(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135013
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240927BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01R13/52 Z
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045500
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】開本 拓真
(72)【発明者】
【氏名】秋本 直哉
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC40
5E021HB04
5E021HB05
5E087EE02
5E087FF02
5E087FF03
5E087FF07
5E087LL04
5E087LL34
5E087RR13
(57)【要約】
【課題】コネクタユニットの耐塵埃性能をさらに高めることを目的とする。
【解決手段】コネクタユニット8は、第1ハウジング20を有する第1コネクタ10と、第2ハウジング120と嵌合用レバー140とを含む第2コネクタ110とを備える。第1ハウジングは、内側嵌合周壁部24と、内側嵌合周壁部の外面に突設された突部26とを有し、第2ハウジング120は、内側嵌合周壁部に外嵌めされる外側嵌合周壁部124を有し、前側嵌合周壁部は、接続時に、突部の通過移動を許容するスリット125を有し、嵌合用レバーは第2ハウジングに対して回転移動可能に支持され、嵌合用レバーは、作動面144fを有し、作動面は、嵌合用レバーの回転移動により、突部を第2ハウジングに向けて移動させる面であり、第1ハウジングは、接続状態で、スリット125の少なくとも一部を外側から覆う覆い部27を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、前記第1端子を収容する第1ハウジングとを含む第1コネクタと、
第2端子と、前記第2端子を収容する第2ハウジングと、嵌合用レバーとを含む第2コネクタと、
を備え、
前記第1ハウジングは、内側嵌合周壁部と、前記内側嵌合周壁部の外面に突設された突部とを有し、
前記第2ハウジングは、前記内側嵌合周壁部に外嵌めされる外側嵌合周壁部を有し、
前記外側嵌合周壁部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続時に、前記突部の通過移動を許容するスリットを有し、
前記嵌合用レバーは、前記第2ハウジングに対して待機位置と締込み位置との間で回転移動可能に支持され、
前記嵌合用レバーは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続時に、前記スリットから突出する前記突部に接する作動面を有し、
前記作動面は、前記嵌合用レバーの前記待機位置から前記締込み位置への回転移動により、前記突部を前記第2ハウジングに向けて移動させる面であり、
前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続状態で、前記スリットの少なくとも一部を外側から覆う覆い部を有する、コネクタユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタユニットであって、
前記覆い部は、前記突部よりも前記第1ハウジングの基端側に位置しており、
前記第1ハウジングが前記第2ハウジングに挿入された状態で、前記突部が前記スリットの奥側に位置すると共に、前記嵌合用レバーが、前記スリットのうち奥側の部分を外側から覆い、さらに、前記覆い部が、前記スリットのうち前記嵌合用レバーよりも前記スリットの開口側の部分を覆う、コネクタユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタユニットであって、
前記嵌合用レバーと前記覆い部とが、前記スリットの外側で重なり合っている、コネクタユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタユニットであって、
前記第1ハウジングは、前記スリットの延在方向に沿って延びる長尺突部を有し、
前記内側嵌合周壁部が前記外側嵌合周壁部内に挿入された状態で、前記長尺突部が前記スリット内に入り込む、コネクタユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタユニットであって、
前記覆い部は、前記長尺突部から前記スリット外に突出しかつ前記外側嵌合周壁部の外面に沿って広がるように形成されている、コネクタユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のコネクタユニットであって、
前記長尺突部の先端に前記突部が位置し、前記長尺突部の基端に前記覆い部が位置している、コネクタユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタユニットであって、
前記第1コネクタは、前記内側嵌合周壁部の基端部から外側に突出する板部を有し、
前記覆い部は、前記板部から突出している、コネクタユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のコネクタユニットであって、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続状態で、前記第2ハウジングの先端が、前記板部に対向する、コネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1コネクタと第2コネクタとを備える防水コネクタ嵌合構造を開示している。特許文献1において、第1コネクタは、第2コネクタとのコネクタ嵌合のために負荷する力に梃を利用可能にした嵌合補助レバー部を有しており、第2コネクタは、嵌合補助レバー部の嵌合ガイド溝に嵌め込まれる嵌合ガイド突起を有している。嵌合ガイド突起が嵌合補助レバー部の嵌合ガイド溝に嵌ることによって、嵌合補助レバー部のレバー操作によって発生されたコネクタ嵌合のために必要な力が伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術によると、嵌合ガイド突起は、第1コネクタに形成された嵌合ガイドスリットを通じて外側に突出する。ここにおいて、コネクタユニットの耐塵埃性能をさらに高めることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、コネクタユニットの耐塵埃性能をさらに高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタユニットは、第1端子と、前記第1端子を収容する第1ハウジングとを含む第1コネクタと、第2端子と、前記第2端子を収容する第2ハウジングと、嵌合用レバーとを含む第2コネクタと、を備え、前記第1ハウジングは、内側嵌合周壁部と、前記内側嵌合周壁部の外面に突設された突部とを有し、前記第2ハウジングは、前記内側嵌合周壁部に外嵌めされる外側嵌合周壁部を有し、前記外側嵌合周壁部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続時に、前記突部の通過移動を許容するスリットを有し、前記嵌合用レバーは、前記第2ハウジングに対して待機位置と締込み位置との間で回転移動可能に支持され、前記嵌合用レバーは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続時に、前記スリットから突出する前記突部に接する作動面を有し、前記作動面は、前記嵌合用レバーの前記待機位置から前記締込み位置への回転移動により、前記突部を前記第2ハウジングに向けて移動させる面であり、前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続状態で、前記スリットの少なくとも一部を外側から覆う覆い部を有する、コネクタユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタユニットの耐塵埃性能をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係るコネクタユニットを示す斜視図である。
【
図2】
図2はコネクタユニットを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は接続前のコネクタユニットを示す側面図である。
【
図4】
図4は接続完了状態のコネクタユニットを示す側面図である。
【
図5】
図5は覆い部及び嵌合用レバーとの対向部分を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタユニットは、次の通りである。
【0011】
(1)第1端子と、前記第1端子を収容する第1ハウジングとを含む第1コネクタと、第2端子と、前記第2端子を収容する第2ハウジングと、嵌合用レバーとを含む第2コネクタと、を備え、前記第1ハウジングは、内側嵌合周壁部と、前記内側嵌合周壁部の外面に突設された突部とを有し、前記第2ハウジングは、前記内側嵌合周壁部に外嵌めされる外側嵌合周壁部を有し、前記外側嵌合周壁部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続時に、前記突部の通過移動を許容するスリットを有し、前記嵌合用レバーは、前記第2ハウジングに対して待機位置と締込み位置との間で回転移動可能に支持され、前記嵌合用レバーは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続時に、前記スリットから突出する前記突部に接する作動面を有し、前記作動面は、前記嵌合用レバーの前記待機位置から前記締込み位置への回転移動により、前記突部を前記第2ハウジングに向けて移動させる面であり、前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続状態で、前記スリットの少なくとも一部を外側から覆う覆い部を有する、コネクタユニットである。
【0012】
本開示によると、嵌合用レバーが締込み位置に位置する状態で、第1ハウジングの覆い部がスリットの少なくとも一部を外側から覆う。このため、スリットを介してコネクタユニット内に塵埃が侵入し難くなり、コネクタユニットの耐塵埃性能をさらに高めることができる。
【0013】
(2)(1)のコネクタユニットであって、前記覆い部は、前記突部よりも前記第1ハウジングの基端側に位置しており、前記第1ハウジングが前記第2ハウジングに挿入された状態で、前記突部が前記スリットの奥側に位置すると共に、前記嵌合用レバーが、前記スリットのうち奥側の部分を外側から覆い、さらに、前記覆い部が、前記スリットのうち前記嵌合用レバーよりも前記スリットの開口側の部分を覆ってもよい。
【0014】
この場合、覆い部がスリットのうち嵌合用レバーよりもスリットの開口側の部分を覆うため、覆い部と嵌合用レバーとの干渉を避けることができる。また、嵌合用レバーと覆い部とによって、なるべくスリットの延在方向全体を覆うことができる。
【0015】
(3)(2)のコネクタユニットであって、前記嵌合用レバーと前記覆い部とが、前記スリットの外側で重なり合っていてもよい。
【0016】
この場合、嵌合用レバーと覆い部との間で、スリットを介してコネクタユニット内に塵埃がより侵入し難くなる。
【0017】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのコネクタユニットであって、前記第1ハウジングは、前記スリットの延在方向に沿って延びる長尺突部を有し、前記内側嵌合周壁部が前記外側嵌合周壁部内に挿入された状態で、前記長尺突部が前記スリット内に入り込んでもよい。
【0018】
これにより、第1コネクタと第2コネクタとの接続状態で、長尺突部がスリット内に入り込む。このため、スリットを介した塵埃の侵入がより抑制され、コネクタユニットの耐塵埃性能をさらに高めることができる。
【0019】
(5)(4)のコネクタユニットであって、前記覆い部は、前記長尺突部から前記スリット外に突出しかつ前記外側嵌合周壁部の外面に沿って広がるように形成されていてもよい。
【0020】
この場合、スリット内に入り込む長尺突部の外側で、覆い部がスリットを覆うため、スリットを介した塵埃の侵入がさらに抑制される。
【0021】
(6)(5)のコネクタユニットであって、前記長尺突部の先端に前記突部が位置し、前記長尺突部の基端に前記覆い部が位置していてもよい。
【0022】
これにより、突部が配置される部分と覆い部が配置される部分との間で、長尺突部がスリットを埋めることができ、スリットを介した塵埃の侵入がさらに抑制される。
【0023】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのコネクタユニットであって、前記第1コネクタは、前記内側嵌合周壁部の基端部から外側に突出する板部を有し、前記覆い部は、前記板部から突出していてもよい。
【0024】
(8)(7)のコネクタユニットであって、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの接続状態で、前記第2ハウジングの先端が、前記板部に対向してもよい。
【0025】
この場合、2ハウジングの先端に対向する板部から覆い部が突出しているため、スリットの先端側開口から塵埃が侵入し難い。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタユニットについて説明する。
図1は、はコネクタユニット8を示す斜視図である。
図2はコネクタユニット8を示す分解斜視図である。
図3は接続前のコネクタユニット8を示す側面図である。
図4は接続完了状態のコネクタユニット8を示す側面図である。
図5は覆い部27及び嵌合用レバー140との対向部分を示す平面図である。
【0028】
コネクタユニット8は、第1コネクタ10と第2コネクタ110とを備える。
【0029】
第1コネクタ10は、第1ハウジング20と、第1端子18とを備える。
【0030】
第1端子18は、金属板をプレス加工等することによって形成されている。第1端子18は、接続部と電線接続部とが連なっている端子である。第1端子18の接続部は、第2コネクタ110側の第2端子118に接続される部分である。例えば、第1端子18の接続部は、長方形板状又はピン状に形成される。電線接続部は、電線16の端部に接続される部分である。例えば、電線接続部は、電線16の端部に圧着接続される。電線接続部は、電線に対して超音波接合又は抵抗溶接等によって接合されてもよい。第1端子18が電線に接続されることは必須では無い。例えば、第1端子は、回路基板に形成された回路に接続されてもよい。
【0031】
第1ハウジング20は、第1端子18を収容する樹脂部品である。第1ハウジング20に、第1端子18を収容するキャビティ21が形成されており、当該キャビティ21内に第1端子18が収容保持される。
【0032】
より具体的には、第1ハウジング20は、ハウジング本体22と、内側嵌合周壁部24と、突部26と、覆い部27と、板部28と、を有する。
【0033】
ハウジング本体22には、キャビティ21が貫通するように形成されている。電線16の端部に接続された第1端子18が当該キャビティ21に挿入されることで、第1端子18がハウジング本体22内に保持される。第1端子18の接続部は、ハウジング本体22の先端側に露出しており、電線16はハウジング本体22の後端から引出される。
【0034】
内側嵌合周壁部24は、第1端子18の接続部を囲う筒状部分である。本実施形態では、内側嵌合周壁部24は、長方形角筒の角を丸めた形状に形成されている。内側嵌合周壁部24内で第1端子18の接続部が露出している。内側嵌合周壁部24が後述する外側嵌合周壁部124に挿入接続される。
【0035】
板部28は、内側嵌合周壁部24の基端部から外側に突出する板状部分である。本実施形態では、内側嵌合周壁部24の周囲全体から突出する板状に形成されている。板部28は、第1コネクタ10を取付対象部品、例えば、機器ケースに取付けるための部分である。例えば、板部28の角部にネジ挿通孔28hが形成されている。ネジが当該ネジ挿通孔28hに挿通された状態で、取付対象部品に形成されたねじ穴に螺合締結される。これにより、第1コネクタ10が取付対象部品に固定される。内側嵌合周壁部24は、当該板部28の一方主面から突出している。
【0036】
第1ハウジング20と第2ハウジング120との接続状態で、第2ハウジング120の先端、つまり、外側嵌合周壁部124の先端が板部28に対向する。
【0037】
突部26は、内側嵌合周壁部24の外面に突設された凸形状部分である。本実施形態では、内側嵌合周壁部24の側壁の外面に突部26が形成されている。より具体的には、内側嵌合周壁部24の側壁に、内側嵌合周壁部24の軸方向に沿って延びる長尺突部25が形成されている。後述するスリット125は、内側嵌合周壁部24の軸方向に沿って延びており、長尺突部25は、当該スリット125の延在方向にも沿っている。長尺突部25の一端は板部28に達しており、他端は内側嵌合周壁部24の基端と先端との間に達している。
【0038】
長尺突部25がスリット125内に入り込むことで、スリット125を塞ぐことができる。また、長尺突部25がスリット125内に進入していくことで、長尺突部25がスリット125の両側面でガイドされ、もって、内側嵌合周壁部24に対して外側嵌合周壁部124がガイドされる。
【0039】
長尺突部25の先端部に突部26が突出している。つまり、内側嵌合周壁部24の側壁には細長い長尺突部25が突出しており、当該長尺突部25の先端において突部26が突出している。
【0040】
内側嵌合周壁部24の外面に対する長尺突部25の突出寸法は、第2ハウジング120の外側嵌合周壁部124の外面に突出しない大きさに設定されている。突部26の突出寸法は、長尺突部25の突出寸法より大きく、外側嵌合周壁部124の外面に突出する大きさに設定されている。長尺突部25が設けられることは必須ではなく、突部だけが内側嵌合周壁部の外面から突出していてもよい。
【0041】
覆い部27は、第1コネクタ10と第2コネクタ110との接続状態で、スリット125の少なくとも一部を外側から覆う。
【0042】
より具体的には、覆い部27は、突部26よりも第1ハウジング20の基端側に位置している。覆い部27と突部26との間には隙間が存在しており、当該隙間を利用して後述する嵌合用レバー140が回転することができる。
【0043】
さらに具体的には、覆い部27は、長尺突部25の突出方向の先端から突出し、外側嵌合周壁部124の外面から離れた位置で、長尺突部25の両外側方向に張出すように突出している。長尺突部25が後述するスリット125内に進入した状態では、覆い部27は、スリット125から外側に突出しかつ外側嵌合周壁部124の外面に沿って広がるように形成されている。長尺突部25の延在方向に対して直交する断面で観察すると、長尺突部25と覆い部27とがT字状をなしている。覆い部27の両側の張出部分と内側嵌合周壁部24との間には、外側嵌合周壁部124のうちスリット125の両側部を配置可能な隙間が形成される。
【0044】
覆い部27は、長尺突部25のうち内側嵌合周壁部24の基端側の部分的な範囲に形成されている。よって、長尺突部25の先端に突部26が位置し、長尺突部25の基端に覆い部27が位置している。
【0045】
覆い部27は、板部28からも突出している。覆い部27は、板部28に連続しているともいえる。本実施形態では、覆い部27は、長尺突部25と共に、板部28に連なっている。
【0046】
本実施形態では、長尺突部25、突部26及び覆い部27は、内側嵌合周壁部24の両側面に形成されている。第1ハウジング20は、突部26等を少なくとも1つ備えればよい。以下の説明では、主に一方側側面に着目した説明がなされる。
【0047】
覆い部27が長尺突部25から突出していることは必須ではない。例えば、長尺突部25が省略され、覆い部27が板部28から突出していてもよい。覆い部27が板部28に連なっていることは必須ではない。例えば、板部28が省略される場合、覆い部27は、長尺突部25だけによって支持されてもよい。
【0048】
第2コネクタ110は、第2端子118と、第2ハウジング120と、嵌合用レバー140とを備える。
【0049】
第2端子118は、金属板をプレス加工等することによって形成されている。第2端子118は、第1端子18と同様に、接続部と電線接続部とが連なっている端子である。第2端子118の接続部は、第1コネクタ10側の第1端子18に接続される部分である。例えば、第2端子118の接続部は、第1端子18を挿入可能な筒状に形成される。電線接続部は、電線116の端部に接続される部分である。第2端子118の電線接続部についても、回路基板に形成された回路に接続されてもよい。
【0050】
なお、第1端子18の接続部が板状又はピン状に形成され、第2端子118の接続部が筒状に形成されてもよい。
【0051】
第2ハウジング120は、第2端子118を収容する樹脂部品である。第2ハウジング120に、第2端子118を収容するキャビティ121が形成されており、当該キャビティ121内に第2端子118が収容保持される。
【0052】
より具体的には、第2ハウジング120は、ハウジング本体122と、外側嵌合周壁部124とを備える。
【0053】
ハウジング本体122には、キャビティ121が貫通するように形成されている。電線116の端部に接続された第2端子118が当該キャビティ121に挿入されることで、第2端子118がハウジング本体122内に保持される。第2端子118の接続部の先端開口は、ハウジング本体122の先端が側を向いており、電線116は、ハウジング本体122の後端から引出される。
【0054】
外側嵌合周壁部124は、第2端子118の接続部を囲う筒状部分である。本実施形態では、外側嵌合周壁部124は、長方形角筒の角を丸めた形状に形成されている。外側嵌合周壁部124の内周面は、内側嵌合周壁部24の外周面と同じが大きい形状に形成されている。例えば、内側嵌合周壁部24を、外側嵌合周壁部124内に、がたなく挿入できる程度で、外側嵌合周壁部124の内周面は、内側嵌合周壁部24の外周面より大きくてもよい。この外側嵌合周壁部124が、内側嵌合周壁部24に外嵌めされる。
【0055】
外側嵌合周壁部124内に、第2端子118の接続部が位置している。内側嵌合周壁部24が外側嵌合周壁部124に挿入された状態で、内側嵌合周壁部24と外側嵌合周壁部124とで囲まれる空間内で、第1端子18の接続部が第2端子118の接続部に接続される。これにより、電線16と電線116とが、第1端子18及び第2端子118を介して電気的に接続される。
【0056】
第1端子18と第2端子118との接続部分とが、内側嵌合周壁部24と外側嵌合周壁部124との内側に配置されることで、当該接続部分に対して塵埃等が侵入し難い。
【0057】
外側嵌合周壁部124に、スリット125が形成されている。スリット125は、第1ハウジング20と第2ハウジング120との接続時に、突部26の通過移動を許容するように形成されている。
【0058】
より具体的には、外側嵌合周壁部124の側部に、第1ハウジング20と第2ハウジング120との接続方向に沿うスリット125が形成されている。スリット125は、外側嵌合周壁部124の基端と先端との中間から、外側嵌合周壁部124の先端に向って形成されている。スリット125の奥側の位置は、コネクタ10、110の接続状態で、突部26が配置される位置である。
【0059】
スリット125の幅は、長尺突部25の幅と同じか当該幅よりも大きい。例えば、スリット125の幅は、コネクタ10、110を円滑に接続できるように長尺突部25をガイドできる範囲で、長尺突部25の幅よりも大きくてもよい。
【0060】
コネクタ10、110の接続状態で、長尺突部25がスリット125の長手方向全体に亘って配置されることが好ましいが、これは必須ではない。
【0061】
スリット125の幅は、当該スリット125に直交する方向における突部26の幅と同じか大きい。よって、内側嵌合周壁部24を外側嵌合周壁部124内に挿入すると、突部26が外側嵌合周壁部124の先端側からスリット125内に入り込み、当該スリット125に沿ってスリット125の奥に向うように通過移動することができる。
【0062】
本実施形態では、一対の突部26に対応して外側嵌合周壁部124の両側部に一対のスリット125が形成されている。突部26と同様に、外側嵌合周壁部124は、少なくとも1つのスリット125を有していればよい。
【0063】
外側嵌合周壁部124に、軸部126が形成されている。本実施形態では、外側嵌合周壁部124の両側面のうちスリット125の奥側延長上に軸部126が突設されている。軸部126によって嵌合用レバー140が回転可能に支持される。
【0064】
ハウジング本体122の基端部に、レバー止用突部128が突設されている。レバー止用突部128のうち電線116が延び出る側の部分に、コネクタ10、110の接続方向に対して傾斜する傾斜面128fが形成されている。当該傾斜面128fに係止突部128pが形成されている。係止突部128pが嵌合用レバー140に係止することで、嵌合用レバー140が所定位置に保たれる。
【0065】
嵌合用レバー140は、第2ハウジング120に対して待機位置P1(
図3参照)と締込み位置P2(
図1及び
図4参照)との間で回転移動可能に支持されている。
【0066】
より具体的には、嵌合用レバー140は、樹脂等によって形成された部品である。嵌合用レバー140は、一対の側部143と、一対の側部143を連結する操作部147とを有している。
【0067】
側部143は、外側嵌合周壁部124の側面に沿って延びる板状に形成されている。例えば、側部143は、回転支持領域部分143aと、作動面形成領域部分143bとを含む。
【0068】
回転支持領域部分143aは、軸部126が嵌り込む穴143ahを有する板状部分である。作動面形成領域部分143bは、穴143ahの周りにおいて部分的に広がる板状部分である。作動面形成領域部分143bは、外側嵌合周壁部124の側面に沿って広がると共に、外側嵌合周壁部124の側面から延出している。
【0069】
操作部147の両端部が、一対の側部143のそれぞれの作動面形成領域部分143bのうち外側嵌合周壁部124の側面から延出する部分に繋がっている。よって、操作部147は、一対の側部143を外側嵌合周壁部124の外側で連結している。操作部147を操作することによって、一対の操作部147が連動して回転移動できる。
【0070】
外側嵌合周壁部124の一対の軸部126のそれぞれが、一対の側部143の穴143ahに嵌り込むことによって、嵌合用レバー140が待機位置P1と締込み位置P2との間で回転移動可能に支持される。なお、操作部147は、外側嵌合周壁部124のうちレバー止用突部128側の外側に配置される。以下の説明において、第2ハウジング120に対してレバー止用突部128側を上側、その反対側を下側という場合がある。
【0071】
待機位置P1は、コネクタ10、110の接続前における嵌合用レバー140の位置である。待機位置P1では、作動面形成領域部分143bは、軸部126に対して少なくとも外側嵌合周壁部124の先端側から下方に至る領域に位置する。操作部147は、外側嵌合周壁部124の上側であって、軸部126よりも外側嵌合周壁部124の先端側に位置する(
図3参照)。
【0072】
締込み位置P2は、コネクタ10、110の接続状態における嵌合用レバー140の位置である。締込み位置P2では、作動面形成領域部分143bが、軸部126に対して少なくとも上側から外側嵌合周壁部124の先端側に至る領域に位置する(
図1及び
図4参照)。操作部147は、第2ハウジング120の上側であって軸部126よりも外側嵌合周壁部124の基端側に位置し、上記レバー止用突部128に係止する。
【0073】
側部143は、作動面144fを有している。作動面144fは、第1ハウジング20と第2ハウジング120との接続時に、スリット125から突出する突部26に接する面である。作動面144fは、嵌合用レバー140が待機位置P1から締込み位置P2に回転移動することによって、突部26を第2ハウジング120に向けて移動させるように形成されている。
【0074】
より具体的には、側部143の内面に溝144が形成されている。溝144は、導入溝部144aと、締込み溝部144bとを有する。
【0075】
導入溝部144aは、作動面形成領域部分143bの縁部から穴143ahに向って直線的に延びる溝である。導入溝部144aは、作動面形成領域部分143bの縁部から外側に開口している。このため、突部26は、当該、導入溝部144aの端部開口を通って溝144内に進入できる。
【0076】
締込み溝部144bは、穴143ah側で凹となるように延びる弧状の溝である。締込み溝部144bの一端は、導入溝部144aに連なっており、突部26は、導入溝部144aから締込み溝部144b内に進入することができる。
【0077】
締込み溝部144bは、導入溝部144aから奥側に向うにつれて徐々に穴143ahに近づくように延びている。突部26が締込み溝部144b内に入り込んだ状態で、嵌合用レバー140が待機位置P1から締込み位置P2に向けて回転すると、突部26が締込み溝部144bに沿って奥側に向う。すると、締込み溝部144bの外周側の面である作動面144fが突部26に接して、当該突部26を穴143ah、つまり、軸部126に向けて押す。これにより、突部26が第2ハウジング120に向けて移動し、第1ハウジング20と第2ハウジング120とが互いに接近する方向に移動する。
【0078】
第1ハウジング20が第2ハウジング120に挿入接続された状態で、嵌合用レバー140は締込み位置P2に位置する。この状態では、突部26がスリット125の奥側に位置している。突部26は溝144の奥に位置しており、嵌合用レバー140のうち溝144が形成された側部143は、スリット125のうち奥側の部分を外側から覆っている。この状態で、覆い部27は、当該側部143よりもスリット125の開口側に位置しており、スリット125のうち開口側の部分を外側嵌合周壁部124の外面側から覆う。
【0079】
上記接続状態で、嵌合用レバー140と覆い部27とが、スリット125の外側で重なり合っている。より具体的には、側部143の厚みは、外側嵌合周壁部124の外面に対する突部26の突出寸法よりも大きく設定されている。嵌合用レバー140が締込み位置P2に位置する状態で、側部143のうち外側嵌合周壁部124の先端部に最も近く、かつ、スリット125の外側に位置する部分に、重ね合わせ用凹部143gが形成されている(
図2、
図4及び
図5参照)。重ね合わせ用凹部143gは、側部143の内面から見て凹んでいる部分である。凹みの深さは、上記覆い部27を配置可能な深さに設定されている。
【0080】
上記接続状態において、覆い部27のうちスリット125の奥側に近い部分が重ね合わせ用凹部143g内に入り込み、覆い部27のうちスリット125の奥側に近い部分に、側部143のうちスリット125の開口側に近い部分が重なった状態となっている。重ね合せ部分は、スリット125の幅方向を外側に越える領域にも存在する。
【0081】
以下に、コネクタ10、110の接続作業例が説明される。
【0082】
図3に示すように、第1コネクタ10及び第2コネクタ110が準備される。嵌合用レバー140は、待機位置P1に位置している。導入溝部144aはスリット125に沿っている。導入溝部144aの外側開口がスリット125の外側で第2コネクタ110側を向いている。
【0083】
第1コネクタ10と第2コネクタ110とが接近される。すると、内側嵌合周壁部24が外側嵌合周壁部124内に挿入される。内側嵌合周壁部24が外側嵌合周壁部124内に途中まで入り込んだ状態で、長尺突部25がスリット125内に入り込む。また、突部26がスリット125及び外側の導入溝部144a内に入り込む。
【0084】
さらに、第1コネクタ10と第2コネクタ110とが接近し、突部26が導入溝部144aと締込み溝部144bとの境界に入り込む。この後、人手等によって操作部147が操作され、嵌合用レバー140が待機位置P1から締込み位置P2に向けて回転される。
【0085】
すると、
図4の2点鎖線に示す嵌合用レバー140のように、締込み溝部144bが軸部126周りに回転するので、突部26が締込み溝部144bの奥側に向けて移動する。突部26が締込み溝部144bの奥に移動するにつれて、作動面144fによって突部26が押されて、スリット125の奥側に移動する。これにより、第1コネクタ10が第2コネクタ110側に相対的に引寄せられる。
【0086】
突部26がスリット125の奥に移動する手前で、覆い部27が外側嵌合周壁部124の先端に達し、当該先端の近くでスリット125の外側を覆うようになる。
【0087】
嵌合用レバー140が締込み位置P2に達すると、レバー止用突部128が嵌合用レバー140の操作部147に係止する。これにより、嵌合用レバー140が締込み位置P2に保たれると共に、コネクタ10、110の接続状態が維持される。
【0088】
この状態では、覆い部27のうちスリット125の奥に近い部分は、嵌合用レバー140の側部143のうち重ね合わせ用凹部143g内に入り込み、当該側部143のうちスリット125の開口に近い部分に内側から重なる状態となる。
【0089】
以上のように構成されたコネクタユニット8によると、嵌合用レバー140が締込み位置P2に位置する状態で、第1ハウジング20の覆い部27がスリット125の少なくとも一部を外側から覆う。これにより、これにより、いわゆるラビリンス構造が実現され、スリット125を介してコネクタユニット8内に塵芥が侵入し難くなり、コネクタユニット8の耐塵埃性能をさらに高めることができる。耐塵埃性能が高められる結果、コネクタユニット8は、電池を含む装置など、高い塵埃性能が求められる装置に組込むのに適する。
【0090】
また、覆い部27がスリット125のうち嵌合用レバー140よりもスリット125の開口側の部分を覆うため、覆い部27と嵌合用レバー140との干渉を避け易い。また、嵌合用レバー140と覆い部27とによって、なるべくスリット125の延在方向全体を覆うことができる。
【0091】
また、嵌合用レバー140と覆い部27とが、スリット125の外側で部分的に重なり合うことで、嵌合用レバー140と覆い部27との間でも、スリット125を介してコネクタユニット8内に塵埃がより侵入し難くなる。
【0092】
また、内側嵌合周壁部24が外側嵌合周壁部124に挿入された状態で、長尺突部25がスリット125内に入り込む。このため、スリット125を介した塵埃の侵入がより抑制され、コネクタユニット8の耐塵埃性能がより高められる。
【0093】
また、覆い部27が、長尺突部25からスリット125外に突出しかつ外側嵌合周壁部124の外面に沿って広がっている。このため、スリット125内に入り込む長尺突部25の外側で、覆い部27がスリット125を覆うため、長尺突部25とスリット125との境界に塵埃が直接入り込むことが抑制され、スリット125を介した塵埃の侵入がさらに抑制される。
【0094】
また、長尺突部25の先端に突部が位置し、基端に覆い部27が位置しているため、突部26が配置される部分と覆い部27が配置される部分との間で、長尺突部25がスリット125を埋めることができ、スリット125を介した塵埃の侵入がさらに抑制される。
【0095】
また、覆い部27は、板部28から突出している。このため、第1コネクタ10と第2コネクタ110との接続時に、第2コネクタ110が板部28に近づくことによって、覆い部27がスリット125を外側から覆う構成が容易に実現される。
【0096】
この際、第2ハウジング120の外側嵌合周壁部124の先端が板部28に対向すれば、スリット125の開口が板部28に対向して覆われ、かつ、その対向部分が外側から覆い部27によって覆われることになる。このため、スリット125の先端側開口から塵埃が侵入し難い。
【0097】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0098】
8 コネクタユニット
10 第1コネクタ
16、116 電線
18、118 第1端子
20 第1ハウジング
21、121 キャビティ
22、122 ハウジング本体
24 内側嵌合周壁部
25 長尺突部
26 突部
27 覆い部
28 板部
28h ネジ挿通孔
110 第2コネクタ
120 第2ハウジング
124 外側嵌合周壁部
125 スリット
126 軸部
128 レバー止用突部
128f 傾斜面
128p 係止突部
140 嵌合用レバー
143 側部
143a 回転支持領域部分
143ah 穴
143b 作動面形成領域部分
143g 重ね合わせ用凹部
144 溝
144a 導入溝部
144b 締込み溝部
144f 作動面
147 操作部
P1 待機位置
P2 締込み位置