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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134945
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】給電方法及び給電装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240927BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240927BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240927BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
H02J50/12
H02J50/90
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045411
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】辰田 康明
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】機械式駐車場におけるワイヤレス給電を実現する給電方法及び給電装置を提供する。
【解決手段】給電方法は、高さ方向に複数台分の電気自動車を駐車可能な機械式駐車場の各駐車スペースに備えられる給電装置が、搬送装置によって搬送される電気自動車の底部と対向するように配置される給電コイルを用い、前記駐車スペースに前記電気自動車が格納されたことを検知すると、前記給電コイルからの給電を開始させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に複数台分の電気自動車を駐車可能な機械式駐車場の各駐車スペースに備えられる給電装置が、
搬送装置によって搬送される電気自動車の底部と対向するように配置される給電コイルを用い、
前記駐車スペースに前記電気自動車が格納されたことを検知すると、前記給電コイルからの給電を開始させる
給電方法。
【請求項2】
前記給電装置は、前記搬送装置が電気自動車を駐車スペースに載置する際に、前記給電コイルを、前記電気自動車のタイヤを支持する車止めよりも下方に位置するように制御する
請求項1に記載の給電方法。
【請求項3】
前記給電コイルの上下方向の位置を調整可能な前記給電コイルの支持機構を用い、
前記給電装置は、前記電気自動車が載置された状態で前記搬送装置から伸長する載荷台によって、前記電気自動車のタイヤが前記車止めに支持されるように前記電気自動車が停められた後、前記載荷台が引き抜かれることを検知し、
前記支持機構に対し、前記給電コイルの高さを調整する信号を出力する
請求項1に記載の給電方法。
【請求項4】
所定の第1距離以上、且つ前記第1距離よりも長い第2距離以下の距離を有効範囲に持つ測距センサを、前記駐車スペースの下方であって、前記駐車スペースに格納される前記電気自動車の底部から前記有効範囲に含まれる距離を隔てた位置に、上方に向けて設け、
前記給電装置は、前記測距センサからの信号に基づき前記有効範囲内の距離を測定できた場合に、前記給電コイルからの給電を開始させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電方法。
【請求項5】
前記駐車スペースに格納される前記電気自動車のタイヤを支持する車止めにタイヤが支持されたことを検知する検知部を設け、
前記給電装置は、前記検知部にて前記タイヤが支持されたことを検知した後、所定の待機期間が経過した場合に、前記給電コイルからの給電を開始させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電方法。
【請求項6】
前記駐車スペースに格納される前記電気自動車のタイヤを支持する車止めにタイヤが支持されたことを検知する第1検知部と、
前記電気自動車が載置された状態で前記搬送装置から伸長する載荷台の前記駐車スペースへの進入を検知する第2検知部と
を設け、
前記給電装置は、前記第1検知部で前記タイヤが支持されたことを検知し、且つ、前記第2検知部により前記載荷台が進入した後に引き抜かれたことを検知した場合に、前記給電コイルからの給電を開始させる
請求項3に記載の給電方法。
【請求項7】
前記給電装置は、前記機械式駐車場の前記搬送装置から、対応する駐車スペースへの電気自動車の格納を通知する信号を受け付けた場合に、前記給電コイルからの給電を開始させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電方法。
【請求項8】
高さ方向に複数台分の電気自動車を駐車可能な機械式駐車場の各駐車スペースに、搬送装置によって搬送される電気自動車の底部と対向するように配置される給電コイルと、
前記駐車スペースに前記電気自動車が格納されたことを検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づき、前記給電コイルからの給電を制御する制御部と
を備える給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場におけるワイヤレス給電を実現する給電方法及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車が普及し始めており、駐車エリアに停められた車両に給電する給電装置が駐車場に設置されている。平面的な駐車場ではなく、地上又は地下の高さ方向に車両を格納する機械式駐車場においても、自動的に給電を行なうシステムが提案されている(特許文献1等)。
【0003】
機械式駐車場における有線での給電では、車両を格納部へ格納する際に、予め格納部に用意された給電用コネクタと、車両の給電プラグとの間の電気的な接続をどのように実現するかが問題となる。機械式駐車場における有線での給電のため、車両を格納部へパレットごと運搬する方法が採用されている。特許文献1,2には、ユーザが、車両をパレット上に駐車した後、車両の給電プラグを、パレットに設けられた給電用接点に接続させて、駐車の操作を行なうと、搬送装置が車両をパレットごと搬送し、パレットを格納部に格納する際に給電用接点が自動的に給電用コネクタと接続される方法が提案されている。特許文献2では特に、車両が載置されるパレット(スライド部)は搬送装置の一部として構成されており、格納部へは車両のみを受け渡し、スライド部は搬送装置に戻っていく構成であっても、スライド部の動きに応じて給電用接点が給電用コネクタと接続される方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-084491号公報
【特許文献2】特許第7209059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有線での給電に対し、ワイヤレス給電では、車両が所定の範囲に駐車されたことを検知して自動的に開始する制御が可能である。機械式駐車場でも、ユーザが駐車場の所定位置に駐車させると、プラグを差し込むといった作業をすることなしに自動的に給電が開始されると、より利便性が向上する。
【0006】
本発明は、機械式駐車場におけるワイヤレス給電を実現する給電方法及び給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の給電方法は、高さ方向に複数台分の電気自動車を駐車可能な機械式駐車場の各駐車スペースに備えられる給電装置が、搬送装置によって搬送される電気自動車の底部と対向するように配置される給電コイルを用い、前記駐車スペースに前記電気自動車が格納されたことを検知すると、前記給電コイルからの給電を開始させる。
【0008】
本開示の給電方法及び給電装置では、機械式駐車場においても車両が駐車スペースに格納されたことに応じて給電を開始する制御が可能である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、駐車スペースの下方に空間を有するような機械式駐車場におけるワイヤレス給電が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】機械式駐車場の駐車スペースの模式図である。
図2】ワイヤレス給電システムの構成を示すブロック図である。
図3】給電装置の構成を示すブロック図である。
図4】検知部の位置を示す模式側面図である。
図5】検知部の設置箇所についての説明図である。
図6】検知部の設置箇所についての説明図である。
図7】検知部の設置箇所についての説明図である。
図8】検知部の設置箇所についての説明図である。
図9】検知部の設置箇所についての説明図である。
図10】検知部の設置箇所についての説明図である。
図11】検知部の設置箇所についての説明図である。
図12】給電コイルによる給電方法の説明図である。
図13】制御部による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態の検知部の位置を示す模式側面図である。
図15】第2実施形態の検知部の位置を示す模式側面図である。
図16】第2実施形態の制御部による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。
図17】第3実施形態の検知部の位置を示す模式側面図である。
図18】第3実施形態の制御部による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。
図19】第4実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
図20】第4実施形態の制御部による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の給電方法、及び給電装置について、その給電方法を実施するワイヤレス給電システムを搭載した機械式駐車場を例に挙げて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、機械式駐車場の駐車スペースの模式図である。第1実施形態の機械式駐車場では、地下又は地上に複数本建てられた支柱に、フレーム3が渡され、フレーム3の上部にタイヤ4本分の車止め31が固定されて1つの駐車スペースを構成する。第1実施形態の機械式駐車場は、図1に示すように小型の電気自動車である車両Vが駐車可能である。
【0013】
フレーム3には、給電コイル10を支持する支持機構32が設けられている。支持機構32は、フレーム3に平行に固定される基体321に対し、一端が揺動可能に設けられたアーム322を有する。一端のアーム322の先端に、給電コイル10が固定される。
【0014】
駐車される車両Vは、パレットPに載置されて駐車スペースまで上下に移動するように図示しない搬送機構によって搬送される。パレットPは、搬送機構に対して回転、車両Vの前後方向に可動するが、搬送機構から分離しない。パレットPは、車両Vの搬送に用いられるが、車両Vを駐車スペースに載置した後は搬送機構によって駐車スペースから引き抜かれる。パレットPは耐久性が高い例えば金属製の板であって、車両Vのタイヤ位置に対応する切り欠きを有する。
【0015】
搬送装置は、駐車スペースの車止め31の高さよりも高い位置でパレットPの高さを一旦止める。搬送装置は、パレットPを、駐車スペースの真上に位置するように車両Vの前後方向に移動させる。搬送装置は、フレーム3の真上からパレットPを下に降ろすように移動させる。パレットPの切り欠きは、車止め31の位置と対応しており、パレットPが駐車スペースの真上から下降すると、切り欠きが車止め31を避け、パレットPは車止め31の高さよりも下降可能である。パレットPが車止め31よりも下降すると、車両Vのタイヤが車止め31に止められる。車両Vは、4つの車止め31によって支持される。車止め31よりも下方に下降したパレットPには、車両Vは載置されていない。搬送装置は、パレットPを引き抜く。これにより、車両Vが駐車スペースに停められる。
【0016】
給電コイル10は、パレットPがフレーム3の真上に移動すると、アーム322が基体321を基点として下方に降りることに伴って、車止め31よりも下方に下がる。パレットPにより押されて下降してもよい。給電コイル10は、パレットPが、車止め31よりも下降した位置から搬送装置によって引き抜かれると、上昇して車両Vの底面に対向する。
【0017】
第1実施形態の機械式駐車場では、駐車スペースに載置された車両Vの下方にパレットPが残らずに引き抜かれるため、パレットPよりも下方に存在していた給電コイル10を車両Vの底部に対向させることが可能である。第1実施形態のワイヤレス給電システム100は、このような機械式駐車場でワイヤレス給電を実現する。
【0018】
給電コイル10は、図1に示すような車両Vが駐車されていない状態でも、一旦パレットPが移動してきて車両Vが載置された後でも、上昇可能である。引き抜かれるパレットPは金属製で耐久性のために分厚いので、給電コイル10からの給電開始のタイミングの制御が困難である。このような機械式駐車場でのワイヤレス給電システムによる適切な制御方法について以下に説明する。
【0019】
図2は、ワイヤレス給電システム100の構成を示すブロック図であり、図3は、給電装置1の構成を示すブロック図である。ワイヤレス給電システム100は、車両Vに搭載されているバッテリ20と、バッテリ20への電力を受電する受電コイル21とに対し、給電装置1から給電コイル10を介して電力を供給する。
【0020】
給電装置1は、制御部11、記憶部12、通信回路13、及び接続部14を備える。制御部11、記憶部12、通信回路13及び接続部14は、1つの基板上に集積されてマイクロコントローラとして構成されてよいし、各々の構成部として実装されてもよい。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit )を用いる。制御部11は、記憶部12に記憶してあるプログラムP1を読み出して実行し、後述の制御処理を実現する。給電装置1は、給電コイル10と接続されており、制御部11は給電コイル10への電源Eからの給電を制御する。制御部11は、接続部14を介して接続される検知部15からの入力に基づいて車両Vが駐車スペースに駐車されたことと、パレットPが引き抜かれたことを検知すると、給電コイル10からの給電を開始する。
【0022】
記憶部12は、不揮発性メモリを用いる。記憶部12にはプログラム(プログラムプロダクト)P1が記憶されている。プログラムP1は、給電装置1の製造時にメモリに組み込まれている。プログラムP1は、コンピュータ(制御部)により読み取り可能な記録媒体に記録されているものを、制御部11が読み取って記憶部12に記憶したものであってもよい。
【0023】
通信回路13は、受電コイル21を制御する車載制御装置との無線通信を実現する。通信回路13は、例えばBluetooth(登録商標)により通信する。通信回路13による無線通信の規格はBluetoothに限らない。また通信回路13は、他の無線通信機器、例えば車両Vに搭載されている機器との無線通信を行なってもよい。
【0024】
接続部14は、制御部11の入出力インタフェースである。接続部14は、検知部15と接続されている。接続部14は、支持機構32のアーム322を駆動するモータと接続される。
【0025】
検知部15は、例えば超音波を発する発信部と反射した超音波を受信する超音波センサとによって構成される。検知部15は、超音波ではなく他の特定の波長の光を発光する発光部及びその反射光を受光する光電センサであってもよい。検知部15は、カメラであってもよい。
【0026】
検知部15に超音波センサを用いる場合、超音波センサが、音波を発する方向において直近部分に不感帯を有することを利用して配置する。図4は、検知部15の位置を示す模式側面図である。図4において、アーム322を含む支持機構32の図示を省略している。図4において左右方向は、駐車スペースの車両Vの前後方向に対応する。第1実施形態では、検知部15は、フレーム3から、前後方向に並ぶ2つの車止め31の間の位置から、停められる車両Vの下方に位置する場所に延出した延出部の先端部に設けられている(図1参照)。検知部15は、図4に示すように、音波を鉛直方向の上方に向けて発するように設けられている。図4に示す状態において検知部15は、車両Vが停められていない状態では、距離を有効な範囲で測定できず、距離が不定であることを示す信号を出力する。
【0027】
図5から図11は、検知部15の設置箇所についての説明図である。図5から図11は、図4に示した検知部15の位置に対し、パレットPに載置された車両Vが駐車スペースに格納され、パレットPが引き抜かれるまでのパレットP及び車両Vの位置の変化を示す。図5から図11においても、アーム322を含む支持機構32の図示を省略している。
【0028】
図5は、図中の左方向から、車両Vが載置されたパレットPが移動してくる様子を示す。パレットPは、図1を参照して説明したように、車止め31の高さよりも少し高い位置で前後方向に移動してくる。検知部15の上方に、パレットPが差し掛かると、検知部15において超音波の反射が返って来るようになる。ただし、フレーム3で位置決めされる検知部15の高さは、前後方向に移動してくるパレットPとの間の距離が、検知部15の不感帯、即ち距離の検出範囲における最小距離よりも短くなるように設定されている。したがって、検知部15は、上方に差し掛かったパレットPからの反射波を受信しても、距離が不定であることを示す信号を出力する。
【0029】
図6図9は、車両Vが載置されたパレットPが下降してくる様子を示す。パレットPは、図1を参照して説明したように、駐車スペースの真上の位置に移動すると搬送装置によって下降させられる。このとき、検知部15とパレットPとの間の距離は、図5で示した距離以下である。したがって検知部15は、下降してくるパレットPからの反射波を受信しても、距離が不定であることを示す信号を出力する。
【0030】
図8及び図9は、パレットPが、車止め31の位置と対応する位置に設けられた切り欠きによって車止め31を避け、車両Vが車止め31によって支持される様子を示す。図6図9においても、検知部15とパレットPとの間の距離は、図5で示した距離以下であって、検知部15は、下降してくるパレットPからの反射波を受信しても、距離が不定であることを示す信号を出力する。
【0031】
図10は、パレットPが、車止め31の下方の位置から引き抜かれる様子を示す。パレットPは、図中の左方向へ向かって、移動する。パレットPは、車止め31のすぐ下であって検知部15よりもすぐ上の位置で前後方向に移動する。検知部15は、パレットPが上方を覆っている間は、パレットPからの反射波を受信しても、距離が不定であることを示す信号を出力する。
【0032】
図11は、パレットPが引き抜かれた後の様子を示す。車両Vが駐車スペースに格納されてパレットPが引き抜かれると、検知部15の上方は、車両Vの底面が覆うことになる。検知部15は、車両Vの底部からの反射波を受信して、有効な範囲内での距離に対応する距離を出力することが可能となる。
【0033】
図12は、給電コイル10による給電方法の説明図である。図12は、給電コイル10による給電時の様子を示す。給電装置1は、車両Vが駐車スペースに格納されてパレットPが引き抜かれると、これを検知部15で検知して給電を開始する。給電装置1は、支持機構32へ給電コイル10の上昇を指示し、給電コイル10が車両Vの底部に設けられた受電コイル21に対向する位置に上昇すると給電コイル10からの電力出力を開始する。このとき、車両Vの前後方向の位置は、車止め31に支持されることで決まるので、車両Vの車種によって受電コイル21の位置に相違がなければ、給電コイル10の前後方向の位置の調整は不要である。
【0034】
図13は、制御部11による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。制御部11は、起動している間、以下に示す処理を繰り返し実行する。
【0035】
制御部11は、検知部15からの信号に基づき、有効な所定範囲の距離を測定したか否かを判断する(ステップS101)。ステップS101において制御部11は、検知部15の有効範囲のうち、車両Vの底面までの距離として適切な所定範囲を記憶部12に記憶しておき、検知部15から出力される信号に相当する距離が、その所定範囲内に含まれるか否かを判断する。
【0036】
制御部11は、有効な所定範囲の距離を測定していないと判断した場合(S101:NO)、所定時間(例えば1秒、10秒、30秒等)待機し、処理をステップS101へ戻す。
【0037】
制御部11は、検知部15から有効な所定範囲の距離を測定したと判断した場合(S101:YES)、支持機構32へ、所定高さへの上昇を指示し(ステップS102)、通信部102により、通信回路13により車両側の受電制御装置と通信接続を開始する(ステップS103)。
【0038】
ステップS101において、制御部11は、図4の状態であるか、図5から図10の状態であるかを区別するために、反射波が返ってこない状態であるか否かを一旦判断してもよい。制御部11は、反射波は返ってきたが有効な範囲よりも短いか、あるいは所定範囲の下限値よりも短いと判断されたことを契機に、繰り返しの待機時間を30秒から0.5秒へ変更し、図5の状態になったことを検知してから、図11の状態となるまで、有効な距離を測定できたか否かを判断し続けてもよい。
【0039】
制御部11は、通信接続が確立されると給電コイル10からの給電を開始させる(ステップS104)。
【0040】
制御部11は、バッテリ20の状態が、充電が必要な状態であるか否かを判断する(ステップS105)。ステップS105において制御部11は、所定の電圧値よりもバッテリ20の電池電圧値が小さい場合、充電が必要であると判断し、所定の電圧値以上であると判断された場合、バッテリ20を満充電状態であって充電が不要と判断する。
【0041】
充電が必要な状態であると判断した場合(S105:YES)、制御部11は、処理をステップS105へ戻し、給電コイル10からの給電を維持する。
【0042】
充電が不要と判断された場合(S105:NO)、例えば満充電状態であると判断された場合、制御部11は、給電コイル10からの給電を停止し(ステップS106)、待機状態へ遷移する(ステップS107)。ステップS107において制御部11は、給電コイル10からの給電を停止するものの、通信回路13による通信接続を確立させたまま維持し、バッテリ20が再び充電が必要な状態となった場合に、処理をステップS104へ戻って給電を開始できるようにする。なおステップS106以降の処理は行わず、満充電状態になった後は、給電装置1も処理を停止してもよい。
【0043】
制御部11は、駐車スペースに格納されていた車両Vを搬出するためにパレットPが車止め31の下方に入り込めるように、支持機構32が搬送装置によって下降するように制御されると、これを検知する(ステップS108)。これにより、支持機構32は、給電コイル10をホームポジション(図4の状態)へ下降させる。ステップS108において制御部11が、検知部15によってパレットPの挿入を検知し、支持機構32へ下降を指示するようにしてもよい。
【0044】
制御部11は、通信接続を切断し(ステップS109)、処理を終了する。
【0045】
上述の構成及び処理により、駐車スペースに格納された車両Vの下方に空間が存在するような機械式駐車場において、ワイヤレス給電が実現される。4つの車止め31で支持できる重さの車両Vを対象とし、車両Vの下方に支持機構32で昇降可能な給電コイル10を配置できるような機械式駐車場であれば、上述のような処理によってワイヤレス給電を実現可能である。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態のワイヤレス給電システム100は、検知部15の設置位置及び処理手順が第1実施形態と異なる。第2実施形態のワイヤレス給電システム100の構成のうち、第1実施形態のワイヤレス給電システム100の構成と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図14及び図15は、第2実施形態の検知部15の位置を示す模式側面図である。図14は、車両Vが格納されていない状態を示し、図15は、車両Vが格納されている状態を示す。第2実施形態において検知部15は、フレーム3に対し、車止め31の側部に、車両Vのタイヤ又はタイヤホイールを検知するべく、車両Vに対して略水平方向に検知方向を向けて設けられている。第2実施形態においては、検知部15は、比較的近距離を測定する超音波センサを用いる。第2実施形態において、検知部15は、超音波センサではなくてもよい。検知部15は、カメラであってもよいし、金属(ホイール)の近接を検知する近接センサであってもよい。第2実施形態においては、給電装置1は、パレットPが引き抜かれたか否かを検知部15から出力される信号から推測することはしないため、次のような処理を実行する。
【0048】
図16は、第2実施形態の制御部11による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。制御部11は、起動している間、以下に示す処理を繰り返し実行する。なお、図16に示す処理手順のうち、第1実施形態の図13のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
制御部11は、検知部15からの信号に基づき、タイヤが車止め31に支持されたか否かを判断する(ステップS201)。タイヤが車止め31に支持されていないと判断された場合(S201:NO)、制御部11は所定時間(例えば1秒、10秒、30秒等)待機し、処理をステップS201へ戻す。
【0050】
制御部11は、検知部15からの信号に基づき、タイヤが車止め31に支持されたと判断された場合(S201:YES)、パレットPが引き抜かれるまで、所定の待機期間の間待機する(ステップS202)。制御部11は、待機期間が経過すると、処理をステップS102へ進め、支持機構32へ、所定高さへの上昇を指示する(S102)。以降の処理については、図13に示した処理手順と同様であるから詳細な説明を省略する。
【0051】
第2実施形態では、検知部15を略水平方向に向けることで、鉛直方向に上方に向けて設置する構成よりも、超音波センサのメンテナンスの面で好ましい。第2実施形態でも、駐車スペースに格納された車両Vの下方に空間が存在するような機械式駐車場において、ワイヤレス給電が実現される。
【0052】
(第3実施形態)
第3実施形態のワイヤレス給電システム100は、検知部15の設置位置及び処理手順が第1実施形態と異なる。第3実施形態のワイヤレス給電システム100の構成のうち、第1実施形態のワイヤレス給電システム100の構成と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
図17は、第3実施形態の検知部15の位置を示す模式側面図である。図17は、車両Vが図1に示す駐車スペースに格納される過程での検知部15の位置を示す。第3実施形態において検知部15は、フレーム3に対し、車止め31の側部に、車両Vのタイヤ又はタイヤホイールを検知するべく、車両Vに対して略水平方向に検知方向を向けて設けられている第1検知部151を含む。第1検知部151は、比較的近距離を測定する超音波センサ、カメラ、又は、金属(ホイール)の近接を検知する近接センサ等を用いる。第3実施形態において検知部15は、フレーム3に対し、パレットPの有無を検知するための第2検知部152を含む。第2検知部152は、図17に示すように、複数箇所に設けられていてもよいし、1つであってもよい。第2検知部152も較的近距離を測定する超音波センサ、カメラ、又は、金属(ホイール)の近接を検知する近接センサ等を用い、パレットPの有無を検知する。
【0054】
第3実施形態では、第1検知部151からの信号と、第2検知部152からの信号との組み合わせに基づいて、パレットPが引き抜かれたことを検知して給電コイル10からの給電を制御する。図18は、第3実施形態の制御部11による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。制御部11は、起動している間、以下に示す処理を繰り返し実行する。なお、図18に示す処理手順のうち、第1実施形態の図13のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
制御部11は、第1検知部151からの信号及び第2検知部152からの信号がいずれもOFFであること、即ち駐車スペースが空であることを確認する(ステップS301)。
【0056】
制御部11は、第1検知部151からの信号及び第2検知部152からの信号がいずれもONであるか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302において、制御部11は、第1検知部151からの信号と、第2検知部152からの信号との論理積を取り、両方がONである場合のみ、搬送装置によって車両Vが載置されたパレットPが搬送されてきたか否かを判断できる。
【0057】
制御部11は、第1検知部151からの信号及び第2検知部152からの信号のいずれか一方がOFFであると判断された場合(S302:NO)、制御部11は所定時間(例えば1秒、10秒、30秒等)待機し、処理をステップS302へ戻す。
【0058】
第1検知部151からの信号及び第2検知部152からの信号がいずれもONであると判断された場合(S302:YES)、制御部11は、第2検知部152からの信号がOFFとなったか否かを判断する(ステップS303)。ステップS303において制御部11は、図17に示したように、複数の第2検知部152を設けている場合、信号の論理和を取り、いずれの第2検知部152でもパレットPの存在を検知しなくなることを確認する。
【0059】
第2検知部152からの信号がOFFとなっていないと判断された場合(S303:NO)、制御部11は処理をステップS303へ戻す。
【0060】
第2検知部152からの信号がOFFとなったと判断された場合(S303:YES)、制御部11は、車両Vは格納され、パレットPが引き抜かれたと判断できる。制御部11は、処理をステップS102へ進め、支持機構32へ、所定高さへの上昇を指示する(S102)。以降の処理については、図13に示した処理手順と同様であるから詳細な説明を省略する。
【0061】
第3実施形態では、検知部15を複数、略水平方向に向けることによってコストを要するが、超音波センサを鉛直方向に上方に向けて設置する構成よりもメンテナンスの面で好ましい。第3実施形態でも、駐車スペースに格納された車両Vの下方に空間が存在するような機械式駐車場において、ワイヤレス給電が実現される。
【0062】
(第4実施形態)
第4実施形態のワイヤレス給電システム100では、検知部15の設置位置、及び処理手順が第1実施形態と異なる。第3実施形態のワイヤレス給電システム100の構成のうち、第1実施形態のワイヤレス給電システム100の構成と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図19は、第4実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。第4実施形態では、接続部14にて、機械式駐車場の搬送装置の制御部からの信号を受け付ける。その他の構成については同様である。第4実施形態において、検知部15は、第2実施形態同様に、タイヤが車止め31に支持されたことを検知する位置に設けられている(図14,15参照)。
【0064】
このように構成されているワイヤレス給電システム100において、給電装置1は以下のように給電コイル10からの給電を開始する。図20は、第4実施形態の制御部11による給電開始処理の一例を示すフローチャートである。制御部11は、起動している間、以下に示す処理を繰り返し実行する。なお、図20に示す処理手順のうち、第1実施形態の図13のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
制御部11は、搬送装置の制御部から、対象の給電コイル10に対応する駐車スペースへ車両Vを格納することを通知する信号を受け付けると、図20の処理を開始する。
【0066】
制御部11は、検知部15からの信号に基づき、タイヤが車止め31に支持されたか否かを判断する(ステップS401)。タイヤが車止め31に支持されていないと判断された場合(S401:NO)、制御部11は所定時間(例えば1秒、10秒、30秒等)待機し、処理をステップS401へ戻す。
【0067】
制御部11は、検知部15からの信号に基づき、タイヤが車止め31に支持されたと判断された場合(S401:YES)、搬送装置の制御部から、パレットPの引き抜きの完了通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS402)。制御部11は、パレットPの引き抜きの完了通知を受け付けていないと判断した場合(S402:NO)、所定時間(例えば1秒、10秒、30秒等)待機し、処理をステップS402へ戻す。
【0068】
制御部11は、パレットPの引き抜きの完了通知を受け付けたと判断した場合(S402:YES)、処理をステップS102へ進め、支持機構32へ、所定高さへの上昇を指示する(S102)。以降の処理については、図13に示した処理手順と同様であるから詳細な説明を省略する。
【0069】
第4実施形態では、搬送装置の制御部からパレットPの動作について通知を受け付けることで、パレットPの引き抜きの検知がより容易になる。搬送装置の制御との連動により、例えば車種の通知を受けて制御することも可能となる。第4実施形態でも、駐車スペースに格納された車両Vの下方に空間が存在するような機械式駐車場において、ワイヤレス給電が実現される。なお、4実施形態において給電装置1は、検知部15を設けることなしに、搬送装置の制御部からの信号のみに基づいて、給電開始を制御してもよい。
【0070】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100 ワイヤレス給電システム
1 給電装置
10 給電コイル
11 制御部
15 検知部(測距センサ)
151 第1検知部
152 第2検知部
3 フレーム
31 車止め
32 支持機構
322 アーム
P パレット(載荷台)
V 車両(電気自動車)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16
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図18
図19
図20