(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134912
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240927BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045356
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 久
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】シートバック内でケーブルを括り付ける結束バンドの上下動を抑制することが可能でかつ括り付け時の作業性を良好にすることができる車両用シートを得る。
【解決手段】左右の側部骨格部40L、40Rのシートバック上下方向の中間部間に第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62が架け渡されている。ケーブル26、36は、シートバック14の内部におけるシートバック上下方向の上部側から延出されてシート左側の側部骨格部40Lのシートバック上下方向の下部に沿ってシートバック下方側へ向かうように配策されている。また、ケーブル26、36は結束バンド70によってシート左側の側部骨格部40Lのシートバック上下方向の中間部に括り付けられ、結束バンド70は第一ワイヤ60の左端部60Lと第二ワイヤ62の左端部62Lとの間を通るように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックのシート幅方向の両サイドにシートバック上下方向に沿って配置された左右の側部骨格部と、
前記左右の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部間に架け渡された第一ワイヤと、
前記左右の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部間に架け渡され、前記第一ワイヤに対してシートバック下方側に間隔をあけて配置された第二ワイヤと、
前記シートバックの内部におけるシートバック上下方向の上部側から延出されて前記左右の側部骨格部のうちの一方の側部骨格部のシートバック上下方向の下部に沿ってシートバック下方側へ向かうように配策されるケーブルと、
前記一方の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部に前記ケーブルを括り付け、前記第一ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部と前記第二ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部との間を通るように配置された結束バンドと、
を備える車両用シート。
【請求項2】
前記第一ワイヤにおける前記シート幅方向の一方の端部がシートバック下方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられており、
前記第二ワイヤにおける前記シート幅方向の一方の端部がシートバック上方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられている、請求項1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートバック内に配索されたケーブルが結束バンドによってシートバック内の部材に括り付けられた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、結束バンドが上下動するおそれがあり、この点で改善の余地がある。
【0005】
一方、結束バンドの上下動を抑制する構成として、例えば、シートバックのサイドフレームに上下に通じる中空構造部を形成してその中空構造部にケーブルを通し、更に中空構造部に横方向から通じる通し孔を形成すると共に当該通し孔を通した結束バンドでサイドフレームにケーブルを括り付ける場合がある。
【0006】
しかしながら、この場合は、作業者は中空構造部内の目視できない部分に結束バンドを通してケーブルを括り付けることになるので、作業性の点で改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、シートバック内でケーブルを括り付ける結束バンドの上下動を抑制することが可能でかつ括り付け時の作業性を良好にすることができる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載する本発明の車両用シートは、シートバックのシート幅方向の両サイドにシートバック上下方向に沿って配置された左右の側部骨格部と、前記左右の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部間に架け渡された第一ワイヤと、前記左右の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部間に架け渡され、前記第一ワイヤに対してシートバック下方側に間隔をあけて配置された第二ワイヤと、前記シートバックの内部におけるシートバック上下方向の上部側から延出されて前記左右の側部骨格部のうちの一方の側部骨格部のシートバック上下方向の下部に沿ってシートバック下方側へ向かうように配策されるケーブルと、前記一方の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部に前記ケーブルを括り付け、前記第一ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部と前記第二ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部との間を通るように配置された結束バンドと、を備える。
【0009】
上記構成によれば、左右の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部間に第一ワイヤ及び第二ワイヤが架け渡されており、第二ワイヤは、第一ワイヤに対してシートバック下方側に間隔をあけて配置されている。また、ケーブルは、シートバックの内部におけるシートバック上下方向の上部側から延出されて左右の側部骨格部のうちの一方の側部骨格部のシートバック上下方向の下部に沿ってシートバック下方側へ向かうように配策されている。ここで、ケーブルは結束バンドによって前記一方の側部骨格部のシートバック上下方向の中間部に括り付けられており、結束バンドは、第一ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部と第二ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部との間を通るように配置されている。このため、結束バンドは、第一ワイヤ及び第二ワイヤにおける各シート幅方向の一方の端部によって、シートバック上下方向への変位が規制される。また、作業者が結束バンドを用いてケーブルを一方の側部骨格部に括り付ける場合、作業者はケーブルを一方の側部骨格部に括り付けようとする範囲を目視しながら括り付け作業を行うことができる。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車両用シートは、請求項1に記載の構成において、前記第一ワイヤにおける前記シート幅方向の一方の端部がシートバック下方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられており、前記第二ワイヤにおける前記シート幅方向の一方の端部がシートバック上方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられている。
【0011】
上記構成によれば、例えば結束バンドの幅に応じて第一ワイヤ及び第二ワイヤの各々における前記シート幅方向の一方の端部の折り曲げ角度を調整することによって、第一ワイヤ及び第二ワイヤの各架け渡し部分におけるシートバック上下方向の位置を維持しながら、結束バンドのシートバック上下方向への変位を良好に規制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の車両用シートによれば、シートバック内でケーブルを括り付ける結束バンドの上下動を抑制することが可能でかつ括り付け時の作業性を良好にすることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。
【
図2】
図1の車両用シートのシートバック内にケーブルが配策された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2のシートバックフレームにシートバックパッドを被せた状態を示す斜視図であり、シートバックパッドについてはシート右側半分を切除した状態で示す。
【
図4】ケーブルが結束バンドによって側部骨格部に括り付けられている状態を斜め正面側から見て拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図4と同様の状態を斜め背面側から見た状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る車両用シートについて
図1~
図5を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両用シートの前方側を示しており、矢印UPは車両用シートの上方側を示しており、矢印LHは車両用シートの前方を向いた場合の左方側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両用シートの前後、車両用シートの上下、車両用シートの前方を向いた場合の左右を示すものとする。また、各図においては、図面を見易くする関係から一部の符号を省略している場合がある。
【0015】
(実施形態の構成)
図1には、本実施形態に係る車両用シート10が斜視図で示されている。車両用シート10は、乗員が着座する着座部を構成して着座乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、着座乗員の背部を支持するシートバック14と、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備えている。なお、
図1の車両用シート10は、一例として、車室内の複数列シートのうちの後列シートとして搭載される。
【0016】
また、シートバック14の下端部は、シートクッション12の後端部に対して、リクライニング機構20を介して回動可能に連結されている。リクライニング機構20の基本構成については、公知構成を適用できるため詳細説明は省略する。リクライニング機構20は、シートバック14内に配策されるケーブル26(
図2参照)に接続されたリクライニングレバー24をシートバック14の右側の肩口部14Aに備えている。リクライニングレバー24は、乗員操作用とされ、リクライニングレバー24が操作されることによってシートバック14をロックした状態が解除されてシートバック14のリクライニング(傾倒)が可能になる。
【0017】
また、車両用シート10は、車体床部に対してシートクッション12をシート前後方向にスライドさせるシートスライド機構30を有する。シートスライド機構30の基本構成については、公知構成を適用できるため詳細説明は省略する。シートスライド機構30は、シートバック14内に配策されるケーブル36(
図2参照)に接続されたスライドレバー34をシートバック14の左側の肩口部14Bに備えている。スライドレバー34は、乗員操作用とされ、スライドレバー34が操作されることによってシートスライド機構30のスライドロック状態が解除されてシートクッション12がシート前後方向にスライド可能になる。
【0018】
図2には、シートバック14の内部構成の一部がヘッドレスト16と共に示されている。
図2に示されるように、シートバック14は、その骨格部を構成するシートバックフレーム40を有する。シートバックフレーム40の前面側には、
図3に示されるシートバックパッド50が配置されている。シートバックパッド50はシートバックフレーム40によって支持されている。また、シートバックパッド50の表面は、表皮52(
図1参照)によって覆われている。
【0019】
図2に示されるように、シートバックフレーム40は、正面視で略逆U字状とされたアッパフレーム42を有する。アッパフレーム42は、パイプ材で構成され、シートバックフレーム40の上端部を構成してシート幅方向に沿って配置されたアッパ部42Aと、アッパ部42Aのシート幅方向の両端部から垂下された左右一対のサイド部42L、42Rと、を備えている。アッパ部42Aのシート幅方向右側部分には、リクライニングレバー24を含む操作ユニット22が固定されている。また、アッパ部42Aのシート幅方向左側部分には、スライドレバー34を含む操作ユニット32が固定されている。
【0020】
また、シートバックフレーム40は、アッパフレーム42のシート左側(図中右側)のサイド部42Lにシート幅方向外側から接合された第一サイドフレーム44と、アッパフレーム42のシート右側(図中左側)のサイド部42Rにシート幅方向外側から接合された第二サイドフレーム46と、を有している。シートバック14のシート幅方向の両サイドに配置された第一サイドフレーム44及び第二サイドフレーム46は、シートバック上下方向に沿って配置され、アッパフレーム42のシート幅方向外側に配置される部分を備えると共に前端側及び後端側がシート幅方向内側へ折り曲げられた形状に形成されている。第一サイドフレーム44は、シートバックフレーム40の上下方向中間部及び下部に位置し、第二サイドフレーム46は、シートバックフレーム40の下部に位置している。
【0021】
なお、
図2、
図4及び
図5では、第一サイドフレーム44においてその前端部を構成してシート幅方向内側に延出される前壁部に符号44Aを付す。また、
図5では、第一サイドフレーム44のシート幅方向外側の側壁部には符号44Bを付し、第一サイドフレーム44においてその後端部を構成してシート幅方向内側に延出される後壁部には符号44Cを付す。
【0022】
図2に示される第一サイドフレーム44の下部のシート幅方向内側には補強部材48が配置されている。補強部材48は、第一サイドフレーム44の下部の一部とシート幅方向に対向配置される部分を備えると共に前端側及び後端側がシート幅方向外側へ折り曲げられた形状に形成されている。補強部材48の前端部を構成する前壁部48Aは、第一サイドフレーム44の前壁部44Aの下部に接合され、補強部材48の後端部を構成する後壁部(図示省略)は、第一サイドフレーム44の後壁部44C(
図5参照)の下部に接合されている。
【0023】
本実施形態では、シートバック14のシート幅方向の左サイド(一方のサイド)においてシートバック上下方向に沿って配置された左の側部骨格部40Lが、上述したアッパフレーム42のシート左側のサイド部42L、第一サイドフレーム44及び補強部材48を備えて構成されている。また、シートバック14のシート幅方向の右サイド(他方のサイド)においてシートバック上下方向に沿って配置された右の側部骨格部40Rが、上述したアッパフレーム42のシート右側のサイド部42R及び第二サイドフレーム46を備えて構成されている。
【0024】
シートバック14の左右の側部骨格部40L、40Rのシートバック上下方向の中間部間には、第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62が架け渡されている。第二ワイヤ62は、第一ワイヤ60に対してシートバック下方側に間隔をあけて配置されている。第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62は、左右の側部骨格部40L、40Rに溶接により固定されている。
図3に示されるように、第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62は、シートバックパッド50を背面側から支持する。また、第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62に対して背面側にはバックボード(図示省略)が配置されており、第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62は、シートバック14の前傾時に当該バックボードを支持するようになっている。
【0025】
図2に示されるように、第一ワイヤ60におけるシート幅方向の一方の端部である左端部60Lは、シートバック下方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられている。また、第二ワイヤ62におけるシート幅方向の一方の端部である左端部62Lがシートバック上方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられている。これらにより、第一ワイヤ60の左端部60Lと左の側部骨格部40Lとの溶接部と、第二ワイヤ62の左端部62Lと左の側部骨格部40Lとの溶接部とが、近い位置になっている。
【0026】
図4において拡大して示されるように、第一ワイヤ60の左端部60L及び第二ワイヤ62の左端部62Lは、本実施形態では左の側部骨格部40Lのうち第一サイドフレーム44の前壁部44Aに溶接され、シート前方側から見て前壁部44Aからはみ出さない状態で配置されている。また、第一サイドフレーム44の前壁部44Aは、第一ワイヤ60のシート左端側の部分の支持範囲を広げるようにシート幅方向内側へ延出された延出部44A1と、第二ワイヤ62のシート左端側の部分の支持範囲を広げるようにシート幅方向内側へ延出された延出部44A2と、を備える。
【0027】
また、第一ワイヤ60の左端部60L及び第二ワイヤ62の左端部62Lが溶接されるシートバック上下方向位置は、左の側部骨格部40Lにおいて第一サイドフレーム44とアッパフレーム42のシート左側のサイド部42Lとの両方が存在するシートバック上下方向位置とされ、左の側部骨格部40Lにおいて支持剛性が高い部分に対応している。
【0028】
一方、
図2に示されるように、リクライニング機構用のケーブル26及びシートスライド機構用のケーブル36は、シートバック14の内部におけるシートバック上下方向の上部側から延出されて左右の側部骨格部40L、40Rのうちのシート左側の(一方の)側部骨格部40Lのシートバック上下方向の下部に沿ってシートバック下方側へ向かうように配策される。
【0029】
リクライニング機構用のケーブル26は、シートバック14の内部の右上端側から垂れ下がって第一ワイヤ60のシート右側の端部寄り部分に結束バンド68によって括り付けられると共に、当該括り付け部分からシート左側へ延在して結束バンド70によって左の側部骨格部40Lに括り付けられてシートバック下方側へ延在する。また、シートスライド機構用のケーブル36は、シートバック14の内部の左上端側から垂れ下がり、結束バンド70によって左の側部骨格部40Lに括り付けられてシートバック下方側へ延在する。
【0030】
図5には、
図4と同様の状態が斜め背面側から見た状態の斜視図で示されている。
図4及び
図5に示されるように、結束バンド70は、帯状のバンド部72と、バンド部72を挿通可能な留め部74(図中では簡略化して図示)と、を備えている。留め部74は、バンド部72が挿通された状態でバンド部72を留めることが可能になっている。結束バンド70の構成については、例えばタイラップ(登録商標)と称されるもの等の公知構成を適用できるため、詳細説明は省略する。
【0031】
結束バンド70は、シート左側の(一方の)側部骨格部40Lのシートバック上下方向の中間部にケーブル26、36を括り付け、第一ワイヤ60におけるシート幅方向の一方の端部である左端部60Lと第二ワイヤ62におけるシート幅方向の一方の端部である左端部62Lとの間を通るように配置されている。本実施形態では、一例として、バンド部72が第一ワイヤ60の左端部60Lと第二ワイヤ62の左端部62Lとの間に配置されている。バンド部72の厚みは、第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62の各直径よりも小さい。また、一例として、留め部74は、第一ワイヤ60の左端部60L及び第二ワイヤ62の左端部62Lよりもシート幅方向内側でケーブル26、36よりもシート前方側に配置されている。
【0032】
なお、
図2に示されるケーブル26、36の配策は、シートバックフレーム40の前面側にシートバックパッド50(
図3参照)を配置する前に行われる。ケーブル26は、リクライニングレバー24に固定されてから配策され、ケーブル36は、スライドレバー34に固定されてから配策される。
【0033】
(実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0034】
本実施形態では、
図2に示されるように、ケーブル26、36は結束バンド70によってシート左側の側部骨格部40Lのシートバック上下方向の中間部に括り付けられており、結束バンド70は、第一ワイヤ60の左端部60Lと第二ワイヤ62の左端部62Lとの間を通るように配置されている。このため、結束バンド70は、第一ワイヤ60の左端部60L及び第二ワイヤ62の左端部62Lによって、シートバック上下方向への変位が規制される。このような結束バンド70によってケーブル26、36が側部骨格部40Lに固定されることにより、ケーブル26、36の振動に起因した異音の発生を抑制することができる。
【0035】
また、作業者が結束バンド70を用いてケーブル26、36を側部骨格部40Lに括り付ける場合、作業者はケーブル26、36を側部骨格部40Lに括り付けようとする範囲を目視しながら括り付け作業を行うことができる。さらに、結束バンド70を第一ワイヤ60の左端部60Lと第二ワイヤ62の左端部62Lとの間を通る位置に配置することとしたので、作業者によって結束バンド70の配置位置がシートバック上下方向にばらつくといったことを防ぐことも可能になる。
【0036】
また、本実施形態では、
図4に示されるように、第一ワイヤ60の左端部60Lがシートバック下方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられており、第二ワイヤ62の左端部62Lがシートバック上方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられている。このため、例えば結束バンド70の幅に応じて第一ワイヤ60の左端部60L及び第二ワイヤ62の左端部62Lの各折り曲げ角度を調整することによって、第一ワイヤ60及び第二ワイヤ62の各架け渡し部分におけるシートバック上下方向の位置を維持しながら、結束バンド70のシートバック上下方向への変位を良好に規制することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の車両用シート10(
図1参照)によれば、
図2に示されるシートバック14内でケーブル26、36を括り付ける結束バンド70の上下動を抑制することが可能でかつ括り付け時の作業性を良好にすることができる。
【0038】
(実施形態の補足説明)
なお、
図1~
図5に示される上記実施形態では、シートバック14の内部に配策されるケーブル26、36が二本とされているが、シートバック(14)の内部に配策されるケーブルは、一本であってもよいし、三本以上であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態の構成に加えて、リクライニング機構用のケーブル26を第一ワイヤ60のシート右側の端部寄り部分に結束バンドによって括り付けてもよい。このような構成を採れば、ケーブル26のシート左側の曲げ部分における曲げ半径を良好に調整することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、一例として、
図4及び
図5に示される結束バンド70の留め部74は、第一ワイヤ60の左端部60L及び第二ワイヤ62の左端部62Lよりもシート幅方向内側でケーブル26、36よりもシート前方側に配置されているが、上記実施形態の変形例として、結束バンド(70)の留め部(74)は、例えば、ケーブル(26、36)に対してシート後方側でかつ第一サイドフレーム(44)の後壁部(44C)よりもシート前方側に配置されてもよいし、第一ワイヤ(60)の左端部(60L)と第二ワイヤ(62)の左端部(62L)との間に配置されてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、
図5に示されるように、ケーブル26、36は、リクライニング機構用のケーブル26がシートスライド機構用のケーブル36に対してシート後方側に配置された状態で結束バンド70によって括られているが、ケーブル26、36の前後関係は上記実施形態と逆でもよいことは言うまでもない。
【0042】
また、上記実施形態では、
図4に示されるように、第一ワイヤ60におけるシート幅方向の一方の端部である左端部60Lがシートバック下方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられており、そのような構成が好ましいが、そのような構成を備えない形態も採り得る。また、上記実施形態では、第二ワイヤ62におけるシート幅方向の一方の端部である左端部62Lがシートバック上方側かつシート幅方向内側へ折り曲げられており、そのような構成が好ましいが、そのような構成を備えない形態も採り得る。
【0043】
また、上記実施形態では、第一ワイヤ60の左端部60L側及び第二ワイヤ62の左端部62L側はV字状に折り曲げられているが、上記実施形態の変形例として、第一ワイヤ(60)の左端部(60L)側及び第二ワイヤ(62)の左端部(62L)側はU字状に曲げられてもよい。このような変形例では、第一ワイヤ(60)及び第二ワイヤ(62)において結束バンド(70)の上下動の規制用となる部分をシート幅方向において延ばすことが可能となる。
【0044】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0045】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用シート
14 シートバック
26 ケーブル
36 ケーブル
40L 側部骨格部
40R 側部骨格部(一方の側部骨格部)
60 第一ワイヤ
60L 第一ワイヤの左端部(第一ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部)
62 第二ワイヤ
62L 第二ワイヤの左端部(第二ワイヤにおけるシート幅方向の一方の端部)
70 結束バンド