IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特開2024-134994エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置
<>
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図1
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図2
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図3
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図4
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図5
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図6
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図7
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図8
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図9
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図10
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図11
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図12
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図13
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図14
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図15
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図16
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図17
  • 特開-エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134994
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240927BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B66B1/14 F
B66B3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045473
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸喜
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB02
3F303CB25
3F303CB33
3F303DB27
3F303DC25
3F502HB10
3F502JA14
3F502JA87
3F502KA02
3F502KA09
3F502KA10
3F502KA18
3F502MA43
3F502MA44
3F502MA48
(57)【要約】
【課題】病原体に感染していない利用者が病原体に感染することを抑制するエレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置を得る。
【解決手段】エレベータ制御装置は、取得部、位置検出部、演算部及びかご判定部を備える。取得部は、かごのかごドアの開閉状態を取得する。位置検出部は、かごの位置を検出する。演算部は、取得部が取得したかごドアの開閉状態及び位置検出部が検出したかごの位置に基づいて、かごドアが戸閉した状態でかごが移動した階床数を算出する。かご判定部は、演算部が算出した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かごの進行方向にある近傍階にかごを停止させる信号及びかごドアを戸開させる信号を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごのかごドアの開閉状態を取得する取得部と、
前記かごの位置を検出する位置検出部と、
前記取得部が取得した前記かごドアの開閉状態及び前記位置検出部が検出した前記かごの位置に基づいて、前記かごドアが戸閉した状態で前記かごが移動した階床数を算出する演算部と、
前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごの進行方向にある近傍階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力するかご判定部と
を備えるエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごの進行方向にある最寄り階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごに対して乗場呼びがされていない階床に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごに対して乗場呼びがされている階床に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定し、前記かごの行先階が前記かごの現在位置から予め定められた範囲内にあると判定した場合、前記かごの前記行先階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記かご判定部は、前記かご内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、前記かごの前記近傍階で前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力しない請求項1から5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記かご判定部は、前記かご内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、前記閾値をもとの前記閾値より大きくする請求項1から5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記かご判定部は、前記かご内の利用者の人数が所定の人数以上の場合、前記閾値をもとの前記閾値より小さくする請求項1から5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
かごのかごドアの開閉状態を取得する取得部と、
前記かごの位置を検出する位置検出部と、
前記取得部が取得した前記かごドアの開閉状態及び前記位置検出部が検出した前記かごの位置に基づいて、前記かごドアが戸閉した状態で前記かごが移動した距離を算出する演算部と、
前記演算部が算出した距離が予め定められた閾値を超えたと判定したかを判定し、前記距離が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごの進行方向にある近傍階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力するかご判定部と
を備えるエレベータ制御装置。
【請求項10】
管理対象の複数のかごのうち、前記かごの進行方向にある近傍階で前記かごを停止させ、前記かごのかごドアを戸開させる前記かごの有無を判定する群管理判定部と、
前記群管理判定部が前記近傍階で前記かごを停止させ、前記かごのかごドアを戸開させる前記かごがあると判定した場合、前記複数のかごのうち他のかごを前記近傍階へ移動させる指令を送信する指令部と
を備えるエレベータ群管理装置。
【請求項11】
前記他のかごは、前記他のかご内に利用者がいないかごである請求項10に記載のエレベータ群管理装置。
【請求項12】
前記指令部は、前記他のかごが前記近傍階に停止し、前記他のかごのかごドアが戸開した後、前記かごに登録されていた行先階へ前記他のかごを移動させる指令を送信する請求項10又は11に記載のエレベータ群管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ制御装置は、かご内に咳、くしゃみ、発熱を伴う感染症に罹患している利用者が存在すると検知されたとき、乗場呼びに優先してかご呼びの登録階床へかごを直行運転させる制御処理を行う。そして、直行運転後、そのかご呼びの登録階床でかごドアの戸開状態を保持する制御処理を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-62163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のエレベータ制御装置は、ウイルス又は細菌等の病原体に感染し、発症している利用者がかご内に存在すると検知されたときに、かごドアを戸開させてかご内を換気する。一方で、病原体に感染しているが無症状である利用者又は病原体に感染しているが潜伏期間のため発症していない利用者がかご内にいたとしてもかご内の換気は行われない。そのため、これらの利用者に起因する病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが空気中に飛散することにより、病原体に感染していない利用者がこれを吸い込んで病原体に感染することがある。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、病原体に感染していない利用者が病原体に感染することを抑制するエレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるエレベータ制御装置は、かごのかごドアの開閉状態を取得する取得部と、かごの位置を検出する位置検出部と、取得部が取得したかごドアの開閉状態及び位置検出部が検出したかごの位置に基づいて、かごドアが戸閉した状態でかごが移動した階床数を算出する演算部と、演算部が算出した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かごの進行方向にある近傍階にかごを停止させる信号及びかごドアを戸開させる信号を出力するかご判定部とを備える。
【0007】
本開示にかかるエレベータ制御装置は、かごのかごドアの開閉状態を取得する取得部と、かごの位置を検出する位置検出部と、取得部が取得したかごドアの開閉状態及び位置検出部が検出したかごの位置に基づいて、かごドアが戸閉した状態でかごが移動した距離を算出する演算部と、演算部が算出した距離が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かごの進行方向にある近傍階にかごを停止させる信号及びかごドアを戸開させる信号を出力するかご判定部とを備える。
【0008】
本開示にかかるエレベータ群管理装置は、管理対象の複数のかごのうち、かごの進行方向にある近傍階でかごを停止させ、かごのかごドアを戸開させるかごの有無を判定する群管理判定部と、群管理判定部が近傍階でかごを停止させ、かごのかごドアを戸開させるかごがあると判定した場合、複数のかごのうち他のかごを近傍階へ移動させる指令を送信する指令部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかるエレベータ制御装置及びエレベータ群管理装置は、病原体に感染していない利用者が病原体に感染することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるエレベータ装置の側面図である。
図2】実施の形態1におけるエレベータ制御装置のブロック図である。
図3】実施の形態1におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1の変形例におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図6】実施の形態3におけるエレベータ装置の側面図である。
図7】実施の形態3におけるエレベータ制御装置のブロック図である。
図8】実施の形態3におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図9】実施の形態3の変形例におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図10】実施の形態4におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図11】実施の形態4におけるエレベータ制御装置の制御の詳細を示すフローチャートである。
図12】実施の形態5におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図13】実施の形態5におけるエレベータ制御装置の制御の詳細を示すフローチャートである。
図14】実施の形態6における群管理装置及びエレベータ制御装置のブロック図である。
図15】実施の形態6におけるエレベータ制御装置のブロック図である。
図16】実施の形態6におけるエレベータ制御装置の制御を示すフローチャートである。
図17】実施の形態6における群管理装置の制御を示すフローチャートである。
図18】実施の形態1におけるエレベータ制御装置の処理回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下に実施の形態1にかかるエレベータ制御装置を詳細に説明する。本発明は以下に示す実施例に限定されない。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成を表している。
【0012】
図1に示すように、エレベータ装置は、かご1、釣合おもり2、主索3、巻上機4、そらせ車5、エレベータ制御装置20及びかご側制御装置30を備える。昇降路6内には、かご1及び釣合おもり2が設けられる。かご1は、主索3の一端に接続され、ガイドレール(図示せず)に沿って移動する。釣合おもり2は、主索3の他端に接続され、ガイドレール(図示せず)に沿って移動する。主索3は、後述する巻上機4及びそらせ車5に巻き掛けられる。
【0013】
かご1は、かごドア7、開閉検出部8(図示せず)、かご操作盤9、報知部10及び秤装置11を有する。かごドア7は、水平方向にスライドすることによりかご1の出入口を開閉する。開閉検出部8は、かごドア7の開閉状態を検出する。開閉検出部8は、入出力インタフェース(図示せず)を介して、後述するかごドア制御部31にかごドア7の開閉状態を信号として出力する。
【0014】
かご操作盤9は、かご1内に設けられる。かご操作盤9は、かご1の行先階登録の操作を行う複数の行先階登録ボタン12を有する。行先階登録ボタン12は、入出力インタフェースを介して、後述する取得部21に行先階登録情報を信号として出力する。行先階登録情報には、かご1内の利用者により登録された行先階の階数が含まれる。
【0015】
報知部10は、かご1内に設けられ、かご1内の利用者にかご1の運行に関する情報を報知する。報知部10は、モニタ10a及びスピーカ10bを有する。なお、報知部10は、モニタ10a及びスピーカ10bのうちどちらか一方のみを有してもよい。
【0016】
秤装置11は、かご1内の積載量を計測する。秤装置11は、入出力インタフェースを介して、後述する取得部21にかご1内の積載量を信号として出力する。
【0017】
各乗場13には、水平方向にスライドすることにより乗場の出入口を開閉する乗場ドア14がそれぞれ設けられている。乗場ドア14は、かごドア7と係合することで、かごドア7に連動して開閉される。各乗場13には、乗場操作盤(図示せず)が設けられている。乗場操作盤は、かご1の呼び登録の操作を行う、図1には図示しない複数の呼び登録ボタン15を有する。呼び登録ボタン15は、入出力インタフェースを介して、後述する取得部21に呼び登録情報を信号として出力する。呼び登録情報には、乗場13にいる利用者により登録された乗場階の階数が含まれる。
【0018】
昇降路6の上部には、機械室16が設けられる。機械室16内には、巻上機4、そらせ車5及びエレベータ制御装置20が設けられる。巻上機4は、駆動シーブ4a及びモータ(図示せず)を有しており、モータは駆動シーブ4aを回転させる。モータには駆動シーブ4aの回転量を検出する、図1に図示しない回転検出器17が設けられる。回転検出器17は、例えばエンコーダである。回転検出器17は、図示しない入出力インタフェースを介して、後述する取得部21に駆動シーブ4aの回転量を信号として出力する。
【0019】
図2に示すように、エレベータ制御装置20は、半導体の集積回路を含むプロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースにより構成される制御基板等の装置であり、エレベータ装置全体を制御する。エレベータ制御装置20は、取得部21、演算部22、かご判定部23、位置検出部24、制御部25及び記憶部26を備える。なお、エレベータ制御装置20の処理回路の構成例については後に説明する。
【0020】
取得部21は、秤装置11からかご1内の積載量を取得するソフトウェアモジュール、行先階登録ボタン12から行先階登録情報を取得するソフトウェアモジュール、呼び登録ボタン15から呼び登録情報を取得するソフトウェアモジュールを備える。また、取得部21は、後述するかごドア制御部31からかごドア7の開閉状態を取得するソフトウェアモジュールを備える。
【0021】
演算部22は、取得部21が取得したかごドア7の開閉状態及び位置検出部24が検出したかご1の位置に基づいてかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数を算出するソフトウェアモジュールを備える。また、演算部22は、取得部が取得したかご1内の積載量に基づいて、かご1内の利用者の人数を算出するソフトウェアモジュールを備える。
【0022】
かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態かを判定するソフトウェアモジュール、かご1内の利用者の人数が所定の人数以上かを判定するソフトウェアモジュール、かごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたかを判定するソフトウェアモジュール及びかご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあるかを判定するソフトウェアモジュールを備える。また、かご判定部23は、かご1内の換気のためにかご1が停止する旨を報知部10に報知させる信号を出力するソフトウェアモジュール、かご1の進行方向にある近傍階にかご1を停止させる信号を出力するソフトウェアモジュール及びかごドア7を戸開させる信号を出力するソフトウェアモジュールを備える。
【0023】
位置検出部24は、取得部21が取得した駆動シーブ4aの回転量に基づいてかご1の位置を検出するソフトウェアモジュールを備える。なお、位置検出部24によるかご1の位置検出の方式は、駆動シーブ4aの回転量に基づいて検出する方式には限られない。
【0024】
制御部25は、かご制御部25a並びに報知制御部であるモニタ制御部25b及びスピーカ制御部25cを備える。
【0025】
かご制御部25aは、巻上機4を制御することで、かご1の運転を制御するソフトウ
ェアモジュールを備える。モニタ制御部25bは、モニタ10aの表示を制御するソフトウェアモジュールを備える。スピーカ制御部25cは、スピーカ10bの音声の出力を制御するソフトウェアモジュールを備える。
【0026】
記憶部26は、揮発性又は不揮発性のメモリにより構成される記憶装置である。記憶部26は、かご1の初期階床及び現在階床を記憶する。
【0027】
かご側制御装置30は、かご1の上部に設けられる。かご側制御装置30は、半導体の集積回路を含むプロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースにより構成される制御基板等の装置である。かご側制御装置30は、制御ケーブル(図示せず)を介してエレベータ制御装置20と通信可能である。かご側制御装置30は、かごドア制御部31を備える。
【0028】
かごドア制御部31は、かごドア7の開閉を制御するソフトウェアモジュールを備える。また、かごドア制御部31は、開閉検出部8からかごドア7の開閉状態を取得するソフトウェアモジュールを備える。さらに、かごドア制御部31は、入出力インタフェースを介して、取得部21にかごドア7の開閉状態を信号として出力するソフトウェアモジュールを備える。
【0029】
次に本実施の形態の動作について、図3を用いて説明する。図3は、エレベータ制御装置20の処理を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS11において、演算部22は、記憶部26に記憶されているかご1の初期階床を初期化する。初期階床とは、かごドア7が戸閉した状態でかご1内の利用者の人数が所定の人数以上となったときにかご1がある階床をいう。
【0031】
ステップS21において、かご判定部23は、取得部21が取得したかごドア7の開閉状態に基づいてかごドア7が戸閉した状態かを判定する。具体的には、取得部21がかごドア制御部31からかごドア7の開閉状態を取得する。つまり、取得部21は現在のかごドア7の開閉状態を取得する。かご判定部23は、取得部21が取得したかごドア7の開閉状態に基づいてかごドア7が戸閉した状態かを判定する。かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態と判定した場合は、処理をステップS31へ進める。かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態ではないと判定した場合、つまりかごドア7が戸開した状態と判定した場合は、処理をステップS11へ進める。
【0032】
ステップS31において、かご判定部23は、かご1内の利用者の人数が所定の人数以上かを判定する。具体的には、まず、取得部21が秤装置11からかご1内の積載量を取得する。次に、演算部22が取得部21が取得したかご1内の積載量を一人あたりの体重で割ることによりかご1内の利用者の人数を算出する。一人あたりの体重とは、例えば65kgである。かご1内の積載量が130kgの場合、かご1内の利用者の人数は2人と算出される。最後に、かご判定部23は、演算部22が算出したかご1内の利用者の人数が所定の人数以上かを判定する。所定の人数とは、例えば2人である。かご判定部23がかご1内の利用者の人数が所定の人数以上と判定した場合は、処理をステップS41へ進める。かご判定部23がかご1内の利用者の人数が所定の人数未満と判定した場合は、処理をステップS11へ進める。
【0033】
ステップS41において、演算部22は、かご1の初期階床を記憶部26に記憶させる。具体的には、まず、取得部21が回転検出器17から現在の駆動シーブ4aの回転量を取得する。次に、位置検出部24は、取得部21が取得した駆動シーブ4aの回転量に基づいてかご1の位置を検出する。最後に、演算部22は、位置検出部24が検出したかご1の位置に基づいてかご1がある階床を算出する。演算部22は、かご1が位置する高さを1階あたりの高さで割ることによりかご1がある階床を算出する。1階あたりの高さとは、例えば3mである。かご1が位置する高さが地上から9mの場合、かご1がある階床は3階と算出される。演算部22は、かご1がある階床を初期階床として記憶部26に記憶させる。
【0034】
ステップS51において、かご判定部23は、取得部21が取得したかごドア7の開閉状態に基づいてかごドア7が戸閉した状態かを判定する。具体的な処理は、ステップS21と同様である。かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態と判定した場合は、処理をステップS61へ進める。かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態ではないと判定した場合、つまりかごドア7が戸開した状態と判定した場合は、処理をステップS11へ進める。
【0035】
ステップS61において、かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたかを判定する。具体的には、まず、ステップS41と同様に、演算部22が位置検出部24が検出したかご1の位置に基づいてかご1がある階床を算出する。ここで算出されるかご1がある階床は、かご1が初期階床から移動した後であって、現在かご1がある階床(以下、現在階床と呼ぶ)である。演算部22は、記憶部26に現在階床を記憶させる。次に、演算部22は、初期階床と現在階床との差分を算出する。例えば、初期階床が3階で現在階床が5階の場合、差分は2階と算出される。ここで算出された差分が、かごドア7が戸閉した状態でかご1が連続的に移動した階床数である。つまり、演算部22は、ステップS21において取得部21が取得したかごドア7の開閉状態に基づいてかご判定部23がした判定、及び、ステップS61において位置検出部24が検出したかご1の位置に基づいて、かごドア7が戸閉した状態でかご1が連続的に移動した階床数を算出する。最後に、かご判定部23が、連続的に移動した階床数が予め定められた閾値を超えたかを判定する。予め定められた閾値とは、例えば10階である。かご判定部23が当該階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合は、処理をステップS71へ進める。かご判定部23が当該階床数が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合は、処理をステップS51へ進める。なお、かご1が連続的に移動するとは、かご1が途中で停止することなく移動することをいう。
【0036】
ステップS71において、かご判定部23は、かご1内の換気のためにかご1が停止する旨を報知させる信号をモニタ制御部25b及びスピーカ制御部25cへ出力する。モニタ制御部25bが当該信号を受信すると、モニタ制御部25bは「かご内の換気のため停止します」等の表示をするようにモニタ10aを制御する。スピーカ制御部25cが当該信号を受信すると、スピーカ制御部25cは「かご内の換気のため停止します」等の音声を出力するようスピーカ10bを制御する。かご1内の利用者は、モニタ10aの表示又はスピーカ10bからの音声により、かご1内の換気のためにかご1が停止することを知ることができる
【0037】
ステップS81において、かご判定部23は、かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあるかを判定する。具体的には、まず、取得部21が行先階登録ボタン12から行先階登録情報を取得する。次に、演算部22は、かご1の現在位置としてステップS61で記憶部26に記憶された現在階床を読み出し、現在階床と行先階登録情報に含まれる行先階との差分を算出する。なお、複数の行先階が登録されている場合、演算部22は現在階床と最も距離が近い行先階を選択し、現在階床と行先階との差分を算出する。最後に、かご判定部23は、当該差分が予め定められた値以下かを判定する。つまり、かご判定部23は、かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあるかを判定する。予め定められた範囲とは、例えばかご1の上下2階以内の範囲である。かご判定部23がかご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあると判定した場合は、処理をステップS91へ進める。かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にないと判定した場合は、処理をステップS92へ進める。
【0038】
ステップS91において、かご判定部23はかご1の進行方向にある近傍階であるかご1の行先階にかご1を停止させる信号をかご制御部25aに出力する。かご制御部25aが当該信号を受信すると、かご1を行先階に停止させるように制御する。なお、かご1の近傍階とは、かご1の現在階床の近くにある階である。例えば、かご1の現在階床から上下2階以内にある階である。
【0039】
ステップS92において、かご判定部23はかご1の進行方向にある最寄り階にかご1を停止させる信号をかご制御部25aに出力する。例えば、かご1が上方に向かって移動しており、かご1が10階と11階との間にある場合において、かご1の進行方向にある最寄り階は11階である。かご制御部25aが当該信号を受信すると、かご1を最寄り階に停止させるよう制御する。なお、最寄り階は、近傍階のうちの1つの階床である。
【0040】
ステップS101において、かご判定部23はかごドア7を戸開させる信号をかごドア制御部31に出力する。かごドア制御部31が当該信号を受信すると、かごドア7を戸開させるよう制御する。かごドア7が戸開すると、乗場ドア14も連動して戸開し、かご1内の換気が行われる。そして、処理を終了する。かごドア7の戸開時間は、かご1の体積又はかご1内の利用者の人数等を考慮して設定してもよい。また、かごドア7の戸開時間を予め定められた一定時間としてもよい。建物にエレベータ装置が1つ設置されている場合は、建物にエレベータ装置が複数設置されている場合よりもかごドア7の戸開時間を短く設定することで運行効率の低下を抑制することができる。
【0041】
このような実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20にあっては、演算部22がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数を算出し、かご判定部23が当該階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1の進行方向にある近傍階にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する。かご1内は換気の悪い空間であるため、ウイルス又は細菌等の病原体に感染している利用者(以下、感染者と呼ぶ)に起因する病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルがかご1内の空気中に飛散することにより、病原体に感染していない利用者(以下、非感染者と呼ぶ)がこれを吸い込んで病原体に感染する可能性がある。実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20は、無症状である感染者又は潜伏期間のため発症していない感染者がかご1内にいる場合にもかご1内を換気する。そのため、かご1内に病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが長時間滞留することが抑制され、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制することができる。
【0042】
さらに、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20にあっては、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1の進行方向にある最寄り階にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する。そのため、迅速にかご1内を換気することができ、かご1内の病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルの滞留時間を短縮することができる。
【0043】
さらに、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20にあっては、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定し、かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあると判定した場合、かご1の行先階にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する。そのため、かご1の運行効率の低下を抑止しつつ、かご1内を換気することができる。
【0044】
さらに、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20にあっては、かご判定部23は、かご1内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、かご1の近傍階でかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力しない。つまり、ステップS31においてかご判定部23がかご1内の利用者の人数が所定の人数未満と判定した場合は、処理をステップS11へ進め、かご1を近傍階で停止させない。感染者が会話、咳又はくしゃみをすることにより病原体を含む飛沫が飛び散り、それを非感染者が吸い込むことにより病原体に感染することがある。かご1内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、利用者同士が距離を空けてかご1に乗車することができるため、たとえかご1内の感染者がくしゃみ等をし、病原体を含む飛沫が飛び散ったとしても非感染者まで飛沫が到達しづらい。かご1内の利用者の人数が所定の人数未満の場合はかご1を近傍階で停止させないことにより、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制しつつ、かご1の運行効率の低下を抑制することができる。
【0045】
なお、ステップS31において、演算部22がかご1内の積載量に基づいてかご1内の利用者の人数を算出する例について説明したが、かご1内にカメラを設け、カメラから得られる映像に基づいてかご1内の利用者の人数を算出してもよい。
【0046】
なお、ステップS31において、所定の人数が2人である例について説明したが、1人又は3人以上であってもよい。かご1の体積によって所定の人数を変更してもよい。つまり、かご1の体積が大きい場合は所定の人数を多くし、かご1の体積が小さい場合は所定の人数を少なくしてもよい。
【0047】
なお、図4に示すように、ステップS31、S51、S71、S81を実行しなくてもよく、ステップS91、S92の処理の代わりにステップS93を実行してもよい。
【0048】
図4のステップS41で記憶される初期位置は、かごドア7が戸閉した状態となったときにかご1がある階床である。
【0049】
また、ステップS51が実行されないため、ステップS61において、かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態でかご1が連続的又は断続的に移動した階床数が予め定められた閾値を超えたかを判定する。つまり、ステップS61が実行される前にかごドア7が戸開したか否かに関わらず、ステップS61を実行する。なお、かご1が断続的に移動するとは、かご1が途中で停止し、その後再び移動することをいう。
【0050】
ステップS93において、かご判定部23はかご1の進行方向にある近傍階にかご1を停止させる信号をかご制御部25aに出力する。かご制御部が当該信号を受信すると、かご1を近傍階に停止させるように制御する。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1では、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたかを判定する例について説明したが、実施の形態2では、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値を超えたかを判定する例について説明する。以下に相違点について説明する。
【0052】
演算部22は、取得部21が取得したかごドア7の開閉状態及び位置検出部24が検出したかご1の位置に基づいてかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離を算出するソフトウェアモジュールを備える。
【0053】
かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値を超えたかを判定するソフトウェアモジュールを備える。
【0054】
記憶部26は、かご1の初期位置及び現在位置を記憶する。
【0055】
次に本実施の形態の動作について、図5を用いて説明する。図5は、エレベータ制御装置20の処理を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS12において、演算部22は、記憶部26に記憶されているかご1の初期位置を初期化する。初期位置とは、かごドア7が戸閉した状態でかご1内の利用者の人数が所定の人数以上となったときにかご1が位置する高さをいう。
【0057】
ステップS42において、位置検出部24は、かご1の初期位置を記憶部26に記憶させる。具体的には、まず、取得部21が回転検出器17から現在の駆動シーブ4aの回転量を取得する。次に、位置検出部24が取得部21が取得した駆動シーブ4aの回転量に基づいてかご1の位置を検出する。ここで、かご1が位置する高さが検出される。位置検出部24は、初期位置を記憶部26に記憶させる。
【0058】
ステップS62において、かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値を超えたかを判定する。具体的には、まず、ステップS42と同様に、位置検出部24がかご1の位置を検出する。ここで検出されるかご1の位置は、かご1が初期位置から移動した後であって、かご1の現在位置である。位置検出部24は、記憶部26に現在位置を記憶させる。次に、演算部22は、初期位置と現在位置との差分を算出する。ここで算出された差分が、かごドア7が戸閉した状態でかご1が連続的に移動した階床数である。つまり、演算部22は、ステップS21において取得部21が取得したかごドア7の開閉状態に基づいてかご判定部23がした判定、及び、ステップS61において位置検出部24が検出したかご1の位置に基づいて、かごドア7が戸閉した状態でかご1が連続的に移動した階床数を算出する。最後に、かご判定部23が、当該差分が予め定められた閾値を超えたかを判定する。予め定められた閾値とは、例えば30mである。かご判定部23が当該差分が予め定められた閾値を超えたと判定した場合は、処理をステップS71へ進める。かご判定部23が当該差分が予め定められた閾値を超えていないと判定した場合は、処理をステップS51へ進める。
【0059】
ステップS82において、かご判定部23は、かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあるかを判定する。具体的には、まず、取得部21が行先階登録ボタン12から行先階登録情報を取得する。次に、演算部22は、ステップS62で記憶部26に記憶された現在位置を読み出し、現在位置と行先階登録情報に含まれる行先階との差分を算出する。なお、演算部22は当該行先階を地上からの高さに変換し、現在位置と当該行先階との差分を算出する。なお、複数の行先階が登録されている場合、演算部22は現在位置と最も距離が近い行先階を選択し、現在位置と行先階との差分を算出する。最後に、かご判定部23は、当該差分が予め定められた値以下かを判定する。つまり、かご判定部23は、かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあるかを判定する。予め定められた範囲とは、例えばかご1の上下6m以内の範囲である。かご判定部23がかご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあると判定した場合は、処理をステップS91へ進める。かご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にないと判定した場合は、処理をステップS92へ進める。
【0060】
このような実施の形態2にかかるエレベータ制御装置20にあっては、演算部22がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離を算出し、かご判定部23が当該距離が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1の進行方向にある近傍階にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する。実施の形態2にかかるエレベータ制御装置20は、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20と同様に、無症状である感染者又は潜伏期間のため発症していない感染者がかご1内にいる場合にもかご1内を換気する。そのため、かご1内に病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが長時間滞留することが抑制され、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制することができる。
【0061】
実施の形態3.
実施の形態3では、かご判定部23が混雑度レベルに応じてかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を変更する点で実施の形態1と相違する。以下に相違点について説明する。
【0062】
図6、7に示すように、かご1は、かごドア7、開閉検出部8、かご操作盤9、報知部10秤装置11及び混雑度測定装置18を有する。
【0063】
混雑度測定装置18は、かご1内に設けられる。混雑度測定装置18は、かご1内の混雑度を検出する。混雑度測定装置18は、カメラを有し、カメラで撮影した画像に基づいてかご1の床が利用者により占領されている割合に対応するレベル(以下、混雑度レベルと呼ぶ)を信号として取得部21に出力する。例えば、かご1の床が利用者により70%以上占領されている場合はレベル3を出力し、35%以上であって70%未満占領されている場合はレベル2を出力し、0%以上であって35%未満占領されている場合はレベル1を出力する。なお、混雑度レベルが小さくなるにつれてかご1内の利用者の人数が少ないことを意味し、混雑度レベルが大きくなるにつれてかご1内の利用者の人数が多いことを意味する。
【0064】
取得部21は、混雑度測定装置18から混雑度レベルを取得するソフトウェアモジュールを備える。
【0065】
かご判定部23は、混雑度レベルに応じてかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値(以下、移動階床閾値と呼ぶ)を変更するソフトウェアモジュールを備える。
【0066】
次に本実施の形態の動作について、図8を用いて説明する。図8は、エレベータ制御装置20の処理を示すフローチャートである。
【0067】
ステップS43において、かご判定部23は、混雑度レベルに応じて移動階床閾値を変更する。具体的には、まず、取得部21が混雑度測定装置18から混雑度レベルを取得する。次に、かご判定部23が取得部21が取得した混雑度レベルに基づいてかご1の移動階床閾値を変更する。例えば、基準とする混雑度レベルをレベル2とする。かご判定部23は、取得部21が取得した混雑度レベルがレベル2のとき、移動階床閾値を変更せず、処理をステップS51へ進める。一方で、かご判定部23は、取得部21が取得した混雑度レベルがレベル1のとき、移動階床閾値をもとの移動階床閾値より大きくなるように変更し、処理をステップS51へ進める。また、かご判定部23は、取得部21が取得した混雑度レベルがレベル3のとき、移動階床閾値をもとの移動階床閾値より小さくなるように変更し、処理をステップS51へ進める。例えば、移動階床閾値を大きくする場合は、移動階床閾値をもとの移動階床閾値である10階から12階に変更し、移動階床閾値を小さくする場合は、移動階床閾値をもとの移動階床閾値である10階から8階に変更する。
【0068】
ステップS63において、かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたかを判定する。具体的な処理はステップS61と同様であるが、かご判定部23が初期階床と現在階床との差分が移動階床閾値を超えたかを判定する際に用いる閾値は、ステップS43で定めた移動階床閾値である。
【0069】
このような実施の形態3にかかるエレベータ制御装置20にあっても、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20と同様に、無症状である感染者又は潜伏期間のため発症していない感染者がかご1内にいる場合にもかご1内を換気する。そのため、かご1内に病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが長時間滞留することが抑制され、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制することができる。
【0070】
さらに、実施の形態3にかかるエレベータ制御装置20にあっては、混雑度レベルが基準となる混雑度レベルより小さい場合、移動階床閾値をもとの移動階床閾値より大きくなるように変更する。つまり、かご1内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、移動階床閾値をもとの移動階床閾値より大きくする。かご1内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、利用者同士が距離を空けてかご1に乗車することができるため、たとえかご1内の感染者がくしゃみ等をし、病原体を含む飛沫が飛び散ったとしても非感染者まで飛沫が到達しづらい。かご1内の利用者の人数が所定の人数未満の場合は移動階床閾値をもとの移動階床閾値より大きくすることにより、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制しつつ、かご1の運行効率の低下を抑制することができる。
【0071】
さらに、実施の形態3にかかるエレベータ制御装置20にあっては、混雑度レベルが基準となる混雑度レベルより大きい場合、移動階床閾値をもとの移動階床閾値より小さくなるように変更する。つまり、かご1内の利用者の人数が所定の人数以上の場合、移動階床閾値をもとの閾値より小さくする。これにより、かご1内の換気の回数が増加し、かご1内の換気が促進されるため、非感染者がかご1内で病原体に感染することをより抑制することができる。
【0072】
なお、かご判定部23は、混雑度レベルに応じてかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値(以下、移動距離閾値と呼ぶ)を変更するソフトウェアモジュールを備えていてもよい。図9に示すように、ステップS44において、かご判定部23は、混雑度レベルに応じて移動距離閾値を変更する。具体的には、まず、取得部21が混雑度測定装置18から混雑度レベルを取得する。次に、かご判定部23が取得部21が取得した混雑度レベルに基づいてかご1の移動距離閾値を変更する。例えば、基準とする混雑度レベルをレベル2とする。かご判定部23は、取得部21が取得した混雑度レベルがレベル2のとき、移動距離閾値を変更せず、処理をステップS51へ進める。一方で、かご判定部23は、取得部21が取得した混雑度レベルがレベル1のとき、移動距離閾値をもとの移動距離閾値より大きくなるように変更し、処理をステップS51へ進める。また、かご判定部23は、取得部21が取得した混雑度レベルがレベル3のとき、移動距離閾値をもとの移動距離閾値より小さくなるように変更し、処理をステップS51へ進める。例えば、移動距離閾値を大きくする場合は、移動距離閾値をもとの移動距離閾値である30mから36mに変更し、移動距離閾値を小さくする場合は、移動距離閾値をもとの移動距離閾値である30mから24mに変更する。
【0073】
ステップS64において、かご判定部23は、かごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値を超えたかを判定する。具体的な処理はステップS62と同様であるが、かご判定部23が初期位置と現在位置との差分が移動距離閾値を超えたかを判定する際に用いる閾値は、ステップS44で定めた移動階床閾値である。
【0074】
なお、混雑度測定装置18は、カメラを有する例について説明したが、カメラの代わりにサーモグラフィ、距離センサー又は障害物センサー等を有してもよい。
【0075】
なお、混雑度測定装置18が混雑度レベルを出力する例について説明したが、混雑度測定装置18のカメラが撮影した画像を出力し、エレベータ制御装置20で混雑度レベルに変換してもよい。
【0076】
なお、演算部22は、取得部21が取得したかご1内の積載量に基づいて混雑度レベルを算出するソフトウェアモジュールを備えていてもよい。まず、取得部21が秤装置11からかご1内の積載量を取得する。次に、演算部22が取得部21が取得したかご1内の積載量を定格積載量で割ることによりかご1内の混雑度を算出する。例えば、かご1内の混雑度が70%以上の場合はレベル3と算出し、35%以上であって70%未満の場合はレベル2と算出し、0%以上であって35%未満の場合はレベル1と算出する。ステップS43において、かご判定部23は、上記のように算出された混雑度レベルに応じて移動階床閾値を変更してもよい。
【0077】
実施の形態4.
実施の形態4では、かご判定部23が演算部22が算出した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1に対して乗場呼びがされていない階床にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する点で実施の形態1と相違する。以下に相違点について説明する。
【0078】
かご判定部23は、かご1が停止する階床としてかご1に対して乗場呼びがされていない階床を設定するソフトウェアモジュールを備える。また、かご判定部23は、かご1に対して乗場呼びがされていない階床にかご1を停止させる信号を出力するソフトウェアモジュールを備える。
【0079】
次に本実施の形態の動作について、図10を用いて説明する。図10は、エレベータ制御装置20の処理を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS83において、かご判定部23は、かご1が停止する階床としてかご1に対して乗場呼びがされていない階床を設定する。図11を用いて具体的な処理を説明する。
【0081】
ステップS831において、かご判定部23は、かご1が停止する階床として最寄り階を設定する。
【0082】
ステップS832において、かご判定部23は、ステップS831又はステップS833において設定したかご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされているか判定する。具体的には、まず、取得部21が呼び登録ボタン15から呼び登録情報を取得する。次に、かご判定部23は、かご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされているか判定する。かご判定部23がかご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされていると判定した場合は、処理をステップS833へ進める。かご判定部23がかご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされていないと判定した場合は、処理をステップS94へ進める。
【0083】
ステップS833において、かご判定部23は、ステップS831又はステップS833において設定したかご1が停止する階床を変更し、再度設定する。例えば、かご1が上方に向かって移動している場合、かご判定部23は、設定したかご1が停止する階床を1つ上の階床に変更し、再度設定する。
【0084】
図10に示すように、ステップS94において、かご判定部23はステップS83で設定した階床、つまりかご1に対して乗場呼びがされていない階床にかご1を停止させる信号をかご制御部25aに出力する。かご制御部が当該信号を受信すると、かご1を当該階床に停止させるように制御する。
【0085】
このような実施の形態4にかかるエレベータ制御装置20にあっても、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20と同様に、無症状である感染者又は潜伏期間のため発症していない感染者がかご1内にいる場合にもかご1内を換気する。そのため、かご1内に病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが長時間滞留することが抑制され、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制することができる。
【0086】
さらに、実施の形態4にかかるエレベータ制御装置20にあっては、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1に対して乗場呼びがされていない階床にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する。かご1内を換気するとき、かご1内から乗場13側に空気が流れる。乗場13にいる非感染者が、かご1内から流れてきた空気中の病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルを吸い込むことにより病原体に感染する可能性がある。かご1に対して乗場呼びがされていない階床でかご1内を換気することにより、乗場13にいる非感染者が病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルを吸い込んで病原体に感染することを抑制することができる。
【0087】
なお、かご判定部23は、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1に対して乗場呼びがされていない階床にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力してもよい。
【0088】
実施の形態5.
実施の形態5では、かご判定部23が演算部22が算出した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1に対して乗場呼びがされている階床にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する点で実施の形態1と相違する。以下に相違点について説明する。
【0089】
かご判定部23は、かご1が停止する階床としてかご1に対して乗場呼びがされている階床を設定するソフトウェアモジュールを備える。また、かご判定部23は、かご1に対して乗場呼びがされている階床にかご1を停止させる信号を出力するソフトウェアモジュールを備える。
【0090】
次に本実施の形態の動作について、図12を用いて説明する。図12は、エレベータ制御装置20の処理を示すフローチャートである。
【0091】
ステップS84において、かご判定部23は、かご1が停止する階床としてかご1に対して乗場呼びがされている階床を設定する。図13を用いて具体的な処理を説明する。
【0092】
ステップS841において、かご判定部23は、かご1が停止する階床として最寄り階を設定する。
【0093】
ステップS842において、かご判定部23は、ステップS841又はステップS843において設定したかご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされているか判定する。具体的な処理は、ステップS832と同様である。かご判定部23がかご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされていると判定した場合は、処理をステップS95へ進める。かご判定部23がかご1が停止する階床において、かご1に対して乗場呼びがされていないと判定した場合は、処理をステップS843へ進める。
【0094】
ステップS843において、かご判定部23は、ステップS841又はステップS843において設定したかご1が停止する階床を変更し、再度設定する。例えば、かご1が上方に向かって移動している場合、かご判定部23は、設定したかご1が停止する階床を1つ上の階床に変更し、再度設定する。
【0095】
図12に示すように、ステップS95において、かご判定部23はステップS84で設定した階床、つまりかご1に対して乗場呼びがされている階床にかご1を停止させる信号をかご制御部25aに出力する。かご制御部が当該信号を受信すると、かご1を当該階床に停止させるように制御する。
【0096】
このような実施の形態5にかかるエレベータ制御装置20にあっても、実施の形態1にかかるエレベータ制御装置20と同様に、無症状である感染者又は潜伏期間のため発症していない感染者がかご1内にいる場合にもかご1内を換気する。そのため、かご1内に病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが長時間滞留することが抑制され、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制することができる。
【0097】
さらに、実施の形態5にかかるエレベータ制御装置20にあっては、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1に対して乗場呼びがされている階床にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力する。かご1に対して乗場呼びがされている階床にかご1を停止させることにより、乗場13にいる利用者をかご1に乗車させると同時にかご1内を換気することができる。つまり、かご1の運行効率の低下を抑止しつつ、かご1内を換気することができる。
【0098】
なお、かご判定部23は、かご判定部23がかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した距離が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、かご1に対して乗場呼びがされている階床にかご1を停止させる信号及びかごドア7を戸開させる信号を出力してもよい。
【0099】
実施の形態6.
実施の形態6では、かご1が群管理装置40により管理される点で実施の形態1と相違する。以下に相違点について説明する。
【0100】
図14に示すように、群管理装置40は、半導体の集積回路を含むプロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースにより構成される制御基板等の装置であり、複数のエレベータ装置を一群として管理する。本実施の形態において、群管理装置40は、A号機とB号機とを管理する。なお、群管理装置40の処理回路の構成例については後に説明する。
【0101】
群管理装置40は、群管理判定部41、指令部42、群管理通信部43及び記憶部44を備える。
【0102】
群管理判定部41は、管理対象の複数のかご1のうち、かご1の近傍階でかご1を停止させ、かごドア7を戸開させるかご1の有無を判定するソフトウェアモジュールを備える。また、群管理判定部41は、かご1が停止する近傍階に配車することができる他のかご1の有無を判定するソフトウェアモジュールを備える。さらに、群管理判定部41は、かご1が近傍階に停止したか判定するソフトウェアモジュールを備える。
【0103】
指令部42は、他のかご1をかご1が停止する近傍階へ移動させる指令を送信するソフトウェアモジュールを備える。また、指令部42は、かご1の停止後、他のかご1への乗り継ぎをかご1の利用者に促す旨を報知させる指令を送信するソフトウェアモジュールを備える。さらに、指令部42は、かごドア7を戸開させる指令を送信するソフトウェアモジュールを備える。さらに、指令部42は、かご1に登録されていた行先階へ他のかご1を移動させる指令を送信するソフトウェアモジュールを備える。
【0104】
群管理通信部43は、エレベータ制御装置20との通信を行うインタフェースである。
【0105】
記憶部44は、かご1の換気情報及び運行情報を記憶する。
【0106】
各エレベータ装置は、かご1、釣合おもり2、主索3、巻上機4、そらせ車5、エレベータ制御装置20及びかご側制御装置30を備える。図14には、かご1、かごドア7、エレベータ制御装置20及びかご側制御装置30のみを図示し、その他の図示を省略している。
【0107】
図15に示すように、エレベータ制御装置20は、取得部21、演算部22、かご判定部23、位置検出部24、制御部25、記憶部26及びかご通信部27を備える。
【0108】
かご判定部23は、かご1の換気情報を送信するソフトウェアモジュールを備える。
【0109】
かご通信部27は、群管理装置40との通信を行うインタフェースである。
【0110】
次に本実施の形態の動作について、図16を用いて説明する。図16は、エレベータ制御装置20の処理を示すフローチャートである。
【0111】
ステップS85において、かご判定部23は、かご1の換気情報をかご通信部27を介して群管理装置40に送信する。かご1の換気情報は、かご判定部23が、演算部22が算出したかごドア7が戸閉した状態でかご1が移動した階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合に、かご判定部23が送信するものである。かご1の換気情報には、かご1が停止する階床が含まれる。ステップS85において送信されるかご1の換気情報には、かご1が近傍階である最寄り階で停止する情報が含まれる。送信されたかご1の換気情報は、群管理装置40の記憶部44に記憶される。
【0112】
なお、ステップS81において、かご判定部23がかご1の行先階がかご1の現在位置から予め定められた範囲内にあると判定した場合、かご1内の利用者が登録した行先階にかご1を停止させることができるため、かご判定部23はかご1の換気情報を送信しない。
【0113】
なお、取得部21は、取得部21が取得したかご1内の積載量、行先階登録情報及び呼び登録情報をかご通信部27を介して群管理装置40に随時又は定期的に送信する。これらはかご1の運行情報として、群管理装置40の記憶部44に記憶される。
【0114】
次に本実施の形態の動作について、図17を用いて説明する。図17は、群管理装置40の処理を示すフローチャートである。
【0115】
以下の説明では、エレベータ装置に備えられた要素を号機別に区別する必要がある場合に、各要素を表す符号にAあるいはBを付す。例えば、A号機には、かご1A及びエレベータ制御装置20A等が備えられ、B号機には、かご1B及びエレベータ制御装置20B等が備えられる。
【0116】
ステップS111において、群管理判定部41は、管理対象の複数のかご1のうち、かご1の近傍階でかご1を停止させ、かごドア7を戸開させるかご1の有無を判定する。具体的には、群管理判定部41は、記憶部44に記憶されたかご1の換気情報の有無を判定する。群管理判定部41は、記憶部44に記憶されたかご1の換気情報を読み出す。かご1の換気情報が記憶部44に記憶されている場合、群管理判定部41はかご1の近傍階でかご1を停止させ、かごドア7を戸開させるかご1があると判定し、処理をステップS121へ進める。かご1の換気情報が記憶部44に記憶されていない場合、群管理判定部41はかご1の近傍階でかご1を停止させ、かごドア7を戸開させるかご1がないと判定し、処理をステップS111へ進める。
【0117】
ステップS121において、群管理判定部41は、かご1が停止する近傍階に配車することができる他のかご1の有無を判定する。例えば、A号機のかご1Aの換気情報が送信された場合、判定の対象となるのはB号機のかご1Bである。具体的には、まず、群管理判定部41は、記憶部44に記憶されたかご1Bの運行情報を読み出す。群管理判定部41は、B号機のかご1B内の積載量が0kg、つまりかご1B内に利用者がいない場合、かご1Aが停止する近傍階に配車することができるかご1Bがあると判定し、処理をステップS131へ進める。群管理判定部41は、B号機のかご1B内の積載量が0kgでない、つまりかご1B内に利用者がいる場合、かご1Aが停止する近傍階に配車することができるかご1Bがないと判定し、処理をステップS111へ進める。
【0118】
ステップS131において、指令部42は、かご1内に利用者がいないかご1Bをかご1Aが停止する近傍階へ移動させる指令を群管理通信部43を介してエレベータ制御装置20Bに送信する。かご制御部25aBが当該指令を受信すると、かご1Aが停止する近傍階へかご1Bを移動させるように制御する。
【0119】
ステップS141において、指令部42は、かご1Aの停止後、かご1Bへの乗り継ぎをかご1A内の利用者に促す旨を報知させる指令を群管理通信部43を介してエレベータ制御装置20Aに送信する。報知制御部であるモニタ制御部25bA及びスピーカ制御部25cAが当該指令を受信すると、モニタ制御部25bAは「かごが停止した後、B号機のかごへ乗り継ぎください」等の表示をするようにモニタ10aAを制御し、スピーカ制御部25cAは「かごが停止した後、B号機のかごへ乗り継ぎください」等の音声を出力するようスピーカ10bAを制御する。かご1A内の利用者は、モニタ10aAの表示又はスピーカ10bAからの音声により、スムーズにかご1Bに乗り継ぐことができる。
【0120】
ステップS151において、群管理判定部41は、かご1A及びかご1Bが近傍階で停止したか判定する。例えば、かご1が近傍階に停止した場合に、エレベータ制御装置20が信号を群管理装置40に送信することにより、かご1が近傍階に停止したことを判定してもよい。群管理判定部41がかご1A及びかご1Bが近傍階に停止したと判定した場合、処理をステップS161へ進める。群管理判定部41がかご1A及びかご1Bが近傍階に停止していないと判定した場合、処理をステップS151へ進める。
【0121】
ステップS161において、指令部42は、かごドア7Bを戸開させる指令を群管理通信部43を介してエレベータ制御装置20Bに送信する。かごドア制御部31Bが当該指令を受信すると、かごドア7Bを戸開させるよう制御する。かごドア7Bが戸開すると、乗場ドア14Bも連動して戸開する。そして、かご1Aに乗車していた利用者はかご1Bに乗り継ぐことができる。
【0122】
ステップS171において、指令部42は、かご1Aに登録されていた行先階へかご1Bを移動させる指令を群管理通信部43を介してエレベータ制御装置20Bに送信する。具体的には、まず、指令部42は、記憶部44に記憶されたかご1Aの運行情報を読み出す。指令部42は、かご1Aの運行情報に基づき、かご1Aに登録されていた行先階へかご1Bを移動させる指令を群管理通信部43を介してエレベータ制御装置20Bに送信する。かご制御部25aBが当該指令を受信すると、かご1Aに登録されていた行先階へかご1Bを移動させるよう制御する。そして、処理を終了する。
【0123】
このような実施の形態6にかかる群管理装置40にあっては、群管理判定部41が近傍階でかご1を停止させ、かご1のかごドア7を戸開させるかご1があると判定した場合、指令部42が複数のかご1のうち他のかご1を近傍階へ移動させる指令を送信する。そのため、近傍階で停止するかご1に乗車していた利用者を他のかご1に乗り継がせることができ、利用者の利便性の低下を抑制しつつ、かご1内を換気することができる。かご1内の換気により、かご1内に病原体を含む飛沫核あるいはエアロゾルが長時間滞留することが抑制され、非感染者がかご1内で病原体に感染することを抑制することができる。
【0124】
さらに、実施の形態6にかかる群管理装置40にあっては、指令部42がかご1内に利用者がいない他のかご1を近傍階へ移動させる指令を送信する。かご1内に利用者がいない他のかご1を近傍階へ移動させることにより、他のかご1内の利用者の利便性が低下することを抑制することができる。
【0125】
さらに、実施の形態6にかかる群管理装置40にあっては、指令部42が他のかご1が近傍階に停止し、他のかご1のかごドア7が戸開した後、かご1に登録されていた行先階へ他のかご1を移動させる指令を送信する。かご1内にいた利用者が他のかご1に対し再び行先階を登録する手間を省くことができ、利用者の利便性が向上する。
【0126】
なお、群管理装置40は、3台以上のエレベータ装置を管理してもよい。
【0127】
なお、ステップS121において、群管理判定部41はかご1内の積載量に基づいて配車可能なかご1の有無を判定したが、行先階登録情報又は呼び登録情報に基づいて配車可能なかごの有無を判定してもよい。例えば、群管理判定部41は、B号機のかご1Bに対し行先階が登録されていない場合又は呼び登録がされていない場合、かご1Aが停止する近傍階に配車することができるかご1Bがあると判定してもよい。また、群管理判定部41は、かご1内の積載量、行先階登録情報及び呼び登録情報のうち複数に基づいて配車可能なかご1の有無を判定してもよい。例えば、群管理判定部41は、B号機のかご1B内の積載量が0kgであって、かご1Bに対し行先階が登録されておらず、かご1Bに対し呼び登録がされていない場合、かご1Aが停止する近傍階に配車することができるかご1Bがあると判定してもよい。
【0128】
図18を用いて、エレベータ制御装置20の処理回路の構成例について説明する。図16は、実施の形態1におけるエレベータ制御装置20の処理回路の構成例を示す図である。なお、エレベータ制御装置20の処理回路の構成例は、実施の形態2から5においても同様である。また、群管理装置40の処理回路の構成例についても同様であるため説明は省略する。
【0129】
エレベータ制御装置20の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ50と少なくとも1つのメモリ51とを備える。また、例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア52を備える。
【0130】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ50と少なくとも1つのメモリ51とを備える場合、エレベータ制御装置20の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ51に格納される。少なくとも1つのプロセッサ50は、少なくとも1つのメモリ51に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベータ制御装置20の機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ50は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ51は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0131】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア52を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、エレベータ制御装置20の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、エレベータ制御装置20の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0132】
エレベータ制御装置20の各機能について、一部を専用のハードウェア52で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
【0133】
このように、処理回路は、ハードウェア52、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベータ制御装置20の各機能を実現する。
【0134】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
かごのかごドアの開閉状態を取得する取得部と、
前記かごの位置を検出する位置検出部と、
前記取得部が取得した前記かごドアの開閉状態及び前記位置検出部が検出した前記かごの位置に基づいて、前記かごドアが戸閉した状態で前記かごが移動した階床数を算出する演算部と、
前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごの進行方向にある近傍階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力するかご判定部と
を備えるエレベータ制御装置。
(付記2)
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごの進行方向にある最寄り階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する付記1に記載のエレベータ制御装置。
(付記3)
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごに対して乗場呼びがされていない階床に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する付記1又は2に記載のエレベータ制御装置。
(付記4)
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごに対して乗場呼びがされている階床に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する付記1又は2に記載のエレベータ制御装置。
(付記5)
前記かご判定部は、前記演算部が算出した前記階床数が予め定められた閾値を超えたと判定し、前記かごの行先階が前記かごの現在位置から予め定められた範囲内にあると判定した場合、前記かごの前記行先階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力する付記1又は2に記載のエレベータ制御装置。
(付記6)
前記かご判定部は、前記かご内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、前記かごの前記近傍階で前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力しない付記1から5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
(付記7)
前記かご判定部は、前記かご内の利用者の人数が所定の人数未満の場合、前記閾値をもとの前記閾値より大きくする付記1から6のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
(付記8)
前記かご判定部は、前記かご内の利用者の人数が所定の人数以上の場合、前記閾値をもとの前記閾値より小さくする付記1から7のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
(付記9)
かごのかごドアの開閉状態を取得する取得部と、
前記かごの位置を検出する位置検出部と、
前記取得部が取得した前記かごドアの開閉状態及び前記位置検出部が検出した前記かごの位置に基づいて、前記かごドアが戸閉した状態で前記かごが移動した距離を算出する演算部と、
前記演算部が算出した距離が予め定められた閾値を超えたと判定したかを判定し、前記距離が予め定められた閾値を超えたと判定した場合、前記かごの進行方向にある近傍階に前記かごを停止させる信号及び前記かごドアを戸開させる信号を出力するかご判定部と
を備えるエレベータ制御装置。
(付記10)
管理対象の複数のかごのうち、前記かごの進行方向にある近傍階で前記かごを停止させ、前記かごのかごドアを戸開させる前記かごの有無を判定する群管理判定部と、
前記群管理判定部が前記近傍階で前記かごを停止させ、前記かごのかごドアを戸開させる前記かごがあると判定した場合、前記複数のかごのうち他のかごを前記近傍階へ移動させる指令を送信する指令部と
を備えるエレベータ群管理装置。
(付記11)
前記他のかごは、前記他のかご内に利用者がいないかごである付記10に記載のエレベータ群管理装置。
(付記12)
前記指令部は、前記他のかごが前記近傍階に停止し、前記他のかごのかごドアが戸開した後、前記かごに登録されていた行先階へ前記他のかごを移動させる指令を送信する付記10又は11に記載のエレベータ群管理装置。
【符号の説明】
【0135】
1 かご、7 かごドア、13 乗場、20 エレベータ制御装置、21 取得部、22 演算部、23 かご判定部、24 位置検出部、40 群管理装置、41 群管理判定部、42 指令部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18