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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134967
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】攪拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/053 20220101AFI20240927BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 35/512 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 27/211 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 27/191 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20240927BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20240927BHJP
   B28C 5/12 20060101ALI20240927BHJP
   B01F 101/28 20220101ALN20240927BHJP
【FI】
B01F27/053
B01F35/71
B01F35/75
B01F35/512
B01F27/112
B01F27/211
B01F27/191
B01F27/70
B01F23/53
B28C5/12
B01F101:28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045439
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 章子
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 孝義
(72)【発明者】
【氏名】川西 貴士
(72)【発明者】
【氏名】白井 聡
(72)【発明者】
【氏名】米津 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】太田 健司
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G056
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AE13
4G035AE17
4G037AA02
4G037AA13
4G037DA12
4G037EA03
4G056AA06
4G056CC04
4G078AA13
4G078AA30
4G078AB02
4G078BA01
4G078BA09
4G078CA01
4G078CA12
4G078DA01
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】攪拌部材に対する混錬物の固着量を低減する技術を提供する。
【解決手段】攪拌装置1は、容器10と、容器内に支持され、セメント系固化材を含有する混錬物を攪拌する攪拌部材30と、非粘着性、低摩擦性及び難接着性を有する合成樹脂材を含む被覆層60と、を備え、被覆層は、攪拌部材の表面を被覆する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器内に支持され、セメント系固化材を含有する混錬物を攪拌する攪拌部材と、
非粘着性、低摩擦性及び難接着性を有する合成樹脂材を含む被覆層と、を備え、
前記被覆層は、前記攪拌部材の表面を被覆する、
ことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記容器は、
前記混錬物を収容する本体部と、
前記本体部に、前記混錬物又は前記混錬物の原料である被攪拌物を導入する導入部と、
前記本体部から、前記混錬物を排出する排出部と、を有し、
前記被覆層は、前記本体部、前記導入部、及び、前記排出部の内面を被覆する、
請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記攪拌部材の表面の少なくとも一部は、前記容器の外面よりも粗い表面粗さを有するよう形成された粗面部であり、
前記被覆層は、少なくとも前記粗面部を被覆する、
請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記本体部、前記導入部、及び、前記排出部の内面の少なくとも一部は、前記容器の外面よりも粗い表面粗さを有するよう形成された粗面部であり、
前記被覆層は、少なくとも前記粗面部を被覆する、
請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記攪拌部材の表面の少なくとも一部、並びに、前記本体部、前記導入部、及び、前記排出部の内面の少なくとも一部は、前記容器の外面よりも粗い表面粗さを有するよう形成された粗面部であり、
前記被覆層は、少なくとも前記粗面部を被覆する、
請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記攪拌部材は、前記容器内に回転可能に支持されている、
請求項3から5のいずれか一項に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記被覆層の膜厚は、均一である、
請求項1又は2に記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記合成樹脂材は、ポリウレア樹脂、ふっ素樹脂、又は、ポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂である、
請求項1又は2に記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記混錬物は、高強度コンクリート、又は、超高強度繊維補強コンクリートである、
請求項1又は2に記載の攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器と、容器に対して回転可能に設けられ、容器内に投入された被攪拌物を攪拌する攪拌部材と、を備える攪拌装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-161558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の攪拌装置では、被攪拌物を攪拌して得られた混錬物が攪拌部材に固着することがある。この場合、被攪拌物を攪拌するに従って、攪拌部材に固着する混錬物の量が増える。この結果、被攪拌物を適切に攪拌できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、攪拌部材に対する混錬物の固着量を低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る攪拌装置は、容器と、前記容器内に支持され、セメント系固化材を含有する混錬物を攪拌する攪拌部材と、非粘着性、低摩擦性及び難接着性を有する合成樹脂材を含む被覆層と、を備え、前記被覆層は、前記攪拌部材の表面を被覆する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、攪拌部材に対する混錬物の固着量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る攪拌装置の一例を示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示す。
図2】実施形態に係る被覆層が容器に設けられる例を示す図であり、(A)は部分断面図を示し、(B)はA部の拡大図である。
図3】実施形態に係る被覆層が攪拌部材に設けられる例を示す図であり、(A)は部分断面図を示し、(B)はA部の拡大図である。
図4】実施形態に係る被覆層の使用例を示す図である。
図5】本実施形態の変形例1に係る攪拌装置を示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示す。
図6】本実施形態の変形例2に係る攪拌装置を示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示す。
図7】本実施形態の変形例3に係る攪拌装置を、高位置にある状態で示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示し、(C)は側面図を示す。
図8図7に示す攪拌装置を、低位置にある状態で示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る攪拌装置1について説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0010】
<攪拌装置1>
図1は、実施形態に係る攪拌装置1の一例を示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示す。図2は、実施形態に係る被覆層60が容器10に設けられる例を示す図であり、(A)は部分断面図を示し、(B)はA部の拡大図である。図3は、実施形態に係る被覆層60が攪拌部材30に設けられる例を示す図であり、(A)は部分断面図を示し、(B)はA部の拡大図である。図4は、実施形態に係る被覆層60の使用例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、攪拌装置1は、容器10と、フレーム20と、攪拌部材30と、駆動部40と、制御盤50と、被覆層60と、を備える。
【0012】
攪拌装置1は、コンクリート構造物を建設又は改修する施工現場において、現場に搬入されたコンクリート材料(被攪拌物の一例)を原料として、これを攪拌し、コンクリート(混錬物の一例)を製造する装置である。
【0013】
高強度コンクリートや超高強度繊維補強コンクリートは、普通コンクリートに比べて、極めて粘性が高い。このため、本実施形態の攪拌装置1は、施工現場での、高強度コンクリート(混錬物の一例)や超高強度繊維補強コンクリート(混錬物の一例)等の製造に好適である。また、予め工場で高強度コンクリートや超高強度繊維補強コンクリートを製造する設備や、施工現場に搬送するアジテータ車にも、本実施形態を応用し、例えば、アジテータ車のタンク(容器の一例)の内面やタンクの内面に固定されたブレード(攪拌部材の一例)に被覆層60を設けることは好適である。
【0014】
超高強度繊維補強コンクリートは、超高強度モルタルと高強度鋼繊維で構成され、150N/mm2以上の圧縮強度と、5N/mm2以上の引張強度を持つ材料であり、粘性が高い。また、高強度コンクリートは、設計基準強度が36N/mm2以上を超え(「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事」より)、かつ水セメント比が40%以下のコンクリートである。なお、使用するコンクリート材料は、専用のプレミックス粉体でもよい。このとき、プレミックス粉体には、セメント、混和材、不活性粉体が含まれる。
【0015】
<<容器10、フレーム20>>
容器10は、本体部12と、導入開口(導入部の一例)17と、排出シュート(排出部の一例)18と、を有する。
【0016】
本体部12は、コンクリート材料を受入れるとともに、当該コンクリート材料を攪拌することによって製造されたコンクリートを収容する部位である。本体部12は、上方が開放された有底箱状に形成されている。本体部12は、平面視で略矩形形状の側壁部13と、側壁部13の下端から下方に半円筒形状をなす底壁部14と、を有する。また、本体部12は、側壁部13及び底壁部14において内方を向く面である本体部内面15を有する。底壁部14には、図示しない排出開口が設けられる。底壁部14には、排出開口を開閉可能な蓋部材が取付けられてもよい。蓋部材を開閉することにより、排出開口は、開放状態又は閉鎖状態に切り替えられる。なお、本体部12の形状は、図示のものに限定されず、例えば、側壁部13を円筒形状、底壁部14を、下方に向かうに従い縮小する径を有する逆円錐台形状としてもよい。
【0017】
図2に示すように、本体部内面15の少なくとも一部は、容器10の外面11よりも粗い表面粗さを有する本体粗面部(粗面部の一例)16である。本実施形態において、本体粗面部16は、サンドブラストにより形成される。具体的には、本体粗面部16は、本体部12に対し、アルミナ等のセラミックやガラス等の研磨材を衝突させることで形成される凹凸面である。本体粗面部16の表面粗さは、一例として、最大高さ粗さRzにおいて50μm~80μmであってよい(最大高さ粗さRzの定義は、JIS B 0601:2001に準拠)。本体粗面部16をサンドブラストにより形成する場合、本体粗面部16は、一例として、ニアホワイトメタル(Sa2.5(ISO準拠))以上のグレードを有してよい。
【0018】
なお、本体粗面部16は、溶射により形成されてもよい。この場合、本体部12に、金属やセラミックス等の溶射材料が吹付けられ、吹付けられた溶融粒子が冷却されて固化し、皮膜を形成する。当該皮膜の表面は凹凸面であり、この凹凸面が、本体粗面部16となる。
【0019】
導入開口17は、本体部12にコンクリート材料を導入する部位である。導入開口17は、本体部12の上側縁、即ち側壁部13の上側縁により縁取られる開口である。本実施形態において、導入開口17は、上方に開口している。
【0020】
排出シュート18は、コンクリート材料から製造されたコンクリートを、本体部12の内部から外部へ排出する部位である。排出シュート18は、底壁部14に取付けられる排出上部180と、排出上部180に回転可能に取付けられる排出下部181とを有する。攪拌装置1を搬送する場合等、排出上部180に対し排出下部181を回転させることで、攪拌装置1のサイズをコンパクトにすることができる。
【0021】
本実施形態において、排出シュート18の内面の少なくとも一部は、容器10の外面11よりも粗い表面粗さを有する粗面部である(図示せず)。排出シュート18の粗面部も、サンドブラストや溶射等により形成された凹凸面である。排出シュート18の粗面部の表面粗さも、最大高さ粗さRzにおいて50μm~80μmである。排出シュート18の粗面部をサンドブラストにより形成する場合も、本体粗面部16と同様に、ニアホワイトメタル(Sa2.5(ISO準拠))以上のグレードとしてよい。
【0022】
フレーム20は、フレーム底部22と、フレーム側部24と、フレーム上部26とを有する。
【0023】
フレーム底部22は、平面視矩形の底枠体220と、底枠体220の内側に設けられた平板状の底板221と、を含む。フレーム上部26は、フレーム底部22から上方に離間して配置される。フレーム上部26は、平面視矩形形状の上枠体260と、上枠体260の内側に設けられた開口261とを含む。フレーム側部24は、底枠体220と上枠体260との間を上下方向に延在する。フレーム側部24は、一端240において底枠体220に固定され、他端241において上枠体260に固定される。本実施形態において、フレーム側部24は、4本設けられる。
【0024】
フレーム20は、上枠体260において、容器10を支持する。具体的には、上枠体260には、容器10の本体部12が、溶接又はボルトナット等により固定される。底板221には、制御盤50が固定される。具体的には、底板221には、攪拌部材30の駆動を制御する攪拌制御部52や、本体部12へ投入される水量を制御する水量制御部54が、溶接又はボルトナット等により固定される。
【0025】
<<攪拌部材30、駆動部40、制御盤50>>
攪拌部材30は、容器10内に回転可能に支持され、セメント系固化材を含有するコンクリートを攪拌する。攪拌部材30は、容器10内に投入されたコンクリート材料も攪拌する。攪拌部材30は、軸部32と、支持棒34と、攪拌部36とを有する。
【0026】
軸部32は、側壁部13に回転自在に支持されている。具体的には、側壁部13における対向する一対の壁部には、軸部32を挿通させる貫通孔が設けられる。当該貫通孔には軸受38が取付けられている。軸部32は、軸方向の両端部を軸受38に軸支されることにより、側壁部13に回転自在に支持される。軸受38よりも外側に突出する軸部32の端部には、駆動部40の従動スプロケットが取付けられている。
【0027】
支持棒34は、軸部32に固定され、軸部32から径方向外側に延在する棒部材である。一例として、支持棒34は、軸部32の軸方向に離間して6つ設けられる。支持棒34は、隣り合う支持棒34が略90度の中心角を成すように、軸部32に取付けられている。支持棒34にはそれぞれ、2つの攪拌部36が径方向の異なる位置に取付けられている。攪拌部36は、板状に形成されており、本体部12に投入されたコンクリート材料を攪拌し、コンクリートを製造する。
【0028】
図3に示すように、攪拌部36の表面37の少なくとも一部は、容器10の外面11よりも粗い表面粗さを有する攪拌粗面部(粗面部の一例)39である。軸部32及び支持棒34の表面の少なくとも一部も、容器10の外面11よりも粗い表面粗さを有する粗面部である。攪拌粗面部39、並びに軸部32及び支持棒34の粗面部は、サンドブラストや溶射等により形成された凹凸面である。攪拌粗面部39、並びに軸部32及び支持棒34の粗面部の表面粗さは、最大高さ粗さRzにおいて50μm~80μmである。攪拌粗面部39、並びに軸部32及び支持棒34の粗面部をサンドブラストにより形成する場合、ニアホワイトメタル(Sa2.5(ISO準拠))以上のグレードとしてよい。
【0029】
駆動部40は、モータと、駆動スプロケットと、従動スプロケットと、チェーンとを有する(いずれも図示せず)。モータは、例えば、三相交流モータであり。施工現場に設置された電源から供給される電力で駆動する。モータの電源は、攪拌装置1にバッテリを搭載することにより実現してもよい。また、動力源はモータに限定されず、他の駆動装置(例えば、産業用エンジン等)を用いることもできる。
【0030】
駆動スプロケットは、モータの出力軸に一体回転可能に設けられる。従動スプロケットは、攪拌部材30の軸部32に一体回転可能に設けられる。チェーンは、駆動スプロケットと従動スプロケットに巻き掛けられている。従動スプロケットは、駆動スプロケットよりも大径に形成されており、モータの回転力を減速して軸部32に伝達する。
【0031】
本実施形態において、制御盤50は、攪拌制御部52と、水量制御部54とを有する。攪拌制御部52は、モータの駆動、具体的にはモータの回転数を制御し、これにより、攪拌部材30の駆動を制御する。水量制御部54は、図示しないポンプの駆動を制御し、これにより本体部12へ投入される水量を制御する。
【0032】
<<被覆層60>>
被覆層60は、非粘着性、低摩擦性及び難接着性を有する合成樹脂材を含む。ここで、非粘着性とは、表面に粘着や焼き付きを起こさない性質をいい、低摩擦性とは、静摩擦係数及び動摩擦係数ともに小さい性質をいう。また、難接着性とは、疎水性があり一般的な接着剤で接着できない性質をいう。
【0033】
このような性状を有する合成樹脂材として、ポリウレア樹脂、ふっ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂などを、事例として挙げることができる。なかでも、ポリウレア樹脂、もしくはポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂が被覆層60に好適である。
【0034】
ポリウレア樹脂は、イソシアネートとポリアミンの化学反応で生成されるウレア結合を基本とした樹脂化合物である。防水性や耐薬品性、耐摩耗性などに高い能力を発揮し、主にライニング材として使用されている。また、ふっ素樹脂は、ふっ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂材であり、耐熱性、耐薬品性、低摩擦性などに高い能力を発揮する。
【0035】
被覆層60は、攪拌部材30の表面、即ち、軸部32、支持棒34、及び攪拌部36の表面を被覆するとともに、本体部内面15及び排出シュート18の内面も被覆する。また、被覆層60は、攪拌部材30の表面、即ち、軸部32、支持棒34、及び攪拌部36の表面において、少なくとも攪拌粗面部39、軸部32及び支持棒34の粗面部を被覆するとよい。被覆層60は、本体部内面15、及び排出シュート18の内面において、少なくとも本体粗面部16、及び排出シュート18の粗面部を被覆するとよい。
【0036】
被覆層60は、前述の合成樹脂を含む吹付け材を、攪拌部材30の表面、本体部内面15及び排出シュート18の内面に吹付けたのち、常温で乾燥させることにより硬化させたものである。被覆層60を設ける場合、合成樹脂を含む吹付け材を、攪拌部材30の表面、本体部内面15及び排出シュート18の内面に直接吹付ける。吹付け材は、合成樹脂のみでもよいし、他の材料を含有させてもよい。なお、攪拌部材30の表面、本体部内面15及び排出シュート18の内面にライニング層を設け、このライニング層に、合成樹脂を含む吹付け材を吹付けてもよい。被覆層60は、攪拌部材30の表面、本体部内面15及び排出シュート18の内面に刷毛によって塗装されたものでもよい。なお、合成樹脂を含む吹付け材は、加熱硬化、あるいは強制乾燥により硬化させても良い。
【0037】
被覆層60の膜厚Tは、均一である。つまり、被覆層60は、攪拌部材30の表面、本体部内面15及び排出シュート18の内面を、均一な膜厚Tで被覆する。被覆層60の膜厚Tは、1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上である。膜厚Tが1mmより薄いと、攪拌部材30の回転に伴い被覆層60が摩耗し、本体部内面15等が露出しやすくなる。このため、膜厚Tは1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上である。その一方で、膜厚Tが厚くなればなるほど、攪拌部36と本体部内面15等との間のクリアランスが小さくなり、且つコストが増加する。このため膜厚Tの上限は5mm以下、より好ましくは3mm以下とするのが好ましい。
【0038】
ここまで、被覆層60を、未使用状態の攪拌装置1、即ち攪拌部材30の表面、本体部内面15及び排出シュート18の内面に設ける場合を説明した。しかし、図4に示すように、被覆層60を、使用後の攪拌装置1、具体的には、摩耗した状態の攪拌部36に設けてもよい。図4に示すように、コンクリートの攪拌によって攪拌部36は、破線で示す新品時外形線Pから、実線で示す攪拌部36の現在の外形線まで、摩耗する。この場合、新品時の攪拌部36の外形線(図4の破線)Pに合致するように、ポリウレア樹脂、もしくはポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂を、攪拌部36の全体に塗装するとよい。必要に応じて、ガラスクロス、ガラスマット、樹脂マット、補強板などを併用しても良い。具体的には、攪拌部36の表面に取付けたガラスクロス、ガラスマット、樹脂マット、補強板などに、ポリウレア樹脂、もしくはポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂を塗装しても良い。攪拌部36は衝撃等の外力が作用しやすい場所であり、このような場所に被覆層60を設ける場合、耐摩耗性などに高い能力を発揮するポリウレア樹脂の割合を増大させることが好ましい。これにより、使用環境に応じた耐久性を確保しつつ、攪拌部36の再利用が可能となる。なお、被覆層60は、使用後の攪拌部材30の全体に設けてもよいし、使用後の本体部内面15や排出シュート18の内面に設けてもよい。これにより、本体部内面15の摩耗や、排出シュート18の内面の錆等を被覆層60で覆うことができ、容器10の再利用が可能となる。
【0039】
[変形例]
次いで、上記実施形態に係る攪拌装置1の変形例1~3について説明する。
【0040】
図5は、本実施形態の変形例1に係る攪拌装置1aを示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示す。図6は、本実施形態の変形例2に係る攪拌装置1bを示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示す。図7は、本実施形態の変形例3に係る攪拌装置1cを、高位置にある状態で示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は平面図を示し、(C)は側面図を示す。図8は、図7に示す攪拌装置1cを、低位置にある状態で示す図であり、(A)は斜視図を示し、(B)は側面図を示す。
【0041】
変形例1~3の攪拌装置1a,1b,1cは、上述の実施形態に係る攪拌装置1とは用途が異なる。具体的には、変形例1~3の攪拌装置1a,1b,1cは、コンクリート構造物を建設又は改修する施工現場にて、攪拌装置1によって製造されたコンクリートを受入れ、当該コンクリートを攪拌しながら打設場所へ運搬する場合、或いは、攪拌しながら仮置きする場合に用いられる。変形例1~3の攪拌装置1a,1b,1cは、攪拌装置1からコンクリートを受入れてから、所定の打設場所で排出するまでの期間、或いは、トラブル発生等によりコンクリートを現場で仮置きする期間、コンクリートを連続的に攪拌する。このように、コンクリートを受入れから打設するまでの期間に亘って連続的に攪拌することにより、高強度コンクリートや超高強度繊維補強コンクリート等の高強度且つ高耐久性のコンクリートであっても、流動性の低下を確実に防止できるようになる。流動性の低下が防止されることで、コンクリートの充填性を効果的に維持できるようになり、未充填部分の発生リスクを大幅に低減することも可能となる。
【0042】
変形例1の攪拌装置1aは、上述の攪拌装置1に対し、主として、容器10aの形状の点、フレーム20aの構成の点、攪拌部材30aの構成の点、蓋70を有する点で異なる。
【0043】
図4に示すように、変形例1の攪拌装置1aは、容器10aと、フレーム20aと、攪拌部材30aと、被覆層60と、蓋70とを備える。図4の説明では、駆動部及び制御盤の記載を省略してある。
【0044】
容器10aは、本体部12aと、導入開口17aと、排出シュート18aとを有する。本体部12aは、上方が開放され、平面視で略八角形状をなす側壁部13aと、側壁部13aの下端から下方に向かうに従い縮小する逆角錐台形状の底壁部14aと、を有する。変形例1において、導入開口17aは、本体部12aの上側縁、即ち側壁部13aの上側縁の内側の領域のうち、後述する蓋70の格子部材74により画定される隙間76の領域である。排出シュート18aは、底壁部14aの下端から下方に延びる角筒状の部材である。排出シュート18aの下端には、図示しない排出開口が設けられている。また、排出シュート18aの下端には、排出開口を開閉可能な板状の蓋部材(図示せず)が取付けられている。当該蓋部材は、横方向にスライドすることにより、排出開口を開放状態又は閉鎖状態に切替える。排出開口が閉鎖されているときは、容器10a内にコンクリートが貯留され、排出開口が開放されると、容器10a内のコンクリートが排出開口から下方に向けて排出(コンクリートが打設)されるようになっている。
【0045】
フレーム20aは、フレーム底部22aと、フレーム側部24とを有する。フレーム底部22aは、平面視矩形の底枠体220により構成される。底枠体220の内側領域は、上下に貫通している。底枠体220の下方に、排出シュート18aの排出開口が位置する。フレーム側部24は、一端240の側において底枠体220に固定され、上方向に延在する。フレーム側部24は、一端240において地面等に載置され、他端241において、容器10aの本体部12aが溶接又はボルトナット等により固定される。
【0046】
攪拌部材30aは、軸部32と、攪拌部36aとを有する。攪拌部36aは、中心角が略90度の扇状(四半円状)に形成された一対の主攪拌部材と、直線状に延びる一対の副攪拌部材とを有する。図4(B)では、攪拌部36aとして、一対の副攪拌部材が視認される。一対の主攪拌部材は、互いに同一形状の扇状に形成されており、軸部32の軸方向の中間部を挟んで点対称に配されている。一対の副攪拌部材は、軸部32を基準に互いに反対方向に直線状に延びる棒状に形成されている。
【0047】
蓋70は、蓋枠体72と、格子部材74と、隙間76とを有する。蓋枠体72は、平面視で略八角形状を有し、本体部120の上側縁を外面11の側から覆うように構成される(図4(B)参照)。格子部材74は、蓋枠体72の内側面に固定され、蓋枠体72の内側領域を格子状に延びる棒状部材である。格子部材74は、平面視矩形の隙間76を形成する。格子部材74は、作業員が攪拌部材30に触れないよう、作業員の安全柵として機能する。変形例1において、隙間76は、導入開口17aとして機能する。本変形例1において、隙間76を確定する格子部材74の表面の少なくとも一部は、容器10の外面11よりも粗い表面粗さを有する粗面部である。格子部材74の粗面部は、サンドブラストや溶射等により形成された凹凸面である。格子部材74の粗面部の表面粗さは、最大高さ粗さRzにおいて50μm~80μmである。格子部材74の粗面部をサンドブラストにより形成する場合、ニアホワイトメタル(Sa2.5(ISO準拠))以上のグレードとしてよい。
【0048】
被覆層60は、攪拌部材30a、即ち軸部32及び攪拌部36aの表面を被覆するとともに、導入開口17a、即ち隙間76を確定する格子部材74の表面を被覆する。より詳細には、被覆層60は、攪拌部材30aの表面において、少なくとも攪拌部材30aの粗面部を被覆するとともに、格子部材74の表面において、少なくとも格子部材74の粗面部を被覆するとよい。また、被覆層60は、本体部12a及び排出シュート18aの内面を被覆してもよい。より詳細には、被覆層60は、本体部12a及び排出シュート18aの内面において、少なくとも本体部12a及び排出シュート18aの攪拌部材30の粗面部を被覆するとよい。
【0049】
変形例2の攪拌装置1bは、変形例1の攪拌装置1aに対し、主として、導入シュート17bを有する点で異なる。
【0050】
図6に示すように、変形例2の攪拌装置1bは、容器10bと、フレーム20aと、攪拌部材30aと、被覆層60と、蓋70とを備える。図4では、駆動部及び制御盤の記載を省略してある。
【0051】
容器10bは、本体部12aの側壁部13aの一領域において、側壁部13aを内外に貫通する側壁開口13a1を有する。側壁開口13a1は、例えば攪拌装置1によって製造されたコンクリートを、容器10bの内部に導入するために機能する。
【0052】
側壁開口13a1の近傍の側壁部13aには、導入シュート(導入部の一例)17bが、溶接又はボルトナット等により固定される。導入シュート17bは、例えば攪拌装置1で製造されたコンクリートを受けて、当該コンクリートを本体部12aの内部へ投入する部位である。本実施形態において、導入シュート17bの内面の少なくとも一部は、容器10の外面11よりも粗い表面粗さを有する粗面部である(図示せず)。導入シュート17bの粗面部も、サンドブラストや溶射等により形成された凹凸面である。導入シュート17bの粗面部の表面粗さも、最大高さ粗さRzにおいて50μm~80μmである。導入シュート17bの粗面部をサンドブラストにより形成する場合も、ニアホワイトメタル(Sa2.5(ISO準拠))以上のグレードとしてよい。
【0053】
被覆層60は、導入シュート17b内面を被覆する。より詳細には、被覆層60は、導入シュート17bの内面において、少なくとも導入シュート17bの粗面部を被覆するとよい。また、被覆層60は、攪拌部材30a、即ち軸部32及び攪拌部36aの表面を被覆する。より詳細には、被覆層60は、攪拌部材30aの表面において、少なくとも攪拌部材30aの粗面部を被覆するとよい。また、被覆層60は、本体部12a及び排出シュート18aの内面を被覆してもよい。より詳細には、被覆層60は、本体部12a及び排出シュート18aの内面において、少なくとも本体部12a及び排出シュート18aの攪拌部材30の粗面部を被覆するとよい。
【0054】
変形例3
変形例3の攪拌装置1cは、変形例1の攪拌装置1aに対して、主として、容器10cの形状の点、フレーム20cの構成の点、昇降装置80を有する点で異なる。
【0055】
図7及び図8に示すように、変形例3の攪拌装置1cは、容器10cと、フレーム20cと、攪拌部材30aと、被覆層60と、昇降装置80とを備える。図7及び図8の説明では、駆動部及び制御盤の記載を省略してある。図7(B)では、攪拌部材30aの主攪拌部材が視認される。
【0056】
容器10cは、本体部12cと、導入シュート17cと、排出シュート18cとを有する。本体部12cは、上方が開放された有底箱状に形成され、図7(C)に示すように斜めに配置される。本体部12cは、平面視で略矩形形状の側壁部13cと、側壁部13cの下端から下方に半円筒形状をなす底壁部14cと、を有する。側壁部13cの一領域には、側壁開口13c1が形成される。側壁開口13c1は、側壁部13cを内外に貫通する開口である。また、底壁部14cの一領域には、底壁開口14c1が設けられる。底壁開口14c1は、底壁部14cの一領域を内外に貫通する開口である。底壁開口14c1には、底壁開口14c1を開閉可能な蓋部材(図示せず)が取付けられてもよい。蓋部材を開閉することにより、底壁開口14c1は、開放状態又は閉鎖状態に切り替えられる。
【0057】
側壁開口13c1の近傍の側壁部13cには、導入シュート(導入部の一例)17cが、溶接又はボルトナット等により固定される。導入シュート17cは、例えば攪拌装置1で製造されたコンクリートを受けて、当該コンクリートを本体部12cの内部へ投入する部位である。
【0058】
底壁開口14c1の近傍の底壁部14cには、排出シュート18cが、溶接又はボルトナット等により固定される。排出シュート18cは、コンクリート材料から製造されたコンクリートを、本体部12cの外部へ排出する部位である。
【0059】
被覆層60は、攪拌部材30a即ち軸部32及び攪拌部36aの表面を被覆するとともに、導入シュート17c、本体部12c、及び排出シュート18cの内面を被覆する。より詳細には、被覆層60は、攪拌部材30aの表面において、少なくとも攪拌部材30aの粗面部を被覆するとともに、導入シュート17c、本体部12c、及び排出シュート18cの内面において、少なくとも導入シュート17c、本体部12c、及び排出シュート18cの粗面部を被覆するとよい。これらの粗面部は、サンドブラストや溶射等により形成された凹凸面である。当該粗面部の表面粗さは、最大高さ粗さRzにおいて50μm~80μmである。この粗面部をサンドブラストにより形成する場合、ニアホワイトメタル(Sa2.5(ISO準拠))以上のグレードとしてよい。
【0060】
フレーム20cは、フレーム底部22cと、フレーム側部24と、フレーム上部26cとを有する。フレーム底部22cは、底枠体220の下部に、キャスター90を有する。底枠体220には、昇降装置80がボルトナット等により固定される。フレーム上部26cは、上枠体260cと、開口261とを有する。上枠体260cは、平板状の部材であり、フレーム側部24の他端241に固定される。開口261は、上枠体260cの一領域に設けられる。開口261は、本体部12c内の攪拌部材30aを視認できるよう、攪拌部材30aの上方に位置する。
【0061】
昇降装置80は、フレーム底部22cの底枠体220と本体部12cとを接続し、図示しないモータ等の駆動力によって、容器10cを高位置(図7)と低位置(図8)との間で移動させる装置である。
【0062】
上記各実施形態においては、以下のような態様が開示される。
【0063】
(態様1)
態様1に係る攪拌装置1,1a,1b,1cは、容器10,10a,10b,10cと、容器10,10a,10b,10c内に支持され、セメント系固化材を含有する混錬物を攪拌する攪拌部材30,30aと、非粘着性、低摩擦性及び難接着性を有する合成樹脂材を含む被覆層60と、を備え、被覆層60は、攪拌部材30,30aの表面を被覆する。
【0064】
態様1の攪拌装置1,1a,1b,1cによれば、攪拌部材30,30aの表面を、非粘着性、低摩擦性及び難接着性の合成樹脂材を含む被覆層60で被覆するので、高粘性のコンクリートであっても離型性が向上する。これにより、攪拌部材30,30aへのコンクリートの固着量を低減できる。このため、攪拌中、容器10,10a,10b,10cと攪拌部材30,30aとの間に所定のクリアランスを確保でき、攪拌部材30,30aの回転を維持することができる。よって、コンクリートやコンクリート材料を適切に攪拌できる。
【0065】
仮に、攪拌部材30,30aにコンクリートが固着した場合であっても、その量は、被覆層60を設けない場合と比較して十分少ない。このため、固着したコンクリートを粘着性の高い乾燥前でも容易にぬぐい取ることが可能で、さらに、乾燥させた場合にも容易に剥がし取ることができる。特に、従来から実施していた攪拌部材30,30aに固着したコンクリートの水洗浄などの清掃作業を大幅に簡略化できる。したがって、コンクリート打設から打設後の清掃に至る一連の現場作業の効率化を図ることが可能となる。また、洗浄後に発生する汚染水の発生を抑制できるとともに、これに伴って、高アルカリ水であることに起因して必要となる汚染水の中和作業も低減できるなど、清掃作業の省力化に大きく寄与することが可能となる。
【0066】
(態様2)
態様1の攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、容器10,10a,10b,10cは、コンクリートを収容する本体部12,12a,12cと、本体部12,12a,12cに、コンクリート又はコンクリートの原料であるコンクリート材料を導入する導入開口17,17a又は導入シュート17b,17cと、本体部12,12a,12cから、コンクリートを排出する排出シュート18,18a,18cと、を有し、被覆層60は、本体部12,12a,12c、導入開口17,17a又は導入シュート17b,17c、排出シュート18,18a,18cの内面を被覆する。
【0067】
態様2の攪拌装置1,1a,1b,1cによれば、攪拌部材30,30a及び容器10,10a,10b,10cの双方へのコンクリートの固着量を低減できる。このため、攪拌中、容器10,10a,10b,10cと攪拌部材30,30aとの間に所定のクリアランスを確保でき、攪拌部材30,30aの回転を維持することができる。よって、コンクリートやコンクリート材料を適切に攪拌できる。また、容器10,10a,10b,10cに、粘着性の高い乾燥前のコンクリートが付着した場合でも容易にぬぐい取ることが可能で、かつ、乾燥させた後のコンクリートが固着した場合であっても、容易に剥がし取ることができる。特に、従来から実施していた容器10,10a,10b,10cに固着したコンクリートの水洗浄などの清掃作業を大幅に簡略化できる。また、洗浄後に発生する汚染水の発生を抑制できるとともに、これに伴って、高アルカリ水であることに起因して必要となる汚染水の中和作業も低減できる。
【0068】
さらに、打設後、容器10,10a,10b,10cの内部にコンクリートが残らない又はほとんど残らないため、容器10,10a,10b,10c内部のコンクリートの残量を計算する必要がない。よって、容器10,10a,10b,10cに投入するコンクリート材料の量の計算を省力化できる。
【0069】
(態様3)
態様1又は2の攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、攪拌部材30,30aの表面の少なくとも一部は、容器10,10a,10b,10cの外面11よりも粗い表面粗さを有するよう形成された粗面部であり、被覆層60は、少なくとも粗面部を被覆する。
【0070】
(態様4)
態様1から3のいずれかの攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、本体部12,12a,12c、導入開口17,17a又は導入シュート17b,17c、及び、排出シュート18,18a,18cの内面の少なくとも一部は、容器10,10a,10b,10cの外面11よりも粗い表面粗さを有するよう形成された粗面部であり、被覆層60は、少なくとも粗面部を被覆する。
【0071】
(態様5)
態様1から4のいずれかの攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、攪拌部材30,30aの表面の少なくとも一部、並びに、本体部12,12a,12c、導入開口17,17a又は導入シュート17b,17c、及び、排出シュート18,18a,18cの内面の少なくとも一部は、容器10,10a,10b,10cの外面11よりも粗い表面粗さを有するよう形成された粗面部であり、被覆層60は、少なくとも粗面部を被覆する。
【0072】
態様3から態様5の攪拌装置1,1a,1b,1cによれば、被覆層60と粗面部との間の接触面積が増えるため、被覆層60の密着力を増加させることができる。また、粗面部の形状によっては、いわゆるアンカー効果(被覆層60が粗面部の凹凸に食い込むこと)を得ることができ、被覆層60の密着力をさらに増加させることができる。よって、攪拌装置1,1a,1b,1cの駆動により、被覆層60が剥離しにくくなる。特に、攪拌部材30,30aのように大きな外力がかかる部位においても、被覆層60の剥離を回避することができる。
【0073】
(態様6)
態様1から5のいずれかの攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、攪拌部材30,30aは、容器10,10a,10b,10c内に回転可能に支持されている。
【0074】
(態様7)
態様1から6のいずれかの攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、被覆層60の膜厚Tは均一である。
【0075】
態様7の攪拌装置1,1a,1b,1cによれば、攪拌部材30,30aと容器10,10a,10b,10cとの間に所定のクリアランスを確保しつつ、被覆層60の耐摩耗性を均一にできる。
【0076】
(態様8)
態様1から7のいずれかの攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、合成樹脂材は、ポリウレア樹脂、ふっ素樹脂、又は、ポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂である。
【0077】
(態様9)
態様1から8のいずれかの攪拌装置1,1a,1b,1cにおいて、コンクリートは、高強度コンクリート、又は、超高強度繊維補強コンクリートである。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る攪拌装置1,1a,1b,1cに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【0079】
例えば、被覆層60に用いる合成樹脂材は、ポリウレア樹脂とふっ素樹脂との複合樹脂に限定するものではない。非粘着性、低摩擦性及び難接着性の合成樹脂材の事例として挙げた、前述のいずれの合成樹脂材も採用することが可能である。
【0080】
また、セメント系固化材を含有する混練物としてコンクリートを事例に挙げたが、これに限定するものではなく、モルタルや地盤改良材などであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1a,1b,1c 攪拌装置、10,10a,10b,10c 容器、11 外面、15 本体部内面(内面)、16 本体粗面部(粗面部)、17,17a 導入開口(導入部)、17b,17c 導入シュート(導入部)、18,18a,18c 排出シュート(排出部)、30,30a 攪拌部材、37 表面、39 攪拌粗面部(粗面部)、60 被覆層、T 膜厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8