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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013499
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】自動麻雀卓
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/20 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A63F9/20 517D
A63F9/20 517F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115621
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】592026554
【氏名又は名称】大洋化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】玉置 優也
(57)【要約】
【課題】牌山と配牌とを同時に天板上に上昇させ終えるまでに時間がかかり、部品点数が増え、誤動作や機械的作動不良が生じやすい点を改善する。
【解決手段】本発明の自動麻雀卓1は、牌Pを載置台4上に整列させる牌整列部6と、整列された牌を載置台6から天板1A上に上昇させる昇降台7へ移動させる移載機構8を備え、前記移動機構8は、牌山のうち上段の牌Pの短辺側面と当接させて昇降台7へ移動させる案内壁10と、配牌の牌における図柄と反対側の面を覆って配列姿勢が崩れないように覆うガイド面11と、載置台4における配牌が整列される位置の14牌目の位置に設けた調整壁12と、を備える。
【効果】牌を上下2段の牌山と、(1段の)配牌とを上方から見た状態である平面視で伏せた状態の2列に整列させて同時に天板上に上昇させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯面である天板上から落とされた牌を撹拌する洗牌部と、この洗牌部から牌山と配牌とを載置する載置台へ送る牌搬送部と、この牌搬送部により送られた牌を載置台上に整列させる牌整列部と、整列された牌を前記載置台から天板上に上昇させる昇降台へ移動させる移載機構と、前記昇降台を天板の各遊戯者が臨む位置にそれぞれ1個所設けられた開口に対して上昇又は下降させる昇降機構とを備えた自動麻雀卓において、前記移動機構は、牌山のうち上段の牌の短辺側面と当接させて昇降台へ移動させる案内壁と、配牌の牌における図柄と反対側の面を覆って配列姿勢が崩れないように覆うガイド面と、前記載置台における配牌が整列される位置の14牌目の位置に設けた調整壁と、を備えた自動麻雀卓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牌山と配牌とを同時に天板上に上昇させ終えるまでの時間の短縮化が可能であり、また、誤動作や機械的作動不良が生じる可能性を低減することができる自動麻雀卓に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2004-242812号(特許文献1)には、麻雀卓の遊戯面となる遊戯者が臨む四角状の天板下で、前遊戯で使用した全牌を落とし込み、洗牌し、次の遊戯時に、天板上の各辺部に、全136牌のうち遊戯者の遊戯開始時の手牌13牌でなる「配牌」と、各遊戯者4人分の13牌の総計52牌を除く、残り84牌を適当に上下2段積した「牌山」と、を配牌位置と牌山位置とに別々に上昇させる自動麻雀卓が示されている。
【0003】
特許文献1には、天板下、麻雀卓内部に、洗牌後の牌を3段積みにする段積み手段と、3段積みされた牌列を2段積みと1段積みとに積み替える積み替え手段と、積み替えられた牌列を天板上に上昇させる牌上昇手段とを備え、牌上昇手段により牌列が天板上に上昇すると同時に、段積み手段が降下して牌の3段積み動作を開始する状態となり、牌の3段積みが完了すると、牌上昇手段が下降するのを待機する構成とされている。
【0004】
ところが、上記の特許文献1のような自動麻雀卓は、天板において、牌山と配牌とを天板下から天板上に上昇させるためのそれぞれの開口を必要としていた。この開口は、天板下から牌山と配牌を整列させて載置しておく載置板が、天板上面と同一高さに上昇することで塞がれる、つまり遊戯開始時には塞がれることとなるが、遊戯終了後、次の牌を天板上に上昇させるときには、前記載置板が天板下に下降して開口が現れることとなる。
【0005】
天板上において開口が多数存在すると、例えば点棒や、自分の身の回りの物が挿入してしまい、自動麻雀卓の機械トラブルを発生させる頻度も上がる。特に、開口が現れるのは遊戯が始まる直前であることから、天板上においてやり取りした点棒が未だ天板上の遊戯者に近い位置に配置されていることがあり、天板においていたるところに開口が現れると天板上に置いた物が開口に挿入してしまうことが比較的多かった。
【0006】
こうした経緯から、天板上において各遊戯者が臨む位置で1個所(天板上では合計4箇所)から一度に牌山と配牌を天板上に上昇させる種類の自動麻雀卓が昨今の主流となっている。市場商品において、出願人の知り得る範囲では、この種の自動麻雀卓は、次の2種類存在することを関知している。
【0007】
(Aタイプ):3段積後に牌山及び起立させた配牌を同時に上昇させる
Aタイプは、天板下で洗牌後の牌を並べる載置台に3段で積み上げて、昇降台が下1段を残した高さに下降(つまり上中2段の高さ分下降)したときに、プッシャーにより上中2段を載置台から昇降台へ押し出し、この押し出し後、さらに下1段分だけ昇降台が下降し、このとき、載置台の一部を昇降台側へ起倒させて下1段(配牌)については遊戯者側に牌の図柄が向くように立てたうえで、昇降台を上昇させる。
【0008】
(Bタイプ):3段積後に牌山及び伏せた配牌を同時に上昇させる
Bタイプは、天板下で洗牌後の牌を並べる載置台に3段で積み上げて、昇降台が下1段の裏面位置まで下降したときに、プッシャーにより上中下3段を載置台から昇降台へ押し出し、昇降台を上中2段分(牌山)だけ天板上に上昇させ、この上中2段の牌山が遊戯者により開口から天板上の所定位置へ移動させたことをセンサにより検知した際に、さらに下1段分だけ昇降台を上昇させ、配牌を遊戯者により自分の遊戯位置へ移動させる。
【0009】
しかしながら、Aタイプ、Bタイプにも各々、以下の不具合、改良の余地があった。
(Aタイプ)
・配牌は起倒した状態で天板上に上昇させるので、載置台上で倒れないように、該載置台をゆっくりと上昇させる必要があり、時間がかかる。
・配牌を起倒した状態にする時間がかかる。
【0010】
(Bタイプ)
・牌山を移動させたことを検知するためのセンサが別途必要になる。
・上記センサの誤動作又はエラーが生じると配牌が天板上に上昇せず、遊戯が開始できない可能性がある。
・載置台を2段階に分けて上昇させるための制御が必要になる。
・上記配牌の移動を検出するセンサが非常にわかりにくかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004-242812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする問題は、牌山と配牌とを同時に天板上に上昇させ終えるまでに時間がかかり、誤動作や機械的作動不良が生じやすい点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、遊戯面である天板上から落とされた牌を撹拌する洗牌部と、この洗牌部から牌山と配牌とを載置する載置台へ送る牌搬送部と、この牌搬送部により送られた牌を載置台上に整列させる牌整列部と、整列された牌を前記載置台から天板上に上昇させる昇降台へ移動させる移載機構と、前記昇降台を天板の各遊戯者が臨む位置にそれぞれ1個所設けられた開口に対して上昇又は下降させる昇降機構とを備えた自動麻雀卓において、前記移動機構は、牌山のうち上段の牌の短辺側面と当接させて昇降台へ移動させる案内壁と、配牌の牌における図柄と反対側の面を覆って配列姿勢が崩れないように覆うガイド面と、前記載置台における配牌が整列される位置の14牌目の位置に設けた調整壁と、を備えることとした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、洗牌後の牌を上下2段の牌山と、(1段の)配牌とを上方から見た状態である平面視で伏せた(平面視で牌の図柄側(以下「図柄面」という)と反対側の面(以下「背面」という)を上面に向けた状態)状態の2列に整列させて同時に天板上に上昇させることができるという利点がある。また、本発明は、前記に起因して遊戯が迅速に開始できると共に牌山と配牌の天板上への上昇が、少ない部品点数でかつ誤動作や機械的作動不良を抑制して安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の自動麻雀卓の、(a)は外観斜視図、(b)は遊戯開始直前の天板の状況を示す図、である。
図2】本発明の自動麻雀卓の、(a)は天板下の筐体内構造を示す平面図、(b)は特徴構成だけを示す概略斜視図、である。
図3】本発明の自動麻雀卓の、(a)は牌整列部周面を示す概略斜視図、(b)は牌整列部と載置台周辺を示す天板中央方向から見た概略斜視図、(c)は牌整列部と載置台周辺を示す天板縁部方向から見た概略斜視図、である。
図4】本発明の自動麻雀卓の、(a)は移動機構を示す天板中央方向から見た概略斜視図、(b)は移動機構を示す天板中縁部向から見た概略斜視図、(c)は移動機構の駆動構成を示す概略斜視図、である。
図5】本発明の自動麻雀卓の、(a)昇降台を示す天板中央方向から見た概略斜視図、(b)は昇降台を示す天板中縁部向から見た概略斜視図、(c)昇降台の駆動構成を示す概略斜視図、である。
図6】(a)~(h)は本発明の自動麻雀卓における牌の配列を説明するための図である。
図7】(a)~(h)は本発明の自動麻雀卓における牌の配列を説明するための図である。
図8】(a)~(h)は本発明の自動麻雀卓における牌の配列を説明するための図である。
図9】(a)~(h)は本発明の自動麻雀卓における牌の配列を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、牌山と配牌とを同時に天板上に上昇させ終えるまでに時間がかかり、誤動作やと機械的作動不良が生じやすいという不具合は、移動機構に、牌山のうち上段の牌の短辺側面と当接させて昇降台へ移動させる案内壁と、配牌の牌における図柄と反対側の面を覆って配列姿勢が崩れないように覆うガイド面と、載置台における配牌が整列される位置の14牌目の位置に設けた調整壁と、を備えることで改善することができた。
【0017】
すなわち、従来例、Aタイプ、Bタイプで生じていた問題は、洗牌後の牌を上、中、下の3段積としていたことに起因していた。当然に、3段積は、2段積より高くなるので不安定となり、場合によっては天板下で3段積のうち上段が崩落する可能性は高い。
【0018】
また、そのように3段積とした後に、Aタイプは上中の2段を先に昇降台に移動させ、その後、下1段を起倒させて昇降台に移動させ、その後、昇降台を上昇させるが、この上昇時に起倒させた配牌が倒れてしまう可能性がある。
【0019】
さらに、Aタイプは、天板上に昇降した昇降台から起倒状態の配牌を自分の遊戯位置までその状態を保ったまま移動させる必要があり、このとき、設置面積が小さい起倒させた配牌はバランスが悪いため、倒れて相手に牌を見られてしまう可能性がある。
【0020】
一方、Bタイプは天板下で3段積とした後に、上中の2段を先に昇降台を天板上に上昇させ、Aタイプとは異なりこの牌山を天板中央寄りの位置に移動させ、この移動を検知した際に配牌分(下1段)を天板上に上昇させる。
【0021】
ところが、この牌山を移動するまでの間は、残り下1段分の配牌分だけ昇降台が天板面から降下した位置にあり、つまり昇降台が天板の開口を塞いでいないので、例えば牌山の上中2段のうちの牌が移動時に誤って開口内に入ってしまったり、例えば点棒や、その他の物入ってしまったりして、機械エラーやトラブルとなってしまう可能性がある。
【0022】
また、Bタイプは、上記のように牌山を天板上の中央寄りの位置に移動させたことを検知しない限り、配牌が天板上に上昇しないので、よって、このセンサの検知位置を把握する手間がかかると共に、センサの誤動作により牌山が移動していないのに配牌が上昇してしまうといったエラーが発生する可能性もある。
【0023】
本発明は、Aタイプ、Bタイプで生じ得るトラブルを未然に防ぐ構成とした。すなわち本発明は、平面視で伏せた配牌1(1段)と、上下2段の配牌との2列を昇降台に乗せて天板上に移動させる。牌山と配牌は天板上に移動した後、それぞれ場合によっては牌山を天板の中央寄りの位置に移動させてもよいが、基本的には移動させなくてもよい位置に上昇する。一方、配牌は、遊戯者寄りの位置に移動させなれければならないが、このとき、伏せた状態であるから、この移動時に牌の図柄面が露呈することがない。
【実施例0024】
以下、図1図4を参照して本発明の実施例について説明する。1は本発明の自動麻雀卓であり、1~9の数牌(筒子、索子、萬子)27種と、字牌(東、南、西、北、白、發、中)7種の各々4牌ずつ有した総計136枚を1組として、例えば2組を用い、1組は現在の遊戯を行うべく天板1Aの上面に配置され、もう1組は先の遊戯後に筐体2内に収容され、該筐体2内で洗牌し、牌山と配牌とに並べて次の遊戯に備えるものである。
【0025】
自動麻雀卓1は、図1及び図2に示すように、遊戯面である天板1A上から筐体2内に落とされた牌Pを撹拌する洗牌部3と、洗牌部3から牌山と配牌とを載置する載置台4へ送る牌搬送部5と、この牌搬送部5により送られた牌Pを載置台4上に整列させる牌整列部6と、整列された牌Pを載置台4から天板1A上に上昇させる昇降台7へ移動させる移載機構8と、昇降台7を天板1Aの各遊戯者が臨む位置にそれぞれ1個所設けられた開口1aに対して上昇又は下降させる昇降機構9とを備えている。なお、図2及び図5では、昇降台7の昇降面について、ハッチングを付している。
【0026】
また、自動麻雀卓1は、移動機構8は、牌山のうち上段の牌の短辺側面と当接させて昇降台へ移動させる案内壁10と、配牌の牌Pにおける背面を覆って配列姿勢が崩れないように覆うガイド面11と、載置台4における配牌が整列される位置の14牌目の位置に設けた調整壁12と、を備えている。
【0027】
上記構成の自動麻雀卓1の細部について説明する。図3に示すように、牌整列部6は、牌搬送部5と牌Pの搬送経路で連続して設けられており、牌Pの搬送方向の前方で、牌Pの搬送経路の終端部に配牌整列部6Aが設けられ、配牌整列部6Aの約1牌分、牌Pの搬送方向の後方には牌山整列部6Bが設けられている。
【0028】
配牌整列部6Aと牌山整列部6Bは、共通した床面6aを有している。この床面6aは牌搬送部5の搬送駆動、具体的にはコンベアのベルトが掛かってなく、牌Pは牌搬送部5のコンベア搬送の惰性で床面6aに移動し、床面6aの牌山整列部6B位置で停止する。配牌整列部6Aに牌Pを送るには、牌山整列部6Bで停止している牌Pの後続の牌Pにより押し出すことで行われる。
【0029】
また、床面6aは牌Pの厚み1段分だけ昇降する構成されている。そして、床面6aにおいて牌Pの搬送方向と直交する方向には、床面6aにある牌Pの長辺側部を押して載置台4へと牌Pを押し出す押出部6bが設けられている。また、床面6aの牌Pの搬送経路の終端には終端壁6cが設けられている。
【0030】
押出部6bは、配牌整列部6Aと牌山整列部6Bとで牌Pの押し出し面を共用している。また、押出部6bは、床面6aが下降した際に、常に同じ高さで、押し出し動作と押し出し動作の復帰を行う。一方、終端壁6cは、床面6aを牌Pが配牌整列部6Aよりオーバーランすることを防止している。
【0031】
押出部6bにはその押し出し面に、牌山整列部6B用のセンサ6dが、終端壁6cには牌Pとの当接面に、配牌整列部6A用のセンサ6eが、それぞれ設けられており、これらセンサ6d,6eは牌Pが近接することで、配牌整列部6A、牌山整列部6Bに牌Pが位置することを検知する。
【0032】
また、押出部6bの上端部で、牌山整列部6Bと配牌整列部6Aとの間には、上段に整列させようとする牌Pが配牌整列部6A側に侵入しないように停止させるストッパ6fが設けられている。
【0033】
牌整列部6の、牌搬送部5による牌Pの搬送方向と直交する方向には載置台4が設けられている。載置台4は、配牌整列部6Aの1列と、牌山整列部6Bの1列(ただし上下2段)が、押出部6bにより押し出され、押し出された牌Pが整列状態で載置される。
【0034】
この載置台4には移動機構8が稼働可能に設けられている。図4に示すように、移動機構8は、上記のとおり、案内壁10と、ガイド面11と、調整壁12とからなる。案内壁10は、載置台4において上下2段とされた牌山の上段の牌Pの短辺側面と当接する。
【0035】
ガイド面11は、前記案内壁10における天板1Aの中央方向と反対側に設けられている。このガイド面11は配牌整列部6Aにおいて伏せた状態の牌Pが、不意に列を乱さないように、また、背面が図柄面にひっくり返って露呈することのないように牌Pの移動を規制する覆い面11Aと、天板1Aの中央方向と反対側において前記覆い面11Aと連続して直交上に形成された押出面11Bと、からなる。
【0036】
また、ガイド面11において、配牌整列部6Aから押し出される牌Pの移動方向において、牌Pが13枚分だけ整列した位置、すなわち配牌が整列される位置の14牌目の位置には、調整壁12が設けられている。この調整壁12は、配牌整列部6Aに牌Pが13枚しか整列しないように規制する。
【0037】
移動機構8は、ガイド面11が、載置台4の下方位置から設けられた押出レバー8Aにより昇降台7の方向に移動する。押出レバー8Aはカム8Bによって動作し、移動機構8は前記カム8Bによる押出レバー8Aによる移動後に、前記移動時に伸長したバネ8Cが短縮復元することによって初期位置に復帰する構成とされている。
【0038】
すなわち、移動機構8は、配牌及び下1段はガイド面11(の押出面11B)によって載置台4から昇降台7へ移動し、上1段は案内壁10によって載置台4から昇降台7へ移動する。移動機構8は案内壁10とガイド面11、(さらに調整壁12)が、一体とされているので、特に牌山の上下段の位置ずれが生じることはない。
【0039】
昇降台7は、図5に示すように、載置台4から牌山と配牌が受け渡されるときに、牌Pの移動先となる面が載置台4の牌Pの載置面よりも少しく低くなるまで下降し、牌山と配牌が整列状態で載置台4から移動機構8により受け渡されると、天板1Aの開口1aへと上昇する。
【0040】
昇降台7は、牌山と配牌を載置する昇降面7aと、この昇降面7aの移動機構8側に設けた当接面7bと、を有している。この当接面7bは、昇降台7が遊戯中に上昇して天板1Aの開口1aを塞いでいる際、すなわち、天板1A下で次の遊戯のために牌Pを並べる際に、該当接面7bは、牌山整列部6Bにおいて載置台4の、移動機構8による牌Pの移動側に壁となって整列をガイドする。
【0041】
上記構成の本実施例における自動麻雀卓1は、次のように動作する。本発明は、136牌のうち、52牌(13×4)は配牌に、残りの84牌が牌山に分配される。牌山の84牌は、不図示の制御部により、例えば3山均等(1山:28牌=上段14牌、下段14牌)と入力して配列することもできるし、例えば4山に配列することもできる。
【0042】
本例では、配牌52牌を除いた84牌について、図1(b)に示すように、上段10牌、下段10牌の牌山を3山と、上段6牌、下段8牌の牌山を1山で配列する場合で、嶺上山となる上段6牌、下段8牌の牌山と、13牌の配牌を配列するE席(遊戯位置)の動作を説明する。
【0043】
図6に示すように、洗牌部3から牌搬送部5により牌Pが牌整列部6に搬送されてくると、5牌分までは、床面6aが下降して、牌山整列部6Bにおいて載置台4の下段用に牌を押出部6bにより押し出して整列する。
【0044】
すなわち、図6(a)に示すように、床面6aは上昇位置が初期状態とされ、牌整列部6に牌Pが搬送されてくると、図6(b)に示すように、牌整列部6は牌Pの搬送をしないので、自重により牌山整列部6Aにおいて牌Pが停止する。
【0045】
そして、図6(c)に示すように、牌Pの牌山整列部6Aに位置したことをセンサ6dが検知すると、制御部は、牌Pのカウントと共に、床面6aを1牌分の厚みだけ下降させ、図6(d)に示すように、押出部6bを駆動させ、牌Pを載置部4へと移動させる。このとき、昇降台7は上昇し、開口1aを昇降面7aで塞いでいる状態で、天板1A下においては昇降台7の当接面7bが載置台4において牌Pが洗牌部3側に移動することを規制している。
【0046】
牌Pを載置部4へと移動させた後、制御部は、図6(f)に示すように押出部6bを初期位置に復帰させ、図6(e)に示すように床面6aを上昇させて初期位置に復帰させる。なお、図6(f)と図6(e)は図示の関係で、手順に対して図順を逆にしている。この後、後続の牌Pについて図6(a)~(f)を繰り返して、図6(g)(h)に示すように5牌分を牌山の下段分として配列させる。
【0047】
6~9牌目については、図7に示すように動作する。図7(a)に示すように床面6aが上昇位置つまり初期位置で、6牌目を牌山整列部6Bで停止させた状態で、7牌目を待機し、7牌目が搬送されてくると、図7(b)に示すように、この7牌目により該6牌目が終端壁6cに当接するように押し出され、該6牌目は配牌整列部6Aに位置することとなる。
【0048】
6牌目が配牌整列部6Aに位置したことは終端壁6cに設けたセンサ6eで検知し、7牌目が牌山整列部6Bに位置したことはセンサ6dで検知する。制御部は、センサ6e、6dの検知に基づいて、牌Pのカウントと、床面6a及び押出部6bの作動制御を行う。
【0049】
6牌目が配牌整列部6Aに、7牌目が牌山整列部6Bに、それぞれ位置したときに、制御部は、図7(c)に示すように、床面6aを下降させ、その後に、図7(d)に示すように、押出部6bが、各牌Pを載置台4へ押し出して配列する。このとき、昇降台7は上昇し、開口1aを昇降面7aで塞いでいる状態で、天板1A下においては昇降台7の当接面7bが載置台4において牌Pが洗牌部3側に移動することを規制している。
【0050】
上記の後、制御部は、図7(f)に示すように押出部6bを初期位置に復帰させ、図7(e)に示すように床面6aを上昇させて初期位置に復帰させる。なお、図7(f)と図7(e)は図示の関係で、手順に対して図順を逆にしている。この後、後続の牌Pについて図7(a)~(f)を繰り返して、図7(g)(h)に示すように6~9牌目の牌Pを、牌山の下段分として2牌(下段の総数としては7牌)、配牌として2牌、それぞれ配列させる。
【0051】
10牌目以降は、図8に示すように動作する。図8(a)に示すように、床面6aが上昇位置つまり初期位置で、10牌目を牌山整列部6Bで停止させた状態で、11牌目を待機し、11牌目が搬送されてくると、図8(b)に示すように、この11牌目により該10牌目が終端壁6cに当接するように押し出され、該10牌目は配牌整列部6Aに位置することとなる。
【0052】
10牌目が配牌整列部6Aに位置したことは終端壁6cに設けたセンサ6eで検知し、11牌目が牌山整列部6Bに位置したことはセンサ6dで検知する。制御部は、センサ6e、6dの検知に基づいて、牌Pのカウントと、床面6a及び押出部6bの作動制御を行う。
【0053】
10牌目が配牌整列部6Aに、11牌目が牌山整列部6Bに、それぞれ位置したときに、制御部は、図8(c)に示すように、床面6aを下降させ、さらに、この状態で12牌目の搬送を待機する。
【0054】
12牌目が搬送されてくると、この12牌目は、図8(d)に示すように、下降した床面6a上で牌山整列部6Bに既に位置する11牌目の上に積層され、搬送方向へはストッパ6fにより配牌整列部6Aへの移動が規制される。なお、図示において、上段に位置する牌Pについては、見分けやすいように背面のハッチングを下段と異ならせている。
【0055】
図8(e)に示すように、牌山整列部6Bに上下段2牌、配牌整列部6Aに1牌、揃ったことをセンサ6e,6dで検知すると、制御部は、図8(f)に示すように、押出部6bが、各牌Pを載置台4へ押し出して配列する。このとき、昇降台7は上昇し、開口1aを昇降面7aで塞いでいる状態で、天板1A下においては昇降台7の当接面7bが載置台4において牌Pが洗牌部3側に移動することを規制している。
【0056】
上記の後、制御部は、図8(h)に示すように押出部6bを初期位置に復帰させ、図8(g)に示すように床面6aを上昇させて初期位置に復帰させる。なお、図8(h)と図8(g)は図示の関係で、手順に対して図順を逆にしている。
【0057】
この後、後続の牌Pについて図8(a)~(h)を繰り返して、13牌目、14牌目、15牌目は、上記10牌目、11牌目、12牌目と同様に、13牌目が配牌へ、14牌目と15牌目は上下段とされて牌山へ、と押出部6bにより押し出され、配列されるといったように3枚(16~18牌目,19~21牌目,22~24牌目,25~27牌目)を1セットとして押出部6bにより押し出され、配列される。
【0058】
こうして、図9(a)(b)に示すように、27牌目まで配列されると、牌山の下段には13牌、上段には6牌、配牌には8牌が、配列されたこととなる。この後、図9(c)(d)に示すように、制御部は、昇降台7の昇降面7aが、牌山の下段及び配牌の牌Pの図柄面の高さまで昇降機構9により下降させる。
【0059】
続いて、図9(e)(f)に示すように、制御部は、移動機構8を載置台4から昇降台7へと移動させるように動作させる。このとき、移動機構8の押出面11Bにより載置台4上の配牌の8牌を昇降台7に向けて、同じく案内壁10でもって牌山の上段6牌を昇降台7に向けて、移動させる。
【0060】
配牌の8牌は、自身の移動により天板1Aの中央方向に重なった牌山の下段8牌を移動させる。このとき、牌山の下段において配牌の8牌と重なっていない5牌は該配牌8牌により移動せず、停留し、押出面11Bが当接するのを待つこととなる。該停留した5牌が押出面11Bが当接すると、昇降台7へ向けて移動中の配牌8と一列状となり、配牌13牌となって昇降台7の昇降面7aへ移動する。
【0061】
図9(g)(h)に示すように、牌山と配牌が、載置台4から昇降台7へ移動すると、制御部は、牌山と配牌を天板1A上に登場させ、かつ天板1Aの開口1aを昇降面7aで塞ぐべく、牌山と配牌を載置した状態で昇降台7を昇降機構9により上昇させると共に、移動機構8を初期位置へ復帰させる。
【0062】
この結果、図1(b)に示すE席のとおり、天板1A上に、下段8牌、上段6牌の嶺上山と、伏せた状態の配牌の13牌が同時に登場することとなる。遊戯者は、配牌を自分の遊戯位置に移動させ、その移動先で起倒させる。
【0063】
なお、上記は、牌山が13牌以下の場合であったが、例えば牌山が14牌以上の場合(例えば15牌あるとした場合)は、移動機構8の調整壁12が、牌山側の牌調整部6側から数えて14,15牌目を載置台4から昇降台7へと押し出すので、牌山が15牌となったりすることはない。
【0064】
以上のとおり、本発明は、平面視で伏せた配牌1(1段)と、上下2段の牌山との2列を昇降台7に乗せて天板1A上に移動させるから、牌山と配牌を天板1A上に登場させるまでの時間が短縮でき、開口1aが空いている時間を極めて短くできるから、該開口1aから牌Pや点棒、その他異物が入ってしまいトラブルが生じる可能性を抑制できる。
【0065】
また、天板1A上に登場した特に配牌は、伏せた状態であるから遊戯者寄りの位置に移動させる際に、牌Pの図柄面が露呈することがない。さらに、本発明は、配牌は牌山の上段と同数の牌Pの数をカウントすればよく、一方、牌山の下段について13牌をカウントしておけば足りるので、制御が複雑とならず、迅速な牌Pの配列が可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 自動麻雀卓
1A 天板
1a 開口
4 載置台
6 牌整列部
6A 配牌整列部
6B 牌山整列部
6a 床面
6b 押出部
6c 終端部
6f ストッパ
7 昇降台
7a 昇降面
7b 当接面
8 移動機構
10 案内面
11 ガイド面
12 調整壁
P 牌
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9