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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013493
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】桝蓋の接続構造および桝蓋の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
E02D29/14 D
E02D29/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115612
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】八木 博史
(72)【発明者】
【氏名】川島 拓也
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BB17
2D147BB26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設置場所の地表面が傾斜面の場合にも適切に対応できる桝蓋の接続構造を提供する。
【解決手段】桝蓋の接続構造100は、立上り管104、桝蓋10および仮固定部材(発泡テープ18)を含む。桝蓋は、上蓋収容部20と受口22とを有する受枠12、および上面に化粧材106が嵌め込まれる窪み部40を有する上蓋14を備える。受口の内径は、立上り管の外径よりも大きく設定され、立上り管の外側面と受口の内側面との間に設けた仮固定部材によって、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定することが可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桝の立上り管に対して上面に化粧材が設けられる桝蓋を接続する桝蓋の接続構造であって、
前記桝蓋は、
上蓋収容部と、前記上蓋収容部の下側に形成されて前記立上り管の上端部に接続される受口とを有する受枠、および
上面に前記化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、前記上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋を備え、
前記受口の内径は、前記立上り管の外径よりも大きく設定され、
前記立上り管の上端部の外側面と前記受口の内側面との隙間に設けられ、前記立上り管に対して前記受枠を傾けた状態で仮固定可能な仮固定部材を備える、桝蓋の接続構造。
【請求項2】
前記立上り管の上端部の外側面と前記受口の内側面との間で前記仮固定部材が圧縮されることで、前記立上り管に対して前記受枠が傾いた状態で仮固定される、請求項1記載の桝蓋の接続構造。
【請求項3】
前記立上り管の上端部に内嵌めされる嵌合部を有し、前記立上り管の上端開口を封止する内蓋を備える、請求項1または2記載の桝蓋の接続構造。
【請求項4】
前記受口の内側面は、当該受口の奥側から先端側に向かって拡径するテーパ状に形成される、請求項1または2記載の桝蓋の接続構造。
【請求項5】
前記仮固定部材が配置される前記受口の奥側部分と前記立上り管との隙間の大きさは、前記立上り管と前記受口とが接続される前の状態における前記仮固定部材の厚みよりも小さく、
前記受口の先端側部分と前記立上り管との隙間の大きさは、前記立上り管と前記受口とが接続される前の状態における前記仮固定部材の厚みよりも大きい、請求項4記載の桝蓋の接続構造。
【請求項6】
上面に化粧材が設けられる桝蓋を地表面が傾斜した施工場所に施工する桝蓋の施工方法であって、
(a)上蓋収容部と前記上蓋収容部の下側に形成される受口とを有する受枠と、上面に前記化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、前記上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋とを備え、前記受口の内径が桝の立上り管の外径よりも大きい前記桝蓋を用意するステップ、
(b)前記立上り管の上端部が露出した状態となるように前記桝を地中に施工するステップ、
(c)前記立上り管の上端部に前記受枠の前記受口を接続し、化粧材を施工したときに前記桝蓋に設けられる化粧材の上面と前記受枠の周囲に設けられる化粧材の上面とが面一となるように、前記立上り管に対して前記受枠を傾けた状態で仮固定するステップ、
(d)前記受枠の前記上蓋収容部に前記上蓋を取り付けるステップ、
(e)前記受枠の周囲にモルタルまたはコンクリートを施工して前記受枠を固定するステップ、および
(f)前記上蓋の前記窪み部および前記受枠の周囲に化粧材を施工するステップを含む、桝蓋の施工方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)では、前記立上り管の上端部の外側面に仮固定部材を取り付け、前記立上り管の上端部の外側面と前記受口の内側面との間で前記仮固定部材を圧縮させることで、前記立上り管に対して前記受枠を傾けた状態で仮固定する、請求項6記載の桝蓋の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は桝蓋の接続構造および桝蓋の施工方法に関し、特にたとえば、桝の立上り管に対して上面に化粧材が設けられる桝蓋を接続する、桝蓋の接続構造および桝蓋の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の桝蓋の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の桝蓋は、下部の内側面に突出部を有し、下部が立上り管の上端部と嵌合される合成樹脂製の受枠と、上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、受枠の上部に着脱可能に設けられる合成樹脂製の上蓋と、上蓋の下方に設けられ、突出部に係止されることで受枠の内部に着脱可能に保持される合成樹脂製の内蓋と、内蓋の外側面に設けられるシールリングとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-197488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上面に化粧材が設けられる桝蓋では、桝蓋に設ける化粧材の上面と周囲の化粧材の上面とを面一にする必要がある。一方で、桝蓋の設置場所の地表面(路面)は、水平面だけでなく、水勾配などを取った傾斜面の場合もある。このため、立上り管の上端部に対して桝蓋の受枠を傾けた状態で接続しなければならない場合がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、立上り管の上端部と受枠の下部に形成される受口とを接着剤を用いて接続(接着接合)するので、立上り管に対して受枠(延いては桝蓋)を傾けて設置することが難しい。また、一度接着接合してしまうと、その後は受枠の位置を微調整することができないので、不便であり、施工性のさらなる向上が求められる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、桝蓋の接続構造および桝蓋の施工方法を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、設置場所の地表面が傾斜面の場合にも適切に対応できる、桝蓋の接続構造および桝蓋の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、桝の立上り管に対して上面に化粧材が設けられる桝蓋を接続する桝蓋の接続構造であって、桝蓋は、上蓋収容部と、上蓋収容部の下側に形成されて立上り管の上端部に接続される受口とを有する受枠、および上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋を備え、受口の内径は、立上り管の外径よりも大きく設定され、立上り管の上端部の外側面と受口の内側面との隙間に設けられ、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定可能な仮固定部材を備える、桝蓋の接続構造である。
【0009】
第1の発明では、桝蓋の接続構造は、立上り管、受枠と上蓋とを備える桝蓋、および仮固定部材を含む。受枠は、上蓋を収容するための上蓋収容部と、上蓋収容部の下側に形成されて、立上り管の上端部に接続される受口とを有する。また、上蓋は、上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、上蓋収容部に対して着脱可能に保持される。そして、受口の内径は、立上り管の外径よりも大きく設定され、立上り管の上端部の外側面と受口の内側面との隙間には、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定可能な発泡テープなどの仮固定部材が設けられる。
【0010】
第1の発明によれば、立上り管の上端部の外側面と受口の内側面との隙間に設けた仮固定部材によって、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定可能であるので、設置場所の地表面が傾斜面の場合にも適切に対応できる。また、桝蓋を仮固定した後でも、受枠の高さ位置および傾斜角度などを微調整可能であるので、桝蓋の施工性が向上される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、立上り管の上端部の外側面と受口の内側面との間で仮固定部材が圧縮されることで、立上り管に対して受枠が傾いた状態で仮固定される。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、立上り管の上端部に内嵌めされる嵌合部を有し、立上り管の上端開口を封止する内蓋を備える。
【0013】
第3の発明によれば、桝内への雨水の浸入や立上り管から外部への臭気漏れが適切に防止される。
【0014】
第4の発明は、第1または第2の発明に従属し、受口の内側面は、当該受口の奥側から先端側に向かって拡径するテーパ状に形成される。
【0015】
第4の発明によれば、仮固定部材によって受枠を安定かつ強固に仮固定することができる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明に従属し、仮固定部材が配置される受口の奥側部分と立上り管との隙間の大きさは、立上り管と受口とが接続される前の状態における仮固定部材の厚みよりも小さく、受口の先端側部分と立上り管との隙間の大きさは、立上り管と受口とが接続される前の状態における仮固定部材の厚みよりも大きい。
【0017】
第5の発明によれば、受口に対して立上り管を挿入し易くなるので、受枠の施工が容易になる。
【0018】
第6の発明は、上面に化粧材が設けられる桝蓋を地表面が傾斜した施工場所に施工する桝蓋の施工方法であって、(a)上蓋収容部と上蓋収容部の下側に形成される受口とを有する受枠と、上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋とを備え、受口の内径が桝の立上り管の外径よりも大きい桝蓋を用意するステップ、(b)立上り管の上端部が露出した状態となるように桝を地中に施工するステップ、(c)立上り管の上端部に受枠の受口を接続し、化粧材を施工したときに桝蓋に設けられる化粧材の上面と受枠の周囲に設けられる化粧材の上面とが面一となるように、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定するステップ、(d)受枠の上蓋収容部に上蓋を取り付けるステップ、(e)受枠の周囲にモルタルまたはコンクリートを施工して受枠を固定するステップ、および(f)上蓋の窪み部および受枠の周囲に化粧材を施工するステップを含む、桝蓋の施工方法である。
【0019】
第6の発明によれば、設置場所の地表面が傾斜面の場合でも、その傾斜に合わせて桝蓋を適切に施工できる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明に従属し、ステップ(c)では、立上り管の上端部の外側面に仮固定部材を取り付け、立上り管の上端部の外側面と受口の内側面との間で仮固定部材を圧縮させることで、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定する。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、立上り管の上端部の外側面と受口の内側面との隙間に設けた仮固定部材によって、立上り管に対して受枠を傾けた状態で仮固定可能であるので、設置場所の地表面が傾斜面の場合にも適切に対応できる。また、桝蓋を仮固定した後でも、受枠の高さ位置および傾斜角度などを微調整可能であるので、桝蓋の施工性が向上される。
【0022】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の一実施例である桝蓋の接続構造を施工した様子を示す図である。
図2】受枠を水平にして仮固定した状態の桝蓋の接続構造を示す断面図である。
図3】受枠を傾けて仮固定した状態の桝蓋の接続構造を示す断面図である。
図4】桝蓋を示す断面図である。
図5】受枠を示す正面図である。
図6】受枠を示す断面図である。
図7】上蓋を示す斜視図である。
図8】上蓋を示す断面図である。
図9】内蓋を示す斜視図である。
図10】内蓋を示す断面図である。
図11】立上り管に発泡テープを取り付けた様子を示す斜視図である。
図12】桝蓋の施工方法の一部を示す図である。
図13】桝蓋の施工方法の他の一部を示す図である。
図14】桝蓋およびその周囲に設ける化粧材の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して、この発明の一実施例である桝蓋の接続構造100(以下、単に「接続構造100」と言う。)は、戸建住宅、アパートおよびマンション等の建物の敷地内に設けられる汚水桝および雨水桝などの桝102の立上り管104の上端部に対して、桝蓋10を接続するものである。この桝蓋10は、インターロッキングブロック、タイル、石材、コンクリート(スタンプコンクリート等)および芝生などの周囲の化粧材(舗装材)106と同様の化粧材108を上面に嵌め込んで設けることが可能な化粧蓋である。
【0025】
図2および図3に示すように、接続構造100は、立上り管104、受枠12と上蓋14とを備える桝蓋10、内蓋16、および仮固定部材の一例である発泡テープ18などを含む。詳細は後述するように、この接続構造100では、立上り管104に対して桝蓋10の受枠12を傾けた状態で仮固定することが可能であり、地表面(路面)が水勾配などを取った傾斜面となっている設置場所に好適に用いられる。また、この接続構造100(或いは桝蓋10)が適用される立上り管104の内径は、たとえば75-300mmである。この実施例では、内径が200mmの立上り管104に適用する接続構造100を想定して、以下の説明を行う。
【0026】
図4に示すように、桝蓋10は、立上り管104の上端部に接続される受枠12と、受枠12に対して着脱可能に装着される上蓋14とを備える。受枠12および上蓋14のそれぞれは、硬質塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。
【0027】
図5および図6に示すように、受枠12は、上部に形成される円筒状の上蓋収容部20と、上蓋収容部20の下側に形成される受口22とを備える。上蓋収容部20は、上蓋14を収容する部分であり、受口22は、立上り管104との接続部である。上蓋収容部20と受口22との連結部分は、受口22側に向かって段差状に縮径されており、この円環状の段差部の上面が、上蓋14の下面を係止する上蓋支持部20aとして用いられる。上蓋収容部20の内径は、たとえば270mmであり、上蓋収容部20の高さ(上下方向の長さ)は、たとえば85mmである。
【0028】
受口22の内径は、立上り管104の外径(たとえば216mm)よりも大きく設定され、立上り管104の外側面と受口22の内側面との間には、所定間隔の隙間24が形成される(図2参照)。また、受口22の内側面は、全体として、受口22の奥側から先端側に向かって拡径するテーパ状に形成される。この実施例では、受口22の内側面は、後述する発泡テープ18と対応する上部(奥側)の位置に形成される第1テーパ面22aと、下部(先端側)に形成される第2テーパ面22bとを有し、段階的に拡径するテーパ状に形成される。受口22の内径は、第1テーパ面22aの上端(受口22の奥)でたとえば228mmであり、第2テーパ面22bの下端(受口22の先端)でたとえば235mmである。また、受口22の高さ(上下方向の長さ)は、立上り管104に対して受枠12を傾け易くする(傾きを大きくとれる)ように小さく設定され、たとえば50mmである。
【0029】
また、上蓋収容部20と受口22との連結部分には、外方に張り出す円環状の鍔部26が形成される。また、上蓋収容部20には、その外側面と鍔部26の上面とを連結するように、周方向に所定間隔で並ぶ複数の三角板状の第1リブ28が形成される。さらに、受口22には、その外側面と鍔部26の下面とを連結するように、周方向に所定間隔で並ぶ複数の三角板状の第2リブ30が形成される。これら鍔部26、第1リブ28および第2リブ30によって、受枠12が補強される。
【0030】
図7および図8に示すように、上蓋14は、上面に化粧材108を嵌め込み可能な窪み部(化粧材収容部)40を有する有底円筒状に形成される。具体的には、上蓋14は、短円筒状の側壁42と、側壁42の下端部を封止する円板状の底壁44とを有する。側壁42には、内方に向かって凹み、かつ上下方向に角溝状に延びる、2つの凹部46が互いに対向するように形成される。これら凹部46の上端部には、治具穴48および掛け部50が形成される。治具穴48は、先端部にフックを有するバール、ハッカまたは専用工具などの上蓋14を着脱するための治具(図示せず)を挿し込むために用いられる。そして、治具穴48から差し込んだ治具の先端部を掛け部50に引っ掛けることで、上蓋14の着脱が容易となる。なお、治具穴48の位置および形状などの具体的態様は、適宜変更可能であり、治具穴48は、治具が挿入可能で、上蓋14の着脱ができるものであればよい。
【0031】
また、底壁44の下面には、同心円状に配置される複数の円形リブや放射状に配置される複数の直線リブなどによって構成される下面リブ52が形成される。この下面リブ52によって上蓋14が補強される。また、底壁44には、下面リブ52と重ならない位置に、複数の水抜き孔54が形成される。この水抜き孔54によって、窪み部40内に雨水などが溜まることが防止される。
【0032】
上蓋14は、上述のように、上蓋支持部20aに係止されることによって、受枠12の上蓋収容部20内に保持される。上蓋14の高さは、受枠12の上蓋収容部20の高さと同じ大きさに設定され、受枠12に上蓋14を装着した状態で、側壁42の上端面と上蓋収容部20の上端面とは面一となる。また、側壁42の内径(窪み部40の径)は、たとえば260mmであり、側壁42の外径は、上蓋収容部20の内径と同じまたは少し小さい大きさに設定される。さらに、窪み部40の深さは、一般的なインターロッキングブロックの厚みを考慮して設定され、たとえば65mmである。
【0033】
図9および図10に示すように、内蓋16は、立上り管104の上端開口を封止して、立上り管104から外部への悪臭および排水の漏れを防止するための部材であって、硬質塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。内蓋16は、円形状の天板部60と、天板部60の下面周縁部に沿って形成される短円筒状の嵌合部62とを有する。天板部60は、その中央部に凹部60aを有しており、この凹部60aを架け渡すように把持部(取っ手)64が形成される。このような把持部64を有することで、内蓋16の着脱が容易となる。また、凹部60aに把持部64を形成することで、内蓋16(延いては受枠12)の高さ寸法を小さくすることができる。
【0034】
また、内蓋16の外側面、具体的には嵌合部62の外側面には、周方向に延びる環状の溝部66が形成され、この溝部66にシールリング68が装着される。内蓋16は、嵌合部62が立上り管104の上端部に内嵌めされると共に、天板部60の下面周縁部が立上り管104の上端面に係止されることで、立上り管104に保持される。
【0035】
図2および図3に戻って、立上り管104の上端部の外側面と受枠12の受口22の内側面との隙間24には、この隙間24を埋めるように環状の発泡テープ18(仮固定部材)が圧縮状態で設けられる。発泡テープ18としては、所定の厚みを有する帯形状の発泡樹脂の片面に粘着層が形成されたものを用いるとよく、発泡テープ18を構成する発泡樹脂としては、ポリオレフィン系またはポリウレタン系などの発泡樹脂が挙げられる。
【0036】
図11からよく分かるように、発泡テープ18は、立上り管104と受枠12の受口22とを接続する前に、立上り管104の上端部の外側面に環状に貼り付けられる。そして、発泡テープ18は、立上り管104に受枠12(桝蓋10)を接続したときに、受枠12を首振り可能、つまり立上り管104に対して受枠12を傾斜可能に支持する。この発泡テープ18には、周方向の一部に切欠き18aを形成してもよい。つまり、発泡テープ18は、周方向の一部に切欠き18aを有する環状に形成してもよく、この切欠き18aは、内蓋16の上面に溜まった水の水抜き溝として利用される。
【0037】
また、上述のように、受枠12の受口22の内側面は、受口22の奥側から先端側に向かって拡径するテーパ状に形成される。つまり、立上り管104と受口22との隙間24の大きさは、受口22の奥側よりも先端側(入り口側)の方が大きい。ここで、発泡テープ18が配置される受口22の奥側部分(具体的には第1テーパ面22aの部分)と立上り管104との隙間24の大きさは、立上り管104と受口22とが接続される前の状態における発泡テープ18の厚み(つまり自然状態の厚み)よりも小さくなるように設定される。一方で、受口22の先端側部分と立上り管104との隙間24の大きさは、立上り管104と受口22とが接続される前の状態における発泡テープ18の厚みよりも大きくなるように設定される。すなわち、立上り管104の上端部に発泡テープ18を取り付けた状態において、発泡テープ18の外径は、受口22の奥側部分の内径よりも大きく、受口22の先端側部分の内径よりも小さい。具体的には、発泡テープ18の厚みは、たとえば4mm~10mmに設定される。この実施例では、受口22の奥側部分の隙間24が約6mmであり、受口22の先端側部分の隙間24が約9.5mmであるところ、発泡テープ18の厚みは、たとえば8mmである。
【0038】
このような接続構造100では、図2および図3に示すように、発泡テープ18によって受枠12(延いては桝蓋10)が支持されており、立上り管104に対して受枠12がフリーな状態であるため、桝蓋10の施工時に、立上り管104に対して受枠12を傾けた状態で支持(仮固定)することができる。すなわち、発泡テープ18は、立上り管104に対して受枠12を傾けた状態で仮固定可能であり、立上り管104の上端部の外側面と受口22の内側面との間で発泡テープ18が圧縮されることで、立上り管104に対して受枠12が傾いた状態で仮固定される。この実施例では、立上り管104の軸方向と直交する方向(つまり水平方向)に対して、受枠12の上端面(延いては化粧材106の上面)は、最大3度までの任意の傾斜を取ることが可能である。また、発泡テープ18によって仮固定するだけなので、桝蓋10の施工時には、受枠12の高さ位置および傾斜角度などを微調整することもできる。さらに、立上り管104の外径よりも受口22の内径の方が小さいが、立上り管104に発泡テープ18の厚みを加えると受口22の内径よりも大きくなるので、立上り管104と受口22(延いては上蓋14)とは同芯設置が可能である。
【0039】
また、この接続構造100では、受口22の内側面がテーパ状に形成され、受口22の先端側部分における隙間24が発泡テープ18の厚みよりも大きいので、受口22に立上り管104を挿入し易く、受枠12の施工が容易になる。さらに、受口22の内側面をテーパ状に形成することで、受枠12が動き難くなり、発泡テープ18によって受枠12をより安定かつ強固に仮固定(保持)することができる。また、受枠12を傾けて仮固定するときに、発泡テープ18の一定の圧縮を保持できる。
【0040】
続いて、図12および図13を参照して、地表面GLが傾斜した施工場所に桝蓋10を施工する桝蓋の施工方法について説明する。ここでは、化粧材106,108がインターロッキングブロックである場合を一例として説明する。
【0041】
桝蓋10を施工する際には、先ず、桝102、立上り管104、桝蓋10、内蓋16および発泡テープ18などの施工部材を用意すると共に、図12(A)に示すように、立上り管104の上端部が露出した状態となるように桝102を地中に施工する。この際には、立上り管104に受枠12を接続したときに、受枠12の上端面と地表面GLとが面一に施工できるように、立上り管104の上端の高さ位置を調整しておく。また、立上り管104の上端部の外側面に、発泡テープ18を環状に貼り付ける。
【0042】
次に、図12(B)に示すように、立上り管104の上端部を受枠12の受口22に真っ直ぐに嵌め入れることで、立上り管104と受枠12を接続する。この際には、発泡テープ18によって受枠12が支持される。続いて、図12(C)に示すように、想定される地表面GLと受枠12の上端面とが面一になるように、つまり化粧材106,108を施工したときに桝蓋10(具体的に上蓋14)に設けられる化粧材108の上面と受枠12の周囲に設けられる化粧材106の上面とが面一となるように、立上り管104に対して受枠12を傾けた状態で仮固定する。この際には、立上り管104に対して受枠12を傾けるだけで、立上り管104の上端部の外側面と受口22の内側面との間で発泡テープ18が圧縮され、立上り管104に対して受枠12を傾けた状態(つまり位置決めした状態)で仮固定することができる。また、受口22の内側面がテーパ状であるので、発泡テープ18によって受枠12を安定かつ強固に仮固定することができる。
【0043】
続いて、図13(D)に示すように、立上り管104の上端部に内蓋16を取り付けると共に、受枠12の上蓋収容部20に上蓋14を取り付ける。この際、内蓋16の外側面に設けられたシールリング68は、内蓋16の外側面と立上り管104の内側面との間で圧縮される。これにより、この間の気密性および水密性が確保され、内蓋16によって立上り管104の上端開口が適切に封止されて、桝102内への雨水の浸入や立上り管104から外部への臭気などの漏れが防止される。また、上蓋14は、上蓋支持部20aに係止されることによって、その側壁42の上端面と受枠12の上端面とが面一な状態で、上蓋収容部20内に保持される。ただし、内蓋16は、立上り管104に受枠12を接続する前に立上り管104に取り付けることもできるし、上蓋14は、受枠12を傾けた状態で仮固定する前に受枠12に取り付けることもできる。
【0044】
続いて、図13(E)に示すように、立上り管104の上端部および受枠12の周囲に、砕石110およびモルタル112を施工する。この際、モルタル112は、その上面が上蓋収容部20の底面と面一となるように(つまり傾斜を取って)施工しておくとよい。このモルタル112が硬化することで、受枠12が固定される。また、モルタル112が硬化する前までは、受枠12は、その高さ位置および傾斜角度などを微調整することが可能である。
【0045】
そして、図13(F)に示すように、上蓋14の窪み部40および受枠12の周囲に化粧材106,108を施工する。すなわち、桝蓋10(受枠12および上蓋14)の上端面と面一となるように、接着剤または敷モルタル等の固定材116を用いて桝蓋10の周囲に化粧材106を施工すると共に、上蓋14の窪み部40内に、固定材116と同様の固定材118を介して化粧材108を嵌め込む。これにより、上蓋14内に嵌め込まれた化粧材108は、周囲の化粧材106と面一となるように傾斜して保持される。
【0046】
以上のように、この実施例によれば、立上り管104の上端部の外側面と受口22の内側面との隙間24に設けた発泡テープ18によって、立上り管104に対して受枠12を傾けた状態で仮固定可能であるので、設置場所の地表面が傾斜面の場合にも適切に対応できる。また、桝蓋10を仮固定した後でも、周囲のモルタル112が硬化する前までは、受枠12の高さ位置および傾斜角度などを微調整可能であるので、桝蓋10の施工性が向上される。
【0047】
なお、上述の実施例では、モルタル112の下側に砕石110を施工したが、砕石110の代わりにコンクリートを施工することもできる(図示せず)。また、化粧材106,108がタイルの場合には、図14に示すように、モルタル112の代わりにコンクリート120を施工してもよい。この場合には、コンクリート120が硬化することで、受枠12を固定される。
【0048】
また、接続構造100が備える桝蓋10の具体的構成は、上述したものに限定されず、この発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
【0049】
たとえば、上述の実施例では、上蓋14および上蓋14を収容する上蓋収容部20を円筒状に形成しているが、上蓋14および上蓋収容部20は、矩形筒状(平面視で正方形状または長方形状)に形成することもできる。
【0050】
また、上述の実施例では、受枠12の受口22の内側面をテーパ状に形成するに際して、第1テーパ面22aと第2テーパ面22bとで段階的に拡径させたが、受口22の奥から先端まで一定の角度で連続的に拡径させてもよい。また、第1テーパ面22aおよび第2テーパ面22bのいずれか一方のみを形成することもできる。さらに、受口22の内側面は、必ずしもテーパ状に形成する必要はなく、受口22の奥から先端まで内径が一定のストレート状に形成することもできる。
【0051】
さらに、上述の実施例では、立上り管104の上端部に内蓋16を取り付けるようにしたが、桝102が雨水桝である場合(つまり汚水用途でない場合)などには、内蓋16は、必ずしも設けられる必要はない。
【0052】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的構成は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 …桝蓋
12 …受枠
14 …上蓋
16 …内蓋
18 …発泡テープ(仮固定部材)
20 …上蓋収容部
22 …受口
40 …窪み部
100 …桝蓋の接続構造
102 …桝
104 …立上り管
106,108 …化粧材
図1
図2
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