(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134902
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】フィルター装置及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
D06F 39/10 20060101AFI20240927BHJP
B01D 35/05 20060101ALI20240927BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20240927BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
D06F39/10 A
B01D35/02 D
B01D35/02 M
D06F39/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045342
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一成
(72)【発明者】
【氏名】根本 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健次
【テーマコード(参考)】
3B166
4D116
【Fターム(参考)】
3B166AE02
3B166BA28
3B166BA43
3B166BA82
3B166BA86
3B166DB02
3B166DB16
3B166DC43
4D116AA03
4D116AA04
4D116AA08
4D116BB01
4D116BC06
4D116BC74
4D116BC76
4D116DD02
4D116GG29
4D116KK06
4D116QB03
4D116QB04
4D116QB12
4D116QB17
4D116QB23
4D116QB24
4D116UU09
4D116UU12
4D116UU15
4D116UU20
4D116VV09
(57)【要約】
【課題】
フィルター装置の誤った組立を回避でき、例えば、フィルターが目詰まりすることがなくなり、残り湯給水機能の信頼性が向上すること。
【解決手段】
本発明のフィルター装置は、上記課題を解決するために、筐体と、該筐体内に設置されたネットと、該ネットに支持されたフィルターと、該フィルターを覆うカバーと、前記フィルターを通過した貯水装置にある液体を対象機器に供給するホースへの接続部と、を備えたフィルター装置であって、前記フィルターの中央部に孔を設けると共に、前記ネットの中央部に、前記フィルターの厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピンを設け、前記フィルターは、前記フィルターの前記孔に前記ネットの前記差込みピンが差し込まれて支持されていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内に設置されたネットと、該ネットに支持されたフィルターと、該フィルターを覆うカバーと、前記フィルターを通過した貯水装置にある液体を対象機器に供給するホースへの接続部と、を備えたフィルター装置であって、
前記フィルターの中央部に孔を設けると共に、前記ネットの中央部に、前記フィルターの厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピンを設け、
前記フィルターは、前記フィルターの前記孔に前記ネットの前記差込みピンが差し込まれて支持されていることを特徴とするフィルター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルター装置であって、
前記フィルターは第1のフィルターと第2のフィルターとから成り、前記ネットの前記差込みピンが前記第1のフィルターの前記孔を貫通すると共に、前記第2のフィルターの前記孔に前記ネットの前記差込みピンが差し込まれて前記第1のフィルターと前記第2のフィルターが支持されていることを特徴とするフィルター装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルター装置であって、
前記第1のフィルターと前記第2のフィルターのそれぞれの前記孔は、円孔であることを特徴とするフィルター装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルター装置であって、
前記差込みピンは、前記ネットと一体に形成されていることを特徴とするフィルター装置。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルター装置であって、
前記ネットの前記フィルターが設置されている側とは反対側に、前記フィルターの誤った組立を防ぐ誤組防止部材が設置されていることを特徴とするフィルター装置。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルター装置であって、
前記誤組防止部材は、十字状に形成されていることを特徴とするフィルター装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルター装置であって、
前記貯水装置は浴槽であり、かつ、前記対象機器は洗濯機であることを特徴とするフィルター装置。
【請求項8】
筐体に設置されたネットにフィルターを組立てるフィルター装置の組立方法であって、
前記フィルターの中央部に形成された孔に、前記ネットの中央部に設けられ、かつ、前記フィルターの厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピンが差し込まれて組立てられ前記フィルターが支持され、その後、前記フィルターをカバーで覆うことを特徴とするフィルター装置の組立方法。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルター装置の組立方法であって、
前記フィルターは第1のフィルターと第2のフィルターとから成り、前記ネットの前記差込みピンが前記第1のフィルターの前記孔を貫通し、かつ、前記第2のフィルターの前記孔に前記ネットの前記差込みピンが差し込まれて組立てられ前記第1のフィルターと前記第2のフィルターが支持されることを特徴とするフィルター装置の組立方法。
【請求項10】
請求項9に記載のフィルター装置の組立方法であって、
前記第1のフィルターと前記第2のフィルターのそれぞれの前記孔は円孔であり、前記差込みピンは、前記ネットと一体に形成されていることを特徴とするフィルター装置の組立方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載のフィルター装置の組立方法であって、
前記フィルター装置は、浴槽内の風呂水(残り湯)を洗濯機での洗濯に利用する際に、前記浴槽内の残り湯を給水するための吸水ホースの先端に設置され、前記浴槽内の不純物を洗濯機に侵入させないために用いられることを特徴とするフィルター装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルター装置及びその組立方法に係り、例えば、洗濯機にように、浴槽内の風呂水(残り湯)を洗濯槽に供給する吸水ホースの先端に設置されているものに好適なフィルター装置及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、洗濯機においては、浴槽内の風呂水(残り湯)で洗濯する際に、浴槽内の残り湯を給水するための吸水ホースを用いるが、浴槽内の不純物を洗濯機に侵入させないために、吸水ホースの先端にフィルター装置が設置されている。
【0003】
このような浴槽内の残り湯を洗濯槽に供給する吸水ホースの先端に、フィルター装置を備えている先行技術文献として特許文献1を挙げることができる。
【0004】
上記した特許文献1には、フィルターフレームにインサート成形する金属製ウェイトを安価にし、貫通通水部の入口縁部に固定したフィルターを掃除作業時の亀裂、破損を未然に防止し、更に、構成をシンプルにして安価な吸水フィルター装置を得るために、円筒状に形成した金属製ウェイトを環状にインサート成形してフィルターフレームを形成し、フィルターフレームの内側に貫通通水部を設け、貫通通水部の入口縁部に金属フィルターを溶着固定すると共に、出口側に吸水ホース接続部を設け、フィルターフレームに吸水穴を有するフィルターキャップを着脱自在に取り付け、フィルターフレームとフィルターキャップの間に不織布等よりなる浄化フィルターを設ける洗濯機等の吸水フィルター装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、洗濯機等に用いられるフィルター装置は、筐体と、この筐体内に設置されたネットと、ネットに支持され、風呂水(残り湯)を浄化するフィルターと、フィルターを覆うカバーと、浴槽の風呂水を吸込み洗濯機に通水する吸水ホースとの接続部となるホース接続部とから概略構成されている。
【0007】
しかしながら、従来のフィルター装置の構成では、フィルターを清掃した後に再組立てする際に、組立順序が正しくなくても(誤った組立順序であっても)組立可能であった。即ち、ネットとフィルターを組み立てる際に、フィルターの案内部品がなく、単にネットにフィルターを積み重ねて組み立てていたため、ネットからフィルターがずれた状態(誤った組立)でも組立可能であった。
【0008】
その結果、例えば、フィルターが目詰まりして、浴槽の残り湯を正常に給水できなくなり、残り湯給水機能の信頼性が低下するという課題があった。
【0009】
上述した特許文献1に記載の洗濯機等の吸水フィルター装置には、上記した課題に対する解決策については何も記載されていない。
【0010】
本発明は上述に点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、フィルター装置の誤った組立を回避でき、例えば、フィルターが目詰まりすることがなくなり、残り湯給水機能の信頼性が向上するフィルター装置及びその組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のフィルター装置は、上記目的を達成するために、筐体と、該筐体内に設置されたネットと、該ネットに支持されたフィルターと、該フィルターを覆うカバーと、前記フィルターを通過した貯水装置にある液体を対象機器に供給するホースへの接続部と、を備えたフィルター装置であって、前記フィルターの中央部に孔を設けると共に、前記ネットの中央部に、前記フィルターの厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピンを設け、前記フィルターは、前記フィルターの前記孔に前記ネットの前記差込みピンが差し込まれて支持されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のフィルター装置の組立方法は、上記目的を達成するために、筐体に設置されたネットにフィルターを組立てるフィルター装置の組立方法であって、前記フィルターの中央部に形成された孔に、前記ネットの中央部に設けられ、かつ、前記フィルターの厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピンが差し込まれて組立てられ前記フィルターが支持され、その後、前記フィルターをカバーで覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルター装置の誤った組立を回避でき、例えば、フィルターが目詰まりすることがなくなり、残り湯給水機能の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のフィルター装置が適用されている例であり、浴槽の風呂水(残り湯)が洗濯機に供給されている例を示す図である。
【
図2】本発明のフィルター装置の実施例1を示す斜視図である。
【
図4】本発明のフィルター装置の実施例1に採用されているネットを示す斜視図である。
【
図7】本発明のフィルター装置の組立方法を示すフィルター装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のフィルター装置及びその組立方法を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例0016】
図1に、本発明のフィルター装置が適用されている一例として、浴槽の風呂水(残り湯)を洗濯機に供給する例を示す。
【0017】
図1に示すように、浴槽2の風呂水(残り湯)5が吸水ホース3を介して洗濯機1に供給されているが、通常、吸水ホース3の先端には、浴槽2内の残り湯5に混在している不純物を洗濯機1に侵入させないために、本発明の対象であるフィルター装置4が設置されている。
【0018】
【0019】
図2は、本発明のフィルター装置4の実施例1を示す斜視図、
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図、
図4は、本発明のフィルター装置4の実施例1に採用されているネット9を示す斜視図、
図5は、
図4を上から見た平面図、
図6は、
図5の正面図である。
【0020】
該図に示すように、本実施例のフィルター装置4は、筐体6と、この筐体6内に設置されたネット9と、ネット9に支持された第1のフィルター11及び第2のフィルター12からなるフィルターと、これら第1のフィルター11及び第2のフィルター12を覆う孔付きのカバー7と、第1のフィルター11及び第2のフィルター12を通過した浴槽2にある風呂水(残り湯)5を洗濯機1に供給する吸水ホース3へのホース接続部8と、から概略構成されている。
【0021】
そして、本実施例では、第1のフィルター11及び第2のフィルター12のそれぞれの中央部に孔11a及び12a(
図7参照)を設けると共に、ネット9の中央部に、第1のフィルター11及び第2のフィルター12の厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピン10を設け、第1のフィルター11及び第2のフィルター12は、第1のフィルター11の孔11a及び第2のフィルター12の孔12aに、ネット9の差込みピン10が差し込まれて支持されている。
【0022】
具体的には、ネット9の差込みピン10が第1のフィルター11の孔11aを貫通すると共に、第2のフィルター12の孔12aにネット9の差込みピン10が差し込まれて第1のフィルター11と第2のフィルター12が支持されている。
【0023】
なお、本実施例では、第1のフィルター11aと第2のフィルター12の厚みは同じ(7mm程度)とし、また、第1のフィルター11の孔11aと第2のフィルター12の孔12aは円孔であり、差込みピン10は、ネット9と一体に形成されている。
【0024】
また、本実施例では、ネット9の下側、即ち、第1のフィルター11及び第2のフィルター12が設置されている側とは反対側に、第1のフィルター11及び第2のフィルター12の誤った組立を防ぐ誤組防止部材13が設置されており、この誤組防止部材13は、十字状に形成されている。
【0025】
次に、上述した本発明のフィルター装置4の組立方法を、
図7を用いて説明する。
【0026】
図7に示すように、上述したフィルター装置4、即ち、筐体6に設置されたネット9に第1のフィルター11及び第2のフィルター12を組立てる際には、第1のフィルター11及び第2のフィルター12のそれぞれの中央部に形成された孔11a及び12aに、ネット9の中央部に設けられ、かつ、第1のフィルター11及び第2のフィルター12の厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピン10が差し込まれて組立てられ第1のフィルター11及び第2のフィルター12が支持され、その後、第1のフィルター11及び第2のフィルター12をカバー7で覆うようにしている。
【0027】
具体的には、ネット9の差込みピン10が第1のフィルター11の孔11aを貫通し、かつ、第2のフィルター12の孔12aにネット9の差込みピン10が差し込まれて組立てられ第1のフィルター11と第2のフィルター12が支持され、その後、第1のフィルター11及び第2のフィルター12をカバー7で覆うようにしている。
【0028】
このような本実施例の構成とすることにより、第1のフィルター11及び第2のフィルター12を清掃した後に再組立てする際、即ち、ネット9に第1のフィルター11及び第2のフィルター12を組立てる際に、ネット9の中央部に設けられている第1のフィルター11及び第2のフィルター12の厚みより長いか又は同等の長さを有する差込みピン10が視覚的に確認できるので、差込みピン10が案内となり、差込みピン10に第1のフィルター11及び第2のフィルター12を差し込むだけで良く、第1のフィルター11及び第2のフィルター12の誤った組立てを回避できる。
【0029】
万が一、ネット9の下側(第1のフィルター11及び第2のフィルター12が設置されている側とは反対側)に第1のフィルター11及び第2のフィルター12を入れた場合においても、ネット9の下側に誤組防止部材13が設置されているため、この誤組防止部材13が組立ての障壁となり、顧客に誤組を認知させることが可能となる。
【0030】
従って、第1のフィルター11及び第2のフィルター12自身による目詰まり防止だけでなく、無理な誤組による部品への応力負荷を防ぐことができ、例えば、第1のフィルター11及び第2のフィルター12の早期破損(破れ)などを防止でき、残り湯吸水機能の信頼性向上と同時に省エネ性も確保することができる。
【0031】
よって、本実施例によれば、フィルター装置4の誤った組立を回避でき、例えば、第1のフィルター11及び第2のフィルター12が目詰まりすることがなくなり、残り湯給水機能の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。
1…洗濯機、2…浴槽、3…吸水ホース、4…フィルター装置、5…風呂水(残り湯)、6…筐体、7…カバー、8…ホース接続部、9…ネット、10…差込みピン、11…第1のフィルター、11a…第1のフィルターの孔、12…第2のフィルター、12a…第2のフィルターの孔、13…誤組防止部材。