特開 2024-135011 ケーブル抜け止め機構

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024135011

(43)【公開日】2024-10-04

(54)【発明の名称】ケーブル抜け止め機構

(51)【国際特許分類】

   H01R 13/629 20060101AFI20240927BHJP

【ＦＩ】

H01R13/629

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023045496

(22)【出願日】2023-03-22

(71)【出願人】

【識別番号】391001228

【氏名又は名称】三陽工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100091373

【弁理士】

【氏名又は名称】吉井 剛

(72)【発明者】

【氏名】計盛 利樹

【テーマコード（参考）】

5E021

【Ｆターム（参考）】

5E021FA05

5E021FA09

5E021FA14

5E021FA16

5E021FB07

5E021FB14

5E021FC31

5E021FC36

5E021HC09

5E021HC12

(57)【要約】

【課題】ネジ式と同様に強固に固定でき、しかも、ネジ式よりも固定・解除操作が簡単で、ケーブル本体の引き回し方向が制限されず、樹脂成型部分を小型化することも可能なケーブル抜け止め機構を提供する。
【解決手段】ケーブル本体１のケーブル側コネクタ２を、相手側コネクタ３に嵌合した状態で維持する抜け止め機構であって、前記ケーブル側コネクタ２を保護する合成樹脂製の保護部材４と、前記保護部材４に一部が埋設され前記ケーブル側コネクタ２の挿抜方向に対して交差する方向に突出する一対の金属製の軸部材５と、前記軸部材５に保持され、前記相手側コネクタ３の近傍位置に設けられた一対の被係止部10に係止する係止部７を有するロック部材６とを有し、前記ロック部材６は、前記ケーブル側コネクタ２と前記相手側コネクタ３とを嵌合した状態でロックする第一の位置と、前記ロックを解除可能な第二の位置とに切替可能に構成する。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ケーブル本体の端部に設けられたケーブル側コネクタを、相手側コネクタに嵌合した状態で維持する抜け止め機構であって、
前記ケーブル側コネクタを保護する合成樹脂製の保護部材と、
前記保護部材に一部が埋設され前記ケーブル側コネクタの挿抜方向に対して交差する方向に突出する一対の金属製の軸部材と、
前記軸部材に保持され、前記相手側コネクタの近傍位置に設けられた一対の被係止部に係止する係止部を有するロック部材とを有し、
前記ロック部材は、前記係止部を前記被係止部に係止させることで前記ケーブル側コネクタと前記相手側コネクタとを嵌合した状態でロックする第一の位置と、前記係止部の係止を解除して前記ロックを解除可能な第二の位置とに切替可能に構成されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【請求項2】

請求項１記載のケーブル抜け止め機構において、前記軸部材は前記ケーブル側コネクタを挟む位置に夫々設けられていることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【請求項3】

請求項１記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材は前記第一の位置に向かって付勢されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【請求項4】

請求項２記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材は前記第一の位置に向かって付勢されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【請求項5】

請求項１～４いずれか１項に記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材は金属製であることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【請求項6】

請求項５記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材は前記一対の軸部材をガイド軸として前記第一の位置と前記第二の位置との間をスライド移動可能に構成されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【請求項7】

請求項５記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材は前記一対の軸部材に夫々設けられ、この軸部材を夫々回動軸として前記第一の位置と前記第二の位置との間を回動可能に構成されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ケーブル抜け止め機構に関するものである。

【背景技術】

【0002】

コネクタ（ＵＳＢ端子等）を有する一般的なコネクタケーブルは、コネクタ部分が、金型により成形されるポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）樹脂で保護されている。

【0003】

このようなコネクタケーブルのコネクタ51と、筐体等に設けられる相手方コネクタ52とを嵌合した後、固定する手法としては、例えば特許文献１等に開示されるようなものがある。

【0004】

具体的には、図１に図示したように、相手方コネクタ52の左右位置に設けられる雌ネジ部53に夫々螺合する雄ネジ部54を、コネクタケーブルのＰＶＣ樹脂部分55の幅方向両端部に夫々設け、コネクタ51を相手方コネクタ52内に挿し込み嵌合させた後、摘み部56を回動操作して雄ネジ部54を雌ネジ部53に螺合させることで固定する手法が広く用いられている。なお、図１中、符号50はケーブル本体、57は相手方コネクタ52が設けられる筐体である。

【0005】

上記手法は、雄ネジ部54および雌ネジ部53を金属製とすることで、コネクタケーブルを強固に固定することができ、また、ＰＶＣ樹脂部分55の摩耗等も生じないことから広く用いられている。

【0006】

ところで、上記手法においては、雄ネジ部54および摘み部56をコネクタの挿抜方向（図１中Ｘ軸方向）と平行に設けるため、ＰＶＣ樹脂部分55のサイズが挿抜方向に大きくならざるを得ない。

【0007】

また、図１中Ｚ軸方向（コネクタ幅方向）にケーブル本体50を引き回そうとすると、ケーブル本体50が引き回し方向と重なる左右いずれかの雄ネジ部54等と干渉するため、Ｚ軸方向へのケーブル本体50の引き回しを良好に行うには、干渉する側の雄ネジ部等を設けない構造（雄ネジ部を左右いずれか一本とする構造）としたり、雄ネジ部54等を迂回してケーブル本体50を引き回せる構造としたりする必要がある。

【0008】

しかしながら、干渉する側の雄ネジ部54等を設けない場合には、それだけ固定力が低下し、一本の雄ネジ部54を中心とする捻り方向の負荷が生じる。また、雄ネジ部54等を迂回して引き回せる構造とする場合には、ＰＶＣ樹脂部分55の挿抜方向への更なるサイズアップは避けられない。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0009】

【特許文献1】特開２００５－１０９４３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0010】

本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、ネジ式と同様に強固に固定でき、しかも、ネジ式よりも固定・解除操作が簡単で、ケーブル本体の引き回し方向が制限されず、樹脂成型部分を小型化することも可能な、これまでにないケーブル抜け止め機構を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。

【0012】

ケーブル本体１の端部に設けられたケーブル側コネクタ２を、相手側コネクタ３に嵌合した状態で維持する抜け止め機構であって、
前記ケーブル側コネクタ２を保護する合成樹脂製の保護部材４と、
前記保護部材４に一部が埋設され前記ケーブル側コネクタ２の挿抜方向に対して交差する方向に突出する一対の金属製の軸部材５と、
前記軸部材５に保持され、前記相手側コネクタ３の近傍位置に設けられた一対の被係止部10に係止する係止部７を有するロック部材６とを有し、
前記ロック部材６は、前記係止部７を前記被係止部10に係止させることで前記ケーブル側コネクタ２と前記相手側コネクタ３とを嵌合した状態でロックする第一の位置と、前記係止部７の係止を解除して前記ロックを解除可能な第二の位置とに切替可能に構成されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【0013】

また、請求項１記載のケーブル抜け止め機構において、前記軸部材５は前記ケーブル側コネクタ２を挟む位置に夫々設けられていることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【0014】

また、請求項１記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材６は前記第一の位置に向かって付勢されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【0015】

また、請求項２記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材６は前記第一の位置に向かって付勢されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【0016】

また、請求項１～４いずれか１項に記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材６は金属製であることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【0017】

また、請求項５記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材６は前記一対の軸部材５をガイド軸として前記第一の位置と前記第二の位置との間をスライド移動可能に構成されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【0018】

また、請求項５記載のケーブル抜け止め機構において、前記ロック部材６は前記一対の軸部材５に夫々設けられ、この軸部材５を夫々回動軸として前記第一の位置と前記第二の位置との間を回動可能に構成されていることを特徴とするケーブル抜け止め機構に係るものである。

【発明の効果】

【0019】

本発明は上述のように構成したから、ネジ式と同様に強固に固定でき、しかも、ネジ式よりも固定・解除操作が簡単で、ケーブル本体の引き回し方向が制限されず、樹脂成型部分を小型化することも可能な、これまでにないケーブル抜け止め機構となる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】従来例の概略説明斜視図である。

【図2】本実施例の概略説明斜視図である。

【図3】本実施例の要部の拡大概略説明図である。

【図4】本実施例の分解説明斜視図である。

【図5】別例の概略説明斜視図である。

【図6】別例の分解説明斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。

【0022】

ケーブル側コネクタ２を相手側コネクタ３に嵌合した後、ロック部材６を第一の位置に位置せしめケーブル側コネクタ２と相手側コネクタ３とを嵌合状態でロックする。

【0023】

この際、ロック部材６は、金属製の軸部材５により保持されるから、ケーブル側コネクタ２を抜去する方向に力が加わってもロック部材６は良好に支持され、合成樹脂製の保護部材４の破損が防止される。

【0024】

また、軸部材５はケーブル側コネクタ２の挿抜方向と交差する方向に突出するものであり、従来の雄ネジ部54等のように挿抜方向と平行に設けられる構成ではないから、保護部材４の挿抜方向のサイズを可及的に小さくすることができ、樹脂成型部分の小型化を図ることが可能となり、さらに、Ｚ軸方向（コネクタ幅方向）へのケーブル本体１の引き回しも阻害され難い。

【0025】

そのため、ロック部材６は一対の軸部材５および一対の被係止部10に保持・係止される構成とすることができ、従来例のように一本の雄ネジ部で固定した場合に生じるような捻り方向の負荷も生じ難い。

【0026】

さらに、ロック部材６を第二の位置に位置せしめるだけでロックを解除できるから、ネジ式に比べて固定・解除操作を簡単に行えることになる。

【実施例0027】

本発明の具体的な実施例について図２～図６に基づいて説明する。

【0028】

本実施例は、信号ケーブルのケーブル本体１の端部に設けられたケーブル側コネクタ２を、相手側コネクタ３に嵌合した状態で維持する抜け止め機構である。

【0029】

具体的には、図２～４に図示したように、前記ケーブル側コネクタ２を保護する合成樹脂製の保護部材４と、前記保護部材４に一部が埋設され前記ケーブル側コネクタ２の挿抜方向に対して交差する方向に突出する一対の金属製の軸部材５と、前記軸部材５に保持され、前記相手側コネクタ３の近傍位置に設けられた一対の被係止部10に係止する係止部７を有するロック部材６とを有し、前記ロック部材６は、前記係止部７を前記被係止部10に係止させることで前記ケーブル側コネクタ２と前記相手側コネクタ３とを嵌合した状態でロックする第一の位置と、前記係止部７の係止を解除して前記ロックを解除可能な第二の位置とに切替可能に構成されているものである。

【0030】

なお、本実施例では、ケーブル側コネクタ２がＵＳＢＴｙｐｅ－Ｃ端子である場合（信号ケーブル１がＵＳＢＴｙｐｅ－Ｃケーブルである場合）について説明するが、ＨＤＭＩ（登録商標）等、他の端子を備えるケーブルの場合も同様に本発明を適用可能である。

【0031】

各部を具体的に説明する。本実施例では、ケーブル側コネクタ２の挿抜方向をＸ軸方向、Ｘ軸方向と直交するコネクタ厚さ方向（上下方向）をＹ軸方向、Ｘ軸方向およびＹ軸方向と直交するコネクタ幅方向（左右方向）をＺ軸方向として以下説明する。

【0032】

信号ケーブルは、紐状のケーブル本体１と、ケーブル本体１の端部（両端若しくは一端）に設けられたケーブル側コネクタ２とを含むものであり、２台の電子機器を接続し各電子機器が相互に信号を送受信するために用いられる。

【0033】

また、ケーブル本体１は、内部の信号線等の線材と該線材を被覆する絶縁体からなる被覆部とを含んで構成されており、ケーブル側コネクタ２を含むケーブル本体１の両端部には合成樹脂製の保護部材４が設けられている。本実施例ではポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）樹脂製の保護部材４が設けられている。この保護部材４は金型により成形される。

【0034】

保護部材４には、一部が保護部材４に埋設されケーブル側コネクタ２の挿抜方向（Ｘ軸方向）に対して交差するＹ軸方向に突出する、金属製の円筒状の軸部材５が一対設けられている。軸部材５は保護部材４の上下に突出している。軸部材５の素材としてはステンレスやアルミニウム等の適宜な金属を採用できる。

【0035】

軸部材５をＹ軸方向に沿って設けることで、Ｘ軸方向へのサイズアップは最小限で済むから、ケーブル本体１の引き回し方向（引き出し方向）は阻害されず、図２～４に図示したようにＺ軸方向に引き回す場合も保護部材４のＸ軸方向サイズは可及的に小さくすることが可能となる。

【0036】

軸部材５は、保護部材４を成形した後、図４に図示したように保護部材４の軸部材５を保持する保持孔11に中央ネジ状部分12を圧入固定することで設けても良いし、保護部材４を金型成形する際に（保護部材４に中央部が埋設された状態となるように）同時に設けても良い。

【0037】

また、前記軸部材５は、Ｚ軸方向に所定間隔をおいて設けられている。具体的には、前記ケーブル側コネクタ２を挟む位置に夫々設けられている。

【0038】

ケーブル側コネクタ２は、ＰＣ等の電子製品の筐体13表面に設けられる相手方コネクタ３に挿入嵌合される。相手方コネクタ３の左右両側には、頭部が被係止部10となるネジ体９がＺ軸方向に所定間隔をおいて夫々筐体13のコネクタパネルに螺着されている。

【0039】

ケーブル本体１の端部にはロック部材６が設けられている。ロック部材６は、被係止部10（ネジ体９の径大頭部）に係止する係止部７を有する構成である。

【0040】

具体的には、ロック部材６は、金属製の断面視コ字状の板状部材であり（ステンレスやアルミニウム等の適宜な金属を採用できる。）、コネクタパネルおよび保護部材４のコネクタパネルとの対向面間に配設される垂直板部14と、垂直板部14の上下端部に夫々垂設され保護部材４の上面部および下面部に沿って設けられる一対の水平板部15とを有する。また、保護部材４のコネクタパネルとの対向面には、被係止部10が挿入配設される挿入配設穴16が設けられている。

【0041】

ロック部材６の垂直板部14には、被係止部10が挿通する頭部挿通孔20と、被係止部10を構成するネジ体９の尾部は挿通するが頭部は挿通不能な溝孔（係止部７）と、ケーブル側コネクタ２が挿通するコネクタ挿通孔21とがＺ軸方向に連続的に設けられている。

【0042】

また、ロック部材６の水平板部15には、Ｚ軸方向に延びる長窓状の溝部８が形成されている。溝部８の溝幅は軸部材５の径より若干大きく構成され、ロック部材６のスライド移動をガイドし得るように構成されている。具体的には、一対の軸部材５が溝部８に夫々挿通せしめられ、ロック部材６はＺ軸方向にスライド可能に設けられている（水平板部15は軸部材５を溝部８に挿通させる際に適宜なタイミングで水平に折り曲げる。）。すなわち、本実施例は、ロック部材６は一対の軸部材５をガイド軸として第一の位置と第二の位置との間をスライド移動可能に構成されている。

【0043】

したがって、ロック部材６は、図２に図示したように頭部挿通孔20と挿入配設穴16のＺ軸方向位置を一致させた第二の位置では、被係止部10に係止部７が係止せず（コネクタの挿抜を自由に行え）、図３に図示したように溝孔（係止部７）と挿入配設穴16のＺ軸方向位置を一致させた第一の位置では、コネクタを抜去しようとすると被係止部10に係止部７が係止して嵌合状態を維持できるように構成されている。

【0044】

また、本実施例では、ロック部材６は第一の位置に向かって付勢されるように構成されている。具体的には、垂直板部14の端部にバネ保持片22が垂設されており、バネ保持片22と保護部材４の側面との間にバネ部材23を設けることで、ロック部材６が第一の位置に向かって常時付勢されるように構成されている。

【0045】

したがって、本実施例は、ケーブル側コネクタ２を相手方コネクタ３に挿入嵌合すると共に、ロック部材６をバネ部材23の付勢力に抗してスライド移動させて第二の位置に移動させ（図２参照）、被係止部10を頭部挿通孔20および挿入配設穴16に挿入した後、ロック部材６を離すことで、ロック部材６が自動的に第一の位置に戻り、嵌合状態がロックされることになる（図３参照）。

【0046】

なお、本実施例は、ロック部材６を、軸部材５をガイド軸としてスライド移動させる構成としているが、図５，６に図示した別例のように、ロック部材６を一対の軸部材５に夫々設け、この軸部材５を夫々回動軸として第一の位置と第二の位置との間を回動可能に構成しても良い。

【0047】

具体的には、別例のロック部材６は、先端側に被係止部10に係止する係止部７としての係止窓を有し、基端側にバネ板部31を有する一対の板状部材30で構成されており、この板状部材30の中央部上下端部位置には、軸部材５が挿通せしめられる挿通孔32を有する突片33が夫々垂設されている。一対のロック部材６は夫々各軸部材５に回動可能に保持されており、常態では、第一の位置となるように、バネ板部31により基端側が開き方向に付勢され先端側が閉じ方向に付勢されている。

【0048】

この別例においては、一対のロック部材６の基端側をバネ板部31の付勢に抗して閉じ操作することで、先端側が軸部材５を軸に開き回動し、係止窓（係止部７）と被係止部10とが係止しない第二の位置に移動させることができ（図５中の破線参照）、この状態でコネクタを嵌合させ、被係止部10をケーブル側（保護部材４の凹状肩部34）に位置させた後、ロック部材６を離すことで自動的に第一の位置に戻り、被係止部10と係止窓とが係止して嵌合状態がロックされることになる（図５参照）。

【0049】

本実施例は上述のように構成したから、ケーブル側コネクタ２を相手側コネクタ３に嵌合した後、ロック部材６を第一の位置に位置せしめケーブル側コネクタ２と相手側コネクタ３とを嵌合状態でロックする際、ロック部材６は、金属製の軸部材５により保持されるから、ケーブル側コネクタ２を抜去する方向に力が加わってもロック部材６は良好に支持され、合成樹脂製の保護部材４の破損が防止される。

【0050】

また、軸部材５はケーブル側コネクタ２の挿抜方向と交差する方向に突出するものであり、従来の雄ネジ部54等のように挿抜方向と平行に設けられる構成ではないから、保護部材４の挿抜方向のサイズを可及的に小さくすることができ、樹脂成型部分の小型化を図ることが可能となり、さらに、Ｚ軸方向（コネクタ幅方向）へのケーブル本体１の引き回しも阻害され難い。

【0051】

そのため、ロック部材６は一対の軸部材５および一対の被係止部10に保持・係止される構成とすることができ、従来例のように一本の雄ネジ部で固定した場合に生じるような捻り方向の負荷も生じ難い。

【0052】

さらに、ロック部材６を第二の位置に位置せしめるだけでロックを解除できるから、ネジ式に比べて固定・解除操作を簡単に行えることになる。

【0053】

よって、本実施例は、ネジ式と同様に強固に固定でき、しかも、ネジ式よりも固定・解除操作が簡単で、ケーブル本体の引き回し方向が制限されず、樹脂成型部分を小型化することも可能な、これまでにないケーブル抜け止め機構となる。

【符号の説明】

【0054】

１ ケーブル本体
２ ケーブル側コネクタ
３ 相手側コネクタ
４ 保護部材
５ 軸部材
６ ロック部材
７ 係止部
10 被係止部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】