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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134932
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/1836 20220101AFI20240927BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20240927BHJP
   F23D 14/02 20060101ALI20240927BHJP
   F23D 14/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F24H9/1836
F24H1/14 B
F23D14/02 A
F23D14/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045393
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】船引 恒男
(72)【発明者】
【氏名】小林 知磨
(72)【発明者】
【氏名】杉江 繁男
【テーマコード(参考)】
3K017
3L034
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AB11
3K017AC02
3L034BA22
3L034BB03
(57)【要約】
【課題】全体の大型化や構造の複雑化を抑制しつつ、バーナユニット部と熱交換器との接続箇所のシール性能を良好にし、またバーナユニット部のケースの温度上昇を適切に抑制可能な温水装置を提供する。
【解決手段】バーナユニット部BUおよび熱交換器HEを接続する手段として、バーナユニット部BUの第1のケース1および熱交換器HEの第2のケース2のそれぞれの開口周縁部に設けられた枠状の部位であり、かつシール用部材5を挟んで互いに対向して接続される第1および第2の接続対象部J1,J2を備えている、温水装置WHであって、シール用部材5は、全体形状が第1および第2の接続対象部J1,J2に対応する枠状である一方、その一部には、切欠き状の凹部50または非切欠き状の孔部50Aが形成され、第1および第2の接続対象部J1,J2の少なくとも一方には、凹部50または孔部50Aに進入するように突出して他方と対面接触する熱伝達用凸部15が設けられている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃料ガスが供給される第1のケース、およびこの第1のケースに取付けられ、かつ前記燃料ガスを燃焼させるバーナを有するバーナユニット部と、
前記バーナにより発生された燃焼ガスが内部を進行する第2のケース、および前記燃焼ガスから熱回収を行なう伝熱管を有する熱交換器と、
前記第1および第2のケースのそれぞれの開口周縁部に設けられた枠状の部位であり、かつシール用部材を挟んで互いに対向して接続される第1および第2の接続対象部と、
を備えている、温水装置であって、
前記シール用部材は、全体形状が前記第1および第2の接続対象部に対応する枠状である一方、その一部には、切欠き状の凹部または非切欠き状の孔部が形成されており、
前記第1および第2の接続対象部のうち、少なくとも一方には、前記凹部または前記孔部に進入するように突出して他方と対面接触し、前記第1および第2の接続対象部の相互間において熱伝達を生じさせるための熱伝達用凸部が設けられていることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記熱伝達用凸部は、前記第1および第2の接続対象部と同方向に延びるブロック状またはリブ状である、温水装置。
【請求項3】
請求項2に記載の温水装置であって、
前記熱伝達用凸部として、前記第1および第2の接続対象部が延びる方向に間隔を隔てて並ぶ複数の熱伝達用凸部を備えており、
これら複数の熱伝達用凸部の相互間の位置には、前記第1および第2の接続対象部どうしを締結部材によって締結する締結部が設けられている、温水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記シール用部材の前記凹部または前記孔部は、前記シール用部材の外周縁または外周縁寄り部分に形成されており、
前記熱伝達用凸部は、前記第1および第2の接続対象部の相互間領域のうち、前記バーナから遠い側である外方寄り領域に位置し、かつ前記熱伝達用凸部の内方側には、前記シール用部材の一部が存在している、温水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記シール用部材に設けられた追加の孔部と、
この追加の孔部に進入するようにして前記第1および第2の接続対象部のいずれか一方に突設され、かつ前記第1および第2の接続対象部を締結する締結部材が内側に挿通される締結部材用のガイド部と、
をさらに備えており、
前記ガイド部は、前記バーナに近い側である片側部分が切り欠かれた半割筒状である、温水装置。
【請求項6】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記第1のケースのうち、前記第1の接続対象部の内方側の位置においては、前記バーナが複数の追加の締結部材を用いて前記第1のケースに取付けられており、
前記シール用部材の内周縁部の少なくとも一部は、前記第1および第2の接続対象部からその内方側にはみ出して前記複数の追加の締結部材の少なくともいずれか1つを覆う延設部として構成されている、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の温水装置は、バーナユニット部、および湯水加熱用の熱交換器を備えている。バーナユニット部は、バーナと、このバーナが取付けられ、かつ内部に燃料ガスが供給される第1のケース(バーナボディ、またはバーナケース)とを備えている。熱交換器は、バーナにより発生された燃焼ガスが内部を進行する第2のケース、およびこの第2のケース内に設けられ、前記燃焼ガスから熱回収し、湯水を加熱する伝熱管を備えている。
前記したバーナユニット部の第1のケースと、熱交換器の第2のケースとを接続する手段として、第2のケースの上端部には、平面視枠状のフランジ部が設けられている。また、第1のケースの下部には、フランジ部に対応した枠状領域が設けられている。これらの部分は、シール用部材(パッキン)を挟み、ネジ体などの締結部材を用いて互いに接続されている。
このような構成によれば、第1および第2のケースの接続箇所のシール性能をよくし、この接続箇所から燃焼ガスが外部に漏出することを防止することが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、バーナを駆動燃焼させている際には、燃焼ガスの影響により、バーナユニット部の第1のケースが高温となる虞がある。この第1のケースには、たとえば燃料ガスを供給するファン、燃料ガスの逆流を防止するためのバルブ機構、およびその他の機器が取付けられるのが一般的である。このため、第1のケースが高温になると、それらの機器が熱的ダメージを受ける虞がある。
【0005】
これを防止する手段として、たとえば特許文献2に示されているように、バーナを熱交換器の第2のケース内に配置し、かつバーナに設けられた外周フランジ部を、第2のケースの周壁部に接触させる手段がある。このような手段によれば、バーナの熱を外周フランジ部から第2のケースの周壁部を介して最終的には伝熱管に伝達させて逃がし、第1のケースの温度上昇を抑制し、前記した不具合を解消することが可能である。
ところが、このような手段によれば、外周フランジ部が設けられたバーナを、熱交換器の第2のケース内に組み込むため、全体が大型化し易く、また製造コストが高くなり易いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6475092号公報
【特許文献2】特許第6834772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、全体の大型化や構造の複雑化を抑制しつつ、バーナユニット部の第1のケースと熱交換器の第2のケースとの接続箇所のシール性能を良好にすること、および前記第1のケースの温度上昇の抑制を適
切に図ることが可能な温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される温水装置は、内部に燃料ガスが供給される第1のケース、およびこの第1のケースに取付けられ、かつ前記燃料ガスを燃焼させるバーナを有するバーナユニット部と、前記バーナにより発生された燃焼ガスが内部を進行する第2のケース、および前記燃焼ガスから熱回収を行なう伝熱管を有する熱交換器と、前記第1および第2のケースのそれぞれの開口周縁部に設けられた枠状の部位であり、かつシール用部材を挟んで互いに対向して接続される第1および第2の接続対象部と、を備えている、温水装置であって、前記シール用部材は、全体形状が前記第1および第2の接続対象部に対応する枠状である一方、その一部には、切欠き状の凹部または非切欠き状の孔部が形成されており、前記第1および第2の接続対象部のうち、少なくとも一方には、前記凹部または前記孔部に進入するように突出して他方と対面接触し、前記第1および第2の接続対象部の相互間において熱伝達を生じさせるための熱伝達用凸部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、バーナユニット部の第1のケースに具備された枠状の第1の接続対象部と、熱交換器の第2のケースに具備された枠状の第2の接続対象部とは、シール用部材を挟んで互いに対向して接続された構成とされている。このため、第1および第2のケースの接続箇所のシール性能を良好なものとし、それらの接続箇所から燃焼ガスが外部に漏出する虞を適切に解消することが可能である。
一方、第1および第2の接続対象部の相互間においては、熱伝達用凸部を介して熱伝達が可能である。このため、バーナが駆動燃焼して第1のケースが燃焼ガスから熱を受けた際には、第1のケースから第2のケースに向けて熱伝達用凸部を介して熱を効果的に逃がすことが可能である。したがって、第1のケースの温度上昇を抑制し、第1のケースに付属して設けられている機器が熱的ダメージを受ける虞を無くし、または少なくすることが可能である。
さらに重要な点として、本発明によれば、枠状のシール用部材に切欠き状の凹部または非切欠き状の孔部が形成され、かつこの凹部または孔部に、熱伝達用凸部が進入するようにしている。したがって、これらシール用部材および熱伝達用凸部の全体が大きく嵩張らないようにし、温水装置全体の小型化や構成の簡素化を合理的に図ることが可能である。本発明とは異なり、シール用部材に凹部や孔部を設けることなく、ただ単純にシール用部材の外側に熱伝達用凸部を並べて設けただけでは、これらのトータルの幅が大きくなり、その結果第1および第2の接続対象部なども幅広状となってしまう。これに対し、本発明によれば、そのようなことを適切に回避することが可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記熱伝達用凸部は、前記第1および第2の接続対象部と同方向に延びるブロック状またはリブ状である。
【0012】
このような構成によれば、熱伝達用凸部が設けられる箇所において、シール用部材の幅が過剰に狭くならないようにしつつ、熱伝達用凸部のサイズ(長さ)を大きくし、第1および第2の接続対象部の相互間の伝熱面積を大きくすることが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記熱伝達用凸部として、前記第1および第2の接続対象部が延びる方向に間隔を隔てて並ぶ複数の熱伝達用凸部を備えており、これら複数の熱伝達用凸部の相互間の位置には、前記第1および第2の接続対象部どうしを締結部材によって締結する締結部が設けられている。
【0014】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、複数の熱伝達用凸部の相互間の位置に、第1および第2の接続対象部どうしを締結する締結部が設けられているため、この締結部による締結力を、締結部の両側に位置する熱伝達用凸部の双方に及ぼすことが可能である。このことにより、第1および第2の接続対象部の一方に対して、複数の熱伝達用凸部を適切に対面接触させ、それらの相互間に大きな隙間を生じ難くすることが可能である。したがって、第1および第2の接続対象部の相互間の熱伝達性を良好とし、第1のケースの温度上昇抑制効果をさらによくすることが可能となる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記シール用部材の前記凹部または前記孔部は、前記シール用部材の外周縁または外周縁寄り部分に形成されており、前記熱伝達用凸部は、前記第1および第2の接続対象部の相互間領域のうち、前記バーナから遠い側である外方寄り領域に位置し、かつ前記熱伝達用凸部の内方側には、前記シール用部材の一部が存在している。
【0016】
このような構成によれば、熱伝達用凸部がバーナから遠い配置とされている。また、熱伝達用凸部の内方側に存在するシール用部材の一部は、バーナ側から熱伝達用凸部に対して燃焼ガスや輻射熱が直接作用し難くなる作用を発揮する。このため、熱伝達用凸部自体が、直接加熱されて高温になることは適切に抑制される。その結果、熱伝達用凸部を第1のケースの温度上昇を抑制するための部分(冷却機能部)として効果的に機能させることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記シール用部材に設けられた追加の孔部と、この追加の孔部に進入するようにして前記第1および第2の接続対象部のいずれか一方に突設され、かつ前記第1および第2の接続対象部を締結する締結部材が内側に挿通される締結部材用のガイド部と、をさらに備えており、前記ガイド部は、前記バーナに近い側である片側部分が切り欠かれた半割筒状である。
【0018】
このような構成によれば、前記ガイド部は、締結部材の挿通ガイドとして役立つ他、第1および第2の接続対象部の相互間寸法やシール用部材の圧縮代などを所望の寸法に設定し得るスペーサとしても役立たせることが可能である。
加えて、前記ガイド部は、バーナに近い側である片側部分が切り欠かれた半割筒状であるため、これとは異なり、前記ガイド部がたとえば筒状である場合と比較すると、バーナからガイド部までの距離を遠くすることができる。このことは、ガイド部が進入するシール用部材の追加の孔部を小サイズとし、ガイド部よりもバーナ側に存在するシール用部材の幅を大きくできることを意味する。したがって、ガイド部が設けられた箇所周辺部についても、シール用部材によるシール性をよくすることが可能である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記第1のケースのうち、前記第1の接続対象部の内方側の位置においては、前記バーナが複数の追加の締結部材を用いて前記第1のケースに取付けられており、前記シール用部材の内周縁部の少なくとも一部は、前記第1および第2の接続対象部からその内方側にはみ出して前記複数の追加の締結部材の少なくともいずれか1つを覆う延設部として構成されている。
【0020】
このような構成によれば、複数の追加の締結部材のうち、シール用部材の延設部によって覆われたものは、燃焼ガスや輻射熱を直接受け難くなる。したがって、追加の締結部材の温度上昇を抑制し得るとともに、この追加の締結部材の温度上昇に伴って第1のケース自体が温度上昇することを抑制することが可能となる。
追加の締結部材がシール用部材によって覆われた構造は、シール用部材の内周縁部の少
なくとも一部を、第1および第2の接続対象部からその内方側にはみ出させて実現されているため、その構成は合理的であって、製造も容易である。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る温水装置の分解斜視図である。
図2図1に示した温水装置の組立状態における要部断面図である。
図3図2の要部拡大断面図である。
図4図2に示した温水装置の図3とは異なる断面箇所での要部拡大断面図である。
図5図1および図2に示した温水装置のバーナユニット部の下方側からの概略斜視図である。
図6図5に示すバーナユニット部の底面図である。
図7図5に示すバーナユニット部の分解斜視図である。
図8図7の第1のケースおよびシール用部材を示す分解斜視図である。
図9図8のIX部の拡大斜視図である。
図10】(a)は、図9に示すガイド部の説明図であり、(b)は、(a)との対比例を示す説明図である。
図11】(a)は、本発明の他の例を示す要部拡大断面図であり、(b)は、(a)に相当する構成を備えたバーナユニット部の概略斜視図である。
図12】本発明の他の例を示す要部底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1および図2に示す温水装置WHは、給湯装置として構成されており、ファン4(図2では省略)、バーナユニット部BU、および熱交換器HEを備えている。
【0025】
バーナユニット部BUは、バーナ3、およびこのバーナ3が取付けられるバーナボディケースとしての第1のケース1を備えている。第1のケース1は、アルミダイキャストなどの鋳造品であり、枠状のベース部11の上面部に上向き凸状壁部12が設けられ、かつこの上向き凸状壁部12に、燃料ガス給気口13が形成されている。第1のケース1の内部には、燃料ガス給気口13に連通する下部開口状のチャンバ14が形成されている。第1のケース1には、後述する第1の接続対象部J1および複数の熱伝達用凸部15が設けられている。
ファン4は、第1のケース1の上部に取付けられており、燃料ガスを空気と混合された混合ガス(予混合気)の状態で燃料ガス給気口13からチャンバ14内に供給する。
【0026】
バーナ3は、複数の通気孔30a(炎孔)を有する多孔質の燃焼プレート30と、この燃焼プレート30を支持するバーナ枠体31とを備えている。このバーナ3は、燃焼プレート30がチャンバ14の下部開口部を塞ぐように第1のケース1に取付けられている。この取付けは、たとえば複数のビス88(本発明でいう「追加の締結部材」の具体例に相当)を用いて、バーナ枠体31を第1のケース1の下面部に取付ける態様でなされている。この取付け箇所においては、バーナ枠体31と第1のケース1との相互間に、耐熱性に優れるシール用のパッキン96が介装されている。
チャンバ14内においては、前記混合ガスが下向きに進行し、バーナ3の燃焼プレート30の通気孔30aを下方に通過する。この混合ガスには、点火プラグ86を利用して点火がなされる。このことにより、燃焼プレート30の表面側(下面側)は燃料ガスの燃焼
領域となる。この燃焼により発生した燃焼ガスは下向きに進行し、熱交換器HEの後述する第2のケース2内に進入する。
【0027】
熱交換器HEは、バーナユニット部BUの下側に接続されており、かつバーナ3により発生されて下向きに進行する燃焼ガスから熱を回収し、湯水加熱を行なうためのものである。この熱交換器HEは、第2のケース2に加え、上下に間隔を隔てて並んだ複数の胴パイプ9A、および伝熱管9を備えている。第2のケース2は、バーナBの下面側の燃焼領域およびその下方領域を囲む複数の側壁部2a~2dを有する平面視略矩形の筒状である。
【0028】
複数の胴パイプ9Aは、側壁部2a~2cの内面側に沿って略水平方向に延びる平面視略コ字状であり、側壁部2dに設けられたヘッダ流路92a,92bを介して一連に繋がっている。この胴パイプ9Aも、伝熱管9と同様に、本発明でいう伝熱管に含まれる。
伝熱管9は、熱回収用の複数のフィン97に接合され、かつ水平方向に延びる複数の直状の管体部90が、第2のケース2の外部において略U字状のベンド管91を介して一連に接続された構成である。
【0029】
この熱交換器HEにおいては、最上段の胴パイプ9Aにその入水口98から湯水が供給される。この湯水は、その後に上下複数段の胴パイプ9Aを、ヘッダ流路92a,92bを経由しながら図2の矢印N1~N3に示すように下段側に流れる。次いで、前記湯水は、矢印N4~N7に示すような順序で伝熱管9(直状の複数の管体部90およびベンド管91)を流れ、出湯口99に到達する。このような過程において、湯水は前記燃焼ガスにより加熱され、出湯口99から所望の給湯先に供給される。また、胴パイプ9Aは、第2のケース2を冷却する作用を発揮するが、この作用は、第1のケース1から第2のケース2への熱伝達を促進し、第1のケース1の温度上昇を抑制する上で好ましい。
【0030】
第1および第2のケース1,2は、第1および第2の接続対象部J1,J2を利用して接続されている。第1および第2の接続対象部J1,J2は、平面視(または底面視であり、以下同様)において枠状であり、シール用部材5を挟んで互いに対向して接続される。
以下、これらの部分の構成について詳述する。
【0031】
すなわち、図1によく表われているように、第2の接続対象部J2は、第2のケース2の上側の開口周縁部に設けられた枠状である。具体的には、第2のケース2の上端に連設された平面視矩形枠状のフランジ部22を含んで構成されている。フランジ部22は、第2のケース2の側壁部2a~2dの上端部を屈曲した4つのフランジ本体部22a~22dと、これら4つのフランジ本体部22a~22dの下面側に溶接などによって接合された補助部材23とが組み合わされて構成されている。補助部材23は、図2図4に表われているように、たとえば断面略コ字状である。また、補助部材23は、たとえば平面視L字状、コ字状、あるいは直状などの複数の部分に分割され、かつこれらが組み合わされることにより、補助部材23の全体は、4つのフランジ本体部22a~22dのそれぞれの下面側に位置する平面視矩形枠状に設定されている。
第1の接続対象部J1は、第1のケース1のチャンバ14の下側の開口周縁部に設けられた枠状である。より具体的には、この第1の接続対象部J1は、第1のケース1のベース部11のうち、第2の接続対象部J2に対向する枠状の部分であり、ベース部11の外周縁部が相当する。
【0032】
シール用部材5は、前記したシール用のパッキン96と同様に、耐熱性に優れたパッキンである。図5図8によく表われているように、シール用部材5(図5図7において、シール用部材5には薄墨を付している)は、第1および第2の接続対象部J1,J2に
対応する枠状である。ただし、シール用部材5は、単一部材として形成されていなくてもよく、複数に分割されたものが全体として枠状に設定された構成であってもよい。
【0033】
第1の接続対象部J1は、前側および後側の一対の直状領域A1、ならびに左右両側の直状領域A2,A3を有している(第2の接続対象部J2も同様である)。シール用部材5もそれと同様な平面視形状であり、このシール用部材5のうち、一対の直状領域A1に対応する箇所の外周縁部には、複数の切欠き状の凹部50が設けられている。
【0034】
一方、第1の接続対象部J1には、下向きに突出する複数の熱伝達用凸部15が突設されている。これら複数の熱伝達用凸部15は、第1および第2の接続対象部J1,J2の相互間において熱伝達を生じさせ、第1のケース1の温度上昇を抑制するための部位である。複数の熱伝達用凸部15は、直状領域A1の長手方向に延びるブロック状またはリブ状であり、その先端面(下端面)は、平面状である。また、これら複数の熱伝達用凸部15は、複数の切欠き状の凹部50に進入しており、かつその先端面は第2の接続対象部J2に対面接触している(図2図3を参照)。
本実施形態においては、バーナ3の駆動燃焼時に発生する燃焼ガスはバーナ3の左右方向よりも前後方向に広がり易くなっており、第1の接続対象部J1のうち、一対の直状領域A1は、直状領域A2,A3よりも高温になり易い傾向にある。このことに対応し、熱伝達用凸部15は、一対の直状領域A1に設けられている。勿論、熱伝達用凸部15を他の直状領域A2,A3に設けた構成とすることもできる。
【0035】
一対の直状領域A1のそれぞれにおいて、複数の熱伝達用凸部15は、直状領域A1の長手方向に適当な間隔を隔てて並んでいる。これに対し、これら複数の熱伝達用凸部15の相互間の位置には、第1および第2の接続対象部J1,J2どうしを複数のビス87(本発明でいう「締結部材」の具体例に相当)を用いて締結する締結部6a、および位置決め用のピン61が設けられている。また、複数の熱伝達用凸部15の左右両側の位置には、締結部6aと同様な構成の締結部6bがさらに設けられている。
【0036】
締結部6a,6bは、第1の接続対象部J1から下向きに突出する締結部材用のガイド部60を有している。このガイド部60は、バーナ3に近い側である片側部分(バーナユニット部BUの中央寄り部分)が切り欠かれた半割円筒状などの半割筒状である(図9も参照)。このガイド部60の内側に、ビス87が挿通された状態で、このビス87の締め付けにより第1および第2の接続対象部J1,J2の接続固定が図られる。ガイド部60は、シール用部材5に設けられた小サイズの孔部51(本発明でいう「追加の孔部」の具体例に相当)に進入しており、かつその先端部は、図4に示すように、第2の接続対象部J2に当接される。したがって、ガイド部60は、ビス87を締め付ける際にその締め代(シール用部材5の圧縮代にも相当)を規定するためのスペーサとしての役割を果たす。
位置決め用のピン61は、第1の接続対象部J1から下向きに突出しており、かつシール用部材5に別途設けられた孔部52に挿通している。図1において、符号29は、位置決め用のピン61が差し込まれる位置決め用孔部を示し、符号28は、前記したビス87が螺合するネジ孔部を示している。
【0037】
次に、前記した温水装置WHの作用について説明する。
【0038】
バーナユニット部BUの第1のケース1と、熱交換器HEの第2のケース2とは、第1および第2の接続対象部J1,J2を介して接続されているが、それらの相互間には、枠状のシール用部材5が介装されている。したがって、良好なシール性能が得られ、第1および第2の接続対象部J1,J2の接続箇所から燃焼ガスが外部に漏出する虞をなくすことが可能である。
一方、第1のケース1から第2のケース2側には、複数の熱伝達用凸部15を利用した
熱伝達が可能である。第2のケース2は、胴パイプ9Aおよび伝熱管9を流れる湯水による冷却効果が期待できるため、前記した熱伝達が可能である。このようなことから、バーナ3が駆動燃焼し、第1のケース1がバーナ3の燃焼領域から熱を受けたとしても、この熱を第1のケース1側から第2のケース2側に逃がすことにより、第1のケース1の温度上昇を抑制することが可能である。したがって、ファン4を始めとして、第1のケース1に取付けられている不図示の機器類が、熱的ダメージを受けないようにすることも可能である。
【0039】
本実施形態においては、シール用部材5の外周縁部に切欠き状の凹部50が形成され、かつこの切欠き状の凹部50に、熱伝達用凸部15が進入している。したがって、本実施形態によれば、たとえばシール用部材5に切欠き状の凹部50が設けられることなく、熱伝達用凸部15とシール用部材5とが単に並んで設けられる場合と比較すると、それら全体の幅を狭くすることが可能である。このことは、第1および第2の接続対象部J1,J2の小型化、ひいては第1および第2のケース1,2の双方の小型化を促進する上で有利である。
【0040】
また、熱伝達用凸部15は、第1および第2の接続対象部J1,J2の直状領域A1の長手方向に延びるブロック状またはリブ状であるため、熱伝達用凸部15が設けられる箇所において、シール用部材5の幅が過剰に狭くならないようにしつつ、各熱伝達用凸部15のサイズを大きくする上で一層好ましい。各熱伝達用凸部15のサイズを大きくして、第1および第2の接続対象部J1,J2の相互間の伝熱面積を大きくすると、第1のケース1の温度上昇を抑制する効果を一層良好にすることができる。
【0041】
切欠き状の凹部50は、シール用部材5の外周縁部に形成されており、熱伝達用凸部15は、第1および第2の接続対象部J1,J2の相互間領域のうち、バーナ3から遠い側である外方寄り領域に位置している。また、熱伝達用凸部の内方側には、シール用部材5の一部が存在しており、この部分は、バーナ3側から進行してくる燃焼ガスや輻射熱を遮り、これらが熱伝達用凸部15に到達し難くする作用も生じさせる。その結果、熱伝達用凸部15自体が直接熱を受けて高温になることは適切に抑制されることとなり、熱伝達用凸部15を第1のケース1の温度上昇を抑制するための部分として効果的に機能させることができる。
【0042】
第1および第2の接続対象部J1,J2は、締結部6a,6bにより相互に締結されているが、これらのうち締結部6aは、複数(2つ)の熱伝達用凸部15の相互間に位置している。このため、締結部6aの締結力を、複数の熱伝達用凸部15の双方に及ぼし、これらの先端面を第2の接続対象部J2に対して確実に対面接触させることが可能である。また、複数の熱伝達用凸部15の左右両側には、締結部6bが設けられているため、複数の熱伝達用凸部15を第2の接続対象部J2に対面接触させることを、より適切に行なうことが可能である。
【0043】
ビス87が挿通されるガイド部60は、既述したように、ビス87を締め付ける際の締め代(シール用部材5の圧縮代にも相当)を規定するためのスペーサとしての役割を果たすが、図9などを参照したように半割筒状である。このことにより、バーナ3からガイド部60までの距離を遠くし、シール用部材5の幅を確保することが可能である。
より具体的に説明すると、図10(b)は、本実施形態との対比例を示している。この対比例におけるガイド部60eは、筒状である。このため、シール用部材5に設けられ、かつガイド部60が挿通する孔部51eもそれに対応した形状およびサイズとなり、シール用部材5の一端部から孔部51eまでの距離Leは、短くなる。これでは、ガイド部60eの周辺部のシール性が悪化する虞がある。
これに対し、本実施形態によれば、図10(a)に示すように、ガイド部60が挿通す
るシール用部材5の孔部51を小サイズ化し、シール用部材5の一端部から孔部51までの距離Laを、対比例における距離Leよりも大きくすることができる。したがって、ガイド部60の周辺部のシール性が悪化することを回避する上で好ましい。
【0044】
図11および図12は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付し、重複説明は省略する。
【0045】
図11に示す実施形態においては、シール用部材5の内周縁部の一部が、第1および第2の接続対象部J1,J2の相互間からバーナ3側にはみ出すように延設され、かつ複数のビス88を覆う延設部55として構成されている。この延設部55は、たとえば図11(b)に示すように、シール用部材5の直線状の4つの内周縁部のそれぞれに設けられ、バーナ3の取付けに用いられた複数のビス88の全てが、延設部55によって覆われている。
【0046】
本実施形態によれば、バーナ3を取付けるための複数のビス88が燃焼ガスや輻射熱を直接受け難くなる。したがって、ビス88の温度上昇を抑制し、ビス88の温度上昇に伴って第1のケース1が温度上昇することを抑制することができる。シール用部材5に延設部55を設ける構成は簡易であり、部品点数の増加も招かないため、製造コストの大幅な上昇も回避するとこが可能である。
なお、本実施形態とは異なり、延設部55をたとえば1箇所のみ設け、複数のビス88のうちの一部のみが覆われた構成とすることも可能である。
【0047】
図12に示す実施形態においては、シール用部材5に、非切欠き状の孔部50Aが設けられている。熱伝達用凸部15は、この孔部50Aに進入している。
本実施形態に示すように、本発明においては、シール用部材5に切欠き状の凹部50を設けることに代えて、非切欠き状の孔部50Aを設けた構成とすることも可能である。この場合においても、上述した実施形態の同様な作用が期待できる。
【0048】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0049】
上述の実施形態においては、熱伝達用凸部15が第1の接続対象部J1に設けられているが、これに代えて、または加えて、第2の接続対象部J2に設けられた構成とすることも可能である。
熱伝達用凸部15は、たとえば段押し部として構成することも可能であり、またその具体的な形状も所定方向に延びたブロック状やリブ状以外の種々の形状とすることが可能である。熱伝達用凸部の具体的な数や、具体的な位置なども種々に変更可能である。
本発明でいう第1および第2の接続対象部は、バーナユニット部の第1のケースおよび熱交換器の第2のケースのそれぞれ開口周縁部に設けられた枠状の部位であり、かつシール用部材を挟んで互いに対向して接続される部位であればよく、フランジ部として構成されていなくてもよい。第1および第2の接続対象部を締結する締結部材としては、ビス以外のたとえばネジ部材を用いることが可能である。
シール用部材の具体的な材質なども限定されない。このシール用部材は枠状(ループ状)であるが、複数の部材を枠状に繋いだものであってもよいことは既に述べたとおりである。
【0050】
上述した実施形態の温水装置WHは、燃料ガスや燃焼ガスが下向きに進行する逆燃方式とされているが、本発明はこれに限定されず、たとえば上述した実施形態とは上下反対に、バーナユニット部の上側に熱交換器が配され、かつバーナユニット部から熱交換器に向
けて燃焼ガスが上向きに進行する正燃方式とすることもできる。温水装置を構成する熱交換器や、バーナユニット部の各部の具体的な構成も上述した実施形態の内容に限定されるものではない。
本発明でいう温水装置は、一般給湯、風呂給湯、または暖房給湯などが可能な給湯装置に加え、このような給湯以外として、温水を生成する機能を備えた他の装置を含む概念である。
【符号の説明】
【0051】
WH 温水装置
BU バーナユニット部
HE 熱交換器
J1,J2 第1および第2の接続対象部
1 第1のケース
15 熱伝達用凸部
2 第2のケース
3 バーナ
5 シール用部材
50 切欠き状の凹部
50A 非切欠き状の孔部
51 孔部(追加の孔部)
6a,6b 締結部
60 ガイド部
87 ビス(締結部材)
88 ビス(追加の締結部材)
9 伝熱管
9A 胴パイプ(伝熱管)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12