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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134897
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プラスチックボトル及び飲料製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B65D1/02 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045334
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132207
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】永谷 明子
(72)【発明者】
【氏名】山口 菜穂
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA13
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA18
3E033BA26
3E033CA01
3E033CA07
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD03
3E033FA03
(57)【要約】
【課題】ブロー成形時における成形不良や、変形による外観不良が生じにくいプラスチックボトル及び飲料製品を提供する。
【解決手段】プラスチックボトルは、口部、口部に連続する肩部、肩部に連続する胴部及び胴部に連続する底部を備え、飲料を充填するために用いられる。底部は、プラスチックボトルの内方向に凹んだ凹部と、凹部を取り囲む周形状の接地面と、接地面の内周縁及び凹部の外周縁の間に連続する立ち上がり部とを有し、プラスチックボトルの鉛直方向に沿った切断面を見たときに、立ち上がり部は、プラスチックボトルの外方向に凸の円弧形状を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部及び前記胴部に連続する底部を備え、飲料を充填するために用いられるプラスチックボトルであって、
前記底部は、前記プラスチックボトルの内方向に凹んだ凹部と、前記凹部を取り囲む周形状の接地面と、前記接地面の内周縁及び前記凹部の外周縁の間に連続する立ち上がり部とを有し、
前記プラスチックボトルの鉛直方向に沿った切断面を見たときに、前記立ち上がり部は、前記プラスチックボトルの外方向に凸の円弧形状を有することを特徴とするプラスチックボトル。
【請求項2】
前記円弧形状の曲率半径が、1mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記プラスチックボトルの外側からの前記底部の平面視において、前記凹部には、長手方向を径方向とする複数のリブが、前記凹部の中央部を中心として放射状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記凹部は、前記中央部の外周縁及び前記立ち上がり部の間に連続する傾斜部を有し、
前記複数のリブは、前記傾斜部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記プラスチックボトルの外側からの前記底部の平面視において、前記複数のリブは、周方向に並設されており、
隣接する2つの前記リブの間隔が、前記リブの短手方向の最大幅よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記口部は、結晶化されていない樹脂材料により構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
前記口部の外径と前記底部の外径との比が、1:1.1~2.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のプラスチックボトルに飲料が充填されていることを特徴とする飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトル及び飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等が充填される容器として、缶容器、ガラスボトル、プラスチックボトル等が用いられている。これらのうち、プラスチックボトルの生産量は近年増加傾向にある。一方で、内容量が100~200mL程度の小容量の飲料用容器としてはガラスボトルが主に用いられている。しかしながら、輸送時における環境負荷の低減、取扱容易性等の観点から、小容量の飲料用容器としてもプラスチックボトルが採用される傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1714673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記小容量の飲料用プラスチックボトルにおいては、例えば内容量が300~600mL程度のプラスチックボトルに比較すると、口部の直径に対する胴部や底部の直径の比が小さい。プラスチックボトルは、一般に、ブロー成形により作製されるが、口部の直径に対する胴部や底部の直径が相対的に小さいプラスチックボトルにおいては、ブロー成形時に成形型の内壁に対してプリフォーム樹脂の密着不良が起きやすくなり、成形不良が生じてしまうという問題がある。
【0005】
また、省資源化等の観点からプラスチックの使用量を削減すること等を目的としてプラスチックボトルの軽量化が求められている。プラスチックボトルの軽量化を進めるためには、プラスチックボトルの肉厚を薄くすることになるが、プラスチックボトルの肉厚を薄くすることで剛性が低下し、プラスチックボトルの変形による外観不良を生じさせるおそれがある。
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明は、ブロー成形時における成形不良や、変形による外観不良が生じにくいプラスチックボトル及び飲料製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部及び前記胴部に連続する底部を備え、飲料を充填するために用いられるプラスチックボトルであって、前記底部は、前記プラスチックボトルの内方向に凹んだ凹部と、前記凹部を取り囲む周形状の接地面と、前記接地面の内周縁及び前記凹部の外周縁の間に連続する立ち上がり部とを有し、前記プラスチックボトルの鉛直方向に沿った切断面を見たときに、前記立ち上がり部は、前記プラスチックボトルの外方向に凸の円弧形状を有することを特徴とするプラスチックボトルを提供する。
【0008】
本発明は、上記プラスチックボトルに飲料が充填されていることを特徴とする飲料製品を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブロー成形時における成形不良や、変形による外観不良が生じにくいプラスチックボトル及び飲料製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す正面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す右側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す左側面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す背面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す上面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す底面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの概略構成を示す、図5におけるA-A線切断端面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの底部の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係るプラスチックボトルの底部の概略構成を示す、図8におけるB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態における第1の態様は、口部、前記口部に連続する肩部、前記肩部に連続する胴部及び前記胴部に連続する底部を備え、飲料を充填するために用いられるプラスチックボトルであって、前記底部は、前記プラスチックボトルの内方向に凹んだ凹部と、前記凹部を取り囲む周形状の接地面と、前記接地面の内周縁及び前記凹部の外周縁の間に連続する立ち上がり部とを有し、前記プラスチックボトルの鉛直方向に沿った切断面を見たときに、前記立ち上がり部は、前記プラスチックボトルの外方向に凸の円弧形状を有することを特徴とするプラスチックボトルである。
【0012】
本実施形態における第2の態様は、上記第1の態様において、前記円弧形状の曲率半径が、1mm以上であることを特徴とするプラスチックボトルである。
【0013】
本実施形態における第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、前記プラスチックボトルの外側からの前記底部の平面視において、前記凹部には、長手方向を径方向とする複数のリブが、前記凹部の中央部を中心として放射状に設けられていることを特徴とするプラスチックボトルである。
【0014】
本実施形態における第4の態様は、上記第3の態様において、前記凹部は、前記中央部の外周縁及び前記立ち上がり部の間に連続する傾斜部を有し、前記複数のリブは、前記傾斜部に設けられていることを特徴とするプラスチックボトルである。
【0015】
本実施形態における第5の態様は、上記第4の態様において、前記プラスチックボトルの外側からの前記底部の平面視において、前記複数のリブは、周方向に並設されており、隣接する2つの前記リブの間隔が、前記リブの短手方向の最大幅よりも大きいことを特徴とするプラスチックボトルである。
【0016】
本実施形態における第6の態様は、上記第1~第5の態様のいずれかにおいて、前記口部は、結晶化されていない樹脂材料により構成されることを特徴とするプラスチックボトルである。
【0017】
本実施形態における第7の態様は、上記第1~第6の態様のいずれかにおいて、前記口部の外径と前記底部の外径との比が、1:1.1~2.5であることを特徴とするプラスチックボトルである。
【0018】
本実施形態における第8の態様は、上記第1~第7の態様のいずれかのプラスチックボトルに飲料が充填されていることを特徴とする飲料製品である。
【0019】
本実施形態に係るプラスチックボトル1は、口部2、口部2に連続する肩部3、肩部3に連続する胴部4及び胴部4に連続する底部5を備える。プラスチックボトル1は、飲料を充填するために用いられるものである。
【0020】
本実施形態に係るプラスチックボトル1に充填され得る飲料としては、例えば、乳性飲料;ビタミン、ミネラル、たんぱく質などの栄養素を補助的に摂取することを目的とした栄養補助飲料;乳酸菌飲料などの発酵飲料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本実施形態に係るプラスチックボトル1は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂材料により構成される。
【0022】
プラスチックボトル1の容量は、例えば100~600mLであればよく、好ましくは100~200mLであればよい。プラスチックボトル1の質量は、例えば、8~18gであればよく、好ましくは10~15gであればよい。
【0023】
口部2は、略円筒状であり、口部2の開口端側の側面には、キャップ(図示を省略)を取り付けるためのねじ山21が形成されている。これにより、プラスチックボトル1に飲料を充填した後に、口部2にキャップを取り付けることで、プラスチックボトル1を密閉することができる。
【0024】
胴部4は、プラスチックボトル1の鉛直方向(口部2を上方に位置させてプラスチックボトル1を水平面に載置したときに当該水平面に直交する方向)の大半を占める。プラスチックボトル1を水平面に載置した状態における当該水平面に沿った胴部4の断面形状は、略円形状である。なお、略円形状とは、真円形状の他、楕円形状、長円形状等も含まれる趣旨である。本実施形態において、胴部4の最小直径は、肩部3及び底部5の最大直径よりもわずかに小さくてもよいし(例えば、1~3mm程度小さくてもよい)、肩部3及び底部5の最大直径と同一であってもよい。胴部4の側面視における形状は、肩部3と底部5との間(例えば、鉛直方向における胴部4の略中央の位置)においてプラスチックボトル1の内方にわずかに湾曲する形状(くびれを有する形状)であってもよいし、略長方形状であってもよい。
【0025】
胴部4には、少なくとも一つの周状リブ41が設けられている。本実施形態においては、5つの周状リブ41が設けられているが、周状リブ41の数はこの態様に限定されるものではない。周状リブ41は、プラスチックボトル1の鉛直方向に対して直交する方向に延在する。すなわち、プラスチックボトル1を水平面に立設させたときに、周状リブ41の延在方向は、水平面と平行である。なお、直交及び平行には、プラスチックボトル1の製造誤差等が包含され得る。そのため、プラスチックボトル1の鉛直方向に対して直交とは、プラスチックボトル1の鉛直方向に対する周状リブ41の延在方向のなす角度が90°又は90°からわずかに外れる範囲内であることを意味する。
【0026】
底部5は、プラスチックボトル1の内方向に凹んだ凹部51と、凹部51を取り囲む周形状(円環形状)の接地面52と、接地面52の内周縁52e及び凹部51の外周縁51eの間に連続する立ち上がり部53とを有する。接地面52の外周縁は、胴部4に連続する。底部5が接地面52を有することで、プラスチックボトル1の自立が可能となる。
【0027】
プラスチックボトル1の鉛直方向に沿った切断面を見たときに、立ち上がり部53は、プラスチックボトル1の外方向に凸の円弧形状を有する。凹部51の外周縁51eに連続する立ち上がり部53が当該凸の円弧形状を有することで、プラスチックボトル1内が減圧したときに、凹部51全体がプラスチックボトル1の内方に向かって(凹部51の中央部511がプラスチックボトル1の鉛直方向に沿って内方に向かって)変形しやすくなるため、プラスチックボトル1の胴部4の変形を抑制することができ、外観不良を引き起こしにくくなる。立ち上がり部53は、プラスチックボトル1を水平面に載置させたときに、接地面52から鉛直方向に沿って1~3mm程度の高さを有する。
【0028】
立ち上がり部53の円弧形状の曲率半径は、例えば、1mm以上であればよく、1.5~3mm程度であるのが好ましい。当該曲率半径が1mm未満であると、プラスチックボトル1内の減圧時において凹部51全体のプラスチックボトル1の内方に向かった変形が困難となるおそれがあり、外観不良を引き起こすおそれがある。
【0029】
凹部51は、中央部511と、中央部511の外周縁と立ち上がり部53との間に連続する傾斜部512とを有する。中央部511は、プラスチックボトル1の外側から底部5を平面視で見たときに、底部5の略中心に位置し、実質的に円形状を有する。
【0030】
傾斜部512には、複数のリブ513が設けられている。プラスチックボトル1の外側から底部5を平面視で見たときに、複数のリブ513は、その長手方向を底部5の径方向とし、中央部511を中心として放射状に設けられている。底部5に複数のリブ513が設けられていることで、例えば飲料が充填されたプラスチックボトル1が落下した際に内圧が急激に上昇することで底部5がバックリングしてしまうという問題を解決することができる。
【0031】
複数のリブ513は、プラスチックボトル1の内方に向かって凸形状を有する。すなわち、プラスチックボトル1の外側から底部5を見たときに、複数のリブ513は凹状に構成されている。プラスチックボトル1の外側から底部5を平面視で見たときに、複数のリブ513は、周方向に並設されている。隣接する2つのリブ513の間隔D513は、リブ513の短手方向の最大幅よりも大きい。本実施形態に係るプラスチックボトル1は、ブロー成形により作製されるが、隣接する2つのリブ513の間隔が相対的に狭いと、底部5の一部、特に隣接する2つのリブ513の間に対応する成形型の内壁に対してプリフォーム樹脂の密着不良が起きやすくなり、成形不良を引き起こすおそれがある。本実施形態のように、隣接する2つのリブ513の間隔D513がリブ513の短手方向の最大幅よりも大きいことで、ブロー成形時にプリフォーム樹脂が成形型に均一の肉厚で密着しやすくなるため、成形不良を引き起こすという問題を解決することができる。なお、隣接する2つのリブ513の間隔D513とは、リブ513の短手方向の最大幅の一端部と、それに隣接するリブ513の短手方向の最大幅の一端部との間を結ぶ直線長さを意味する。
【0032】
各リブ513の深さ(高さ)は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5~5mm程度であればよく、1~3mm程度であるのが好ましい。各リブ513の深さ(高さ)が0.5mm未満であると、凹部51の傾斜部512にリブ513が設けられていることによる効果、すなわち底部5のバックリングの抑制効果が十分に得られなくおそれがあり、5mmを超えると、ブロー成形時にプリフォーム樹脂が成形型の内壁に対して密着不良を起こし、成形不良を引き起こしてしまうおそれがある。なお、リブ513の深さ(高さ)は、プラスチックボトル1の鉛直方向に沿った断面において傾斜部52を含む線分を仮定したときに、当該線分に直交する方向におけるリブ513の最大深さ(最大高さ)として定義され得る。
【0033】
本実施形態に係るプラスチックボトル1において、口部2の外径と底部5の外径との比は、例えば、1:1.1~2.5程度であればよく、好ましくは1:1.5~1.8程度であってもよい。両者の比が上記範囲内のプラスチックボトルにおいては、一般的に、プラスチックボトルのブロー成形時におけるプリフォーム樹脂のブロー前後の変化量が相対的に小さく、ブロー追従性(成形型内壁に対する追従性)に劣ることが知られている。特に、底部にリブが設けられている場合、当該底部における成形型内壁への追従性に劣るため、成形不良が生じやすいという問題がある。しかしながら、本実施形態においては、隣接する2つのリブ513の間隔D513がリブ513の短手方向の最大幅よりも大きいため、特に底部5においてブロー成形時にプリフォーム樹脂が成形型に均一の肉厚で密着しやすくなり、底部5における成形型内壁への追従性を良好にすることができ、賦形性を向上させることができる。
【0034】
本実施形態に係るプラスチックボトル1において、口部2は結晶化されていない樹脂材料(非晶化樹脂材料)により構成されている。すなわち、本実施形態に係るプラスチックボトル1は、無菌環境下で常温の飲料を充填するアセプティック充填に用いられるものである。一般に、飲料をプラスチックボトルに充填する方法として、加熱した飲料を充填するホットパック充填と称される充填方法と、殺菌された常温の飲料を無菌環境下で常温充填するアセプティック充填と称される充填方法とが知られている。ホットパック充填においては、殺菌目的で加熱した飲料を充填するため、飲料容器としてのプラスチックボトルに耐熱性等の特性が要求される。そのため、ホットパック充填用プラスチックボトルにおいては、口部が結晶化された樹脂材料により構成され、プラスチックボトルの重量や肉厚が相対的に大きくなる。一方、アセプティック充填用プラスチックボトルにおいては、ホットパック充填用プラスチックボトルに要求される耐熱性等の特性が不要となる。そのため、アセプティック充填用プラスチックボトルにおいては、口部2を含む全体を結晶化されていない樹脂材料(非晶化樹脂材料)により構成し、プラスチックボトルの肉厚を相対的に小さくすることができ、軽量化を図ることができる。一方で、プラスチックボトルの軽量化を図るために肉厚を相対的に小さくすると、プラスチックボトルが相対的に変形しやすくなってしまう。本実施形態に係るプラスチックボトル1においては、底部5に特徴的な構造を有することで、肉厚を相対的に小さくして軽量化を図りつつ、プラスチックボトル1の変形を抑制することができる。
【0035】
本実施形態に係るプラスチックボトル1に飲料を充填することで、飲料製品を製造することができる。本実施形態に係るプラスチックボトル1に飲料を充填して飲料製品を製造する方法としては、殺菌されたプラスチックボトル1を準備し、無菌環境下で当該プラスチックボトル1に常温の飲料を充填し、飲料が充填されたプラスチックボトル1に液体窒素を滴下してから口部2にキャップを取り付ける、いわゆるアセプティック充填方法を採用することができる。
【0036】
上述した本実施形態に係るプラスチックボトル1によれば、凹部51の外周縁51eに連続する立ち上がり部53がプラスチックボトル1の外方に向かって凸の円弧形状を有することで、プラスチックボトル1内が減圧したときに、凹部51全体がプラスチックボトル1の内方に向かって変形しやすくなるため、プラスチックボトル1の胴部4の変形を抑制することができ、外観不良を引き起こしにくくなる。また、傾斜部52に複数のリブ513が設けられ、隣接する2つのリブ513の間隔D513がリブ513の短手方向の最大幅よりも大きいことで、ブロー成形時にプリフォーム樹脂が成形型に均一の肉厚で密着しやすくなるため、成形不良が生じるのを抑制することができる。さらに、底部5に複数のリブ513が設けられていることで、例えば飲料が充填されたプラスチックボトル1が落下した際に内圧が急激に上昇したとしても底部5がバックリングするのを抑制することができる。
【0037】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0038】
1…プラスチックボトル
2…口部
3…肩部
4…胴部
5…底部
51…凹部
52…接地面
53…立ち上がり部
511…中央部
512…傾斜部
513…リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9