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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135010
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20240927BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240927BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0562
H01M50/107
H01M50/131
H01M50/119
H01M50/548 201
H01M50/531
H01M50/121
H01M50/124
H01M50/586
H01M50/591 101
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045494
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】521107116
【氏名又は名称】Enpower Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL16
5H029AM12
5H029BJ02
5H029BJ12
5H029DJ02
5H029HJ07
5H029HJ12
5H029HJ19
5H043AA19
5H043BA20
5H043CA03
5H043CA13
5H043DA03
5H043EA06
5H043EA60
5H043GA22
5H043GA24
5H043KA45
5H043LA21D
(57)【要約】
【解決手段】 電池が、一方の端部に開口が形成された筒状の形状を有する筐体と、筐体の内部に配される電極構造体と、筐体の開口を封止する封止部と、電極構造体及び封止部を電気的に接続する接続部とを備える。封止部は、電池の入出力端子として機能する第1端子部と、電極構造体及び端子部の間の電流を制限する制限部とを有する。電極構造体は、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層をこの順に含む発電素子を有する。発電素子の単位面積当たりの容量を、筐体の面積で除して得られる値は、0.03以上である。発電素子の面積は、発電素子を、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層の積層方向に略垂直な面で切断した場合の面積であり、筐体の面積は、筐体を、筒状の形状の延伸方向に略垂直な面で切断した場合の面積である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に開口が形成された筒状の形状を有する筐体と、
前記筐体の内部に配される電極構造体と、
前記筐体の前記開口を封止する封止部と、
前記電極構造体及び前記封止部を電気的に接続する接続部と、
を備える電池であって、
前記封止部は、
前記電池の入出力端子として機能する第1端子部と、
前記電池の内圧が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、又は、前記電池の出力電流が予め定められた第2閾値よりも大きい場合に、前記電極構造体及び前記端子部の間の電流を制限する制限部と、
を有し、
前記電極構造体は、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層をこの順に含む発電素子を有し、
前記発電素子の単位面積当たりの容量[mAh/cm]を、前記筐体の面積[cm]で除して得られる値[mAh/cm]は、0.03以上であり、
前記発電素子の面積は、前記発電素子を、前記第1活物質層、前記固体電解質層及び前記第2活物質層の積層方向に略垂直な面で切断した場合の面積であり、
前記筐体の面積は、前記筐体を、前記筒状の形状の延伸方向に略垂直な面で切断した場合の面積である、
電池。
【請求項2】
前記筐体の面積は、0.20cm以上78.5cm以下である、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記筐体は、
略円筒状の形状を有する導電性の円筒部と、
前記円筒部の内面に配される第1絶縁部材と、
を有する、
請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記電極構造体は、直列及び/又は並列に電気的に接続される複数の前記発電素子を有する、
請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記複数の発電素子は、第1発電素子及び第2発電素子を含み、
前記電極構造体は、第1集電体、前記第1発電素子、第2集電体及び前記第2発電素子をこの順に有し、
前記第2集電体は、前記第1発電素子の前記第2活物質層と、前記第2発電素子の前記第2活物質層との間に配され、
前記電極構造体は、前記第1発電素子の前記第2活物質層と、前記第2発電素子の前記第2活物質層との間から露出する前記第2集電体の少なくとも一部を覆う第2絶縁部材をさらに有する、
請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記筐体の他方の端部を封止し、前記電池の入出力端子として機能する第2端子部をさらに備え、
前記第1集電体は、前記第2端子部と電気的に接続され、
前記第2集電体は、前記接続部及び前記制限部を介して、前記第1端子部と電気的に接続される、
請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記電極構造体は、前記第1集電体、前記第1発電素子、前記第2集電体、前記第2発電素子及び第3集電体をこの順に有し、
前記電極構造体は、前記第1集電体及び前記第3集電体を電気的に接続する第1配線をさらに有し、
前記第2絶縁部材は、前記第1配線及び前記第2集電体の間に配され、
前記第1発電素子及び前記第2発電素子は、並列に電気的に接続される、
請求項5に記載の電池。
【請求項8】
一方の端部に開口が形成された筒状の形状を有する筐体と、
前記筐体の内部に配される電極構造体と、
を備える電池であって、
前記電極構造体は、第1集電体、第1発電素子、第2集電体及び第2発電素子及び第3集電体をこの順に有し、
前記第1発電素子及び前記第2発電素子のそれぞれは、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層をこの順に含み、
前記第2集電体は、前記第1発電素子の前記第2活物質層と、前記第2発電素子の前記第2活物質層との間に配され、
前記電極構造体は、
前記第1発電素子の前記第2活物質層と、前記第2発電素子の前記第2活物質層との間に配される前記第2集電体の端部の少なくとも一部を覆う第2絶縁部材と、
前記第1集電体及び前記第3集電体を電気的に接続する第1配線と、
をさらに有し、
前記第2絶縁部材は、前記第1配線及び前記第2集電体の間に配され、
前記第1発電素子及び前記第2発電素子は、並列に電気的に接続される、
電池。
【請求項9】
前記電池は、
前記筐体の前記開口を封止する導電性の封止部、
をさらに備え、
前記電極構造体は、
前記第1発電素子及び/又は前記第2発電素子の前記第1活物質層に接する前記第1集電体の端部の少なくとも一部を覆う第3絶縁部材と、
前記第2集電体及び前記封止部を電気的に接続する第2配線と、
をさらに有し、
前記第3絶縁部材は、前記第2配線及び前記第1集電体の間に配される、
請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記電極構造体は、第1電池ユニット、第4絶縁部材及び第2電池ユニットをこの順に有し、
前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットのそれぞれは、前記第1集電体、前記第1発電素子、前記第2集電体、前記第2発電素子、前記第3集電体、第3発電素子、第4集電体、第4発電素子及び第5集電体をこの順に有し、
前記第3発電素子及び前記第4発電素子のそれぞれは、前記第1活物質層、前記固体電解質層及び前記第2活物質層をこの順に含み、
前記第3集電体は、前記第2発電素子の前記第1活物質層と、前記第3発電素子の前記第1活物質層との間に配され、
前記第4集電体は、前記第3発電素子の前記第2活物質層と、前記第4発電素子の前記第2活物質層との間に配され、
前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットは、直列に電気的に接続され、
前記第1電池ユニットに含まれる前記第1発電素子、前記第2発電素子、前記第3発電素子及び前記第4発電素子は、並列に電気的に接続され、
前記第2電池ユニットに含まれる前記第1発電素子、前記第2発電素子、前記第3発電素子及び前記第4発電素子は、並列に電気的に接続される、
請求項8に記載の電池。
【請求項11】
前記筐体は、
略円筒状の形状を有する導電性の円筒部と、
前記円筒部の内面に配される第1絶縁部材と、
を有する、
請求項8に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~8には、正極、セパレータ及び負極を積層して得られる蓄電デバイスが開示されている。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1)特開2021-002495号公報
(特許文献2)特開2021-150106号公報
(特許文献3)特開2018-186074号公報
(特許文献4)特開2021-197316号公報
(特許文献5)特開2019-186107号公報
(特許文献6)特開2019-021384号公報
(特許文献7)特開2010-056067号公報
(特許文献8)特開2021-064584号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様においては、電池が提供される。上記の電池は、例えば、一方の端部に開口が形成された筒状の形状を有する筐体を備える。上記の電池は、例えば、筐体の内部に配される電極構造体を備える。上記の電池は、例えば、筐体の開口を封止する封止部を備える。上記の電池は、例えば、電極構造体及び封止部を電気的に接続する接続部を備える。上記の電池において、封止部は、例えば、電池の入出力端子として機能する第1端子部を有する。封止部は、例えば、電池の内圧が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、又は、電池の出力電流が予め定められた第2閾値よりも大きい場合に、電極構造体及び端子部の間の電流を制限する制限部を有する。上記の電池において、電極構造体は、例えば、発電素子を有する。発電素子は、例えば、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層をこの順に含む。
【0004】
上記の電池において、発電素子の単位面積当たりの容量[mAh/cm]を、筐体の面積[cm]で除して得られる値[mAh/cm]は、例えば、0.03以上である。発電素子の面積は、例えば、発電素子を、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層の積層方向に略垂直な面で切断した場合の面積である。筐体の面積は、例えば、筐体を、円筒状の形状の延伸方向に略垂直な面で切断した場合の面積である。
【0005】
上記の電池の何れかにおいて、筐体の面積は、0.20cm以上78.5cm以下であってよい。上記の電池の何れかにおいて、筐体は、略円筒状の形状を有する導電性の円筒部を有してよい。上記の電池の何れかにおいて、筐体は、円筒部の内面に配される第1絶縁部材を有してよい。
【0006】
上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、直列及び/又は並列に電気的に接続される複数の発電素子を有してよい。上記の電池の何れかにおいて、複数の発電素子は、第1発電素子及び第2発電素子を含んでよい。上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第1集電体、第1発電素子、第2集電体及び第2発電素子をこの順に有してよい。上記の電池の何れかにおいて、第2集電体は、第1発電素子の第2活物質層と、第2発電素子の第2活物質層との間に配されてよい。上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第1発電素子の第2活物質層と、第2発電素子の第2活物質層との間から露出する第2集電体の少なくとも一部を覆う第2絶縁部材を有してよい。
【0007】
上記の電池の何れかは、筐体の他方の端部を封止し、電池の入出力端子として機能する第2端子部を備えてよい。上記の電池の何れかにおいて、第1集電体は、第2端子部と電気的に接続されてよい。上記の電池の何れかにおいて、第2集電体は、接続部及び制限部を介して、第1端子部と電気的に接続されてよい。
【0008】
上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第1集電体、第1発電素子、第2集電体、第2発電素子及び第3集電体をこの順に有してよい。上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第1集電体及び第3集電体を電気的に接続する第1配線を有してよい。上記の電池の何れかにおいて、第2絶縁部材は、第1配線及び第2集電体の間に配されてよい。上記の電池の何れかにおいて、第1発電素子及び第2発電素子は、並列に電気的に接続されてよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、電池が提供される。上記の電池は、例えば、一方の端部に開口が形成された筒状の形状を有する筐体を備える。上記の電池は、例えば、筐体の内部に配される電極構造体を備える。上記の電池において、電極構造体は、例えば、第1集電体、第1発電素子、第2集電体及び第2発電素子及び第3集電体をこの順に有する。上記の電池において、第1発電素子及び第2発電素子のそれぞれは、例えば、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層をこの順に含む。上記の電池において、第2集電体は、例えば、第1発電素子の第2活物質層と、第2発電素子の第2活物質層との間に配される。
【0010】
上記の電池において、電極構造体は、例えば、第1発電素子の第2活物質層と、第2発電素子の第2活物質層との間に配される第2集電体の端部の少なくとも一部を覆う第2絶縁部材を有する。電極構造体は、例えば、第1集電体及び第3集電体を電気的に接続する第1配線を有する。上記の電池において、第2絶縁部材は、例えば、第1配線及び第2集電体の間に配される。上記の電池において、第1発電素子及び第2発電素子は、例えば、並列に電気的に接続される。
【0011】
上記の電池の何れかは、筐体の開口を封止する導電性の封止部を備えてよい。上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第1発電素子及び/又は第2発電素子の第1活物質層に接する第1集電体の端部の少なくとも一部を覆う第3絶縁部材を有してよい。上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第2集電体及び封止部を電気的に接続する第2配線を有してよい。上記の電池の何れかにおいて、第3絶縁部材は、第2配線及び第1集電体の間に配されてよい。
【0012】
上記の電池の何れかにおいて、電極構造体は、第1電池ユニット、第4絶縁部材及び第2電池ユニットをこの順に有してよい。上記の電池の何れかにおいて、第1電池ユニット及び第2電池ユニットのそれぞれは、第1集電体、第1発電素子、第2集電体、第2発電素子、第3集電体、第3発電素子、第4集電体、第4発電素子及び第5集電体をこの順に有してよい。上記の電池の何れかにおいて、第3発電素子及び第4発電素子のそれぞれは、第1活物質層、固体電解質層及び第2活物質層をこの順に含んでよい。上記の電池の何れかにおいて、第3集電体は、第2発電素子の第1活物質層と、第3発電素子の第1活物質層との間に配されてよい。上記の電池の何れかにおいて、第4集電体は、第3発電素子の第2活物質層と、第4発電素子の第2活物質層との間に配されてよい。上記の電池の何れかにおいて、第1電池ユニット及び第2電池ユニットは、直列に電気的に接続されてよい。上記の電池の何れかにおいて、第1電池ユニットに含まれる第1発電素子、第2発電素子、第3発電素子及び第4発電素子は、並列に電気的に接続されてよい。上記の電池の何れかにおいて、第2電池ユニットに含まれる第1発電素子、第2発電素子、第3発電素子及び第4発電素子は、並列に電気的に接続されてよい。
【0013】
上記の電池の何れかにおいて、筐体は、略円筒状の形状を有する導電性の円筒部を有してよい。上記の電池の何れかにおいて、筐体は、円筒部の内面に配される第1絶縁部材を有してよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】円筒型蓄電装置100の内部構造の一例を概略的に示す。
図2】封口ユニット130の構成部材の一例を概略的に示す。
図3】電池ユニット150(積層体)の積層構造の一例を概略的に示す。
図4】電池ユニット150を構成する基本的な電池要素の一例を概略的に示す。
図5】電池ユニット500(積層体)の積層構造の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
本明細書において、数値範囲が「A~B」と表記される場合、当該表記はA以上B以下を意味する。また、「置換又は非置換」とは、「任意の置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。上記の置換基の種類は、明細書中で言及されない限り、特に制限されない。また、上記の置換基の個数は、明細書中で言及されない限り、特に制限されない。
【0018】
(円筒型蓄電装置100の概要)
図1は、円筒型蓄電装置100の内部構造の一例を概略的に示す。本実施形態において、円筒型蓄電装置100は、筐体110と、絶縁部材120と、封口ユニット130と、ガスケット140と、電池ユニット150と、負極配線162と、正極配線164と、絶縁部材166と、正極リード170とを備える。本実施形態において、筐体110は、筒状部材112を備える。筒状部材112の一方の端部には開口116が形成されており、筒状部材112の他方の端部には底板114が配される。本実施形態において、電池ユニット150は、1又は複数の(1以上と称される場合がある。)負極集電体152と、1以上の正極集電体154とを備える。
【0019】
本実施形態において、円筒型蓄電装置100は、外部の電気機器(例えば、充電装置、電力系統などである。)から供給される電気エネルギーを蓄積する(充電と称される場合がある)。上記の電気機器としては、電力系統、変電設備、分電設備、充電装置などが例示される。本実施形態において、円筒型蓄電装置100は、外部の電気機器に電気エネルギーを供給する(放電と称される場合がある)。上記の電気機器としては、電力を使用又は蓄積する各種の機器が例示される。本願明細書においては、上記の放電が発電と称される場合がある。
【0020】
本実施形態において、筐体110は、その内部に電池ユニット150を収容する。本実施形態において、筐体110は、筒状の形状を有する。筐体110は、略円筒状の形状を有してよい。筐体110は、一方の端部に開口が形成され、他方の端部が閉止された有底筒状の形状を有してよい。
【0021】
本実施形態において、筒状部材112は、筒状の形状を有する。筒状部材112は、略円筒状の形状を有してよい。筒状部材112は、導電性の材料により構成されてよい。筒状部材112は、金属製の筒状又は中空状の部材であってよい。
【0022】
本実施形態において、底板114は、筒状部材112の一方の端部を閉止する。底板114は、導電性の材料により構成されてよい。これにより、底板114が円筒型蓄電装置100の負極端子として機能し得る。
【0023】
本実施形態において、開口116には、封口ユニット130が配される。筒状部材112、底板114及び封口ユニット130により、電池ユニット150が筐体110の内部に収容される。電池ユニット150は、筐体110の内部に密封されてもよい。
【0024】
本実施形態において、絶縁部材120は、筒状部材112の内面に配される。絶縁部材120は、筒状部材112の内面に接して配されてよい。絶縁部材120は、例えば、絶縁性の材料により構成される。絶縁部材120は、例えば、筒状部材112と、電池ユニット150とを電気的に絶縁する。
【0025】
本実施形態において、封口ユニット130は、筒状部材112の一方の端部に配され、筒状部材112の開口116を封止する。封口ユニット130は、電池ユニット150の保護機能を有してよい。封口ユニット130と、筒状部材112との間には、ガスケット140が配されてよい。これにより、電池ユニット150が、筐体110の内部に密封され得る。封口ユニット130の少なくとも一部は、導電性の材料により構成されてよい。これにより、封口ユニット130が円筒型蓄電装置100の正極端子として機能し得る。封口ユニット130の詳細は後述される。
【0026】
本実施形態において、電池ユニット150は、筐体110の内部に配される。電池ユニット150は、1以上の負極集電体152と、1以上の正極集電体154とが、活物質層及び固体電解質層を介して積層された構造体であってよい。電池ユニット150の詳細は後述される。
【0027】
本実施形態において、負極配線162は、1以上の負極集電体152を電気的に接続する。本実施形態において、正極配線164は、1以上の正極集電体154を電気的に接続する。正極配線164は、正極リード170を介して、封口ユニット130と電気的に接続されてよい。
【0028】
本実施形態によれば、電池ユニット150の底板114の側(図中、下側である。)に配される負極集電体152と、底板114とが接する。これにより、負極配線162により電気的に接続された1以上の負極集電体152と、底板114とが電気的に接続される。また、1以上の正極集電体154は、封口ユニット130と電気的に接続され、上述されたとおり、底板114は、負極端子として機能するように構成され得る。封口ユニット130は、正極端子として機能するように構成され得る。これにより、円筒型蓄電装置100が蓄電装置として機能し得る。
【0029】
本実施形態において、絶縁部材166は、封口ユニット130と、電池ユニット150との間に配される。絶縁部材166は、例えば、絶縁性の材料により構成される。絶縁部材166は、例えば、封口ユニット130と、電池ユニット150とを電気的に絶縁する。一方、本実施形態において、正極リード170は、封口ユニット130と、電池ユニット150とを電気的に接続する。
【0030】
以上のとおり、本実施形態に係る円筒型蓄電装置100は、入出力端子として機能する封口ユニット130と、電池として機能する電池ユニット150との間に絶縁部材166が配される。これに対して、ボタン型電池及び/又はコイン型電池によれば、正極端子として機能し得る正極ケースと、金属バネと、電池として機能する積層体とがこの順に配されており、正極ケース及び積層体は、金属バネを介して電気的に接続される。また、本実施形態に係る円筒型蓄電装置100は、電池の保護機能を有する封口ユニット130を備える点で、ボタン型電池及び/又はコイン型電池と相違する。
【0031】
(円筒型蓄電装置100の電気的特性)
本実施形態においては、電池ユニット150の単位面積当たりの容量[mAh/cm]を、筐体110の面積[cm]で除して得られる値[mAh/cm](容量パラメータと称される場合がある。)が0.03以上となるように、円筒型蓄電装置100の大きさが決定される。これにより、電池ユニット150の負極集電体152及び正極集電体154の積層方向(図中、上下方向である。)に略垂直な方向(面方向と称される場合がある。)における、単位面積当たりの容量のバラツキが抑制される。
【0032】
容量パラメータの値は、0.05以上であってもよく、0.07以上であってもよく、0.1以上であってもよく、0.15以上であってもよく、0.20以上であってもよい。容量パラメータの値は、0.75以上であってもよく、1以上であってもよい。
【0033】
多くの場合、筐体110の内面積[cm]と、電池ユニット150の断面積とが略同一となるように、円筒型蓄電装置100の大きさが決定される。そこで、円筒型蓄電装置100の大きさは、電池ユニット150の単位面積当たりの容量[mAh/cm]を、電池ユニット150の面積[cm]で除して得られる値[mAh/cm]が0.03以上となるように決定されてもよい。上記の値は、0.05以上であってもよく、0.07以上であってもよく、0.1以上であってもよく、0.15以上であってもよく、0.20以上であってもよい。
【0034】
本実施形態において、電池ユニット150の面積は、電池ユニット150を、負極集電体152及び正極集電体154の積層方向(図中、上下方向である。)に略垂直な面で切断して得られる断面における、電池ユニット150の面積(電池ユニット150を積層方向に略垂直な面で切断した場合の面積と称される場合がある。)であってよい。上記の積層方向に沿って電池ユニット150の断面形状が変化する場合、電池ユニット150の面積は、例えば、下記の手順により導出される。
【0035】
まず、電池ユニット150の積層方向の全長を略4等分する3つの位置のそれぞれにおいて、電池ユニット150の断面積を決定する。電池ユニット150の形状が略円柱状である場合、上記の断面積は、例えば、各位置における電池ユニット150の直径の測定値に基づいて決定される。上記の3つの位置としては、(i)積層方向における電池ユニット150の中点である第1中点、(ii)一方の端部と、第1中点との中点である第2中点、及び、(iii)他方の端部と、第1中点との中点である第3中点が例示される。次に、上記の3つの位置のそれぞれにおける断面積を平均し、得られた平均値を電池ユニット150の断面積として導出する。
【0036】
本実施形態において、筐体110の面積は、筒状部材112を、筒状部材112の延伸方向に略垂直な面で切断して得られる断面における筒状部材112の内面積(筐体110を延伸方向に略垂直な面で切断した場合の面積と称される場合がある。)であってよい。上記の延伸方向に沿って筒状部材112の断面形状が変化する場合、筐体110の面積は、例えば、下記の手順により導出される。
【0037】
まず、筒状部材112の延伸方向の全長を略4等分する3つの位置のそれぞれにおいて、筒状部材112の断面積を決定する。筒状部材112の断面積は、筒状形状の内壁の内側の部分の面積(内面積と称される場合がある。)である。筒状部材112の形状が略円筒状である場合、上記の断面積は、例えば、各位置における筒状部材112の内径の測定値に基づいて決定される。上記の3つの位置としては、(i)延伸方向における筐体110の中点である第1中点、(ii)一方の端部と、第1中点との中点である第2中点、及び、(iii)他方の端部と、第1中点との中点である第3中点が例示される。次に、上記の3つの位置のそれぞれにおける断面積を平均し、得られた平均値を筐体110の断面の内面積として導出する。
【0038】
筐体110の面積は、0.20cm以上78.5cm以下であってよい。例えば、円筒型蓄電装置100が単6型の円筒型電池である場合、筐体110の面積は、0.47cmである。同様に、円筒型蓄電装置100が4680型の円筒型電池である場合、筐体110の面積は、16.6cmである。
【0039】
固体電解質層をセパレータとして利用する全固体電池においては、活物質層と、固体電解質層との界面における反応を制御することが難しい。そのため、例えば、従来の角型電池及び/又はパウチ型電池のように、電池として機能する積層体の面積が大きい電池においては、上記の界面の面積が大きく、各層の凹凸による電池特性への影響が大きくなる。例えば、面内における単位面積当たりの容量のバラツキが大きくなり、その結果、放電容量のバラツキも大きくなる。
【0040】
これに対して、本実施形態に係る円筒型蓄電装置100は、従来の角型電池及び/又はパウチ型電池と比較して、電池として機能する積層体の面積が小さい。その結果、電池ユニット150の単位面積当たりの容量[mAh/cm]を、筐体110の面積[cm]で除して得られる値[mAh/cm]が0.03以上となる。これにより、面内における単位面積当たりの容量のバラツキが抑制され得る。その結果、例えば、放電容量のバラツキが抑制される。
【0041】
円筒型蓄電装置100は、電池の一例であってよい。筒状部材112は、円筒部の一例であってよい。筒状部材112の端部のうち、開口116が配される側の端部は、筐体の一方の端部の一例であってよい。筒状部材112の端部のうち、底板114が配される側の端部は、筐体の他方の端部の一例であってよい。底板114は、第2端子部の一例であってよい。絶縁部材120は、第1絶縁部材の一例であってよい。封口ユニット130は、第1端子部又は封止部の一例であってよい。電池ユニット150は、電極構造体の一例であってよい。負極配線162は、第1配線及び第2配線の一方の一例であってよい。正極配線164は、第1配線及び第2配線の他方の一例であってよい。より具体的には、負極配線162が第1配線の一例であり、正極配線164が第2配線の一例であってよい。絶縁部材166は、第4絶縁部材の一例であってよい。正極リード170は、接続部の一例であってよい。正極端子は、入出力端子の一例であってよい。負極端子は、入出力端子の一例であってよい。
【0042】
図2は、封口ユニット130の構成部材の一例を概略的に示す。本実施形態において、封口ユニット130は、筐体110の開口116を封止する。上述されたとおり、封口ユニット130は、例えば、円筒型蓄電装置100の正極端子として機能する。具体的には、封口ユニット130は、外部の電気機器(図示されていない。)と、電池ユニット150の正極集電体154とを電気的に接続する。
【0043】
本実施形態において、封口ユニット130は、正極端子板220と、保護ユニット240と、フィルタ260とを備える。例えば、正極端子板220、保護ユニット240及びフィルタ260がこの順に重ねられた後、任意の手法により一体化されることで、封口ユニット130が作製され得る。正極端子板220、保護ユニット240及びフィルタ260を一体化する手法としては、溶接、ねじ止め、かしめ加工などが例示される。
【0044】
本実施形態において、正極端子板220は、第1面222と、第2面224とを有する。本実施形態において、正極端子板220は、第1面222の側に突出する突出部226を有する。本実施形態において、正極端子板220には、正極端子板220の一部を貫通する開口228が形成される。開口228は、突出部226に形成されてよい。
【0045】
本実施形態によれば、封口ユニット130が組み立てられた場合に、正極端子板220の第2面224と、保護ユニット240とが接触する。本実施形態において、突出部226は、例えば、円筒型蓄電装置100の正極端子として用いられる。本実施形態において、開口228は、例えば、保護ユニット240が作動し、筐体110の内部から筐体110の外部にガスを排出するためのガス排出口として用いられる。
【0046】
正極端子板220の各部は、例えば、導電性の材料(導電性材料と称される場合がある。)により構成される。導電性材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルなどの金属又は合金が例示される。正極端子板220は、単一の種類の導電性材料により構成されていてもよく、複数の種類の導電性材料により構成されていてもよい。例えば、正極端子板220は、ニッケルめっきされた鉄を加工することで作製される。
【0047】
本実施形態において、保護ユニット240は、弁体242と、PTC素子244と、インナーキャップ250とを有する。本実施形態において、インナーキャップ250は、弁体242に向かって突出する突出部256を含む。本実施形態において、インナーキャップ250には、インナーキャップ250の一部を貫通する開口258が形成される。本実施形態によれば、接合領域257において、弁体242と、インナーキャップ250とが接合している。
【0048】
本実施形態において、弁体242は、例えば、筐体110の内部と、筐体110の外部とを隔離する。弁体242は、筐体110の内部と、筐体110の外部との間における流体の移動を遮断したり、当該流体の移動量(流量と称される場合がある。)を調整したりする。本実施形態において、弁体242は、筐体110の内部の圧力(内圧と称される場合がある。)の増加に伴い、自発的に開放する。
【0049】
例えば、何らかの原因により筐体110の内圧が増加すると、弁体242は、正極端子板220に向かって膨れる。上記の内圧がさらに増加すると、接合領域257における弁体242及びインナーキャップ250の接合が外れ、接合領域257における弁体242及びインナーキャップ250の電流経路が遮断される。これにより、円筒型蓄電装置100の内圧が予め定められた値(第1閾値と称される場合がある。)よりも大きい場合に、電池ユニット150及び正極端子板220の間の電流が制限され得る。
【0050】
上記の内圧がさらに増加すると、弁体242が破断する。これにより、筐体110の内部で発生したガスが、開口228を介して、筐体110の外部に流出し得る。その結果、筐体110の内圧の上昇による筐体110の破損が抑制される。
【0051】
本実施形態において、PTC素子244は、弁体242及びインナーキャップ250の間に配される。PTC素子244は、例えば、弁体242及びインナーキャップ250に接する。PTC素子244は、正の温度係数(PTC:Positive Temperature Coefficient)を有し、過電流保護素子として用いられる。PTC素子244は、リセッタブルなヒューズとして用いられてよい。
【0052】
PTC素子244は、室温程度の温度においては比較的小さな抵抗値を示す。PTC素子244に電流が流れると、PTC素子244が自己発熱して、PTC素子244の温度が増加する。PTC素子244の温度がキュリー温度を超えると、PTC素子244の抵抗値が急激に増加する。例えば、円筒型蓄電装置100の外部短絡が発生すると、PTC素子244の抵抗値が増加する。これにより、短絡電流が遮断される。
【0053】
上記のとおり、本実施形態によれば、円筒型蓄電装置100の出力電流が予め定められた値(第2閾値と称される場合がある。)よりも大きい場合に、電池ユニット150及び正極端子板220の間の電流が制限され得る。これにより、電池ユニット150が、過電流から保護され得る。
【0054】
一実施形態によれば、電池ユニット150及び正極端子板220の間の電流が遮断される。他の実施形態によれば、電池ユニット150及び正極端子板220の間の電流に上限が設けられる。さらに他の実施形態によれば、上記の出力電流が第2閾値以下である場合と比較して、上記の電流の電流値が小さくなるように、当該電流が調整される。
【0055】
本実施形態において、インナーキャップ250は、弁体242を保持する。上述されたとおり、インナーキャップ250は、接合領域257において、弁体242と接合される。弁体242及びインナーキャップ250の接合方法は特に限定されるものではないが、弁体242及びインナーキャップ250は、例えば超音波溶着により接合される。例えば、筐体110の内部でガスが発生した場合、当該ガスは、開口258を介して弁体242及びインナーキャップ250の隙間に流入する。これにより、弁体242が、正極端子板220に向かって膨らむ。
【0056】
弁体242及びインナーキャップ250のそれぞれは、例えば、導電性の材料(導電性材料と称される場合がある。)により構成される。導電性材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルなどの金属又は合金が例示される。弁体242及びインナーキャップ250のそれぞれは、単一の種類の導電性材料により構成されていてもよく、複数の種類の導電性材料により構成されていてもよい。例えば、弁体242及びインナーキャップ250は、アルミニウム製である。
【0057】
本実施形態において、フィルタ260は、第1面262と、第2面264とを有する。本実施形態において、フィルタ260は、第2面264の側に突出する突出部266を有する。本実施形態において、フィルタ260には、フィルタ260の一部を貫通する開口268が形成される。これにより、例えば、筐体110の内部でガスが発生した場合、当該ガスは、開口268及び開口258を介して、弁体242及びインナーキャップ250の隙間に流入する。
【0058】
本実施形態によれば、封口ユニット130が組み立てられた場合に、フィルタ260の第1面262と、保護ユニット240のインナーキャップ250とが接触する。本実施形態において、フィルタ260は、例えば、導電性の材料(導電性材料と称される場合がある。)により構成される。導電性材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルなどの金属又は合金が例示される。フィルタ260は、単一の種類の導電性材料により構成されていてもよく、複数の種類の導電性材料により構成されていてもよい。例えば、フィルタ260は、アルミニウム製である。
【0059】
保護ユニット240は、制限部の一例であってよい。弁体242は、制限部の一例であってよい。PTC素子244は、制限部の一例であってよい。
【0060】
(電池ユニット150の概要)
図3及び図4を用いて、電池ユニット150の詳細が説明される。図3は、電池ユニット150の積層構造の一例を概略的に示す。図4は、電池ユニット150を構成する基本的な電池要素の一例を概略的に示す。
【0061】
図3に示されるとおり、本実施形態において、電池ユニット150は、負極活物質層310、固体電解質層320及び正極活物質層330をこの順に有する積層体(基本ユニットと称される場合がある。)を備える。基本ユニットは基本的な電池要素であり、固体電解質層320を介して対向する負極活物質層310及び正極活物質層330の間でイオンが伝導することで、当該基本ユニットが電池として機能する。
【0062】
基本ユニットは、例えば、外部の電気機器から円筒型蓄電装置100に供給された電気エネルギーを蓄積する(基本ユニットの充電と称される場合がある)。基本ユニットは、例えば、外部の電気機器に電気エネルギーを供給する(基本ユニットの放電又は発電と称される場合がある)。基本ユニットの詳細は後述される。
【0063】
本実施形態において、電池ユニット150は、複数の基本ユニットを備える。具体的には、電池ユニット150は、負極集電体152と、負極活物質層310と、固体電解質層320と、正極活物質層330と、正極集電体154と、正極活物質層330と、固体電解質層320と、負極活物質層310と、負極集電体152と、負極活物質層310と、固体電解質層320と、正極活物質層330と、正極集電体154と、正極活物質層330と、固体電解質層320と、負極活物質層310と、負極集電体152とを、この順に含む。
【0064】
本実施形態において、電池ユニット150は、1以上の絶縁部材340をさらに備える。1以上の絶縁部材340のそれぞれは、例えば、電池ユニット150の側面に配される。本実施形態において、電池ユニット150は、1以上の絶縁部材350をさらに備える。1以上の絶縁部材350のそれぞれは、例えば、電池ユニット150の側面に配される。電池ユニット150の側面は、例えば、電池ユニット150の各層の積層方向(図中、上下方向である。)に略平行な面である。
【0065】
本実施形態において、負極配線162は、電池ユニット150に含まれる3個の負極集電体152を電気的に接続する。負極配線162は、底板114と電気的に接続される。本実施形態において、正極配線164は、電池ユニット150に含まれる2個の正極集電体154を電気的に接続する。正極配線164は、封口ユニット130と電気的に接続される。具体的には、正極配線164は、正極リード170を介して封口ユニット130と電気的に接続される。
【0066】
本実施形態においては、電池ユニット150の理解を容易にすることを目的として、隣接する2つの層が接する場合を例として、電池ユニット150の詳細が説明される。しかしながら、電池ユニット150は、本実施形態に限定されない。電池ユニット150は、電池としての機能が阻害されない範囲で任意の他の層を備えてよい。例えば、他の実施形態によれば、本実施形態において隣接するとされている2つの層の間に、他の層が配される。
【0067】
上述されたとおり、本実施形態において、電池ユニット150は、複数の基本ユニットを備える。本実施形態において、隣接して配される2つの基本ユニットの間には、負極集電体152又は正極集電体154が配される。単一の基本ユニットは、一対の負極集電体152及び正極集電体154の間に配される。複数の基本ユニットのそれぞれは、筐体110の内部に配される負極配線162及び正極配線164により任意の態様で電気的に接続され得る。
【0068】
図3に係る実施形態によれば、4個の基本ユニットが並列に電気的に接続される場合を例として、電池ユニット150の詳細が説明される。しかしながら、電池ユニット150は本実施形態に限定されない。
【0069】
他の実施形態において、電池ユニット150に含まれる基本ユニットの個数は1個であってもよく、2個であってもよく、3個であってもよく、5個以上であってもよい。また、他の実施形態において、2以上の基本ユニットが直列に電気的に接続されてよい。さらに他の実施形態において、2以上の基本ユニットが並列に電気的に接続されてよい。さらに他の実施形態において、並列に電気的に接続された2以上の基本ユニットが、他の基本ユニットと直列に電気的に接続されてもよい。
【0070】
(電池ユニット150の各部の詳細)
本実施形態において、負極集電体152は、負極活物質層310と、円筒型蓄電装置100の負極端子とを電気的に接続する。負極集電体152は、円筒型蓄電装置100の仕様に応じた導電性を有していればよく、負極集電体152の大きさ、構造及び材質は特に限定されない。負極集電体152としては、(i)板状、膜状、シート状又は箔状の金属又は導電性樹脂、(ii)板状、膜状、シート状の樹脂の少なくとも一方の面に金属層が配された構造体などが例示される。上記の金属としては、銅、アルミニウム、ステンレススチール、鉄、ニッケル、チタン又はこれらの合金などが例示される。
【0071】
上述されたとおり、本実施形態において、筐体110の底板114は、円筒型蓄電装置100の負極端子として機能する。一実施形態において、負極活物質層310と電気的に接続された負極集電体152の一部が底板114と接することにより、負極活物質層310と、底板114とが電気的に接続される。他の実施形態において、負極活物質層310と電気的に接続された負極集電体152の一部が、負極配線162を介して底板114と電気的に接続されることにより、負極活物質層310と、底板114とが電気的に接続される。
【0072】
本実施形態において、正極集電体154は、正極活物質層330と、円筒型蓄電装置100の正極端子とを電気的に接続する。正極集電体154は、円筒型蓄電装置100の仕様に応じた導電性を有していればよく、正極集電体154の大きさ、構造及び材質は特に限定されない。正極集電体154としては、(i)板状、膜状、シート状又は箔状の金属又は導電性樹脂、(ii)板状、膜状、シート状の樹脂の少なくとも一方の面に金属層が配された構造体などが例示される。上記の金属としては、銅、アルミニウム、ステンレススチール、鉄、ニッケル、チタン又はこれらの合金などが例示される。
【0073】
上述されたとおり、本実施形態において、封口ユニット130の正極端子板220は、円筒型蓄電装置100の正極端子として機能する。正極集電体154は、例えば、2個の正極活物質層330の間に配される。正極集電体154は、例えば、正極配線164及び保護ユニット240を介して、正極端子板220と電気的に接続される。これにより、正極活物質層330と、正極端子板220とが電気的に接続される。
【0074】
本実施形態において、負極活物質層310は、任意の種類の負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、円筒型蓄電装置100のキャリアイオンを吸蔵及び放出することのできる各種の物質が用いられる。負極活物質は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。これらの負極活物質は単独で用いられてもよく、2種以上の負極活物質が組み合せられてもよい。
【0075】
負極活物質として用いられる無機化合物(無機負極活物質と称される場合がある。)としては、(i)キャリア金属及びこれを含む合金、(ii)スズ、シリコン及びこれらを含む合金、(iii)珪素酸化物、(iv)チタン酸化物などが例示される。例えば、円筒型蓄電装置100がリチウム二次電池である場合、負極活物質として、金属リチウム、リチウム・チタン酸化物(LTO)などが用いられる。キャリア金属を含まない材料が負極活物質として用いられる場合、当該材料にキャリア金属がプレドープされてよい。
【0076】
負極活物質として用いられる有機化合物(有機負極活物質と称される場合がある。)としては、各種の酸化還元活性な化合物が有機負極活物質として用いられる。有機負極活物質としては、共役系高分子、ジスルフィド、キノン、局在型ラジカル、非局在型ラジカルなどが例示される。
【0077】
負極活物質層310は、負極活物質に加えて、結着材料、導電性材料及びイオン伝導性材料の少なくとも1種をさらに含んでもよい。負極活物質層310は、1種以上の結着材料を含んでもよく、1種以上の導電性材料を含んでもよく、1種以上のイオン伝導性材料を含んでもよい。
【0078】
結着材料は、負極活物質層310を構成する材料を結着し、負極活物質層310の形状を保持する。結着材料としては、例えば、各種の高分子材料が用いられる。上記の高分子材料としては、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体などが例示される。
【0079】
導電性材料は、負極活物質層310の導電率を向上させる。導電性材料としては、炭素系材料、金属系材料、導電性高分子材料などが例示される。炭素系材料としては、黒鉛、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどである)、コークス、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが例示される。金属系材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、チタン、ニッケルなどが例示される。導電性高分子材料としては、ポリフェニレン誘導体などが例示される。
【0080】
イオン伝導性材料は、負極活物質層310におけるキャリアイオンの伝導性を向上させる。イオン伝導性材料としては、例えば、各種の固体電解質が用いられる。固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、高分子固体電解質などが例示される。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体から選択される少なくとも1種の化合物が例示される。
【0081】
負極活物質層310は、円筒型蓄電装置100のキャリア金属の金属箔であってもよい。この場合、当該金属箔が負極集電体152として機能し得ることから、電池ユニット150は、負極集電体152を備えなくてもよい。
【0082】
本実施形態において、固体電解質層320は、固体電解質を主成分として含む。固体電解質層320は、例えば、50質量%超の固体電解質を含む。固体電解質層320は、例えば、80質量%以上の固体電解質を含んでもよく、90質量%以上の固体電解質を含んでもよい。
【0083】
固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、高分子固体電解質などが例示される。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体から選択される少なくとも1種の化合物が例示される。
【0084】
固体電解質層320は、結着材料を含んでもよい。結着材料としては、例えば、絶縁性の高分子材料が用いられる。
【0085】
固体電解質層320は、各基本ユニットのセパレータとして機能する。固体電解質層320は、電気絶縁性及びイオン伝導性を有する。固体電解質層320は、負極活物質層310及び正極活物質層330を電気的に絶縁する。固体電解質層320は、負極活物質層310及び正極活物質層330の間でキャリアイオンを伝導させる。
【0086】
本実施形態において、正極活物質層330は、任意の種類の正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、円筒型蓄電装置100のキャリアイオンを吸蔵及び放出することのできる各種の物質が用いられる。正極活物質は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。これらの正極活物質は単独で用いられてもよく、2種以上の正極活物質が組み合せられてもよい。
【0087】
正極活物質として用いられる無機化合物(無機正極活物質と称される場合がある。)としては、金属酸化物、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属ホウ酸塩などが例示される。上記の金属としては、V、Mn、Ni、Coなどの遷移金属が例示される。
【0088】
正極活物質として用いられる有機化合物(有機正極活物質と称される場合がある。)としては、各種の酸化還元活性な化合物が有機正極活物質として用いられる。有機正極活物質としては、共役系高分子、ジスルフィド、キノン、局在型ラジカル、非局在型ラジカルなどが例示される。
【0089】
正極活物質層330は、正極活物質に加えて、結着材料、導電性材料及びイオン伝導性材料の少なくとも1種をさらに含んでもよい。正極活物質層330は、1種以上の結着材料を含んでもよく、1種以上の導電性材料を含んでもよく、1種以上のイオン伝導性材料を含んでもよい。結着材料として、負極活物質層310に関連して説明された結着材料が用いられてよい。導電性材料として、負極活物質層310に関連して説明された導電性材料が用いられてよい。イオン伝導性材料として、負極活物質層310に関連して説明されたイオン伝導性材料が用いられてよい。
【0090】
本実施形態において、絶縁部材340は、絶縁性の材料により構成される。絶縁部材340は、正極集電体154と、負極配線162とを電気的に絶縁する。絶縁部材340は、例えば、正極活物質層330に接する正極集電体154の端部の少なくとも一部を覆うように配される。絶縁部材340は、例えば、電池ユニット150の側面から露出する正極集電体154のうち、負極配線162の近傍に位置する正極集電体154を覆うように配される。絶縁部材340は、例えば、2個の正極活物質層330の間に配される正極集電体154の端部の少なくとも一部を覆うように配される。絶縁部材340は、例えば、2個の正極活物質層330の間から露出する正極集電体154の端部の少なくとも一部を覆うように配される。
【0091】
絶縁部材340は、正極集電体154と、負極配線162との間に配される。絶縁部材340は、2個の正極活物質層330の側面を一周するように配されてもよい。絶縁部材340は、2個の正極活物質層330の側面のうち、負極配線162の近傍に位置する領域を覆うように配されてもよい。
【0092】
本実施形態において、絶縁部材350は、絶縁性の材料により構成される。絶縁部材350は、負極集電体152と、正極配線164とを電気的に絶縁する。絶縁部材350は、例えば、負極活物質層310に接する負極集電体152の端部の少なくとも一部を覆うように配される。絶縁部材350は、例えば、電池ユニット150の側面から露出する負極集電体152のうち、正極配線164の近傍に位置する負極集電体152を覆うように配される。絶縁部材350は、例えば、2個の負極活物質層310の間に配される負極集電体152の端部の少なくとも一部を覆うように配される。絶縁部材350は、例えば、2個の負極活物質層310の間から露出する負極集電体152の端部の少なくとも一部を覆うように配される。
【0093】
絶縁部材350は、負極集電体152と、正極配線164との間に配される。絶縁部材350は、2個の負極活物質層310の側面を一周するように配されてもよい。絶縁部材350は、2個の負極活物質層310の側面のうち、正極配線164の近傍に位置する領域を覆うように配されてもよい。
【0094】
負極活物質層310は、第1活物質層及び第2活物質層の一方の一例であってよい。正極活物質層330は、第1活物質層及び第2活物質層の他方の一例であってよい。より具体的には、負極活物質層310は第1活物質層の一例であり、正極活物質層330は、第2活物質層の一例であってよい。絶縁部材340は、第2絶縁部材及び第3絶縁部材の一方の一例であってよい。絶縁部材350は、第2絶縁部材及び第3絶縁部材の他方の一例であってよい。より具体的には絶縁部材340は第2絶縁部材の一例であり、絶縁部材350は第3絶縁部材の一例であってよい。
【0095】
負極集電体152は第1集電体の一例であり、正極集電体154は第2集電体の一例であってよい。電池ユニット150に含まれる3個の負極集電体152のそれぞれは、第1集電体、第3集電体又は第5集電体の一例であってよい。電池ユニット150に含まれる2個の正極集電体154のそれぞれは、第2集電体又は第4集電体の一例であってよい。電池ユニット150に含まれる4個の基本ユニットのそれぞれは、第1発電素子、第2発電素子、第3発電素子又は第4発電素子の一例であってよい。
【0096】
図4は、電池ユニット150を構成する基本的な電池要素(基本ユニットと称される場合がある。)の一例を概略的に示す。本実施形態において、電池ユニット150は、基本ユニット422及び基本ユニット442を含む複数の基本ユニットを備える。本実施形態において、基本ユニット422は、負極活物質層310と、固体電解質層320と、正極活物質層330とをこの順に有する。同様に、基本ユニット442は、負極活物質層310と、固体電解質層320と、正極活物質層330とをこの順に有する。
【0097】
本実施形態において、基本ユニット422は、負極集電体152と、正極集電体154との間に配される。これにより、電池として機能する素子420が形成される。同様に、基本ユニット442は、負極集電体152と、正極集電体154との間に配される。これにより、電池として機能する素子440が形成される。
【0098】
本実施形態においては、基本ユニット422の正極活物質層330と、基本ユニット442の正極活物質層330とが、単一の正極集電体154を介して対向するように配される。これにより、2個の基本ユニットが積層された構造体が得られる。
【0099】
基本ユニット422は、発電素子の一例であってよい。基本ユニット422は、第1発電素子及び第2発電素子の一方の一例であってよい。基本ユニット442は、発電素子の一例であってよい。基本ユニット442は、第1発電素子及び第2発電素子の他方の一例であってよい。
【0100】
図5は、電池ユニット500(積層体)の積層構造の一例を概略的に示す。電池ユニット500は、複数の電池ユニット150が直列に電気的に接続された構造体の一例であってよい。本実施形態において、電池ユニット500は、電池ユニット150と、電池ユニット550とを備える。電池ユニット550は、電池ユニット150と同様の構成を有してよい。
【0101】
本実施形態において、電池ユニット550の正極配線164は、円筒型蓄電装置100の正極端子と電気的に接続される。具体的には、電池ユニット550の正極配線164は、正極リード170を介して、封口ユニット130と電気的に接続される。一方、電池ユニット150の負極配線162は、円筒型蓄電装置100の負極端子と電気的に接続される。具体的には、電池ユニット150の負極配線162は、筐体110の114に物理的に接続される。
【0102】
本実施形態において、電池ユニット550は、電池ユニット150の正極配線164と、電池ユニット550の負極配線162とを電気的に接続する接続配線560を備える。上述されたとおり、電池ユニット150は、並列に電気的に接続された4個の基本ユニットを有する。電池ユニット150の正極配線164と、電池ユニット550の負極配線162とが電気的に接続されることにより、並列に電気的に接続された4個の基本ユニットと、並列に電気的に接続された4個の基本ユニットとが直列に電気的に接続された電池が得られる。
【実施例0103】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0104】
(実施例1)
(電池素子の製造)
正極活物質として、LiNi1/3Mn1/3Co1/3(NCMと称される場合がある。)を準備した。硫化物系固体電解質として、Lithium phosphorus sulfur chloride(LPSClと称される場合がある。)を準備した。導電助剤として、カーボンブラックを準備した。次に、NCM18.0g、LPSCl6.0g及びカーボンブラック0.3gを混合して、正極合剤を調整した。
【0105】
正極集電体として、直径が17.1mmの円形のアルミニウム箔を準備した。負極活物質として、厚さ20μmで直径が17.1mmの円形のリチウム金属箔(純度99.5%以上)を準備した。負極集電体として、直径が17.1mmの円形の銅箔を準備した。
【0106】
次に、両端が開口された筒状の容器を準備した。上記の容器の内径は、17.1mmであった。アルゴン雰囲気のグローブボックス内において、容器の内部にLPSCl0.01gを入れて、1トンの圧力でプレスした。これにより、容器の内部に固体電解質層が形成された。
【0107】
次に、上記の容器の一方の側の開口から、容器の内部に、上述された正極合剤0.18gを入れて、6トンの圧力でプレスした。これにより、容器の内部において、固体電解層の一方の面の上に正極活物質層が形成された。次に、上記の開口から、容器の内部に、正極集電体としてのアルミニウム箔を挿入した。
【0108】
次に、上記の容器の他方の側の開口から、容器の内部に、負極活物質としてのリチウム金属と、負極集電体としての銅箔とをこの順に挿入した。その後、容器の内容物を1トンの圧力でプレスした。これにより、正極集電箔、正極活物質層、固体電解質、金属リチウム層及び負極集電箔をこの順に有する電池素子が得られた。同様の手順により、8個の電池素子を作製した。
【0109】
(電池ユニットの製造)
上述の手順により作製された8個の電池素子を用いて、4個の電池素子が積層された第1電池ユニットと、4個の電池素子が積層された第2電池ユニットとを作製した。第1電池ユニット及び第2電池ユニットのそれぞれは、下記の手順により作製された。
【0110】
まず、2個の電池素子の正極同士が重なり合うように、当該2個の電池素子を積層した。同様に、他の2個の電池素子の正極同士が重なり合うように、当該2個の電池素子を積層した。これにより、2個の電池素子の積層体(2連結体と称される場合がある。)が2組得られた。次に、2個の2連結体の負極同士が重なり合うように、当該2個の2連結体を積層した。
【0111】
次に、積層された2個の2連結体に含まれる正極集電体をアルミニウム製のタブで接続した。また、積層された2個の2連結体に含まれる負極集電体を銅製のタブで接続した。さらに、積層された2個の2連結体と、アルミニウム製のタブとが直接接触しないように、当該2連結体の側面に絶縁フィルムを配置した。同様に、積層された2個の2連結体と、銅製のタブとが直接接触しないように、当該2連結体の側面に絶縁フィルムを配置した。これにより、上述された電池ユニット150を同様の構成を有する電池ユニットが得られた。同様の手順を繰り返すことにより、第1電池ユニット及び第2電池ユニットが得られた。
【0112】
(円筒型全固体電池の製造)
上述の手順により作製された第1電池ユニット及び第2電池ユニットを、絶縁フィルムを介して積層した。次に、第1電池ユニットの負極タブ(負極集電体の一部である。)と、第2電池ユニットの正極タブ(正極集電体の一部である。)とを、銅製のタブで接続した。これにより、電池ユニット500と同様の構成を有する電池構造体が得られた。
【0113】
次に、上述された封口ユニット130と同様の構成を有する封口体を準備した。また、上記の電池構造体に含まれる第2電池ユニットの負極タブ(負極集電体の一部である。)と、封口体とをアルミニウム製のタブで接続した。
【0114】
次に、外径が18mmで、高さが10mmの円筒形状の金属製ケースを準備した。金属製ケースの一方の端部には、負極端子として機能する底板が配されていた。金属製ケースの他方の端部には、開口が形成されていた。
【0115】
次に、上記の電池構造体と、上記の封口体との間に絶縁フィルムを配置した後、電池構造体の負極側と、金属製ケースの底板とが接触するように、電池構造体を金属製ケースの内部に収容した。金属製ケースの開口にガスケットを配置した後、上記の電池構造体と接続された封口体を用いて、金属製ケースの開口を封止した。これにより、円筒型全固体電池が得られた。同様の手順により、100個の円筒型全固体電池を作製した。
【0116】
(実施例2~9及び比較例1)
電池素子の容器の内径、及び、電池素子の各部の直径を変更した点を除き、実施例1と同様の手順により、それぞれ、100個の円筒型全固体電池を作製した。上述されたとおり、電池素子の各部の直径は、電池素子の容器の内径と略同一である。(i)各例の電池素子の容器の内面積[cm]と、(ii)各例の電池素子の単位面積当たりの設計容量[mAh/cm]を各例の電池素子の容器の内面積[cm]で除して得られた値[mAh/cm]とを、表1に示す。上述されたとおり、電池素子の単位面積当たりの設計容量を、電池素子の容器の内面積で除して得られる指標は、容量パラメータと称される。
【0117】
【表1】
【0118】
(評価)
各実施例及び比較例について、各例において作製された100個の円筒型全固体電池のそれぞれについて充放電試験を実施し、各電池の放電容量を決定した。また、100個の円筒型全固体電池の放電容量の標準偏差を算出した。また、各実施例及び比較例において、放電容量が設計容量の99.8%未満となった電池を不良電池としてカウントした。
【0119】
充放電試験は、下記の手順に従って実施した。まず、25℃の恒温槽で、実施例及び比較例の電池をCレートが0.1Cとなる電流密度で、4.3Vの電圧に達するまで、一定電流条件における充電を行った。次に、0.1Cとなる電流密度で、3.0Vの電圧に達するまで、一定電流条件下における放電を行った。上記の充放電を3サイクル実施し、3サイクル目の放電容量を、各例における放電容量として決定した。
【0120】
各実施例及び比較例における放電容量の標準偏差を、表1に示す。また、各実施例及び比較例における不良電池の個数を、表1に示す。表1に示されるとおり、容量パラメータの値が0.03mAh/cm以上である場合には、放電容量の標準偏差が非常に小さいことがわかる。また、容量パラメータの値が0.03mAh/cm以上である場合には、不良電池の個数が非常に小さいことがわかる。
【0121】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0122】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0123】
100 円筒型蓄電装置、110 筐体、112 筒状部材、114 底板、116 開口、120 絶縁部材、130 封口ユニット、140 ガスケット、150 電池ユニット、152 負極集電体、154 正極集電体、162 負極配線、164 正極配線、166 絶縁部材、170 正極リード、220 正極端子板、222 第1面、224 第2面、226 突出部、228 開口、240 保護ユニット、242 弁体、244 PTC素子、250 インナーキャップ、256 突出部、257 接合領域、258 開口、260 フィルタ、262 第1面、264 第2面、266 突出部、268 開口、310 負極活物質層、320 固体電解質層、330 正極活物質層、340 絶縁部材、350 絶縁部材、420 素子、422 基本ユニット、440 素子、442 基本ユニット、500 電池ユニット、550 電池ユニット、560 接続配線
図1
図2
図3
図4
図5