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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134914
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電線ガイドピン
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01R13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045361
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎介
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC02
5E021FC40
(57)【要約】
【課題】コネクタの背面から導出される電線が少数でも、簡易的な構造で配索経路を所定の方向に維持する電線ガイドピンを提供する。
【解決手段】電線ガイドピン1は、コネクタ100に形成されている複数のキャビティ101から選択された1つのキャビティ101にコネクタ100の背面103から挿入される接続端部10aを有する直線状の第1棒状部10と、第1棒状部10の接続端部10aとは反対側の端部と連続し、第1棒状部10の延伸方向とは異なる方向に屈曲する第2棒状部11とを有する。第2棒状部11は、接続端部10aが挿入されるキャビティ101とは異なるキャビティ101に接続される電線200の一部を這わせて取り付ける取付部11aを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに形成されている複数のキャビティから選択された1つの前記キャビティに前記コネクタの背面から挿入される接続端部を有する直線状の第1棒状部と、
前記第1棒状部の前記接続端部とは反対側の端部と連続し、前記第1棒状部の延伸方向とは異なる方向に屈曲する第2棒状部と、を有し、
前記第2棒状部は、前記接続端部が挿入される前記キャビティとは異なる前記キャビティに接続される電線の一部を這わせて取り付ける取付部を有する、電線ガイドピン。
【請求項2】
前記接続端部は、前記キャビティに設けられているランスを係合させる係合穴を有する、請求項1に記載の電線ガイドピン。
【請求項3】
前記第2棒状部は、直線状であり、
前記第2棒状部の延伸方向は、前記第1棒状部の前記延伸方向に対して垂直である、請求項1又は2に記載の電線ガイドピン。
【請求項4】
前記第2棒状部の少なくとも一部は、曲線状に屈曲している、請求項1又は2に記載の電線ガイドピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ガイドピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタの背面から導出されている電線を所定の方向に配索させやすくする技術がある。特許文献1は、コネクタの背面に装着され、コネクタの背面から導出された電線を収容する断面凹形状を有することで、結線時の作業性と結線後の配索経路のばらつき規制とを両立するコネクタカバーに関する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-160712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているコネクタカバーでは、その構造が複雑である。一方、コネクタに対して背面から多数の電線が接続されている場合には、コネクタの首下でテープを用いて多数の電線を束ねるのみで、多数の電線に配索経路を所定の方向に維持させることができることもある。この場合、特許文献1に開示されているようなコネクタカバーを利用する必要はない。
【0005】
しかしながら、コネクタの背面から接続される電線が1,2本など少数の場合には、コネクタの首下でテープを用いて少数の電線を束ねるのみでは、電線同士の剛性が弱く、配索経路を所定の方向に維持させることが難しい。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、コネクタの背面から導出される電線が少数でも、簡易的な構造で配索経路を所定の方向に維持する電線ガイドピンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る電線ガイドピンは、コネクタに形成されている複数のキャビティから選択された1つのキャビティにコネクタの背面から挿入される接続端部を有する直線状の第1棒状部と、第1棒状部の接続端部とは反対側の端部と連続し、第1棒状部の延伸方向とは異なる方向に屈曲する第2棒状部と、を有し、第2棒状部は、接続端部が挿入されるキャビティとは異なるキャビティに接続される電線の一部を這わせて取り付ける取付部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタの背面から導出される電線が少数でも、簡易的な構造で配索経路を所定の方向に維持する電線ガイドピンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電線ガイドピンの使用状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電線ガイドピンの斜視図である。
図3】コネクタのキャビティに対する接続端部の接続状態を示す断面図である。
図4】第1実施形態に係る電線ガイドピンの第1実施例を示す側面図である。
図5】第1実施形態に係る電線ガイドピンの第2実施例を示す側面図である。
図6】第2実施形態に係る電線ガイドピンの使用状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて一実施形態に係る電線ガイドピンについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電線ガイドピン1の使用状態を示す斜視図である。電線ガイドピン1は、コネクタ100に接続されるとともに、更にコネクタ100に接続されている少なくとも1つの電線200の配索経路を規定する。
【0012】
電線ガイドピン1が被接続対象となり得るコネクタ100は、複数のキャビティ101を有する。キャビティ101は、電線200の先端に予め取り付けられている不図示の端子金具を収容することで、コネクタ100に電線200を接続する収容部である。コネクタ100は、複数のキャビティ101を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂製で、1段に複数のキャビティ101を配置したキャビティ段を、1段又は複数段有する、いわゆる角形コネクタであってもよい。また、コネクタ100は、オスコネクタであってもよいし、メスコネクタであってもよい。
【0013】
本実施形態では、コネクタ100は、4つのキャビティ101が配置されたキャビティ段を2段有する角形コネクタである。すなわち、コネクタ100は、第1キャビティ101aから第8キャビティ101hまでの8つのキャビティ101を有する。第1キャビティ101aから第4キャビティ101dまでの4つのキャビティ101は、当該順序で上段に配置される。第5キャビティ101eから第8キャビティ101hまでの4つのキャビティ101は、上段のキャビティ群と同列となるように当該順序で下段に配置される。また、コネクタ100は、正面102と、背面103とを有する。正面102は、コネクタ100の接続対象としての別コネクタがコネクタ100に接続される側の面である。背面103は、コネクタ100に電線200が端子金具を介して予め接続される側の面である。なお、一般的なコネクタに設けられている、コネクタ同士の接続時に機能するロック機構又は案内溝等は、図1に示すコネクタ100では不図示である。
【0014】
また、本実施形態では、コネクタ100には、第1電線200aと第2電線200bとの2つの電線200がそれぞれ背面103から接続される。第1電線200aは、第5キャビティ101eに端子金具を介して接続される。第2電線200bは、第5キャビティ101eと隣り合う第6キャビティ101fに端子金具を介して接続される。
【0015】
図2は、電線ガイドピン1の斜視図である。電線ガイドピン1は、硬質である合成樹脂又は金属等で形成され、第1棒状部10と第2棒状部11とを一体的に有する。
【0016】
第1棒状部10は、直線状の角棒部である。第1棒状部10の一端は、開放端である。第1棒状部10の他端は、第2棒状部11と連続する。第1棒状部10における開放端側の一部は、複数のキャビティ101から選択された1つのキャビティ101に、コネクタ100の背面103から挿入される接続端部10aである。本実施形態では、接続端部10aは、第8キャビティ101hに挿入される。上記のとおり、電線200は、第5キャビティ101eと第6キャビティ101fとにのみ接続される。この場合、第8キャビティ101hは、一般的な接続構成であれば、いずれの電線も接続されていない、いわゆる空きキャビティである。つまり、接続端部10aは、コネクタ100に残存する空きキャビティの1つに挿入される。
【0017】
また、各々のキャビティ101において、長手方向に対して垂直な断面形状は、おおよそ正方形である。そこで、接続端部10aがキャビティ101内で保持されやすくするために、接続端部10aにおける長手方向に対して垂直な断面形状も、正方形である。本実施形態では、接続端部10aにおける断面形状に合わせて、第1棒状部10全体の断面形状も正方形である。ただし、第1棒状部10の断面形状は、長さ方向に沿って均一である必要はない。例えば、第1棒状部10の断面形状は、領域ごとに寸法が異なってもよいし、正方形以外の多角形又は円形であってもよい。
【0018】
ここで、接続端部10aは、第8キャビティ101hで例示される空きキャビティに対して、次のように接続されてもよい。
【0019】
図3は、図1に示すIII-III断面に対応した、第8キャビティ101hに対する接続端部10aの接続状態を示す断面図である。図3では、コネクタ100の断面形状が概略的に示されている。
【0020】
まず、コネクタ100において、各々のキャビティ101は、背面103から挿入された端子金具の一部に係合するランス104を有する。ランス104は、キャビティ101の内壁の一部から突出し、弾性を有する突起部である。端子金具がキャビティ101に挿入されたとき、ランス104が弾性変形した後に端子金具の一部に係合することで、キャビティ101からの端子金具の抜けが抑止される。
【0021】
一方、第1棒状部10において、接続端部10aは、第1棒状部10における四方の側面のうちの1つの第1側面10cに、キャビティ101に挿入されたときにランス104を係合させる係合穴10bを有する。この場合、第1棒状部10において少なくとも接続端部10aの断面形状は、キャビティ101の断面形状と比較して、同等の正方形であるとともに、一回り小さい大きさを有する。
【0022】
なお、接続端部10aは、上記の係合穴10bを有さずとも、例えば、キャビティ101の断面と同等の形状及び大きさを有する断面形状とすることで、第8キャビティ101hに嵌合されることで接続されてもよい。
【0023】
第2棒状部11は、直線状の角棒部である。第2棒状部11の一端は、開放端である。第2棒状部11の他端は、第1棒状部10の開放端とは反対側の端部と連続する。本実施形態では、第2棒状部11における長手方向に対して垂直な断面形状は、第1棒状部10の断面形状に合わせて正方形である。ただし、第2棒状部11の断面形状も、長さ方向に沿って均一である必要はない。例えば、第2棒状部11の断面形状は、領域ごとに寸法が異なってもよいし、正方形以外の多角形又は円形であってもよい。また、第2棒状部11は、第1棒状部10の延伸方向とは異なる方向に屈曲する。本実施形態では、第2棒状部11の延伸方向は、第1棒状部10の延伸方向に対して垂直である。
【0024】
また、第2棒状部11は、第1電線200a及び第2電線200bの各々の一部を這わせて取り付ける取付部11aを有する。取付部11aは、第2棒状部11における開放端側から第1棒状部10との連続位置までの範囲のうち、種々の条件に基づいて任意の領域に設定し得る。ここで、任意の領域を規定する際に参照し得る条件は、電線200の数、電線200が接続される各々のキャビティ101の配置、又は、第1棒状部10若しくは第2棒状部11の寸法などである。
【0025】
例えば、第2棒状部11は、図2に示すように、第1棒状部10の第1側面10cと同一平面として連続する第2側面11cが90°に屈曲して延伸するように第1棒状部10と連続するものとする。また、第2棒状部11において、第2側面11cに隣接し、かつ、第1棒状部10の延伸方向と連続する側の側面を内面11bと表記する。この場合、図1に示すように、接続端部10aが接続されている第8キャビティ101hに近い側の第6キャビティ101fから外部に配索される第2電線200bの一部は、第2棒状部11の内面11bに接触し、内面11bに這わされてもよい。一方、第8キャビティ101hから遠い側の第5キャビティ101eから外部に配索される第1電線200aの一部は、第2棒状部11の内面11bに這わされる第2電線200bの側面の一部と接触し、当該側面に這わされてもよい。つまり、取付部11aに這わされる電線200は、取付部11aの表面に対して必ずしも直接的に接触することを要しない。そして、取付部11aに這わされた第1電線200a及び第2電線200bは、図1に示すように、例えば、作業者によってテープ300を巻き付けることで、取付部11aに対して第1電線200a及び第2電線200bを一体的に取り付けられる。ここで、テープ300は、巻付部材の一例であり、結束バンド等で代替されてもよい。
【0026】
なお、図1に示す、取付部11aに対する第1電線200a及び第2電線200bの這わせ位置は、一例である。例えば、第2電線200bは、図1の例示と同様に、第2棒状部11の内面11bに接触して這わせられるものとし、一方、第1電線200aは、第2棒状部11の第2側面11cに接触して這わせられるものとしてもよい。
【0027】
次に、電線ガイドピン1の効果について説明する。
【0028】
まず、電線ガイドピン1は、コネクタ100に形成されている複数のキャビティ101から選択された1つのキャビティにコネクタ100の背面103から挿入される接続端部10aを有する直線状の第1棒状部10を有する。また、電線ガイドピン1は、第1棒状部10の接続端部10aとは反対側の端部と連続し、第1棒状部10の延伸方向とは異なる方向に屈曲する第2棒状部11を有する。第2棒状部11は、接続端部10aが挿入されるキャビティとは異なるキャビティに接続される電線200の一部を這わせて取り付ける取付部11aを有する。
【0029】
ここで、図1を用いた例示では、第1棒状部10の接続端部10aが挿入されるキャビティ101は、第8キャビティ101hである。電線200が接続されるキャビティ101は、第5キャビティ101e及び第6キャビティ101fである。
【0030】
この電線ガイドピン1では、第1棒状部10の接続端部10aは、電線200が接続されていないキャビティ101、すなわち、空きキャビティのいずれかに接続される。ここで、第1棒状部10は直線状であるので、第1棒状部10の延伸方向は、キャビティ101からの電線200の導出方向におおよそ沿う。一方、第2棒状部11は、第1棒状部10と連続し、第1棒状部10の延伸方向とは異なる方向に屈曲する。つまり、第2棒状部11の延伸方向を、第1棒状部10の延伸方向とは異なる、電線200の所望の配索経路に合わせた方向に予め設定することができる。したがって、コネクタ100の背面103から導出されている各々の電線200の一部は、取付部11aに這わせられた状態で、テープ300等の巻付部材を用いて一体的に巻き付けられることで、第2棒状部11に保持されることができる。つまり、電線ガイドピン1は、コネクタ100の首下において、配索されるべき所定の方向に各々の電線200を案内することができる。
【0031】
また、電線ガイドピン1は、コネクタ100の首下において各々の電線200を第2棒状部11の取付部11aに取り付けさせるので、電線200が1,2本の少数の場合であっても、電線200の配索経路を維持させることができる。
【0032】
更に、電線ガイドピン1は、コネクタ100に対して、第1棒状部10の一部である接続端部10aを複数のキャビティ101のうちの空きキャビティに単に挿入するだけで取り付けられる。したがって、電線ガイドピン1は、第1棒状部10と第2棒状部11とのみで構成される、簡易的な構造となり得る。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、コネクタ100の背面103から導出される電線200が少数でも簡易的な構造で配索経路を所定の方向に維持する電線ガイドピン1を提供することができる。この電線ガイドピン1によれば、ひいては、電線200が単線であっても配索経路の自由度又は選択肢を増やすことができ、また、設計時間の増加又は部品追加によるコストの増加を抑えることができる。
【0034】
また、電線ガイドピン1では、接続端部10aは、キャビティ101に設けられているランス104を係合させる係合穴10bを有してもよい。
【0035】
この電線ガイドピン1によれば、接続端部10aがキャビティ101に挿入されたときに、ランス104が係合穴10bに係合する。したがって、キャビティ101からの接続端部10aの脱落、すなわち、コネクタ100からの電線ガイドピン1の脱落を抑止することができる。ここで、ランス104は、一般的なコネクタでも、挿入された端子金具の脱落を抑止するロック機構として設けられている。したがって、電線ガイドピン1は、コネクタ100からの脱落を抑止するためのロック機構を設けるに際して、単に係合穴10bを所定の位置に設けることのみで実現させることができる。
【0036】
また、電線ガイドピン1では、第2棒状部11は、直線状であってもよい。また、第2棒状部11の延伸方向は、第1棒状部10の延伸方向に対して垂直であってもよい。
【0037】
図4は、電線ガイドピン1の第1実施例を示す側面図である。図4では、鉛直方向をZ方向で示し、水平方向に沿った1つの方向をX方向で示している。
【0038】
例えば、コネクタ100の首下の近傍に、Z方向に沿った水滴Dの滴下領域が存在する場合を想定する。ここで、コネクタ100の背面103から第1電線200a及び第2電線200bが第1棒状部10の延伸方向に沿って導出されているだけでは、第1電線200a又は第2電線200bに水滴Dが付着し、その水分がコネクタ100に降りかかるおそれがある。そこで、この場合、コネクタ100の設置位置自体は変更されないものとした上で、第1棒状部10の延伸方向をX方向とし、第2棒状部11の延伸方向をZ方向とした電線ガイドピン1が予め準備されてもよい。このとき、第1棒状部10の長さは、水滴Dの滴下領域に到達しない寸法に設定される。第2棒状部11は、第1棒状部10から下方に向かうように設定される。そして、第2棒状部11の取付部11aでは、第1電線200a及び第2電線200bのうち、コネクタ100から導出された各々の一部と、折り返されてZ方向の下方から上方に向けて配索される各々の一部とが、1つのテープ300で束ねられて巻き付けられる。
【0039】
このような電線ガイドピン1によれば、図4に例示する配索経路に第1電線200a及び第2電線200bをガイドすることができるので、第1電線200a等の電線200への水滴Dの付着を予め回避させることができる。
【0040】
図5は、電線ガイドピン1の第2実施例を示す上面図である。第2実施例では、互いに対称形状となる2つの電線ガイドピン1が用いられる。
【0041】
例えば、電線200が自動車等の車両内に配索されるワイヤーハーネスであり、幹線200cと、当該幹線200cから分岐する枝線200dとを有する場合を想定する。枝線200dの先端は、コネクタ100に含まれる1つのキャビティ101に、端子金具を介して背面103から接続される。例えば、枝線200dの先端は、第6キャビティ101fに接続されてもよい。また、コネクタ100は、車両内に設置されているECU400に接続され、幹線200cは、ECU400に対するコネクタ100の接続方向とは垂直な方向を延伸方向とするものとする。なお、ECUは、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)の略称である。
【0042】
ここで、上記のような電線200の配索例に対して、本実施形態に係る電線ガイドピン1が用いられない場合、幹線200cは、枝線200dが分岐する位置を基準として、少なくとも2カ所の固定部410で車両内に固定される。具体的には、幹線200cの下流側の一部は、第1固定部410aで固定され、かつ、幹線200cの上流側の一部は、図5において二点鎖線で示された第2固定部410bで固定される。
【0043】
これに対して、本実施形態では、以下の2つの電線ガイドピン1が準備される。1つ目の電線ガイドピン1では、第1棒状部10の接続端部10aは、コネクタ100の例えば第1キャビティ101aに接続される。2つ目の電線ガイドピン1では、第1棒状部10の接続端部10aは、コネクタ100の例えば第4キャビティ101dに接続される。また、1つ目の電線ガイドピン1及び2つ目の電線ガイドピン1の各々の第2棒状部11は、それぞれ、延伸方向が幹線200cの延伸方向に沿い、かつ、幹線200cの側面を這うように配置される。ただし、1つ目の電線ガイドピン1の第2棒状部11は、第1棒状部10から第1固定部410aに向かって延伸する。2つ目の電線ガイドピン1の第2棒状部11は、第1棒状部10から、従来であれば存在すると仮定される仮想の第2固定部410bに向かって延伸する。つまり、1つ目の電線ガイドピン1と2つ目の電線ガイドピン1とでは、各々の第2棒状部11は、互いに反対方向に向かって延伸する。
【0044】
まず、1つ目の電線ガイドピン1に関して、幹線200cには、枝線200dを一部とする電線が結束されており、当該結束部分は、取付部11aに這わせられた状態で、テープ300を用いて第2棒状部11に一体的に巻き付けられる。したがって、幹線200c及び枝線200dは、第2棒状部11に保持されていることになり、1つ目の電線ガイドピン1は、コネクタ100の首下において、配索されるべき所定の方向に幹線200c及び枝線200dを案内することができる。
【0045】
一方、2つ目の電線ガイドピン1に関して、幹線200cの一部のみが、取付部11aに這わせられた状態で、テープ300を用いて第2棒状部11に一体的に巻き付けられる。したがって、1つ目の電線ガイドピン1と2つ目の電線ガイドピン1とは、図5に示すように組み合わせて用いられることで、幹線200cに対して、コネクタ100を位置決めしつつ安定して保持することができる。そして、当該構成によれば、特に2つ目の電線ガイドピン1が幹線200cに保持されていることで、コネクタ100が幹線200cに固定されているとみなすことができるため、仮想の第2固定部410bは不要となる。
【0046】
このように、電線ガイドピン1は、第2棒状部11が直線状であって、かつ、第2棒状部11の延伸方向は、第1棒状部10の延伸方向に対して垂直であることで、上記例示のような様々な接続構成に対応することができる。
【0047】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る電線ガイドピン1では、第2棒状部11が直線状で、第2棒状部11の延伸方向が第1棒状部10の延伸方向に対して垂直である場合を例示した。これに対して、第2実施形態に係る電線ガイドピン2では、電線ガイドピン1の第2棒状部11に代わる第2棒状部21の少なくとも一部は、曲線状に屈曲する。
【0048】
図6は、第2実施形態に係る電線ガイドピン2の使用状態を示す上面図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態に関する説明で用いられた各要素と同一要素については、同一の符号を付し、詳説を省略する。
【0049】
例えば、コネクタ100の背面103と対向する領域に、電線200との干渉が望ましくない構造部500が存在する場合を想定する。そこで、電線ガイドピン2は、電線200を構造部500に干渉しない配索経路で案内させる。以下、構造部500に関して、コネクタ100の背面103と対向する面を「正面」と、当該正面とは反対側の面を「裏面」と、構造部500の正面と裏面との間のいずれかの面を「側面」とそれぞれ表記する。
【0050】
電線ガイドピン2は、硬質である合成樹脂又は金属等で形成され、第1棒状部20と第2棒状部21とを一体的に有する。
【0051】
第1棒状部20は、第1実施形態における第1棒状部10と同一構成かつ同一形状であるとみなされ、第1棒状部10と同様に、接続端部20aと、係合穴20bとを有する。接続端部20aは、コネクタ100の背面103から第7キャビティ101gに挿入されてもよい。
【0052】
第2棒状部21は、一例として、2カ所で曲線状に屈曲する角棒部である。第2棒状部21の一端は、開放端である。第2棒状部21の他端は、第1棒状部20の開放端とは反対側の端部と連続する。本実施形態では、この第1棒状部20と第2棒状部21との連続部が、1つ目の曲線部としての第1曲線部21bである。第2棒状部21は、第1曲線部21bを有することで、第1棒状部20からの延伸方向を構造部500の正面を回避する方向に変更することができる。また、第2棒状部21は、例えば、構造部500の側面近傍から裏面側に回り込むように一部が屈曲する、2つ目の曲線部としての第2曲線部21cを有してもよい。この場合、第2棒状部21における第1曲線部21bと第2曲線部21cとの間の直線部が、第1実施形態における取付部11aに代わる、1つ目の取付部21aとなり得る。同様に、第2棒状部21における第2曲線部21cと開放端との間の直線部が、2つ目の取付部21aとなり得る。
【0053】
例えば、本実施形態では、コネクタ100の第1キャビティ101aから第1電線200aが導出され、第2キャビティ101bから第2電線200bが導出されているものとする。そして、第1電線200a及び第2電線200bの各々の一部は、1つ目の取付部21a及び2つ目の取付部21aの2カ所で、テープ300で束ねられて第2棒状部21に巻き付けられる。このとき、第2棒状部21は、第1棒状部20から構造部500を回避する形状で形成されているので、第1電線200a及び第2電線200bは、構造部500を回避した経路で配索される。
【0054】
なお、第2棒状部21における第1曲線部21b等の曲線部の位置又は形状は、構造部500の位置又は形状等の各種条件に基づいて任意に設定し得る。
【0055】
このように、電線ガイドピン2は、第2棒状部21の少なくとも一部は、曲線状に屈曲していてもよい。
【0056】
この電線ガイドピン2によれば、簡易的な構造を維持しつつ、コネクタ100の背面103から導出される電線200の配索経路の取り得る範囲を広げることができる。
【0057】
以上、各実施形態を説明したが、実施形態はこれらに限定されるものではなく、実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,2 電線ガイドピン
10,20 第1棒状部
10a,20a 接続端部
10b,20b 係合穴
11,21 第2棒状部
11a,21a 取付部
100 コネクタ
101 キャビティ
103 背面
104 ランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6