム併用タービン発電システムのローターのブレードに吹き込まれることを特徴とするガス・スチーム併用タービン発電システムに関する。この構成により、エネルギーの有効な利用ができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バーナーの完全燃焼ガスとスチームを動力源とするガス・スチーム併用タービンとして発電できる、簡単な構成で効率性に優れた新たな発電システムを提供することができる。
【0009】
また、本発明によれば、上記の効果に加え、エネルギーのロスを低減し、より効率的な発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムの台座に支持されたローターの正面図である。
【
図2】本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムの概略図である。
【
図3】隣り合うブレード間のハブに穿設された
ハブ排気孔を示す部分拡大図である。
【
図4】2台の本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムの使用状態を示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係るガス・スチーム併用タービン発電システムを構成する逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナーの基本的な構成の概要を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
【0012】
図1に示すように、ローター70は、中空円柱体のハブ71の外周に多数のブレード72が形成されている。ハブ71には、
図2に示すように、中空円柱体の回転軸80が貫装され、ハブ71が回転軸80に固着されているので、回転軸80はローター70の回転により回転する。また、ローター70は、台座90に固定された支持材76により支持される外カバー74で回転自在に全体が覆われている。外カバー74は、一方が開口した円柱体をローター70に被せ、円柱体の開口箇所に円板体を固定することによってローター70の全体を覆うことができる。また、外カバー74の縦方
向の両側の中央には、回転軸80を貫入するための貫入孔75が穿設されている。
【0013】
隣り合うブレード72間のハブ71には、
図3に示すように、排気ガスを排気管93に逃がすための
ハブ排気孔73が穿設されている。また、回転軸80には、ハブ71の前記
ハブ排気孔73と連通する図示しない
回転軸排気孔が穿設されている。
【0014】
図2に示すように、ローター70の両側には、台座90に固定された支持材92に支持されるベアリングボックス91が設けられ、回転軸80はベアリングボックス91に貫入されているので、円滑に回転することができる。
【0015】
次いで、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60について説明する。
図5に示す逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、特許第2838241号公報に開示がある。
【0016】
逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、外側燃焼筒体1に内側燃焼筒体15を内設し、内側燃焼筒体15内に適量の流体燃料と多量の加圧空気を供給点火し、燃焼させて内側燃焼筒体15を加熱すると共に、後方より外側燃焼筒体1内に加圧空気を供給し周回させて加熱し、内側燃焼筒体15に設けたガス噴出孔10及びガス吐出孔13より外側燃焼筒体1内に噴出する気化した不完全燃焼ガスを、周回する加熱ガスの逆火熱により再燃焼して反復周回させて更に内側燃焼筒体15を加熱して熱気化を促進し、外側燃焼筒体15に設けたガス放出口6より外部に完全燃焼ガスとして放出し高温の熱源を得る熱気化を利用したバーナーである。以下、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60を詳細に説明する。
【0017】
外側燃焼筒体1は、筒形の周壁胴2と、下部に設けたダクト接続孔3の後方に向け突出して送風ダクト4を接続した後方側壁板5及び中央部にガス放出口6を穿設し、該ガス放出口6に連通し前方に突出するガス放出筒7を接続した前方側壁板8とからなる。
【0018】
前記の外側燃焼筒体1の周壁胴2より小径の筒状の周壁筒9は、周壁に複数のガス噴出孔10を穿設すると共に、下側周壁前部に燃焼用給気孔11を、また、後部に点火用給気孔12を穿設し、周壁筒9の前方開口側の中心にガス吐出口13を設けた蓋板14により被蓋した内側燃焼筒体15を構成し、周壁筒9の後端縁16を外側燃焼筒体1の後方側壁板内壁面17の中間上部に密着接合する。
【0019】
内側燃焼筒体15には、周壁筒9の下側周壁前部に設けた燃焼用給気孔11を介して内側燃焼筒体15に連通するように送風ダクト4より適寸法小径の給気管18の前端周縁19を接合し、該給気管18の他端が送風ダクト4内に臨むように取り付け、又下側周壁後部に設けた点火用給気孔12を介し内側燃焼筒体15に連通するように給気管18より適寸法小径の補助給気管20の上端周縁21を接合し、他端が給気管18内に臨むように取り付けられる。
【0020】
このように給気管18及び補助給気管20を取り付け外側燃焼筒体1の後方側壁板内壁面17に接合した内側燃焼筒体15を、外側燃焼筒体1の周壁胴2の前方開口部をガス放出筒7を外方にして前方側壁板8により被蓋した該周壁胴2内に後方より挿入し、内側燃焼筒体15の蓋板14と外側燃焼筒体1の前方側壁板8間が適間隔tを隔てる状態で外側燃焼筒体1の周壁胴2の後端周縁と後方側壁板5の外周縁を密着接合して外側燃焼筒体1
内に内側燃焼筒体15を内設すると共に、内側燃焼筒体15内に連通する燃料供給管22と点火装置Sを設けて逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60が構成される。
【0021】
上記の構成からなる逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、
図1に示すように、支持材61に支持されてローター70の外カバー74の上部に取り付けられている。
外カバー74の上部に噴射孔77が穿設され、当該噴射孔77に逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60のガス放出筒7が挿入されて、ブレード72の回転方向に逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60の燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガスが噴射できるようになっている。
【0022】
水噴射機95は高圧水を発生する公知の構成の装置からなる。
図1に示すように、水噴射機95は支持材96に支持されてローター70の外カバー74の下部に取り付けられている。外カバー74の下部に噴射孔78が穿設され、当該噴射孔78に水噴射機95の先端が挿入されて、ブレード72の回転方向に高圧水を噴射できるようになっている。
【0023】
図2に示すように、縦方向のローター70の一方の側における回転軸80には、台座90に固定された支持材98に支持される回転軸80の回転で発電する公知の構成の発電機97が設けられている。また、回転軸80に仕切材81が内設され、排気ガスが発電機97内に入らないようになっている。
【0024】
図2に示すように、縦方向のローター70の他方の側におけるベアリングボックス91の側部に継手94が設けられ、当該継手94を介して排気管93が接続されているので、排気管93は回転軸80に連通する。
【0025】
次いで、上記の構成のガス・スチーム併用タービン発電システム100の作用について説明する。
逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60は、供給される加圧空気の風量や風圧の急激な変化にも吹き消えがなく、着火後1分前後で完全燃焼し、完全燃焼ガスが1000℃前後の高温となる。また、空気にかえて純酸素を加圧して給気すれば完全燃焼ガスの温度は3000℃前後の高温となる。シャルルの法則によれば、あらゆる気体は、圧力が一定の場合、温度が1℃上昇するごとに0℃のときの体積の273分の1ずつ膨張する。そのことから、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60の燃焼による完全燃焼ガスの温度が1000℃前後あるいは3000℃前後になれば、完全燃焼ガスの圧力は一気に高まり高圧になる。
このように、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60から噴出される完全燃焼ガスは高温・高圧であるため、完全燃焼ガスをローター70のブレード72に向けて噴射すれば、ローター70を回転・駆動することができる。
また、完全燃焼ガスの温度が1000℃前後あるいは3000℃前後となるため、完全燃焼ガスが噴射されたブレード72は熱破壊のおそれがある。
そこで、ブレード72を冷却するためブレード72に向けて水噴射機95から水が噴射される。噴射された水は高温のブレード72により瞬時に気化し爆発的に膨張することにより、高圧なスチームがローター70の回転を加速させる。
すなわち、本発明のガス・スチーム併用タービン発電システム100は、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60の燃焼による高温・高圧の完全燃焼ガス及び高圧のスチームを動力源として回転軸80を回転させ、発電することができる。
また、逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60から噴射された完全燃焼ガスは排気ガスとしてハブ71のハブ排気孔73及び回転軸80の回転軸排気孔を介して排気管93から排出される。
【0026】
排気ガスが高圧を維持していればこれを活用すべく、上記の構成のガス・スチーム併用タービン発電システム100を2台以上設置してもよい。この場合、
図4に示すように、一方のガス・スチーム併用タービン発電システム100から排気された排気ガスを排気管93を介して他方のガス・スチーム併用タービン発電システム100のローター70のブレード72に吹き込む。これにより、排気ガスでブレード72の回転・駆動を補完することができる。また、2台目以降のガス・スチーム併用タービン発電システム100の逆火熱利用有酸素熱気化再燃焼式バーナー60及び水噴射機95は、ローター70のブレード72に吹き込まれる排気ガスの状況に応じ適宜稼働させる。
【符号の説明】
【0027】
1 外側燃焼筒体
2 周壁胴
5 後方側壁板
6 ガス放出口
7 ガス放出筒
8 前方側壁板
9 周壁筒
10 ガス噴出孔
13 ガス吐出孔
14 蓋板
15 内側燃焼筒体
60 逆火熱利用有酸素気化再燃焼式バーナー
70 ローター
71 ハブ
72 ブレード
73 ハブ排気孔
74 外カバー
75 貫入孔
77 噴射孔
78 噴射孔
80 回転軸
81 仕切材
90 台座
91 ベアリングボックス
93 排気管
94 継手
95 水噴射機
97 発電機
100 ガス・スチーム併用タービン発電システム