IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小島鉄工所の特許一覧

<>
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図1
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図2
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図3
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図4
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図5
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図6
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図7
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図8
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図9
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図10
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図11
  • 特開-仕掛品の生産方法、および研磨装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013487
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】仕掛品の生産方法、および研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 29/00 20060101AFI20240125BHJP
   B24B 19/00 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 3/02 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 3/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B24B29/00 F
B24B19/00 Z
G01N3/02 Z
G01N3/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115604
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】598017022
【氏名又は名称】株式会社小島鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 正浩
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆
【テーマコード(参考)】
2G061
3C049
3C158
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB01
2G061BA01
2G061CA01
2G061CB02
2G061CC20
3C049AA05
3C049AA11
3C049AA18
3C049AB01
3C049BA02
3C049BA04
3C049BA07
3C049BB02
3C049BB06
3C049BC01
3C049BC02
3C049CA02
3C049CB01
3C158AA06
3C158AA11
3C158AA15
3C158AA18
3C158AB01
3C158AC05
3C158BA02
3C158BA04
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB06
3C158BC01
3C158BC02
3C158CA02
3C158CB01
(57)【要約】
【課題】一軸引張試験に用いられる試験片について、外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげんとすること。
【解決手段】
試験片の仕掛品を生産する仕掛品の生産方法であって、丸棒状のワークピースW10の外周面W10Aを研磨道具で研磨する研磨工程を有し、研磨工程では、研磨道具における研磨面140Pが外周面W10A上の接触エリアW10Bに当たる状態であり、かつワークピースW10および研磨道具のそれぞれが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、回転状態において、接触エリアW10BがワークピースW10に対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、ワークピースW10の軸方向で見た接触エリアW10Bの幅が、ワークピースW10が一回転する間に接触エリアW10BがワークピースW10の軸方向に相対移動する移動距離よりも長いものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸引張試験に用いられる丸棒状の試験片を生産する際に使用される、丸棒状の試験片の仕掛品を生産する仕掛品の生産方法であって、
丸棒状のワークピースの周方向に延びる面である外周面を研磨道具で研磨する研磨工程を有し、
前記研磨工程では、
前記研磨道具における研磨面が前記外周面上のエリアである接触エリアに当たる状態であり、かつ前記ワークピースが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、
前記回転状態において、前記接触エリアが前記ワークピースに対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、
前記ワークピースの軸方向で見た前記接触エリアの幅が、前記ワークピースが一回転する間に前記接触エリアが前記ワークピースの軸方向に相対移動する移動距離よりも長い、
仕掛品の生産方法。
【請求項2】
請求項1に記載の仕掛品の生産方法であって、
前記回転状態において前記研磨道具の前記研磨面を回転させる、
仕掛品の生産方法。
【請求項3】
請求項2に記載の仕掛品の生産方法であって、
前記研磨道具がシャフトの端に研磨材付シートを放射状に束ねて固定したフラップホイールであり、
前記回転状態において前記研磨道具が前記シャフトを回転軸として回転する、
仕掛品の生産方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の仕掛品の生産方法であって、
前記研磨工程をコンピューター数値制御工作機械によって実行する、
仕掛品の生産方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の仕掛品の生産方法であって、
粗さの異なる複数の前記研磨道具の中から一つの前記研磨道具を選択する選択処理を含み、
前記選択処理において、前記研磨道具を前記粗さが粗い順に選択し、
前記研磨工程においては、前記選択処理を行うごとに選択された前記研磨道具で実行される、
仕掛品の生産方法。
【請求項6】
丸棒状のワークピースの周方向に延びる面である外周面を研磨する研磨道具と、
前記ワークピースをその周方向に回転させる第1チャックと、
前記研磨道具を保持する第2チャックと、
前記研磨道具を前記ワークピースに対してその軸方向における、一方側から他方側へ相対移動させるスライド機構と、
前記第1チャック、前記第2チャック、および前記スライド機構を制御してこれらを協働させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記研磨道具における研磨面が前記外周面上のエリアである接触エリアに当たる状態であり、かつ前記ワークピースが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、
前記回転状態において、前記接触エリアが前記ワークピースに対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、
前記ワークピースの軸方向で見た前記接触エリアの幅が、前記ワークピースが一回転する間に前記接触エリアが前記ワークピースの軸方向に相対移動する移動距離よりも長い、
研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仕掛品の生産方法、および研磨装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
金属素材メーカーの業界では、金属素材の機械的性能を保証するため、「試験片」にて強度評価試験を行っている。ここで、「試験片」は、金属素材が使用される環境に合わせて試験される。この試験結果により、金属素材メーカーは、金属素材が使用される環境における金属素材の安全性を確認することができる。
【0003】
上記強度評価試験には、例えば、一軸引張試験(Uniaxial Tensile testing)がある。一軸引張試験とは、ある一定の条件下で一方向に引っ張る負荷を試験片に掛けた際の、その試験片のふるまいを評価する試験である。この試験結果により、金属素材メーカーは、その環境における金属素材の引張強度等の機械的性能を確認することができる。
【0004】
一軸引張試験は、しばしば、試験片において評価される特定の領域に発生する応力が、この領域内において一様であるとみなす前提の下に行われる。このため、上記領域において、応力の偏りを生じさせる要因(defects)が、試験精度に悪影響をもたらすこともある。このため、試験片の生産にあたっては、試験精度に悪影響をもたらすおそれのある要因を減らすべく、高い精度の加工技術を求めるニーズがあった。なお、要因の種類としては、例えば、キズ(旋盤目)、外径寸法の偏り、表面硬化、加工歪、または熱影響等が想定される。
【0005】
このようなニーズに応じた技術としては、例えば特許文献1に開示された従来技術が知られている。この従来技術では、ワークピースに対して荒削り加工を施して仕掛品を得て、この荒削り加工で仕掛品に生じた表面硬化層や歪層をミクロンスケールの微小厚で研磨することで、試験片を生産する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-221446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記特許文献1では、ワークピースの軸方向と直交する方向に延びるように位置するとともに研磨材が付着されている紐状部材が、回転するワークピースと同じ方向および同じ速度で移動をし、かつ、ワークピースの軸方向を往復移動している。このため、ワークピースの外周面は、その周方向が偏って研磨されることが想定され、試験精度への悪影響に対する懸念を完全に払拭することができなかった。
【0008】
本開示は、一軸引張試験に用いられる試験片について、外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげんとする、仕掛品の生産方法、および研磨装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示は次の手段をとる。
【0010】
まず、第1の開示は、一軸引張試験に用いられる丸棒状の試験片を生産する際に使用される、丸棒状の試験片の仕掛品を生産する仕掛品の生産方法であって、丸棒状のワークピースの周方向に延びる面である外周面を研磨道具で研磨する研磨工程を有し、前記研磨工程では、前記研磨道具における研磨面が前記外周面上のエリアである接触エリアに当たる状態であり、かつ前記ワークピースが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、前記回転状態において、前記接触エリアが前記ワークピースに対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、前記ワークピースの軸方向で見た前記接触エリアの幅が、前記ワークピースが一回転する間に前記接触エリアが前記ワークピースの軸方向に相対移動する移動距離よりも長いものである。
【0011】
なお、ここでいう「研磨面」とは、研磨道具における面であって、この面をワークピースの外周面に接触させながらすることで研磨を実現することが可能なものをいう。また、「接触エリア」は、ワークピースの外周面において研磨道具における研磨面が接触されるべきエリアである。また、「ワークピースに対して相対移動」は、接触エリアがワークピースを基準にして移動することである。
【0012】
第1の開示に係る仕掛品の生産方法によれば、ワークピースの外周面は、接触エリアがその周方向を移動することで、全周にわたって研磨がされる。また、ワークピースの外周面は、接触エリアがワークピースに対してその軸方向に相対移動することで、ワークピースの軸方向において所定の範囲が研磨される。ここで、ワークピースが一回転する間に接触エリアがその軸方向に相対移動する移動距離はワークピースの軸方向で見た接触エリアの幅よりも短いため、その周方向およびその軸方向における当該範囲の外周面は、より均一に研磨される。これにより、仕掛品の外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげることができる。
【0013】
ここで、第1の開示に係る仕掛品の生産方法は、後述する第2の開示に係る仕掛品の生産方法であっても良い。この第2の開示に係る仕掛品の生産方法においては、前記回転状態において前記研磨道具の前記研磨面を回転させるものである。
【0014】
第2の開示に係る仕掛品の生産方法によれば、回転状態において外周面が研磨面にすられる研磨量は、研磨道具が回転する回転速度によって変更することができる。
【0015】
ここで、第2の開示に係る仕掛品の生産方法は、後述する第3の開示に係る仕掛品の生産方法であっても良い。この第3の開示に係る仕掛品の生産方法においては、前記研磨道具がシャフトの端に研磨材付シートを放射状に束ねて固定したフラップホイールであり、前記回転状態において前記研磨道具が前記シャフトを回転軸として回転するものである。
【0016】
第3の開示に係る仕掛品の生産方法によれば、ワークピースの外周面は、接触エリアがその周方向を移動することで、フラップホイールにおける研磨材付シートのそれぞれにより研磨がされる。ここで、フラップホイールによる単位時間当たりの研磨は、研磨材付シートのそれぞれによりされる離散的なものである。これにより、フラップホイールの離散的な研磨がワークピースの周方向において均等にされ、もってワークピースの外周面はその軸方向における表面粗さがより均一となるように研磨がされる。
【0017】
ここで、第1の開示または第2の開示に係る仕掛品の生産方法は、後述する第4の開示に係る仕掛品の生産方法であっても良い。この第4の開示に係る仕掛品の生産方法においては、前記研磨工程をコンピューター数値制御工作機械によって実行するものである。
【0018】
第4の開示に係る仕掛品の生産方法によれば、コンピューター数値制御工作機械は、そのコンピューターが記憶するデータに基づいてワークピースを研磨することができる。
【0019】
第1の開示または第2の開示に係る仕掛品の生産方法は、後述する第5の開示に係る仕掛品の生産方法であっても良い。この第5の開示に係る仕掛品の生産方法においては、粗さの異なる複数の前記研磨道具の中から一つの前記研磨道具を選択する選択処理を含み、前記選択処理において、前記研磨道具を前記粗さが粗い順に選択し、前記研磨工程においては、前記選択処理を行うごとに選択された前記研磨道具で実行されるものである。
【0020】
第5の開示に係る仕掛品の生産方法によれば、ワークピースは、粗さが粗い研磨道具で粗く研磨された後、粗さが細かい研磨道具で細かく研磨される。これにより、一つの研磨道具で細かく研磨する場合に比べて、研磨道具の摩耗を抑制できる。
【0021】
次に、第6の開示は、丸棒状のワークピースの周方向に延びる面である外周面を研磨する研磨道具と、前記ワークピースをその周方向に回転させる第1チャックと、前記研磨道具を保持する第2チャックと、前記研磨道具を前記ワークピースに対してその軸方向における、一方側から他方側へ相対移動させるスライド機構と、前記第1チャック、前記第2チャック、および前記スライド機構を制御してこれらを協働させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記研磨道具における研磨面が前記外周面上のエリアである接触エリアに当たる状態であり、かつ前記ワークピースが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、前記回転状態において、前記接触エリアが前記ワークピースに対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、前記ワークピースの軸方向で見た前記接触エリアの幅が、前記ワークピースが一回転する間に前記接触エリアが前記ワークピースの軸方向に相対移動する移動距離よりも長い研磨装置である。
【0022】
第6の開示に係る研磨装置によれば、ワークピースの外周面は、接触エリアがその周方向を移動することで、全周にわたって研磨がされる。また、ワークピースの外周面は、接触エリアがワークピースに対してその軸方向に相対移動することで、ワークピースの軸方向において所定の範囲が研磨される。ここで、ワークピースが一回転する間に接触エリアがその軸方向に相対移動する移動距離はワークピースの軸方向で見た接触エリアの幅よりも短いため、その周方向およびその軸方向における当該範囲の外周面は、より均一に研磨される。これにより、仕掛品の外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげることができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示は上記各構成をもつことにより、一軸引張試験に用いられる試験片について、外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげんとする、仕掛品の生産方法、および研磨装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ワークピースW10の平面図である。
図2】ワークピースW10の正面図である。
図3】試験片の仕掛品W20の正面図である。
図4】第1の実施形態に係る研磨装置100の平面図である。
図5】第1の実施形態に係る研磨装置100の正面図である。
図6】第1の実施形態に係る研磨装置100の使用方法を説明する説明図である。
図7】ワークピースW10のX軸方向における位置、および選択研磨道具140SのY軸方向における位置を表した説明図である。
図8】第1の実施形態に係る第1制御プログラム(図示せず)により実行される一連のステップを表したフローチャートである。
図9図8のサブルーチン1を表したフローチャートである。
図10図9のサブルーチン2を表したフローチャートである。
図11図10のサブルーチン3を表したフローチャートである。
図12図10のサブルーチン4を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
本開示の第1の実施形態に係る研磨装置100は、図4に示すように、ワークピースW10の周方向に延びる面である外周面W10A(図1および図2参照)を研磨するものである。これにより、丸棒状の試験片の仕掛品W20(図3参照。以下、単に「仕掛品W20」という)が生産される。ここで、上記仕掛品W20は、一軸引張試験(例えば一軸疲労試験)に用いられる丸棒状の試験片(図示せず)を生産する際に使用される。また、仕掛品W20は、手動で研磨される仕上げ工程が行われることで「試験片」となる。以下に、ワークピースW10、および研磨装置100について説明する。
【0026】
<ワークピースの構成>
ワークピースW10は、図1および図2に示すように、丸棒状のものである。そして、ワークピースW10の軸方向における両端側には、外径が同じとなる大径部W12がそれぞれ設けられている。これら大径部W12の間には、大径部W12より外径が小さい小径部W13、および、この小径部W13と大径部W12との外径が連続されるように傾斜する傾斜面W14Aをもつ肩部W14が設けられている。ここで、小径部W13は、一軸引張試験において評価される試験片(図示せず)の特定の領域に相当する。なお、ワークピースW10における、大径部W12の外径(例えば8.0mm)、小径部W13の外径(例えば6.4mm)、小径部W13の軸方向の寸法(例えば25.4mm)および素材(例えばステンレス)は、製品の用途に応じて適当に設定される。
【0027】
<研磨装置の構成>
研磨装置100は、図4に示すように、コンピューター200(図5参照)を備えた「コンピューター数値制御工作機械」である。研磨装置100には、作業台110、ワークピースW10を保持する把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150が付設されている。また、研磨装置100のコンピューター200は、把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150を制御する。ここで、把持機構120は、ワークピースW10の軸方向における他端W12C(図5参照)を保持する把持状態を実現可能なものである。また、研磨道具収納具140には、粒度がそれぞれ異なる複数の研磨道具140A、140B、140C、140Dが収納されている。また、ロボットマニピュレーター150は、図6に示すように、把持状態において、研磨道具収納具140に収納されている複数の研磨道具140A、140B、140C、140Dの中から一つを選択して、これを選択研磨道具140Sとするものである。さらに、ロボットマニピュレーター150は、上記選択研磨道具140Sの研磨面140P(後述)をワークピースW10の外周面W10Aに当てたり、上記選択研磨道具140Sの研磨面140PをワークピースW10の軸方向における、一方側から他方側へ移動させたりするものである。すなわち、ロボットマニピュレーター150は、本開示における「スライド機構」に相当する。また、コンピューター200は、外周面W10Aにおいて研磨面140Pが接触されるべきエリアである接触エリアW10B(後述)の位置を座標データとして記憶することが可能なものである。以下に作業台110と、把持機構120と、研磨道具収納具140と、ロボットマニピュレーター150と、コンピューター200とを説明する。なお、把持機構120、研磨道具収納具140およびロボットマニピュレーター150のそれぞれには、残存するエアーを排気して常圧にする残圧排気弁(図示せず)が取り付けられている。
【0028】
<作業台の構成>
作業台110は、図4に示すように、把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150を配置可能な大きさの板面111と、これらの部品を板面111とともに包囲するフード112(図6参照)と、を有する。また、作業台110には、板面111とフード112とが包囲して形成する包囲空間112A(図6参照)が設けられている。この包囲空間112Aは、ワークピースW10を研磨することにより生じる研磨くず(図示省略)が包囲空間112Aの外側に飛散しないようにするものである。そして、作業台110には、包囲空間112Aの内側に存在する研磨くずを吸引する吸引機115(図5参照)が付設されている。
【0029】
<作業台の詳細>
板面111は、図6に示すように、ユーザーM10が立った状態でその肘を載せることが可能な高さとなるように位置されている。また、板面111上には、把持機構120が、ユーザーM10が把持状態のワークピースW10をその軸方向に直交する方向から付け外すことが可能となるように配置されている。また、板面111上において、ロボットマニピュレーター150は、把持機構120に対してユーザーM10の反対側の位置(すなわち上記付け外しの邪魔にならない位置)に配置されている。
【0030】
フード112は、上記研磨くず(図示せず)が包囲空間112Aの外側に飛散しないようにするものである。また、フード112には、ワークピースW10の出し入れを可能とする大きさの扉113(図5参照)が設けられている。この扉113は、一部が透明に形成されることで、ユーザーM10が把持状態のワークピースW10を視認可能となるように構成されている。なお、フード112には、その包囲空間112Aが扉113(図5参照)で開閉されることを検知して第1制御プログラム(図示せず。後述)の実行のオンオフを切り替える、インターロック(図示せず)が設けられている。このインターロックは、例えば、フード112において扉113が開閉する口に付設されるリミットスイッチである。このリミットスイッチは、扉113を閉じると第1制御プログラムの実行をオンにし、扉113を開くと第1制御プログラムの実行をオフにするものである。
【0031】
また、フード112には、後述する継続条件を満さないことにより第1制御プログラム(図示せず)が終了したことを報知する、報知機114が付設されている。この報知機114には、例えば、警告灯114Aおよびブザー(図示せず)がある。これにより、ユーザーM10は、上記継続条件を満たさない原因について調べることができる。
【0032】
吸引機115は、図5に示すように、板面111の下に位置されている。そして、板面111には、包囲空間112A(図6参照)から吸引機115に連通して、周囲の研磨くず(図示せず)を吸引する吸引口115Aが設けられている。ここで、吸引口115Aは、把持状態のワークピースW10を研磨することにより生じる研磨くずがワークピースW10の全体にわたって吸引除去されるように位置されている。なお、吸引口115Aには、接触エリアW10Bで生じる研磨くずを吸引機115に通すことが可能な金網115Bが取り付けられている。この金網115Bには、例えば、パンチングメタルが用いられている。このパンチングメタルの孔は、ワークピースW10を通すことができない大きさとなるように設定されている。
【0033】
<把持機構の構成>
把持機構120は、第1チャック121と、回転センター122とを有する。第1チャック121は、ワークピースW10の軸方向における他端W12Cを保持する把持状態を実現可能なものである。回転センター122は、ワークピースW10の軸方向における一端W12Bを他端W12C側に押し付けることが可能なものである。ここで、把持状態のワークピースW10における軸方向は、板面111に対して平行となるように位置されている。そのため、把持状態のワークピースW10の軸方向(「X軸方向」とも称する)は、板面111の面内方向に対して平行となる。
【0034】
<把持機構の詳細>
第1チャック121は、上記他端W12Cを、ワークピースW10の径方向外方から保持するもの(例えばコレットチャック)である。また、第1チャック121には、アダプタ121A、およびゴム(図示せず)が付設されている。アダプタ121Aは、他端W12CをワークピースW10の径方向から覆うとともに第1チャック121にねじ込み可能なものである。ゴムは、アダプタ121Aと、第1チャック121と、の間に挟まれる圧縮可能なものである。この構成より、第1チャック121は、ワークピースW10を保持することができる。また、第1チャック121には、ワークピースW10を、その周方向(図1および図2参照)に回転させるステッピングモーター121Bが付設されている。このステッピングモーター121Bは、コンピューター200からの信号を受けてワークピースW10を、所定の回転数で正方向に回転させるものである。なお、ステッピングモーター121BがワークピースW10を回転させる回転速度は、例えば1分当たりに300回転である。
【0035】
回転センター122は、上記一端W12Bに当たる押当部122Aと、押当部122Aに弱い力を掛ける弱力部122C(例えばバネ)と、押当部122Aに強い力(例えば110N)を掛ける強力部122D(例えば電磁弁でエアーが制御されるエアーピストン)とを有する。ここで、押当部122Aには、ワークピースW10の回転を抑えないように、一端W12Bに当接する面積が狭く設定される尖頭122Bが設けられている。また、強力部122Dは、ワークピースW10がその他端W12Cを中心に揺動することを抑えるものである。また、弱力部122Cは、強力部122Dが押当部122Aに力を掛ける前に、押当部122AをワークピースW10に当てるものである。
【0036】
また、回転センター122には、図4に示すように、直動関節123が付設されている。直動関節123は、固設部123Aで作業台110に固設されている。また、この直動関節123は、送りねじ123Bと、ナット123Cと、モーター(図示せず)と、ガイドレール123Dとを有する。ここで、ナット123Cは、回転センター122に固設された状態で、送りねじ123Bに螺合するものである。モーターは、送りねじ123Bを、その軸の周方向に正逆回転させることでナット123C、および回転センター122をX軸方向に進退させるものである。ガイドレール123Dは、送りねじ123Bの回転に伴う、ナット123C、および回転センター122の供回りを抑制するものである。また、ガイドレール123Dは、固設部123Aで作業台110に固設されている。これにより、直動関節123は、送りねじ123Bが回転すると、その回転に追従して板面111に対してX軸方向に回転センター122を移動させることができる、従って、把持機構120にワークピースW10を取り付ける際、この軸方向の寸法に対応して回転センター122を動かすことができる。
【0037】
<研磨道具収納具の構成>
研磨道具収納具140は、複数の研磨道具を一列に並べた状態で収容可能とするビットスタンド141を有する。このビットスタンド141には、研磨道具140A、研磨道具140B、研磨道具140C、および研磨道具140Dが収容されている。すなわち、研磨道具収納具140が収納する、研磨道具140A、研磨道具140B、研磨道具140C、および研磨道具140Dからなる4つの研磨道具は、本明細書では「研磨道具セット」とも称する。なお、研磨道具セットに含まれる研磨道具140A、研磨道具140B、研磨道具140C、および研磨道具140Dは、その粗さがこの順で細かくなるように設定されている。なお、本実施形態のワークピースW10は、研磨道具収納具140に収納されている複数の研磨道具のうち、研磨道具140A、研磨道具140B、および研磨道具140Cで研磨されている。
【0038】
<研磨道具収納具の詳細>
研磨道具140A、140B、140C、140Dは、それぞれ、シャフトの端に研磨材付シートを放射状に束ねて固定したフラップホイールである。ここで、研磨道具140A、140B、140C、140Dは、その研磨材付シートが異なる点を除いて、全く同じ構成のものである。このため、以下においては、研磨道具140A、140B、140C、140Dについて、その詳細な説明を研磨道具140Aの説明により代表させて行う。そして、他の研磨道具140B、140C、140Dについての詳細な説明は省略する。研磨道具140Aは、図1および図2に示すように、シャフト140Rの端に研磨材付シート140Mを固定したフラップホイールである。これらの研磨材付シート140Mは、放射状に束ねられることで、全体として円柱形状をなす。この円柱形状における側面は、ワークピースW10の外周面W10Aに接触させながらすることで、この外周面W10Aの研磨を実現させる研磨面140Pとなる。この研磨面140Pは、ワークピースW10の外周面W10Aをする際に、この外周面W10Aに研磨痕D30を形成する。なお、本実施形態の研磨材付シート140Mは、例えばワークピースW10より硬い素材(例えばアルミナ)を砥粒とした紙やすりである。
【0039】
研磨面140Pは、すきまをあけて放射状に束ねられた複数枚の研磨材付シート140Mの各縁部によって構成されている。このため、研磨面140Pによる研磨は、研磨が行われる時間と研磨が行われない時間とが交互に訪れる離散的なものとなる。また、研磨道具140A(図1および図2の選択研磨道具140Sを参照)がワークピースW10を研磨する際、接触エリアW10Bは、外周面W10A上にてその周方向に移動する。このため、外周面W10Aは、研磨道具140Aの研磨材付シート140Mのそれぞれにより研磨される。これにより、フラップホイールの離散的な研磨がワークピースW10の周方向において均等にされ、もってワークピースW10の外周面W10Aはその軸方向における表面粗さがより均一となるように研磨がされる。なお、「接触エリアW10B」は、ワークピースW10の外周面W10Aにおいて選択研磨道具140Sにおける研磨面140Pが接触されるべきエリアである。
【0040】
また、上記フラップホイールがワークピースW10を研磨する際、各研磨材付シート140MはワークピースW10に当たって変形する。そのため、ワークピースW10の外周面W10Aには加工歪が形成されにくくなる。
【0041】
また、上記フラップホイールがワークピースW10を研磨する際、各研磨材付シート140Mの間で空気が流れる。そのため、研磨道具140AとワークピースW10との間で摩擦されることにより生ずる熱量が低減される。
【0042】
また、選択研磨道具140SのフラップホイールがワークピースW10を研磨する際、各研磨材付シート140Mのシート面は、その回転に伴う遠心力によりシャフト140Rから離れる方向に沿うように位置される。これにより、シャフト140Rから研磨面140Pまでの距離は、フラップホイールの回転速度により調節することができる。
【0043】
研磨道具140Aのシャフト140Rには、コレットホルダが固設されている。これにより、ロボットマニピュレーター150は、そのハンド150B(後述)で上記コレットホルダを保持する保持状態を実現することができる。
【0044】
ビットスタンド141には、研磨道具140A、研磨道具140B、研磨道具140C、および研磨道具140Dを板面111の面外方向(図6参照。以下、「Z軸方向」とも称する)に押し出し可能な治具141Aが付設されている。また、ビットスタンド141には、治具141AをZ軸方向に移動させることが可能な第1ピストン141Cが付設されている。ここで、第1ピストン141Cは、コンピューター200(図5参照)からの信号を受けて治具141Aの移動を制御するもの(例えば電磁弁でエアーが制御されるエアーピストン)である。第1ピストン141Cが治具141Aを移動させることにより、選択研磨道具140Sに係るコレットホルダは、ハンド150Bが保持可能となる位置まで移動することができる。
【0045】
また、ビットスタンド141には、図6に示すように、その上方を覆うようにツールカバー142が付設されている。ここで、このツールカバー142は、ハンド150Bが選択研磨道具140Sのコレットホルダを上方から保持可能となるように開閉される蓋である。そのため、ハンド150Bが選択研磨道具140Sを選択する際、ツールカバー142は開いた状態となる。なお、ツールカバー142の開閉は、このツールカバー142をビットスタンド141に対して揺動可能にさせる蝶番142A(図4参照)と、ツールカバー142を蝶番142Aのシャフト140Rに対して揺動させるスライダークランク機構142Bとにより実現される。また、このスライダークランク機構142Bには、駆動源となる第2ピストン142Cが付設されている。この第2ピストン142Cは、コンピューター200(図5参照)からの信号を受けてツールカバー142の開閉を制御するもの(例えば電磁弁でエアーが制御されるエアーピストン)である。
【0046】
<ロボットマニピュレーターの構成>
ロボットマニピュレーター150は、図4に示すように、本体150A、およびハンド150Bを有するガントリーロボットである。ここで、ハンド150Bは、選択研磨道具140Sに回転1自由度を与える。本実施形態では、ハンド150Bは、選択研磨道具140Sのシャフト140RをZ軸方向に向けた状態で、このシャフト140Rの周方向に選択研磨道具140Sを回転させる。すなわち、ハンド150Bは、本開示における「第2チャック」に相当する。また、本体150Aは、ハンド150Bに並進2自由度を与える。本実施形態では、本体150Aは、ハンド150Bを選択研磨道具140Sとともに、X軸方向および、このX軸方向およびZ軸方向(図6参照)のそれぞれに直交する方向(以下、「Y軸方向」とも称する)に進退させる。なお、選択研磨道具140Sが接触エリアW10Bに当たる状態でX軸方向に進退することは、本開示における「接触エリアW10BがワークピースW10に対してその軸方向に相対移動」することに相当する。
【0047】
本体150Aには、ハンド150Bを選択研磨道具140SとともにY軸方向に押し出す弾性体のバッファ機構(図示せず。例えばバネ)が設けられている。これにより、ワークピースW10の外径寸法が記憶部230(図5参照。後述)で記憶される座標に対してばらついても、本体150Aは選択研磨道具140Sの研磨面140Pを外周面W10Aにおける接触エリアW10B(図5参照)に当てることができる。
【0048】
ハンド150Bは、エアーの圧力により挟持力を発揮することが可能なコレットチャックである。そして、ハンド150Bにはエアーを供給するエアーチューブ150C(図6参照)が繋げられている。ここで、このエアーチューブ150Cには、コンピューター200(図5参照)からの信号を受けてコレットホルダを保持したり、保持したコレットホルダを離したりすることを制御するもの(例えばエアーの流れを制御する電磁弁)が付設されている。
【0049】
ここで、選択研磨道具140Sのシャフト140Rは、本開示における「研磨道具の回転軸」に相当する。そして、把持状態のワークピースW10の軸方向(X軸方向)に対して平行な仮想直線OLが板面111と平行であることから、Z軸方向に向いた状態のシャフト140Rは当該仮想直線OLに直交する。これにより、回転状態(後述)において外周面W10Aが研磨面140Pにすられる方向は、図1および図2に示すように、ワークピースW10の軸方向と一致する。
【0050】
また、ハンド150Bには、図5に示すように、選択研磨道具140Sを、その周方向(図1参照)に回転させるサーボモーター(図示せず)が付設されている。このサーボモーターは、コンピューター200からの信号を受けて選択研磨道具140Sを、所定の回転数で正方向(図1で見て左向き)に回転させるものである。
【0051】
また、ハンド150Bには、研磨に伴って熱くなる接触エリアW10Bに対し、冷たいエアーを吹き付けるノズル(図示せず)が付設されている。このノズルは、上記コレットチャックに対してエアーチューブ150Cから分岐するように繋がっている。これにより、ワークピースW10が選択研磨道具140Sで研磨される際、その外周面W10Aが酸化されることを抑制できる。
【0052】
<コンピューターの構成>
コンピューター200は、図5に示すように、把持機構120と、研磨道具収納具140(図4参照)と、ロボットマニピュレーター150と、を制御する第1制御プログラム(図示せず)を実行する。これにより、コンピューター200は、ワークピースW10(図1参照)を研磨して、その外周面W10A(図1および図2参照)に研磨痕D30(図1参照)を形成する機能を実現させる。なお、コンピューター200には、研磨装置100を制御する制御プログラムが入力可能なコンピューターが用いられる。
【0053】
<コンピューターの詳細>
第1制御プログラム(図示せず)は、把持機構120と、研磨道具収納具140(図4参照)と、ロボットマニピュレーター150と、を制御する機能をコンピューター200に実現させる。具体的には、第1制御プログラムは、コンピューター200における、入力部220、記憶部230、算定部240、および制御部250を制御する。記憶部230は、入力部220への入力内容を記憶する。算定部240は、記憶部230に記憶された入力内容に基づいて計算処理を実行し、この計算処理の実行結果に基づいて決定される指令を制御部250に出力する。制御部250は、算定部240から入力される指令に基づいて、把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150の駆動を協働させるように制御する。すなわち、コンピューター200は、本開示における「制御装置」に相当する。
【0054】
<入力部の構成>
入力部220は、把持機構120の回転速度と、ハンド150Bを移動させる第1移動速度(例えば1mm/秒)と、ハンド150Bの回転速度(例えば把持機構120の回転速度の70倍)とを入力することが可能なヒューマン・インターフェース・デバイス(本実施形態では例えばタッチパネル)を有する。また、入力部220には、ユーザーM10(図6参照)が上記第1制御プログラム(図示せず)を手動で終了させることが可能な非常停止ボタン221が上記ヒューマン・インターフェース・デバイスとは別に備えられている。
【0055】
<記憶部の構成>
記憶部230は、入力部220に入力される情報のすべてを、コンピュータ読み取り可能に記憶するメディア(本実施形態では例えば、メモリおよびHDD)である。
【0056】
<記憶部の詳細>
また、記憶部230は、ワークピースW10(図1および図2参照)における軸方向の位置に対応する外径寸法の半分(以下、「径方向の位置」とも称する)を座標データとして、あらかじめ記憶することが可能である。算定部240は、当該座標データに基づいてワークピースW10を研磨するように制御部250に指令を与えることとなる。
【0057】
ここで、座標データにおける座標Xは、X軸方向において、第1チャック121の端から接触エリアW10Bの中心までの距離である。この座標Xは、ワークピースW10における軸方向の位置に相当する。同じく座標データにおける座標Yは、図6に示すように、Y軸方向において、ビットスタンド141における選択研磨道具140SのワークピースW10側における研磨面140Pから接触エリアW10Bの中心までの距離である。この座標Yは、ワークピースW10における径方向の位置に相当する。本実施形態では、座標(x0,y0)は、把持状態のワークピースW10における外周面W10Aにおいて接触エリアW10Bが最初に位置する初期位置に相当する。そのため、ワークピースW10の研磨は、座標(x0,y0)より開始される。
【0058】
記憶部230には、上記座標データから、選択研磨道具140Sの第2移動速度を算定する式が記憶されている。例えば、第2移動速度を算定する式は、第2径方向移動に第2軸方向移動を割った値に第1移動速度を掛けたものである。ここで、第2径方向移動は、図7に示すように、座標y5から座標y6を引いた値である。また、第2軸方向移動は、座標x5から座標x6を引いた値である。また、記憶部230(図5参照)には、上記座標データから、第2移動速度より遅い、選択研磨道具140Sの第3移動速度を算定する式が記憶されている。例えば、第3移動速度を算定する式は、第3径方向移動に第3軸方向移動を割った値に第1移動速度を掛けたものである。ここで、第3径方向移動は、座標y4から座標y5を引いた値である。また、第3軸方向移動は、座標x4から座標x5を引いた値である。すなわち、座標(x5,y5)は、座標(x6,y6)を通るとともに座標(x4,y4)において接する円弧状の経路に対して近似直線でこの経路を形成する任意の座標である。同じく、座標(x2,y2)は、座標(x1,y1)を通るとともに座標(x3,y3)において接する円弧状の経路に対して近似直線でこの経路を形成する任意の座標である。
【0059】
記憶部230(図5参照)には、図4から見てハンド150Bの中心が選択研磨道具140Sを選択する際に待機する位置となる待機位置WPがあらかじめ記憶されている。ここで、待機位置WPは、ツールカバー142が開閉をする際にこのツールカバー142とハンド150Bとが干渉しないように設定されている。また、記憶部230には、同じくハンド150Bの中心がワークピースW10を研磨する際に待機する位置となる原点OPが記憶される。ここで、原点OPは、選択研磨道具140SでワークピースW10を研磨する際にこのワークピースW10とハンド150Bが保持する選択研磨道具140Sとが干渉しないように設定されている。
【0060】
また、記憶部230(図5参照)は、図4に示すように、選択研磨道具140Sが選択される回数である研磨処理総数が記憶されている。本実施形態では、第1制御プログラム(図示せず)はワークピースW10を粒度の異なる研磨道具140A、研磨道具140B、および研磨道具140Cで研磨するため、「選択研磨道具140Sが選択される回数」の総数は3である。また、記憶部230は、研磨道具140A、140B、140Cが使用される回数である使用総回数が記憶されている。本実施形態では、例えば、ステンレス製のワークピースW10の外周面W10Aが研磨される場合、「研磨道具140A、140B、140Cが使用される回数」の総数はそれぞれ2である。しかしながら、これらの回数はワークピースの構成素材に応じて適宜に変更しても良い。
【0061】
<算定部の構成>
算定部240は、図5に示すように、上記計算処理、およびこの計算処理の実行結果に基づく各構成への指令の決定、ならびにこの指令の制御部250への出力が可能なプロセッサー(本実施形態では例えば、CPU)である。また、算定部240には、選択研磨道具140S(図4参照)が一定の回転速度で回転するまでの駆動時間を計測する、タイマー(図示せず)が付設されている。
【0062】
<制御部の構成>
制御部250は、上記指令に基づき、少なくとも把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150に対応する駆動入力を制御するスイッチング素子である。ここで、上記各入力は、プログラム制御が可能なものであり、制御部250が出力するシグナルに応じてオン/オフを行うものである。具体的には、吸引機115、ステッピングモーター121B、直動関節123、および本体150Aに係る動きは電気入力で制御される。同じく、報知機114の出力は電気入力で制御される。同じく、強力部122D、第1ピストン141C、および第2ピストン142Cに係る動きは電磁弁の開閉によるエアーの流れで制御される。同じく、ハンド150Bの保持は電磁弁の開閉によるエアーの流れで制御される。
【0063】
<ワークピースを研磨する手順>
上述した第1の実施形態に係る研磨装置100で、一軸引張試験に用いられる試験片(図示せず)を生産するための試験片の仕掛品W20(図2参照)を実現する場合、ユーザーM10(図6参照)は以下の流れでワークピースW10を研磨する研磨工程を実行する。
【0064】
<ワークピースを研磨する手順>
ユーザーM10は、把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150の駆動をコンピューター200に制御させる。この際、ユーザーM10は図8のステップP10を実行する。
【0065】
ステップP10において、ユーザーM10は、研磨装置100およびワークピースW10についての事前準備を行う。
【0066】
上記事前準備には、ユーザーM10が研磨装置100のスイッチを入れて、第1制御プログラム(図示せず)を起動させる処理が含まれる。上記事前準備には、ユーザーM10がワークピースW10の軸方向における位置に対応する径方向の位置(すなわち、ワークピースW10における、軸方向および径方向に係るそれぞれの寸法)を座標データとして、入力部220に入力する処理が含まれる。上記事前準備には、ユーザーM10が研磨処理総数および使用総回数を入力部220に入力する処理が含まれる。上記事前準備には、ユーザーM10が把持機構120の回転速度と、ハンド150Bを移動させる第1移動速度と、ハンド150Bの回転速度と、を入力部220に入力する処理が含まれる。上記事前準備には、ユーザーM10が、フード112の扉113を開けて、ワークピースW10を第1チャック121に取り付ける処理が含まれる。なお、吸引機115は、第1制御プログラムの起動とともに駆動されるように設定されている。
【0067】
ステップP10の事前準備に対し、コンピューター200の算定部240は、ステップP20を実行する。
【0068】
ステップP20において、算定部240は、後述する各ステップを実行するために必要となる初期設定を行い、その処理をステップP30に進める。この初期設定には、算定部240がロボットマニピュレーター150の第2移動速度、および第3移動速度を算定する処理が含まれる。この初期設定には、算定部240が、制御部250に指令を与える処理が含まれる。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aがハンド150Bを待機位置WPに移動させる。同じく、制御部250は、把持機構120を駆動させる。この駆動により、直動関節123が回転センター122を所定の位置に移動させる。この駆動により、回転センター122の強力部122Dは押当部122AをワークピースW10の他端W12C側に押し付ける。
【0069】
ステップP30において、ユーザーM10は、入力部220に把持機構120、研磨道具収納具140、およびロボットマニピュレーター150を駆動させるよう入力を行う。これに対し、算定部240は、その処理をステップP40に進める。
【0070】
ステップP40において、算定部240は、研磨装置100が継続条件を満たすかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップP50に進める。また、上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップP60に進める。
【0071】
上記継続条件には、非常停止ボタン221が押されていないことが含まれる。上記継続条件には、包囲空間112Aが扉113で閉じられていることが含まれる。上記継続条件には、吸引機115が駆動していることが含まれる。上記継続条件には、回転センター122がワークピースW10を所定の力以上で押し付けていることが含まれる。上記継続条件には、把持機構120が記憶部230で記憶される動作で回転していることが含まれる。上記継続条件には、研磨道具140A、140B、140Cがビットスタンド141の治具141Aに収容されていることが含まれる。上記継続条件には、研磨道具収納具140が駆動可能な状態であることが含まれる。上記継続条件には、研磨道具収納具140が記憶部230で記憶される動作で動いていることが含まれる。上記継続条件には、ロボットマニピュレーター150が記憶部230で記憶される動作で移動していることが含まれる。上記継続条件には、ハンド150Bが選択研磨道具140Sに係るコレットホルダを所定の力以上で保持していることが含まれる。上記継続条件には、ハンド150Bが記憶部230で記憶される動作で回転していることが含まれる。
【0072】
ステップP50において、算定部240は、図9に示すサブルーチン1を呼び出し、もって研磨装置100がワークピースW10を選択研磨道具140Sにより研磨する。これにより、ワークピースW10の外周面W10Aは、その周方向およびその軸方向において、より均一に研磨される。そして、算定部240は、第1制御プログラム(図示せず)の終了処理を実行する。なお、サブルーチン1における具体的な処理は後述するものとし、ここではその詳細な説明を省略する。
【0073】
ステップP60において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、報知機114を出力させる。この出力により、警告灯114Aが点滅するとともに、ブザー(図示せず)は断続的な音を鳴らす。そして、算定部240は、第1制御プログラム(図示せず)の終了処理を実行する。
【0074】
上述したサブルーチン1においては、算定部240は、まず、図9のステップQ10を実行する。
【0075】
ステップQ10において、算定部240は、後述する各ステップを実行するために必要となる設定を行い、その処理をステップQ20に進める。ここで、上記設定には研磨処理数を0とし、研磨処理数を記憶部230に記憶させる処理が含まれる。そして、算定部240は、その処理をステップQ20に進める。
【0076】
ステップQ20において、算定部240は、後述するステップQ30からステップQ130に至る一連の処理を繰り返し実行する。この一連の処理は、ステップQ20の繰り返し処理においてステップQ30の処理が実行された回数である研磨処理数が、研磨処理総数になるまでの間繰り返し実行される。ここで、算定部240は、研磨処理数が研磨処理総数になったときにステップQ20の繰り返し処理を終了させる。そして、算定部240は、サブルーチン1からの復帰処理を実行する。
【0077】
ステップQ30において、算定部240は、選択研磨道具140Sを記憶部230が記憶する研磨処理数に対応して決定する。そして、算定部240は、以下の選択処理を行った後、その処理をステップQ40に進める。
【0078】
算定部240は、記憶部230が記憶する研磨処理数に対応して使用総回数を決定し、これに基づいて、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aがハンド150Bを待機位置WPに移動させる。また、制御部250は、研磨道具収納具140を駆動させる。この駆動により、スライダークランク機構142Bがビットスタンド141のツールカバー142を開いた状態とする。
【0079】
次に、算定部240は、ハンド150Bが選択研磨道具140Sと異なる研磨道具に係るコレットホルダを保持しているかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、当該研磨道具を研磨道具収納具140の収容されるべき位置に戻す。また、上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、選択研磨道具140Sを選択する処理を進める。
【0080】
上記判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aが、ハンド150Bを当該研磨道具に係る治具141Aの上方に移動させる。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、研磨道具収納具140を駆動させる。この駆動により、第1ピストン141Cが治具141AをZ軸方向外方に押し出し、もってこの治具141Aは、ハンド150Bが当該研磨道具に係るコレットホルダを離すことが可能となる位置まで移動する。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bが、選択研磨道具140Sに係るコレットホルダを離す。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、研磨道具収納具140を駆動させる。この駆動により、第1ピストン141Cは治具141AをZ軸方向内方に引き込み、ハンド150Bが移動する移動軌跡を治具141Aに干渉しない状態とする。
【0081】
上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aが、ハンド150Bを選択研磨道具140Sに係る治具141Aの上方に移動させる。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、研磨道具収納具140を駆動させる。この駆動により、第1ピストン141Cが治具141AをZ軸方向外方に押し出し、もって選択研磨道具140Sに係るコレットホルダは、ハンド150Bが保持可能となる位置まで移動する。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bが、選択研磨道具140Sに係るコレットホルダを保持する。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、研磨道具収納具140を駆動させる。この駆動により、第1ピストン141Cは治具141AをZ軸方向内方に引き込み、ハンド150Bが移動する移動軌跡を治具141Aに干渉しない状態とする。次に、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aが、ハンド150Bを原点OPに移動させる。これにより、ハンド150Bが、選択研磨道具140Sを把持状態にあるワークピースW10と干渉しないように位置させる。
【0082】
ステップQ40において、算定部240は、後述する各ステップを実行するために必要となる設定を行い、その処理をステップQ50に進める。ここで、上記設定には使用回数を0とし、使用回数を記憶部230に記憶させる処理が含まれる。そして、算定部240は、その処理をステップQ50に進める。
【0083】
ステップQ50において、算定部240は、後述するステップQ60からステップQ110に至る一連の処理を繰り返し実行する。この一連の処理は、ステップQ50の繰り返し処理においてステップQ90の処理が実行された回数である使用回数が、使用総回数になるまでの間繰り返し実行される。ここで、算定部240は、使用回数が使用総回数になったときにステップQ50の繰り返し処理を終了させる。そして、算定部240は、その処理をステップQ120に進める。
【0084】
ステップQ60において、算定部240は、ハンド150Bとともに選択研磨道具140Sが原点OPに位置しているかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップQ70に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップQ80に進める。
【0085】
ステップQ70において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aが、ハンド150Bを原点OPに移動させる。これにより、ハンド150Bが選択研磨道具140Sを把持状態にあるワークピースW10と干渉しないように位置させることができる。そして、算定部240は、その処理をステップQ80に進める。
【0086】
ステップQ80において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bが保持する選択研磨道具140Sは、図4で見てその周方向の左向きに回転する。すなわち、この回転は、本開示における「回転状態」に相当する。ここで、算定部240は、タイマー(図示せず)が所定の時間を経過したかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、選択研磨道具140SがワークピースW10を研磨することが可能な状態であると判断する。そして、算定部240は、その処理をステップQ90に進める。なお、本実施形態では、当該所定の時間は、ハンド150Bの回転速度が安定する時間である。
【0087】
ステップQ90において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、把持機構120を駆動させる。この駆動により、ステッピングモーター121BはワークピースW10を図6で見て時計回りとなる向きに回転させる。この状態は、本開示における「回転状態」に相当する。この回転状態は、算定部240によって所定の時間だけ維持される。この所定の時間が経過すると、算定部240は、その処理をステップQ100に進める。なお、本実施形態では、当該所定の時間は、ステッピングモーター121Bの回転速度が安定するために必要な時間である。
【0088】
ステップQ100において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aは、ハンド150Bが保持する選択研磨道具140SのワークピースW10側の研磨面140Pを座標(x0,y0)に移動させる。これにより、研磨装置100は、把持状態のワークピースW10の外周面W10A上のエリアである接触エリアW10Bに選択研磨道具140Sの研磨面140Pを当てることができる。そして、算定部240は、その処理をステップQ110に進める。
【0089】
ステップQ110において、算定部240は、図10に示すサブルーチン2を呼び出し、もって本体150Aがハンド150Bとともに選択研磨道具140Sを第1チャック121側に相対移動させる。この相対移動は、本開示における「移動状態」に相当する。この際、ワークピースW10の外周面W10A上における接触エリアW10Bの位置は、外周面W10Aに対して相対的に回転するとともに第1チャック121側に移動する。そうすると、研磨処理では、ワークピースW10および選択研磨道具140Sのそれぞれが周方向に回転される状態である回転状態と、この回転状態において、接触エリアW10BがワークピースW10に対してその軸方向に相対移動する移動状態とが実現される。そして、算定部240は、その処理をステップQ120に進める。なお、サブルーチン2における具体的な処理は後述するものとし、ここではその詳細な説明を省略する。
【0090】
ステップQ120において、算定部240は、記憶部230が記憶する使用回数に1を足し、その処理をステップQ130に進める。
【0091】
ステップQ130は、上述したステップQ50の繰り返し処理における戻り処理である。すなわち、算定部240は、上記使用回数が使用総回数となった場合はその処理をステップQ140に進め、そうでない場合はその処理をステップQ50に進める。
【0092】
上述したステップQ50の繰り返し処理によれば、ワークピースW10は選択研磨道具140Sで使用総回数分、研磨される。これにより、ワークピースの素材によらず、その外周面の表面粗さが所定の値となるように研磨することができる。
【0093】
ステップQ140において、算定部240は、記憶部230が記憶する研磨処理数に1を足し、その処理をステップQ150に進める。
【0094】
ステップQ150は、上述したステップQ20の繰り返し処理における戻り処理である。すなわち、算定部240は、上記研磨処理数が研磨処理総数となった場合はサブルーチン1からの復帰処理を実行し、そうでない場合はその処理をステップQ20に進める。
【0095】
上述したステップQ20の繰り返し処理は、本開示における「選択処理」に相当する。これにより、ワークピースW10の外周面W10Aは、それぞれの粒度に対応する研磨がなされる。ここで、研磨処理数が0のときは研磨道具140Aが選択され、研磨処理数が1のときは研磨道具140Bが選択され、研磨処理数が2のときは研磨道具140Cが選択される。すなわち、研磨処理数は、選択研磨道具140Sを交換する処理の処理回数であり、選択研磨道具140Sは、粗さが粗い順に選択される研磨道具である。これにより、ワークピースW10は、粗さが粗い研磨道具で粗く研磨された後、粗さが細かい研磨道具で細かく研磨される。
【0096】
上述したサブルーチン2においては、算定部240は、まず、図10のステップR10を実行する。
【0097】
ステップR10において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aはハンド150Bとともに選択研磨道具140Sを把持状態のワークピースW10に対してX軸方向に相対移動させる。そうすると、選択研磨道具140SはワークピースW10に対して第1チャック121側に相対移動する。そして、算定部240は、その処理をステップR20に進める。
【0098】
ここで、ワークピースW10の軸方向で見た接触エリアW10Bの幅は、ワークピースW10が一回転する間に接触エリアW10BがワークピースW10の軸方向に相対移動する移動距離よりも長いものである。すなわち、外周面W10Aにおいて、接触エリアW10Bの位置が移動する軌跡は、接触エリアW10Bに形成される研磨痕D30の一部が互いに重なるように設定されている。なお、本実施形態では、ワークピースW10が一回転する間に接触エリアW10BがX軸方向に相対移動する移動距離は、例えば、同じくワークピースW10の軸方向で見た接触エリアW10Bの幅の1/15である。
【0099】
また、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10Bがその周方向を移動することで、全周にわたって研磨がされる。また、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10BがワークピースW10に対してその軸方向に相対移動することで、ワークピースW10の軸方向において所定の範囲が研磨される。ここで、ワークピースW10が一回転する間に接触エリアW10Bがその軸方向に相対移動する移動距離はワークピースW10の軸方向で見た接触エリアW10Bの幅よりも短く設定されている。そのため、ワークピースW10が一回転する間における外周面W10Aの研磨は、より均一なものとなる。同じく、ワークピースW10の軸方向における当該範囲の外周面W10Aは、ワークピースW10の回転に対応して、研磨がより均一となるように繰り返される。これにより、外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげることができる。また、本実施形態では、所定の範囲は、例えば、座標(x0,y0)から座標(x7,y7)に係るワークピースW10の外周面W10Aである。
【0100】
なお、接触エリアW10Bでの研磨くず(図示せず)は、選択研磨道具140Sにより、ワークピースW10が移動する第1チャック121側に掃き寄せられる。また、接触エリアW10Bにて生じた研磨くず(図示せず)は、吸引口115Aを通って吸引機115に吸引される。
【0101】
ステップR20において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x1と、座標x3と、の間にあるかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップR30に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップR40に進める。なお、座標x1はワークピースW10における、大径外周面W12Aと傾斜面W14Aとの間の稜線が位置するその軸方向の位置に相当する。同じく、座標x3はワークピースW10における、傾斜面W14Aと小径外周面W13Aとの間の稜線が位置するその軸方向の位置に相当する。
【0102】
ステップR30において、算定部240は、図11に示すサブルーチン3を呼び出し、もって選択研磨道具140SをY軸方向におけるワークピースW10の内方に移動させながら、選択研磨道具140SでワークピースW10を研磨する。言い換えると、研磨装置100は、小径部W13の小径外周面W13Aが研磨されるように、選択研磨道具140Sの研磨面140Pを小径外周面W13Aの接触エリアW10Bに移動させている。そして、算定部240は、その処理をステップR40に進める。なお、サブルーチン3における具体的な処理は後述するものとし、ここではその詳細な説明を省略する。この際、算定部240は、第2移動速度をステップS20に渡すべき引数である選択研磨道具140Sの移動速度とする。また、算定部240は、第3移動速度をステップS40に渡すべき引数である選択研磨道具140Sの移動速度とする。
【0103】
ステップR40において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x4と、座標x6と、の間にあるかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップR50に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップR60に進める。なお、座標x4はワークピースW10における、小径外周面W13Aと傾斜面W14Aとの間の稜線が位置するその軸方向の位置に相当する。同じく、座標x6はワークピースW10における、傾斜面W14Aと大径外周面W12Aとの間の稜線が位置するその軸方向の位置に相当する。
【0104】
ステップR50において、算定部240は、図12に示すサブルーチン4を呼び出し、もって選択研磨道具140SをY軸方向におけるワークピースW10の外方に移動させながら、選択研磨道具140SでワークピースW10を研磨する。言い換えると、研磨装置100は、大径部W12の大径外周面W12Aが研磨されるように、選択研磨道具140Sの研磨面140Pを大径外周面W12Aの接触エリアW10Bに移動させている。そして、算定部240は、その処理をステップR60に進める。なお、サブルーチン4における具体的な処理は後述するものとし、ここではその詳細な説明を省略する。この際、算定部240は、第3移動速度をステップT20に渡すべき引数である選択研磨道具140Sの移動速度とする。また、算定部240は、第2移動速度をステップT40に渡すべき引数である選択研磨道具140Sの移動速度とする。
【0105】
ステップR60において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x7と同一かを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップR70に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップR20に戻す。
【0106】
ステップR70において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、把持機構120を駆動させる。この駆動により、ステッピングモーター121BはワークピースW10の回転を停止させる。そして、算定部240は、その処理をステップR80に進める。
【0107】
ステップR80において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、本体150Aはハンド150Bとともに選択研磨道具140Sの相対移動を停止させる。同じく、ハンド150Bは選択研磨道具140Sの回転を停止させる。これに対し、算定部240は、サブルーチン2からの復帰処理を実行する。
【0108】
上述したサブルーチン3においては、算定部240は、まず、図11のステップS10を実行する。
【0109】
ステップS10において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x1と、座標x2と、の間にあるかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップS20に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップS30に進める。
【0110】
ステップS20において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bは、Y軸方向において選択研磨道具140SをワークピースW10の内方に移動させる。これに対し、算定部240は、その処理をステップS30に進める。
【0111】
ステップS30において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x2と、座標x3と、の間にあるかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップS40に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、サブルーチン3からの復帰処理を実行する。
【0112】
ステップS40において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bは、Y軸方向において選択研磨道具140SをワークピースW10の内方に移動させる。これに対し、算定部240は、サブルーチン3からの復帰処理を実行する。
【0113】
上述したサブルーチン4においては、算定部240は、まず、図12のステップT10を実行する。
【0114】
ステップT10において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x4と、座標x5と、の間にあるかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップT20に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、その処理をステップT30に進める。
【0115】
ステップT20において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bは、Y軸方向において選択研磨道具140SをワークピースW10の外方に移動させる。これに対し、算定部240は、その処理をステップT30に進める。
【0116】
ステップT30において、算定部240は、X軸方向で見た接触エリアW10Bの中心の座標が座標x5と、座標x6と、の間にあるかを判定する。この判定の結果が「はい」である場合、算定部240は、その処理をステップT40に進める。上記判定の結果が「いいえ」である場合、算定部240は、サブルーチン4からの復帰処理を実行する。
【0117】
ステップT40において、算定部240は、制御部250に指令を与える。この指令に対し、制御部250は、ロボットマニピュレーター150を駆動させる。この駆動により、ハンド150Bは、Y軸方向において選択研磨道具140SをワークピースW10の外方に移動させる。そして、算定部240は、サブルーチン4からの復帰処理を実行する。
【0118】
<作用・効果>
上述した試験片(図示せず)の仕掛品W20の生産方法によれば、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10Bがその周方向を移動することで、全周にわたって研磨がされる。また、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10BがワークピースW10に対してその軸方向に相対移動することで、ワークピースW10の軸方向において所定の範囲が研磨される。ここで、ワークピースW10が一回転する間に接触エリアW10Bがその軸方向に相対移動する移動距離はワークピースW10の軸方向で見た接触エリアW10Bの幅よりも短いため、その周方向およびその軸方向における当該範囲の外周面W10Aは、より均一に研磨される。これにより、仕掛品W20の外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげることができる。
【0119】
また、上述した試験片(図示せず)の仕掛品W20の生産方法によれば、回転状態において外周面W10Aが研磨面140Pにすられる研磨量は、選択研磨道具140Sが回転する回転速度によって変更することができる。
【0120】
また、上述した試験片(図示せず)の仕掛品W20の生産方法によれば、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10Bがその周方向を移動することで、選択研磨道具140Sのフラップホイールにおける研磨材付シート140Mのそれぞれにより研磨がされる。ここで、上記フラップホイールによる単位時間当たりの研磨は、研磨材付シート140Mのそれぞれによりされる離散的なものである。これにより、当該フラップホイールの離散的な研磨がワークピースW10の周方向において均等にされ、もってワークピースW10の外周面W10Aはその軸方向における表面粗さがより均一となるように研磨がされる。
【0121】
また、上述した試験片(図示せず)の仕掛品W20の生産方法によれば、研磨装置100は、そのコンピューター200が記憶する座標データに基づいてワークピースW10を研磨することができる。
【0122】
また、上述した試験片(図示せず)の仕掛品W20の生産方法によれば、ワークピースW10は、粗さが粗い研磨道具140Aで粗く研磨された後、粗さが細かい研磨道具140Cで細かく研磨される。これにより、一つの研磨道具で細かく研磨する場合に比べて、研磨道具の摩耗を抑制できる。
【0123】
上述した研磨装置100によれば、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10Bがその周方向を移動することで、全周にわたって研磨がされる。また、ワークピースW10の外周面W10Aは、接触エリアW10BがワークピースW10に対してその軸方向に相対移動することで、ワークピースW10の軸方向において所定の範囲が研磨される。ここで、ワークピースW10が一回転する間に接触エリアW10Bがその軸方向に相対移動する移動距離はワークピースW10の軸方向で見た接触エリアW10Bの幅よりも短いため、その周方向およびその軸方向における当該範囲の外周面は、より均一に研磨される。これにより、仕掛品W20の外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげることができる。
【0124】
本開示は上記各構成をもつことにより、一軸引張試験に用いられる試験片(図示せず)について、外径寸法の偏りが一軸引張試験の試験精度に悪影響をもたらすことについての懸念を和らげんとする、仕掛品W20の生産方法、および研磨装置100を提供することができる。
【0125】
<他の実施形態>
以上、本発明を実施するための形態について、上述した実施形態によって説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明の目的を逸脱することなく種々の代用、手直し、変更が可能であることは明らかである。すなわち、本発明の目的を実施するための形態は、本明細書に添付した請求の範囲の精神および目的を逸脱しない全ての代用、手直し、変更を含みうるものである。例えば、本発明を実施するための形態として、以下のような各種の形態を実施することができる。
【0126】
本開示に係る試験片を用いた一軸引張試験には、一軸疲労試験に限定されず、例えば、引張強度を評価する試験等の種々の一軸引張試験が含まれる。
【0127】
本開示に係る研磨装置において、研磨道具は、フラップホイールに限定されない。すなわち、研磨道具は、ワークピースの外周面を研磨可能なものであれば、適宜選択した構成のものとすることができる。ここで、上記「適宜選択した構成のもの」の例としては、研磨布、研磨用フェルト、研磨用スポンジ、研磨ブラシ、砥石、またはヤスリ等の種々の道具が挙げられる。
【0128】
本開示に係る研磨装置は、ワークピースの小径外周面の状態を観察するマイクロスコープがフードの透明部分に研磨装置の外方より取り付けられていても良い。係る場合、小径外周面の状態と限度見本とを比較して、仕掛品の適合性を評価することができる。そして、不適合となった仕掛品の傾向から、研磨道具の劣化を判定することができる。また、上記追加構成として、マイクロスコープが撮影した画像データを記憶部に記憶させても良い。係る場合、生産される仕掛品のロットと、小径外周面の状態と、を紐づけて管理することができる。
【0129】
本開示に係る研磨装置において、研磨装置を動かす電力は、安定化電源から供給される電力であっても良い。係る場合、電力変動に伴って起こる、把持機構の駆動およびロボットマニピュレーターの駆動の不確かさを抑制することができる。
【0130】
本開示に係る研磨装置は、ワークピースの回転速度の変動や選択研磨道具の移動速度の変動に伴って起こる、研磨の不確かさの影響がより小さくなるように、接触エリアが相対移動する移動距離を調整しても良い。係る場合、ワークピースの外周面は、その軸方向における表面粗さがより均一となるように研磨される。
【符号の説明】
【0131】
100 研磨装置
110 作業台
111 板面
112 フード
112A 包囲空間
113 扉
114 報知機
114A 警告灯
115 吸引機
115A 吸引口
115B 金網
120 把持機構
121 第1チャック
121A アダプタ
121B ステッピングモーター
122 回転センター
122A 押当部
122B 尖頭
122C 弱力部
122D 強力部
123 直動関節
123A 固設部
123B 送りねじ
123C ナット
123D ガイドレール
140 研磨道具収納具
140A 研磨道具
140B 研磨道具
140C 研磨道具
140M 研磨材付シート
140P 研磨面
140R シャフト
140S 選択研磨道具
141 ビットスタンド
141A 治具
141C 第1ピストン
142 ツールカバー
142A 蝶番
142B スライダークランク機構
142C 第2ピストン
150 ロボットマニピュレーター(スライド機構)
150A 本体
150B ハンド(第2チャック)
150C エアーチューブ
200 コンピューター(制御装置)
220 入力部
221 非常停止ボタン
230 記憶部
240 算定部
250 制御部
D30 研磨痕
M10 ユーザー
W10 ワークピース
W10A 外周面
W10B 接触エリア
W12 大径部
W12A 大径外周面
W12B 一端
W12C 他端
W13 小径部
W13A 小径外周面
W14 肩部
W14A 傾斜面
W20 仕掛品
OL 仮想直線
OP 原点
WP 待機位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸引張試験に用いられる丸棒状の試験片を生産する際に使用される、丸棒状の試験片の仕掛品を生産する仕掛品の生産方法であって、
丸棒状のワークピースの周方向に延びる面である外周面を研磨道具で研磨する研磨工程を有し、
前記研磨工程では、
前記研磨道具における研磨面が前記外周面上のエリアである接触エリアに当たる状態であり、かつ前記ワークピースが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、
前記回転状態において、前記接触エリアが前記ワークピースに対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、さらに、前記外周面が前記研磨面にすられる方向を、前記ワークピースの軸方向と一致させた状態で、
前記研磨面により、研磨が行われる時間と研磨が行われない時間とが交互に訪れる離散的な研磨を行うものであり、
前記ワークピースの軸方向で見た前記接触エリアの幅が、前記ワークピースが一回転する間に前記接触エリアが前記ワークピースの軸方向に相対移動する移動距離よりも長い、
仕掛品の生産方法。
【請求項2】
請求項1に記載の仕掛品の生産方法であって、
前記回転状態において、前記研磨道具の前記研磨面を回転させる、
仕掛品の生産方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の仕掛品の生産方法であって、
前記研磨道具がシャフトの端に研磨材付シートを放射状に束ねて固定したフラップホイールであり、
前記回転状態において前記研磨道具が前記シャフトを回転軸として回転する、
仕掛品の生産方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の仕掛品の生産方法であって、
前記研磨工程をコンピューター数値制御工作機械によって実行する、
仕掛品の生産方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の仕掛品の生産方法であって、
粗さの異なる複数の前記研磨道具の中から一つの前記研磨道具を選択する選択処理を含み、
前記選択処理において、前記研磨道具を前記粗さが粗い順に選択し、
前記研磨工程においては、前記選択処理を行うごとに選択された前記研磨道具で実行される、
仕掛品の生産方法。
【請求項6】
丸棒状のワークピースの周方向に延びる面である外周面を研磨する研磨道具と、
前記ワークピースをその周方向に回転させる第1チャックと、
前記研磨道具を保持する第2チャックと、
前記研磨道具を前記ワークピースに対してその軸方向における、一方側から他方側へ相対移動させるスライド機構と、
前記第1チャック、前記第2チャック、および前記スライド機構を制御してこれらを協働させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記研磨道具における研磨面が前記外周面上のエリアである接触エリアに当たる状態であり、かつ前記ワークピースが周方向に回転される状態である、回転状態を実現させ、
前記回転状態において、前記接触エリアが前記ワークピースに対してその軸方向に相対移動する移動状態を実現させ、さらに、前記外周面が前記研磨面にすられる方向を、前記ワークピースの軸方向と一致させた状態で研磨を行うものであり、
前記研磨面による研磨は、研磨が行われる時間と研磨が行われない時間とが交互に訪れる離散的なものであり、
前記ワークピースの軸方向で見た前記接触エリアの幅が、前記ワークピースが一回転する間に前記接触エリアが前記ワークピースの軸方向に相対移動する移動距離よりも長い、
研磨装置。