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特開2024-13492取外用工具、及び、取外用工具を用いた取外方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013492
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】取外用工具、及び、取外用工具を用いた取外方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
E04F21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115611
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】北川 勝也
(72)【発明者】
【氏名】桝本 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】前田 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 和彦
(57)【要約】
【課題】キャップ部材の筒状部が充填材によってダクトに固着されている場合でもキャップ部材を容易に取り外すことができる取外用工具を提供する。
【解決手段】工具基端側L2に配置される操作部21と、工具先端側L1に配置されて筒状部8に外部側X2から挿入自在な挿入切断部22とを備え、挿入切断部22は、操作部21の工具先端側L1に連続して備えられ、外部側X2からキャップ部材5の筒状部8を通して当該筒状部8よりも内部側X1まで先端を配置自在に工具長さ方向Lに延在する挿入部23と、挿入部12の工具先端側L1に対して工具長さ方向Lに直交する工具縦幅方向に設定間隔DA1を空けた状態で備えられると共に、工具基端側X2に刃先側を向ける状態で工具長さ方向Lに延在して隙間Gに内部側L1から挿入されることで隙間Gに充填されている充填材14を切断可能な切断部24Aとを有する。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の貫通孔に内部側から差し込まれたダクトと前記ダクトに外部側から差し込まれたキャップ部材の筒状部との間に形成される隙間であって前記筒状部の外部側の端部から前記壁に沿って延在する延在部によって外部側が閉じられる隙間に対して充填されている充填材を切断して前記キャップ部材の取り外しを可能とする取外用工具であって、
工具基端側に配置される操作部と、
工具先端側に配置されて前記筒状部に前記外部側から挿入自在な挿入切断部とを備え、
前記挿入切断部は、前記操作部の前記工具先端側に連続して備えられ、前記外部側から前記キャップ部材の前記筒状部を通して当該筒状部よりも前記内部側まで先端を配置自在に工具長さ方向に延在する挿入部と、
前記挿入部の前記工具先端側に対して前記工具長さ方向に直交する工具縦幅方向に設定間隔を空けた状態で備えられると共に、前記工具基端側に刃先側を向ける状態で前記工具長さ方向に延在して前記隙間に前記内部側から挿入されることで前記隙間に充填されている前記充填材を切断可能な切断部とを有している取外用工具。
【請求項2】
前記操作部には、作業者が手で握るための把持部が備えられている請求項1に記載の取外用工具。
【請求項3】
前記操作部には、当該操作部を動かす駆動力を有する動力工具に接続するための駆動接続部が備えられている請求項1に記載の取外用工具。
【請求項4】
前記挿入切断部は、
前記工具先端側に取付部を有すると共に前記工具基端側に前記切断部を有する板状の切断具と、
前記挿入部の前記工具先端側から前記工具縦幅方向の一端側に延びる連結部と、
前記切断具の前記取付部を前記工具縦幅方向の前記一端側から締結する締結具とを備え、
前記切断部の外面が、前記工具縦幅方向において前記締結具の外面と同じ位置又はそれよりも前記一端側に配置されるように、前記切断部が前記取付部に対して前記工具縦幅方向の前記一端側に偏った状態に前記切断具が屈曲形成されている請求項1から3の何れか一項に記載の取外用工具。
【請求項5】
前記切断部は、前記挿入切断部を前記筒状部に挿入した状態において、前記壁の内外方向視での形状が前記筒状部の外面に沿う円弧状に形成されている請求項1から3の何れか一項に記載の取外用工具。
【請求項6】
前記切断部は、前記刃先側ほど細い先細り形状に形成されている請求項1から3の何れか一項に記載の取外用工具。
【請求項7】
請求項1から3の何れか一項に記載の取外用工具を用いた取外方法であって、
前記挿入切断部を前記筒状部に対して前記外部側から差し込んで前記筒状部より前記内部側に前記切断部を位置させた後、前記操作部を径方向外側に移動させると共に前記外部側に移動させて前記切断部を前記ダクトと前記筒状部との間に挿入させ、その後、前記操作部を操作して前記切断部によって前記ダクトと前記筒状部との間に充填されている充填材を切断する切断工程と、
前記筒状部を前記ダクトから抜き取って前記キャップ部材を取り外す取外工程とを行う取外方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁の貫通孔に内部側から差し込まれたダクトと前記ダクトに外部側から差し込まれたキャップ部材の筒状部との間に形成される隙間であって前記筒状部の外部側の端部から前記壁に沿って延在する延在部によって外部側が閉じられる隙間に対して充填されている充填材を切断して前記キャップ部材の取り外しを可能とする取外用工具、及び、その取外用工具を用いた取外方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、壁の貫通孔に内部側から差し込まれたダクトの外部側の端部に設置されてこのダクトの外部側の端部と共に貫通孔を通気可能に塞ぐキャップ部材が示されている。このキャップ部材には、ダクトに対して外部側から差し込まれる筒状部が備えられていると共に、このダクトと筒状体との間に形成される隙間から雨等の異物が侵入することを防止するために、筒状部の外部側の端部にはこの外部側の端部から壁に沿って延在する延在部が備えられている。また、ダクトと筒状部との間には、この間に形成される隙間を塞ぐために気密性や水密性、接着性を有するシーリング材等の充填材が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-210116公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
破損や経年劣化等によってキャップ部材の交換が必要な場合は、キャップ部材を外部側に引き抜いて取り外すが、キャップ部材の筒状部が充填材によってダクトに固着されている場合には容易に引き抜くことができない場合がある。
このような場合は、筒状部の外部側にある延在部を捲り上げた状態でダクトと筒状部との間に工具を挿入して充填材を切断した後にキャップ部材を引き抜くが、延在部を含めてキャップ部材はステンレス等の金属材で構成されている場合が多く延在部を捲り難いため、キャップ部材の取り外し作業が困難になる場合があった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、キャップ部材の筒状部が充填材によってダクトに固着されている場合でもキャップ部材を容易に取り外すことができる取外用工具、及び、この取外用工具を用いた取外方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、壁の貫通孔に内部側から差し込まれたダクトと前記ダクトに外部側から差し込まれたキャップ部材の筒状部との間に形成される隙間であって前記筒状部の外部側の端部から前記壁に沿って延在する延在部によって外部側が閉じられる隙間に充填されている充填材を切断して前記キャップ部材の取り外しを可能とする取外用工具であって、
工具基端側に配置される操作部と、
工具先端側に配置されて前記筒状部に前記外部側から挿入自在な挿入切断部とを備え、
前記挿入切断部は、前記操作部の前記工具先端側に連続して備えられ、前記外部側から前記キャップ部材の前記筒状部を通して当該筒状部よりも内部側まで先端を配置自在に工具長さ方向に延在する挿入部と、
前記挿入部の前記工具先端側に対して前記工具長さ方向に直交する工具縦幅方向に設定間隔を空けた状態で備えられると共に、前記工具基端側に刃先側を向ける状態で前記工具長さ方向に延在して前記隙間に前記内部側から挿入されることで前記隙間に充填されている前記充填材を切断可能な切断部とを有している点にある。
【0007】
本構成によれば、操作部の操作により挿入切断部を筒状部に対して外部側から差し込んで筒状部より内部側に切断部を位置させた後、操作部を径方向外側に移動させると共に外部側に移動させることで切断部をダクトと筒状部との間に形成されている隙間に進入させることができる。そして、このように進入させた切断部を内外方向に移動させたり筒状部に沿って周方向に移動させたりすることで、ダクトと筒状部との間に充填されている充填材を内部側から切断することができる。これによって、キャップ部材の延在部を捲ることなく充填材を切断することができるため、筒状部が充填材によってダクトに固着されていたキャップ部材でも容易に取り外すことができる。
このように、取外用工具を用いることで、キャップ部材の筒状部が充填材によってダクトに固着されている場合でもキャップ部材を容易に取り外すことができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記操作部には、作業者が手で握るための把持部が備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、作業者が把持部を手で握って手動操作することができるので、手動操作による充填材の切断作業が行い易くなる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記操作部には、当該操作部を動かす駆動力を有する動力工具に接続するための駆動接続部が備えられている点にある。
【0011】
本構成によれば、作業者が駆動接続部に動力工具を接続することで、その動力工具による駆動力で充填材を切断することができ、充填材の切断作業の省力化を図ることができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記挿入切断部は、
前記工具先端側に取付部を有すると共に前記工具基端側に前記切断部を有する板状の切断具と、
前記挿入部の前記工具先端側から前記工具縦幅方向の一端側に延びる連結部と、
前記切断具の前記取付部を前記工具縦幅方向の前記一端側から締結する締結具とを備え、
前記切断部の外面が、前記工具縦幅方向において前記締結具の外面と同じ位置又はそれよりも前記一端側に配置されるように、前記切断部が前記取付部に対して前記工具縦幅方向の前記一端側に偏った状態に前記切断具が屈曲形成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、切断具が屈曲形成されることによって切断部の外面が締結具の外面と同じ位置又はそれより一端側に位置しているため、切断部をダクトの内面に近づける際に締結具が邪魔にならないため、切断部をダクトと筒状部との間に形成される隙間に挿入させ易くなり、もっては、充填材を切断する作業が行い易くなる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記切断部は、前記挿入切断部を前記筒状部に挿入した状態において、前記壁の内外方向視での形状が前記筒状部の外面に沿う円弧状に形成されている点にある。
【0015】
本構成によれば、挿入部が筒状部の外面に沿う円弧状に形成されているため、挿入部を幅広に形成した場合でもダクトと筒状部との間に形成される隙間に挿入させ易くなり、充填材を切断する作業が行い易くなる。
【0016】
本発明の第6特徴構成は、前記切断部は、前記刃先側ほど細い先細り形状に形成されている点にある。
【0017】
本構成によれば、刃先側ほど細い先細り形状に形成されているため、ダクトと筒状部との間に形成されている隙間に挿入させた際に充填材を切断し易くなるため、充填材の切断作業が行い易くなる。
【0018】
本発明の第7特徴構成は、取外用工具を用いた取外方法であって、
前記挿入切断部を前記筒状部に対して前記外部側から差し込んで前記筒状部より内部側に前記切断部を位置させた後、前記操作部を径方向外側に移動させると共に前記外部側に移動させて前記切断部を前記ダクトと前記筒状部との間に挿入させ、その後、前記操作部を操作して前記ダクトと前記筒状部との間に充填されている充填材を前記切断部によって切断する切断工程と、
前記筒状部を前記ダクトから抜き取って前記キャップ部材を取り外す取外工程とを行う点にある。
【0019】
本方法によれば、切断工程を行うことで、筒状部の外部側からの操作部の操作で切断部によって内部側から充填材を切断することができるため、充填材によって固着されていたキャップ部材でも取外工程によって容易に取り外すことができる。
このように、キャップ部材の筒状部が充填材によってダクトに固着されている場合でも、取外用工具を用いることでキャップ部材を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】取外用工具の側面図
図2】取外用工具の底面図
図3】キャップ部材の縦断側面図
図4】取外用工具を筒状部に外部側から挿入した状態を示す縦断側面図
図5】取外用工具を径方向外側に移動させた状態を示す縦断側面図
図6】切断部を隙間に挿入した状態を示す縦断側面図
図7】キャップ部材を取り外した状態を示す縦断側面図
図8】別実施形態(1)における取外用工具を電動工具に接続した状態を示す側面図
図9】別実施形態(2)における切断部を円弧状に形成した状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る取外用工具及びその取外用工具を利用した取外方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図2図4から図6に示すように、取外用工具1は、壁2の貫通孔3に内部側X1から差し込まれたダクト4に外部側X2から取り付けられたキャップ部材5を外部側X2から取り外すための工具である。説明を加えると、取外用工具1は、壁2の貫通孔3に内部側X1から差し込まれたダクト4とダクト4に外部側X2から差し込まれたキャップ部材5の筒状部8との間に形成される隙間Gであって筒状部8の外部側X2の端部から壁2に沿って延在する延在部9によって外部側X2が閉じられる隙間Gに対して充填されている充填材14を切断してキャップ部材5の取り外しを可能とする工具である。
【0022】
図3に示すように、本実施形態では、壁2を、住宅や住戸の外壁とし、ダクト4を、宅内に設置されているガス機器(給湯器や衣類乾燥機等)から延びて壁2に対して内部側X1(宅内側)から差し込まれた排気筒としている。そして、キャップ部材5を、ダクト4の排気口に外部側X2(屋外側)から取り付けられる排気口カバー(ベンドトップ等)としている。
【0023】
ダクト4は、貫通孔3から外部側X2には突出しておらず、そのダクト4の外部側X2の端部に外部側X2から設置されたキャップ部材5が、貫通孔3から外部側X2に突出する状態で設置されている。そして、キャップ部材5には複数枚の羽根板5Aが並設されており、キャップ部材5によってダクト4の外部側X2の端部が通気可能に塞がれていると共に、このキャップ部材5によってダクト4から排気される排気ガスの向きを変更調整することができるようになっている。
【0024】
キャップ部材5は、筒状のベース体7と、ベース体7の外部側X2の端部を通気可能に塞ぐキャップ体10とを備えている。ベース体7は、ダクト4に対して外部側X2から差し込まれた筒状部8と、その筒状部8の外部側X2の端部から壁2に沿って延在するフランジ状の延在部9とで構成されており、筒状部8と延在部9とは一体形成されている。キャップ体10は、ビス11を用いてベース体7の延在部9に固定されており、ビス11による固定を解除することでベース体7から取り外し自在に構成されている。尚、図3では、延在部9に固定したキャップ体10を実線で示し、延在部9から取り外したキャップ体10を二点鎖線で示している。
【0025】
図6に示すように、筒状部8の外面(径方向外側R1を向く面)には径方向Rに弾性変形可能な板バネ材13が備えられており、筒状部8をダクト4に差し込んで嵌合させた状態では、板バネ材13の弾性復元力によって筒状部8がダクト4に対して保持されている。
また、筒状部8をダクト4に差し込んで嵌合する際には、筒状部8の外面に充填材14が塗布されており、筒状部8の外面とダクト4の内面(径方向内側R2を向く面)との間に形成される隙間Gは充填材14によって塞がれている。本実施形態では、充填材14をシーリング材としており、充填材14によって隙間Gから雨水等の異物が内部側X1に侵入することが防がれている。
【0026】
延在部9は、貫通孔3から外部側X2に突出している筒状部8の外部側X2の端部から径方向外側R1に全周にわたって延在しており、貫通孔3における筒状部8より径方向外側R1の部分を外部側X2から塞いでいる。延在部9は、このように貫通孔3を塞ぐことで、筒状部8の外面とダクト4の内面との間に形成される隙間Gを外部側X2から塞いでいる。
【0027】
筒状部8は、内側筒部16と、この内側筒部16の径方向外側R1に位置する外側筒部17とを備えており、2重筒構造となっている。内側筒部16には、外側筒部17に固定されている大径部分16Aと、この大径部分16Aより外部側X2に位置して大径部分16Aより小径の小径部分16Bと、大径部分16Aと小径部分16Bとの間に位置して内部側X1ほど大径となる拡径部分16Cを有している。尚、外側筒部17の外面によって筒状部8の外面が形成されており、外側筒部17の外部側X2の端部から延在部9が延在している。また、内側筒部16における小径部分16Bの内面と外側筒部17の外面との径方向Rの幅を、筒状部8の厚みである筒状部厚みDA2としている。
【0028】
次に、取外用工具1について説明する。
図1に示すように、取外用工具1は、工具基端側L2に配置される操作部21と、工具先端側L1に配置されて筒状部8に外部側X2から挿入自在(図4から図6参照)な挿入切断部22とを備えている。操作部21は、工具長さ方向Lに沿って延びる棒状に構成されている。尚、図4から図6に示すように取外用工具1を筒状部8に挿入している状態では、取外用工具1の工具長さ方向Lは、壁2の内外方向Xと同じ方向となる。また、工具長さ方向Lの工具先端側L1及び工具基端側L2は、それぞれ内外方向Xの内部側X1及び外部側X2と同じ側となる。
【0029】
挿入切断部22は、操作部21の工具先端側L1に連続して備えられている挿入部23と、挿入部23の工具先端側L1に対して工具長さ方向Lに直交する工具縦幅方向Wに設定間隔DA1を空けた状態で備えられている切断部24Aとを備えている。挿入部23は、工具長さ方向Lに沿って延びる棒状に構成されており、操作部21と挿入部23とは一本の棒材によって構成されている。
また、挿入切断部22は、工具先端側L1に取付部24Bを有すると共に工具基端側L2に切断部24Aを有する板状の切断具24と、挿入部23の工具先端側L1から工具縦幅方向Wの一端側W1に延びる連結部25と、切断具24の取付部24Bを連結部25に工具縦幅方向Wの一端側W1から締結する締結具26とを備えている。
【0030】
挿入切断部22は、その工具縦幅方向Wの幅である工具縦幅DB1が、筒状部8の筒状部内径DB2(図4参照)より小さく、筒状部8に挿通自在な大きさに形成されている。
本実施形態では、挿入部23の工具縦幅方向Wの他端側W2(工具縦幅方向Wにおける一端側W1の反対側)の端から切断部24Aの工具縦幅方向Wの一端側W1を向く面までの工具縦幅方向Wの幅が、挿入切断部22において最も工具縦幅方向Wに幅広となっており、この幅を工具縦幅DB1としている。また、図4に示すように、筒状部8における内側筒部16の小径部分16Bの内径が、筒状部8において最も小さい内径となっており、この小径部分16Bの内径を筒状部内径DB2としている。そして、挿入切断部22の工具縦幅DB1が筒状部8の筒状部内径DB2より小さいため、挿入切断部22が筒状部8に外部側X2から挿入自在となっている。
【0031】
また、図1に示すように、挿入切断部22は、挿入部23と切断部24Aとの間隔である設定間隔DA1が、筒状部厚みDA2(図6参照)より広い間隔となっており、挿入部23と切断部24Aとの間に筒状部8が侵入可能な大きさに形成されている。
本実施形態では、設定間隔DA1は、外側筒部17の外面と内側筒部16における小径部分16Bの内面との径方向Rの幅より広い間隔としている。このように、挿入部23と切断部24Aとの間隔(設定間隔DA1)を筒状部厚みDA2より広い間隔とすることで、図6に示すように、切断部24Aを隙間Gに挿入させた場合に筒状部8が挿入部23と切断部24Aとの間に進入させることができるため、挿入部23を筒状部8に干渉させることなく切断部24Aを隙間Gに挿入させることができるようになっている。
【0032】
図4に示すように、挿入部23は、外部側X2からキャップ部材5の筒状部8を通して当該筒状部8よりも内部側X1まで先端を配置自在に工具長さ方向Lに延在している。
説明を加えると、図4に示すように筒状部8に対して外部側X2から取外用工具1を差し込み、切断部24Aの全体が筒状部8よりも内部側X1に位置させた状態において、挿入部23は、筒状部8の内部側X1から外部側X2まで工具長さ方向L(内外方向X)に延在している。本実施形態では、挿入部23は、挿入部23の工具長さ方向Lの長さである工具長さDC1が、筒状部8の内外方向Xの長さDC3に後述する切断具24の工具長さ方向Lの長さ(詳しくは、切断具24における挿入部23の工具先端側L1の端より工具基端側L2の部分の長さ)DC4を加えた長さDC2より操作用余幅分だけ長くなる長さに形成されている。
【0033】
挿入部23の工具基端側L2に操作部21が連続して備えられており、その操作部21には、作業者が手で握るための把持部21Aが備えられている。そのため、図4に示すように筒状部8に対して外部側X2から取外用工具1を差し込み、切断部24Aの全体が筒状部8よりも内部側X1に位置させた状態において、操作部21の全体を筒状部8の外部側X2に位置させることができる。従って、切断部24Aの全体が筒状部8よりも内部側X1に位置させるように操作部21を操作する場合でも、把持部21Aを備えた操作部21を筒状部8に挿入する必要がなく、筒状部8に対して外部側X2で操作部21を操作することできる。
尚、本実施形態では、操作部21の全体を挿入部23と同様に単純な棒状に形成しているが、操作部21の把持部21Aを、把持する作業者の手が滑り難くなるように凹凸形状としたり滑り難い素材で囲繞したりしてもよく、操作部21の把持部21A以外の部分や挿入部23と異なる構成としてもよい。
【0034】
図1及び図2に示すように、切断部24Aは、工具基端側L2に刃先側を向ける状態で工具長さ方向Lに延在して隙間Gに内部側X1から挿入される(図6参照)ことで隙間Gに充填されている充填材14を切断可能となっている。
本実施形態では、図2に示すように、切断部24Aは、刃先側(工具基端側L2)ほど細い先細り形状に形成されている。また、切断部24Aは、平坦な板状に形成されると共に縁部に鋸歯状の刃が備えられている。このように、板状に形成されている切断部24Aが、先細り形状に形成されていると共に縁部に鋸歯状の歯が備えられていることによって、切断部24Aを隙間Gに挿入させた際にその隙間Gに充填されている充填材14を切断し易くなっている。
【0035】
切断部24Aの外面(一端側W1を向く面)が、工具縦幅方向Wにおいて締結具26の外面(一端側W1を向く面)よりも一端側W1に配置されるように、切断部24Aが取付部24Bに対して工具縦幅方向Wの一端側W1に偏った状態に切断具24が屈曲形成されている。
切断具24は、締結具26によって連結部25に締結される取付部24Bと、充填材14を切断する切断部24Aと、取付部24Bと切断部24Aとの間に位置して工具基端側L2ほど一端側W1に位置するように傾斜する傾斜部24Cとを備えている。そして、傾斜部24Cが存在することによって切断部24Aは取付部24Bに対して一端側W1に位置しており、これによって切断部24Aの外面が、工具縦幅方向Wにおいて締結具26の外面よりも一端側W1に配置されている。
尚、本実施形態では、切断部24Aの外面を、工具縦幅方向Wにおいて締結具26の外面よりも一端側W1に配置させたが、工具縦幅方向Wにおいて締結具26の外面と同じ位置に配置させてもよい。
【0036】
次に、取外用工具1を用いてキャップ部材5を取り外す取外方法について説明する。
取外方法では、取外用工具1を用いて充填材14を切断する切断工程(図4から図6参照)と、充填材14が切断された状態でキャップ部材5を取り外す取外工程(図7参照)とを行う。本実施形態では、切断工程を行う前に、キャップ部材5のキャップ体10を取り外す第1取外工程(図3参照)を行い、切断工程を行った後に、充填材14が切断された状態でキャップ部材5の筒状部8と延在部9とを取り外す取外工程(以下、第2取外工程と称する)を行う。
【0037】
図3に実線で示されているように、第1取外工程を実行する前は、キャップ体10がビス11を用いてベース体7に固定されている状態である。
第1取外工程では、作業者は、ビス11による固定を解除して、図3に二点鎖線で示すようにキャップ体10をベース体7から取り外す。このようにキャップ体10を取り外すことで、筒状部8の外部側X2が開口して筒状部8に取外用工具1の挿入切断部22を外部側X2から差し込めるようになる。
【0038】
切断工程では、図4から図6に示すように、挿入切断部22を筒状部8に対して外部側X2から差し込んで筒状部8より内部側X1に切断部24Aを位置(図4参照)させた後、操作部21を径方向外側R1に移動(図5参照)させると共に外部側X2に移動させて切断部24Aをダクト4と筒状部8との間に挿入(図6参照)させ、その後、操作部21を操作してダクト4と筒状部8との間に充填されている充填材14を切断部24Aによって切断する。
【0039】
つまり、切断工程では、作業者が操作部21を手で握って取外用工具1を操作して、図4に示すように挿入切断部22を筒状部8に対して外部側X2から差し込む。このとき、切断部24Aが筒状部8より内部側X1に位置するまで挿入切断部22を内部側X1に移動させる。次に、図5に示すように、操作部21を径方向外側R1に移動させて切断部24Aを隙間Gと対向させた後、図6に示すように、操作部21を外部側X2に移動させて切断部24Aを隙間Gに差し込む。このように切断部24Aを隙間Gに差し込むことで隙間Gの充填材14の一部を切断することができる。そして、その後は、切断部24Aを隙間Gから一旦引き抜き、切断部24Aを周方向にずらした後に隙間Gに再度差し込むことを繰り返し行うことで、隙間Gの充填材14を周方向に沿って順次切断する。このように切断工程を行うことで、隙間Gの充填材14の全部又は略全部を切断することができ、筒状部8がダクト4に充填材14によって固着されなくなる又は充填材14による固着力が弱くなる。
【0040】
第2取外工程では、筒状部8をダクト4から抜き取って筒状部8と共に延在部9を取り外すことでキャップ部材5の残りの部分(ベース体7)を取り外す。この第2取外工程より前に実行する切断工程において充填材14が切断されているため、筒状部8をダクト4から抜き取り易くなっている。そのため、第2取外工程では、筒状部8をダクト4から容易に抜き取ることができ、このように筒状部8を抜き取ることで筒状部8と共にこれと一体形成されている延在部9も取り外され、第1取外工程で先に取り外したキャップ体10を含めてキャップ部材5の全体をダクト4から取り外すことができる。
【0041】
このように、第2取外工程の前に行う切断工程において、操作部21の操作により挿入切断部22を筒状部8に対して外部側X2から差し込んで筒状部8より内部側X1に切断部24Aを位置させた後、操作部21を径方向外側R1に移動させると共に外部側X2に移動させることで切断部24Aをダクト4と筒状部8との間に形成されている隙間Gに挿入させることができる。そして、このように挿入させた切断部24Aによって隙間Gの充填材14を内部側X1から切断することができ、キャップ部材5の延在部9を捲ることなく充填材14を切断することができるため、第2取外工程において、筒状部8が充填材14によってダクト4に固着されていたキャップ部材5でも容易に取り外すことができる。
【0042】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0043】
(1)上記実施形態では、操作部21に、作業者が手で握るための把持部21Aを備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、図8に示すように、操作部21に、モーター等の回転駆動部を備えた電動式の動力工具28に接続するための工具接続部21Bを備え、動力工具28が、工具接続部21Bを工具縦幅方向Wに沿う軸心P周りに揺動させるように構成されていてもよい。また、動力工具28は、工具接続部21Bを工具縦幅方向Wに沿う軸心P周りに揺動させる以外の動作、例えば、工具接続部21Bを工具長さ方向Lに直線状に往復移動させる構成であってもよい。
【0044】
(2)上記実施形態では、切断部24Aを平坦な板状として工具長さ方向視で直線状に形成する例を説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、図9に示すように、切断部24Aが、挿入切断部22を筒状部8に挿入した状態において、内外方向視での形状が筒状部8の外面に沿う円弧状に形成されていてもよい。尚、この場合、切断部24Aが筒状部8の外面に沿っていればよく、切断部24Aの曲率を筒状部8の外面の曲率と同じとする他、切断部24Aの曲率を、ダクト4の内面と同じ曲率とする、又は、筒状部8の外面の曲率とダクト4の内面の曲率との中間の曲率としてもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では、筒状部8を内側筒部16と外側筒部17とを備える構成を例として説明した。しかし、筒状部8を内側筒部16と外側筒部17とのうちの外側筒部17のみを備える構成としてもよい。尚、この場合、筒状部8の筒状部厚みDA2は、外側筒部17の厚みとなり、挿入部23と切断部24Aとの間隔である設定間隔DA1は、外側筒部17の厚みより大きければよい。
【0046】
(4)上記実施形態では、切断部24Aを先細り形状とする構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、切断部24Aを工具長さ方向Lにおいて幅が一定の矩形状とする等、切断部24Aの形状は適宜変更してもよい。
【0047】
(5)上記実施形態では、切断部24Aが取付部24Bに対して工具縦幅方向Wの一端側W1に偏った状態に切断具24を屈曲形成とする例を説明した。しかし、取付部24Bを連結部25に溶接する等によって取付部24Bから工具縦幅方向Wの一端側W1に突出する部分がない場合等では、切断具24を側面視で工具長さ方向Lに沿う直線状に形成して、工具縦幅方向Wで切断部24Aと取付部24Bとを同じ位置としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 取外用工具
2 壁
3 貫通孔
4 ダクト
5 キャップ部材
8 筒状部
9 延在部
21 操作部
21A 把持部
21B 工具接続部
22 挿入切断部
23 挿入部
24 切断具
24A 切断部
24B 取付部
25 連結部
26 締結部
DA1 設定間隔
DA2 厚み
F 充填材
G 隙間
L 工具長さ方向
L1 工具先端側
L2 工具基端側
W 工具縦幅方向
W1 一端側
X1 内部側
X2 外部側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9