(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134965
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】分析装置、情報提供システム、および、情報分析プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240927BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G01C21/26 P
G08G1/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045437
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 弥来
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由之
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129BB03
2F129EE02
2F129EE26
2F129EE78
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF62
2F129FF71
2F129HH12
5H181AA21
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF32
5H181FF35
(57)【要約】
【課題】位置情報に対応づけられた頭方向情報とユーザの状態とを出力できる技術を提供する。
【解決手段】ユーザの頭の向きと動きを示す頭方向情報の分析装置は、ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、取得された位置におけるユーザの頭方向情報を取得する頭方向取得部と、位置情報と頭方向情報とを用いて、ユーザの注視している注視状態と、周囲を確認している確認状態との少なくとも一方を含む状態を判定する判定部と、位置に対応づけて頭方向情報と状態とを出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭の向きと動きを示す頭方向情報の分析装置であって、
前記ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
取得された前記位置における前記ユーザの前記頭方向情報を取得する頭方向取得部と、
前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザの注視している注視状態と、周囲を確認している確認状態との少なくとも一方を含む状態を判定する判定部と、
前記位置に対応づけて前記頭方向情報と前記状態とを出力する出力部と、を備える、分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分析装置であって、更に、
前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザの注視の度合いを示す評価値を決定する評価部を備え、
前記判定部は、前記ユーザの移動速度が予め定められた第1閾値以下であり、かつ、前記ユーザの前記頭の向きの角速度が予め定められた第2閾値以下の場合に、前記注視状態であると判定し、
前記評価部は、前記注視状態である時間が長い場合における前記評価値を、前記注視状態である時間が短い場合における前記評価値よりも、高い値に決定し、
前記出力部は、前記位置に対応づけて前記評価値を出力する、分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分析装置であって、更に、
前記ユーザの心拍数と血圧と呼吸数と体温とのいずれか一つ以上を含むバイタル情報を取得するバイタル取得部を備え、
前記評価部は、前記バイタル情報が示す値が高い場合における前記評価値を、前記バイタル情報が示す値が低い場合における前記評価値よりも、高い値に決定する、分析装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の分析装置を用いる情報提供システムであって、
前記ユーザに、前記位置に予め対応づけられた情報を提供する提供部と、
前記ユーザの前記情報への関心の度合いを示す関心度を決定する関心度決定部と、を備え、
前記分析装置は、更に、前記位置情報に対応づけられている物標を表す物標情報と前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザが注視していた対象である対象物を推定する推定部を備え、
前記関心度決定部は、提供された前記情報に前記対象物が含まれる場合、前記評価値が高い場合における前記関心度を、前記評価値が低い場合における前記関心度よりも、高い値に決定する、情報提供システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の分析装置であって、
前記判定部は、前記ユーザの移動速度が予め定められた第3閾値以下であり、かつ、前記ユーザの水平方向における前記頭の角速度が予め定められた第4閾値以上である前記ユーザの頭方向の変化の回数が予め定められた第5閾値以上の場合に、前記確認状態であると判定する、分析装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の分析装置であって、
前記出力部は、地図上の前記位置において前記頭方向情報における前記頭の向きを矢印の向きで示すように出力し、前記頭方向情報に応じて、前記矢印の色と大きさと太さとのうち少なくとも一つを決定する、分析装置。
【請求項7】
ユーザの頭の向きと動きを示す頭方向情報を分析する情報分析プログラムであって、
前記ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置取得機能と、
取得された前記位置における前記ユーザの前記頭方向情報を取得する頭方向取得機能と、
前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザの注視している注視状態と、周囲を確認している確認状態との少なくとも一方を含む状態を判定する判定機能と、
前記位置に対応づけて前記頭方向情報と前記状態とを出力する出力機能と、をコンピュータに実現させる、情報分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分析装置、情報提供システム、および、情報分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、位置情報に対応づけられた画像データや音データ等の街頭情報を集約して分析する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
観光施策や都市設計において、位置情報に対応づけられた人の行動情報が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)ユーザの頭の向きと動きを示す頭方向情報の分析装置が提供される。この分析装置は、前記ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、取得された前記位置における前記ユーザの前記頭方向情報を取得する頭方向取得部と、前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザの注視している注視状態と、周囲を確認している確認状態との少なくとも一方を含む状態を判定する判定部と、前記位置に対応づけて前記頭方向情報と前記状態とを出力する出力部と、を備える。
この分析装置によれば、出力部は、位置に対応づけて頭方向情報とユーザの状態とを出力できる。
(2)上記形態の分析装置において、更に、前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザの注視の度合いを示す評価値を決定する評価部を備えてもよい。前記判定部は、前記ユーザの移動速度が予め定められた第1閾値以下であり、かつ、前記ユーザの前記頭の向きの角速度が予め定められた第2閾値以下の場合に、前記注視状態であると判定し、前記評価部は、前記注視状態である時間が長い場合における前記評価値を、前記注視状態である時間が短い場合における前記評価値よりも、高い値に決定し、前記出力部は、前記位置に対応づけて前記評価値を出力してもよい。
この分析装置によれば、出力部は、注視状態である位置に対応づけて評価値を出力できる。
(3)上記形態の分析装置において、更に、前記ユーザの心拍数と血圧と呼吸数と体温とのいずれか一つ以上を含むバイタル情報を取得するバイタル取得部を備えてもよい。前記評価部は、前記バイタル情報が示す値が高い場合における前記評価値を、前記バイタル情報が示す値が低い場合における前記評価値よりも、高い値に決定してもよい。
ユーザが興味をもって注視する場合、興奮によってバイタル情報が示す値が上昇する傾向がある。そのため、この分析装置によれば、評価部は、ユーザが注視していることを精度良く評価値に反映できる。
(4)上記形態の分析装置を用いる情報提供システムにおいて、前記ユーザに、前記位置に予め対応づけられた情報を提供する提供部と、前記ユーザの前記情報への関心の度合いを示す関心度を決定する関心度決定部と、を備えてもよい。前記分析装置は、更に、前記位置情報に対応づけられている物標を表す物標情報と前記位置情報と前記頭方向情報とを用いて、前記ユーザが注視していた対象である対象物を推定する推定部を備えてもよい。前記関心度決定部は、提供された前記情報に前記対象物が含まれる場合、前記評価値が高い場合における前記関心度を、前記評価値が低い場合における前記関心度よりも、高い値に決定してもよい。
この情報提供システムによれば、関心度決定部は、情報提供装置が提供する情報の関心度を精度良く決定することができる。
(5)上記形態の分析装置において、前記判定部は、前記ユーザの移動速度が予め定められた第3閾値以下であり、かつ、前記ユーザの水平方向における前記頭の角速度が予め定められた第4閾値以上である前記ユーザの頭方向の変化の回数が予め定められた第5閾値以上の場合に、前記確認状態であると判定してもよい。
この分析装置によれば、出力部は、ユーザが道路を横断しようとしている位置や、道に迷って周囲を確認している位置を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】ユーザの頭部の動作を検出する方法を説明するための図である。
【
図3】分析処理の一例を示したフローチャートである。
【
図5】第2実施形態における情報分析システムの構成を示す図である。
【
図6】第2実施形態における分析処理の一例を示したフローチャートである。
【
図7】第2実施形態における地図画像の一例を示す説明図である。
【
図8】第3実施形態における情報分析システムの構成を示す図である。
【
図9】第3実施形態における分析処理の一例を示したフローチャートである。
【
図10】情報提供処理の一例を示したフローチャートである。
【
図11】第4実施形態における地図画像の一例を示す説明図である。
【
図12】他の実施形態における地図画像の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態に係る情報分析システム100の構成を示す図である。情報分析システム100は、ユーザの位置に対応づけて、ユーザの状態を分析する。情報分析システム100は、分析装置110と、センサ120と、表示装置130とを含む。
【0009】
分析装置110は、マイクロコンピュータであり、CPU10と記憶部20とを有する。分析装置110は、RAM、ROMといった記憶装置により構成された記憶部20に予めインストールされたプログラムをCPU10が実行することによって、位置取得部11と頭方向取得部12と判定部13と出力部14の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウエア回路で実現してもよい。
【0010】
位置取得部11は、現在のユーザの位置であるユーザ位置を示す位置情報を取得する。位置情報は、例えばユーザ位置を示す経緯度を含む。位置取得部11は、例えば、GPS(Global Positioning System)などの汎地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System(s)(GNSS))が検出した位置情報を取得する。本実施形態において、位置取得部11は、センサ120が備えるGPSアンテナ(図示せず)から位置情報を取得する。
【0011】
頭方向取得部12は、ユーザの頭の向きと動きを示す頭方向情報を取得する。「ユーザの頭の向き」は、ユーザが正面を向いている場合を基準として、ロール角とピッチ角とヨー角とにより表すことができる。ロール角は、後述するロール軸回りの回転角の変位量であり、ピッチ角は、後述するピッチ軸回りの角度の変位量であり、ヨー角は、後述するヨー軸回りの角度の変位量である。ユーザが正面を向いている場合に、ロール角とピッチ角とヨー角とはいずれも0度である。本実施形態において、頭方向取得部12は、センサ120を介して頭方向情報を取得する。より具体的には、頭方向取得部12は、センサ120により測定された加速度の測定値と角速度の測定値とから、ロール角、ピッチ角、および、ヨー角を検出し、ユーザの頭の向きを取得する。「ユーザの頭の動き」は、予め定められた期間において、ユーザが向いていた、ロール角とピッチ角とヨー角とにより表される頭の各向きの変化により表すことができる。
【0012】
図2は、ユーザの頭部の動作を検出する方法を説明するための図である。ユーザの前後方向に沿った回転軸、より具体的には、ユーザの鼻を通り腹面から背面へと延伸する方向に沿った回転軸をロール軸、ユーザの左右方向に沿った回転軸をピッチ軸、ユーザの頭の真上から重力方向に沿った回転軸をヨー軸と定義する。ユーザが首を傾げる動作をロール軸回りの回転として表すことができる。ユーザが頷く動作をピッチ軸回りの回転として表すことができる。ユーザが振り向く動作をヨー軸回りの回転として表すことができる。本実施形態においては、ユーザの頭部の動作が3軸の回転角で表される。
【0013】
本実施形態において、ロール角の範囲は、ユーザが正面を向いて立っているときを0度とすると、+30度から-30度までである。ピッチ角の範囲は、ユーザが正面を向いて立っているときを0度とすると、+50度から-60度までである。ヨー角の範囲は、真北を0度として初期設定し、0度から360度までの全ての値を取り得る。また、角速度は回転方向によらず、絶対値をとり、正の値で表されるものとする。
【0014】
判定部13は、位置情報と頭方向情報とを用いて、ユーザの状態を判定する。本実施形態において、判定部13は、ユーザが注視状態であるか否かを判定する。より具体的には、判定部13は、ユーザの移動速度が予め定められた第1閾値以下であり、かつ、ユーザの頭の向きの角速度が予め定められた第2閾値以下の場合に、注視状態であると判定する。第1閾値は、例えば、0.01m/sである。第2閾値は、例えば、3度/sである。
【0015】
出力部14(
図1参照)は、ユーザの位置に対応づけて頭方向情報とユーザの状態とを出力する。本実施形態において、出力部14は、注視状態である位置に対応づけて頭方向情報を地図画像データとして表示装置130に出力する。
【0016】
本実施形態において、記憶部20は、位置取得部11が取得した位置情報と頭方向取得部12が取得した頭方向情報とを対応づけて記憶する。また、記憶部20は、出力部14が出力する地図画像を記憶する。
【0017】
図3は、分析処理の一例を示したフローチャートである。分析処理は、分析装置110が、ユーザの位置に対応づけて頭方向情報とユーザの状態とを出力する処理である。分析装置110は、ステップS100において、位置情報を取得する。
【0018】
分析装置110は、ステップS110において、頭方向情報を取得する。なお、ステップS100とステップS110とは、この順に限らず、任意の順序で行うことができ、並行して行ってもよい。
【0019】
分析装置110は、ステップS120において、ステップS100で取得した位置情報とステップS110で取得した頭方向情報を用いて、ユーザの状態を判定する。
【0020】
分析装置110は、ステップS130において、ユーザの位置に対応づけて、ステップS110で取得した頭方向情報とステップS120で判定した状態とを表示装置130に出力する。
【0021】
図4は、表示装置130が表示する地図画像の一例を示す説明図である。本実施形態において、出力部14は、注視状態である位置においてヨー軸回りにおける頭の向きを矢印の向きで示すデータを出力する。また、出力部14は、頭方向情報に応じて、矢印の色を決定する。より具体的には、出力部14は、ピッチ角に応じて、矢印の色を決定する。出力部14は、ピッチ角が大きいほど、矢印の色を薄い色に決定し、ピッチ角が小さいほど矢印の色を濃い色に決定する。すなわち、出力部14は、仰角が大きいほど、矢印の色を薄い色に決定し、俯角が大きいほど、矢印の色を濃い色に決定する。
【0022】
図4に示すように位置P1における頭方向情報は、薄い色の矢印A1で示される。より具体的には、位置P1において上を向いていることが薄い色の矢印A1で示される。また、位置P2における頭方向情報は、濃い色の矢印A2で示される。より具体的には、位置P2において下を向いていることが濃い色の矢印A2で示される。
【0023】
以上で説明した本実施形態の分析装置110によれば、位置情報と頭方向情報とを用いてユーザの状態を判定できる。また、出力部14は、位置に対応づけて頭方向情報とユーザの状態とを出力するため、視覚的に、位置情報と頭方向情報とを用いた分析を行うことができる。
【0024】
また、出力部14は、頭方向情報における頭の向きを矢印で示すようにデータを表示装置130に出力し、頭方向情報に応じて、矢印の色を決定している。そのため、視覚的に頭方向情報を提供できる。
【0025】
B.第2実施形態:
図5に示す第2実施形態の情報分析システム100Bは、分析装置110Bの記憶部20に予めインストールされたプログラムをCPU10が実行することによって、バイタル取得部15および評価部16の機能を実現する点が第1実施形態の情報分析システム100と異なり、他の構成は同一である。
図6に示す第2実施形態における分析処理は、ステップS115においてバイタル情報を取得し、ステップS125において評価値を決定する点が第1実施形態と異なり、他の工程は同一である。
【0026】
バイタル取得部15(
図5参照)は、ユーザの心拍数と血圧と呼吸数と体温とのいずれか一つ以上を含むバイタル情報を取得する。バイタル取得部15は、例えば、バイタルセンサ121が検出したバイタル情報を取得する。本実施形態において、センサ120がバイタルセンサ121を備える。
【0027】
評価部16は、位置情報と頭方向情報とを用いて、注視の度合いを示す評価値を決定する。評価値が高い場合、評価値が低い場合よりもユーザがより注視していたことを示す。評価部16は、例えば、注視状態である時間が長い場合における評価値を、注視状態である時間が短い場合における評価値よりも、高い値に決定する。
【0028】
また、本実施形態において、評価部16は、バイタル情報が示す値が高い場合における評価値を、バイタル情報が示す値が低い場合における評価値よりも、高い値に決定する。より具体的には、評価部16は、バイタル情報が示す値が高い場合における評価値に対する重み付けを、バイタル情報が示す値が低い場合における評価値に対する重み付けよりも、大きくして、評価値を決定する。ユーザが興味をもって注視する場合、興奮によってバイタル情報が示す値が上昇する傾向がある。そのため、評価部16は、ユーザが注視していることを精度良く評価値に反映できる。
【0029】
分析装置110は、ステップS115(
図6参照)において、バイタル情報を取得する。なお、ステップS100とステップS110とステップS115とは、この順に限らず、任意の順序で行うことができ、並行して行ってもよい。
【0030】
分析装置110は、ステップS125において、ステップS100で取得した位置情報とステップS110で取得した頭方向情報とステップS115で取得したバイタル情報を用いて、評価値を決定する。
【0031】
図7は、第2実施形態において表示装置130が表示する地図画像の一例を示す説明図である。本実施形態において、出力部14は、注視状態である位置においてヨー軸回りにおける頭の向きを矢印の向きで示すように出力する。また、出力部14は、評価値に応じて、矢印の色を決定する。より具体的には、出力部14は、評価値が大きいほど、すなわち、見ていた時間が長いほど、また、バイタル情報が示す値が高いほど、矢印の色を薄い色に決定する。
【0032】
図7に示すように位置P3における頭方向情報は、薄い色の矢印A3で示される。より具体的には、位置P3において評価値が高いことが薄い色の矢印A3で示される。また、位置P4における頭方向情報は、濃い色の矢印A4で示される。より具体的には、位置P4において評価値が低いことが濃い色の矢印A4で示される。出力部14が出力する地図画像を用いて、例えば、ユーザが何に興味を持っているか観光資源の分析をすることができる。
【0033】
以上で説明した第2実施形態の分析装置110Bによれば、出力部14は、注視状態である位置に対応づけて評価値を出力する。そのため、注視していた度合いを視覚的に提供することができる。
【0034】
また、評価部16は、バイタル情報が示す値が高い場合における評価値を、バイタル情報が示す値が低い場合における評価値よりも、高い値に決定する。そのため、評価部16は、評価値を精度よく決定することができる。
【0035】
C.第3実施形態:
図8に示す第3実施形態の情報分析システム100Cは、情報提供装置200と音再生装置300とを備えている点および、分析装置110Cの記憶部20に予めインストールされたプログラムをCPU10が実行することによって、推定部17の機能を実現する点、記憶部20が物標情報を記憶する点が第2実施形態の情報分析システム100Bと異なり、他の構成は同一である。
図9に示す第3実施形態における分析処理は、ステップS123において、ユーザが注視していた対象である対象物を推定する点が第2実施形態と異なり、他の工程は同一である。
【0036】
物標情報は、位置情報に対応づけられている物標を表す情報である。この物標は、主として、位置情報が示す位置において現実の世界に実際に存在するものである。なお、第3実施形態における位置情報は、経緯度だけでなく、高度を含むことが好ましい。
【0037】
推定部17(
図8参照)は、位置情報と頭方向情報と物標情報とを用いて、ユーザが注視していた対象である対象物を推定する。より具体的には、推定部17は、位置情報と頭方向情報とを用いて、ユーザが注視していた対象の位置情報を推定し、推定した位置情報に対応づけられた物標を対象物に推定する。
【0038】
ステップS123(
図9参照)において、推定部17は、物標情報とステップS100で取得した位置情報とステップS110で取得した頭方向情報とを用いて、対象物を推定する。
【0039】
本実施形態における情報分析システム100Cを、情報提供システムともいう。本実施形態において、情報提供システムは、ユーザの位置に応じて、案内や説明を行う情報を音声によりユーザに提供する。以下では、情報提供システムが、観光地を回るユーザに、観光スポットに関する情報を提供する例を説明する。
【0040】
本実施形態において、情報提供装置200には、ユーザに音により観光地に関する情報を提供するためのプログラムがインストールされている。ユーザは、プログラムを実行することにより、情報提供装置200から観光地に関する情報の提供を受けることができる。情報提供装置200は、ユーザが持ち歩くことで観光地を移動する。
【0041】
情報提供装置200は、マイクロコンピュータであり、CPU210と記憶部220とを有する。情報提供装置200は、RAM、ROMといった記憶装置により構成された記憶部220に予めインストールされたプログラムをCPU210が実行することによって、提供部211と関心度決定部212の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウエア回路で実現してもよい。本実施形態においては、情報提供装置200は、ユーザが保有するスマートフォンである。
【0042】
提供部211は、GPSなどの汎地球航法衛星システムが検出した位置情報が示すユーザの位置に対応づけられた音を選択して、再生する。より具体的には、提供部211は、後述する音群情報を参照して、ユーザの位置を含む範囲を表す範囲情報を選択し、その範囲情報に対応付けられている音情報を音再生装置300に出力し、音を再生させる。本実施形態において、提供部211は、位置情報が表すユーザの位置を含む範囲を表す範囲情報が1以上存在する場合に、1つの範囲情報に対応する音を再生する。提供部211は、例えば、複数の範囲情報のうち、範囲の面積が最も広い範囲情報に対応する音を選択する。なお、提供部211は、ユーザの位置を含む範囲を表す範囲情報が1以上存在する場合に、複数の範囲情報に対応する音を再生してもよい。
【0043】
関心度決定部212は、ユーザの情報への関心の度合いを示す関心度を決定する。関心度が高い場合、関心度が低い場合よりもユーザの情報への関心が高いことを示す。ユーザの情報への関心は、情報提供装置200によって提供される情報の対象への関心である。例えば、情報提供装置200によって提供される情報がある建築物の解説である場合、その建築物への関心である。本実施形態において、ユーザが注視している対象物が提供部211から提供された情報に含まれる場合において、関心度決定部212は、評価値が高い場合における関心度を、評価値が低い場合における関心度よりも、高い値に決定する。
【0044】
記憶部220は、複数の音群情報を記憶している。音群情報は、地図上の予め定められた範囲を表す範囲情報と、範囲情報と対応づけられている音を表す音情報を含む情報である。範囲情報は、範囲の境界の位置を示す座標を含む情報である。範囲情報は、表す範囲が円形形状である場合、中心を示す座標と半径の長さとを含む情報でもよい。音情報は、例えば、対応づけられた範囲内に存在する建築物や歴史の解説音声や、環境音を表す。
【0045】
音再生装置300は、情報提供装置200から受信した信号が表す音を出力する携帯型の装置である。音再生装置300は、ユーザの頭部に装着される装置であり、例えば、両耳に装着されるイヤホンやヘッドホン等である。ユーザは、音再生装置300を頭部に装着して、観光地を移動する。本実施形態において、音再生装置300は、音再生装置300を装着しているユーザの頭部の動作を検出するセンサ120を有する。
【0046】
図10は、情報提供処理の一例を示したフローチャートである。情報提供処理は、情報分析システム100Cが音によりユーザに情報を提供する処理である。この処理は情報提供装置200の動作中、繰り返し実行される処理である。例えば、情報提供装置200は、2秒毎に情報提供処理を繰り返す。情報提供装置200は、ステップS200においてユーザの位置を取得する。
【0047】
情報提供装置200は、ステップS210において、ステップS200で取得したユーザの位置が、記憶部220に記憶された音群情報のいずれかの音群情報が含む範囲情報が表す範囲に含まれるか否かを判定する。情報提供装置200は、ユーザ位置がいずれかの範囲に含まれる場合、ステップS220の処理に進む。一方、情報提供装置200は、ユーザ位置がいずれの範囲にも含まれない場合、情報提供処理を終了する。
【0048】
情報提供装置200は、ステップS220において、ステップS200で取得した位置情報を用いて、記憶部220に記憶された複数の音群情報を参照して再生する音情報を取得し、音情報を音再生装置300より再生する。より具体的には、情報提供装置200は、ステップS210においてユーザ位置を含むと判定した範囲に、対応づけられた音を選択し、再生する。
【0049】
情報提供装置200は、ステップS230において、ステップS220で再生した音情報へのユーザの関心の度合いを示す関心度を決定する。
【0050】
以上で説明した第3実施形態の分析装置110Cによれば、関心度決定部212は、評価値が高い場合における関心度を、評価値が低い場合における関心度よりも、高い値に決定する。そのため、関心度決定部212は、情報提供装置200が提供する情報の関心度を精度良く決定することができる。
【0051】
D.第4実施形態:
第4実施形態は、ユーザが確認状態であるか否かを判定する点が、第1実施形態と異なる。第4実施形態の情報分析システム100の構成は、第1実施形態の情報分析システム100の構成と同一であるため、情報分析システム100の構成の説明は省略する。
【0052】
判定部13は、ユーザが確認状態であるか否かを判定する。「確認状態」は、ユーザが安全確認や自身の位置を確認している蓋然性が高い状態である。より具体的には、判定部13は、ユーザの移動速度が予め定められた第3閾値以下であり、かつ、ユーザのヨー軸方向における頭の角速度が予め定められた第4閾値以上であるユーザの頭方向の変化の回数が予め定められた第5閾値以上の場合に、確認状態であると判定する。判定部13は、例えば、ユーザが立ち止まって、頭を左右に動かしてキョロキョロして周囲に注意を払っている状態を、確認状態と判定する。第3閾値は、例えば、0.2m/sである。第4閾値は、例えば300度/sである。第5閾値は、例えば、2回である。
【0053】
本実施形態において、出力部14は、確認状態である位置対応づけて頭方向情報を地図画像として出力する。
【0054】
図11は、第4実施形態において表示装置130が表示する地図画像の一例を示す説明図である。本実施形態において、出力部14は、確認状態である位置を円で示すように出力する。より具体的には、出力部14は、確認状態であった時間の長さに応じて、円の直径を決定する。出力部14は、確認状態であった時間が長いほど、円の直径を大きい値に決定する。
【0055】
図11に示すように位置P5におけるユーザの状態が確認状態であることは、円C5で示される。位置P6におけるユーザの状態が確認状態であることは、円C6で示される。また、位置P5において確認状態であった時間は、位置P6において確認状態であった時間よりも短いことが、円C5の直径が円C6の直径よりも小さいことで示される。
図11に示す出力部14が出力する地図画像を用いて、例えば、信号や横断歩道等の設置の要望が生じている位置の分析をすることができる。
【0056】
以上で説明した第4実施形態の分析装置110によれば、判定部13は、ユーザの移動速度が予め定められた第3閾値以下であり、かつ、ユーザのヨー軸方向における頭の角速度が予め定められた第4閾値以上であるユーザの頭方向の変化の回数が予め定められた第5閾値以上の場合の状態を確認状態と判定する。そのため、出力部14は、ユーザが道路を横断しようとしている位置や、道に迷って周囲を確認している位置を出力できる。
【0057】
E.他の実施形態:
(E1)上述した実施形態において、ユーザの頭の向きは、ロール角とピッチ角とヨー角とにより表されている。これに限らず、ユーザの頭の向きは、ロール角とピッチ角とヨー角とのうちの1つ以上の角度により表されてもよい。
【0058】
(E2)上述した実施形態において、各閾値は、予め定められた値である。これに限らず、各閾値は、ユーザの年齢や性別、天候等に応じて定められてもよい。
【0059】
(E3)上述した実施形態において、出力部14は、複数人の頭方向情報の平均を出力してもよく、最も頻度の高い頭方向情報を出力してもよい。
【0060】
(E4)上述した実施形態において、出力部14は、地図画像データを出力している。これに限らず、出力部14は、動画データを出力してもよい。例えば、出力部14は、ユーザの移動軌跡と共に、各位置に対応づけた頭方向情報を出力してもよい。また、出力部14は、ユーザの位置に対応づけた頭方向情報とユーザの状態とを表示装置130に出力し、表示装置130が出力部14から入力されたデータを用いて、地図画像を表示してもよい。
【0061】
(E5)上述した第1実施形態および第2実施形態、第3実施形態において、出力部14は、頭方向情報に応じて、矢印の色を決定している。これに限らず、出力部14は、頭方向情報に応じて、矢印の色と大きさと太さとのうち少なくとも一つを決定してもよい。
【0062】
(E6)上述した第1実施形態および第2実施形態、第3実施形態において、出力部14は、ユーザの頭の向きを矢印A1で表している。これに限らず、出力部14は、任意の表現で頭の向きを表すことができる。
図12は、表示装置130が表示する地図画像の他の例である。
図12に示すように、出力部14は、位置P7における、ヨー軸方向における頭の向きの範囲を扇型S1によって表すデータを出力している。また、出力部14は、扇型S1で表される範囲を見ていた時間の長さに応じて、扇型S1の直径を決定する。出力部14は、扇型S1で表される範囲を見ていた時間が長いほど、扇型S1の直径を大きい値に決定する。
【0063】
(E7)上述した第1実施形態において、出力部14は、ピッチ角に応じて、単色の濃淡から段階的に矢印の色を決定している。これに限らず、出力部14は、ユーザが見上げている場合と見下ろしている場合とで、矢印の色を異なる色に決定し、ピッチ角度に応じて、矢印の濃淡を決定してもよい。例えば、出力部14は、ピッチ角が45度以上の場合を赤色の矢印で表し、ピッチ角が-45度以下の場合を青色の矢印で表し、ピッチ角が45度未満から-45度より大きい範囲内の場合に矢印を緑色で表すことができる。また、例えば、出力部14は、ピッチ角が45度以上の場合を赤色の矢印で表し、ピッチ角が-45度以下の場合を青色の矢印で表し、ピッチ角が45度未満から-45度より大きい範囲内の場合に赤色から青色に徐々に変化するグラデーションで表すことができる。
【0064】
(E8)上述した第1実施形態において、出力部14は、頭方向情報としてピッチ角に応じた色の矢印を地図画像において出力している。これに限らず、出力部14は、頭方向情報としてヨー角や頭の動きの速さに応じた色の矢印を地図画像において出力してもよい。
【0065】
(E9)上述した第2実施形態および第3実施形態において、バイタル情報は、ユーザの心拍数と血圧と呼吸数と体温とを含む情報である。これに限らず、バイタル情報は、ユーザの心拍数と血圧と呼吸数と体温とのいずれか一つ以上を含む情報でもよい。
【0066】
(E10)上述した第3実施形態において、物標情報は、記憶部20に記憶されている。これに限らず、物標情報は、外部の記憶領域に記憶されていてもよい。
【0067】
(E11)上述した第3実施形態において、情報分析システム100は、ユーザの位置に応じて、案内や説明を行う情報を音声によりユーザに提供する。これに限らず、情報分析システム100は、ユーザの位置に関わらず情報を提供するシステムでもよい。
【0068】
(E12)上述した第3実施形態において、関心度決定部212は、注視状態になる直前からのユーザの頭の向きの角度の変化が予め定められた第6閾値以上であった場合における関心度を、注視状態になる直前からのユーザの頭の向きの角度の変化が予め定められた第6閾値未満であった場合における関心度よりも、高い値に決定してもよい。ユーザが情報提供装置200に提供された情報に関心がある場合、情報が提供されたことを契機に、対象物を注視する。そのため、注視状態になる直前にユーザの頭の動きがあった場合、注視状態になる直前にユーザの頭の動きがなかった場合よりも、情報が含む対象物に興味を持っている蓋然性が高い。
【0069】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10…CPU、11…位置取得部、12…頭方向取得部、13…判定部、14…出力部、15…バイタル取得部、16…評価部、17…推定部、20…記憶部、100、100B、100C…情報分析システム、110、110B、110C…分析装置、120…センサ、121…バイタルセンサ、130…表示装置、200…情報提供装置、210…CPU、211…提供部、212…関心度決定部、220…記憶部、300…音再生装置