(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134857
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20240927BHJP
B65H 5/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65H5/02 M
B65H5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045275
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000104777
【氏名又は名称】クインライト電子精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 英之
【テーマコード(参考)】
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
3F049AA08
3F049BA22
3F049BB07
3F049BB08
3F049DA04
3F049DA14
3F049EA22
3F049LA15
3F049LB01
3F049LB08
3F101DA08
3F101DB04
3F101LA15
3F101LB01
3F101LB08
(57)【要約】
【課題】直進する搬送が終了しようとするとき搬送対象のシートに搬送方向の負荷がかかることを抑える。
【解決手段】搬送装置は、ピン82およびピン支持台80をそれぞれ有する複数のピン接続部30,30,30と、駆動部32と、押上部34とを備える。押上部34は、移動中のピン支持台80がシート300の搬送路の直進区間の所定の範囲内にあるときピン82を押し上げる力をピン支持台80に加える。ピン接続部30が、動作可能接続部をさらに有している。動作可能接続部は、次に述べられることが可能となるようピン支持台80を駆動部32に接続する。それは、押上部34から力を受ける間はピン82が押し上げられ押上部34から力を受けなくなるとピン82が下がることである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直進区間を有する搬送路に所定間隔毎に配される複数のピン接続部と、
前記複数のピン接続部を前記搬送路に沿って駆動する駆動部とを備え、
前記ピン接続部が、
前記駆動部に接続されるピン支持台と、
前記ピン支持台から突出するよう前記ピン支持台に設けられるピンとを有している搬送装置であって、
前記駆動部に駆動されることにより移動中の前記ピン支持台が前記搬送路の前記直進区間の所定の範囲内にあるとき前記ピンを押し上げる力を前記ピン支持台に加える押上部をさらに備え、
前記ピン接続部が、前記押上部から前記力を受ける間は前記ピンが押し上げられ前記押上部から前記力を受けなくなると前記ピンが下がることが可能となるよう前記ピン支持台を前記駆動部に接続する動作可能接続部をさらに有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記押上部が、移動中の前記ピン支持台に接して前記ピンごと前記ピン支持台を押し上げるように配置される移動路を有しており、
前記ピン支持台が、
互いに正面と背面との関係にある一対の面と、
前記一対の面から見た側面にあたり移動中に前記移動路に対向する対向面と、
前記一対の面から見て側面にあたり前記対向面から見て背面にあたる基面とを有しており、
前記対向面と前記基面とのうち一方側から他方側へ向かって延びる長孔が前記一対の面の一方から他方へわたって形成されており、
前記ピン支持台の前記基面から前記ピンが突出しており、
前記動作可能接続部が、
前記ピン支持台の前記長孔を貫通し、前記駆動部に接続される貫通軸部と、
前記ピン支持台のうち前記長孔から見て前記ピン支持台の重心の向こう側のいずれかの箇所を前記駆動部に揺動自在に接続する揺動自在軸部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記対向面が、
移動中に前記移動路に接触する接触領域と、
前記接触領域から見て前記搬送路のシート進入側とシート排出側とのうち前記シート排出側にて前記接触領域に連続し、前記接触領域から離れるにつれ前記基面側へ延びるよう曲面を形成する排出側連続領域とを有していることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記押上部が、前記移動路から見て前記搬送路のシート進入側とシート排出側とのうち前記シート進入側において前記移動路に連なり前記移動路から離れるにつれ前記搬送路から離れる傾斜路を前記移動路に加えて有していることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は搬送部を開示する。この搬送部は、駆動ローラと、対向ローラと、従動ローラと、搬送ベルトとを備える。その駆動ローラは、搬送部の搬送方向で最上流側に配置される。その駆動ローラは駆動モータに接続されて回転する。対向ローラは、駆動ローラに対向して配置される。対向ローラは、駆動ローラの回転に応じて、連続シートを介して従動回転する。従動ローラはローラ状に形成される。従動ローラは搬送部の搬送方向で最下流側に配置される。搬送ベルトはその表面上に複数の搬送ピンを備える。各搬送ピンは、ロール紙から繰り出された連続シートの各スプロケットホールに挿入されるようになっている。搬送ベルトは、駆動ローラと従動ローラとに架け回される。搬送ベルトは、駆動ローラの回転に伴って走行する。特許文献1に開示された搬送部によれば、連続シートが搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された搬送部には、連続シートの直進する搬送が終了しようとするときその連続シートに負荷がかかるという問題点がある。本発明は、このような問題を解決するものである。本発明の目的は、直進する搬送が終了しようとするとき搬送対象のシートに搬送方向の負荷がかかることを抑え得る搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面に基づき本発明の搬送装置が説明される。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0006】
上述された課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、搬送装置10は、複数のピン接続部30,30,30,30と、駆動部32とを備える。複数のピン接続部30,30,30,30は、直進区間を有する搬送路に所定間隔毎に配される。駆動部32は、複数のピン接続部30,30,30,30を搬送路に沿って駆動する。ピン接続部30が、ピン支持台80と、ピン82とを有している。ピン支持台80は、駆動部32に接続される。ピン82は、ピン支持台80から突出するようピン支持台80に設けられる。搬送装置10が、押上部34をさらに備える。押上部34は、駆動部32に駆動されることにより移動中のピン支持台80が搬送路の直進区間の所定の範囲内にあるときピン82を押し上げる力をピン支持台80に加える。ピン接続部30が、動作可能接続部84をさらに有している。動作可能接続部84は、次に述べられることが可能となるようピン支持台80を駆動部32に接続する。それは、押上部34から力を受ける間はピン82が押し上げられ押上部34から力を受けなくなるとピン82が下がることである。
【0007】
次に述べられるシート300は搬送路を通過することとなる。そのシート300はピン82が貫通するものである。押上部34は、駆動部32に駆動されることにより移動中のピン支持台80がシート300の搬送路の直進区間の所定の範囲内にあるときピン82を押し上げる力をピン支持台80に加える。動作可能接続部84は、次に述べられることが可能となるようピン支持台80を駆動部32に接続する。それは、押上部34から力を受ける間はピン82が押し上げられ押上部34から力を受けなくなるとピン82が下がることである。これにより、ピン82は、搬送路の直進区間の所定の範囲内にあるとき押し上げられていることとなる。搬送路の直進区間の所定の範囲内にないピン82にはこれを押し上げる力がかからなくなる。押し上げる力がかからなくなるので、ピン82は下がる。ピン82が下がると、そのピン82はシート300から抜ける。ピン82がシート300から抜けるとそのピン82が搬送路の直進区間ではない区間を通過することに伴ってシート300のうちピン82とピン82との間の領域が拡げられることはなくなる。その領域が拡げられることがなくなるので、直進する搬送が終了しようとするとき搬送対象のシート300に搬送方向の負荷がかかることを抑え得る。
【0008】
又は、上述された押上部34が、移動路100を有していることが望ましい。移動路100は、移動中のピン支持台80に接してピン82ごとピン支持台80を押し上げるように配置される。この場合、ピン支持台80が、互いに正面と背面との関係にある一対の面140,142と、対向面144と、基面146とを有していることが望ましい。対向面144は、一対の面140,142から見た側面にあたる。対向面144は、移動中に移動路100に対向する。基面146は、一対の面140,142から見て側面にあたる。基面146は、対向面144から見て背面にあたる。この場合、対向面144と基面146とのうち一方側から他方側へ向かって延びる長孔160が一対の面140,142の一方から他方へわたって形成されていることが望ましい。この場合、ピン支持台80の基面146からピン82が突出していることが望ましい。この場合、動作可能接続部84が、貫通軸部180と、揺動自在軸部182とを有していることが望ましい。貫通軸部180は、ピン支持台80の長孔160を貫通する。貫通軸部180は、駆動部32に接続される。揺動自在軸部182は、ピン支持台80のうち長孔160から見てピン支持台80の重心の向こう側のいずれかの箇所を駆動部32に揺動自在に接続する。
【0009】
動作可能接続部84が貫通軸部180と揺動自在軸部182とを有していると、対向面144が移動路100から力を受けることによりピン支持台80が押し上げられる際、ピン支持台80は揺動することとなる。ピン支持台80が揺動すると、貫通軸部180を中心にピン支持台80が回転自在な場合に比べ、ピン支持台80が押し上げられる際にピン82が傾いてそのピン82がシート300を貫通しなくなる恐れは小さくなる。その恐れが小さくなると、シート300の搬送が行われない可能性も低くなる。
【0010】
もしくは、上述された対向面144が、接触領域200と排出側連続領域202とを有していることが望ましい。接触領域200は、移動中に移動路100に接触する。排出側連続領域202は、接触領域200から見て搬送路のシート300進入側とシート300排出側とのうちシート300排出側にて接触領域200に連続する。排出側連続領域202は、接触領域200から離れるにつれ基面146側へ延びるよう曲面を形成する。
【0011】
接触領域200から離れるにつれ基面146側へ延びるよう曲面を形成する排出側連続領域202が接触領域200に連続するので、排出側連続領域202が接触領域200に連続しない場合に比べ、ピン支持台80が移動路100にスムーズに載り易くなる。
【0012】
もしくは、上述された押上部34が、傾斜路102を移動路100に加えて有していることが望ましい。傾斜路102は、移動路100から見て搬送路のシート300進入側とシート300排出側とのうちシート300進入側において移動路100に連なる。傾斜路102は、移動路100から離れるにつれ搬送路から離れる。
【0013】
傾斜路102が移動路100に連なることで、押上部34が傾斜路102を有していない場合に比べ、ピン支持台80が移動路100にスムーズに載り易くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、直進する搬送が終了しようとするとき搬送対象のシートに搬送方向の負荷がかかることを抑え得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のある実施形態にかかる搬送装置の構成が示される図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかるリンクチェーンおよびピン接続部付近が示される図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかるピン接続部の斜視図である。
【
図4】本発明のある実施形態にかかる搬送装置においてピン接続部のピンがシートを自動的に貫通する状況が示される概念図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかるピンテンター装置においてピン接続部のピンがシートから自動的に抜ける状況が示される概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が図面に基づき詳細に説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付される。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0017】
[構成の説明]
図1は、本実施形態にかかる搬送装置10の構成が示される図である。
図1に基づいて、本実施形態にかかる搬送装置10の構成が説明される。
【0018】
本実施形態にかかる搬送装置10は、シート300を搬送するために用いられる。後述されるピン接続部30のピン82が貫通し得る材質である限り、シート300の材質は特に限定されない。シート300の材質の例には、合成樹脂がある。
【0019】
本実施形態にかかる搬送装置10は、複数のピン接続部30,30,30,30と、駆動部32と、押上部34と、シート押え体36と、軟質ローラ38とを備える。
【0020】
複数のピン接続部30,30,30,30は、シート300の搬送路に所定間隔毎に配される。駆動部32は、複数のピン接続部30,30,30,30を搬送路に沿って駆動する。押上部34はピン接続部30の移動経路ひいてはシート300の搬送路に沿うように配置される。押上部34は、複数のピン接続部30,30,30,30に対し後述される力を加える。
【0021】
本実施形態にかかる駆動部32は、無端状のリンクチェーン40と、進入側スプロケット42と、排出側スプロケット44と、図示されない駆動装置とを有する。
【0022】
図1から明らかなように、リンクチェーン40は、シート300の搬送路に沿って延びるように配される。
【0023】
進入側スプロケット42は、搬送路のシート300進入側とシート300排出側とのうちシート300進入側に配される。進入側スプロケット42には、リンクチェーン40の一端が巻きかけられる。
【0024】
排出側スプロケット44は、搬送路のシート300進入側とシート300排出側とのうちシート300排出側に配される。排出側スプロケット44には、リンクチェーン40の他端が巻きかけられる。
【0025】
本実施形態の場合、駆動装置は排出側スプロケット44を駆動する。本実施形態の場合、駆動装置は、排出側スプロケット44が
図1における時計回り方向に回転するよう排出側スプロケット44を駆動する。排出側スプロケット44が駆動されると、リンクチェーン40も駆動される。リンクチェーン40が駆動されると、進入側スプロケット42も駆動される。その結果、進入側スプロケット42もまた
図1における時計回り方向に回転することとなる。
【0026】
次に、本実施形態にかかる押上部34について説明される。
図1から明らかなように、本実施形態にかかる押上部34は、移動路100と、傾斜路102と、誘導路104とを有している。
【0027】
移動路100は、シート300の搬送路において移動中のピン支持台80に接するように配置される。本実施形態の場合、移動路100は平坦かつまっすぐ延びる。したがって、この移動路100が本実施形態にかかる押上部34における直進区間となる。
【0028】
傾斜路102は、移動路100から見て搬送路のシート300進入側において移動路100に連なる。傾斜路102は、移動路100から離れるにつれシート300の搬送路から離れる。本実施形態の場合、傾斜路102の先端は進入側スプロケット42の頂部すなわちリンクチェーン40が進入側スプロケット42から離れようとする箇所に隣接している。
【0029】
誘導路104は、移動路100から見て搬送路のシート300排出側において移動路100に連なる。誘導路104は、移動路100から離れるにつれシート300の搬送路から離れる。本実施形態の場合、誘導路104の先端と排出側スプロケット44の頂部すなわちリンクチェーン40が排出側スプロケット44と噛み合おうとする箇所との間が、少なくとも1個のピン支持台80より長い空間を形成している。
【0030】
次に、本実施形態にかかるシート押え体36について説明される。本実施形態にかかるシート押え体36は、後述されるピン82がそれらの間を通過できるように並んで配置される板状の部材の対を有する。そのピン82がそれら板状の部材の対の間を通過する際、それら板状の部材の対はそのピン82が貫通しているシート300に対向する。これにより、そのシート300が何らかの力によって浮き上がろうとしたとき、そのシート300はそれら板状の部材の対に押さえられる。
【0031】
次に、軟質ローラ38について説明される。本実施形態にかかる軟質ローラ38は、合成樹脂製のスポンジで形成されている。後述されるピン82が搬送路に沿って移動する際、そのピン82は軟質ローラ38の外周部分をくぐる。その際、シート300も同時に軟質ローラ38の外周部分をくぐる。これにより、そのピン82はそのシート300を貫通する。
【0032】
図2は、本実施形態にかかるリンクチェーン40およびピン接続部30付近が示される図である。
【0033】
本実施形態の場合、リンクチェーン40は複数のリンク60,60,60,60を有している。本実施形態の場合、ピン接続部30はそれら複数のリンク60,60,60,60のいずれかに固定されている。これにより、リンクチェーン40が駆動されることに伴い、ピン接続部30も駆動されることとなる。その結果、駆動部32がピン接続部30を駆動することとなる。
【0034】
図3は、本実施形態にかかるピン接続部30の斜視図である。
図3に基づいて、本実施形態にかかるピン接続部30の構成が説明される。
【0035】
本実施形態の場合、ピン接続部30は、ピン支持台80と、ピン82と、動作可能接続部84とを有している。ピン支持台80は、リンクチェーン40が有する複数のリンク60,60,60,60のいずれかに接続される。ピン82は、ピン支持台80から突出するようピン支持台80に設けられる。動作可能接続部84は、ピン支持台80を複数のリンク60,60,60,60のいずれかに接続する。
【0036】
本実施形態にかかるピン支持台80は、一方面140と、他方面142と、対向面144と、基面146とを有している。一方面140と他方面142とは、互いに正面と背面との関係にある一対の面である。対向面144は、一方面140および他方面142から見た側面にあたる。対向面144は、シート300の搬送路においてリンク60,60,60,60と共に移動中に押上部34の移動路100に対向する。基面146は、一方面140および他方面142から見て側面にあたる。基面146は、対向面144から見て背面にあたる。本実施形態の場合、ピン支持台80の基面146からピン82が突出している。
【0037】
本実施形態の場合、対向面144が、接触領域200と排出側連続領域202とを有している。接触領域200は、シート300の搬送路においてリンク60,60,60,60と共に移動中に押上部34の移動路100に接触する。排出側連続領域202は、接触領域200から見てシート300排出側にて接触領域200に連続する。
図3に示されるように、本実施形態の場合、排出側連続領域202は、接触領域200から離れるにつれ基面146側へ延びるよう曲面を形成している。
【0038】
本実施形態の場合、一方面140および他方面142の一方から他方へわたって貫通するように長孔160が形成されている。その長孔160は、対向面144と基面146とのうち一方側から他方側へ向かって延びる。
【0039】
本実施形態の場合、動作可能接続部84は、貫通軸部180と、揺動自在軸部182と、クリップ184とを有している。
【0040】
貫通軸部180は、ピン支持台80の長孔160を貫通する。貫通軸部180は、複数のリンク60,60,60,60のいずれかも貫通する。貫通軸部180は、リンクチェーン40においてリンク60の接続に用いられる周知のピンの代替品となる。これにより、貫通軸部180は駆動部32に接続されることとなる。
【0041】
揺動自在軸部182は、ピン支持台80のうち長孔160から見てピン支持台80の重心の向こう側のいずれかの箇所を複数のリンク60,60,60,60のいずれかに揺動自在に接続する。これにより、ピン支持台80のうち揺動自在軸部182によって複数のリンク60,60,60,60のいずれかに接続された箇所は、駆動部32に接続されることとなる。揺動自在軸部182は、複数のリンク60,60,60,60のいずれかを貫通する。これにより、揺動自在軸部182も、リンクチェーン40においてリンク60の接続に用いられる周知のピンの代替品となる。
【0042】
本実施形態にかかるクリップ184は、リンクチェーン40においてリンク60の接続に用いられる周知のクリップと同一である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0043】
[製造方法の説明]
本実施形態にかかる搬送装置10は、これを構成する各部品を周知の方法で接続することで製造される。ピン支持台80は、一方面140と他方面142と対向面144と長孔160とを構成する部材と、基面146を構成する部材とを、図示されないボルトによって接続することで製造される。それらの部材の接続にあたっては、前者を構成する部材に載せられ後者を構成する部材に形成されている孔を貫通するようにピン82を構成する部材が配置される。そのため、ピン82を構成する部材のつけ根部分は円板状となる。そこが円板状となっているため、一方面140と他方面142と対向面144と長孔160とを構成する部材と基面146を構成する部材とが互いに接続されると、ピン82を構成する部材はピン支持台80から抜けなくなる。本実施形態にかかる搬送装置10を構成する各部品は周知の方法で製造される。
【0044】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる搬送装置10の使用者は、まず駆動部32を起動させる。駆動部32が起動するとリンクチェーン40のリンク60,60,60,60は移動を開始する。これに伴い、リンク60,60,60,60に接続されているピン接続部30,30,30,30も移動を開始する。ピン接続部30が移動を開始すると、使用者はシート300の搬送路にシート300を進入させる。シート300が進入すると、複数のピン接続部30,30,30,30それぞれのピン82,82,82,82は、それぞれシート300を貫通する。ピン接続部30,30,30,30の移動に伴って、これらが有するピン82,82,82,82が貫通するシート300は搬送される。
【0045】
シート300の移動中、そのシート300は溶着および描画といった任意の加工が施され得る。
【0046】
図4は、本実施形態にかかる搬送装置10においてピン接続部30のピン82がシート300を自動的に貫通する状況が示される概念図である。以下、
図4に基づいて、ピン82がシート300を自動的に貫通する仕組みが説明される。
【0047】
上述されたように、ピン接続部30はリンクチェーン40が駆動されることに伴い駆動される。リンクチェーン40は排出側スプロケット44が駆動されることに伴って駆動される。進入側スプロケット42の頂部付近に到達したピン接続部30は、傾斜路102に接触する。傾斜路102に接触したピン接続部30は傾斜路102から反力を受ける。ピン接続部30のピン支持台80は揺動自在軸部182を中心に揺動自在にリンク60へ接続されている。揺動自在にリンク60へ接続されているので、反力を受けたピン支持台80は起き上がる。ピン支持台80が起き上がったことに伴い、ピン支持台80から突出するピン82は自動的にシート300の端を貫通する。
【0048】
傾斜路102を通過したピン接続部30は移動路100上を滑って進む。その間、ピン支持台80の接触領域200は移動路100に接触する。これにより、押上部34の移動路100は、シート300の搬送路のうち移動路100のすなわち直進区間の範囲内にあるとき、ピン82を押し上げる力をピン支持台80に加えることとなる。一方、その間、ピン支持台80はピン82ごと押し上げられている。
【0049】
その後、移動路100を通過したピン接続部30のピン82は、シート300から自動的に抜ける。
図5は、本実施形態にかかる搬送装置10においてピン接続部30のピン82がシート300から自動的に抜ける状況が示される概念図である。以下、
図5に基づいて、ピン82がシート300から自動的に抜ける仕組みが説明される。
【0050】
移動路100を通過し誘導路104の上に差し掛かったピン支持台80は、移動路100から反力を受けなくなる。ピン接続部30のピン支持台80は揺動自在軸部182を中心に揺動自在にリンク60へ接続されている。揺動自在にリンク60へ接続されているので、反力を受けなくなったピン支持台80は傾く。すなわち、押上部34から力を受けない間、ピン82ごとピン支持台80は下がる。ピン支持台80が傾いたことに伴い、ピン支持台80から突出するピン82は自動的にシート300の端から抜ける。誘導路104を通過したピン支持台80は、リンクチェーン40にぶら下がる。
【0051】
一方、シート300のうち端部を貫通していたピン82が抜けかつ排出側スプロケット44を通過した部分は、本実施形態にかかる搬送装置10から排出される。
【0052】
[効果の説明]
本実施形態にかかる搬送装置10は、ピン82の移動に伴ってシート300を搬送する。これにより、本実施形態にかかる搬送装置10においては、ピン82が排出側スプロケット44の周りを回ることに伴ってシート300のうちピン82とピン82との間の領域が拡げられることはない。その結果、本実施形態にかかる搬送装置10においては、搬送中のシート300に搬送方向の応力がかかることを抑え得る。
【0053】
また、本実施形態にかかる搬送装置10においては、傾斜路102が移動路100に連なっている。これにより、押上部34が傾斜路102を有していない場合に比べ、ピン支持台80が移動路100にスムーズに載り易くなる。
【0054】
また、本実施形態にかかる搬送装置10においては、ピン支持台80が揺動自在である。これにより、ピン支持台80が自由に回転できる場合に比べ、ピン支持台80が押し上げられる際にピン82が傾いてそのピン82がシート300を貫通しなくなる恐れは小さくなる。その恐れが小さくなると、シート300の搬送が行われない可能性も低くなる。
【0055】
〈変形例の説明〉
上述された搬送装置10は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述された搬送装置10は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0056】
例えば、押上部34がピン支持台80に対して加える力は、移動路100が接触領域200に接触する際に加えられる反力に限定されない。押上部34がピン支持台80に対して加える力はピン82を押し上げるものである限りどのような力であってもよい。そのような力の例には磁力がある。
【符号の説明】
【0057】
10…搬送装置
30…ピン接続部
32…駆動部
34…押上部
40…リンクチェーン
42…進入側スプロケット
44…排出側スプロケット
60…リンク
80…ピン支持台
82…ピン
84…動作可能接続部
100…移動路
102…傾斜路
104…誘導路
140…一方面
142…他方面
144…対向面
146…基面
160…長孔
180…貫通軸部
182…揺動自在軸部
184…クリップ
200…接触領域
202…排出側連続領域
300…シート