IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井化学株式会社の特許一覧

特開2024-134971樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体
<>
  • 特開-樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体 図1
  • 特開-樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体 図2
  • 特開-樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体 図3
  • 特開-樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体 図4
  • 特開-樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体 図5
  • 特開-樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134971
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20240927BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60J5/04 R
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045443
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 紀樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 学
(57)【要約】
【課題】開閉可能なウインドウを有する移動体のサイドドアを軽量化することができ、かつ、ウインドウを閉めたときのウインドウの位置設定をすることができる樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体を提供すること。
【解決手段】開閉可能なウインドウを有する移動体のサイドドア用の、樹脂製インナーパネルであって、ウインドウ枠と、前記ウインドウ枠と一体的に成型された、前記ウインドウの開閉方向に延在する第1リブを有する樹脂製ウインドウストッパと、を有する、樹脂製インナーパネル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なウインドウを有する移動体のサイドドア用の、樹脂製インナーパネルであって、
樹脂製ウインドウ枠と、
前記ウインドウ枠と一体的に成型された、前記ウインドウの開閉方向に延在する第1リブを有する樹脂製ウインドウストッパと、
を有する、樹脂製インナーパネル。
【請求項2】
前記樹脂製ウインドウストッパは、複数本の前記第1リブを有する、
請求項1に記載の樹脂製インナーパネル。
【請求項3】
前記樹脂製ウインドウストッパは、前記複数本の第1リブに直交し、前記複数本の第1リブのそれぞれを連結する第2リブを有する、請求項2に記載の樹脂製インナーパネル。
【請求項4】
熱可塑性樹脂製である、請求項1に記載の樹脂製インナーパネル。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂はポリプロピレンである、請求項4に記載の樹脂製インナーパネル。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂製インナーパネルと、
アウターパネルと、
を有する、移動体のサイドドア。
【請求項7】
スライドドアである、請求項6に記載のサイドドア。
【請求項8】
請求項6に記載の移動体のサイドドアを有する、移動体。
【請求項9】
自動車である、請求項8に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(例えば自動車)のサイドドアについて、インナーパネルと、アウターパネルと、開閉可能なウインドウと、を有する構造が知られている。上記ウインドウを閉めたときのウインドウの位置設定をするために、例えば、特許文献1では、一対のガラスストップ(ウインドウストッパ)がビスおよびナットにより取り付けられたインナーパネルが記載されている。特許文献1に記載されているようなインナーパネルに取り付けられるウインドウストッパの材料には、通常、金属が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-156374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、移動体のサイドドアの軽量化が望まれている。そのため、サイドドアに樹脂製のインナーパネルを用いることが望ましい。また、サイドドアの十分な軽量化の観点から、インナーパネルに取り付ける部材の数を減らすことも望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、開閉可能なウインドウを有する移動体のサイドドアを十分に軽量化することができ、かつ、ウインドウを閉めたときのウインドウの位置設定をすることができる樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[1]~[5]のインナーパネルに関する。
[1]開閉可能なウインドウを有する、移動体のサイドドア用の樹脂製インナーパネルであって、ウインドウ枠と、前記ウインドウ枠と一体的に成型された、前記ウインドウの開閉方向に延在する第1リブを有するウインドウストッパと、を有する、樹脂製インナーパネル。
[2]前記ウインドウストッパは、複数本の前記第1リブを有する、[1]に記載の樹脂製インナーパネル。
[3]前記ウインドウストッパは、前記第1リブに直交し、前記複数本の第1リブのそれぞれを連結する第2リブを有する、[2]に記載の樹脂製インナーパネル。
[4]熱可塑性樹脂製である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂製インナーパネル。
[5]前記熱可塑性樹脂はポリプロピレンである、[4]に記載の樹脂製インナーパネル。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[6]、[7]の移動体のサイドドアに関する。
[6][1]~[5]のいずれか一項に記載の樹脂製インナーパネルと、アウターパネルと、を有する、移動体のサイドドア。
[7]スライドドアである、[6]に記載のサイドドア。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[8]、[9]の移動体に関する。
[8][6]または[7]に記載の移動体のサイドドアを有する、移動体。
[9]自動車である、[8]に記載の移動体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開閉可能なウインドウを有する移動体のサイドドアを軽量化することができ、かつ、ウインドウを閉めたときのウインドウの位置設定をすることができる樹脂製インナーパネル、移動体のサイドドア、および移動体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂製インナーパネルのアウターパネル側の外観を示す模式図である。
図2図2は、図1におけるA部の拡大図である。
図3図3は、図2におけるB-B線断面図である。
図4図4は、従来の樹脂製インナーパネルの使用状態を示す模式断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る移動体のサイドドアの外観を示す模式図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る移動体の外観を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.インナーパネル
(インナーパネルの構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る、移動体のサイドドア用の、樹脂製インナーパネル100(以下、単にインナーパネル100と称する)のアウターパネル側(図1におけるY軸の手前側)の外観を示す模式図である。図2は、図1におけるA部の拡大図である。本明細書において、図1におけるY軸の手前側がアウターパネル側であり、Y軸の奥側が移動体内部側であり、Z軸の上側が移動体上部側であり、Z軸の下側が移動体下部側である。また、X軸の左側が移動体の前方側であり、X軸の右側が移動体の後方側である。
【0012】
図1、2に示されるように、インナーパネル100は、樹脂製ウインドウ枠100a(以下、単にウインドウ枠100aと称する。)と、ウインドウ枠100aに一体的に成型された前記ウインドウの開閉方向に延在する第1リブ111を有する樹脂製ウインドウストッパ110(以下、単にウインドウストッパ110と称する。)と、を有する。本実施形態では、インナーパネル100は、開閉可能なウインドウを配置するためのウインドウ開口部120を有する。ここで、本明細書において、「ウインドウ枠100a」とは、ウインドウ開口部120を囲む枠部である。そして、第1リブ111は、ウインドウ枠100aのうちウインドウを閉める方向側の枠部に形成される。本実施形態では、移動体下部側から移動体上部側へ向かう方向(Z軸方向)がウインドウを閉める方向であり、移動体下上部側から移動体下部側へ向かう方向(Z軸反対方向)がウインドウを開ける方向である。そのため、本実施形態では、第1リブ111は、ウインドウ枠110aのうち上部側の枠部に形成される。また、本実施形態では、ウインドウストッパは、ウインドウ枠100aの上部枠において、インナーパネル100の中心軸Ax1よりも、移動体の前方側(X軸方向側)に配置されている。
【0013】
図3は、図2におけるB-B線断面図である。図3では、説明のため、インナーパネル100と、ウインドウ11と、アウターパネル12と、ガラスラン13とを有するサイドドア10の、ウインドウストッパ110近傍の断面図を示している。ウインドウ11は開閉可能であり、図3はウインドウ11が閉まった状態を示している。図3に示す実施態様において、インナーパネル11は、移動体上部側でアウターパネル12と接している。また、インナーパネル11は、移動体下部側でガラスラン13を介してアウターパネル12と接続されている。なお、ガラスラン13は、ウインドウ枠100aに沿って形成されており、ウインドウ11が閉じた状態において車両の気密性を向上させることができる。また、図4は、従来のインナーパネルC1と、ウインドウストッパC2と、ウインドウC3と、アウターパネルC4と、ガラスランC5とを有する、サイドドアC10中の、ウインドウストッパC2近傍の模式断面図である。
【0014】
図3に表されるように、本実施形態のウインドウストッパ110(第1リブ111)は、移動体のドアのアウターパネル12側に突出しており、ウインドウ11を閉めたときのウインドウ11の位置設定ができるように構成されている。具体的には、ウインドウストッパ110は、ウインドウ11を閉めたときに、ウインドウ11がガラスラン13を介してウインドウストッパ110の第1リブ111に接触して所定の位置で止まるように構成されている。
【0015】
図4に表されるように、従来のインナーパネルC1には、ウインドウストッパC2(金属製のアッパーリンフォースメントでもある)がビスC6およびナットC7を用いて取り付けられている。これに対して、本発明に係るインナーパネル100は、ウインドウストッパ110がウインドウ枠100aに形成(一体成型)されているため、別個部材(ウインドウストッパC2、ビスC6およびナットC7)を用いることなく、ウインドウ11の位置設定をすることができる。そのため、移動体のサイドドアを十分に軽量化することができる。
【0016】
このとき、ウインドウストッパ110がウインドウ11の開閉方向(図1のZ軸の方向)に延在する第1リブ111を有することで、ウインドウストッパ110の上記開閉方向の長さを大きくすることができる。これにより、ウインドウストッパ110の剛性を高めて、ウインドウ11を閉めたときに、ウインドウストッパ110がウインドウ11に押されて変形することを抑制できる。
【0017】
また、ウインドウストッパ110が第1リブ111を有することで、移動体の上下方向に延在する軸(図1におけるAx1)に沿って回転する方向の捻れを抑制できる。その結果、例えば、移動体のサイドドア開閉時の衝撃によるウインドウ枠100aの変形を抑制できる。
【0018】
さらには、ウインドウストッパ110を樹脂製とすることで、ウインドウ11を閉めたときにウインドウ11とウインドウストッパ110が接触するときに発生する接触音を低音量化することもできる。
【0019】
第1リブ111の高さ(突出方向の長さ)は、特に限定されないが、インナーパネル100をサイドドアに用いた際に、アウターパネルに接触しない高さであることが好ましい。
【0020】
第1リブ111は、ウインドウの開閉方向に細長く延在していることが好ましい。具体的には、第1リブ111の延在長さに対する第1リブ111の幅(延在方向に直交する方向(図1のZ軸の方向)の長さ)の割合が1/20以上1/10以下であることが好ましい。これにより、インナーパネル100の製造時(具体的には、後述するウインドウ枠100aとウインドウストッパ110とを一体的に成型するとき)に、第1リブ111の形成によるヒケの発生を抑制できる。
【0021】
第1リブ111の本数は、1本であってもよいし、複数本であってもよいが、複数本であることが好ましい。第1リブが複数本あることで、ウインドウストッパ110の剛性をより高めて、ウインドウ11を閉めたときに、ウインドウストッパ110がウインドウ11に押されて変形することをより抑制できる。
【0022】
より具体的には、第1リブ111の本数は、2本以上であることが好ましく、3本以上であることがより好ましい。本実施形態では、第1リブ111の本数は3本である。第1リブ111の本数の上限値は、後述するウインドウ枠100aとウインドウストッパ110とを一体的に成型するときのヒケを抑制する観点、および移動体のサイドドアを十分に軽量化する観点から、5本以下であることが好ましく、4本以下であることがより好ましく、3本以下であることがさらに好ましい。
【0023】
ウインドウストッパ110が複数本の第1リブ111を有するとき、第1リブ111どうしの間隔は、第1リブ111の、移動体前後方向(図1のX軸の方向)の幅以下の長さであることが好ましく、上記幅よりも小さいことがより好ましい。これにより、第1リブ111およびウインドウストッパ110の剛性を向上させることができる。
【0024】
図2に示されるように、ウインドウストッパ110は、複数本の第1リブ111に直交し、複数本の第1リブ111のそれぞれを連結する第2リブ112を有することが好ましい。これにより、ウインドウストッパ110の剛性をより十分に高めて、ウインドウ11を閉めたときに、ウインドウストッパ110がウインドウに押されて変形することをより十分に抑制できる。なお、図2では、第2リブ112を図示しやすくするために、第2リブ112にハッチングを付している。
【0025】
また、ウインドウストッパ110が第2リブ112を有することで、移動体の前後方向に延在する軸(図2におけるAx2)に沿って回転する方向の捻れを抑制できる。その結果、例えば、移動体のサイドドア開閉時の衝撃によるウインドウ枠100aの変形を抑制できる。
【0026】
第2リブ112の本数は、特に限定されないが、後述するウインドウ枠100aとウインドウストッパ110とを一体的に成型するときのヒケを抑制する観点、および移動体のサイドドアを十分に軽量化する観点から、2本以下であることが好ましく、1本であることが好ましい。
【0027】
第2リブ112の高さは、特に限定されないが、移動体のサイドドアを十分に軽量化する観点から、連結する複数本の第1リブ111それぞれの高さよりも低いことが好ましい。
【0028】
第2リブ112の延在長さは、両端の第1リブ111の間の距離と同じ長さでもよいし、上記距離よりも長くてもよいが、移動体のサイドドアを十分に軽量化する観点から、上記距離と同じ長さであることが好ましい。
【0029】
第2リブ112の幅(延在方向に直交する方向(図1のZ軸の方向)の長さ)は、インナーパネル100の製造時(具体的には、後述するウインドウ枠100aとウインドウストッパ110とを一体的に成型するとき)に第2リブ112の形成によってヒケを生じにくくする観点から、第1リブ111の延在長さよりも小さいことが好ましく、第1リブ111の延在長さの半分の長さよりも小さいことがより好ましい。
【0030】
また、ウインドウ枠100aの上部側の枠部に、移動体内部側(図2のY軸の奥側)に突出する稜線が含まれる場合、第2リブ112の形成によるヒケを目立ちにくくする観点から、第2リブ112は、上記稜線と重なる位置に形成されていることが好ましい。
【0031】
(材料)
本実施形態において、インナーパネル100は樹脂製である。インナーパネル100の材料となる樹脂は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂などの公知の樹脂であってもよいが、分解後の再利用を容易にする観点から、熱可塑化性樹脂であることが好ましい。
【0032】
上記熱可塑性樹脂の例には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートなどを含む熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)などを含むスチレン系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどを含むポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、およびポリメタクリレートなどが含まれる。これらのうち、比重が小さく、大面積であるこれらの部材に使用したときに移動体の重量を小さくできること、加工性が良好であること、および表面の光沢性が良好であり意匠性を高めやすいことから、ポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
【0033】
インナーパネル100の材料となる樹脂は、強化繊維を含む繊維強化樹脂であることが、インナーパネル100の剛性を向上させる観点から好ましい。上記強化繊維の例には、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの公知の強化繊維が含まれる。これらの中でも、強化繊維は、ガラス繊維が好ましい。
【0034】
以上のことから、インナーパネル100の材料となる樹脂は、強化繊維としてガラス繊維を含むポリプロピレンが好ましい。
【0035】
(製造方法)
インナーパネル100は、射出成型法、射出圧縮成型法などによって製造することができる。このとき、製造の容易さを高め、なおかつウインドウストッパ110の脱離のしにくさを高める観点から、キャビティが、ウインドウ枠100aにウインドウストッパ110(第1リブ111および任意に第2リブ112)の形状を有する金型を用いて、ウインドウ枠100aとウインドウストッパ110とを一体的に成型することが好ましい。
【0036】
2.サイドドア
図5は、本発明の一実施形態に係る移動体のサイドドア10の外観を示す模式図である。本実施形態において、サイドドア10は、上述のインナーパネル100と、ウインドウ11と、アウターパネル12と、を有する(図3参照)。
【0037】
サイドドア10は、スライドドアであってもよいし、ヒンジ型のドアであってもよいし、ガルウイングドアであってもよい。本実施形態では、サイドドア10はスライドドアである。
【0038】
ウインドウ11の材料の例には、石英ガラスや樹脂ガラスなどの、移動体に従来使用されている光透過性材料などが含まれる。
【0039】
上記樹脂ガラスの例には、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)などを含むスチレン系樹脂、リアルキルメタクリレート、およびポリメタクリルメタクリレートなどを含むアクリル系樹脂、ポリフェニルエーテル、ポリカーボネート、非晶性ポリアルキレンテレフタレート、ポリエステル、非晶性ポリアミド、ポリ-4-メチルペンテン-1および環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、およびポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどを含む熱可塑性エラストマーなどが含まれる。これらのうち、耐衝撃性および耐熱性が高いことから、ポリカーボネート特には芳香族含有ポリカーボネートが好ましい。
【0040】
アウターパネル12の材料の例には、インナーパネル100の材料として用いられ得る熱可塑性樹脂のほか、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびジアリルテレフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂が含まれる。
【0041】
3.移動体
図6は、本発明の一実施形態に係る移動体1の外観を示す模式図である。本実施形態では、移動体1は自動車である。移動体1は、上述のサイドドア10(本実施形態ではスライドドア)を有する。
【0042】
移動体1の例には、上述の自動車のほか、空飛ぶ自動車、バス、トラック、電車、飛行機、ヘリコプターなど、サイドドアを備えた移動体が含まれる。
【0043】
4.変形例
なお、上述した各実施形態は、あくまで本発明の例示的な実施形態であり、本発明は、本明細書に開示された技術思想の範囲内において、様々に変更された実施形態をとり得ることはいうまでもない。
【0044】
たとえば、上述の実施形態では、ウインドウストッパ110は、インナーパネル100の中心軸Ax1よりも、移動体の前方側(X軸方向側)に配置されていたが、これ以外の位置、たとえば中心軸Ax1の近傍や中心軸Ax1よりも移動体の後方側(X軸の反対方向側)に配置されていてもよい。また、異なる位置に複数のウインドウストッパ110が配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、開閉可能なウインドウを有する移動体のサイドドアを十分に軽量化することができ、かつ、ウインドウを閉めたときのウインドウの位置設定をすることができる樹脂製インナーパネル、これを用いたサイドドア、および上記サイドドアを有する移動体を提供することができる。そのため、本発明は、例えば、自動車産業において有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 移動体
10 サイドドア
11 ウインドウ
12 アウターパネル
100 インナーパネル
100a ウインドウ枠
110 ウインドウストッパ
111 第1リブ
112 第2リブ
120 ウインドウ開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6