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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134921
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】フォーム状皮膚洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20240927BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K8/86
A61Q19/10
A61K8/02
A61K8/39
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045372
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高見 昇平
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB132
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD212
4C083AD332
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD47
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】優れたクレンジング力と良好な泡沫質感とを両立させたフォーム状皮膚洗浄料を提供する。
【解決手段】エアゾール容器に原液および噴射剤からなるエアゾール組成物が充填されたフォーム状皮膚洗浄料であり、前記原液が、以下の成分A~Dを含有し、成分Aの含有量が3.0~12.0質量%であり、成分Bの含有量が0.5~5.0質量%であり、成分Cの含有量が0.008~0.120質量%であり、前記噴射剤が、液化石油ガスを含有する、フォーム状皮膚洗浄料:成分A:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、成分B:両性界面活性剤、成分C:数平均分子量が150万~750万のポリエチレングリコール、成分D:水。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器に原液および噴射剤からなるエアゾール組成物が充填されたフォーム状皮膚洗浄料であり、
前記原液が、以下の成分A~Dを含有し、
成分Aの含有量が3.0~12.0質量%であり、
成分Bの含有量が0.5~5.0質量%であり、
成分Cの含有量が0.008~0.120質量%であり、
前記噴射剤が、液化石油ガスを含有する、フォーム状皮膚洗浄料:
成分A:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル
成分B:両性界面活性剤
成分C:数平均分子量が150万~750万のポリエチレングリコール
成分D:水。
【請求項2】
前記成分Aが、エチレンオキシドの付加モル数が4~30であるポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルである、請求項1に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項3】
前記原液が、さらに、以下の成分E~Gの少なくとも一つを含有する、請求項1または2に記載のフォーム状皮膚洗浄料:
成分E:アニオン性界面活性剤
成分F:多価アルコール
成分G:高級アルコール。
【請求項4】
前記成分Bが、アミドベタイン型両性界面活性剤、および/またはスルホベタイン型両性界面活性剤である、請求項1または2に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【請求項5】
前記エアゾール組成物が、原液を90~99質量%、噴射剤を1~10質量%含む、請求項1または2に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーム状皮膚洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料を除去することを目的とするクレンジング化粧料は、油性クレンジング化粧料と水性クレンジング化粧料に大別することができる。
【0003】
油性クレンジンング化粧料は、多量の油性成分を含有することから、メイク汚れと馴染みが良く、優れたクレンジング力を発揮する。その反面、一旦浮き出たメイク汚れが皮膚に再付着したり、クレンジング後の肌に油性成分特有のべたつき感が残り、使用感が悪かったりするという欠点がある。
【0004】
一方、水性クレンジング化粧料は、油性成分の含有量が少量であることから、さっぱりとした使用感が得られる反面、メイク汚れとの馴染みに優れず、クレンジング力に劣るという欠点を有している。
【0005】
水性クレンジング化粧料は、各種界面活性剤や油剤を含有する。メイクアップ除去効果(クレンジング力)に優れた界面活性剤として、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどが知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどのクレンジング力に優れたフォーム状皮膚洗浄料が提案されている(例えば、特許文献2および3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-011465号公報
【特許文献2】特開2012-036103号公報
【特許文献3】特開2013-224275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを配合したフォーム状皮膚洗浄料は、泡沫質感の観点で、改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、優れたクレンジング力と良好な泡沫質感(曳糸性および延展性)とを両立させたフォーム状皮膚洗浄料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、フォーム状皮膚洗浄料において、特定の成分を特定の含有量で包含させることにより、優れたクレンジング力と良好な泡沫質感(曳糸性および延展性)とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
したがって、本発明の一態様は、エアゾール容器に原液および噴射剤からなるエアゾール組成物が充填されたフォーム状皮膚洗浄料であり、前記原液が、以下の成分A~Dを含有し、成分Aの含有量が3.0~12.0質量%であり、成分Bの含有量が0.5~5.0質量%であり、成分Cの含有量が0.008~0.120質量%であり、前記噴射剤が、液化石油ガスを含有する、フォーム状皮膚洗浄料(以下、「本皮膚洗浄料」と称する。)である:成分A:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、成分B:両性界面活性剤、成分C:数平均分子量が150万~750万のポリエチレングリコール、成分D:水。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れたクレンジング力と良好な泡沫質感(曳糸性および延展性)とを両立させたフォーム状皮膚洗浄料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
【0014】
〔1.本発明の概要〕
上述の通り、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを配合したフォーム状皮膚洗浄料は、泡沫質感が悪く、使用感の点で課題があった。具体的には、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを配合したフォーム状皮膚洗浄料は、皮膚上のメイク汚れなどと接触すると破泡してしまうため、フォームを皮膚上で広げることで、肌への抵抗感が少なく、心地よくメイク汚れとなじませることができるというフォーム状特有の恩恵が充分に得ることができず、皮膚上で充分な範囲のメイク汚れとなじませることが難しいという問題があった。すわなち、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルによる優れたクレンジング力と良好な泡沫質感を両立させることは困難であった。
【0015】
そこで、本発明者らは、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルによる優れたクレンジング力と良好な泡沫質感とを両立させたフォーム状皮膚洗浄料を提供する観点から、鋭意検討を行った結果、フォーム状皮膚洗浄料において、特定の成分を特定の含有量で包含させることにより、優れたクレンジング力と良好な泡沫質感とを両立できることを初めて見出した。
【0016】
優れたクレンジング力と良好な泡沫質感とを両立した、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを配合したフォーム状皮膚洗浄料はこれまでに知られておらず、化粧料の分野において、極めて有用である。
【0017】
〔2.フォーム状皮膚洗浄料〕
本皮膚洗浄料は、エアゾール容器に原液および噴射剤からなるエアゾール組成物が充填されたフォーム状皮膚洗浄料である。
【0018】
(原液)
本皮膚洗浄料におけるエアゾール組成物中の原液は、以下の成分A~Dを含む:
成分A:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル
成分B:両性界面活性剤
成分C:数平均分子量が150万~750万のポリエチレングリコール
成分D:水。
【0019】
本皮膚洗浄料は、原液が、前記成分A~Dを特定の量で含むことにより、優れたクレンジング力と良好な泡沫質感とを両立できる。
【0020】
<成分A>
本皮膚洗浄料における原液は、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを含む。本皮膚洗浄料における原液がポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを含むことにより、クレンジング力に優れる。
【0021】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。なかでも、クレンジング力の観点から、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル(例えば、PEG-6(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ)、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(例えば、イソステアリン酸PEG-8グリセリル)が好ましい。
【0022】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルは、上記1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。クレンジング力の観点から、好ましくは、2種以上が用いられる。
【0023】
原液中のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの含有量は、3.0~12.0質量%であり、好ましくは、4.0~9.0質量%であり、より好ましくは、6.0~8.0質量%である。前記含有量が3.0質量%以上であると、クレンジング力に優れる。また、前記含有量が12.0質量%以下であると、泡沫の安定性(持続力)に優れる。
【0024】
本発明の一実施形態において、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシドの付加モル数は、好ましくは、4~30であり、より好ましくは、4~20であり、さらに好ましくは、5~10である。前記付加モル数が4以上であると、製剤安定性に優れる。また、前記付加モル数が30以下であると、クレンジング力に優れる。
【0025】
<成分B>
本皮膚洗浄料における原液は、両性界面活性剤を含む。本皮膚洗浄料における原液が両性界面活性剤を含むことにより、泡沫質感(曳糸性および延展性)に優れる。
【0026】
両性界面活性剤としては、例えば、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0027】
具体的なアミドベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン等を例示することができる。
【0028】
具体的なスルホベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等を例示することができる。
【0029】
具体的なアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等を例示することができる。
【0030】
なかでも、泡沫の延展性の観点、濃密な泡沫が形成でき泡沫の安定性が向上するという観点から、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤が好ましく、なかでも、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインが好ましい。
【0031】
両性界面活性剤は、上記1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。濃密な泡沫形成の観点から、好ましくは、2種以上が用いられる。
【0032】
原液中の両性界面活性剤の含有量は、0.5~5.0質量%であり、好ましくは、0.5~4.0質量%であり、より好ましくは、0.8~3.5質量%であり、さらに好ましくは、1.0~3.0質量%である。前記含有量が0.5質量%以上であると、泡沫の安定性に優れる。また、前記含有量が5.0質量%以下であると、泡沫の曵糸性および延展性に優れる。
【0033】
<成分C>
本皮膚洗浄料における原液は、特定の数平均分子量のポリエチレングリコールを含む。本皮膚洗浄料における原液が特定の数平均分子量のポリエチレングリコールを含むことにより、泡沫質感(曳糸性および延展性)に優れる。
【0034】
ポリエチレングリコールの数平均分子量は、150万~750万であり、好ましくは、200万~700万であり、より好ましくは、250万~600万であり、さらに好ましくは、300万~500万である。前記数平均分子量が150万以上であると、泡沫の曵糸性および延展性に優れる。また、前記数平均分子量が750万以下であると、泡沫の安定性、およびクレンジング力に優れる。
【0035】
ポリエチレングリコールとしては、例えば、市販のPEG-45M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:200万)、PEG-90M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:400万)、PEG-160M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:700万)等が使用され得る。なかでも、泡沫の曵糸性および延展性の観点から、PEG-90Mが好ましい。
【0036】
原液中のポリエチレングリコールの含有量は、0.008~0.120質量%であり、好ましくは、0.015~0.080質量%であり、より好ましくは、0.020~0.060質量%である。前記含有量が0.008質量%以上であると、泡沫の安定性に優れる。また、前記含有量が0.120質量%以下であると、クレンジング力に優れる。
【0037】
<成分D>
本皮膚洗浄料における原液は、水を含む。本皮膚洗浄料における原液が水を含むことにより、水性クレンジング化粧料として使用できる。
【0038】
原液中の水の含有量は、好ましくは、40~95質量%であり、より好ましくは、50~90質量%であり、さらに好ましくは、60~85質量%である。前記含有量が40質量%以上であると、製剤安定性に優れる。また、前記含有量が95質量%以下であると、泡沫の安定性、およびクレンジング力に優れる。
【0039】
また、本発明の一実施形態において、本皮膚洗浄料における原液は、以下の成分E~Gを含み得る:
成分E:アニオン性界面活性剤
成分F:多価アルコール
成分G:高級アルコール。
【0040】
<成分E>
本皮膚洗浄料における原液は、アニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。本皮膚洗浄料における原液がアニオン性界面活性剤を含むことにより、泡の弾力および持続性がより向上する。したがって、本皮膚洗浄料における原液は、成分E~Gのなかでも、特に成分Eを含むことが好ましい。
【0041】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのα-オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムなどのN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウムなどのスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムなどのスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ジエタノールアミンなどのモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどのN-アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどのN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミンなどのN-アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、ベヘニルグリコール酢酸カリウムなどのアルキルエーテルグリコール酢酸塩等が挙げられる。なかでも、濃密な泡沫形成の観点から、ラウレス硫酸ナトリウムが好ましい。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0042】
原液中のアニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは、0.5~8.0質量%であり、より好ましくは、0.8~5.0質量%である。前記含有量が0.5質量%以上であると、泡沫の安定性に優れる。また、前記含有量が8.0質量%以下であると、製剤安定性に優れる。
【0043】
<成分F>
本皮膚洗浄料における原液は、多価アルコールを含んでいてもよい。本皮膚洗浄料における原液が多価アルコールを含むことにより、保湿感を付与できる。
【0044】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、PEG-32、PEG-6などの数平均分子量が200~20000のポリエチレングリコール等が挙げられる。なかでも、保湿感付与と泡沫安定性向上の観点から、グリセリン、数平均分子量が200~5000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0045】
原液中の多価アルコールの含有量は、好ましくは、5~25質量%であり、より好ましくは、10~20質量%である。前記含有量が5質量%以上であると、泡沫の安定性に優れる。また、前記含有量が25質量%以下であると、製剤安定性に優れる。
【0046】
<成分G>
本皮膚洗浄料における原液は、高級アルコールを含んでいてもよい。本皮膚洗浄料における原液が高級アルコールを含むことにより、泡沫安定性を向上できる。
【0047】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、オクチルデカノール、デシルテトラデカノール、フェノキシエタノール等が挙げられる。なかでも、泡沫安定性向上の観点から、ミリスチルアルコールが好ましい。
【0048】
原液中の高級アルコールの含有量は、好ましくは、0.1~1.2質量%であり、より好ましくは、0.3~1.0質量%である。前記含有量が0.1質量%以上であると、泡沫の安定性に優れる。また、前記含有量が1.2質量%以下であると、製剤安定性に優れる。
【0049】
<その他>
本皮膚洗浄料におけるエアゾール組成物中の原液の含有量は、好ましくは、90~99質量%であり、より好ましくは、93~98質量%であり、さらに好ましくは、96~98質量%である。前記含有量が90質量%以上であると、泡沫の濃密さに優れる。また、前記含有量が99質量%以下であると、吐出性に優れる。
【0050】
本発明の一実施形態において、原液中の油性成分の含有量は、好ましくは、4.0質量%以下であり、より好ましくは、2.0質量%以下である。前記含有量が4.0質量%以下であると、泡沫安定性に優れる。また、原液中の油性成分の含有量は少ないほどよく、下限値は特に限定されないが、例えば、0.3質量%以上であり、0質量%であってもよい。なお、本が明細書において、「油性成分」とは、高級アルコール、炭化水素油、エステル油等を意図する。
【0051】
(噴射剤)
本皮膚洗浄料におけるエアゾール組成物中の噴射剤は、液化石油ガス(LPG)を含む。
【0052】
本明細書において、「液化石油ガス(LPG)」とは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、およびこれらの混合物を意図する。液化石油ガスは、エアゾール容器から内容物(エアゾール組成物)を吐出し、泡沫を形成することができる。
【0053】
噴射剤中の液化石油ガスの含有量は、好ましくは、90質量%以上であり、より好ましくは、95質量%以上であり、さらに好ましくは、100質量%である。前記含有量が90質量%以上であると、泡沫の濃密さ、および泡沫の安定性に優れる。
【0054】
噴射剤は、液化石油ガスに加えて、他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、炭酸ガス、窒素ガスなどの圧縮ガス等が挙げられる。
【0055】
本皮膚洗浄料におけるエアゾール組成物中の噴射剤の含有量は、好ましくは、2.0~10質量%であり、より好ましくは、2.5~7.0質量%であり、さらに好ましくは、3.0~4.0質量%である。前記含有量が2質量%以上であると、吐出性に優れる。また、前記含有量が10質量%以下であると、泡沫の濃密さに優れる。
【0056】
本発明の一実施形態において、本皮膚洗浄料におけるエアゾール組成物は、上記原液および噴射剤の他に、当該技術分野で一般に使用される任意の成分を含んでいてもよい。
【0057】
(フォーム状皮膚洗浄料の製造方法)
本皮膚洗浄料は、エアゾール組成物と、噴射剤とをエアゾール容器に充填することにより調製することができる。
【0058】
本皮膚洗浄料の製造方法は、既知の方法を用いることができる。例えば、配合する各成分を均一に分散させたエアゾール組成物をエアゾール容器に充填し、エアゾール用バルブにより容器をクリンチした後、噴射剤をステムより規定量充填し、ステムに適したボタンを装着する方法を例示することができる。
【0059】
エアゾール容器は、内容物(エアゾール組成物)を吐出し、泡沫を形成することができる、耐圧性の容器であれば、その形態および材質は、特に限定されない。エアゾール容器としては、当該技術分野で使用される任意の容器が使用できる。
【0060】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
すなわち、本発明の一実施形態は、以下である。
<1>エアゾール容器に原液および噴射剤からなるエアゾール組成物が充填されたフォーム状皮膚洗浄料であり、
前記原液が、以下の成分A~Dを含有し、
成分Aの含有量が3.0~12.0質量%であり、
成分Bの含有量が0.5~5.0質量%であり、
成分Cの含有量が0.008~0.120質量%であり、
前記噴射剤が、液化石油ガスを含有する、フォーム状皮膚洗浄料:
成分A:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル
成分B:両性界面活性剤
成分C:数平均分子量が150万~750万のポリエチレングリコール
成分D:水。
<2>前記成分Aが、エチレンオキシドの付加モル数が4~30であるポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルである、<1>に記載のフォーム状皮膚洗浄料。
<3>前記原液が、さらに、以下の成分E~Gの少なくとも一つを含有する、<1>または<2>に記載のフォーム状皮膚洗浄料:
成分E:アニオン性界面活性剤
成分F:多価アルコール
成分G:高級アルコール。
<4>前記成分Bが、アミドベタイン型両性界面活性剤、および/またはスルホベタイン型両性界面活性剤である、<1>~<3>のいずれかに記載のフォーム状皮膚洗浄料。
<5>前記エアゾール組成物が、原液を90~99質量%、噴射剤を1~10質量%含む、<1>~<4>のいずれかに記載のフォーム状皮膚洗浄料。
【実施例0062】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
〔実施例1~10、比較例1~8〕
表1に記した組成物を常法に準じて調製後、透明の耐圧容器に噴射剤とともに所定比で充填し、実施例1~10および比較例1~8のエアゾール製品(フォーム状皮膚洗浄料)を製造した。各エアゾール製品について、以下に示す評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0064】
なお、表1中、各成分の配合量は、質量%で示す。また、各成分の詳細は以下の通りである。
【0065】
(成分A:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル)
イソステアリン酸PEG-8グリセリル(青木油脂工業社製)
PEG-6(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ(交洋ファインケミカル社製)
(成分B:両性界面活性剤)
ラウラミドプロピルベタイン(新日本理化社製)
ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン(川研ファインケミカル社製)
(成分C:数平均分子量が150万~750万のポリエチレングリコール)
PEG-45M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:200万)
PEG-90M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:400万)
PEG-160M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:700万)
(成分D:水)
精製水
(成分E:アニオン性界面活性剤)
ラウレス硫酸ナトリウム(花王社製)
(成分F:多価アルコール)
グリセリン(阪本薬品工業社製)
ポリエチレングリコール1500(青木油脂工業社製、PEG-32とPEG-6との混合物)
(成分G:高級アルコール)
ミリスチルアルコール(花王社製)
フェノキシエタノール(四日市合成社製)
(その他)
PEG-14M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:60万)
PEG-180M(ダウ・ケミカル日本社製、分子量:800万)。
【0066】
〔評価試験〕
メイクを施している官能評価パネル8名により、実施例および比較例で得られた各試料を実際にメイクアップ除去剤の形態で使用してもらった。具体的には、試料3.0gを塗布後、メイク汚れに十分馴染ませ、指先で小さな円を描くように1分間クレンジングを施してもらい、その後温水で十分に洗い流し、タオルドライにより水分を拭き取ってもらった。使用感およびクレンジング機能の評価は、塗布時の「クレンジング力(メイク除去力)」、「泡質(曳糸性)」および「泡質(延展性)」について行い、以下の評価基準に従って、官能評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
<クレンジング力(メイク除去力)の評価基準>
A:メイク馴染みに優れ、クレンジング力が高い。
B:Aには劣るが、メイク馴染みに優れ、充分なクレンジング力を有する。
C:メイク馴染みに劣り、クレンジング力が不十分である。
【0068】
<泡質(曳糸性)の評価基準>
A:糸を引くような泡沫質感である
B:Aには劣るが、糸を引く泡沫質感である
C:糸を引くような泡沫質感ではない
<泡質(延展性)の評価基準>
A:顔面に塗布した際に塗り延ばし易い
B:Aには劣るが、顔面に塗布した際に塗り延ばし易い
C:顔面に塗布した際に塗り延ばしにくい、もしくは塗り延ばせない
【表1】
【0069】
〔結果〕
以上の結果より、本発明の一実施形態に係るエアゾール製品(フォーム状皮膚洗浄料)(実施例1~10)は、クレンジング力と泡沫質感(曳糸性および延展性)とに優れることが分かった。一方、比較例1~8のエアゾール製品は、クレンジング力、曳糸性および延展性のいずれか一つ以上が、不良な結果となった。
【0070】
以下に、本発明の一実施形態におけるフォーム状皮膚洗浄料を示す。
【0071】
〔処方例1〕
(原液)
イソステアリン酸PEG-8グリセリル 4.5質量%
PEG-6(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ 2.5質量%
PEG-90M 0.03質量%
ラウラミドプロピルベタイン 1.5質量%
ラウリルヒドロキシスルタイン 1.5質量%
ラウレス硫酸ナトリウム 1.0質量%
PEG-50水添ヒマシ油 0.2質量%
ステアリン酸PEG-150 1.5質量%
ミリスチルアルコール 0.3質量%
濃グリセリン 10.0質量%
ポリエチレングリコール1500 5.0質量%
ソルビトール 1.0質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.001質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
香料 0.1質量%
精製水 残分
合計 100.0質量%
(噴射剤)
LPG 90.0質量%
炭酸ガス 10.0質量%
原液:噴射剤=97:3(質量比)。
【0072】
〔処方例2〕
(原液)
イソステアリン酸PEG-8グリセリル 2.5質量%
PEG-6(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ 2.5質量%
ラウリン酸PEG-10グリセリル 2.0質量%
PEG-160M 0.01質量%
ラウラミドプロピルベタイン 3.5質量%
シア脂 0.5質量%
ミリスチルアルコール 0.3質量%
濃グリセリン 10.0質量%
ジプロピレングリコール 3.0質量%
ポリエチレングリコール1500 3.0質量%
マルチトール 1.0質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
香料 0.1質量%
精製水 残分
合計 100.0質量%
(噴射剤)
LPG 90.0質量%
炭酸ガス 10.0質量%
原液:噴射剤=97:3(質量比)。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、好適なフォーム状皮膚洗浄料として利用することができる。