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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013490
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240125BHJP
   F16B 2/04 20060101ALI20240125BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B23Q3/06 301B
F16B2/04 B
F16B2/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115609
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】591133446
【氏名又は名称】株式会社イマオコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏也
【テーマコード(参考)】
3C016
3J022
【Fターム(参考)】
3C016CA03
3C016CA08
3C016CB03
3C016CC01
3J022DA12
3J022DA16
3J022DA18
3J022EA42
3J022EC02
3J022EC22
3J022FB12
3J022GA10
3J022GA21
(57)【要約】
【課題】固定作業を簡単に行うことができる支持装置を提供する。
【解決手段】支持装置3は、支持ロッド4と本体5と加圧手段6と加圧調整手段7とを備える。本体5は、支持ロッド4が挿入される案内孔5aと、案内孔5aの内周面を取り囲む圧力室5cとを備え、その圧力室5c内の媒体の圧力で、案内孔5aと圧力室5cとを隔てる隔壁5dが支持ロッド4を押圧する。加圧手段6は、圧力室5cに通ずる第1ピストン室5eと、第1ピストン室5e内をスライドする第1ピストン10と、第1ピストン10をスライドさせる加圧ねじ17とを備える。第1ピストン10の押し込み側への移動を制限するように、加圧ねじ17には、本体5の被当接部5fに当接する当接部9aが設けられる。加圧調整手段7は、圧力室5cに通ずる第2ピストン室5gと、第2ピストン室5g内をスライドする第2ピストン12と、第2ピストン12をスライドさせる調整ねじ13とを備える。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持対象物を支持する支持ロッドと、本体と、加圧手段と、その加圧手段とは別の加圧調整手段とを備える支持装置であって、
前記本体は、前記支持対象物側となる一方に開口し前記支持ロッドが挿入されてその支持ロッドを前記一方および他方を向く自身の軸心方向に案内する案内孔と、その案内孔の内周面を取り囲むよう設けられた圧力室とを備え、その圧力室に封入された油とかグリースなどの媒体の圧力を上げることで、前記案内孔と前記圧力室とを隔てる隔壁が前記支持ロッドを押圧してその支持ロッドを固定可能であり、
前記加圧手段は、前記本体に設けられて前記圧力室に通ずる第1ピストン室と、その第1ピストン室内をスライドする第1ピストンを有する加圧部材と、その加圧部材を動かす作動手段とを備え、
前記第1ピストンの押し込み側への移動を制限するように、前記本体には、被当接部が設けられ、前記加圧部材には、前記被当接部に当接する当接部が設けられ、
前記加圧調整手段は、前記本体に設けられて前記圧力室に通ずる第2ピストン室と、その第2ピストン室内をスライドする第2ピストンと、前記本体に設けられた調整雌ねじ部と、その調整雌ねじ部に螺合する調整雄ねじ部を有して回動により前記第2ピストンをスライドさせる調整ねじとを備え、
前記調整ねじで前記第2ピストンのスライド位置が調整された状態で、前記加圧部材を、前記作動手段により前記当接部が前記被当接部に当たるまで移動させることで、前記第1ピストンをその押し込み側にスライドさせて前記媒体の圧力を所定の圧力として、前記支持ロッドを固定し、
前記加圧部材を、前記作動手段より前記当接部が前記被当接部から離れるように移動させることで、前記第1ピストンをその押し込み側とは反対の戻り側にスライドさせて前記媒体の圧力を下げて、前記支持ロッドの固定を解除する、支持装置。
【請求項2】
前記加圧手段は、前記本体に設けられた加圧雌ねじ部を備え、
前記加圧部材は、前記第1ピストンの他に、前記加圧雌ねじ部に螺合する加圧雄ねじ部を有して回動により前記第1ピストンをスライドさせる加圧ねじを備え、
前記加圧雌ねじ部と、前記加圧雄ねじ部とが、前記作動手段となる、請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記加圧調整手段は、前記調整ねじを、直接、または前記第2ピストンを介して、その調整ねじの軸心方向に付勢する調整部用ばね部材を備える、請求項1または2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記本体には、前記調整ねじを覆う覆い部材が着脱可能に取り付けられている、請求項1または2に記載の支持装置。
【請求項5】
前記本体は、この支持装置が配置される取付対象体への固定手段を備える、請求項1または2に記載の支持装置。
【請求項6】
前記支持ロッドを前記案内孔の前記一方の側に付勢する支持ロッド用ばね部材を備える、請求項1または2に記載の支持装置。
【請求項7】
前記本体は、本体部と、その本体部に取り付けられる内筒体とを備え、
前記内筒体は、前記隔壁を有する内筒本体を備えて、その内筒本体の内側が前記案内孔を構成し、
前記本体部は、前記内筒本体が入る収容孔を有し、
前記収容孔の内周面と、前記内筒本体の外周面との間に、前記圧力室が形成されている、請求項1または2に記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、油等の媒体の圧力で支持ロッドを固定し、その支持ロッドにより支持対象物を支持する支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧を用いて固定するクランプ装置として、摩擦クランプ装置があった(例えば、特許文献1参照)。図14に示すように、このクランプ装置51は、ロッド52の外側に複数のスリーブ53、53を嵌め合わせ、さらに、スリーブ53、53の外側にラム54、54を嵌め合わせ、スリーブ53、53とラム54、54との間に油室55、55を設けたものであった。そこで、その油室55、55に油路56、56を経由して油圧を作用させることで、ロッド52とスリーブ53、53との間に摩擦力を発生させて、ロッド52とスリーブ53、53とを互いに固定し、油圧を下げることで、その固定状態を解除した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-78804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の摩擦クランプ装置51にあっては、作用する油圧が低すぎると、ロッド52とスリーブ53、53との固定がしっかりとできず、また、その油圧が高すぎると、スリーブ53、53またはラム54、54が破損する虞があることから、固定の都度、油圧を適切に管理する必要があり面倒であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、固定作業を簡単に行うことができる支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る支持装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る支持装置は、支持対象物を支持する支持ロッドと、本体と、加圧手段と、その加圧手段とは別の加圧調整手段とを備える。ここで、前記本体は、前記支持対象物側となる一方に開口し前記支持ロッドが挿入されてその支持ロッドを前記一方および他方を向く自身の軸心方向に案内する案内孔と、その案内孔の内周面を取り囲むよう設けられた圧力室とを備え、その圧力室に封入された油とかグリースなどの媒体の圧力を上げることで、前記案内孔と前記圧力室とを隔てる隔壁が前記支持ロッドを押圧してその支持ロッドを固定可能である。前記加圧手段は、前記本体に設けられて前記圧力室に通ずる第1ピストン室と、その第1ピストン室内をスライドする第1ピストンを有する加圧部材と、その加圧部材を動かす作動手段とを備える。ここにおいて、前記第1ピストンの押し込み側への移動を制限するように、前記本体には、被当接部が設けられ、前記加圧部材には、前記被当接部に当接する当接部が設けられる。また、前記加圧調整手段は、前記本体に設けられて前記圧力室に通ずる第2ピストン室と、その第2ピストン室内をスライドする第2ピストンと、前記本体に設けられた調整雌ねじ部と、その調整雌ねじ部に螺合する調整雄ねじ部を有して回動により前記第2ピストンをスライドさせる調整ねじとを備える。そこで、前記調整ねじで前記第2ピストンのスライド位置が調整された状態で、前記加圧部材を、前記作動手段により前記当接部が前記被当接部に当たるまで移動させることで、前記第1ピストンをその押し込み側にスライドさせて前記媒体の圧力を所定の圧力として、前記支持ロッドを固定する。そして、前記加圧部材を、前記作動手段より前記当接部が前記被当接部から離れるように移動させることで、前記第1ピストンをその押し込み側とは反対の戻り側にスライドさせて前記媒体の圧力を下げて、前記支持ロッドの固定を解除する。
【0007】
この支持装置によると、支持装置は、加圧手段とは別に、加圧調整手段を備えている。そこで、この加圧調整手段による調整がなされた状態で、加圧部材を、当接部が被当接部に当たるまで移動させることで、圧力室に封入された媒体が所定の圧力となり、支持ロッドを固定することができる。ここで、予め行われる加圧調整手段による調整は、当接部を被当接部に当てた状態で、媒体の圧力が所定の圧力となるように、調整ねじを回動して調整することで行われる。このように、予め調整ねじを回動して媒体の圧力を調整しておけば、支持ロッドの固定にあたっては、加圧部材を、その当接部が被当接部に当たるまで移動させればよく、その支持ロッドの固定作業を簡単に行うことができ、ひいては、支持対象物を容易に支持することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る支持装置は、請求項1に記載の支持装置において、前記加圧手段は、前記本体に設けられた加圧雌ねじ部を備える。前記加圧部材は、前記第1ピストンの他に、前記加圧雌ねじ部に螺合する加圧雄ねじ部を有して回動により前記第1ピストンをスライドさせる加圧ねじを備える。そこで、前記加圧雌ねじ部と、前記加圧雄ねじ部とが、前記作動手段となる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る支持装置は、請求項1または2に記載の支持装置において、前記加圧調整手段は、前記調整ねじを、直接、または前記第2ピストンを介して、その調整ねじの軸心方向に付勢する調整部用ばね部材を備える。調整部用ばね部材によって、調整ねじがその軸心方向に付勢されることで、媒体の圧力が下がり支持ロッドの固定が解除された状態であっても、調整ねじが振動等でその位置から安易に回るのを防ぐことができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る支持装置は、請求項1または2に記載の支持装置において、前記本体には、前記調整ねじを覆う覆い部材が着脱可能に取り付けられている。これによると、覆い部材を本体から外すことで、調整ねじによる調整が可能となり、また、調整後には、覆い部材を本体に取り付けておくことで、作業者が調整ねじを不用意に回すことを避けることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る支持装置は、請求項1または2に記載の支持装置において、前記本体は、この支持装置が配置される取付対象体への固定手段を備える。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る支持装置は、請求項1または2に記載の支持装置において、前記支持ロッドを前記案内孔の前記一方の側に付勢する支持ロッド用ばね部材を備える。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る支持装置は、請求項1または2に記載の支持装置において、前記本体は、本体部と、その本体部に取り付けられる内筒体とを備える。ここで、前記内筒体は、前記隔壁を有する内筒本体を備えて、その内筒本体の内側が前記案内孔を構成し、前記本体部は、前記内筒本体が入る収容孔を有し、前記収容孔の内周面と、前記内筒本体の外周面との間に、前記圧力室が形成されている。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る支持装置によれば、予め調整ねじを回動して媒体の圧力を調整しておけば、支持ロッドの固定にあたっては、加圧部材を、その当接部が被当接部に当たるまで移動させればよく、その支持ロッドの固定作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施の形態の、分解斜視図である。
図2】同じく、支持ロッドを固定したときの斜視図である。
図3】同じく、正面図である。
図4】同じく、縦断面図である。
図5】同じく、図3におけるA-A線による断面図である。
図6】同じく、図3におけるB-B線による断面図である。
図7】同じく、図3におけるC-C線による断面図である。
図8】同じく、支持ロッドの固定を解除したときの図5相当図である。
図9】同じく、第一の使用例を示す斜視図である。
図10】同じく、正面図である。
図11】同じく、第二の使用例を示す斜視図である。
図12】同じく、縦断面図である。
図13】同じく、第三の使用例を示す縦断面図である。
図14】従来の摩擦クランプ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図13は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、冶具ベース(冶具プレート)、MCパレットあるいはマシンテーブルなどの取付対象体を示す。2は、支持対象物を示す。3は、支持装置を示す。
【0018】
支持装置3は、支持対象物2を支持する支持ロッド4と、本体5と、加圧手段6と、その加圧手段6とは別の加圧調整手段7とを備える。本体5は、支持対象物2側となる一方に開口し支持ロッド4が挿入されてその支持ロッド4を前記一方および他方を向く自身の軸心方向5bに案内する案内孔5aと、その案内孔5aの内周面を取り囲むよう設けられた圧力室5cとを備え、その圧力室5cに封入された油とかグリースなどの媒体の圧力を上げることで、案内孔5aと圧力室5cとを隔てる隔壁5dが支持ロッド4を押圧してその支持ロッド4を固定(詳しくは、本体5に固定)可能となっている。
【0019】
ここで、加圧手段6は、本体5に設けられて圧力室5cに通ずる第1ピストン室5eと、その第1ピストン室5e内をスライドする第1ピストン10を有する加圧部材9と、その加圧部材9を動かす作動手段11とを備える。そして、第1ピストン10の押し込み側への移動を制限するように、本体5には、被当接部5fが設けられ、加圧部材9には、被当接部5fに当接する当接部9aが設けられている。なお、第1ピストン10には、その外周に、Oリング等のパッキン10a、10aが設けられる。
【0020】
加圧調整手段7は、本体5に設けられて圧力室5cに通ずる第2ピストン室5gと、その第2ピストン室5g内をスライドする第2ピストン12と、本体5に設けられた調整雌ねじ部5hと、その調整雌ねじ部5hに螺合する調整雄ねじ部13aを有して回動により第2ピストン12をスライドさせる調整ねじ13とを備える。なお、第2ピストン12には、その外周に、Oリング等のパッキン12a、12aが設けられる。
【0021】
そこで、調整ねじ13で第2ピストン12のスライド位置が調整された状態で、加圧部材9を、前記作動手段11により当接部9aが被当接部5fに当たるまで移動させることで、第1ピストン10をその押し込み側にスライドさせて前記媒体の圧力を所定の圧力として、支持ロッド4を固定(詳しくは、本体5に固定)する(図5参照)。また、加圧部材9を、前記作動手段11により当接部9aが被当接部5fから離れるように移動させることで、第1ピストン10をその押し込み側とは反対の戻り側にスライドさせて前記媒体の圧力を下げて、支持ロッド4の固定を解除する(図8参照)。
【0022】
詳細には、前記本体5は、この支持装置3が配置される取付対象体1への固定手段14を備える。そして、本体5は、本体部15と、その本体部15に取り付けられる内筒体16とを備える。ここで、内筒体16は、前記隔壁5dを有する内筒本体16xを備えて、その内筒本体16xの内側が前記案内孔5aを構成し、本体部15は、内筒本体16xが入る収容孔15aを有する。そこで、収容孔15aの内周面と、内筒本体16xの外周面との間に、前記圧力室5cが形成される。そして、本体部15と内筒体16との間で、圧力室5cが密閉されるよう、圧力室5cを挟む両側に、Oリング等のパッキン5iが設けられる。なお、図中符号5jは、パッキン5iを受け止めるバックアップリングを示す。
【0023】
また、前記加圧手段6は、本体5に設けられた加圧雌ねじ部5kを備える。そして、加圧部材9は、第1ピストン10の他に、加圧雌ねじ部5kに螺合する加圧雄ねじ部17aを有して回動により第1ピストン10をスライドさせる加圧ねじ17を備える。そこで、前記加圧雌ねじ部5kと、前記加圧雄ねじ部17aとが、前記作動手段11となる。
【0024】
具体的には、支持ロッド4は、円柱形に形成されて、支持対象物2を支持する側(図示実施の形態においては、上側)に、ねじ孔4aがあけられている。そして、ねじ孔4aとは反対側(図示実施の形態においては、下側)に、後述する取付けボルト32の頭部32aを逃がすための逃がし孔4bと、後述する支持ロッド用ばね部材33を受け止めるばね受け孔4cとが、縦に並んであけられている。また、支持ロッド4の外周面(詳しくは、基端部外周面)には、リング状の溝4dが形成され、その溝4dに、Oリング等のパッキン4eが嵌められており、このパッキン4eによって、案内孔5aの内周面との間で支持ロッド4の移動に適度な抵抗が付与される。
【0025】
本体5は、前述したように、本体部15と内筒体16とを備えるが、さらに、本体部15は、外筒体18と基台19とを備える。ここで、内筒体16は、一方(図示実施の形態においては、上方)に鍔部16aを有し、この鍔部16a部分で、外筒体18(本体部15)に、ビス等の固着具20を用いて固定される。
【0026】
外筒体18は、円筒状の外筒本体21と補助部材22とを備え、補助部材22は、外筒本体21に、ビス等の固着具23を用いて固定される。外筒本体21には、前述の第1ピストン室5eと第2ピストン室5gとが形成される。これらピストン室5e、5gは、案内孔5aの軸心方向5bとは直交する方向を向くとともに、その軸心方向5bに並ぶように位置する。そして、外筒本体21には、第1ピストン室5eと圧力室5cとを連通する第1通路21aが設けられ(図6参照)、同様にして、第2ピストン室5gと圧力室5cとを連通する第2通路21bが設けられる(図7参照)。すなわち、第1ピストン室5eは、第1通路21aを介して圧力室5cに通じ、第2ピストン室5gは、第2通路21bを介して圧力室5cに通ずる。なお、外筒本体21には、第1通路21aと対向する位置、そして、第2通路21bと対向する位置に、圧力室5cに前記媒体を充填するための充填口21cが設けられ、その充填口21cが、鋼球24と止めねじ25とで塞がれ、さらに、止めねじ25を覆うように、プレート26が貼り付けられている(図6図7参照)。
【0027】
補助部材22は、前述の加圧雌ねじ部5kと調整雌ねじ部5hとを備える。詳細には、加圧雌ねじ部5kが形成されるねじ孔は、補助部材22を貫通するとともに、第1ピストン室5eよりも大径であって、その第1ピストン室5eと軸心を同じくして、第1ピストン室5eの前側に並ぶように設けられる。同様に、調整雌ねじ部5hが形成されるねじ孔は、補助部材22を貫通するとともに、第2ピストン室5gよりも大径であって、その第2ピストン室5gと軸心を同じくして、第2ピストン室5gの前側に並ぶように設けられる。
【0028】
そこで、加圧ねじ17は、加圧雄ねじ部17aが形成された頭部17bと、その頭部17bよりも小径であって後方に延びる軸部17cとを備えており、その軸部17cが第1ピストン室5eに進入して、第1ピストン10を押すように作用する。そして、外筒本体21における第1ピストン室5eが形成される縁端面が、前述の被当接部5fとなり、加圧ねじ17における頭部17bから軸部17cに移る段部が、前述の当接部9aとなる。そして、加圧ねじ17には、その頭部17bに、加圧ねじ17を回動操作するために、工具が係合する係合部17d(図示実施の形態においては、工具としてのLレンチ等が係合する六角穴)が設けられている。
【0029】
調整ねじ13は、調整雄ねじ部13aが形成された頭部13bと、その頭部13bよりも小径であって後方に延びる軸部13cとを備えており、その軸部13cが第2ピストン室5gに進入して、第2ピストン12を押すように作用する。そして、調整ねじ13には、その頭部13bに、調整ねじ13を回動操作するために、工具が係合する係合部13d(図示実施の形態においては、工具としてのLレンチ等が係合する六角穴)が設けられている。
【0030】
また、前記加圧調整手段7は、調整ねじ13を、直接、または第2ピストン12を介して(図示実施の形態においては、第2ピストン12を介して)、その調整ねじ13の軸心方向に付勢する調整部用ばね部材27を備える。詳細には、調整部用ばね部材27は、圧縮コイルばねからなり、第2ピストン12を戻り側に付勢するように第2ピストン室5gに挿入されており、調整部用ばね部材27に押された第2ピストン12が、調整ねじ13を押すことで、調整ねじ13は、その軸心方向に付勢される。
【0031】
そして、第1ピストン室5eにおいても、圧縮コイルばねからなる加圧部用ばね部材28が、第1ピストン10を戻り側に付勢するように、第1ピストン室5eに挿入されている。
【0032】
また、本体5(図示実施の形態においては、補助部材22)には、調整ねじ13を覆う覆い部材29が着脱可能に取り付けられている。詳細には、覆い部材29は、補助部材22に、ビス等の固着具30を用いて取り付けられる。この覆い部材29は、板状(詳しくは、円板状)に形成されて、調整ねじ13は覆うが、加圧ねじ17(特に、加圧ねじ17の前記係合部17d)は覆わないように、その部分に窓となる孔29aがあけられている。
【0033】
基台19は、本体5の他方側(図示実施の形態においては、下方側)にあって、外筒体18(詳しくは、外筒本体21)に、ビス等の固着具31を用いて固定される。この基台19は、有底の短円筒形に形成されて、その内側が内筒体16(詳しくは、内筒本体16x)の内側と連通するとともに、それら内側によって、前記案内孔5aが形成される。また、基台19には、取付けボルト32が設けられており、この取付けボルト32は、頭部32aが、基台19内にあって、ねじ部32bが、基台19の底壁19aから下方に突出している。そこで、この取付けボルト32が、前述の固定手段14となる。
【0034】
また、この支持装置3は、支持ロッド4を案内孔5aの前記一方の側(つまり、案内孔5aが開口する側)に付勢する支持ロッド用ばね部材33を備える。詳細には、支持ロッド用ばね部材33は、圧縮コイルばねからなり、案内孔5a内にあって、取付けボルト32と支持ロッド4との間に配置される。
【0035】
図9図13は、この支持装置3の使用例を示す。図9および図10に示す第一の使用例では、取付対象体1上の支持対象物2(例えば切削等の加工の対象となる加工物)が、三つの支柱41、41と支持装置3とで下から支持される。このとき、支持装置3においては、支持ロッド4が、支持ロッド用ばね部材33(図示せず)により付勢されて支持対象物2に当たり、その位置で、加圧ねじ17(図示せず)を回動して圧力室5c(図示せず)に封入された媒体の圧力を所定の圧力とすることで、支持ロッド4が固定される。そして、四つのクランプ42、42の押さえ金42a、42aによって、支持対象物2が上から押さえられることで、その支持対象物2は、固定される。
【0036】
図11および図12に示す第二の使用例では、支持対象物2は、アダプターとなる固定具43を介して支持ロッド4に支持される。詳細には、固定具43は、略コ字状の固定具本体43aを備える。そこで、ボルト44が、固定具本体43aに設けられた通孔43bを通って支持ロッド4のねじ孔4aにねじ込まれることで、固定具本体43a(固定具43)は、支持ロッド4に固定される。そして、略コ字状の固定具本体43aの下部片43cには、受け部43dが設けられ、上部片43eには、止めねじ43fが設けられて、それら受け部43dと止めねじ43fとで、支持対象物2を掴むことで、支持対象物2は、固定具43、ひいては支持ロッド4に、固定される。こうして、固定具43で支持対象物2を掴んだ後に、支持ロッド4を本体5に固定することで、支持対象物2に歪が生じるような負荷をかけることなく、支持対象物2をその位置に保持することができる。
【0037】
図13に示す第三の使用例では、支持ロッド4は、ねじ孔4aに替えて、逃がし孔4bに達する通し孔4fを備えている。この通し孔4fは、上に開口する部分が小径孔4gとなる段付き孔となっている。そこで、支持対象物2は、支持ロッド4に載せられて支持され、さらに、ボルト45が、支持ロッド4の内側から小径孔4gを通って、支持対象物2に設けられたねじ孔2aにねじ込まれることで、支持対象物2は、支持ロッド4に固定される。
【0038】
次に、以上の構成からなる支持装置3の作用効果について説明する。この支持装置3によると、支持装置3は、加圧手段6とは別に、加圧調整手段7を備えている。そこで、この加圧調整手段7による調整がなされた状態で、加圧部材9を、当接部9aが本体5の被当接部5fに当たるまで移動させることで、圧力室5cに封入された媒体が所定の圧力となり、隔壁5dが支持ロッド4を押圧して、その支持ロッド4を固定(詳しくは、案内孔5aの軸心方向5b、および案内孔5aの軸心回り方向に対して固定)することができる。ここで、予め行われる加圧調整手段7による調整は、案内孔5aに支持ロッド4を挿入しておき、加圧部材9の当接部9aを本体5の被当接部5fに当てた状態で、前記媒体の圧力が所定の圧力となるように、調整ねじ13を回動して調整することで行われる(図5参照)。このように、予め調整ねじ13を回動して前記媒体の圧力を調整しておけば、支持ロッド4の固定にあたっては、加圧部材9を、その当接部9aが被当接部5fに当たるまで移動させればよく、その支持ロッド4の固定作業を簡単に行うことができ、ひいては、支持対象物2を容易に支持することができる。
【0039】
また、加圧調整手段7は、調整部用ばね部材27を備えており、この調整部用ばね部材27によって、調整ねじ13がその軸心方向に付勢(図示実施の形態においては、第2ピストン12を介して付勢)されることで、前記媒体の圧力が下がり支持ロッド4の固定が解除された状態であっても(図8参照)、調整ねじ13が振動等でその位置から安易に回るのを防ぐことができる。さらに、本体5には、調整ねじ13を覆う覆い部材29が着脱可能に取り付けられている。これにより、覆い部材29を本体5から外すことで、調整ねじ13による調整が可能となり、また、調整後には、覆い部材29を本体5に取り付けておくことで、作業者が調整ねじ13を不用意に回すことを避けることができ、その調整ねじ13の位置を維持することができる。
【0040】
また、第1ピストン室5eには、加圧部用ばね部材28が挿入されている。そこで、作動手段11により、第1ピストン10を戻り側にスライドさせて前記媒体の圧力を下げるとき、その第1ピストン10の戻り側へのスライドを、加圧部用ばね部材28で補助することができ、これによって、前記媒体の圧力を十分に下げることができ、ひいては、支持ロッド4の固定の解除を的確に行うことができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、本体部15と内筒体16とは、別体となっていなくても、本体部15と内筒体16とが溶接等により一体となっていてもよいし、また、本体5は、内筒体16を備えることなく、本体部15そのものに、圧力室5cと隔壁5dとを設けるようにしてもよい。
【0042】
さらには、圧力室5cは、本体部15における収容孔15aの内周面と、内筒体16(詳しくは、内筒本体16x)の外周面との間に設けられる以外に、例えば、内筒体16(詳しくは、内筒本体16x)そのものの内部、つまり内筒本体16xの厚み内に設けられてもよい。すなわち、内筒本体16xの、圧力室5cを挟む内側の壁が、隔壁5dとなってもよい。
【0043】
また、第1ピストン10と加圧ねじ17とは、分離して形成されているが、一体、あるいは互いに連結して形成されてもよい。同様に、第2ピストン12と調整ねじ13とは、分離して形成されているが、一体、あるいは互いに連結して形成されてもよい。
【0044】
また、当接部9aは、加圧ねじ17に設けられているが、例えば、第1ピストン10の先端部が当接部9aとなって、その当接部9aとなる先端部と対向するように、本体5に被当接部5fが設けられてもよい。また、図示実施の形態のように、加圧部用ばね部材28が設けられる場合は、その加圧部用ばね部材28が全圧縮することで、第1ピストン10の押し込み側への移動が制限されてもよい。つまり、加圧部材9に加圧部用ばね部材28が含められ、また、本体5に加圧部用ばね部材28が含められて、加圧部用ばね部材28の螺旋の互いに対向する部分の一方が、当接部9aとなり、他方が、被当接部5fとなってもよい。
【0045】
また、加圧部材9は、第1ピストン10の他に、加圧雄ねじ部17aを有する加圧ねじ17を備えて、作動手段11が、本体5に設けられた加圧雌ねじ部5kと前記加圧雄ねじ部17aとからなるが、この加圧雌ねじ部5kとか加圧雄ねじ部17aを有する加圧ねじ17とかを備えることなく、例えば、第1ピストン10そのものが、当接部9aを備える加圧部材9となって、作動手段11が、第1ピストン10を手前から押し込み側へと押す油圧手段からなってもよい。こうして、第1ピストン10(加圧部材9)を油圧手段によって移動させることで、複数の支持装置3、3に対し、共通の油圧手段を用いて、それらの第1ピストン10(加圧部材9)を同時に移動させて、複数ある支持ロッド4、4を同時に固定することができる。
【0046】
また、本体5は、支持装置3が配置される取付対象体1への固定手段14を備え、その固定手段14は、基台19の底壁19aから突出する取付けボルト32からなるが、この取付けボルト32を設けることなく、基台19(本体5)から側方に突出するフランジを設け、そのフランジにボルトが通る孔をあけるなどすることで、そのフランジを固定手段14としてもよい。また、この固定手段14は、場合によっては、無くてもよい。
【0047】
また、加圧調整手段7は、調整部用ばね部材27を備え、その調整部用ばね部材27が、調整ねじ13を、第2ピストン12を介して付勢するが、第2ピストン12を介すことなく、直接、調整ねじ13を付勢するようにしてもよい。また、この調整部用ばね部材27は、必要でなければ無くてもよい。
【0048】
また、第1ピストン室5eには、加圧部用ばね部材28が挿入されているが、この加圧部用ばね部材28は、必要でなければ無くてもよい。
【0049】
また、内筒体16は、外筒体18(本体部15)への固定のための鍔部16aを有するが、他の固定方法があれば、この鍔部16aは、無くてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 取付対象体
2 支持対象物
3 支持装置
4 支持ロッド
5 本体
5a 案内孔
5b 軸心方向
5c 圧力室
5d 隔壁
5e 第1ピストン室
5f 被当接部
5g 第2ピストン室
5h 調整雌ねじ部
5k 加圧雌ねじ部
6 加圧手段
7 加圧調整手段
9 加圧部材
9a 当接部
10 第1ピストン
11 作動手段
12 第2ピストン
13 調整ねじ
13a 調整雄ねじ部
14 固定手段
15 本体部
15a 収容孔
16 内筒体
16x 内筒本体
17 加圧ねじ
17a 加圧雄ねじ部
27 調整部用ばね部材
29 覆い部材
33 支持ロッド用ばね部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14