(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134983
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電子部品および電子部品構造体
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20240927BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01G4/228 A
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045456
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福岡 智久
(72)【発明者】
【氏名】井口 俊宏
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】リフロー時の半田の端子電極への過度な濡れ上がりを防止できる電子部品等を提供する。
【解決手段】略直方体状の素体部と、前記素体部の一対の端面にそれぞれ形成される端子電極部と、を有し、前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、前記素体部の中心を通り前記素体部の素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、1.3≦T4/T2≦15.0である電子部品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体状の素体部と、
前記素体部の一対の端面にそれぞれ形成される端子電極部と、を有し、
前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記素体部の中心を通り前記素体部の素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
1.3 ≦ T4/T2 ≦15.0
である電子部品。
【請求項2】
前記表面電極層は、SnまたはAuを含む請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記表面電極層はSnを含み、前記第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
2.5 ≦ T4/T2 ≦15.0
である請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記表面電極層はAuを含み、前記第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
2.5 ≦ T4/T2 ≦8.0
である請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
略直方体状の素体部と、
前記素体部の一対の端面にそれぞれ形成される端子電極部と、を有する電子部品を複数有し、それぞれの前記電子部品の前記端子電極部を連結してなる電子部品構造体において、
複数の前記電子部品のうち少なくとも1つは、他の前記電子部品に対向しない素体下面を有する一段目電子部品であり、
前記一段目電子部品において、
前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
1.3 ≦ T4/T2 ≦15.0
である電子部品構造体。
【請求項6】
前記表面電極層はSnを含み、前記第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
2.5 ≦ T4/T2 ≦15.0
である請求項5に記載の電子部品構造体。
【請求項7】
複数の前記電子部品のうち他の少なくとも1つは、前記一段目電子部品の素体上面に対向する素体下面を有する二段目電子部品であり、
前記二段目電子部品における前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記二段目電子部品における前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT42と、前記一段目電子部品における第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、の関係が、
1.3 ≦ T42/T2 ≦32
である請求項5に記載の電子部品構造体。
【請求項8】
複数の前記電子部品のうち他の少なくとも1つは、他のいずれかの前記電子部品に対向する素体下面を有するn段目電子部品であり、
前記n段目電子部品において、
前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2nと、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4nと、の関係が、
1.3 ≦ T4n/T2n ≦15.0
である請求項5に記載の電子部品構造体。
【請求項9】
複数の前記電子部品のうち前記一段目電子部品を除く他の全ての前記電子部品が、前記n段目電子部品である請求項8に記載の電子部品構造体。
【請求項10】
複数の前記電子部品のうち他の1つは、他の前記電子部品に対向しない素体上面を有する最上段電子部品であり、
前記最上段電子部品における前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記最上段電子部品における前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2maxと、前記一段目電子部品における第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
T2max < T4
である請求項5に記載の電子部品構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品および複数の電子部品を接続して構成される電子部品構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
略直方体のセラミック素体の両端面に端子電極を形成した電子部品が広く用いられている。このような電子部品は、表面実装に適しており、サイズについてもサブミリオーダー程度のものから、より大きいサイズのもので、様々なサイズのものが用いられている。
【0003】
このようなチップ型の電子部品については、リフロー方式により基板等に実装されることが一般的である。また、電子部品の端子電極の表面に、リフロー接合時において溶融した半田に対する濡れ性の高い表面層を形成し、半田と端子電極との接触面積を大きくする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
端子電極の表面に、半田に対する濡れ性の高い表面層を端子電極に形成する従来技術に係る電子部品では、リフロー時の半田の端子電極への過度な濡れ上がりが発生し、実装不良につながる場合があり問題となっている。
【0006】
本開示は、このような実情に鑑みてなされ、リフロー時の半田の端子電極への過度な濡れ上がりを防止できる電子部品および電子部品構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る電子部品は、
略直方体状の素体部と、
前記素体部の一対の端面にそれぞれ形成される端子電極部と、を有し、
前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記素体部の中心を通り前記素体部の素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
1.3 ≦ T4/T2 ≦15.0である。
【0008】
このような本開示に係る電子部品は、下面からの高さに応じて表面電極層の厚みが変化しており、素体下面より上方の第2基準線に沿う厚みT2と、素体下面より下方の第3基準線に沿う厚みT4との関係が所定の範囲内である。これにより、本開示に係る電子部品は、適切な形状の半田フィレットを形成して実装ランドに対して確実な接合強度を奏するとともに、半田の過剰な濡れ上がりを防止することが可能である。また、第2基準線付近の表面電極層の厚みを薄くすることができるため、限りある資源である金属材料の使用量を抑えるとともに、材料コスト削減にも寄与する。
【0009】
また、たとえば、前記表面電極層は、SnまたはAuを含んでいてもよい。
【0010】
このような表面電極層は、半田に対する濡れ性が特に良好であり、好適に実装不良の発生を抑えることができる。
【0011】
また、たとえば、前記表面電極層はSnを含み、前記第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
2.5 ≦ T4/T2 ≦15.0
であってもよい。
【0012】
また、たとえば、前記表面電極層はAuを含み、前記第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
2.5 ≦ T4/T2 ≦8.0
であってもよい。
【0013】
このような電子部品は、半田の過剰な濡れ上がりをさらに好適に防止することが可能であるとともに、リフロー半田付けによる良好な実装性を奏する。
【0014】
また、本開示に係る電子部品構造体は、略直方体状の素体部と、
前記素体部の一対の端面にそれぞれ形成される端子電極部と、を有する電子部品を複数有し、それぞれの前記電子部品の前記端子電極部を連結してなる電子部品構造体において、
複数の前記電子部品のうち少なくとも1つは、他の前記電子部品に対向しない素体下面を有する一段目電子部品であり、
前記一段目電子部品において、
前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有し、
前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
1.3 ≦ T4/T2 ≦15.0
である。
【0015】
本開示に係る電子部品構造体における一段目電子部品は、下面からの高さに応じて表面電極層の厚みが変化しており、素体下面より上方の第2基準線に沿う厚みT2と、素体下面より下方の第3基準線に沿う厚みT4との関係が所定の範囲内である。これにより、本開示に係る電子部品構造体は、適切な形状のフィレットを形成して実装ランドに対して確実な接合性を奏するとともに、半田の過剰な濡れ上がりを防止することが可能である。また、第2基準線付近の表面電極層の厚みを薄くすることができるため、限りある資源である金属材料の使用量を抑えるとともに、材料コスト削減にも寄与する。また、一段目電子部品の重心が低くなることにより、電子部品構造体が実装時または実装後に倒れる問題を防止できる。
【0016】
また、たとえば、複数の前記電子部品のうち他の少なくとも1つは、前記一段目電子部品の素体上面に対向する素体下面を有する二段目電子部品であり、
前記二段目電子部品における前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有してもよく、
前記二段目電子部品における前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT42と、前記一段目電子部品における第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2と、の関係が、
1.3 ≦ T42/T2 ≦32
であってもよい。
【0017】
このような電子部品構造体は、一段目電子部品の半田の過剰な濡れ上がりを防止するとともに、一段目電子部品と二段目電子部品との接合強度を適切に確保することが可能である。また、一段目電子部品と二段目電子部品と接合部分で半田の過剰な濡れ上がりに伴うショート不良が発生する問題を好適に防止できる。
【0018】
また、たとえば、複数の前記電子部品のうち他の少なくとも1つは、他のいずれかの前記電子部品に対向する素体下面を有するn段目電子部品であり、
前記n段目電子部品において、
前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有してもよく、
前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の3の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2nと、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4nと、の関係が、
1.3 ≦ T4n/T2n ≦15.0
であってもよい。
【0019】
このような電子部品構造体では、n段目電子部品の重心が低いため、他の電子部品の上に安定して設置することが容易であり、電子部品同士の接合プロセスを円滑に行うことが可能であり、生産性が良好である。
【0020】
また、たとえば、複数の前記電子部品のうち前記一段目電子部品を除く他の全ての前記電子部品が、前記n段目電子部品であってもよい。
【0021】
このような電子部品構造体では、各電子部品同士が良好な固着強度を奏する。
【0022】
また、たとえば、複数の前記電子部品のうち他の1つは、他の前記電子部品に対向しない素体上面を有する最上段電子部品であり、
前記最上段電子部品における前記端子電極部は、前記端面に直接接触する下地電極層と、前記下地電極層を覆っており前記端子電極部の最表面を構成する表面電極層と、を有してもよく、
前記最上段電子部品における前記素体部の中心を通り前記素体部の前記素体下面および前記端面に垂直な断面において、前記素体下面に平行であって前記素体下面から前記素体部全体の4分の1の高さを通る第2基準線に沿う前記表面電極層の厚みT2maxと、前記一段目電子部品における第4基準線に沿う前記表面電極層の厚みT4と、の関係が、
T2max < T4
であってもよい。
【0023】
このような電子部品構造体では、電子部品構造体全体における重心が低くなることにより、実装時または実装後に倒れる問題を好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る電子部品を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子部品および電子部品に対する半田フィレットの形成状態を示す概念図である。
【
図3】
図3は、第1比較例に係る電子部品および電子部品に対する半田フィレットの形成状態を示す概念図である。
【
図4】
図4は、第1変形例に係る電子部品を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、第2変形例に係る電子部品を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、第3変形例および第4変形例に係る電子部品を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の第2実施形態に係る電子部品構造体および電子部品構造体に対する半田フィレットの形成状態を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、第2比較例に係る電子部品構造体および電子部品構造体に対する半田フィレットの形成状態を示す概略断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の第5変形例に係る電子部品構造体を示す概略断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の第3実施形態に係る電子部品構造体を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る電子部品20を示す概略断面図である。
図1に示すように、電子部品20は、直方体状の素体部21と、素体部21の一対の端面21a、21bにそれぞれ形成される端子電極部26とを有する。
図1は、素体部21の中心21cを通り素体部21の素体下面21dおよび端面21a、21bに垂直な断面による断面図である。
【0026】
電子部品20の大きさについては、特に限定されないが、たとえば、長さ0.4~6.4mm程度、幅0.2~3.2mm程度のJISおよびEIA規格サイズが例示される。他の実施形態に係る電子部品20についても同様である。なお、本開示で示される各断面図は、説明のための模式的なものであり、各部分の比率などについては、実際の寸法とは異なる部分もある。
【0027】
図1に示すように、端子電極部26は、略直方体状の素体部21の端面21a、21bを覆うとともに、端面21a、21bに隣接する他の側面の一部に広がるように形成されている。一対の端子電極部26は、素体部21の表面において、互いに離間するように形成されており、端面21aに形成される一方の端子電極部26に対して、端面21bに形成される他方の端子電極部26は、電気的に絶縁されている。
【0028】
図1に示す電子部品20は、チップコンデンサである。
図1に示すように、素体部21の内部には、誘電体層23と内部電極層22とが交互に積層されている。誘電体層23と内部電極層22の積層方向は上下方向であるが、これとは異なり、電子部品20の上下方向とは垂直であってもよい。なお、後述するように、電子部品20は、特に端子電極部26の断面形状に関して、上下非対称である。
【0029】
誘電体層23の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウムストロンチウム、またはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層23の厚みは、特に限定されないが、1μm~数百μmのものが一般的である。本実施形態では、各誘電体層23の厚みは、好ましくは1.0~5.0μmである。
【0030】
素体部21の内部の内部電極層22は、導電体材料を含有する。内部電極層22が含有する導電体材料としては、特に限定されないが、誘電体層23の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。内部電極層22に用いられる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Cu、Sn、Mn、CrおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層22は、汎用的な電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層22の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。また、内部電極層22は、金属以外の導電性材料で構成されていてもよい。
【0031】
素体部21の内部に積層される内部電極層22は、一方の端子電極部26(
図1における素体部21の端面21aに形成)に接続しているものと、他方の端子電極部26(
図1において素体部21の端面21bに形成)に接続しているものがある。一対の端子電極部26の間に加えられる電位差は、内部電極層22を介して、内部電極層22の間に配置される誘電体層23に加えられる。
【0032】
図1に示すように、端子電極部26は、素体部21の端面21aに直接接触する下地電極層26aと、下地電極層26aの少なくとも一部(好ましくは全体)を覆っており端子電極部26の最表面を構成する表面電極層26cとを有する。また、端子電極部26は、表面電極層26cと下地電極層26aとの間に挟まれる中間電極層26bを有しており、最表面側から表面電極層26c、中間電極層26bおよび下地電極層26aの3層構造を有する。
【0033】
なお、電子部品20の端子電極部26については、端面21aに形成されているものと、端面21bに形成されているものとは、左右の配置が異なることを除き、同様の特徴を有する。したがって、端子電極部26については、端面21aに形成されているものを例に説明を行い、端面21bに形成されているものについては説明を省略する。
【0034】
下地電極層26aは、たとえば焼付けにより形成された焼付電極等により構成される。下地電極層26aの材質としては、CuやCu合金、AgやAg合金などが挙げられるが、これら以外の金属であってもよい。中間電極層26bの材質としては、たとえば、NiやNi合金、PdやPd合金などが挙げられる。
【0035】
中間電極層26bは、たとえば湿式めっき等の方法で形成されるが、それ以外の方法で形成されてもよい。また、
図1に示す端子電極部26は、中間電極層26bを含む3層構造であるが、端子電極部26としてはこれに限定されず、中間電極層26bを省略した2層構造であってもよく、中間電極層26bを複数有する4層以上の構造であってもよい。他の実施形態の端子電極についても、同様である。
【0036】
表面電極層26cは、下地電極層26aの上に形成されており、下地電極層26を覆っている。表面電極層26cは、下地電極層26aや中間電極層26bに比べて、溶融した半田に対する濡れ性が高くなる表面を形成する材質で構成されることが好ましい。表面電極層26cの材質としては、SnやSn合金、AuやAu合金、PdやPd合金などを含むものが挙げられ、また、表面電極層26cは、Sn、Au、Pdを含む金属単体または固溶体に加え、これらの金属と中間電極層26bに含まれる金属との金属間化合物を含んでいてもよい。たとえば、表面電極層26cは、Sn-Pb、Sn-Cu、Sn-Bi、Sn-Ni、Au-Sn、Au-Niなどの固溶体または金属間化合物を含んでいてもよい。
【0037】
図1に示すように、素体部21の中心21cを通り素体部21の素体下面21dおよび端面21a、21bに垂直な断面において、端子電極部26の断面形状は、素体下面21dに平行であって素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として非対称である。特に、端子電極部26における表面電極層26cの厚みは、第3基準線SL3より上側の部分と下側の部分とで異なっている。
【0038】
また、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の3の高さを通る第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2と、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の1の高さを通る第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4と、の関係は、以下の数式(1)を満足する。
【0039】
1.3 ≦ T4/T2 ≦15.0 数式(1)
【0040】
すなわち、素体部21の中心21cより上方を通る第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2は、素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として対称な高さを通る第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4に比べて薄くなっている。なお、
図1に示す第1基準線SL1は、素体上面21eと同じ高さの基準線であり、第5基準線SL5は、素体下面21dと同じ高さの基準線である。
【0041】
図2は、
図1に示す電子部品20を実装基板82にリフロー方式により実装した際に、端子電極部26と実装基板82のランドに形成される半田フィレット83の形成状態を示す概念図である。
図2では、半田フィレットのうち、端面21a側の端子電極部26に形成される半田フィレット83のみを模式的に表示している。
図2に示すように、端子電極部26では、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4が厚いため、端子電極部26の下方側には半田が濡れ上がるのに対して、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2が薄いため、端子電極部26の上方側まで半田が濡れ上がるのが防止される。このように、電子部品20は、第4基準線SL4の高さを超える程度の適切な形状のフィレットを形成して実装ランドに対して確実な接合性を奏するとともに、第2基準線SL2を超える程度の半田の濡れ上がりを防止することが可能である。
【0042】
これに対して、
図3は、第1比較例に係る電子部品120を実装基板82にリフロー方式により実装した際に、端子電極部126と実装基板82のランドに形成される半田フィレット183の形成状態を示す概念図である。電子部品120では、端子電極部126の断面形状は、素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として略対称であり、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みは、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みとほぼ同様である。
【0043】
図3に示すように、第1比較例に係る電子部品120では、端子電極部126に形成される表面電極層126cの厚みが、高さ方向に関して略一定であるため、素体部21の素体上面21eおよび端子電極部126の頂点を超えるような過剰な半田の濡れ上がりが発生する場合がある。
図3に示すような過剰な半田の濡れ上がりを示す半田フィレット183の形成は、電子部品のクラックやショート不良などに繋がるおそれがあり、好ましくない。
【0044】
また、数式(1)から理解できるように、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4は、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2に対して、所定の値(T4/T2 = 15)を超えて厚くなり過ぎないことが好ましい。T4/T2を所定の値以下とすることにより、電子部品20の基板への投影面積が過度に広がることを防止し、実装密度の高さを維持することができる。また、素体下面21dでのショート不良の発生も好適に防止できる。
【0045】
また、
図1および
図2に示すような形状的特徴を有する表面電極層26cは、SnまたはAuを含むことが好ましい。これらの金属を有する表面電極層26cは、溶融した半田に対して好適な濡れ性を奏するため、リフロー方式の実装工程により、適切な形状のフィレットを形成して実装ランドに対して確実な接合強度を奏する。なお、半田との表面電極層26cとの濡れ性は、接触角等によって計測される。
【0046】
また、表面電極層26cがSnを含む場合、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4と、の関係が、以下の数式(2)を満足することも好ましい。
【0047】
2.5 ≦ T4/T2 ≦15.0 数式(2)
【0048】
表面電極層26cの材質と併せて、T4/T2の数値範囲をより狭い範囲に収めることにより、過剰なリフロー半田の濡れ上がりを好適に防止するとともに、適切な形状のフィレットを形成して実装ランドに対して確実な接合強度を奏する。
【0049】
また、表面電極層26cがAuを含む場合、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4と、の関係が、以下の数式(3)を満足することも、上記と同様の理由により好ましい。
【0050】
2.5 ≦ T4/T2 ≦8.0 数式(3)
【0051】
図1に示すような形状の表面電極層26cは、たとえば表面電極層26cを2回のプロセスに分けて形成することにより、製造することが可能である。たとえば、素体部21に対して下地電極層26aおよび中間電極層26bを形成した中間製造品を準備し、中間製造品をバレル方式により電気めっきを施すことにより、中間電極層26bを覆うようにほぼ均一な厚み(厚みT2)の表面電極層26cの一部(第1段階目)を形成する。
【0052】
つぎに、ほぼ均一な厚さである表面電極層26cの一部に対して、第3基準線SL3より下側の部分のみをめっき液に浸漬して部分的に電気めっきを施すことにより、第3基準線SL3より下側の表面電極層26cの厚みを厚くして、
図1に示すような表面電極層26cを有する電子部品20を得る。
【0053】
このような方法の他、たとえば、中間電極層26bの外側に、形状のみが
図1とは異なる均一な厚みの表面電極層を形成したのち、実装姿勢で非酸化雰囲気(N
2、ギ酸、H
2等)に投入して熱処理し、表面電極層を溶融・変形させることにより
図1に示すような非対称な表面電極層26cを形成することも可能である。
【0054】
以上のように、実施形態を示して本開示に係る電子部品20を説明してきたが、本開示に係る電子部品の技術的範囲は、上述した実施形態のみには限定されず、他の実施形態や変形例が多く存在することは言うまでもない。たとえば、
図4は、第1変形例に係る電子部品220を示す概略断面図である。電子部品220は、表面電極層226cの形状のみが
図1に示す電子部品20とは異なるが、表面電極層226cの形状以外の特徴は、電子部品20と同様である。電子部品220については、表面電極層226cの形状についてのみ説明し、電子部品20との共通点については説明を省略する。
【0055】
図4に示すように、電子部品220の端子電極部226は、第5基準線SL5より下側部分の輪郭形状が略円弧状であり、平らな底部を有する端子電極部26(
図1参照)とは異なる。ただし、電子部品220でも、電子部品20と同様に、第2基準線SL2に沿う表面電極層226cの厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層226cの厚みT4との関係が、数式(1)を満足する。
【0056】
電子部品220の端子電極部226は、下側部分の輪郭形状が略円弧状であり、実装基板のランドとの間に形成される隙間が大きく、この点でも半田の過度な濡れ上がりを防止する効果を奏する。その他、電子部品220は、電子部品20との共通点については、電子部品20と同様の効果を奏する。
【0057】
図5は、第2変形例に係る電子部品320を示す概略断面図である。電子部品320は、端子電極部326を構成する下地電極層326a、中間電極層326bおよび表面電極層326cの形状のみが、
図1に示す電子部品20とは異なるが、端子電極部326の形状以外の特徴は、電子部品20と同様である。電子部品320については、端子電極部326の形状についてのみ説明し、電子部品20との共通点については説明を省略する。
【0058】
図5に示すように、電子部品320の下地電極層326aは、素体部21の端面21a、21bに沿って上下方向に延びる直線状外周部分と、直線状外周部分に接続する円弧状外周部分とを有し、略楕円状の外周部分を有する下地電極層26a(
図1参照)とは異なる。下地電極層326aを覆う中間電極層326bは、下地電極層326aの外周形状に沿って形成されており、下地電極層326aの直線状外周部分に接する部分については、略一定の厚みを有する。
【0059】
下地電極層326aおよび中間電極層326bを覆う表面電極層326cは、上下方向に延在する部分で厚みが変化する。すなわち、表面電極層326cは、高さ方向に関して、第4基準線SL4から第5基準線SL5の間で厚みが極大となる。表面電極層326cも、表面電極層26cと同様に、第2基準線SL2に沿う表面電極層326cの厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層326cの厚みT4との関係が、数式(1)を満足する。
【0060】
電子部品320の端子電極部326の外周形状は、素体部21の外周形状と平行な部分が多く、電子部品320は、端子電極部326の平均的な厚みを抑制することができる。その他、電子部品320は、電子部品20との共通点については、電子部品20と同様の効果を奏する。
【0061】
図6(a)、
図6(b)は、第3変形例および第4変形例に係る電子部品420、520を示す概略断面図である。電子部品420、520は、端子電極部426、526を構成する下地電極層426a、526a、中間電極層426b、526bおよび表面電極層426c、526cの形状のみが、
図1に示す電子部品20とは異なるが、端子電極部426、526の形状以外の特徴は、電子部品20と同様である。電子部品420、520については、端子電極部426、526の形状についてのみ説明し、電子部品20との共通点については説明を省略する。
【0062】
図6に示すように、電子部品420、520の下地電極層426a、526aの断面形状は、上下非対称である。すなわち、下地電極層426a、526aの厚みは、第2基準線SL2に沿う厚みT2が、第4基準線SL4に沿う厚みより厚くなっている。下地電極層426a、526aを覆う中間電極層426b、526bは、下地電極層426a、526aの外周形状に沿って形成されており、中間電極層426b、526bの外周形状は、下地電極層426a、526aの直線状外周形状に近い形状である。
【0063】
下地電極層426a、526aおよび中間電極層426b、526bを覆う表面電極層426c、526cは、楕円状の外周形状を有しており、下地電極層426a、526aおよび中間電極層426b、526bの外周形状に沿っていない。すなわち、表面電極層426c、526cは、下地電極層426a、526aの厚みが厚い第2基準線SL2の高さにおいて薄く、下地電極層426a、526aの厚みが薄い第4基準線SL4の高さにおいて厚い。表面電極層426c、526cも、表面電極層26cと同様に、第2基準線SL2に沿う表面電極層326cの厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層326cの厚みT4との関係が、数式(1)を満足する。
【0064】
電子部品420、520の端子電極部326は、下地電極層426a、526aの断面形状が上下非対称であり、下地電極層426a、526aが厚い部分で表面電極層426c、526cが薄く、下地電極層426a、526aが薄い部分で表面電極層426c、526cが厚い。したがって、電子部品420、520は、端子電極部426、526の最表面が滑らかな円弧状である。その他、電子部品420、520は、電子部品20との共通点については、電子部品20と同様の効果を奏する。
【0065】
第2実施形態
図7は、本開示の第2実施形態に係る電子部品構造体610の概略断面図である。電子部品構造体610は、略直方体状の素体部21と、素体部21の一対の端面21a、21bにそれぞれ形成される端子電極部26、626とを有する電子部品(一段目電子部品620aおよび二段目電子部品620b)を複数(
図7では2つ)有し、それぞれの電子部品620a、620bを連結してなる。
【0066】
電子部品構造体610において、複数の電子部品620a、620bのうち1つは、他の電子部品(二段目電子部品620bなど)に対向しない素体下面21dを有する一段目電子部品620aである。一段目電子部品620aは、第1実施形態に係る電子部品20と同様である。すなわち、一段目電子部品620aにおいて、端子電極部26は下地電極層26a、中間電極層26b、表面電極層26cとを有する。
【0067】
また、一段目電子部品620aでは、素体部21の中心21cを通り素体下面21dおよび端面21a、21bに垂直な断面において、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の3の高さを通る第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2と、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の1の高さを通る第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4と、の関係が、数式(1)を満足する。また、表面電極層26cがSnを含む場合は、第2基準線SL2に沿う表面電極層の厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層の厚みT4と、の関係が、数式(2)を満足することも好ましい。その他、素体部21、端子電極部26を構成する下地電極層26a、中間電極層26bおよび表面電極層26cの詳細については、第1実施形態に係る電子部品20と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
電子部品構造体610において、複数の電子部品620a、620bのうち他の1つは、一段目電子部品620aの素体上面21eに対向する素体下面21dを有する二段目電子部品620bである。二段目電子部品620bは、端子電極部626における表面電極層626cの形状が一段目電子部品620aとは異なることを除き、一段目電子部品620aと同様の特徴を有する。
【0069】
二段目電子部品620bの端子電極部626は、
図3に示す電子部品120の端子電極部126と同様に、端子電極部626の断面形状が、素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として略対称である。すなわち、第2基準線SL2に沿う表面電極層626cの厚みは、第4基準線SL4に沿う表面電極層626cの厚みとほぼ同様である。その他、素体部21、端子電極部26を構成する下地電極層26a、中間電極層26bについては、一段目電子部品620aと同様であるため、説明を省略する。
【0070】
一段目電子部品620aと二段目電子部品620bとは、たとえばSn-Sb系の半田や、TLPS接合や、焼結結合などにより接合される。一段目電子部品620aと二段目電子部品620bとは、一段目電子部品620aの一方の端子電極部26と二段目電子部品620bの一方の端子電極部626とを接続し、一段目電子部品620aの他方の端子電極部26と二段目電子部品620bの他方の端子電極部626とを接続することにより、連結されている。すなわち、各電子部品620a、620bは、端子電極部26、626が形成される端面21aと端面21bとの対向方向が、水平方向になる姿勢で積み重ねられており、互いに電気的に並列接続されている。なお、
図7に示す電子部品構造体610では、複数の電子部品620a、620bを互いに接合する接合材については、図示を省略している。他の電子部品構造体についても同様である。
【0071】
図7に示すように、電子部品構造体610は、実装基板82にリフロー方式により実装することができる。
図2に示す電子部品20と同様に、電子部品構造体610の端子電極部26では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2が薄いため、端子電極部26の上方側まで半田が濡れ上がるのが防止される。また、電子部品構造体610では、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4が厚いため、端子電極部26の下方側には半田が濡れ上がり、適切な形状の半田フィレット683が形成される。
【0072】
これに対して、
図8は、第2比較例に係る電子部品構造体710を実装基板82にリフロー方式により実装した際に、端子電極部126と実装基板82のランドに形成される半田フィレット83の形成状態を示す概念図である。電子部品構造体710が有する2つの電子部品720a、720bは、
図3に示す電子部品120と同様である。
【0073】
図8に示すように、比較例に係る電子部品構造体710では、一段目電子部品に相当する電子部品720aについて、端子電極部126に形成される表面電極層126cの厚みが、高さ方向に関して略一定である。そのため、電子部品720aの素体部21の素体上面21eおよび端子電極部126の頂点を超えるような過剰な半田の濡れ上がりが発生する場合がある。
図8に示すような過剰な半田の濡れ上がりを示す半田フィレット783の形成は、ショート不良などに繋がるおそれがあり、好ましくない。
【0074】
また、
図7に示すように、複数の電子部品620a、620bを上下方向に積み重ねる電子部品構造体では、一段目電子部品620aと二段目電子部品620bとの間に、幅の狭い隙間が形成される。そうすると、
図8に示す半田フィレット783のように、電子部品720a、720bの間の幅の狭い隙間に、過度に濡れ上がった半田が流れ込むリスクがあり、ショート不良を引き起こす懸念がある。
【0075】
しかし、
図7に示す電子部品構造体610は、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2が薄いため、半田の過剰な濡れ上がりを防止し、ショート不良の発生を好適に防止できる。なお、
図7に示す電子部品構造体610では、二段目電子部品620bとして、高さ方向に関して略一定の厚みを有する表面電極層626cを有するものを用いているが、これとは異なり、二段目電子部品620bとして、一段目電子部品620aと同様に、高さ方向に関して非対称な断面形状である表面電極層を有するものを用いてもかまわない。
【0076】
その他、電子部品構造体610は、
図1および
図2に示す電子部品20との共通部分については、電子部品20と同様の効果を奏する。
【0077】
図7に示す電子部品構造体610では、2つの電子部品620a、620bを含むが、電子部品構造体610に含まれる電子部品の数は2つに限定されず、電子部品構造体は、2つ以上の任意の電子部品を含むことができる。
図9は、第5変形例に係る電子部品構造体810の断面を示す概念図である。
【0078】
図9に示すように、電子部品構造体810は、2つ以上の任意の電子部品(一段目電子部品820a、二段目電子部品820b、最上段電子部品820maxなどを適宜含む)を高さ方向に連結してなる電子部品構造体である。電子部品構造体810は、一段目電子部品820aの上に積み上げられる電子部品の数が異なることを除き、
図7に示す電子部品構造体610と同様である。電子部品構造体810に関しては、電子部品構造体610との相違点のみ説明し、電子部品構造体610との共通点については、同じ符号を付して説明を省略する。なお、電子部品構造体810において、電子部品の数が2つの場合は、二段目電子部品820bが最上段電子部品820maxを兼ね、
図7に示す電子部品構造体610と同様となる。
【0079】
一段目電子部品820aは、
図7に示す一段目電子部品620aと同様であり、二段目電子部品820bは、二段目電子部品820bの上にさらに他の電子部品が積み重ねられていることを除き、
図7に示す二段目電子部品620bと同様である。
【0080】
また、最上段電子部品820maxは、電子部品構造体810において他の電子部品に対向しない素体上面21eを有する。最上段電子部品820maxは、電子部品構造体810が含む電子部品の数が2つの場合を除き一段目電子部品820aに対して直接接続しておらず、一段目電子部品820aとの間に他の電子部品があることを除き、
図7に示す二段目電子部品620bと同様である。なお、
図9における「・・・」は、一段目電子部品820aと最上段電子部品820maxとの間に、二段目電子部品820bに例示される任意の自然数(0を含む)個の電子部品があることを表している。
【0081】
電子部品構造体810に含まれる各電子部品(一段目電子部品820a、二段目電子部品820b、最上段電子部品820max)は、
図7に示す電子部品構造体610に含まれる電子部品と同様に、Sn-Sb系の半田や、TLPS接合や、焼結結合などにより接合されている。
【0082】
電子部品構造体810は、電子部品構造体610と同様に、一段目電子部品820aにおける第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2と、第4基準線SL4に沿う表面電極層の厚みT4との関係が数式(1)を満足する。そのため、電子部品構造体810では、実装基板のランドに対向する一段目電子部品820aの端子電極部26の上方側まで、リフロー時に溶融した半田が過剰に濡れ上がる問題を防止できる。
【0083】
その他、電子部品構造体810は、
図7に示す電子部品構造体610との共通部分については、電子部品構造体610と同様の効果を奏する。
【0084】
第3実施形態
図10は、第3実施形態に係る電子部品構造体910の断面を示す概念図である。
図9に示すように、電子部品構造体910は、2つ以上の任意の電子部品(一段目電子部品920a、二段目電子部品920b、n段目電子部品920n、最上段電子部品920maxなどを適宜含む)を高さ方向に連結してなる電子部品構造体910である。電子部品構造体910は、電子部品構造体910に含まれる電子部品のうち、一段目電子部品920a以外の電子部品(n段目電子部品920n、最上段電子部品920maxなど)についても、端子電極部26の断面形状が、一段目電子部品920aと同様に上下非対称である点で、
図8に示す電子部品構造体810とは異なる。
【0085】
しかし、電子部品構造体910は、一段目電子部品920a以外の電子部品の端子電極部26の断面形状が上下非対称であることを除き、電子部品構造体810と同様である。電子部品構造体910に関しては、電子部品構造体810との相違点のみ説明し、電子部品構造体810との共通点については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0086】
電子部品構造体910に含まれる各電子部品(一段目電子部品920a、二段目電子部品920b、n段目電子部品920n、最上段電子部品920max)は、
図8に示す電子部品構造体810に含まれる電子部品と同様に、Sn-Sb系の半田や、TLPS接合や、焼結結合などにより接合されている。
【0087】
一段目電子部品920aは、
図9に示す一段目電子部品820aと同様である。二段目電子部品920bは、
図9に示す二段目電子部品820bとは異なり、一段目電子部品920aの端子電極部26と同様の上下非対称の端子電極部926を有する。
【0088】
二段目電子部品920bは、一段目電子部品920aの素体上面21eに対向する素体下面21dを有する。二段目電子部品920bの端子電極部926は、一段目電子部品920aの端子電極部26と同様に、素体部21の端面21a、21bに直接接触する下地電極層26aと、中間電極層26bと、下地電極層26aを覆っており端子電極部926の最表面を構成する表面電極層926cとを有する。
【0089】
二段目電子部品920bの端子電極部926は、特に表面電極層926cの断面形状が、二段目電子部品920bの素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として上下非対称である。すなわち、第4基準線SL4に沿う表面電極層926cの厚みが、第2基準線SL2に沿う表面電極層926cの厚みより厚い。
【0090】
これにより、電子部品構造体910では、二段目電子部品920bの表面電極層926cの断面形状と、一段目電子部品920aの表面電極層26cの断面形状との間で、以下のような関係が成り立つことも好ましい。すなわち、二段目電子部品920bにおける素体部21の中心21cを通り素体部21の素体下面21dおよび端面21a、21bに垂直な断面において、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の1の高さを通る第4基準線SL4に沿う表面電極層926cの厚みT42と、一段目電子部品920aにおける第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2と、の関係が、数式(4)を満足することが好ましい。
【0091】
1.3 ≦ T42/T2 ≦32 数式(4)
【0092】
このような電子部品構造体910は、一段目電子部品920aにおける半田の過剰な濡れ上がりを防止するとともに、二段目電子部品920bの第4基準線SL4に沿う表面電極層926cの厚みT42を、所定範囲の適切なバランスで厚くすることにより、一段目電子部品29aと二段目電子部品920bとの接合強度を適切に確保することが可能である。
【0093】
図10に示すn段目電子部品920nは、電子部品構造体910において、
図9に示す一段目電子部品820aのうえに積み重ねられる電子部品であり、他のいずれかの電子部品(一段目電子部品920a、二段目電子部品920b、他のn段目電子部品920nなどを含む)に対向する素体下面21dを有する。
図10では、二段目電子部品920bをn段目電子部品920nとは別途記載しているが、二段目電子部品920bは、特定の位置(一段目電子部品920aの直上)にあるn段目電子部品920nである。これと同様に、最上段電子部品820maxも、特定の位置(電子部品構造体910において最も上の位置)にあるn段目電子部品920nである。
【0094】
また、
図10における「・・・」は、二段目電子部品920bと最上段電子部品920maxとの間に、n段目電子部品920nによって例示される任意の自然数(0を含む)個の電子部品があることを表している。なお、電子部品構造体910において、電子部品の数が2つの場合は、二段目電子部品920bが最上段電子部品920maxを兼ねる。
【0095】
図9に示すn段目電子部品920nは、一段目電子部品920aの端子電極部26と同様の上下非対称の端子電極部927を有する。n段目電子部品920nの端子電極部927は、一段目電子部品920aの端子電極部26と同様に、素体部21の端面21a、21bに直接接触する下地電極層26aと、中間電極層26bと、下地電極層26aを覆っており端子電極部927の最表面を構成する表面電極層927cとを有する。
【0096】
n段目電子部品920nの端子電極部927は、二段目電子部品920bの端子電極部926でも説明したように、特に表面電極層927cの断面形状が、n段目電子部品920nの素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として上下非対称である。すなわち、n段目電子部品920nの素体部21の中心21cを通り素体部21の素体下面21dおよび端面21a、21bに垂直な断面において、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の3の高さを通る第2基準線SL2に沿う表面電極層927cの厚みT2nと、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の1の高さを通る第4基準線SL4に沿う表面電極層927cの厚みT4nと、の関係が、以下の数式(5)を満足する。
【0097】
1.3 ≦ T4n/T2n ≦15.0 数式(5)
【0098】
このような電子部品構造体910では、n段目電子部品920nの重心が低いため、ロボットアームなどによりn段目電子部品920nを、他の電子部品の上に安定して設置することが容易であり、電子部品同士の接合プロセスを円滑に行うことが可能であるため、生産性が良好である。また、電子部品構造体910では、複数の電子部品のうち一段目電子部品920aを除く他の全ての電子部品(二段目電子部品920b、最上段電子部品920maxを含む)が、数式(5)で示されるn段目電子部品920nの端子電極部927の特徴を有してもよい。このような電子部品構造体910は、低重心であるため、リフロー実装時における転倒不良の発生を防止することができる。
【0099】
図10に示す最上段電子部品920maxは、電子部品構造体910において他の電子部品に対向しない素体上面21eを有する。最上段電子部品920maxは、一段目電子部品920aの端子電極部26と同様の上下非対称の端子電極部928を有する。最上段電子部品920maxの端子電極部928は、一段目電子部品920aの端子電極部26と同様に、最上段電子部品920maxの素体部21の端面21a、21bに直接接触する下地電極層26aと、中間電極層26bと、下地電極層26aを覆っており端子電極部928の最表面を構成する表面電極層928cとを有する。
【0100】
最上段電子部品920maxの端子電極部928は、特に表面電極層928cの断面形状が、最上段電子部品920maxの素体部21の中心21cを通る第3基準線SL3を基準として上下非対称である。すなわち、表面電極層928cは、第2基準線SL2に沿う表面電極層928cの厚みT2maxが、第4基準線SL4に沿う表面電極層928cの厚みT4maxより薄い。
【0101】
これにより、電子部品構造体910では、最上段電子部品920maxの表面電極層928cの断面形状と、一段目電子部品920aの表面電極層26cの断面形状との間で、以下のような関係が成り立つことも好ましい。すなわち、最上段電子部品920maxにおける素体部21の中心21cを通り素体部21の素体下面21dおよび素体端面21a、21bに垂直な断面において、素体下面21dに平行であって素体下面21dから素体部21全体の4分の1の高さを通る第2基準線SL2に沿う表面電極層928cの厚みT2maxと、一段目電子部品920aにおける第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4と、の関係が、下記の数式(6)を満足する。
【0102】
T2max < T4 数式(6)
【0103】
このような電子部品構造体910は、低重心であるため、リフロー実装時における転倒不良の発生を防止することができる。また、電子部品構造体910は、電子部品構造体810との共通点については、電子部品構造体810と同様の効果を奏する。
【0104】
実施例
以下、さらに実施例を挙げて、本開示に係る電子部品および電子部品構造体について説明を行うが、本開示の電子部品および電子部品構造体は、これらの実施例のみには限定されない。
【0105】
<評価1>
以下の試料01~試料10を作製し、後述する試験を実施した。
(試料01)
試料01として、第1比較例に係る電子部品120(
図3参照)の一例と、電子部品120を2段に積み重ねて接合した第2比較例(
図8参照)に係る電子部品構造体710の一例とを、各10サンプルずつ作製した。具体的には、電子部品120として、4.5×3.2×2.2mm(狙い値)のチップコンデンサを作製した。端子電極部126は、素体部21の端面21a、21bにCuの焼付電極を形成して下地電極層26aとし、下地電極層26a上にNi層を湿式めっきにより形成して中間電極層26bとした。さらに、中間電極層26cの上に、Sn層を湿式めっき(バレル方式)により形成することにより、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2および第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4が、いずれも1.6μmである試料01に係る電子部品120を作製した。さらに、試料01に係る電子部品120を2つ、Sn-Sb系の半田で
図8に示すように2段積みして接合し、試料01に係る電子部品構造体710を作製した。
【0106】
(試料02)
試料02として、表面電極層126cの厚みのみが試料01とは異なる電子部品120の一例および電子部品構造体710の一例とを、各10サンプルずつ作製した。試料02では、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4を、いずれも4.0μmとした。表面電極層126cの厚みは、バレルめっきの処理時間により調整した。
【0107】
(試料03)
試料03として、第1実施形態に係る電子部品20(
図1参照)の一例と、電子部品20を2段に積み重ねて接合した第3実施形態(
図10参照)に係る電子部品構造体910の一例とを、各10サンプルずつ作製した。具体的には、電子部品20として、4.5×3.2×2.2mm(狙い値)のチップコンデンサを作製した。端子電極部26は、素体部21の端面21a、21bにCuの焼付電極を形成して下地電極層26aとし、下地電極層26a上にNi層を湿式めっきにより形成して中間電極層26bとした。さらに、中間電極層26bの上に、均一な厚みT2のSn層を湿式めっき(バレル方式)により形成したのち、端子電極部26の下側部分にSnの電気めっきを施して部分的に表面電極層であるSn層の厚みを増加させた。これにより、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2が3.1μmで、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4である試料03に係る電子部品20を作製した。さらに、試料03に係る電子部品20を2つ、Sn-Sb系の半田で
図10における一段目電子部品920aおよび二段目電子部品920bのように2段積みして接合し、試料03に係る電子部品構造体910を作製した。
【0108】
(試料04~試料08)
試料04~試料08として、表面電極層26cの厚みのみが試料03とは異なる電子部品20の一例および電子部品構造体910の一例とを、試料ごとに各10サンプルずつ作製した。試料04~試料08では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2をそれぞれ1.6μm、0.5μm、1.6μm、1.6μm、0.5μmとし、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4をそれぞれ4.0μm、4.0μm、12.8μm、24.0μm、7.5μmとした。第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2は、バレルめっきの処理時間により調整し、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4は、電気めっきの処理時間により調整した。
【0109】
(試料09~試料10)
試料09~試料10として、表面電極層26cの厚みのみが試料03とは異なる電子部品および電子部品構造体とを、試料ごとに各10サンプルずつ作製した。試料09~試料10は、第1実施形態に係る電子部品20(
図1参照)および第3実施形態(
図10参照)に係る電子部品構造体910に対して断面形状は類似しているが、電子部品におけるT4/T2の値が、数式(1)の上限値を超える。すなわち、試料09~試料10では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2をそれぞれ0.2μm、1.6μmとし、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4をそれぞれ4.0μm、40.0μmとした。第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2は、バレルめっきの処理時間により調整し、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4は、電気めっきの処理時間により調整した。
【0110】
(各試料の試験方法)
準備した各水準のサンプルのうち、一段積みである電子部品120、20については、実装外観試験と、ウィスカ試験と、製品寸法試験の3試験を実施した。実装外観試験では、各サンプルを実装基板に対してリフロー方式により表面実装し、半田フィレットおよび端子電極および電子部品の素体の外観に形成されるクラックの有無を確認した。クラック率0%を良、クラック率10%以下を可、クラック率が10%を超えるものを不可とした。ウィスカ試験では、高温高湿環境(85℃、82RH%)にサンプルを投入して2000h放置したのち、倍率2000倍のマイクロスコープで表面電極層を観察し、ウィスカの発生の有無を確認し、ウィスカ長さを測長した。ウィスカの発生点を中心とした級球の半径をウィスカの長さとし、ウィスカ長さが20μm以下の水準を可とした。製品寸法試験では、電子部品の寸法の狙い値に対して、平均値でプラスマイナス1.0%以内の水準を可とした。また、二段積みである電子部品構造体710、910については、各サンプルを実装基板に対してリフロー方式により表面実装したのち通電試験を行い、ショート不良の発生率を確認した。ショート率0%を良、ショート率10%以下を可、ショート率が10%を超えるものを不可とした。結果を表1に示す。
【0111】
【0112】
(評価1の総合評価)
表1の試料01の結果から、厚みT2と厚みT4が同じである場合、表面電極層126cの厚みT4が薄すぎることにより、リフロー接合時の半田が表面電極層126cに対して適切に濡れ上がらず、実装不良が発生することが確認された。また、試料02から、表面電極層126cの厚みT2と厚みT4が同じである場合、表面電極層126cの厚みを均一に厚くしても、リフロー接合時の半田が上方に濡れ上がりすぎて実装された試料に過度な引張応力が作用し(
図3参照)、外観クラック率が高いことが確認された。また、二段積みの電子部品構造体710に関する試料02では、リフロー接合時の半田が上方に濡れ上がりすぎて(
図8参考)、ショート率が高くなることが確認された。
【0113】
表1の試料03と試料02と試験結果の比較から、T4/T2の値を1.0から1.3に変化させることにより、一段積みの電子部品20の外観クラック率および二段積みの電子部品構造体910のショート率に改善が見られた。T4/T2の値を適切な値とした試料03では、リフロー接合時の半田の過剰な濡れ上がりが防止され、
図2および
図7に示すように、端子電極部26下半分に適切な形状の半田フィレットが形成された。
【0114】
表1の試料04~試料08の試験結果から、Snを含む表面電極層26cを有する電子部品20および電子部品構造体910において、T4/T2の値を2.5~15.0の値とすることにより、すべての試験で良好な結果を得られた。試料04と試料03との比較から、T4/T2の値を1.3から2.5に変化させることにより、電子部品構造体910のショート率にさらなる改善が見られた。電子部品20およびお電子部品構造体910において、T4/T2の値を2.5~15.0の値とすることにより、特に好適な形状の半田フィレットが形成されることが確認できた。
【0115】
表1の試料09では、ウィスカ試験(高温高湿環境試験)において問題が見られた。厚みT2が薄すぎることによりT4/T2の値が所定値を超えると、ウィスカが発生する課題が生じることが確認された。表1の試料10では、製品寸法において問題が見られた。厚みT4が厚すぎることによりT4/T2の値が所定値を超えると、製品寸法を狙い値に収めることが難しくなる課題が生じることが確認された。
【0116】
<評価2>
以下の試料11~試料18を作製し、後述する試験を実施した。
(試料11)
試料11として、試料01と同様に、第1比較例に係る電子部品120(
図3参照)の一例と、電子部品120を2段に積み重ねて接合した第2比較例(
図8参照)に係る電子部品構造体710の一例とを、各10サンプルずつ作製した。ただし、試料11は、表面電極層126cの材質をAuとした点と、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2および第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4が、いずれも0.13μmである点が、試料1とは異なる。試料11の製造方法は、湿式めっきの材質を変更したことを除き、試料01の製造方法と同様とした。
【0117】
(試料12)
試料12として、表面電極層126cの厚みのみが試料11とは異なる電子部品120の一例および電子部品構造体710の一例とを、各10サンプルずつ作製した。試料12では、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4を、いずれも0.20μmとした。
【0118】
(試料13)
試料13として、試料03と同様に、第1実施形態に係る電子部品20(
図1参照)の一例と、電子部品20を2段に積み重ねて接合した第3実施形態(
図10参照)に係る電子部品構造体910の一例とを、各10サンプルずつ作製した。ただし、試料13は、表面電極層26cの材質をAuとした点と、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2が0.15μmで、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4が0.20μmである点が、試料11とは異なる。試料13の製造方法は、湿式めっきの材質を変更したことを除き、試料03の製造方法と同様とした。
【0119】
(試料14~試料15)
試料14~試料15として、表面電極層26cの厚みのみが試料13とは異なる電子部品20の一例および電子部品構造体910の一例とを、試料ごとに各10サンプルずつ作製した。試料14~試料15では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2をそれぞれ0.08μm、0.03μmとし、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4をそれぞれ0.20μm、0.20μmとした。第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2および第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4は、めっきの処理時間により調整した。
【0120】
(試料16~試料18)
試料16~試料18として、表面電極層26cの厚みのみが試料13とは異なる電子部品および電子部品構造体とを、試料ごとに各10サンプルずつ作製した。試料16~試料18は、電子部品におけるT4/T2の値が、数式(1)の範囲内であるが、数式(3)の上限値を超える。すなわち、試料16~試料18では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2をそれぞれ0.03μm、0.01μm、0.13μmとし、第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4をそれぞれ0.45μm、0.20μm、1.95μmとした。第2基準線SL2に沿う表面電極層26cの厚みT2および第4基準線SL4に沿う表面電極層26cの厚みT4は、めっきの処理時間により調整した。
【0121】
(試験方法)
準備した各水準のサンプルのうち、一段積みである電子部品120、20については、実装外観試験と、ガス腐食試験と、コスト評価を実施した。実装外観試験は評価1と同様である。ガス腐食試験では、硫化水素(H2S)ガス雰囲気下(H2S:3ppm、80%RH)にサンプルを投入した後48h放置したのち、端子電極の下地電極層26aに腐食が進行していないことを確認した。試験では、下地電極層26aへの腐食が全てのサンプルで観察されなかった水準を可とした。コスト評価では、Auは非常に高価であるため、Auめっきの厚みが1μmを超える部分があるものをとなるものを不可とした。また、二段積みである電子部品構造体710、910については、評価1と同様にショート不良の発生率を確認した。結果を表2に示す。
【0122】
【0123】
(評価2の総合評価)
表2の試料11、試料12の結果から、厚みT2と厚みT4が同じである場合、表面電極層126cの材質がAuである場合も、表面電極層126cの材質がSnである場合と同様に、実装外観試験や実装後のショート不良率について課題があり、適切な形状の半田フィレットが形成されない傾向にあることが確認できた。
【0124】
表1の試料13と試料12の試験結果の比較から、表面電極層26cの材質がAuである場合も、T4/T2の値を1.0から1.3に変化させることにより、一段積みの電子部品20の外観クラック率および二段積みの電子部品構造体910のショート率に改善が見られた。T4/T2の値を適切な値とした試料13では、リフロー接合時の半田の過剰な濡れ上がりが防止され、
図2および
図7に示すように、端子電極部26下半分に適切な形状の半田フィレットが形成された。
【0125】
表1の試料14~試料15の試験結果から、Auを含む表面電極層26cを有する電子部品20および電子部品構造体910において、T4/T2の値を2.5~8.0の値とすることにより、すべての試験で良好な結果を得られた。試料14と試料13との比較から、T4/T2の値を1.3から2.5に変化させることにより、電子部品構造体910のショート率にさらなる改善が見られた。Auを含む表面電極層26cを有する電子部品20および電子部品構造体910において、T4/T2の値を2.5~8.0の値とすることにより、特に好適な形状の半田フィレットが形成されることが確認できた。
【0126】
表1の試料16~試料18の試験結果から、Auを含む表面電極層26cを有する電子部品20および電子部品構造体910において、T4/T2の値が8.0の値となると、T2およびT4の条件によっては、課題が生じることが確認された。すなわち、試料17では、厚みT2が薄すぎてガス腐食試験で端子電極の腐食が観察された。また、試料18では、厚みT4が厚すぎてコスト面の課題があった。
【0127】
<評価3>
以下の試料19~試料42を作製し、後述する試験を実施した。
(試料19~試料42)
試料19~試料42として、試料01~試料10の電子部品構造体と同様に、一段目電子部品920aと二段目電子部品920bを2段に積み重ねて接合した第3実施形態(
図10参照)に係る電子部品構造体910の一例を、各20サンプルずつ作製した。電子部品構造体910の作製方法は、評価1で作製した試料01~試料10と同様である。ただし、試料19~試料42では、一段目電子部品920aと二段目電子部品920bとして、T2およびT4が同じものの組み合わせだけでなく、様々なものを組み合わせて作製した。
【0128】
後述する表3に示すように、評価3の試料19~試料42では、様々な一段目電子部品920aと二段目電子部品920bの組み合わせにおいて、固着強度および実装時のショート率について課題が生じるか否かを確認した。すなわち、一段目電子部品920aとしては、厚みT2が3.1μmで厚みT4が4.0μmのものと(試料19~試料22)、厚みT2が1.6μmで厚みT4が4.0μmのものと(試料23~試料27)、厚みT2が0.5μmで厚みT4が4.0μmのものと(試料28~試料30)、厚みT2が1.6μmで厚みT4が12.8μmのものと(試料31~試料33)、厚みT2が1.6μmで厚みT4が24.0μmのものと(試料34~試料38)、厚みT2が0.5μmで厚みT4が7.5μmのものと(試料39~試料42)を用いた。また、二段目電子部品920bとしては、二段目電子部品920bの第4基準線SL4に沿う表面電極層926cの厚みT42が、0.5μmのものと、1.5μmのものと、4.0μmのものと、8.0μmのものと、16.0μmのものとを用いた。
【0129】
(試験方法)
準備した各水準のサンプルをリフロー方式で実装基板に実装し、段積み固着強度試験と、ショート不良発生率とを評価した。段済み固着強度試験は、実装した電子部品構造体910の二段目電子部品920b(
図7参照)に対して横方向からの力を加え続け、一段目電子部品920aと二段目電子部品920bとの間の固着が、実装基板と一段目電子部品920aとの固着より先に解除されるものの割合を、水準ごとに評価した。一段目電子部品920aと二段目電子部品920bとの間の固着が先に解除されるものの割合が0%であるものを「◎」、0%超過5%以下のものを「〇」、5%超過20%以下のものを「△」、20%超過のものを「×」とした。ショート率については、評価1および評価2と同様に計測し、ショート率10%以下を「〇」、ショート率が10%を超えるものを「×」とした。結果を表3に示す。
【0130】
【0131】
(評価3の総合評価)
表3の試料19~試料42の結果から、いずれの水準のサンプルについても、ショート率は基準値未満であり、適切な形状のフィレットを形成して実装されていること確認できた。一方、段積み固着強度試験については、T42/T2の値が1.3未満のもの(試料23、試料24、試料34、試料35、試料39)については、一段目電子部品920aと二段目電子部品920bとの間の固着が、実装基板と一段目電子部品920aとの固着より先に解除されるものの割合が多めであった。T42/T2の値が1.3未満のものについては、一段目電子部品920aと二段目電子部品920bとの間の固着強度が不足傾向であるが、T42/T2の値を1.3以上とすることにより、十分な固着強度が確保されると考えられる。
【0132】
<評価4>
評価4では、第2比較例に係る電子部品構造体710および第3実施形態に係る電子部品構造体910の製造プロセスで生じる得る課題について評価を行った。すなわち、評価4では、評価1において電子部品構造体710および電子部品構造体910を作製した際と同様にして、二段積みの電子部品構造体910を作製し、一段目電子部品720a、920aと二段目電子部品720b、920bとを固着させるプロセスにおいて生じる得る課題について評価した。
【0133】
(試料43)
試料43では、評価1における試料02として作製した電子部品構造体710と同様の水準の電子部品構造体710を、100サンプル作製した。すなわち、試料43では、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2nと、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4nが、いずれも4.0μmの2つの電子部品120を固着して、電子部品構造体710を作製した。
【0134】
(試料44~試料49)
試料44~試料49では、評価1における試料03~試料07として作製した電子部品構造体910と同様の水準の電子部品構造体910を、各100サンプル作製した。試料44~試料49では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26c、926cの厚みT2n(T2およびT22)をそれぞれ3.1μm、1.6μm、0.5μm、1.6μm、1.6μm、0.5μmとし、第4基準線SL4に沿う表面電極層26c、926cの厚みT4n(T4およびT42)をそれぞれ4.0μm、4.0μm、4.0μm、12.8μm、24.0μm、7.5μmとした。
【0135】
(各試料の評価方法)
各試料の製造プロセスのうち、一段目電子部品720a、920aと二段目電子部品720b、920bとを固着させるプロセスにおいて、段積み不良品が発生した割合である段積み不良率を算出した。ここで、一段目電子部品720a、920aと二段目電子部品720b、920bとを固着させるプロセスは、(1)一段目電子部品720a、920aを配置し、(2)二段目電子部品720b、920bをピックアップ・搬送して一段目電子部品720a、920aの上に載置して積み重ね、(3)積み重ねた一段目電子部品720a、920aと二段目電子部品720b、920bとを熱処理炉に搬送して熱処理することにより実施した。
【0136】
評価4では、作製された電子部品構造体710、910において、外観検査により、二段目電子部品720b、920bが、一段目電子部品720a、920aの上に適切な姿勢で固着されているものを、段済み良品とした。これに対して、評価4では、外観検査により、二段目電子部品720b、920bが一段目電子部品720a、920aに対して傾いた姿勢で固着していたり、二段目電子部品720b、920bがプロセス中に一段目電子部品720a、920aから落下していたりしたものを、段済み不良品とした。評価4では、各試料(100サンプル)について、作製されたサンプル中における段済み不良品数の割合を、段済み不良率として算出した。結果を表4に示す。
【0137】
【0138】
(評価4の総合評価)
表4に示すように、T4n/T2nが1.0である試料43では、30%の段積み不良品が発生した。これに対して、T4n/T2nが1.3である試料44では、段済み不良率が5%に改善し、T4n/T2nが2.5~15.0である試料45~試料49では、段済み不良率が0%まで改善した。試料44~試料45では、試料43に比べて電子部品構造体910に含まれる電子部品920a、920bの重心が低いため、積み重ねた状態における安定性が高く、段済み不良品が少なかったものと考えられる。
【0139】
<評価5>
評価5では、三段積みおよび五段積みの電子部品構造体を作製したのち、これを実装基板にリフロー方式で実装し、実装基板への実装中に電子部品構造体の倒れが発生するか否かを評価した。
【0140】
(試料50)
試料50では、評価1における試料02として作製した電子部品120を三段済みおよび五段積みした電子部品構造体を、各100サンプル作製した。試料50では、第2基準線SL2に沿う表面電極層126cの厚みT2nと、第4基準線SL4に沿う表面電極層126cの厚みT4nが、いずれも4.0μmの3つまたは5つ電子部品を固着して、電子部品構造体を作製した。
【0141】
(試料51~試料56)
試料51~試料56では、評価1における試料03~試料07として作製した電子部品構造体910と、段積みする電子部品の数のみが異なり、その他は同様である電子部品構造体910を作製した。各試料について、三段済みおよび五段積みした電子部品構造体910を、各100サンプル作製した。試料51~試料56では、第2基準線SL2に沿う表面電極層26c、926c、927c、928cの厚みT2n(T2を含む)をそれぞれ3.1μm、1.6μm、0.5μm、1.6μm、1.6μm、0.5μmとし、第4基準線SL4に沿う表面電極層26c、926c、927c、928cの厚みT4n(T4を含む)をそれぞれ4.0μm、4.0μm、4.0μm、12.8μm、24.0μm、7.5μmとした。一つの電子部品構造体910は、同じ厚みT2、T4を有する電子部品で構成した。
【0142】
(各試料の評価方法)
各試料を構成するサンプルである電子部品構造体を作製したのち、これを実装基板にリフロー方式で実装し、実装基板への実装中に電子部品構造体の倒れが発生したものの数を、外観検査により計測した。実装倒れ率は、実装基板に配置した全サンプル中において、電子部品構造体の倒れが発生したサンプル数の割合を、各水準の三段積み/五段積み別に算出した。結果を表5に示す。
【0143】
【0144】
(評価5の総合評価)
表5に示すように、T4n/T2nが1.0である試料50では、三段積みで20%、五段積みで30%の実装倒れが発生した。これに対して、T4n/T2nが1.3である試料51では、三段積みで5%、五段積みで10%まで実装倒れ率が減少し、T4n/T2nが2.5~15.0である試料52~試料56では、三段積みおよび五段積みの双方で、実装倒れ率が0%まで改善した。試料51~試料56では、試料50に比べて電子部品構造体910の重心が低いため、実装倒れが少なかったものと考えられる。
【0145】
<評価6>
評価6では、評価5と同様に、三段積みの電子部品構造体910を作製したのち、これを実装基板にリフロー方式で実装し、実装基板への実装中に電子部品構造体910の倒れが発生するか否かを評価した。ただし、評価6では、評価5とは異なり、一つの電子部品構造体910に含まれる3つの電子部品を、互いに異なる厚みT2、T4を有する電子部品で構成した。
【0146】
(試料57~試料59)
試料57~試料59では、一つの電子部品構造体910に含まれる3つの電子部品を、互いに異なる厚みT2、T4を有する電子部品で構成したことを除き、評価5における試料51~試料56の三段積みの電子部品と同様にして作製した。
【0147】
(各試料の評価方法)
評価6では、評価5と同様にして、各試料の実装倒れ率を算出した。結果を表6に示す。
【0148】
【0149】
(評価6の総合評価)
T4n/T2n(T4/T2、T42/T22、T4max/T2maxを含む)が2.5~15.0である電子部品を組み合わせて電子部品構造体910を構成した試料52~試料56では、いずれも実装倒れ率が0%であった。これらの試料に係る電子部品構造体910は、重心が低いため実装倒れが生じなかったものと考えられる。また、これらの試料に係る電子部品構造体910では、T4/T2maxの値が1より大きく、数式(6)の条件を満足していた。
【0150】
以上、実施形態や実施例等を挙げて本開示に係る電子部品および電子部品構造体の特徴を説明してきたが、電子部品および電子部品構造体は、これらの実施形態や実施例のみに限定されるものではなく、他の実施形態や変形例を数多く含むことは言うまでもない。たとえば、電子部品構造体としては、電子部品を一列に積み重ねたものには限定されず、電子部品を複数列に積み重ねたもの(一段目電子部品を複数有するもの)も、本開示に係る電子部品構造体の一種である。
【0151】
また、電子部品20、220、320.420、520および電子部品構造体610、810、910に含まれる電子部品、620a、620b、820a、820b、820max、920a、920b、920n、920maxとしては、コンデンサのみには限定されず、インダクタやバリスタなどであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0152】
20、120、220、320、420、520…電子部品
620a、720a、820a、920a…一段目電子部品
620b、720b、820b、920b…二段目電子部品
920n…n段目電子部品
820max、920max…最上段電子部品
610、710、810、910…電子部品構造体
21…素体部
21a…端面
21b…端面
21c…中心
21d…素体下面
21e…素体上面
22…内部電極層
23…誘電体層
26、126、226、326、426、526、626、926、927、928…端子電極部
26a、326a、426a、526a…下地電極層
26b、326b、426b、526b…中間電極層
26c、126c、226c、326c、426c、526c、626c、926c、927c、928c…表面電極層
T4、T2…厚み
SL1…第1基準線
SL2…第2基準線
SL3…第3基準線
SL4…第4基準線
SL5…第5基準線
82…実装基板
83、183、683、783…半田フィレット