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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134939
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】記憶装置及び記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240927BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240927BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
H10N70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045402
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 綜一郎
(72)【発明者】
【氏名】金谷 宏行
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA02
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD17
4M119DD39
4M119DD42
4M119EE22
4M119EE27
4M119JJ13
4M119JJ15
5F092AB06
5F092AC12
5F092AD03
5F092AD23
5F092AD25
(57)【要約】
【課題】優れた特性を有する記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る記憶装置は、抵抗変化記憶素子40と、抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子50とを含み、抵抗変化記憶素子及びスイッチング素子が第1の方向に積層された構造を有するメモリセル30であって、スイッチング素子が、第1の電極51と、第1の元素が添加された第1の材料で形成された第1の部分52aを含む第2の電極52と、第1の電極と第2の電極の第1の部分との間に設けられ且つ第1の元素が添加された第1の絶縁材料で形成されたスイッチング材料層53とを含むメモリセルと、第1の方向から見てスイッチング材料層を囲み、第1の元素が添加されていない第1の絶縁材料で形成された第1の絶縁層61と、を備え、第1の方向から見て、第2の電極の第1の部分のパターンはスイッチング材料層のパターンに対応している。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗変化記憶素子と、前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子とを含み、前記抵抗変化記憶素子及び前記スイッチング素子が第1の方向に積層された構造を有するメモリセルであって、前記スイッチング素子が、第1の電極と、第1の元素が添加された第1の材料で形成された第1の部分を含む第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の前記第1の部分との間に設けられ且つ前記第1の元素が添加された第1の絶縁材料で形成されたスイッチング材料層とを含むメモリセルと、
前記第1の方向から見て前記スイッチング材料層を囲み、前記第1の元素が添加されていない前記第1の絶縁材料で形成された第1の絶縁層と、
を備える記憶装置であって、
前記第1の方向から見て、前記第2の電極の前記第1の部分のパターンは前記スイッチング材料層のパターンに対応している
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記第1の方向から見て、前記スイッチング材料層のパターンは前記第2の電極のパターンの内側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記第1の方向から見て、前記スイッチング材料層のパターンは前記抵抗変化記憶素子のパターンの内側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記第2の電極は、前記第1の方向から見て前記第1の部分を囲み且つ前記第1の元素が添加されていない前記第1の材料で形成された第2の部分をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記第2の電極の前記第1の部分は、前記第2の電極と一致している
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項6】
前記第1の元素は、金属元素である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項7】
前記第1の元素は、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、テルル(Te)及びゲルマニウム(Ge)から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項8】
前記第1の絶縁材料は、酸化物又は窒化物である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項9】
前記第1の絶縁材料は、シリコン酸化物(Si酸化物)、ジルコニウム酸化物(Zr酸化物)、アルミニウム酸化物(Al酸化物)、シリコン窒化物(Si窒化物)及びハフニウム酸化物(Hf酸化物)から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項10】
前記第1の材料は、導電材料又は半導体材料である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項11】
前記第1の材料は、チタン窒化物(Ti窒化物)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、タングステン窒化物(W窒化物)、銅(Cu)及びカーボン(C)から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項12】
前記第1の電極は前記スイッチング素子の下部電極に対応し、前記第2の電極は前記スイッチング素子の上部電極に対応する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項13】
前記下部電極に接続された配線をさらに備え、
前記第1の方向から見て、前記下部電極のパターンは前記配線のパターンに対応している
ことを特徴とする請求項12に記載の記憶装置。
【請求項14】
前記第1の電極は前記スイッチング素子の上部電極に対応し、前記第2の電極は前記スイッチング素子の下部電極に対応する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項15】
前記上部電極に接続された配線をさらに備え、
前記第1の方向から見て、前記上部電極のパターンは前記配線のパターンに対応している
ことを特徴とする請求項14に記載の記憶装置。
【請求項16】
前記抵抗変化記憶素子は、磁気抵抗効果素子である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項17】
抵抗変化記憶素子と、前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子とを含み、前記抵抗変化記憶素子及び前記スイッチング素子が積層された構造を有するメモリセルであって、前記スイッチング素子が、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ且つ第1の元素が添加された第1の絶縁材料で形成されたスイッチング材料層とを含むメモリセルを備える記憶装置の製造方法であって、
前記第1の元素が添加されていない前記第1の絶縁材料で形成された第1の絶縁層の一部に前記第1の元素を導入して、前記スイッチング材料層を形成する工程を備える
ことを特徴とする記憶装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1の絶縁層の前記一部に前記第1の元素を導入する工程は、前記第2の電極用の層の第1の部分に前記第1の元素を導入する工程を含み、
前記スイッチング材料層は、前記第1の電極と前記第2の電極用の層の前記第1の部分との間に形成される
ことを特徴とする請求項17に記載の記憶装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1の電極は前記スイッチング素子の下部電極に対応し、前記第2の電極は前記スイッチング素子の上部電極に対応し、
前記第1の絶縁層の前記一部に前記第1の元素を導入する工程は、前記第2の電極用の層の前記第1の部分を介して前記第1の絶縁層の前記一部に前記第1の元素を導入する工程を含む
ことを特徴とする請求項18に記載の記憶装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1の電極は前記スイッチング素子の上部電極に対応し、前記第2の電極は前記スイッチング素子の下部電極に対応し、
前記第1の絶縁層の前記一部に前記第1の元素を導入する工程は、前記第1の絶縁層の前記一部を介して前記第2の電極用の層の前記第1の部分に前記第1の元素を導入する工程を含む
ことを特徴とする請求項18に記載の記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置及び記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に、磁気抵抗効果素子等の抵抗変化記憶素子及びスイッチング素子(セレクタ)を含むメモリセルが集積化された記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-043131号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0358547号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0149128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた特性を有する記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る記憶装置は、抵抗変化記憶素子と、前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子とを含み、前記抵抗変化記憶素子及び前記スイッチング素子が第1の方向に積層された構造を有するメモリセルであって、前記スイッチング素子が、第1の電極と、第1の元素が添加された第1の材料で形成された第1の部分を含む第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の前記第1の部分との間に設けられ且つ前記第1の元素が添加された第1の絶縁材料で形成されたスイッチング材料層とを含むメモリセルと、前記第1の方向から見て前記スイッチング材料層を囲み、前記第1の元素が添加されていない前記第1の絶縁材料で形成された第1の絶縁層と、を備える記憶装置であって、前記第1の方向から見て、前記第2の電極の前記第1の部分のパターンは前記スイッチング材料層のパターンに対応している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る記憶装置の基本的な概略構成を模式的に示した斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。
図3A】第1の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図3B】第1の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図4】第1の実施形態に係る記憶装置の磁気抵抗効果素子の構成を模式的に示した断面図である。
図5】第1の実施形態に係る記憶装置のセレクタの電流-電圧特性を模式的に示した図である。
図6A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図7A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図7B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図8A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図8B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図9A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図9B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図11A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図11B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図12A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図12B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図13A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図13B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図14A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図14B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図15A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図15B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図16A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図16B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図17A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図17B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図18A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図18B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図19A】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図19B】第1の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図20】第2の実施形態に係る記憶装置の基本的な概略構成を模式的に示した斜視図である。
図21】第2の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。
図22A】第2の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図22B】第2の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図23A】第2の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図23B】第2の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図24A】第2の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図24B】第2の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図25A】第2の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図25B】第2の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図26】第3の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。
図27】第3の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図28】第3の実施形態の第1の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図29】第3の実施形態の第2の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図30】第4の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。
図31】第4の実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図32】第4の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図33】第4の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図34】第4の実施形態に係る記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図35】第4の実施形態の第1の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
図36】第4の実施形態の第2の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る記憶装置(不揮発性記憶装置)の基本的な概略構成を模式的に示した斜視図である。
【0009】
図1に示した構造は、半導体基板(図示せず)を含む下部構造(図示せず)上に設けられており、それぞれがX方向に延伸する複数の配線10と、それぞれがY方向に延伸する複数の配線20と、複数の配線10と複数の配線20との間に設けられた複数のメモリセル30とを含んでいる。配線10及び配線20の一方はワード線に対応し、配線10及び配線20の他方はビット線に対応する。
【0010】
メモリセル30は、磁気抵抗効果素子(抵抗変化記憶素子)40と、磁気抵抗効果素子40に対して直列に接続されたセレクタ(スイッチング素子)50とを含み、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50がZ方向に積層された構造を有している。本実施形態では、磁気抵抗効果素子40がセレクタ50の上層側に設けられている。
【0011】
なお、X方向、Y方向及びZ方向は互いに交差する方向である。具体的には、X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交している。
【0012】
図2は、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。図3A及び図3Bは、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。図2のA-A線に沿った断面が図3Aに対応し、図2のB-B線に沿った断面が図3Bに対応する。
【0013】
図2図3A及び図3Bに示すように、記憶装置は、配線10と、配線20と、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50を含むメモリセル30と、絶縁層61~66とを含んでいる。
【0014】
すでに述べたように、配線10はX方向に延伸し、配線20はY方向に延伸しており、配線10及び配線20の一方はワード線に対応し、配線10及び配線20の他方はビット線に対応している。
【0015】
図4は、磁気抵抗効果素子40の構成を模式的に示した断面図である。
【0016】
磁気抵抗効果素子40は、MTJ(magnetic tunnel junction)素子であり、記憶層(第1の磁性層)41と、参照層(第2の磁性層)42と、トンネルバリア層(非磁性層)43とを含んでいる。
【0017】
記憶層41は、可変の磁化方向を有する強磁性層である。参照層42は、固定された磁化方向を有する強磁性層である。可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。トンネルバリア層43は、記憶層41と参照層42との間に設けられた絶縁層である。
【0018】
記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が低い低抵抗状態を呈し、記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して反平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が高い高抵抗状態を呈する。したがって、磁気抵抗効果素子40は、その抵抗状態に応じて2値データを記憶することが可能である。
【0019】
磁気抵抗効果素子40は、垂直磁化を有するSTT(spin transfer torque)型の磁気抵抗効果素子であり、記憶層41の磁化方向はその主面に対して垂直であり、参照層42の磁化方向はその主面に対して垂直である。
【0020】
図2図3A及び図3Bの説明に戻ると、セレクタ50は、2端子型のスイッチング素子であり、下部電極(第1の電極)51と、上部電極(第2の電極)52と、セレクタ材料層(スイッチング材料層)53とを含んでいる。
【0021】
下部電極51は、所定の導電材料で形成されており、配線10に接続されている。本実施形態では、Z方向から見て、下部電極51のパターンは配線10のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、下部電極51のパターンは配線10のパターンに整合しており、下部電極51のパターンは配線10のパターンと実質的に同じである。
【0022】
上部電極52は、第1の部分52a及び第2の部分52bを含んでいる。第1の部分52a及び第2の部分52bは、連続的に設けられ、同じ厚さを有している。上部電極52は磁気抵抗効果素子40の下部電極としての機能も有しており、Z方向から見て、上部電極52のパターンは磁気抵抗効果素子40のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、上部電極52のパターンは磁気抵抗効果素子40のパターンに整合しており、上部電極52のパターンは磁気抵抗効果素子40のパターンと実質的に同じである。
【0023】
第1の部分52aは、添加元素(第1の元素)が添加された導電材料(第1の材料)で形成されている。導電材料は、チタン窒化物(Ti窒化物)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、タングステン窒化物(W窒化物)、銅(Cu)及びカーボン(C)から選択される。添加元素は、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、テルル(Te)及びゲルマニウム(Ge)等の金属元素から選択される。
【0024】
Z方向から見て、第2の部分52bは第1の部分52aを囲んでおり、第1の部分52aの外側に位置している。第2の部分52bは、上述した導電材料で形成されており、上述した添加元素は添加されていない。すなわち、第1の部分52a及び第2の部分52bは同じ導電材料を含んでおり、第1の部分52aには上述した添加元素が添加され、第2の部分52bには上述した添加元素は添加されていない。
【0025】
セレクタ材料層53は、下部電極51と上部電極52との間に設けられており、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは、下部電極51のパターンの内側及び上部電極52のパターンの内側に位置している。より具体的には、セレクタ材料層53は、下部電極51と上部電極52の第1の部分52aとの間に設けられており、Z方向から見て、上部電極52の第1の部分52aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、上部電極52の第1の部分52aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに整合しており、上部電極52の第1の部分52aのパターンはセレクタ材料層53のパターンと実質的に一致している。また、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは、磁気抵抗効果素子40のパターンの内側に位置している。
【0026】
セレクタ材料層53は、上述した添加元素が添加された絶縁材料(第1の絶縁材料)で形成されている。すなわち、セレクタ材料層53は、上部電極52の第1の部分52aに添加されている添加元素と同じ添加元素が添加された絶縁材料で形成されている。セレクタ材料層53の絶縁材料には、酸化物又は窒化物が用いられる。具体的には、セレクタ材料層53の絶縁材料には、シリコン酸化物(Si酸化物)、ジルコニウム酸化物(Zr酸化物)、アルミニウム酸化物(Al酸化物)、シリコン窒化物(Si窒化物)或いはハフニウム酸化物(Hf酸化物)が用いられる。
【0027】
図5は、セレクタ50の電流-電圧特性を模式的に示した図である。
【0028】
図5に示されるように、セレクタ50は、下部電極51と上部電極52との間に印加される電圧Vが増加して下部電極51と上部電極52との間に印加される電圧が閾値電圧Vthよりも大きくなると、オフ状態からオン状態に移行する。また、セレクタ50は、下部電極51と上部電極52との間に印加される電圧Vが減少して下部電極51と上部電極52との間に印加される電圧がホールド電圧Vholdよりも小さくなると、オン状態からオフ状態に移行する。
【0029】
したがって、配線10と配線20との間に電圧を印加してセレクタ50に印加される電圧が閾値電圧Vthよりも大きくなると、セレクタ50はオン状態になる。その結果、セレクタ50に接続された磁気抵抗効果素子40に電流が流れ、磁気抵抗効果素子40に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0030】
例えば、選択されたメモリセル30に接続された選択された配線10に電圧ゼロを印加し、選択されたメモリセル30に接続された選択された配線20には電圧Vselを印加する。また、非選択のメモリセル30に接続された非選択の配線10には電圧(Vsel/2)を印加し、非選択のメモリセル30に接続された非選択の配線20にも電圧(Vsel/2)を印加する。
【0031】
上述したような電圧印加動作を行うことにより、選択されたメモリセル30には選択電圧Vselが印加される。また、選択された配線10と非選択の配線20との間に接続されたメモリセル(半選択のメモリセル)30には、半選択電圧(Vsel/2)が印加される。非選択の配線10と選択された配線20との間に接続されたメモリセル(半選択のメモリセル)30にも、半選択電圧(Vsel/2)が印加される。また、非選択の配線10と非選択の配線20との間に接続されたメモリセル(非選択のメモリセル)30には、電圧ゼロが印加される。なお、半選択のメモリセル30は、実際には非選択状態(半選択のメモリセル30に含まれるセレクタ50がオフ状態)であるが、上述したような半選択電圧(Vsel/2)が印加されるため、便宜上、半選択のメモリセル30と呼ぶ。
【0032】
上述したことから、閾値電圧Vthが、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50に印加される電圧と、半選択のメモリセル30に含まれるセレクタ50に印加される電圧との間になるように、電圧Vselを設定する。このように電圧Vselを設定することで、選択されたメモリセル30に含まれるセレクタ50のみをオン状態に設定することができ、選択されたメモリセル30に含まれる磁気抵抗効果素子40に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0033】
Z方向から見て、絶縁層(第1の絶縁層)61は、セレクタ材料層53を囲んでおり、セレクタ材料層53の外側に位置している。絶縁層61及びセレクタ材料層53は、連続的に設けられ、同じ厚さを有している。絶縁層61は、上述した添加元素が添加されていない絶縁材料(第1の絶縁材料)で形成されている。すなわち、セレクタ材料層53と絶縁層61とは同じ絶縁材料を含んでおり、セレクタ材料層53には上述した添加元素が添加され、絶縁層61には上述した添加元素は添加されていない。
【0034】
絶縁層62は、磁気抵抗効果素子40の側面を保護する機能を有しており、シリコン窒化物及びシリコン酸化物等で形成されている。
【0035】
絶縁層63、64、65及び66は、層間絶縁層であり、シリコン酸化物等で形成されている。
【0036】
次に、本実施形態に係る記憶装置の製造方法を、図6A及び図6B図19A及び図19Bに示した断面図を参照して説明する。
【0037】
まず、図6A及び図6Bに示すように、絶縁層(シリコン酸化物層)63上に配線用の導電層(例えば、タングステン(W)層)を形成し、導電層上に下部電極層を形成する。続いて、導電層及び下部電極層を一括して同一の平面形状にパターニングして、X方向に延伸する配線10及び下部電極51を形成する。
【0038】
次に、図7A及び図7Bに示すように、図6A及び図6Bの工程で得られた構造上に絶縁層(シリコン酸化物層)64を形成する。続いて、絶縁層64を平坦化して、下部電極51の上面を露出させる。
【0039】
次に、図8A及び図8Bに示すように、図7A及び図7Bの工程で得られた構造上に絶縁層(シリコン酸化物層)61を形成する。続いて、絶縁層61上に上部電極層52Lを形成し、上部電極層52L上に絶縁層(シリコン酸化物層)71Lを形成する。さらに、絶縁層71L上にレジストパターン72を形成する。Z方向から見て、レジストパターン72は円状のパターンを有している。
【0040】
次に、図9A及び図9Bに示すように、図8A及び図8Bの工程で形成されたレジストパターン72をマスクとして用いて絶縁層71Lをエッチングし、絶縁層パターン71を形成する。さらに、レジストパターン72を除去する。
【0041】
次に、図10A及び図10Bに示すように、図9A及び図9Bの工程で得られた絶縁層パターン71をシュリンクして、シュリンクされた絶縁層パターン71sを形成する。
【0042】
次に、図11A及び図11Bに示すように、図10A及び図10Bの工程で得られた構造上にレジスト層を形成し、レジスト層をエッチバックする。これにより、シュリンクされた絶縁層パターン71sを囲むレジストパターン73が得られ、シュリンクされた絶縁層パターン71sの上面が露出する。
【0043】
次に、図12A及び図12Bに示すように、シュリンクされた絶縁層パターン71sを除去することで、ホールパターン74を有するレジストパターン73が得られる。
【0044】
次に、図13A及び図13Bに示すように、レジストパターン73をマスクとして用いて、絶縁層61の一部に添加元素をイオン注入する。このイオン注入により絶縁層61の一部に添加元素が導入され、セレクタ材料層53が形成される。すなわち、添加元素が添加されていない絶縁材料で形成された絶縁層61の一部に添加元素が導入され、セレクタ材料層53が形成される。すでに述べたように、添加元素は、ヒ素、ビスマス、テルル及びゲルマニウム等の金属元素から選択される。
【0045】
上述したイオン注入工程では、上部電極層52Lを介して絶縁層61の一部に添加元素がイオン注入される。そのため、上述したイオン注入によって上部電極層52Lの一部にも添加元素が導入され、上部電極52(後述する工程で形成される)の第1の部分52aが形成される。
【0046】
次に、図14A及び図14Bに示すように、レジストパターン73を除去する。このようにして、セレクタ材料層53及び上部電極の第1の部分52aが得られる。セレクタ材料層53は下部電極51と上部電極の第1の部分52aとの間に形成され、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンと上部電極52の第1の部分52aのパターンとは互いに対応している(整合している)。
【0047】
次に、図15A及び図15Bに示すように、図14A及び図14Bの工程で得られた構造上に磁気抵抗効果素子層40Lを形成する。続いて、磁気抵抗効果素子層40L上にマスク層を形成する。さらに、マスク層のパターニングを行い、マスク75を形成する。Z方向から見て、マスク75は円状のパターンを有している。
【0048】
次に、図16A及び図16Bに示すように、マスク75をマスクとして用いて、磁気抵抗効果素子層40L及び上部電極層52LをIBE(ion beam etching)によってエッチングする。これにより、磁気抵抗効果素子40及び上部電極52が得られる。上部電極52は、第1の部分52a及び第2の部分52bを含んでいる。
【0049】
次に、図17A及び図17Bに示すように、図16A及び図16Bの工程で得られた構造上に絶縁層(シリコン窒化物層及びシリコン酸化物層)62を形成し、絶縁層62上に絶縁層(シリコン酸化物層)65を形成する。
【0050】
次に、図18A及び図18Bに示すように、CMP(chemical mechanical etching)及びIBE等によって平坦化処理を行う。これにより、磁気抵抗効果素子40の上面が露出する。
【0051】
次に、図19A及び図19Bに示すように、配線用の導電層を形成した後、導電層をパターニングすることで、Y方向に延伸する配線20が形成される。
【0052】
その後、絶縁層(シリコン酸化物層)66を形成することで、図3A及び図3Bに示すような構造が得られる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、図13A及び図13Bの工程で、絶縁層61の一部に上部電極層52Lを介して添加元素を導入することでセレクタ材料層53のパターンが形成される。そのため、セレクタ材料層53のパターンをエッチングによって形成しなくてもよい。また、図16A及び図16Bの工程で、磁気抵抗効果素子層40L及び上部電極層52Lをパターニングするときに、セレクタ材料層53の側面は絶縁層61で囲まれている。そのため、本実施形態では、以下に述べるように、特性及び信頼性に優れた記憶装置を得ることが可能である。
【0054】
セレクタ材料層53のパターンをエッチングによって形成する場合には、セレクタ材料層53にはエッチングに起因するダメージが生じるおそれがある。また、セレクタ材料層53のパターンを形成する際に生じたエッチング生成物が磁気抵抗効果素子40等の側面にリデポジションして、電気的なショート不良が生じるおそれもある。
【0055】
本実施形態では、上述したような問題を効果的に回避することができ、特性及び信頼性に優れた記憶装置を得ることが可能である。
【0056】
また、本実施形態では、絶縁層61の一部に添加元素を導入してセレクタ材料層53を形成するときに、上部電極層52Lにも添加元素が導入され、上部電極52の第1の部分52aが形成される。しかしながら、上部電極52の第1の部分52aに添加元素が導入されていても、第1の部分52aの導電性には影響がないため、セレクタ50の特性が悪影響を受けることはない。
【0057】
また、本実施形態では、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは、磁気抵抗効果素子40のパターンの内側及び上部電極52のパターンの内側に位置している。すなわち、セレクタ材料層53のパターンの面積は、磁気抵抗効果素子40のパターンの面積及び上部電極52のパターンの面積よりも小さい。そのため、セレクタ50の実質的な面積が小さくなり、セレクタ50の抵抗(Z方向の抵抗)を高くすることができる。その結果、セレクタ50がオフ状態のときの抵抗の増加によって、セレクタ50がオフ状態のときのリーク電流(オフ電流)を低減させることが可能である。特に、半選択のメモリセル30に含まれるセレクタ50にはある程度の大きさを有する電圧が印加されるため、半選択のメモリセル30には非選択のメモリセル30よりも大きなリーク電流(オフ電流、半選択電流)が流れる。本実施形態では、セレクタ50の実質的な面積が小さく、セレクタ50の抵抗(Z方向の抵抗)を高くすることができるため、特に半選択のメモリセル30のリーク電流(オフ電流、半選択電流)を効果的に低減させることが可能である。
【0058】
また、本実施形態では、図6A及び図6Bの工程で、同一の平面形状を有する配線10及び下部電極51が一括して形成される。すなわち、Z方向から見て、配線10のパターンと下部電極51のパターンとが実質的に一致している。仮に、配線10のパターンと下部電極51のパターンとが別々の工程で形成されるとすると、アライメントのばらつきに起因して耐圧不良が生じるおそれがある。すなわち、互いに隣接する第1及び第2のメモリセル間において、第1のメモリセルに含まれる下部電極51と第2のメモリセルに接続された配線10との距離が短くなり、耐圧不良が生じるおそれがある。
【0059】
本実施形態では、Z方向から見て、配線10のパターンと下部電極51のパターンとが実質的に一致しているため、上述したような問題を回避することが可能である。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る記憶装置について説明する。なお、基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0061】
図20は、第2の実施形態に係る記憶装置(不揮発性記憶装置)の基本的な概略構成を模式的に示した斜視図である。
【0062】
本実施形態の記憶装置も、第1の実施形態と同様に、複数の配線10と、複数の配線20と、複数の配線10と複数の配線20との間に設けられた複数のメモリセル30とを含んでいる。
【0063】
また、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、メモリセル30は、磁気抵抗効果素子(抵抗変化記憶素子)40と、磁気抵抗効果素子40に対して直列に接続されたセレクタ(スイッチング素子)50とを含み、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50がZ方向に積層された構造を有している。ただし、本実施形態では、磁気抵抗効果素子40がセレクタ50の下層側に設けられている。
【0064】
図21は、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。図22A及び図22Bは、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。図21のA-A線に沿った断面が図22Aに対応し、図21のB-B線に沿った断面が図22Bに対応する。
【0065】
図21図22A及び図22Bに示すように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、記憶装置は、配線10と、配線20と、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50を含むメモリセル30と、絶縁層61~66とを含んでいる。ただし、上述したように、本実施形態では、磁気抵抗効果素子40がセレクタ50の下層側に設けられている。
【0066】
磁気抵抗効果素子40の基本的な構成は、第1の実施形態で述べた磁気抵抗効果素子40の構成と同様である。
【0067】
セレクタ50の基本的な構成も、第1の実施形態で述べたセレクタ50の構成と同様であり、下部電極(第1の電極)51と、上部電極(第2の電極)52と、セレクタ材料層(スイッチング材料層)53とを含んでいる。
【0068】
本実施形態では、セレクタ50が磁気抵抗効果素子40の上層側に設けられている。そのため、下部電極51は磁気抵抗効果素子40の上部電極としての機能も有している。また、Z方向から見て、下部電極51のパターンは磁気抵抗効果素子40のパターンに対応している。すなわち、下部電極51のパターンは磁気抵抗効果素子40のパターンに整合しており、下部電極51のパターンは磁気抵抗効果素子40のパターンと実質的に同じである。
【0069】
上部電極52は配線20に接続されており、Z方向から見て、上部電極52のパターンは配線20のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、上部電極52のパターンは配線20のパターンに整合しており、上部電極52のパターンは配線20のパターンと実質的に同じである。
【0070】
第1の実施形態と同様に、上部電極52は、第1の部分52a及び第2の部分52bを含んでいる。第1の部分52a及び第2の部分52bは、連続的に設けられ、同じ厚さを有している。
【0071】
第1の部分52a及び第2の部分52bの基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。すなわち、第1の部分52aは、添加元素が添加された導電材料で形成されている。導電材料及び添加元素は、第1の実施形態と同様である。第2の部分52bは、上述した導電材料で形成されており、上述した添加元素は添加されていない。また、Z方向から見て、第2の部分52bは、第1の部分52aを囲んでおり、第1の部分52aの外側に位置している。
【0072】
第1の実施形態と同様に、セレクタ材料層53は下部電極51と上部電極52との間に設けられており、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは下部電極51のパターンの内側及び上部電極52のパターンの内側に位置している。より具体的には、セレクタ材料層53は、下部電極51と上部電極52の第1の部分52aとの間に設けられており、Z方向から見て、上部電極52の第1の部分52aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、上部電極52の第1の部分52aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに整合しており、上部電極52の第1の部分52aのパターンはセレクタ材料層53のパターンと実質的に一致している。また、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは、磁気抵抗効果素子40のパターンの内側に位置している。
【0073】
また、第1の実施形態と同様に、セレクタ材料層53は、上述した添加元素が添加された絶縁材料(第1の絶縁材料)で形成されている。具体的な絶縁材料は、第1の実施形態で述べた絶縁材料と同じである。
【0074】
第1の実施形態と同様に、Z方向から見て、絶縁層(第1の絶縁層)61は、セレクタ材料層53を囲んでおり、セレクタ材料層53の外側に位置している。絶縁層61及びセレクタ材料層53は、連続的に設けられ、同じ厚さを有している。絶縁層61は、上述した添加元素が添加されていない絶縁材料(第1の絶縁材料)で形成されている。絶縁層61の絶縁材料は、第1の実施形態で述べた絶縁材料と同じである。
【0075】
絶縁層62、63、64、65及び66は、第1の実施形態で述べた絶縁層62、63、64、65及び66と実質的に同じである。
【0076】
次に、本実施形態に係る記憶装置の製造方法を、図23A図25Aに示した断面図及び図23B図25Bに示した断面図を参照して説明する。
【0077】
まず、図23A及び図23Bの工程を行う。具体的には、まず、配線10、絶縁層63及び絶縁層64を含む構造を形成する。続いて、磁気抵抗効果素子層及び下部電極層を形成し、磁気抵抗効果素子層及び下部電極層を一括してパターニングする。これにより、磁気抵抗効果素子40及び下部電極51が形成される。さらに、絶縁層62及び絶縁層65を形成する。
【0078】
次に、図24A及び図24Bの工程を行う。具体的には、まず、図23A及び図23Bの工程で得られた構造上に絶縁層61を形成し、絶縁層61上に上部電極層52Lを形成する。続いて、上部電極層52L上に、ホールパターン74を有するレジストパターン73を形成する。ホールパターン74を有するレジストパターン73の形成方法は、第1の実施形態と同様である。続いて、第1の実施形態と同様にして、レジストパターン73をマスクとして用いて、添加元素のイオン注入を行う。これにより、第1の実施形態と同様に、セレクタ材料層53及び上部電極52(後述する工程で形成される)の第1の部分52aが形成される。
【0079】
次に、図25A及び図25Bに示すように、レジストパターン73を除去する。このようにして、セレクタ材料層53及び上部電極の第1の部分52aが得られる。セレクタ材料層53は下部電極51と上部電極の第1の部分52aとの間に形成され、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンと上部電極52の第1の部分52aのパターンとは互いに対応している(整合している)。
【0080】
その後、図22A及び図22Bに示すように、配線用の導電層を形成した後、導電層及び上部電極層52Lを一括してパターニングする。これにより、Y方向に延伸する配線20及び上部電極層52が形成される。さらに、絶縁層66を形成することで、図22A及び図22Bに示すような構造が得られる。
【0081】
以上のように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様にして、セレクタ材料層53及び上部電極の第1の部分52aが形成される。したがって、本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0082】
また、本実施形態では、同一の平面形状を有する配線20及び上部電極52が一括して形成される。すなわち、Z方向から見て、配線20のパターンと上部電極52のパターンとが実質的に一致している。配線20のパターンと上部電極52のパターンとが別々の工程で形成されるとすると、アライメントのばらつきに起因して耐圧不良が生じるおそれがある。すなわち、互いに隣接する第1及び第2のメモリセル間において、第1のメモリセルに含まれる上部電極52と第2のメモリセルに接続された配線20との距離が短くなり、耐圧不良が生じるおそれがある。
【0083】
本実施形態では、Z方向から見て、配線20のパターンと上部電極52のパターンとが実質的に一致しているため、上述したような問題を回避することが可能である。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る記憶装置について説明する。なお、基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0085】
図26は、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。図27は、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。図26のA-A線に沿った断面が図27に対応する。
【0086】
第1の実施形態では、上部電極52が、第1の部分52a及び第2の部分52bを含んでいたが、本実施形態では、上部電極52が、実質的に第1の部分52aのみで形成されており、第2の部分52bを含んでいない。本実施形態では、第2の部分52bに対応する位置に半導体部分56が設けられている。
【0087】
本実施形態では、上部電極52の第1の部分52aは添加元素が添加された半導体材料で形成され、半導体部分56は上記添加元素が添加されていない上記半導体材料で形成されている。すなわち、半導体部分56と上部電極52の第1の部分52aとは、同じ半導体材料を含んでいる。半導体材料には、例えば、シリコン(Si)が用いられる。添加元素には、第1の実施形態で述べた添加元素を用いることが可能である。
【0088】
第1の実施形態と同様に、絶縁層61に添加元素を導入してセレクタ材料層53を形成する際に、上部電極52用の第1の部分52aの半導体層にも添加元素が導入され、上部電極52の第1の部分52aが形成される。
【0089】
半導体部分56は、真性半導体で形成されており、上部電極52の第1の部分52aに比べて抵抗が極めて高い。そのため、本実施形態では、第1の部分52aが実質的に上部電極52として機能し、第1の部分52aが上部電極52と実質的に一致している。
【0090】
本実施形態の基本的な製造方法は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様にしてセレクタ材料層53及び上部電極の第1の部分52aが形成される。したがって、本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0091】
図28は、本実施形態の第1の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0092】
本変形例でも、上述した実施形態と同様に、上部電極52の第1の部分52aは添加元素が添加された半導体材料で形成され、半導体部分56は上記添加元素が添加されていない上記半導体材料で形成され、セレクタ材料層53は上記添加元素が添加された絶縁材料で形成されている。
【0093】
ただし、上述した実施形態では、磁気抵抗効果素子40のパターンを形成するときに、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側の半導体層を完全に除去することで、半導体部分56を形成していた。したがって、Z方向から見て、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側には半導体部分56は設けられていなかった。
【0094】
本変形例では、磁気抵抗効果素子40のパターンを形成するときに、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側の半導体層の一部を残すことで、半導体部分56を形成している。したがって、本変形例では、Z方向から見て、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側にも半導体部分56が含まれている。
【0095】
本変形例の基本的な製造方法も第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様にしてセレクタ材料層53及び上部電極の第1の部分52aが形成される。したがって、本変形例でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0096】
なお、本変形例では、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側にも半導体部分56が設けられているため、隣接するメモリセル間において、隣接する上部電極52(第1の部分52a)間の領域に半導体部分56が存在することになるが、半導体部分56の抵抗は非常に高いため、隣接する上部電極52間の絶縁性を確保することが可能である。
【0097】
図29は、本実施形態の第2の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0098】
上述した第1の変形例では、磁気抵抗効果素子40のパターンを形成するときに、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側の半導体層の一部を残すことで、半導体部分56を形成していた。本変形例では、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側の半導体層の一部に対して絶縁化処理を施すことで、絶縁化部分57を形成している。具体的には、酸素プラズマを用いて半導体層を酸化することで、絶縁化部分57を形成している。したがって、本変形例では、Z方向から見て、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側には絶縁化部分57が設けられている。
【0099】
本変形例の基本的な製造方法も第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様にしてセレクタ材料層53及び上部電極の第1の部分52aが形成される。したがって、本変形例でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0100】
また、本変形例では、磁気抵抗効果素子40のパターンの外側には絶縁化部分57が設けられているため、第1の変形例に比べて、隣接する上部電極52(第1の部分52a)間の絶縁性をより確実に確保することが可能である。
【0101】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る記憶装置について説明する。なお、基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0102】
図30は、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した平面パターン図である。図31は、本実施形態に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。図30のA-A線に沿った断面が図31に対応する。
【0103】
上述した第1~第3の実施形態では、セレクタ50の上部電極52に第1の部分52aが設けられていたが、本実施形態では、セレクタ50の下部電極51に第1の部分51aが設けられている。すなわち、本実施形態では、下部電極51が第1の部分51a及び第2の部分51bを含んでいる。第1の部分51a及び第2の部分51bは、連続的に設けられ、同じ厚さを有している。
【0104】
第1の部分51aは、添加元素が添加された導電材料で形成されている。添加元素及び導電材料には、第1の実施形態で述べた添加元素及び導電材料が用いられる。
【0105】
Z方向から見て、第2の部分51bは、第1の部分51aを囲んでおり、第1の部分51aの外側に位置している。第2の部分51bは、上述した導電材料で形成されており、上述した添加元素は添加されていない。すなわち、第1の部分51a及び第2の部分51bは同じ導電材料を含んでおり、第1の部分51aには上述した添加元素が添加され、第2の部分51bには上述した添加元素は添加されていない。
【0106】
本実施形態では、セレクタ材料層53は、下部電極51の第1の部分51aと上部電極52との間に設けられており、Z方向から見て、下部電極51の第1の部分51aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、下部電極51の第1の部分51aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに整合しており、下部電極51の第1の部分51aのパターンはセレクタ材料層53のパターンと実質的に一致している。
【0107】
セレクタ材料層53は、上述した添加元素が添加された絶縁材料で形成されている。すなわち、セレクタ材料層53は、下部電極51の第1の部分51aに含有されている添加元素と同じ添加元素が添加された絶縁材料で形成されている。具体的な絶縁材料は、第1の実施形態で述べた絶縁材料と同じである。
【0108】
セレクタ材料層53は、下部電極51と上部電極52との間に設けられており、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは、下部電極51のパターンの内側及び上部電極52のパターンの内側に位置している。より具体的には、セレクタ材料層53は、下部電極51の第1の部分51aと上部電極52との間に設けられており、Z方向から見て、下部電極51の第1の部分51aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに対応している。すなわち、Z方向から見て、下部電極51の第1の部分51aのパターンはセレクタ材料層53のパターンに整合しており、下部電極51の第1の部分51aのパターンはセレクタ材料層53のパターンと実質的に一致している。また、Z方向から見て、セレクタ材料層53のパターンは、磁気抵抗効果素子40のパターンの内側に位置している。
【0109】
次に、本実施形態に係る記憶装置の製造方法を、図32図34に示した断面図を参照して説明する。
【0110】
まず、図32の工程を行う。具体的には、まず、配線10、下部電極層51L、絶縁層61、絶縁層63及び絶縁層64を含む構造を形成する。続いて、絶縁層61上に、絶縁層61に対して高いエッチング選択性を有する材料を用いた材料層を形成する。さらに、レジストパターン82をマスクとして用いて材料層をエッチングして、材料層パターン81を形成する。
【0111】
次に、図33に示すように、材料層パターン81をシュリンクして、シュリンクされた材料層パターン81sを形成する。
【0112】
次に、図34に示すように、シュリンクされた材料層パターン81sを囲むレジストパターン83を形成した後、シュリンクされた材料層パターン81sを除去する。これにより、ホールパターン84を有するレジストパターン83が得られる。続いて、レジストパターン83をマスクとして用いて、絶縁層61の一部に添加元素をイオン注入する。このイオン注入により絶縁層61の一部に添加元素が導入され、セレクタ材料層53が形成される。このイオン注入工程では、絶縁層61の一部を介して下部電極層51Lの一部にも添加元素が導入され、下部電極51の第1の部分51aが形成される。また、第1の部分51aの外側には、第1の部分51aを囲む第2の部分51bが形成される。
【0113】
レジストパターン83を除去した後、上部電極52、磁気抵抗効果素子40、絶縁層62、絶縁層65及び配線20を形成することで、図31に示すような構造が得られる。
【0114】
以上のように、本実施形態では、図34の工程で、絶縁層61の一部に添加元素を導入することでセレクタ材料層53が形成される。したがって、本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0115】
図35は、本実施形態の第1の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0116】
上述した実施形態では、磁気抵抗効果素子40の下層側にセレクタ50が設けられていたが、本変形例では、磁気抵抗効果素子40の上層側にセレクタ50が設けられている。また、本変形例では、下部電極51の第1の部分51aの下側にも第2の部分51bの一部が設けられている。
【0117】
本変形例でも、絶縁層61の一部に添加元素を導入することでセレクタ材料層53が形成される。したがって、本変形例でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0118】
図36は、本実施形態の第2の変形例に係る記憶装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0119】
上述した実施形態では、絶縁層61に添加元素を導入する際に下部電極層51Lにも添加元素が導入され、下部電極51の第1の部分51aが形成されたが、絶縁層61に添加元素を導入する際に下部電極層51Lに添加元素が導入されないようにしてもよい。この場合には、下部電極51の全体に、添加元素が添加されない構造が得られる。
【0120】
本変形例でも、絶縁層61の一部に添加元素を導入することでセレクタ材料層53が形成される。したがって、本変形例でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0121】
なお、第4の実施形態において、下部電極51の厚さ方向(Z方向)の全体に第1の部分51aが設けられていてもよいし、下部電極51の厚さ方向の一部に第1の部分51aが設けられていてもよい。すなわち、上述した第1の変形例のように、第1の部分51aの下側に第2の部分51bが設けられていてもよい。
【0122】
また、第1~第3の実施形態のように、上部電極52に第1の部分52aが設けられている場合には、上部電極52の厚さ方向の全体に第1の部分52aが設けられていてもよいし、上部電極52の厚さ方向の一部に第1の部分52aが設けられていてもよい。すなわち、第1の部分52aの上側に第2の部分52bが設けられていてもよい。
【0123】
また、第4の実施形態の第2の変形例では、下部電極層51Lには添加元素を導入せずに、下部電極51に第1の部分51aが設けられないようにした。第1~第3の実施形態でも同様に、上部電極層52Lには添加元素を導入せずに、上部電極52に第1の部分52aが設けられないようにしてもよい。
【0124】
また、上述した第1~第4の実施形態では、抵抗変化記憶素子として磁気抵抗効果素子を用いたが、磁気抵抗効果素子以外の抵抗変化記憶素子を用いてもよい。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
10…配線 20…配線 30…メモリセル
40…磁気抵抗効果素子(抵抗変化記憶素子) 41…記憶層(第1の磁性層)
42…参照層(第2の磁性層) 43…トンネルバリア層(非磁性層)
50…セレクタ(スイッチング素子)
51…下部電極(第1又は第2の電極)
51a…第1の部分 51b…第2の部分
52…上部電極(第1又は第2の電極)
52a…第1の部分 52b…第2の部分
53…セレクタ材料層(スイッチング材料層)
61…絶縁層(第1の絶縁層)
62、63、64、65、66…絶縁層
71…絶縁層パターン 72、73…レジストパターン 74…ホールパターン
75…マスク
81…材料層パターン 82、83…レジストパターン 84…ホールパターン
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36