(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135004
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シート回転装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/14 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B60N2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045485
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 定夫
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA08
3B087BC20
(57)【要約】
【課題】着座位置におけるシート本体のガタつきを抑制することが可能なシート回転装置を提供すること。
【解決手段】シート回転装置10は、ベースプレート100と、回転プレート200と、連結ユニット300と、着座位置に位置する回転プレートとベースプレートとの位置決めを行う位置決めユニット400と、を備える。回転プレートは、一対のサイドブラケット210L,210Rを含み、一対のサイドブラケットの少なくとも一方は、底壁212を含む有底ブラケット211で構成されている。位置決めユニットは、支柱部材410と、支持部材420と、バネ部材440と、を有する。バネ部材は、支柱部材に接触するときに広がり、支柱部材から離間するときに狭まるように弾性変形する屈曲部442を有する。支柱部材410は、回転プレートが着座位置に位置するときに屈曲部を広げつつ屈曲部を底壁に押し付ける押付け面414aを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
前記車両のフロアに固定されるベースプレートと、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、
前記ベースプレートに対して前記回転プレートが前記着座位置と前記乗降位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、
前記着座位置に位置する前記回転プレートと前記ベースプレートとの位置決めを行う位置決めユニットと、を備え、
前記回転プレートは、幅方向に間隔を置いて配置されており、前後方向に延びる形状を有する一対のサイドブラケットを含み、
前記一対のサイドブラケットの少なくとも一方は、前記着座位置において前記ベースプレートと対向する底壁を含む有底ブラケットで構成されており、
前記位置決めユニットは、
前記ベースプレートに固定されており、上方に向かって延びる形状を有する支柱部材と、
前記ベースプレートに固定されており、前記着座位置における前記有底ブラケットの前記底壁を下方から支持する支持部材と、
前記有底ブラケットに固定されており、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記支柱部材と接触するバネ部材と、を有し、
前記バネ部材は、前記支柱部材に接触するときに広がり、前記支柱部材から離間するときに狭まるように弾性変形する屈曲部を有し、
前記支柱部材は、前記底壁の上方に位置し、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記屈曲部を広げつつ前記屈曲部を前記底壁に押し付ける押付け面を含む、シート回転装置。
【請求項2】
前記押付け面は、前記バネ部材が前記有底ブラケットとともに前記着座位置に近づくにしたがって前記屈曲部を前記底壁に向けて押し付ける力が次第に増大するように傾斜する形状を有する、請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項3】
前記一対のサイドブラケットの双方が前記有底ブラケットで構成されており、
前記位置決めユニットは、前記着座位置に位置する前記回転プレートの前記一対のサイドブラケットの各々と前記ベースプレートとの位置決めを行う、請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項4】
前記バネ部材は、前記屈曲部の下方に設けられた他の屈曲部をさらに有し、
前記支柱部材は、前記底壁の下方に位置し、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記他の屈曲部を広げつつ前記他の屈曲部を前記底壁に押し付ける他の押付け面をさらに含む、請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項5】
前記底壁は、
後方に向かうにしたがって次第に前記ベースプレートから離間するように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の前端から前方に向かって延びる形状を有する底部と、を有し、
前記支持部材は、前記ベースプレートに固定された回転支持体を有し、
前記回転支持体は、
前記乗降位置から前記着座位置に向かって移動するときに前記傾斜部に押される被押圧部と、
前記被押圧部が前記傾斜部に押されたときに前記回転支持体の回転中心まわりに回転しながら前記底部を押し上げる押上部と、を有する、請求項1に記載のシート回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を着座位置と乗降位置との間で回転させることが可能な回転シートが知られている。例えば、特開2010-105422号公報には、シートスライド装置に設置された止め金具と、クッションパンの底面に設置された係止ピンと、を嵌合させることによってシートスライド装置に対するクッションパンの位置決めが可能な自動車用シートが開示されている。この自動車用シートは、係止ピンが止め金具から離脱するのを防止する可動ストッパと、可動ストッパの回転を阻止する抑え部材と、抑え部材に接続されたワイヤケーブルと、を有している。ワイヤケーブルを牽引することにより、抑え部材が移動位置に移動する。これにより、可動ストッパが回転可能となる。この状態でシートクッションを回転させると、係止ピンは、可動ストッパを離脱位置まで回転させつつ止め金具から離脱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2010-105422号公報に記載されるシート回転装置では、止め金具と係止ピンとの間のクリアランスに起因してシート本体にガタつきが生じ得る。
【0005】
本発明の目的は、着座位置におけるシート本体のガタつきを抑制することが可能なシート回転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一局面に従ったシート回転装置は、シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、前記車両のフロアに固定されるベースプレートと、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、前記ベースプレートに対して前記回転プレートが前記着座位置と前記乗降位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、前記着座位置に位置する前記回転プレートと前記ベースプレートとの位置決めを行う位置決めユニットと、を備え、前記回転プレートは、幅方向に間隔を置いて配置されており、前後方向に延びる形状を有する一対のサイドブラケットを含み、前記一対のサイドブラケットの少なくとも一方は、前記着座位置において前記ベースプレートと対向する底壁を含む有底ブラケットで構成されており、前記位置決めユニットは、前記ベースプレートに固定されており、上方に向かって延びる形状を有する支柱部材と、前記ベースプレートに固定されており、前記着座位置における前記有底ブラケットの前記底壁を下方から支持する支持部材と、前記有底ブラケットに固定されており、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記支柱部材と接触するバネ部材と、を有し、前記バネ部材は、前記支柱部材に接触するときに広がり、前記支柱部材から離間するときに狭まるように弾性変形する屈曲部を有し、前記支柱部材は、前記底壁の上方に位置し、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記屈曲部を広げつつ前記屈曲部を前記底壁に押し付ける押付け面を含む。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、着座位置におけるシート本体のガタつきを抑制することが可能なシート回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】着座位置における回転シートの斜視図である。
【
図2】乗降位置における回転シートの斜視図である。
【
図3】着座位置における、本開示の一実施形態におけるシート回転装置の斜視図である。
【
図4】乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。
【
図5】着座位置及び乗降位置における、ベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を示す図である。
【
図6】位置決めユニットの第1ユニットの分解斜視図である。
【
図7】回転プレートが着座位置に位置する前の状態を概略的に示す斜視図である。
【
図8】回転プレートが着座位置に位置する状態を概略的に示す斜視図である。
【
図9】回転プレートが着座位置に位置する前の状態を概略的に示す断面図である。
【
図10】回転プレートが着座位置に位置する状態を概略的に示す斜視図である。
【
図11】回転プレートが着座位置に位置する前の状態における位置決めユニットの第2ユニットを示す斜視図である。
【
図12】回転プレートが着座位置に位置する状態における第2ユニットを示す斜視図である。
【
図13】回転プレートが着座位置に位置する状態における第2ユニットを後方から見た斜視図である。
【
図14】回転プレートが着座位置に位置する前の状態における位置決めユニットの第3ユニットを示す斜視図である。
【
図15】回転プレートが着座位置に位置する状態における第3ユニットを示す斜視図である。
【
図16】回転プレートが着座位置に位置する状態における第3ユニットを後方から見た斜視図である。
【
図18】第1ユニットの変形例の分解斜視図である。
【
図19】回転プレートが着座位置に位置する状態における第1ユニットの変形例を示す斜視図である。
【
図20】回転プレートが着座位置に位置する状態における第1ユニットの変形例を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、着座位置における回転シートの斜視図である。
図2は、乗降位置における回転シートの斜視図である。この回転シート1は、乗り物用シート、特に、車両用シートとして機能する。
【0011】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態の回転シート1は、シート本体2と、シート回転装置10と、を備えている。
【0012】
シート本体2は、シートクッション2aと、シートバック2bと、を有している。シートクッション2aは、座部を構成する。シートバック2bは、シートクッション2aに着座した乗員の背部を支持する。シート本体2は、車両のフロアFL上に配置される。
【0013】
フロアFLには、シート本体2をフロアFLに対して車両の前後方向にスライドさせる一対のシートスライダ3が取り付けられている。一対のシートスライダ3は、車両の幅方向に間隔を置いて配置されている。各シートスライダ3は、ロアレール3aと、アッパーレール3bと、を有している。
【0014】
ロアレール3aは、車両の前後方向と平行となる姿勢でフロアFLに固定されている。アッパーレール3bは、ロアレール3aに対して車両の前後方向(ロアレール3aの長手方向)に相対変位可能である。
【0015】
シート回転装置10は、着座位置(
図1に示される位置)と乗降位置(
図2に示される位置)との間でシート本体2を回転させることが可能である。着座位置は、シート本体2が車両の前方を向く位置である。乗降位置は、シート本体2が車両のドアの開口部を向く位置である。シート回転装置10は、シート本体2の下面に固定されている。
【0016】
図3は、着座位置における、本開示の一実施形態におけるシート回転装置の斜視図である。
図4は、乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。
【0017】
図3及び
図4に示されるように、シート回転装置10は、ベースプレート100と、回転プレート200と、連結ユニット300と、位置決めユニット400と、を有している。
【0018】
ベースプレート100は、車両のフロアFLに直接的に、又は、他の部材を介して間接的に、固定される。本実施形態では、ベースプレート100は、アッパーレール3bに固定されている。すなわち、ベースプレート100は、シートスライダ3を介してフロアFLに固定されている。ベースプレート100は、アッパーレール3bとともにロアレール3aに対して前後方向に移動可能である。
【0019】
回転プレート200は、シート本体2に対して相対回転しないようにシート本体2の下面に固定されている。
図3及び
図4に示されるように、回転プレート200は、一対のサイドブラケット210L,210Rと、リアパイプ231と、フロントパイプ232と、連結板240と、を有している。
【0020】
一対のサイドブラケット210L,210Rは、幅方向に間隔を置いて配置されている。各サイドブラケット210L,210Rは、シートスライダ3の上方に配置されている。各サイドブラケット210L,210Rは、前後方向に延びる形状を有している。一対のサイドブラケット210L,210Rのうち幅方向における左側に配置されたサイドブラケット210Lの後部には、シートベルトのアンカ(図示略)が固定される。
【0021】
一対のサイドブラケット210L,210Rの少なくとも一方は、底壁212を含む有底ブラケット211で構成されている。底壁212は、着座位置においてベースプレート100と対向する。底壁212は、前後方向に延びる形状を有している。本実施形態では、一対のサイドブラケット210L,210Rの双方が有底ブラケット211で構成されている。ただし、一対のサイドブラケット210L,210Rの一方(例えばサイドブラケット210L)のみが有底ブラケット211で構成されてもよい。各サイドブラケット210L,210Rは、幅方向における底壁212の縁部から起立する側壁214をさらに有している。
【0022】
リアパイプ231は、各サイドブラケット210L,210Rの後部同士を連結している。より詳細には、リアパイプ231は、サイドブラケット210Lの側壁214の後部とサイドブラケット210Rの側壁214の後部とを連結している。
【0023】
フロントパイプ232は、各サイドブラケット210L,210Rの前部同士を連結している。より詳細には、リアパイプ231は、サイドブラケット210Lの側壁214の前部とサイドブラケット210Rの側壁214の前部とを連結している。
【0024】
連結板240は、リアパイプ231とフロントパイプ232とを連結している。
【0025】
連結ユニット300は、着座位置と乗降位置との間でベースプレート100に対して回転プレート200が回転可能となるようにベースプレート100と回転プレート200とを連結している。
【0026】
図3~
図5に示されるように、連結ユニット300は、回転連結部310と、第1直線連結部320と、第2直線連結部330と、を有している。
【0027】
回転連結部310は、ベースプレート100と回転プレート200とを連結している。回転連結部310は、回転リンク312と、レール部314と、を有している。回転リンク312は、固定端部312aと、回転端部312bと、を有している。
【0028】
固定端部312aは、回転リンク312の一端部で構成されている。固定端部312aは、ベースプレート100に対して相対回転可能となるようにベースプレート100に固定されている。
【0029】
回転端部312bは、回転リンク312の他端部で構成されている。回転端部312bは、固定端部312aを回転中心としてベースプレート100に対して回動可能であり、かつ、回転プレート200に対して相対回転可能となるように回転プレート200に固定されている。回転端部312bは、ローラにより支持されている。このローラは、レール部314に沿って移動可能である。レール部314は、回転端部312bの移動軌跡に沿うように湾曲している。
【0030】
第1直線連結部320は、ロアレール321と、アッパースライダ322と、を有している。
【0031】
ロアレール321は、ベースプレート100に固定されている。具体的に、ロアレール321は、ベースプレート100の中央部に固定されている。ロアレール321は、直線状に延びる形状を有している。ロアレール321は、固定端部312a及び回転端部312b間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、固定端部312aを中心とする仮想円A1(
図5を参照)の直径に沿うように配置されている。なお、
図5では、仮想円A1と、固定端部312a及び回転端部312b間の長さを半径とし、かつ、回転端部312bを中心とする円A2と、が一点鎖線で示されており、回転プレート200が二点鎖線で示されている。また、
図5に示される右側に車両の乗降口が設けられている。
【0032】
図5に示されるように、ロアレール321は、車両の前後方向に対して交差する方向でかつ仮想円A1の直径に沿って直線状に延びる形状を有している。ロアレール321は、車両の前方に向かうにしたがって次第にドアの開口部に近づくように前後方向に対して傾斜している。
【0033】
アッパースライダ322は、ロアレール321に沿って移動可能である。アッパースライダ322は、図示略のローラを含んでいる。アッパースライダ322は、当該アッパースライダ322に対して回転プレート200が相対回転可能となるように回転プレート200を支持している。具体的には、アッパースライダ322は、ナットによって回転プレート200に固定されている。回転プレート200は、アッパースライダ322に対して相対回転可能である。アッパースライダ322は、シート本体2が着座位置及び乗降位置間を移動するときに、円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。
【0034】
第2直線連結部330は、ロアレール331と、アッパースライダ332と、を有している。
【0035】
ロアレール331は、ベースプレート100に固定されている。具体的に、ロアレール331は、ベースプレート100のうち、幅方向における内側に配置されたシートスライダ3と第1直線連結部320のロアレール321との間に位置する部位に固定されている。ロアレール331は、直線状に延びる形状を有している。
図5に示されるように、ロアレール331は、当該ロアレール331の延長線が仮想円A1の中心である固定端部312aを通らない姿勢でベースプレート100に固定されている。ロアレール331は、車両の前方に向かうにしたがって次第にドアの開口部に近づくように前後方向に対して傾斜している。
【0036】
アッパースライダ332は、ロアレール331に沿って移動可能である。アッパースライダ322は、図示略のローラを含んでいる。アッパースライダ332は、当該アッパースライダ332に対して回転プレート200が相対回転可能となるように回転プレート200を支持している。具体的には、アッパースライダ332は、ナットによって回転プレート200に固定されている。回転プレート200は、アッパースライダ332に対して相対回転可能である。
【0037】
位置決めユニット400は、着座位置に位置する回転プレート200とベースプレート100との位置決めを行う。本実施形態では、位置決めユニット400は、第1ユニット401と、第2ユニット402と、第3ユニット403と、を有している。第1ユニット401は、ベースプレート100の左前部と回転プレート200の左前部との位置決めを行う。第2ユニット402は、ベースプレート100の左後部と回転プレート200の左後部との位置決めを行う。第3ユニット403は、ベースプレート100の右後部と回転プレート200の右後部との位置決めを行う。
【0038】
ただし、位置決めユニット400は、第1ユニット401、第2ユニット402及び第3ユニット403の少なくとも一つを含んでいればよく、また、位置決めユニット400は、ベースプレート100の右前部と回転プレート200の右前部との位置決めを行う第4ユニット(図示略)を有していてもよい。
【0039】
第1ユニット401は、ベースプレート100の左前部及び左側に配置された有底ブラケット211の左前部に設けられている。
図6に示されるように、第1ユニット401は、支柱部材410と、支持部材420と、第2支持部材430と、バネ部材440と、押さえピン450と、を有している。
【0040】
支柱部材410は、ベースプレート100に固定されている。本実施形態では、支柱部材410は、ベースプレート100に固定されたブラケット101に固定されている。支柱部材410は、ベースプレート100から上方に向かって延びる形状を有している。支柱部材410は、支柱部412と、鍔部414と、を有している。
【0041】
支柱部412は、円筒状に形成されている。支柱部412は、ブラケット101に溶接されたスタッドボルトB(
図6を参照)に接続されている。有底ブラケット211の底壁212には、支柱部412との干渉を回避する切り欠き212aが設けられている。切り欠き212aと支柱部412との間には、回転プレート200の移動軌跡のズレや乗員の体重による回転プレート200の撓み等を踏まえてクリアランスが設けられている。
【0042】
鍔部414は、支柱部412の上端から支柱部412の径方向における外向きに張り出す形状を有している。鍔部414は、円板状に形成されている。有底ブラケット211の側壁214には、鍔部414との干渉を回避する切り欠き214aが設けられている。
図6に示されるように、鍔部414は、押付け面414aを有している。押付け面414aは、鍔部414の下面で構成されている。押付け面414aについては後述する。
【0043】
支持部材420は、ベースプレート100に固定されており、着座位置におけるサイドブラケット210Lの底壁212を下方から支持する。支持部材420は、回転支持体422と、取付部材424と、付勢部材426と、を有している。
【0044】
回転支持体422は、ブラケット101に対して相対回転可能となるようにブラケット101に取り付けられている。本実施形態では、回転支持体422は、取付部材424によってブラケット101に取り付けられている。回転支持体422は、被押圧部422aと、押上部422bと、を有している。
【0045】
被押圧部422aは、回転プレート200が乗降位置から着座位置に向かって移動するときに有底ブラケット211の傾斜部212bに押される部位である。
図7~
図10に示されるように、傾斜部212bは、有底ブラケット211の底壁212に形成されている。回転プレート200が着座位置に位置する状態において、傾斜部212bは、後方に向かうにしたがって次第にベースプレート100から離間するように傾斜する形状を有している。
【0046】
押上部422bは、底壁212の底部212cを押し上げる部位である。
図6~
図10に示されるように、底部212cは、傾斜部212bの前端から前方に向かって延びる形状を有している。底部212cは、平坦に形成されている。押上部422bは、被押圧部422aが有底ブラケット211の傾斜部212bによって後方に向けて押圧されたときに取付部材424まわりに回転しながら有底ブラケット211の底部212cを押し上げる。
【0047】
付勢部材426は、回転プレート200が乗降位置から着座位置に向かって移動するときに押上部422bが底部212cから離間する姿勢(
図9に示される姿勢)となるように回転支持体422を付勢している。本実施形態では、付勢部材426は、トーションばねで構成されており、その一端が被押圧部422aに係合している。
【0048】
第2支持部材430は、支柱部412の周囲を包囲している。
図9及び
図10に示されるように、第2支持部材430の上端は、有底ブラケット211の底壁212から離間している。
【0049】
バネ部材440は、有底ブラケット211に固定されている。本実施形態では、バネ部材440は、線バネで構成されており、バネ部材440の各端部は、有底ブラケット211に設けられた取付孔に挿入されている。取付孔は、バネ部材440の端部よりも僅かに大きく設定されている。このため、バネ部材440は、有底ブラケット211の底壁212に対して僅かに相対移動が可能である。バネ部材440は、回転プレート200が着座位置に位置するときに支柱部材410と接触する。
【0050】
バネ部材440は、屈曲部442を有している。屈曲部442は、底壁212上に配置されている。屈曲部442は、回転プレート200が乗降位置から着座位置に向かうときに支柱部材410を受け入れる方向に開口している。屈曲部442は、回転プレート200が乗降位置から着座位置に向かって移動してきて着座位置に位置する直前に支柱部材410の押付け面414aに接触する。屈曲部442は、押付け面414aに接触するときに広がり、押付け面414aから離間するときに狭まるように弾性変形する。より詳細には、屈曲部442は、回転プレート200が着座位置に向けて移動する過程における押付け面414aへの接触後に広がり、回転プレート200が着座位置から乗降位置に向けて移動する過程における押付け面414aからの離間後に狭まる。屈曲部442が押付け面414aに接触する際、バネ部材440が底壁212に対して僅かに回転することにより、屈曲部442のうち角部を挟んで互いに対向する一対の部位(押付け面414aに接触する部位)から押付け面414aに均等に力が作用する。
【0051】
ここで、
図9及び
図10を参照しながら、有底ブラケット211及び回転支持体422の動きとともに、鍔部414の押付け面414aについて説明する。
図9は、屈曲部442が支柱部材410に接触する直前で、かつ、有底ブラケット211の傾斜部212bが被押圧部422aに接触した状態を示している。
図10は、回転プレート200が着座位置に位置する状態を示している。
【0052】
図9及び
図10に示されるように、押付け面414aは、着座位置ないしその直前に位置する回転プレート200の底部212cの上方に位置している。
図9に示される状態からさらに回転プレート200が着座位置に向けて移動すると、底壁212の傾斜部212bが被押圧部422aを押圧することによって回転支持体422が取付部材424まわりに回転するため、
図10に示されるように、押上部422bが有底ブラケット211の底部212cを押し上げる。それと同時に、押付け面414aは、屈曲部442を広げつつ屈曲部442を底壁212の底部212cに押し付ける。これにより、屈曲部442は、押付け面414aと底部212cとにより挟持される。このため、ベースプレート100に対する有底ブラケット211の上下方向の位置が有効に決定される。また、屈曲部442及び押付け面414a間の摩擦と屈曲部442及び底部212c間の摩擦とにより、ベースプレート100に対する有底ブラケット211の水平方向の移動が規制されるため、ベースプレート100に対する有底ブラケット211の水平方向の位置も有効に決定される。
【0053】
押付け面414aは、バネ部材440が有底ブラケット211とともに着座位置に近づくにしたがって屈曲部442を底壁212に向けて押し付ける力が次第に増大するように傾斜する形状を有している。本実施形態では、押付け面414aは、ベースプレート100に向かうにしたがって次第に縮径するテーパ面で構成されている。
【0054】
押さえピン450は、バネ部材440を底壁212に向けて押さえ付けている。押さえピン450は、屈曲部442の角部を底壁212に向けて押さえ付けるフランジ452(
図6及び
図7を参照)を有している。
【0055】
第2ユニット402は、ベースプレート100の左後部及び左側に配置された有底ブラケット211の左後部に設けられている。第2ユニット402の構造は、第1ユニット401の構造と類似している。このため、第2ユニット402については、第1ユニット401と異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
図11~
図13に示されるように、第2ユニット402は、支柱部材410と、支持部材420と、バネ部材440と、押さえピン450と、を有している。第2ユニット402は、第2支持部材430を有していない。
【0057】
支柱部材410は、ベースプレート100に固定されたブラケット102に固定されている。ブラケット102は、着座位置に位置する回転プレート200における底壁212の後端部の上方への移動を規制する規制爪部102aを有している。
【0058】
支持部材420は、回転支持体422と、取付部材424と、を有している。支持部材420は、付勢部材426を有していない。回転支持体422は、ローラで構成されている。
【0059】
第3ユニット403は、ベースプレート100の右後部及び右側に配置された有底ブラケット211の右後部に設けられている。
図14~
図16に示されるように、第3ユニット403の構造は、第2ユニット402の構造と実質的に同じである。このため、第3ユニット403の説明を簡略化する。すなわち、第3ユニット403の支柱部412は、ベースプレート100に固定されたブラケット103に固定されている。支柱部材410は、第2支持部材430を有している。
【0060】
以上に説明したシート回転装置10では、回転プレート200が着座位置に位置するときに、バネ部材440の屈曲部442は、押付け面414aによって広げられつつ、押付け面414aと支持部材420に支持された底壁212とに挟持される。このため、着座位置に位置する回転プレート200のベースプレート100に対する上下方向の位置が決定され、かつ、屈曲部442及び押付け面414a間の摩擦と屈曲部442及び底壁212間の摩擦とにより、着座位置に位置する回転プレート200のベースプレート100に対する平面方向も位置も決定される。よって、回転プレート200に固定されたシート本体2のベースプレート100に対するガタつきが抑制される。
【0061】
また、上記実施形態において、第1ユニット401におけるバネ部材440は、
図17に示されるように、段部445を有していてもよい。このようにすれば、屈曲部442及び押付け面414a間に生じる摩擦力がより大きくなる。なお、図l7では、第1ユニット401におけるバネ部材440について説明したが、第2ユニット402及び第3ユニット403の各々のバネ部材440においても同様である。
【0062】
また、
図18~
図20に示されるように、バネ部材440は、他の屈曲部444を有し、第2支持部材430は、他の押付け面434aを有していてもよい。
【0063】
他の屈曲部444は、屈曲部442の下方に設けられている。他の屈曲部444は、底壁212の下に配置されている。すなわち、この例では、屈曲部442及び他の屈曲部444によって底壁212が挟持されている。
【0064】
他の押付け面434aは、底壁212の底部212cの下方に位置している。他の押付け面434aは、回転プレート200が着座位置に位置するときに他の屈曲部444を広げつつ他の屈曲部444を底部212cの下面に押し付ける。
【0065】
この態様では、ベースプレート100に対する着座位置における回転プレート200の上下方向及び水平方向における位置がより有効に決定される。
【0066】
なお、
図18~
図20では、第1ユニット401のバネ部材440及び第2支持部材430について説明したが、バネ部材440が他の屈曲部444を有し、第2支持部材430が他の押付け面434aを有していてもよいことは、第3ユニット403においても同様である。
【0067】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0068】
(態様1)
シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
前記車両のフロアに固定されるベースプレートと、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、
前記ベースプレートに対して前記回転プレートが前記着座位置と前記乗降位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、
前記着座位置に位置する前記回転プレートと前記ベースプレートとの位置決めを行う位置決めユニットと、を備え、
前記回転プレートは、幅方向に間隔を置いて配置されており、前後方向に延びる形状を有する一対のサイドブラケットを含み、
前記一対のサイドブラケットの少なくとも一方は、前記着座位置において前記ベースプレートと対向する底壁を含む有底ブラケットで構成されており、
前記位置決めユニットは、
前記ベースプレートに固定されており、上方に向かって延びる形状を有する支柱部材と、
前記ベースプレートに固定されており、前記着座位置における前記有底ブラケットの前記底壁を下方から支持する支持部材と、
前記有底ブラケットに固定されており、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記支柱部材と接触するバネ部材と、を有し、
前記バネ部材は、前記支柱部材に接触するときに広がり、前記支柱部材から離間するときに狭まるように弾性変形する屈曲部を有し、
前記支柱部材は、前記底壁の上方に位置し、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記屈曲部を広げつつ前記屈曲部を前記底壁に押し付ける押付け面を含む、シート回転装置。
【0069】
このシート回転装置では、回転プレートが着座位置に位置するときに、バネ部材は、押付け面によって広げられつつ、押付け面と支持部材に支持された底壁とに挟持される。このため、着座位置に位置する回転プレートのベースプレートに対する上下方向の位置が決定され、かつ、屈曲部及び押付け面間の摩擦と屈曲部及び底壁間の摩擦とにより、着座位置に位置する回転プレートのベースプレートに対する平面方向の位置も決定される。よって、回転プレートに固定されたシート本体のベースプレートに対するガタつきが抑制される。
【0070】
(態様2)
前記押付け面は、前記バネ部材が前記有底ブラケットとともに前記着座位置に近づくにしたがって前記屈曲部を前記底壁に向けて押し付ける力が次第に増大するように傾斜する形状を有する、態様1に記載のシート回転装置。
【0071】
この態様では、屈曲部及び押付け面間の摩擦と屈曲部及び底壁間の摩擦とがより大きくなるため、着座位置に位置する回転プレートのベースプレートに対する位置がより有効に決定される。
【0072】
(態様3)
前記一対のサイドブラケットの双方が前記有底ブラケットで構成されており、
前記位置決めユニットは、前記着座位置に位置する前記回転プレートの前記一対のサイドブラケットの各々と前記ベースプレートとの位置決めを行う、態様1又は2に記載のシート回転装置。
【0073】
(態様4)
前記バネ部材は、前記屈曲部の下方に設けられた他の屈曲部をさらに有し、
前記支柱部材は、前記底壁の下方に位置し、前記回転プレートが前記着座位置に位置するときに前記他の屈曲部を広げつつ前記他の屈曲部を前記底壁に押し付ける他の押付け面をさらに含む、態様1から3のいずれかに記載のシート回転装置。
【0074】
この態様では、着座位置に位置する回転プレートのベースプレートに対する位置がより有効に決定される。
【0075】
(態様5)
前記底壁は、
後方に向かうにしたがって次第に前記ベースプレートから離間するように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の前端から前方に向かって延びる形状を有する底部と、を有し、
前記支持部材は、前記ベースプレートに固定された回転支持体を有し、
前記回転支持体は、
前記乗降位置から前記着座位置に向かって移動するときに前記傾斜部に押される被押圧部と、
前記被押圧部が前記傾斜部に押されたときに前記回転支持体の回転中心まわりに回転しながら前記底部を押し上げる押上部と、を有する、態様1から4のいずれかに記載のシート回転装置。
【0076】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 回転シート、2 シート本体、3 シートスライダ、10 シート回転装置、100 ベースプレート、101 ブラケット、102 ブラケット、103 ブラケット、200 回転プレート、210L,210R サイドブラケット、211 有底ブラケット、212 底壁、212b 傾斜部、212c 底部、214 側壁、231 リアパイプ、232 フロントパイプ、240 連結板、300 連結ユニット、310 回転連結部、312 回転リンク、314 レール部、320 第1直線連結部、321 ロアレール、322 アッパースライダ、330 第2直線連結部、331 ロアレール、332 アッパースライダ、400 位置決めユニット、401 第1ユニット、402 第2ユニット、403 第3ユニット、410 支柱部材、412 支柱部、414 鍔部、414a 押付け面、420 支持部材、422 回転支持体、422a 被押圧部、422b 押上部、424 取付部材、426 付勢部材、430 第2支持部材、434a 他の押付け面、440 バネ部材、442 屈曲部、444 他の屈曲部、450 押さえピン、452 フランジ、A1 仮想円、A2 円、B ボルト、FL フロア。