(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134915
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240927BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240927BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G03G21/00 510
B41J21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045362
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河部 匡剛
(72)【発明者】
【氏名】野口 大介
(72)【発明者】
【氏名】山口 慧
(72)【発明者】
【氏名】中山 博義
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AS02
2C061CK13
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HV21
2C061HX10
2C061KK03
2C061KK25
2C061KK26
2C061KK27
2C187AD20
2C187AG01
2C187AG15
2C187BF08
2C187BF41
2C187BF49
2C187BH17
2C187BH24
2C187CD06
2C187HA36
2H270KA55
2H270KA57
2H270LB01
2H270LD03
2H270LD09
2H270RB03
2H270RC03
2H270RC13
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷物内の各領域に対する検査の精度の設定のためのユーザの負担を低減する。
【解決手段】
情報処理システム30は、プリプレスシステム10及びジョブ管理部22から、ジョブが表す印刷物の種類等の設定の情報を取得する。情報処理システム30は、印刷物の種類が圧着はがきである場合、設定情報から圧着面内の領域を特定し、その領域に対しては、非圧着面内の領域よりも高いレベルの検査精度を設定する。また、印刷物の種類がシールの場合、シールのカットライン内の領域に対して、それ以外の領域よりも高いレベルの検査精度を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷データに基づく印刷処理についての設定情報に基づき、前記印刷データが表す画像の中の第1領域を特定し、
特定した前記第1領域に対して前記第1領域以外の領域よりも高い検査精度での検査を指示する指示情報を、前記印刷処理の結果を検査する検査装置に対する指示情報として生成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記設定情報から特定される印刷物の種類に基づき前記第1領域を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
特定された前記種類が圧着印刷物である場合、圧着されて隠れる領域を前記第1領域として特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
特定された前記種類が折り印刷物である場合、折られた状態で外部から隠れる領域を前記第1領域として特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
特定された前記種類がシールである場合、前記シールのカットライン内の領域を前記第1領域として特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記指示情報として、前記第1領域内の固定データが印刷される領域については、前記第1領域内のバリアブルデータが印刷される領域よりも低い精度で検査することを指示する情報を含んだ指示情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
印刷データに基づく印刷処理についての設定情報に基づき、前記印刷データが表す画像の中の第1領域を特定し、
特定した前記第1領域に対して前記第1領域以外の領域よりも高い検査精度での検査を指示する指示情報を、前記印刷処理の結果を検査する検査装置に対する指示情報として生成する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷又はプロダクション印刷の分野では、出力された印刷物を読み取り、汚れがないか、正しい情報が印刷されているかなどを検査する検査装置が用いられている。
【0003】
特許文献1に記載された装置は、個々に異なる可変情報を含んだ印刷物を検査するために、印刷物のレイアウト定義等に基づいて検査フィールドを定義し、検査フィールドに印刷されるべきデータを表す検証用データを生成する。そして、その装置は、印刷物の検査フィールドを撮影した画像と検証用データを比較して検査を行う。
【0004】
特許文献2に記載された装置は、バリアブル印刷データを解析して、ページ内の固定領域、余白領域、バリアブル領域を特定する。その装置は、印刷結果の検品の際、固定領域、余白領域、バリアブル領域という領域の種別ごとに定められた判断基準に従って正解画像と検品対象画像の誤差を算出し、検品結果がOKかNGかを判定する(例えば段落0050、0054-0061参照)。
【0005】
特許文献3に記載された装置は、多数の原稿画像データから、ページ間で共通に固定した内容が印刷される固定印刷領域と、ページ毎に変更される内容が印刷される変更印刷領域とを抽出する。そしてその装置は、固定印刷領域については変更印刷領域よりも印刷良否の判断基準を低くして検査を行う(例えば段落0022、0027参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-277676号公報
【特許文献2】特開2012-000876号公報
【特許文献3】特開2005-217931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷物の全面を高い精度で検査しようとすると、例えば印刷物を高解像度でスキャンして得た大きなサイズの画像データを検査する必要が出てくるなど、検査のための計算処理の負荷が高くなる。
【0008】
そこで、高い精度で検査する対象を重要な領域のみに限定する等といった対処を行うことが考えられる。しかし、どの領域を高い精度で検査するか等の設定をユーザが行うとすると、ユーザの負担が大きい。
【0009】
本発明は、印刷物内の各領域に対する検査の精度の設定のためのユーザの負担を、本発明を用いない場合よりも低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷データに基づく印刷処理についての設定情報に基づき、前記印刷データが表す画像の中の第1領域を特定し、特定した前記第1領域に対して前記第1領域以外の領域よりも高い検査精度での検査を指示する指示情報を、前記印刷処理の結果を検査する検査装置に対する指示情報として生成する、ことを特徴とする情報処理システムである。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、前記設定情報から特定される印刷物の種類に基づき前記第1領域を特定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、特定された前記種類が圧着印刷物である場合、圧着されて隠れる領域を前記第1領域として特定する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システムである。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、特定された前記種類が折り印刷物である場合、折られた状態で外部から隠れる領域を前記第1領域として特定する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システムである。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記プロセッサは、特定された前記種類がシールである場合、前記シールのカットライン内の領域を前記第1領域として特定する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システムである。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記プロセッサは、前記指示情報として、前記第1領域内の固定データが印刷される領域については、前記第1領域内のバリアブルデータが印刷される領域よりも低い精度で検査することを指示する情報を含んだ指示情報を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0016】
請求項7に係る発明は、印刷データに基づく印刷処理についての設定情報に基づき、前記印刷データが表す画像の中の第1領域を特定し、特定した前記第1領域に対して前記第1領域以外の領域よりも高い検査精度での検査を指示する指示情報を、前記印刷処理の結果を検査する検査装置に対する指示情報として生成する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は7に係る発明によれば、印刷物内の各領域に対する検査の精度の設定のためのユーザの負担を、本発明を用いない場合よりも低減することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、印刷物の種類に応じて各領域の検査精度を設定することができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、圧着されて隠れる領域に対してそうでない領域よりも高い検査精度を設定することができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、折られた状態で隠れる領域に対してそうでない領域よりも高い検査精度を設定することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、シールのカットライン内の領域に対してそうでない領域よりも高い検査精度を設定することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、固定データが印刷される領域よりもバリアブルデータが印刷される領域の方を高い検査精度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態の印刷・検査システムの構成の例を示す図である。
【
図3】圧着はがきの各領域に対する検査のレベルの設定の例を示す図である。
【
図4】圧着はがきの各領域に対する検査のレベルの設定の別の例を示す図である。
【
図5】シールに対する検査のレベルの設定の例を示す図である。
【
図6】印刷物の種類以外の基準に基づくレベルの設定を説明するための図である。
【
図7】情報処理システムの処理手順の一例を示す図である。
【
図8】情報処理システムの処理手順の別の例の一部を示す図である。
【
図9】情報処理システムの処理手順の別の例の残りの部分を示す図である。
【
図10】コンピュータのハードウエア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<システム構成>
図1に、本実施形態の印刷・検査システムの構成を例示する。この印刷・検査システムは、プリプレスシステム10と、印刷装置20と、情報処理システム30と、検査装置40とを備える。
【0025】
プリプレスシステム10は、ユーザのプリプレス作業を支援し、プリプレス作業の結果に基づいて、印刷装置20に与える印刷データを生成する。例えば、プリプレスシステム10は、組版や面付けの指定をユーザから受け付け、それらの指定に従って1以上の原稿データを組版することにより、印刷データを生成する。印刷データは、印刷対象の画像を表すデータである。印刷データは、例えばページ記述言語(以下「PDL」という。PDLは、Page Description Languageの略)形式やPDF(Portable Document Format)等の形式で、印刷対象の画像を表す。
【0026】
またプリプレスシステム10は、プリプレス工程や本番の印刷及び後処理の工程のワークフローについての設定を受け付ける機能を備え、その設定に応じて印刷データや設定情報を生成する。ワークフローについての設定の項目の中には、作成する印刷物の種類がある。印刷物の種類には、例えば、圧着はがき、シール、折丁等がある。またプリプレスシステム10は、印刷物の種類に応じたパラメータの設定を受け付ける。例えば、印刷物の種類が圧着はがきである場合、プリプレスシステム10は、二つ折り型、Z折り型といった圧着はがきの細分類を示すパラメータの設定を受け付けてもよい。また、印刷物の種類がシールである場合、プリプレスシステム10は、シール用紙のうちシールとして用いる部分の外形を表すカットラインを規定する情報を、パラメータとして受け付けてもよい。プリプレスシステム10が生成した印刷データや設定情報は、印刷装置20に供給される。
【0027】
印刷装置20は、プリプレスシステム10から入力された印刷データや設定情報に従って印刷を実行する。また、印刷装置20は、印刷後の用紙に対して、折り、製本、ステープル綴じ、圧着綴じ、シールカット、等の後処理を行う機能を備えていてもよい。ここでは、印刷装置20が実行する印刷や後処理を規定するデータのことをジョブと呼ぶ。ジョブは、プリプレスシステム10から入力された印刷データ及び設定情報、並びに、この印刷装置20のUI(ユーザインタフェース)から入力される設定情報を含む。
【0028】
印刷装置20は、ジョブ管理部22と印刷機構24とを備える。ジョブ管理部22は、印刷装置20が保持する1以上のジョブの実行を管理する。ジョブ管理部22は、例えば、個々のジョブに対する設定情報の入力を受け付けてもよい。ジョブ管理部22が受け付ける設定情報には、色に関する設定、後処理に関する設定等、様々なものが含まれ得る。印刷機構24は、印刷データを用紙に印刷する機構である。刷版方式、インクジェット方式、電子写真方式等の様々な印刷方式があるが、印刷機構24はそのいずれを用いるものであってもよい。印刷機構24は、印刷後の用紙に対して後処理を施す機構を備えていてもよい。印刷機構24は、プリプレスシステム10やジョブ管理部22を介してユーザから入力された設定情報に従って、印刷や後処理を実行する。
【0029】
この例では、プリプレスシステム10及びジョブ管理部22を介して、ジョブについての各種の設定情報が入力される。ただし、これは一例に過ぎない。プリプレスシステム10及びジョブ管理部22のいずれか一方のみにてジョブについての設定情報の入力を受け付ける構成であってもよい。
【0030】
情報処理システム30は、印刷データが表すページの画像を領域ごとに分けて、各領域の検査精度のレベル(以下単に「レベル」と呼ぶ)を設定する。情報処理システム30は、例えば、印刷データや設定情報を解析することにより、ページ中のバリアブルデータ領域を特定し、バリアブルデータ領域か否かに応じてレベルの設定を行う。ここで、バリアブルデータ領域とは、印刷物ごとに印刷内容が差し替えられる領域のことである。なお、このように印刷物ごとに一部の印刷内容を差し替えて印刷する印刷処理は、バリアブル印刷と呼ばれる。また情報処理システム30は、バリアブルデータ領域のページ内での位置に応じて、レベルを設定してもよい。また情報処理システム30は、バリアブルデータ領域の大きさに応じて、レベルを設定してもよい。また情報処理システム30は、設定情報に含まれる印刷物の種類に従って、その印刷物を構成するページ群を複数の領域に分け、各領域に対してレベルの設定を行う。情報処理システム30が行うレベル設定については後で詳しく説明する。
【0031】
検査装置40は、印刷装置20により印刷された画像を検査する。検査装置40は、印刷結果のページをカメラやラインセンサ等の光学的なセンサでスキャンし、このスキャンにより得られた画像(以下、スキャン画像と呼ぶ)を基準画像と比較する等の処理を行うことにより、検査を実行する。検査装置40は、例えば、印刷装置20に内蔵される形態のものであってもよいし、印刷装置20の排紙部から印刷物を受け取ることができるよう印刷装置20に接続される形態のものであってもよい。
【0032】
検査装置40が行う検査は、従来公知のものでよい。例えば、検査装置40は、スキャン画像と基準画像とを画素ごとに比較し、それら両画像の間で値が異なる画素の数をそれら両画像の差の大きさとして求める。そして、この差の大きさが許容可能な閾値以下であれば、その印刷結果を合格と判定する。この他の従来公知の検査手法を用いてもよい。
【0033】
検査装置40が行う検査は、ジョブが表す正しい内容が印刷されているか否かを調べる内容面での検査が含まれていてもよいし、印刷結果に汚れがないかを調べる印刷品質面での検査が含まれていてもよい。内容面での検査には、例えば、数値やバーコード等が正しく印刷されているかを調べる検査がある。
【0034】
検査で用いられる基準画像は、その印刷物の表面上に本来形成されているべき画像である。一つの例では、基準画像は、例えば、人間の目で正しい印刷結果であることが確認された印刷物を光学的に読み取ることにより生成される。また別の例では、ジョブの印刷データをラスタライズすることにより生成されたラスター画像データを基準画像として用いる。なお、ラスタライズとは、PDL等で記述された印刷データをラスター画像データに変換する処理のことである。この方式は、バリアブル印刷のように、印刷物ごとに印刷内容が異なる印刷物を作成するジョブにも適用可能である。なお、印刷物は、1ページの文書である場合もあれば、複数のページからなる文書の場合もある。バリアブル印刷の検査では、印刷装置20又は情報処理システム30が、ジョブの印刷データから各印刷物に対応する基準画像を生成し、それら各印刷物に対応する基準画像を、例えばそれら各印刷物の生成順に、検査装置40に供給する。検査装置40は、印刷装置20の印刷結果を読み取って得たスキャン画像を、対応する基準画像と比較することにより、検査を行う。
【0035】
また、検査装置40は、印刷データが表す画像の中の領域ごとに、検査のレベルを変えることができる。検査のレベルは、例えば、検査に用いる画像(すなわち上述のスキャン画像と基準画像)の解像度を変えることにより変えることができる。スキャン画像と基準画像を画素ごとに比較する検査では、例えば、画素サイズよりも著しく小さいサイズの相違があったとしても、その相違の検出は困難である。したがって、検査に用いる画像の解像度を粗くすれば、検出可能な相違の下限サイズが大きくなってしまうこととなり、検査の精度が下がる。その代わりに、解像度を粗くすれば、スキャン画像や基準画像のデータ量が小さくなるので、情報処理システム30や検査装置40のメモリ容量の必要量は小さくて済む。また、画素数が少なくなるので、両画像間での比較の回数が少なくなり、検査の処理負荷が低減される。この例では、検査のレベルを高くするほど、画像の解像度が高くなるため、より小さい相違を検出可能となる。
【0036】
別の例では、検査のレベルは、合格、不合格の判定の閾値を異ならせることにより変えることができる。スキャン画像と基準画像との間の差の大きさが閾値以下であれば合格、閾値を超えると不合格という検査が行われる場合、その閾値を低く設定するほど、合格が困難になる。すなわち検査のレベルが厳しくなる。すなわち合格するには、印刷物の画像が基準画像に対してより近いものとならなければ合格できなくなる。
【0037】
なお、検査装置40が実行可能な検査のレベルがn段階(nは2以上の整数)である場合、n段階のうち最低のレベルは、検査しないことを意味するものであってもよいし、それらn段階の中で最低の精度で検査することを意味するものであってもよい。
【0038】
<レベル設定の概要>
情報処理システム30は、印刷物の種類に従って、ジョブで生成する印刷物の各領域に対してレベルの設定を行う。情報処理システム30は、例えば、印刷物の種類が圧着はがきである場合、折りパンフレット等の折り加工が施された印刷物である場合、シールである場合等に、それぞれの種類に応じて領域分けを行い、各領域にレベルを設定する。
【0039】
まず、圧着はがきの場合を説明する。圧着はがきの場合、印刷結果のページ群は、圧着される圧着面と、圧着されない非圧着面とに分かれる。圧着面は、圧着により隠れてしまうため、剥がさない限り外側からは見えない。一方、非圧着面は、隠れないため、圧着された状態でも外側から見える。非圧着面には、宛先や差出人のように、名宛人以外の人が見る必要がある情報や名宛人以外に見られてもよい情報が印刷される。これに対し、圧着面には個人情報等の秘密情報や名宛人に特に知らせたい情報(例えば名宛人にカスタマイズした広告)のように、比較的重要な情報が印刷される。
【0040】
そこで、情報処理システム30は、ジョブの設定情報中の印刷物の種類が圧着はがきである場合、印刷データが表すページのうち圧着面に該当するページと非圧着面に該当するページを特定する。そして、情報処理システム30は、圧着面に該当するページに対する検査のレベルを、非圧着面に該当するページの検査のレベルよりも高くする。これにより、より重要な情報が印刷されていると想定される圧着面が、非圧着面よりも高い精度で検査されることとなる。
【0041】
図2に圧着はがき100の例を示す。例示した圧着はがき100は、Z折り型のものである。圧着はがき100の表面は、面110、120及び130の3つの面(すなわちページ)から構成されている。圧着時には面110と面120とが境界線L1に沿って、面120と面130とが境界線L2に沿って折られ、面120と面130とが圧着される。圧着の結果、面120と面130とは隠れて見えなくなる。一方、面110は、他の面とは圧着されず、外部に露出したままとなる。面120と面130とが圧着面であり、面110は非圧着面である。
図2にはあらわれない圧着はがき100の裏面側では、面110の裏面と面120の裏面が圧着され、面130の裏面は圧着されずに露出したままとなる。したがって、面110の裏面と面120の裏面は圧着面であり、面130の裏面は非圧着面である。
【0042】
図2の例では、面110は、圧着はがき100の宛先が記載される面であり、宛先表示112、料金別納表示114、このはがきの表題116、及び差出人の企業ロゴ118が印刷されている。宛先表示112には、宛先の住所及び氏名と、その宛先に固有の識別情報を示すバーコードとが含まれる。この宛先表示112の内容は、圧着はがき100ごと、すなわち宛先ごとに異なるバリアブルデータである。これに対し、料金別納表示114、表題116、及び企業ロゴ118は、すべての宛先に共通のデータ(以下、固定データと呼ぶ)である。この圧着はがき100は、差出人企業がその宛先のユーザに提供したサービスについての料金を知らせるためのものであり、表題116はこのはがきの目的を表す「サービスご利用料金のお知らせ」という文字列となっている。
【0043】
面120には、サービスの利用料金の明細122が印刷されている。この明細122は、宛先表示112に示された宛先のユーザが利用したサービスについてのものであり、宛先に対応するバリアブルデータである。
【0044】
面130には、このはがきによる通知に対する問い合わせ先の情報132が印刷されている。この情報132は、すべての宛先に共通の固定データである。
【0045】
なお、この例では、料金別納表示114、表題116、及び企業ロゴ118が事前に印刷済みの圧着はがき用紙を用いているものとする。印刷装置20は、この圧着はがき用紙に対して、宛先表示112、明細122及び問い合わせ先の情報132を印刷し、圧着綴じを行う。
【0046】
一つの例では、情報処理システム30は、
図3に示すように、印刷装置20が印刷する宛先表示112、明細122、問い合わせ先の情報132のそれぞれを内包する領域113、123、133を検査の対象領域に設定する。例えば、領域123は、明細122の画像内容のバウンディングボックスよりも少し大きい矩形領域として設定される。なお、バウンディングボックスとは、描画されるオブジェクトを取り囲む最小の矩形(ただし、その矩形の各辺はページの縦又は横の辺のどちらかに平行である)のことである。この例では、印刷装置20が印刷する領域113、123、133以外の領域、例えば事前に印刷済みの料金別納表示114、表題116、及び企業ロゴ118等がある領域は、検査の対象領域に設定されない。そして、情報処理システム30は、領域113、123、133のうち、圧着面内にある領域123及び133に割り当てる検査のレベルを、非圧着面内の領域113の検査のレベルよりも高いレベルに設定する。
図3では、領域113、123、133に施したドットパターンのドット密度が高いほど、検査のレベルが高い。この例では、領域123と領域133には同じレベルが設定され、そのレベルは領域113に設定されたレベルよりも高い。
【0047】
別の例では、情報処理システム30は、
図4に例示するように、圧着面内の領域123と領域133のうち、固定データである情報132に対応する領域133の検査のレベルを、バリアブルデータである明細122に対応する領域123の検査のレベルよりも低い値に設定する。
図4にはないが、非圧着面上の領域同士の間でも、同様にバリアブルデータの領域のレベルは固定データの領域のレベルよりも高く設定される。また、バリアブルデータの領域同士の比較では、圧着面上の領域のレベルは非圧着面上の領域のレベルより高く設定される。圧着面上の固定データの領域と非圧着面上の固定データの領域との間のレベルの関係も同様である。
【0048】
選択可能なレベルの数が許す範囲で、上述した関係を満たすようにレベルが決定される。図示した例は、選択可能なレベルが高及び低の2段階であり、領域123のレベルは高、領域113と領域133のレベルは低に設定されている。なお、この場合の低レベルは、検査しないことを意味するものであってもよい。
【0049】
選択可能なレベルの数が3であれば、例えば、圧着面上のバリアブルデータの領域のレベルは高、圧着面上の固定データの領域及び非圧着面上のバリアブルデータの領域は中、非圧着面上の固定データの領域は低、等と設定することができる。また、選択可能なレベルの数が4以上であれば、圧着面上の固定データの領域のレベルと非圧着面上のバリアブルデータの領域のレベルとを異ならせることが可能である。
【0050】
圧着はがき以外にも、圧着ダイレクトメールのように圧着綴じを用いる種類の印刷物がある。このように圧着綴じを用いる印刷物の種類には、
図3又は
図4に示したのと同様のレベル設定が適用可能である。
【0051】
印刷物の種類が折り印刷物である場合に、圧着印刷物と同様のレベル設定を行ってもよい。折り印刷物とは、折り加工により折られた状態となる印刷物のことである。情報処理システム30は、二つ折り、三つ折り等の折り加工により折り印刷物を作成する場合、折られた状態で隠れる面内の領域の検査のレベルを、その状態で外から見える面内の領域のレベルよりも高く設定する。
【0052】
次にシールの場合を、
図5を参照して説明する。シール印刷の場合、シール用紙200のシール面上にカットライン210が形成される。シール用紙200の粘着面のうちこのカットライン210の内側の部分が剥離紙から剥がされてシールとなる。カットライン210が事前に形成されたシール用紙200に対して印刷が行われる場合もあれば、カットライン210が形成されていないシール用紙200に対して印刷を行った後、後処理によりカットライン210が形成される場合もある。ここでは便宜上カットライン210が事前に形成されたシール用紙200を用いる場合を例に取るが、本実施形態のレベル設定は、カットライン210が印刷後の後処理で形成される場合も適用される。
【0053】
図5の例では、カットライン210が形成されたシール用紙200に対して、背景パターン上に地球の図柄と「ABCD」と言う文字列が示される画像250が印刷される。印刷後の状態では、この画像250のうち地球の図柄と「ABCD」の文字列とはカットライン210内に収まるが、背景パターンはカットライン210の外にはみ出す。この場合、情報処理システム30は、カットライン210の内側の領域220の検査のレベルを、カットライン210の外側よりも高く設定する。
【0054】
図6に、別の基準に従う検査のレベル設定の例を示す。例示する招待状300には、宛先表示310と、招待内容を示す画像320とが印刷される。宛先表示310は、招待状300の宛先であるゲストの住所及び氏名と、そのゲストの識別情報等を示すバーコードを含んでいる。宛先表示310は、宛先ごとに異なるバリアブルデータである。また招待内容を示す画像320のうち、ゲストの名前330は宛先ごとに異なるバリアブルデータであるが、他の部分はすべての宛先に共通の固定データである。
【0055】
この例では、情報処理システム30は、バリアブルデータである宛先表示310とゲストの名前330の領域の検査のレベルを、固定データである画像320(ただし名前330は除く)のレベルよりも高く設定する。
【0056】
また、同じバリアブルデータである宛先表示310と名前330との間で、他の基準に従ってレベルの差が設けられてもよい。例えば、ページの中央に近いほどレベルを高くする基準が考えられる。この基準は、ページの中央に近いほど注目されやすいため、高い印刷品質が求められるという考え方に基づいている。また、別の例として、写真等の画像に近い領域ほどレベルを高くする基準が考えられる。この基準は、写真等の画像は注目されやすいため、その近くにあるバリアブルデータにも高い印刷品質が求められるという考え方に基づいている。更に別の例として、画像サイズが大きいバリアブルデータほどレベルを高くすると言う基準が考えられる。この基準は、画像サイズが大きいほど注目されやすいため、高い印刷品質が求められるという考え方に基づいている。
【0057】
<処理手順の例>
次に、
図7を参照して、情報処理システム30が実行する処理手順の例を説明する。あくまで一例であるが、この例では、検査装置40にて選択可能な検査のレベルは高及び低の2段階であるとする。
【0058】
図7の処理手順では、情報処理システム30は、検査を行う旨の設定がなされているジョブの実行を開始する際、プリプレスシステム10から当該ジョブについてのワークフローの設定情報を、ジョブ管理部22から当該ジョブの設定情報をそれぞれ取得し、解析する(S102)。次に情報処理システム30は、それら設定情報が示す印刷物の種類が圧着はがき等の圧着印刷物か否かを判定する(S104)。この判定の結果がYesの場合、情報処理システム30は、それら設定情報に基づき、1つの圧着印刷物を構成する複数の面(すなわちページ)のうち、圧着された状態で隠れる面、すなわち圧着面、を特定する(S106)。S104の判定結果がNoの場合、情報処理システム30は、設定情報が示す印刷物の種類が折り印刷物かどうかか否かを判定する(S108)。この判定の結果がYesの場合、情報処理システム30は、それら設定情報に基づき、1つの印刷物を構成する複数の面のうち、折られた状態で隠れる面を特定する(S110)。S108の判定結果がNoの場合、情報処理システム30は、設定情報が示す印刷物の種類がシールか否かを判定する(S112)。この判定の結果がYesの場合、情報処理システム30は、それら設定情報からシールのカットラインを求め、そのカットラインの内側の領域を特定する(S114)。事前にカットラインが形成されているシール用紙が用いられる場合には、その用紙のカットラインの位置や形状の情報が例えばワークフローの設定情報の一項目として登録されているものとする。また、印刷装置20の後処理機構によりシール用紙にカットラインを形成する場合は、そのカットライン形成のために入力された設定情報からカットラインを特定すればよい。S104、S108、S112の実行順序は図示したものに限らず、どのような順序であってもよい。
【0059】
次に情報処理システム30は、S106、S110又はS114で特定した領域(すなわち圧着面、折られた状態で隠れる面、又はカットラインの内側の領域)に対する検査のレベルを高に設定する(S116)。また情報処理システム30は、それらに該当しない領域のレベルは低に設定する(S118)。例えば、ジョブで生成する印刷物の種類が圧着はがきである場合、S116及びS118では、1つの印刷物(すなわち1通の圧着はがき)を構成する複数の面のうち、圧着面のレベルは高に、非圧着面のレベルは低に設定される。
【0060】
なお、情報処理システム30は、S106で特定した圧着面の全体につき検査のレベルを高に設定する代わりに、圧着面内で印刷される画像が存在する領域のみ、又はその領域を所定割合だけ広げた領域のみ、に対してレベルを高に設定することとしてもよい。印刷される画像が存在する領域は、印刷データにおいて描画命令によりオブジェクトが描画される領域である。この場合、圧着面のうち、レベル「高」を設定した領域以外の部分は、検査の対象外としてもよい。同様に、S118でも、非圧着面全体ではなく、そのうち印刷される画像が存在する領域(又はこれを所定割合だけ広げた領域)のみに対して、レベルを低に設定することとしてもよい。非圧着面のうち、レベルを低に設定された領域以外の部分は検査の対象外となる。折り加工の場合も同様である。
【0061】
情報処理システム30は、S116及びS118での設定の結果を示すレベル設定情報を検査装置40に渡す(S120)。検査装置40は、受け取ったレベル設定情報に従って、印刷機構24による印刷結果の各領域に対して、その領域に設定されたレベルの検査を実行する。
【0062】
次に、
図8及び
図9を参照して、情報処理システム30が実行する処理手順の例を説明する。この例では、検査装置40にて選択可能な検査のレベルはn段階(nは2以上の整数)である。
図8及び
図9において、
図8の手順のステップと同様の処理を表すステップには同一符号を付した。
【0063】
この手順では、情報処理システム30は、印刷データが表すページ内の各領域に対してその領域の持つ諸特徴に応じてスコアを与え、各領域のスコアに応じて各領域の検査のレベルを決定する。
【0064】
図8に示すように、情報処理システム30は、検査を行う旨の設定がなされているジョブの実行を開始する際、ジョブで生成する印刷物を構成する各ページの全面のスコアを初期値にリセットとする(S130)。次に情報処理システム30は、
図8の手順と同様、S104~S114の処理を実行する。そして、情報処理システム30は、S106、S110又はS114で特定した各領域(すなわち圧着面、折られた状態で隠れる面、又はカットラインの内側の領域)に対して、それぞれ所定の点数を加点する(S132)。S130の直後の時点では、印刷物の全面のスコアが初期値であったが、S132によりその全面のうちS106、S110又はS114で特定した各領域については、そのスコアは、初期値に対して所定の点数が加算された値となる。なお、この例では、圧着面、折られた状態で隠れる面、及びカットラインの内側の領域に対して、S132で同じ所定の点数を加点したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、それら3種類の領域に対して、その種類に対応して個別に定められた点数をそれぞれ加算することとしてもよい。
【0065】
次に情報処理システム30は、
図9に示すように、ジョブの印刷データ及び設定情報を解析することにより、バリアブルデータが印刷される領域を特定し(S134)、特定した各領域のスコアに対して、バリアブルデータであるという特徴に対応する所定の点数を加算する(S136)。また、情報処理システム30は、S134で特定した領域のうち写真の画像からの距離が所定の閾値以内である領域を特定し(S138)、特定した各領域のスコアに対して写真の画像に近いという特徴に対応する所定の点数を加算する(S140)。また、情報処理システム30は、S134で特定した領域のうちサイズが所定の閾値以上である領域を特定し(S142)、特定した各領域のスコアに対してサイズが大きいという特徴に対応する所定の点数を加算する(S144)。また、情報処理システム30は、S134で特定した領域のうちページの中央からの距離が所定の閾値以内である領域を特定し(S146)、特定した各領域のスコアに対してページの中央に近いという特徴に対応する所定の点数を加算する(S148)。
【0066】
S138、S142、S146でそれぞれ用いる閾値は、予め定めた固定の値であってもよい。また、それら閾値を、ジョブの印刷データに含まれるオブジェクト群から定めてもよい。例えば、S142で用いるサイズの閾値として、例えばジョブ中で大きい順に見て10パーセントの位置にあるサイズ、のように、ジョブ中のオブジェクトのサイズについての統計値を用いてもよい。
【0067】
以上の処理により、例えば圧着面内のバリアブルデータであって写真の画像に対する距離が閾値以下であるバリアブルデータの領域のスコアは、初期値に対して、S132の加点と、S136の加点と、S138の加点とを施した値となる。また、例えば、圧着面、折られた状態で隠れる面、シールのカットライン内の領域のいずれにも該当しないが、S142で閾値以上のサイズであると判定されたバリアブルデータの領域のスコアは、初期値に対してS144の加点を施した値となる。
【0068】
なお、
図9に示したステップの実行順序はあくまで一例に過ぎない。
【0069】
そして、情報処理システム30は、印刷物の各面の各領域に対して、その領域のスコアに応じた検査のレベルを設定する(S150)。例えば、スコアがとり得る値の範囲は検査のレベルの段階数に分割されており、分割された各範囲に対して、スコアの高い順に、高いレベルが割り当てられている。S150では、情報処理システム30は、領域ごとに、その領域のスコアが位置する範囲に対応する検査のレベルを求め、そのレベルをその領域に対して設定する。そして、S150での設定の結果を示すレベル設定情報を検査装置40に渡す(S120)。検査装置40は、受け取ったレベル設定情報に従って、印刷機構24による印刷結果の各領域に対して、その領域に設定されたレベルの検査を実行する。
【0070】
図7、並びに
図8及び
図9に例示した手順は、ジョブを開始する際に実行するものとして説明したが、これは一例に過ぎない。ジョブの開始時以外でも、例えばユーザからジョブについての検査の設定情報の生成が指示された場合、同様の処理手順でそのジョブについての検査の設定情報を生成してもよい。
【0071】
以上に説明した情報処理システム30は、例えば、汎用のコンピュータを用いて構成される。このコンピュータは、例えば、
図10に例示するように、プロセッサ1002、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のメモリ(主記憶装置)1004、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶装置である補助記憶装置1006を制御するコントローラ、各種の入出力装置1008とのインターフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインターフェース1010等が、例えばバス1012等のデータ伝送路を介して接続された回路構成を有する。上記実施形態の処理の内容が記述されたプログラムが、ネットワーク等を経由してそのコンピュータにインストールされ、補助記憶装置1006に記憶される。補助記憶装置1006に記憶されたプログラムが、プロセッサ1002によりメモリ1004を用いて実行されることにより、本実施形態の情報処理機構が構成される。
【0072】
また、情報処理システム30は、単一のコンピュータにより構成されてもよいし、複数のコンピュータにより構成されてもよい。例えば、情報処理システム30の一部の機能がプリプレスシステム10、印刷装置20又は検査装置40に内蔵されたコンピュータ、あるいは他のコンピュータ、に設けられてもよい。
【0073】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0074】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜に変更してもよい。
【0075】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷データに基づく印刷処理についての設定情報に基づき、前記印刷データが表す画像の中の第1領域を特定し、
特定した前記第1領域に対して前記第1領域以外の領域よりも高い検査精度での検査を指示する指示情報を、前記印刷処理の結果を検査する検査装置に対する指示情報として生成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
(((2)))
前記プロセッサは、
前記設定情報から特定される印刷物の種類に基づき前記第1領域を特定する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理システム。
(((3)))
前記プロセッサは、
特定された前記種類が圧着印刷物である場合、圧着されて隠れる領域を前記第1領域として特定する、
ことを特徴とする(((2)))に記載の情報処理システム。
(((4)))
前記プロセッサは、
特定された前記種類が折り印刷物である場合、折られた状態で外部から隠れる領域を前記第1領域として特定する、
ことを特徴とする(((2)))に記載の情報処理システム。
(((5)))
前記プロセッサは、
特定された前記種類がシールである場合、前記シールのカットライン内の領域を前記第1領域として特定する、
ことを特徴とする(((2)))に記載の情報処理システム。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記指示情報として、前記第1領域内の固定データが印刷される領域については、前記第1領域内のバリアブルデータが印刷される領域よりも低い精度で検査することを指示する情報を含んだ指示情報を生成する、
ことを特徴とする(((1)))~(((5)))のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(((7)))
印刷データに基づく印刷処理についての設定情報に基づき、前記印刷データが表す画像の中の第1領域を特定し、
特定した前記第1領域に対して前記第1領域以外の領域よりも高い検査精度での検査を指示する指示情報を、前記印刷処理の結果を検査する検査装置に対する指示情報として生成する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0076】
(((1)))又は(((7)))に係る構成によれば、印刷物内の各領域に対する検査の精度の設定のためのユーザの負担を、本発明を用いない場合よりも低減することができる。
(((2)))に係る構成によれば、印刷物の種類に応じて各領域の検査精度を設定することができる。
(((3)))に係る構成によれば、圧着されて隠れる領域に対してそうでない領域よりも高い検査精度を設定することができる。
(((4)))に係る構成によれば、折られた状態で隠れる領域に対してそうでない領域よりも高い検査精度を設定することができる。
(((5)))に係る構成によれば、シールのカットライン内の領域に対してそうでない領域よりも高い検査精度を設定することができる。
(((6)))に係る構成によれば、固定データが印刷される領域よりもバリアブルデータが印刷される領域の方を高い検査精度とすることができる。
【符号の説明】
【0077】
10 プリプレスシステム、20 印刷装置、22 ジョブ管理部、24 印刷機構、30 情報処理システム、40 検査装置。