IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗濯機 図1
  • 特開-洗濯機 図2
  • 特開-洗濯機 図3
  • 特開-洗濯機 図4
  • 特開-洗濯機 図5
  • 特開-洗濯機 図6
  • 特開-洗濯機 図7
  • 特開-洗濯機 図8
  • 特開-洗濯機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134900
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045337
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ホアン トゥアン アン
(72)【発明者】
【氏名】飛田 達成
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA11
3B166AE02
3B166BA48
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA05
3B166CA08
3B166CA15
3B166CA17
3B166CA18
3B166CA21
3B166CB01
3B166CB11
3B166DB03
3B166DB14
3B166FA01
3B166FA06
3B166FB01
3B166FB05
3B166HA16
3B166HA32
(57)【要約】
【課題】洗濯機への洗濯処理剤投入の操作性を向上させた洗濯機を提供する。
【解決手段】
本発明の洗濯機は、筐体1に支持された外槽2と、外槽2内に支持された回転ドラム3を備える。筐体1の上部には、投入開口部10と、投入開口部10内に配置され洗剤投入部と、投入開口部10を開閉する投入蓋6とを備える。投入蓋6は、後方側が筐体1に対して回動可能に軸支された第1蓋部61と、第1蓋部61の前方側と回動可能に接続された第2蓋部62を備える。第1蓋部61と第2蓋部62は、投入開口部10側の互いの面が対向するように回動する。第2蓋部62は、第2蓋部62の前後方向中心よりも後方側であって後方側から前方側に向かって伸びるように形成された手掛け部622と、第2蓋部62の上面から下方に向かって凹んで形成され、手掛け部622の下方の位置まで伸びるように形成された凹部623とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に弾性支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に支持された内槽と、を備えた洗濯機において、
前記筐体の上部には、上方に向かって開放した投入開口部と、前記投入開口部内に配置され前記外槽内に洗剤を投入する洗剤投入部と、前記投入開口部を開閉する投入蓋と、を備え、
前記投入蓋は、後方側が前記筐体に対して回動可能に軸支された第1蓋部と、前記第1蓋部の前方側と回動可能に接続された第2蓋部と、を備え、前記第1蓋部と前記第2蓋部は、前記投入開口部側の互いの面が対向するように回動し、
前記第2蓋部は、前記第2蓋部の前後方向中心よりも後方側であって、後方側から前方側に向かって伸びるように形成された手掛け部と、前記第2蓋部の上面から下方に向かって凹んで形成される共に、前記手掛け部の下方の位置まで伸びるように形成された凹部と、を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記手掛け部の一部は、上下方向において前記第1蓋部と前記第2蓋部の回動部と重なることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記第2蓋部は、上方に向かって開放した開放部を有する第2蓋部下ケースと、前記第2蓋部下ケースの上方に配置され、開放部を覆うと共に、前記手掛け部と一体的に形成した第2蓋部上カバーと、を備え、
前記凹部は前記第2蓋部上カバーの上面から下方に向かって凹ませて形成し、
前記凹部における前記第2蓋部下ケースの上面位置から前記手掛け部の下面位置までの高さhを10~15mmの範囲に設定したことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記第2蓋部の前後方向の長さは、前記第1蓋部の前後方向の長さよりも短くなるように設定したことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の洗濯機において、
前記第1蓋部の側面には、外側に向かって突出した固定突起を備え、
前記投入開口部には、前記固定突起が挿入される固定凹部を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗濯機において、
前記固定突起には、外力によって撓むように形成された弾性変形部を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項7】
筐体と、前記筐体に弾性支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に支持された内槽と、を備えた洗濯機において、
前記筐体の上部には、前記内槽の上方開口を覆う衣類投入蓋を備え、
前記衣類投入蓋は、後方側が前記筐体に対して回動可能に軸支された第1蓋部と、前記第1蓋部の前方側と回動可能に接続された第2蓋部と、を備え、前記第1蓋部と前記第2蓋部は、前記内槽の上方開口側の互いの面が対向するように回動し、
前記第2蓋部は、前記第2蓋部の前後方向中心よりも後方側であって、後方側から前方側に向かって伸びるように形成された手掛け部と、前記第2蓋部の上面から下方に向かって凹んで形成される共に、前記手掛け部の下方の位置まで伸びるように形成された凹部と、を備えたことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機においては、洗剤、仕上げ剤等の洗濯処理剤が用いられ、洗濯、濯ぎが行われる。近年、使用者の利便性向上のため、洗濯処理剤の自動投入装置を用いた洗濯機がある。洗濯処理剤の自動投入装置を用いた洗濯機では、洗濯機の上部に洗濯処理剤を貯えるタンクを設置し、タンクの上部を開閉可能な蓋で覆うように構成している。このような技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術においては、洗濯機の奥側から手前に向けて第1蓋部、第2蓋部を設けている。洗濯機の外箱上面部と第1蓋部との間には第1回動軸を設け、第1蓋部と第2蓋部との間には第2回動軸を設けている。
【0004】
第2蓋部の第2手掛け部に使用者が手指を掛けて上方に持ち上げると、第2回動軸を中心に第2蓋部が回動し、1回分の洗剤、仕上げ剤を投入する投入部の上方が開放する。第2蓋部は第1蓋部に対して谷折りとなるように回動する。さらに、第1蓋部の第1手掛け部に使用者が手指を掛けて上方に持ち上げると、第1回動軸を中心に第1蓋部が回動し、数回分の洗剤、仕上げ剤を貯えるタンクの上方が開放する。第1蓋部が全開した状態では、第2蓋部は第1蓋部の後方に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-160858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、タンクの上部を開放させる際には、まず第2蓋部を回動させ、さらに第1蓋部を回動させるという2回の動作が必要となる。このため、特許文献1に記載の技術においては、洗濯機への洗濯処理剤投入にあたっての操作性が悪かった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、洗濯機への洗濯処理剤投入の操作性を向上させた洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、筐体と、前記筐体に弾性支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に支持された内槽と、を備えた洗濯機において、前記筐体の上部には、上方に向かって開放した投入開口部と、前記投入開口部内に配置され前記外槽内に洗剤を投入する洗剤投入部と、前記投入開口部を開閉する投入蓋と、を備え、前記投入蓋は、後方側が前記筐体に対して回動可能に軸支された第1蓋部と、前記第1蓋部の前方側と回動可能に接続された第2蓋部と、を備え、前記第1蓋部と前記第2蓋部は、前記投入開口部側の互いの面が対向するように回動し、前記第2蓋部は、前記第2蓋部の前後方向中心よりも後方側であって、後方側から前方側に向かって伸びるように形成された手掛け部と、前記第2蓋部の上面から下方に向かって凹んで形成される共に、前記手掛け部の下方の位置まで伸びるように形成された凹部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗濯機への洗濯処理剤投入の操作性を向上させた洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るドラム式洗濯機100の外観を示す図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図2のIII部拡大図である。
図4】投入蓋6を折り畳んで開いた状態を示す部分拡大図である。
図5】投入蓋6を開いた状態を示す断面図である。
図6図5のVI部拡大図である。
図7】投入蓋6を伸ばして開いた状態を示す部分拡大図である。
図8図7のVIII部拡大図である。
図9図1のIX-IX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、同一の要素については、全ての図において、原則として同一の符号を付している。また、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。なお、以下に説明する構成はあくまで実施例に過ぎず、本発明に係る実施様態が、以下の具体的様態に限定されることを意図する趣旨ではない。
【0012】
本実施例では、洗濯機の一例として、内槽の回転軸が略水平なドラム式洗濯乾燥機を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るドラム式洗濯機100の外観を示す図である。なお、以下では使用者がドラム式洗濯機100を操作する方向から見て、向かって右側を「右」と称し、向かって左側を「左」称す。また使用者操作する方向から見て、ドラム式洗濯機100の手前側を「前」、奥側を「後」として、前後方向を定義する。
【0014】
図1に示すように、ドラム式洗濯機100は、筐体1と、筐体1内に弾性支持された外槽2と、外槽2内に回転可能に支持された回転ドラム(内槽)3と、を備える。
【0015】
筐体1は、鋼板と樹脂成型品とが組み合わされ、ベースBの上に取り付けられ形成されている。筐体1は、左右の側板1a、前面カバー1b、背面カバー1c、上面カバー1d、下部前面カバー1eで構成されている。左右の側板1aは、コの字型の図示しない上補強材、前補強材、後補強材で結合されている。これにより、ベースBを含めた箱状の筐体1が構成され、筐体として十分な強度を有している。
【0016】
筐体1の前面カバー1bの略中央には、衣類など(洗濯物)を出し入れする投入口を開閉するドア4が、前補強材に設けたヒンジ4hで開閉可能に支持されている。ドア4の右手近傍の前面カバー1bには、把持することでドア4のロック機構(図示せず)を解除するドア取っ手4tが設けられている。
【0017】
ドア取っ手4tを把持することで、ロック機構が解除されてドア4が開放できる一方、ドア4を前面カバー1bに押し付けることでドア4が閉じてロックされる。前補強材は、外槽2の開口部とほぼ同心に、洗濯物を出し入れする円形の開口部を有している。
【0018】
筐体1の上面カバー1d手前の操作カバー21には、表示部などを有するタッチパネル23が設けられている。
【0019】
筐体1の上部に配置された上面カバー1dの左側には、上方に向かって開放した投入開口部10が形成されている。投入開口部10には、以下に示す洗剤投入部(手動投入部5、自動投入部11)が配置されている。
【0020】
投入開口部10の前側には、1回分の洗剤や柔軟剤などの洗濯処理剤を外槽2内に投入する手動投入部5が設けられている。投入開口部10(手動投入部5)の後方(奥側)には、自動投入部11が設けられている。自動投入部11は、複数回の洗濯で利用する洗剤や柔軟剤などの洗濯液を収納するタンクを有し、自動的に洗濯液を外槽2内に投入するものである。
【0021】
投入開口部10には、開閉可能な投入蓋6が備えられており、投入蓋6を閉じることにより、手動投入部5及び自動投入部11の上方が投入蓋6によって覆われる。
【0022】
下部前面カバー1eの平坦部には、図示しない糸屑フィルタのフィルタ部材を出し入れするための糸屑フィルタカバー1fが取り付けられている。
【0023】
タッチパネル23であるタッチパネル式の液晶パネル(液晶表示部)は、前面カバー1bと上面カバー1dの間に、ドラム式洗濯機100の手前に利用者が立った際に見やすいように、所定の角度をもった傾斜面に設ける。よって、傾斜面は、少なからず、横長サイズになり、それに合わせて、タッチパネル23は横長サイズの液晶パネルとする。これにより、1つの画面に多くの情報を表示することができ、画面を切り替えなくても、洗濯機の設定や状態を確認することができる。
【0024】
次に、投入蓋6の構成について説明する。図2は、図1のII-II線断面図である。図3は、図2のIII部拡大図である。図4は、投入蓋6を折り畳んで開いた状態を示す部分拡大図である。図5は、投入蓋6を開いた状態を示す断面図である。図6は、図5のVI部拡大図である。図7は、投入蓋6を伸ばして開いた状態を示す部分拡大図である。図8は、図7のVIII部拡大図である。図9は、図1のIX-IX線断面図である。
【0025】
図4及び図7に示すように、自動投入部11には、洗剤を収容する洗剤タンク111と、柔軟剤を収容する柔軟剤タンク112を備えている。洗剤タンク111と柔軟剤タンク112は、ドラム式洗濯機100から取り外し可能となっている。洗剤タンク111の上部は開閉可能な洗剤タンク蓋111aによって覆われており、柔軟剤タンク112に上部は開閉可能な柔軟剤タンク蓋112aによって覆われている。
【0026】
手動投入部5には、1回分の洗剤を投入する手動洗剤投入部51と、1回分の柔軟剤を投入する手動柔軟剤投入部52を備えている。
【0027】
投入蓋6は、投入蓋6を閉じた際に後側に配置される第1蓋部61と、投入蓋6を閉じた際に前側に配置される第2蓋部62により構成されている。第2蓋部62の前後方向の長さは、第1蓋部61の前後方向の長さよりも短くなるように設定している。このように構成することにより、投入蓋6を開いた際、第2蓋部62が洗剤投入部(手動投入部5、自動投入部11)に接触することを抑制することができる。
【0028】
第1蓋部61は、上方に向かって開放した開放部を有する第1蓋部下ケース610と、第1蓋部下ケース610の上方に配置され、開放部を覆う第1蓋部上カバー611を備えている。
【0029】
第2蓋部62は、上方に向かって開放した開放部を有する第2蓋部下ケース620と、第2蓋部下ケース620の上方に配置され、開放部を覆う第2蓋部上カバー621と、使用者が手指を掛ける手掛け部622とを備えている。手掛け部622は、第2蓋部上カバー621と一体的に形成しても良く、また別体で形成しても良い。本実施例では、第2蓋部上カバー621の後方側に手掛け部622を備え、第2蓋部上カバー621と手掛け部622を一体的に形成している。
【0030】
図4図5図7に示すように、第1蓋部61は、後方側(奥側)に第1回動軸65を備えており、筐体1の上面カバー1dに対して回動可能に軸支されている。第1回動軸65は、第1蓋部61の左右方向に伸びて形成されている。そして、第1回動軸65は、筐体1の上面カバー1dに形成された軸受部(図示せず)に挿入され、第1蓋部61を回動可能に軸支し、第1蓋部61が回動する。本実施例では、第1回動軸65と軸受部(図示せず)により第1回動部を形成している。
【0031】
さらに、図7および図8に示すように、第1蓋部61は、前方側(手前側)に第2回動軸66を備えており、第1蓋部61と第2蓋部62を回動可能に接続している。第2回動軸66は、第1蓋部61から第2蓋部62に向かって伸びた支持部67に形成されている。第2回動軸66は、左右方向に伸びるように対になって形成され、互いが第1蓋部61の内側に向かって対向するように形成されている。
【0032】
図7および図8に示すように、第2蓋部62の後方側(奥側)には、第2回動軸66を受ける軸受部68が形成されている。軸受部68は左右に2つ備えられ、第2蓋部62の外側に向かって開放するように形成されている。そして、軸受部68の開放部に第2回動軸66を挿入することによって、第1蓋部61と第2蓋部62が回動する。本実施例では、第2回動軸66と軸受部68により第2回動部を形成している。また、本実施例では、第1蓋部61と第2蓋部62は、互いの裏面同士(投入開口部10側の互いの面)が対向するように回動する。換言すると、第1蓋部61と第2蓋部62は、第2回動部が上方に位置する山折り状態となるように回動する。
【0033】
投入蓋6の第2蓋部62には、使用者が開閉動作を行うための手掛け部622が備えられている。手掛け部622は、第2蓋部62の前後方向中心よりも後方側(奥側)であって、後方側から前方側に向かって伸びるように形成されている。また、手掛け部622は、第2回動軸66の近傍に備えている。本実施例では、手掛け部622の後方側(奥側)の一部が、上下方向において第2回動部(第2回動軸66、軸受部68)と重なるようにしている。また、第2蓋部上カバー621には、第2蓋部上カバー621の上面から下方に向かって凹んだ凹部623が形成されている。凹部623は後方側(奥側)に向かって伸び、手掛け部622の下方の位置まで伸びるように形成されている。
【0034】
投入蓋6を開放する際に使用者は、指を凹部623に挿入し、指先を手掛け部622の下面に掛ける。そして、使用者が指先で手掛け部622を持ち上げると、第1蓋部61が第1回動部(第1回動軸65と軸受部)を中心に上方向に回動し、第2蓋部62が第2回動部(第2回動軸66と軸受部68)を中心に第1蓋部61に近付くように回動する。そして、図4図5図6に示すように、第1蓋部61と第2蓋部62は、第2回動部が上方に位置する山折り状態となる。
【0035】
一般的に本実施例のような2枚の蓋が山折り状態となる蓋の場合、第2蓋部上カバーに形成する凹部は前方側に向かって伸びように形成し、手掛け部を凹部の前方側に形成する。このような蓋は、例えば縦型洗濯機の衣類投入口を開閉する開閉蓋に用いられる。手掛け部を凹部の前方側に形成する場合、手掛け部を握るようにして開閉蓋の開閉動作を行うので、手掛け部の握り易さを考慮して凹部の深さ(第2蓋部下ケースの上面位置から手掛け部の下面位置までの高さ)を30mm程度にする必要がある。
【0036】
これに対し、本実施例では、第2蓋部上カバー621に形成する凹部623を後方側に向かって伸びように形成し、手掛け部622を凹部623の後方側に形成するようにしている。そして、図3に示すように、凹部623における第2蓋部下ケース620の上面位置から手掛け部622の下面位置までの高さh(深さ)は使用者の指が入る程度の寸法としており、本実施例では10mmに設定している。高さhの寸法が30mm程度にしてしまうと、第2蓋部下ケース620の下方に位置する洗剤タンク111および柔軟剤タンク112の高さを低くする必要がある。洗剤タンク111および柔軟剤タンク112の高さが低くなると、洗剤および柔軟剤を収容できる容量が低下するため、洗剤および柔軟剤を補充する回数が増加し、使用者の利便性が低下する。そのため、高さhの寸法は10~15mmの範囲に設定することが好ましい。
【0037】
本実施例では、凹部623における第2蓋部下ケース620の上面位置から手掛け部622の下面位置までの高さh(深さ)を10mm程度としているので、洗剤タンク111および柔軟剤タンク112の容量を確保することができる。その結果、本実施例によれば、洗剤および柔軟剤を補充する回数を減少させ、使用者の利便性を向上することができる。
【0038】
さらに、本実施例では洗剤タンク111および柔軟剤タンク112の上方を開放するにあたっては、使用者は指を凹部623に挿入し、手掛け部622の下面に指先を掛けて持ち上げるだけの1動作で実行できるので、利便性を向上することができる。
【0039】
ドラム式洗濯機100では、運転時に振動が発生する。特に回転ドラム3に収容した衣類に偏りが発生し、その状態で脱水工程を行った場合には、振動発生が顕著になる。ドラム式洗濯機100に振動が発生した場合、その振動によって投入蓋6が開閉を繰り返す可能性がある。投入蓋6の開閉の繰り返しを抑制する手段について説明する。
【0040】
図4図5図7図9に示すように、筐体1の投入開口部10(上面カバー1d)には、固定凹部12が形成されている。固定凹部12は、投入開口部10の左右に形成され、投入蓋6を閉じた際、第1蓋部61の両側面と対向する位置に配置されている。
【0041】
図8図9に示すように、第1蓋部61(第1蓋部下ケース610)の両側面には、外側に向かって突出した固定突起612が備えられている。第1蓋部下ケース610の固定突起612が取り付けられる部分には、内側に向かって凹んだ取付凹部613が形成されている。固定突起612は、外力によって撓むように形成された弾性変形部614を介して取付凹部613に取り付けられている。弾性変形部614は、固定突起612が第1蓋部61の外側に向けて押圧されるように付勢力を付与している。
【0042】
また、固定突起612には、上方から下方に向かうに従い外側に向かって下るように傾斜する第1傾斜部612aと、上方から下方に向かうに従い内側に向かって下るように傾斜する第2傾斜部612bが形成されている。
【0043】
投入蓋6で投入開口部10を閉じた状態においては、固定突起612の一部が固定凹部12に挿入された状態となる。すなわち、投入蓋6がロック状態となる。固定突起612の一部が固定凹部12に挿入された状態において投入蓋6を開放させる力が働いた場合には、弾性変形部614の付勢力によって押圧された固定突起612の第1傾斜部612aが固定凹部の縁部12aと接することにより、投入蓋6が開くことを抑制する。従ってドラム式洗濯機100の振動によって投入蓋6が開くことを抑制することができる。
【0044】
一方、使用者が投入蓋6を開く場合には、固定突起612の第1傾斜部612aが固定凹部12の縁部12aと接し、使用者の力が弾性変形部614の付勢力に勝り第1傾斜部612aに沿って固定突起612が内側に移動し、固定突起612が固定凹部12から脱する。すなわち、投入蓋6のロック状態が解除された状態となる。
【0045】
さらに、使用者が投入蓋6を閉じる場合には、固定突起612の第2傾斜部612bが投入開口部10の開口縁部10aと接し、使用者の力が弾性変形部614の付勢力に勝り第2傾斜部612bに沿って固定突起612が内側に移動する。固定突起612の頂部612cが固定凹部12に達すると、弾性変形部614の付勢力により固定突起612が押圧され、固定突起612の一部が固定凹部12に挿入される。すなわち、投入蓋6がロック状態となる。
【0046】
本実施例によれば、固定突起612と固定凹部12とにより、投入蓋6のロック機構を構成したので、ドラム式洗濯機100の振動によって投入蓋6が開くことを抑制することができる。
【0047】
本実施例では、固定突起612を第1蓋部61の両側面に設けるようにしたが、何れか一方の側面に設けるようにしても良い。
【0048】
上記した実施例では、投入開口部10を覆う投入蓋6の例を示したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。例えば、縦型洗濯機の衣類投入蓋に適用することも可能である。
【0049】
縦型洗濯機では、筐体に弾性支持された外槽と、外槽内に回転可能に支持された内槽と、を備えている。筐体の上部には、内槽の上方開口を覆う衣類投入蓋を備える。衣類投入蓋は、後方側が筐体に対して回動可能に軸支された第1蓋部と、第1蓋部の前方側と回動可能に接続された第2蓋部と、を備える。第1蓋部と第2蓋部は、内槽の上方開口側の互いの面が対向するように回動する。第2蓋部は、第2蓋部の前後方向中心よりも後方側であって、後方側から前方側に向かって伸びるように形成された手掛け部と、第2蓋部の上面から下方に向かって凹んで形成される共に、前記手掛け部の下方の位置まで伸びるように形成された凹部と、を備える。
【0050】
上記のような縦型洗濯機では、内槽の上方を開放するにあたっては、使用者は指を凹部に挿入し、手掛け部の下面に指先を掛けて持ち上げるだけの1動作で実行できるので、利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…筐体、1a…左右の側板、1b…前面カバー、1c…背面カバー、1d…上面カバー、1e…下部前面カバー、1f…糸屑フィルタカバー、2…外槽、3…回転ドラム(内槽)、4…ドア、4h…ヒンジ、4t…ドア取っ手、5…手動投入部、6…投入蓋、10…投入開口部、10a…開口縁部、11…自動投入部、12…固定凹部、12a…縁部、21…操作カバー、23…タッチパネル、51…手動洗剤投入部、52…手動柔軟剤投入部、61…第1蓋部、62…第2蓋部、65…第1回動軸、66…第2回動軸、67…支持部、68…軸受部、100…ドラム式洗濯機、111…洗剤タンク、111a…洗剤タンク蓋、112…柔軟剤タンク、112a…柔軟剤タンク蓋、610…第1蓋部下ケース、611…第1蓋部上カバー、612…固定突起、612a…第1傾斜部、612b…第2傾斜部、612c…頂部、613…取付凹部、614…弾性変形部、620…第2蓋部下ケース、621…第2蓋部上カバー、622…手掛け部、623…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9