(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135028
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/20 20230101AFI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
H10B 43/23 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/00 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B43/20
H01L29/78 371
H10B43/23
H10B43/27
H10B43/50
H10B43/00
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045519
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 博幸
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 達典
(72)【発明者】
【氏名】野口 将希
(72)【発明者】
【氏名】金山 純一
(72)【発明者】
【氏名】石松 慎
(72)【発明者】
【氏名】西田 大介
(72)【発明者】
【氏名】竹本 智幸
(72)【発明者】
【氏名】松浦 航
【テーマコード(参考)】
5F058
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F058BA20
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC04
5F058BC08
5F058BC10
5F058BC11
5F058BD02
5F058BD04
5F058BD10
5F058BF04
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF30
5F058BF36
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5F058BF73
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083EP76
5F083ER02
5F083ER03
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5F083GA10
5F083GA27
5F083JA01
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA12
5F083JA19
5F083JA36
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5F083JA39
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA12
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA18
5F083LA21
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5F083MA15
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR28
5F101BA42
5F101BA44
5F101BA46
5F101BB02
5F101BB08
5F101BC01
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】書き込みや消去等の特性の向上を図ることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、導電体層及び絶縁体層を含む積層体と、ブロック絶縁層と、チャネル層と、ブロック絶縁層と、チャネル層との間に設けられる電荷蓄積層と、電荷蓄積層と、チャネル層との間に設けられるトンネル層と、を備え、電荷蓄積層は、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層と、Siと、Nと、を含み、Siが、第1電荷蓄積層におけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有され、第1電荷蓄積層とトンネル層との間に設けられる第2電荷蓄積層と、SiON(酸窒化ケイ素)、SiOCN(酸炭窒化ケイ素)、及びAlOx(酸化アルミニウム)のうちの少なくとも1つを含み、第1電荷蓄積層と第2電荷蓄積層との間に設けられる誘電層と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に積層される導電体層及び絶縁体層を含む積層体と、
前記積層体の側面に沿って設けられるブロック絶縁層と、
チャネル層と、
前記ブロック絶縁層と、前記チャネル層との間に設けられる電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と、前記チャネル層との間に設けられるトンネル層と、
を備え、
前記電荷蓄積層は、
Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層と、
Siと、Nと、を含み、Siが、前記第1電荷蓄積層におけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有され、前記第1電荷蓄積層と前記トンネル層との間に設けられる第2電荷蓄積層と、
Oを含み、前記第1電荷蓄積層と前記第2電荷蓄積層との間に設けられる誘電層と、
を含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記誘電層は、SiON(酸窒化ケイ素)、SiOCN(酸炭窒化ケイ素)、及びAlOx(酸化アルミニウム)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ブロック絶縁層と、前記第1電荷蓄積層との間に設けられ、AlOxを含む界面ダイポール層を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記界面ダイポール層のAlOxの添加濃度は1x1014atoms/cm2以上1x1015atoms/cm2以下である、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電荷蓄積層と、前記誘電層との間に設けられ、SiCNまたはSiOCNを含む酸化防止層を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記酸化防止層は、含有するSiCNまたはSiOCNのCの濃度が、前記酸化防止層の前記トンネル層側より前記ブロック絶縁層側のほうが高くなるように設けられる、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1電荷蓄積層は、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの酸窒化物を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1電荷蓄積層は、1x1019atoms/cm2以上5x1020atoms/cm2以下の濃度でAl、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記誘電層は、添加濃度が1x1014atoms/cm2以上1x1015atoms/cm2以下のAlOxを含む、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1電荷蓄積層と、前記誘電層との間に設けられ、SiCNまたはSiOCNを含む酸化防止層を含み、
前記誘電層は、AlOxを含む、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2電荷蓄積層は、N/Si比が1.1以上1.2以下である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
交互に積層される導電体層及び絶縁体層を含む積層体と、
前記積層体の側面に沿って設けられるブロック絶縁層と、
チャネル層と、
前記ブロック絶縁層と、前記チャネル層との間に設けられる電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と、前記チャネル層との間に設けられるトンネル層と、
を備え、
前記電荷蓄積層は、
1x1019atoms/cm2以上5x1020atoms/cm2以下の濃度でAl、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層と、
Siと、Nと、をN/Si比が前記第1電荷蓄積層のN/Si比より小さく、且つ、1.1以上1.2以下となるように含み、前記第1電荷蓄積層と前記トンネル層との間に設けられる第2電荷蓄積層と、
Oを含み、前記第1電荷蓄積層と前記第2電荷蓄積層との間に設けられる誘電層と、
を含む、
半導体装置。
【請求項13】
ブロック絶縁層を形成し、
前記ブロック絶縁層が延伸する方向に沿って、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層を形成し、
前記第1電荷蓄積層に沿って、Oを含む誘電層を形成し、
前記誘電層に沿って、Siと、Nと、を含み、Siが、前記第1電荷蓄積層におけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有される第2電荷蓄積層を形成する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の絶縁層と複数の金属層とが積層されて設けられた3次元構造を有するNAND型フラッシュメモリなどの半導体装置が提案されている。半導体装置は、書き込みや消去等の特性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-155482号公報
【特許文献2】特開2022-143476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態によれば、書き込みや消去等の特性の向上を図ることができる半導体装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、交互に積層される導電体層及び絶縁体層を含む積層体と、積層体の側面に沿って設けられるブロック絶縁層と、チャネル層と、ブロック絶縁層と、チャネル層との間に設けられる電荷蓄積層と、電荷蓄積層と、チャネル層との間に設けられるトンネル層と、を備え、電荷蓄積層は、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層と、Siと、Nと、を含み、Siが、第1電荷蓄積層におけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有され、第1電荷蓄積層とトンネル層との間に設けられる第2電荷蓄積層と、Oを含み、第1電荷蓄積層と第2電荷蓄積層との間に設けられる誘電層と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態のメモリシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態の半導体装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態の半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【
図4】
図4は、実施形態の半導体装置の断面斜視構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態のメモリピラーの断面構造を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI線に沿った断面構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は、比較例の半導体装置200の一部の模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、変形例の半導体装置10の一部の模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、変形例の半導体装置10の一部の模式的な断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0008】
本開示の実施形態に係る半導体装置10は、半導体記憶装置として用いることができ、以下の説明においては、半導体記憶装置10とも称する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、以下では、各図面には、X軸、Y軸及びZ軸を示すことがある。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、X軸の矢印方向をX軸前方、矢印とは逆方向をX軸後方と呼ぶことがある。その他の軸についても同様である。なお、Z軸前方及びZ軸後方を、それぞれ「上側」乃至「上方」及び「下側」乃至「下方」と呼ぶこともある。また、Z軸方向を「積層方向」と呼ぶこともある。また、X軸、Y軸又はZ軸にそれぞれ直交する面を、YZ面、ZX面又はXY面と呼ぶことがある。ただしこれら方向等は相対的位置関係を説明するために便宜的に用いられているものである。従ってこれら方向等は絶対的位置関係を規定するものではない。
【0009】
<実施形態>
(メモリシステムの構成)
図1に示されるように、本実施形態に係るメモリシステムは、メモリコントローラ1、及び半導体装置10を備えている。半導体装置10は、NAND型のフラッシュメモリとして構成される不揮発性の記憶装置である。メモリシステムはホストと接続可能である。ホストは例えばパーソナルコンピュータや携帯端末等の電子機器である。なお、
図1では半導体装置10が一つのみ図示されているが、メモリシステムには半導体装置10が複数設けられていてもよい。
【0010】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って半導体装置10へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って半導体装置10からのデータの読み出しを制御する。
【0011】
メモリコントローラ1と半導体装置10との間では、チップイネーブル信号/CE、レディービジー信号/RB、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、ライトプロテクト信号/WP、データ信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSの各信号が送受信される。
【0012】
チップイネーブル信号/CEは、半導体装置10をイネーブルにするための信号である。レディービジー信号/RBは、半導体装置10がレディ状態であるか、あるいはビジー状態であるかを示すための信号である。「レディ状態」とは、外部からの命令を受け付ける状態である。「ビジー状態」とは、外部からの命令を受け付けない状態である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>がコマンドであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>がアドレスであることを示す信号である。ライトイネーブル信号/WEは、受信した信号を半導体装置10に取り込むための信号であり、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレス、及びデータを受信する都度アサートされる。メモリコントローラ1は、信号/WEが“L(Low)”レベルである間に信号DQ<7:0>を取り込むように半導体装置10に指示する。
【0013】
リードイネーブル信号RE,/REは、メモリコントローラ1が半導体装置10からデータを読み出すための信号である。リードイネーブル信号RE,/REは、例えば信号DQ<7:0>を出力する際の半導体装置10の動作タイミングを制御するために使用される。ライトプロテクト信号/WPは、データ書き込み及び消去の禁止を半導体装置10に指示するための信号である。信号DQ<7:0>は、半導体装置10とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンド、アドレス、及びデータを含む。データストローブ信号DQS,/DQSは、信号DQ<7:0>の入出力のタイミングを制御するための信号である。
【0014】
メモリコントローラ1は、RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14、及びメモリインターフェイス15を備えている。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14、及びメモリインターフェイス15は互いに内部バス16で接続されている。
【0015】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト及びユーザデータ(書き込みデータ)等を内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、半導体装置10から読み出されたユーザデータ、及びプロセッサ12からの応答等をホストへ送信する。
【0016】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいて、ユーザデータ等を半導体装置10へ書き込む処理、及び半導体装置10から読み出す処理を制御する。
【0017】
プロセッサ12はメモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は例えばCPUやMPU等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13を介してリクエストを受信した場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体装置10へのユーザデータ及びパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体装置10からのユーザデータ及びパリティの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0018】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、半導体装置10上の格納領域(メモリ領域)を決定する。ユーザデータは、内部バス16を介してRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ(ページデータ)に対して実施する。半導体装置10の1ページに格納されるユーザデータのことを、以下では「ユニットデータ」とも称する。ユニットデータは、一般的には訂正符号を付加することにより符号化されて、符号語(Codeword)として半導体装置10に格納される。本実施形態では、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを半導体装置10に格納してもよいが、
図1では一例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0019】
プロセッサ12は、ユニットデータ毎に書き込み先の半導体装置10のメモリ領域を決定する。半導体装置10のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域(物理アドレス)を指定してユーザデータを半導体装置10へ書き込むようにメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合に、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定するとともに、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0020】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、半導体装置10から読み出された符号語を復号する。
【0021】
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを半導体装置10へ記憶するまでに一時格納、または半導体装置10から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納する。RAM11は、例えばSRAMやDRAM等の汎用メモリである。
【0022】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15とをそれぞれ備える構成例が示されている。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が半導体装置10に内蔵されていてもよい。
図1に示される各要素の具体的な構成や配置は特に限定されない。
【0023】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込み対象となるデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出してECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化して、符号語をメモリインターフェイス15に入力する。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を半導体装置10に書き込む。
【0024】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。メモリインターフェイス15は、半導体装置10から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号して、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0025】
(半導体装置の構成)
図2に示されるように、実施形態の半導体装置10は、メモリセルアレイ21、入出力回路22、ロジック制御回路23、レジスタ24、シーケンサ25、電圧生成回路26、ロウデコーダ27、センスアンプ28、入出力用パッド群30、ロジック制御用パッド群31、及び電源入力用端子群32を備えている。
【0026】
メモリセルアレイ21は、データを記憶する部分である。メモリセルアレイ21は、複数のビット線及び複数のワード線に関連付けられた複数のメモリセルトランジスタを有して構成されている。
【0027】
入出力回路22は、信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSをメモリコントローラ1との間で送受信する。また、入出力回路22は、信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ24に転送する。さらに、入出力回路22は、書き込みデータ及び読み出しデータをセンスアンプ28との間で送受信する。
【0028】
ロジック制御回路23は、メモリコントローラ1からチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WP等の制御信号を受信する。また、ロジック制御回路23は、レディービジー信号/RBをメモリコントローラ1に転送して、半導体装置10の状態を外部に通知する。
【0029】
レジスタ24は各種データを一時的に保持する。例えば、レジスタ24は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を指示するコマンドを保持する。このコマンドは、メモリコントローラ1から入出力回路22に入力された後、入出力回路22からレジスタ24に転送されて保持される。また、レジスタ24は、上記のコマンドに対応するアドレスも保持する。このアドレスは、メモリコントローラ1から入出力回路22に入力された後、入出力回路22からレジスタ24に転送されて保持される。さらに、レジスタ24は、半導体装置10の動作状態を示すステータス情報も保持する。ステータス情報は、メモリセルアレイ21等の動作状態に応じて、シーケンサ25によって都度更新される。ステータス情報は、メモリコントローラ1からの要求に応じて、状態信号として入出力回路22からメモリコントローラ1に出力される。
【0030】
シーケンサ25は、メモリコントローラ1から入出力回路22及びロジック制御回路23に入力された制御信号に基づいて、メモリセルアレイ21を含む各部の動作を制御する。
【0031】
電圧生成回路26は、メモリセルアレイ21におけるデータの書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作のそれぞれに必要な電圧を生成する部分である。この電圧には、例えばメモリセルアレイ21の複数のワード線及び複数のビット線にそれぞれ印加される電圧等が含まれる。電圧生成回路26の動作はシーケンサ25により制御される。
【0032】
ロウデコーダ27は、メモリセルアレイ21の複数のワード線に電圧をそれぞれ印加するためのスイッチ群により構成される回路である。ロウデコーダ27は、レジスタ24からブロックアドレス及びロウアドレスを受け取り、当該ブロックアドレスに基づいてブロックを選択するとともに、当該ロウアドレスに基づいてワード線を選択する。ロウデコーダ27は、選択されたワード線に対して電圧生成回路26からの電圧が印加されるようにスイッチ群の開閉状態を切り替える。ロウデコーダ27の動作はシーケンサ25により制御される。
【0033】
センスアンプ28は、メモリセルアレイ21のビット線に印加される電圧を調整したり、ビット線の電圧を読み出してデータに変換したりするための回路である。センスアンプ28は、データの読み出し時には、メモリセルアレイ21のメモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを取得するとともに、取得した読み出しデータを入出力回路22に転送する。センスアンプ28は、データの書き込み時には、ビット線を介して書き込まれるデータをメモリセルトランジスタに転送する。センスアンプ28の動作はシーケンサ25により制御される。
【0034】
入出力用パッド群30は、メモリコントローラ1と入出力回路22との間で各信号の送受信を行うための複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0035】
ロジック制御用パッド群31は、メモリコントローラ1とロジック制御回路23との間で各信号の送受信を行うための複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子は、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、ライトプロテクト信号/WP、及びレディービジー信号/RBのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0036】
電源入力用端子群32は、半導体装置10の動作に必要な各電圧の印加を受けるための複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子に印加される電圧には、電源電圧Vcc,VccQ,Vpp、及び接地電圧Vssが含まれている。電源電圧Vccは、動作電源として外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧である。電源電圧VccQは例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と半導体装置10との間で信号を送受信する際に用いられる電圧である。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0037】
(メモリセルアレイの電子回路的な構成)
次に、メモリセルアレイ21の電子回路的な構成について説明する。
図3に示されるように、メモリセルアレイ21は複数のストリングユニットSU0~SU3を有している。各ストリングユニットSU0~SU3は複数のNANDストリングSRを有している。各NANDストリングSRは、例えば8つのメモリセルトランジスタMT0~MT7、及び2つのセレクトトランジスタSTD,STSを有している。なお、NANDストリングSRが有するメモリセルトランジスタの数及びセレクトトランジスタの数は任意に変更可能である。
【0038】
複数のストリングユニットSU0~SU3は全体で1つのブロックを構成している。なお、
図3では単一のブロックのみが図示されているが、実際には、メモリセルアレイ21には、このようなブロックが複数設けられている。
【0039】
以下では、ストリングユニットSU0~SU3のそれぞれを区別せずに「ストリングユニットSU」とも称する。また、メモリセルトランジスタMT0~MT7のそれぞれを区別せず「メモリセルトランジスタMT」とも称する。
【0040】
メモリセルアレイ21はN本のビット線BL0~BL(N-1)を有している。なお、「N」は正の整数である。各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BL(N-1)の数Nと同数のNANDストリングSRを有している。NANDストリングSRに設けられるメモリセルトランジスタMT0~MT7は、セレクトトランジスタSTDのソースとセレクトトランジスタSTSのドレインとの間において直列に配置されている。セレクトトランジスタSTDのドレインは複数のビット線BL0~BL(N-1)のいずれかに接続されている。セレクトトランジスタSTSのソースはソース線SLに接続されている。以下の説明においては、ビット線BL0~BL(N-1)のそれぞれを区別せず「ビット線BL」とも表記することがある。
【0041】
各メモリセルトランジスタMTは、ゲート部分に電荷蓄積層を有するトランジスタとして構成されている。電荷蓄積層に蓄積された電荷量が、メモリセルトランジスタMTに保持されるデータに相当する。メモリセルトランジスタMTは、例えば窒化シリコン膜等を電荷蓄積層に用いるチャージトラップ型のものであってもよく、シリコン膜等を電荷蓄積層に用いるフローティングゲート型のものであってもよい。
【0042】
ストリングユニットSU0に設けられる複数のセレクトトランジスタSTDのゲートは、いずれもセレクトゲート線SGD0に接続されている。セレクトゲート線SGD0には、各セレクトトランジスタSTDの開閉を切り換えるための電圧が印加される。ストリングユニットSU1~SU3も同様にセレクトゲート線SGD1~SGD3にそれぞれ接続されている。
【0043】
ストリングユニットSU0に設けられる複数のセレクトトランジスタSTSのゲートは、いずれもセレクトゲート線SGS0に接続されている。セレクトゲート線SGS0には、各セレクトトランジスタSTSの開閉を切り換えるための電圧が印加される。ストリングユニットSU1~SU3も同様にセレクトゲート線SGS1~SGS3にそれぞれ接続されている。なお、1つのブロックを構成するストリングユニットSU0~SU3においてセレクトゲート線が共有され、ストリングユニットSU0~SU3のそれぞれのセレクトトランジスタSTSのゲートが共通のセレクトゲート線に接続されていてもよい。
【0044】
メモリセルトランジスタMT0~MT7のそれぞれのゲートはワード線WL0~WL7に接続されている。ワード線WL0~WL7には、メモリセルトランジスタMT0~MT7の開閉を切り換えたり、メモリセルトランジスタMT0~MT7の各電荷蓄積層に蓄積された電荷量を変化させたりする等の目的で電圧が印加される。
【0045】
半導体装置10におけるデータの書き込み及び読み出しは、いずれかのストリングユニットSUにおける、いずれかのワード線WLに接続される複数のメモリセルトランジスタMTに対して、「ページ」と称される単位ごとに一括して行われる。一方、半導体装置10におけるデータの消去は、ブロックに含まれる全てのメモリセルトランジスタMTに対して、一括して行われる。このようなデータの書き込み、読み出し、及び消去を行うための具体的な方法としては、公知となっている様々な方法を採用することができるため、その詳細な説明は省略する。
【0046】
(半導体装置の構造)
次に、半導体装置10の構造、特にメモリセルアレイ21の近傍の構造について具体的に説明する。
図4に示されるように、半導体装置10は、基板40、絶縁体層41、半導体層42、及び積層体50を備えている。
【0047】
基板40は、Z軸方向側に平坦面を有する板状の部材である。基板40は例えばシリコンウェハである。基板40の上面には、絶縁体層41及び半導体層42が例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により複数層の膜として形成されている。基板(半導体基板)40の表面には、例えば、素子分離領域40iが設けられている。素子分離領域40iは、例えばシリコン酸化物を含む絶縁領域であり、その一部において、トランジスタTrのソース領域およびドレイン領域を区画する部分である。
【0048】
絶縁体層41は、例えばシリコン酸化物のような絶縁性の材料により形成されている。絶縁体層41において基板40に接触する底部には、例えばトランジスタTrや配線LN等を含む周辺回路が形成されている。この周辺回路は、
図2に示されるセンスアンプ28やロウデコーダ27等を構成する。絶縁体層41は、この周辺回路の全体を覆っている。
【0049】
半導体層42は、
図3のソース線SLとして機能する層である。半導体層42は、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコンのような、シリコンを含む材料により形成されている。半導体層42はメモリセルアレイ21の下方において絶縁体層41に埋め込まれている。
【0050】
なお、半導体層42は、その全体がシリコンのような半導体材料により形成されていてもよいが、
図4に示されるように半導体層42a及び導電層42bを含む少なくとも2層の積層構造により形成されていてもよい。半導体層42aは例えばシリコン(ポリシリコン)のような半導体材料により形成されている。導電層42bは例えばタングステンのような金属材料により形成されている。
【0051】
積層体50は半導体層42の上面に設けられている。積層体50は、絶縁体層51及び導電体層52がZ軸方向に交互に複数積層された構造を有している。絶縁体層51及び導電体層52は、半導体層42の上面に例えばCVD法を用いた成膜法により複数層の膜として形成される。
【0052】
導電体層52は、例えばタングステンを含む材料を用いて形成された、導電性を有する層である。各導電体層52は、
図3におけるワード線WL0~WL7やセレクトゲート線SGS1,SGD1等として用いられる。絶縁体層51は、互いに隣り合う導電体層52、52の間に配置されており、それらの間を電気的に絶縁している。
【0053】
積層体50には、Z軸方向に貫通するように複数のメモリホールMHが形成されている。各メモリホールMHの内側にはメモリピラー60が形成されている。各メモリピラー60は、Z軸方向において最も上方に位置する絶縁体層51から半導体層42までの領域に形成されている。各メモリピラー60は、
図3に示されるNANDストリングSRに対応するものである。
【0054】
図5は、メモリピラー60をその中心軸を通る面(Y-Z平面)で切断した際の積層体50の断面構造を示したものである。
図6は、
図5のVI-VI線に沿った断面構造を示したものである。
【0055】
図5および
図6に示されるように、メモリピラー60は、円形又は楕円形の断面形状を有している。メモリピラー60は、ボディ60a、及び積層膜60bを有している。
【0056】
ボディ60aは、コア部62、及び半導体部64を有している。半導体部64は半導体材料を含み、例えばアモルファスシリコンを含む材料又はポリシリコンを含む材料によって形成されている。半導体部64は、メモリセルトランジスタMT等のチャネルを形成する部分であり、本実施形態の半導体チャネルとして機能する。従って、半導体部64は、本実施形態においては、チャネル層64とも称される。コア部62は、半導体部64の内側に設けられている。コア部62は、例えばシリコン酸化物のような絶縁性の材料により形成されている。なお、ボディ60aは、その全体が半導体部64になっており、内側のコア部62が設けられていない構造であってもよい。
【0057】
積層膜60bは、ボディ60aの外周を覆うような位置に形成された複数層の膜である。積層膜60bは、例えばトンネル絶縁膜66(本実施形態において、「トンネル層」ともいう。)、及び電荷蓄積層68を有している。トンネル絶縁膜66は、ボディ60aの外周の位置に設けられる膜である。トンネル絶縁膜66は、例えばシリコン酸化物、又はシリコン酸化物及びシリコン窒化物、又はシリコン酸窒化物を含む。トンネル絶縁膜66は、ボディ60aと電荷蓄積層68との間の電位障壁である。例えばボディ60aから電荷蓄積層68へ電子を注入するとき(書き込み動作)には、電子がトンネル絶縁膜66の電位障壁を通過(トンネリング)する。また、ボディ60aから電荷蓄積層68へ正孔を注入するとき(消去動作)には、正孔がトンネル絶縁膜66の電位障壁を通過する。
【0058】
電荷蓄積層68は、トンネル絶縁膜66の外側を覆うように形成された膜である。電荷蓄積層68は、例えばシリコン窒化物を含む。電荷蓄積層68は、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷蓄積層68において導電体層52とボディ60aとの間に挟み込まれている部分は、電荷を蓄積する電荷蓄積層を、すなわちメモリセルトランジスタMTの記憶領域を構成している。メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電荷蓄積層68における電荷の有無、又は当該電荷の量によって変化する。本実施形態においては、電荷蓄積層68は、第1電荷蓄積層68aと、誘電層68bと、第2電荷蓄積層68cとを備える。本実施形態の第1電荷蓄積層68a、誘電層68b、及び第2電荷蓄積層68cについては後に詳述する。
【0059】
図5に示されるように、導電体層52の外周面は第1ブロック絶縁膜53及びバリアメタル膜56により覆われている。第1ブロック絶縁膜53は、導電体層52から積層膜60b側への電荷のバックトンネリングを抑制するための膜である。ブロック絶縁膜53は、例えばシリコン酸化物及び/またはアルミニウム酸化物を含む材料により形成される。バリアメタル膜56は、例えば窒化チタン膜を用いて設けられてもよい。
【0060】
絶縁体層51と電荷蓄積層68との間にはカバー絶縁膜54(第2ブロック絶縁膜54(本実施形態において、「ブロック絶縁層」ともいう。))が設けられている。カバー絶縁膜54は、例えばシリコン酸化物を含む材料を用いて形成されてもよい。カバー絶縁膜54は、犠牲層(後述する犠牲層55)を導電体層52に置き換えるリプレイス工程において電荷蓄積層68がエッチングされないように保護することができる。
【0061】
メモリピラー60において各導電体層52の内側に位置する部分はトランジスタとして機能する。すなわち、各メモリピラー60では、その長手方向に沿って複数のトランジスタが電気的に直列に接続された状態になっている。各導電体層52は積層膜60bを介して各トランジスタのゲートに接続されている。トランジスタの内側にある半導体部64(チャネル層64)は、当該トランジスタのチャネルとして機能する。
【0062】
メモリピラー60の長手方向に沿って直列に並ぶ各トランジスタの一部は、
図3に示される複数のメモリセルトランジスタMTとして機能する。また、直列に並ぶ複数のメモリセルトランジスタMTの両端にそれぞれ形成されるトランジスタは、
図3に示されるセレクトトランジスタSTD,STSとしてそれぞれ機能する。
【0063】
図4に示されるように、それぞれのメモリピラー60の上方には複数のビット線BLが設けられている。各ビット線BLは、X方向に延びる直線状の配線として形成されている。各ビット線BLはY方向に並ぶように配置されている。メモリピラー60の上端はコンタクトCbを介して複数のビット線BLのうちのいずれかに接続されている。このような構造により、各メモリピラー60の半導体部64がビット線BLに対し電気的に接続されている。
【0064】
積層体50はスリットSTにより複数に分断されている。スリットSTは、
図4のY方向に沿って延びるように形成された直線状の溝であり、例えば半導体層42に達する深さで形成されている。
【0065】
積層体50の上方部分はスリットSHEにより分断されている。スリットSHEは、Y方向に延びるように形成される浅い溝である。スリットSHEは、複数の導電体層52のうち、セレクトゲート線SGDとして設けられた導電体層52のみを分断する深さまで形成されている。
【0066】
メモリピラー60の下端部では積層膜60bが除去されている。これにより、半導体部64の下端部は半導体層42に接続されている。このような構造により、ソース線SLとして機能する半導体層42と、各トランジスタのチャネルとが電気的に接続されている。
【0067】
本実施形態に係る半導体装置10は、積層体50と、ブロック絶縁層(第2ブロック絶縁膜)54と、チャネル層(半導体部)64と、トンネル層(トンネル絶縁膜)66と、電荷蓄積層68とを備える。積層体50は、交互に積層される導電体層52及び絶縁体層51を含む。ブロック絶縁層54は、積層体50の側面に沿って設けられる。電荷蓄積層68は、ブロック絶縁層54と、チャネル層64との間に設けられる。トンネル層66は、電荷蓄積層68と、チャネル層64との間に設けられる。すなわち、ブロック絶縁層54と、電荷蓄積層68と、トンネル層66と、チャネル層64とは、導電体層52からコア部62に向かう方向に沿って、この順に設けられる。
電荷蓄積層68は、第1電荷蓄積層68aと、誘電層68bと、第2電荷蓄積層68cとを備える。第2電荷蓄積層68cは、第1電荷蓄積層68aと、トンネル層66との間に設けられる。誘電層68bは、第1電荷蓄積層68aと第2電荷蓄積層68cとの間に設けられる。従って、第1電荷蓄積層68aと、誘電層68bと、第2電荷蓄積層68cとは、この順に設けられる。
【0068】
第1電荷蓄積層68aは、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの添加物元素(以降、添加物とも称する。)と、Siと、Nと、を含む。すなわち、第1電荷蓄積層68aはSiNを主成分とし、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの元素を添加物として含む。例えば、添加物の濃度は、第1電荷蓄積層68aにおいて5%以下である。例えば、添加物の濃度は、第1電荷蓄積層68aにおいて1%以下である。誘電層68bは、SiON(酸窒化ケイ素)、SiOCN(酸炭窒化ケイ素)、及びAlOx(酸化アルミニウム)のうちの少なくとも1つを含む。AlOxは、例えば、Al2O3を含む。第2電荷蓄積層68cは、Siと、Nと、を含み、Siが、第1電荷蓄積層68aにおけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有される。本開示の実施形態に係る半導体装置10は、かかる構成を有することにより、後述するように、書き込み特性や電荷保持特性を向上することができる。従って、例えばメモリとして使用される場合に信頼性を向上することができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、第1電荷蓄積層68aは、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの酸窒化物を添加物として含んでもよい。
【0070】
第1電荷蓄積層68aに含まれる添加物の濃度は、例えば、1x1019atoms/cm2以上5x1020atoms/cm2以下であってもよい。1x1019atoms/cm2以上の添加物を含むことにより、添加物による第1電荷蓄積層68aのトラップ準位の深化を効果的に実現することができる。また、添加物を5x1020atoms/cm2以下とすることにより、第1電荷蓄積層68aのSi及びNを含む領域への添加物に起因するダメージによる影響を軽減することができるので好ましい。
【0071】
誘電層68bはAl2O3等のAlOxを含んでもよく、この場合、AlOxの添加濃度は、1x1014atoms/cm2以上1x1015atoms/cm2以下であることが好ましい。AlOxを含む誘電層68bを形成することにより、例えば、誘電層68bがSiONやSiOCNにより形成される場合に比べ、高誘電率化することができる。従って、誘電層68bにおけるトンネル電界を強くすることができるので、例えば、書き込み特性を改善することができると考えられる。
【0072】
第2電荷蓄積層68cは、含まれるNとSiの比であるN/Si比が1.1以上1.2以下であることが好ましい。すなわち、例えば、第1電荷蓄積層68aは、ストイキオメトリーに近くN/Si比が1.33に近い場合において、第2電荷蓄積層68cは、Si濃度である第2濃度が、第1電荷蓄積層68aのSi濃度である第1濃度より高くなるように形成され、その濃度(第2濃度)は、N/Si比が1.1以上1.2以下となるように、第2電荷蓄積層68cが形成されることが好ましい。第2電荷蓄積層68cが、N/Si比が1.1以上1.2以下となるように形成されることにより、後述する消去動作時における導電体層52が形成される領域間のホールの残留に起因する電荷のリークの抑制等の効果を実現することができる。
【0073】
以下、比較例の半導体装置200を参照し、本開示の実施形態に係る半導体装置10の作用効果について説明する。
図7は、比較例の半導体装置200の一部の模式的な断面図である。
図7に示すように、比較例の半導体装置200は、ブロック絶縁層(第2ブロック絶縁膜)254と、チャネル層264と、トンネル層(トンネル絶縁膜)266と、電荷蓄積層268と、Z軸方向に積層された絶縁体層251と、導電体層252と、導電体層252を覆うように設けられた第1ブロック絶縁膜253と、バリアメタル膜256とを備える。電荷蓄積層268は、第1電荷蓄積層268aと、誘電層268bと、第2電荷蓄積層268cとを備える。比較例においては、例えば、電荷蓄積層268は、例えば窒化ケイ素(SiN)を用いて形成され、SiNで形成された電荷蓄積層268内に例えば酸素(O)を含む誘電層268b(NON構成)が設けられる。半導体装置200においては、誘電層268bが設けられているので、電荷蓄積層268に蓄積された電荷のリークを抑制することができる。より具体的には、第1電荷蓄積層268aに蓄積された電荷が誘電層268bにより、トンネル層266方向への通過が抑制されると考えられる。
【0074】
一方で、誘電層268bを設けることにより、第1電荷蓄積層268a及び第2電荷蓄積層268cの相対的な体積が小さくなり、書き込み特性が劣化する場合がある。また、誘電層268bが設けられた部分の等価酸化膜厚(EOT(equivalent oxide thickness))が増加することになるので、例えばデータの書き込み時における電荷蓄積層268に印加される電界の大きさが相対的に小さくなる(すなわち、誘電層268bが設けられない構成においてトラップ可能な電荷と同じ量の電荷をトラップするのに、誘電層268bがあると、誘電層268bが無い場合に比べ、より大きい電圧を印加することとなる。)ことによっても、書き込み特性の低下が発生する場合がある。
【0075】
これに対し、本開示の実施形態に係る半導体装置10によれば、NON構成を有する電荷蓄積層68において、第1電荷蓄積層68aが、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの添加物と、Siと、Nと、を含むことにより、比較例に係る半導体装置200について上述した書き込み特性の劣化等を改善することが可能となる。また、本実施形態において、ブロック絶縁層54側の第1電荷蓄積層68aに、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つが添加されることにより、第1電荷蓄積層68a内のトラップ準位を深くすることができる。従って、電荷をトラップしやすくなるので、電荷の抜け等を抑制することが可能となる。そのため、書き込み特性および電荷保持特性を向上させることが可能となる。
【0076】
さらに、本開示の実施形態に係る半導体装置10においては、電荷蓄積層68のうちトンネル層66側に設けられる第2電荷蓄積層68cに含まれるSiの濃度が、第1電荷蓄積層68aにおけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度となるようにSiが含有されるように、第2電荷蓄積層68cが設けられる。すなわち、第2電荷蓄積層68cには、比較的多くのSiが含有されているので、例えばデータの消去時において、蓄積された電荷の消去(すなわち、電子の引き抜き)が促進されると考えられる。そのため、データの消去時に必要とされるホールを少なくすることができるので、比較例に係る半導体装置200よりも導電体層52間の領域において残留するホールを減少させることができると考えられる。従って、残留するホールに起因する電荷の抜けを抑制することが可能となると考えられる。
【0077】
本開示の実施形態に係る半導体装置10においては、トンネル層66側の第2電荷蓄積層68cにおいてSiの濃度が比較的大きい。従って、単純に電荷蓄積層268のSiの濃度を増大させた場合に発生しやすくなると考えられる電荷の抜けを抑制することができるので、消去特性が改善され得る。また、消去時の導電体層52間でのホールの残留等も抑制することができるので、電荷のZ軸方向への抜けも抑制することができる。
【0078】
上述したように、本開示の実施形態に係る半導体装置10は、上記構成を有することにより、書き込み特性等を向上することができる。従って、信頼性の向上が可能である。
【0079】
以下、本実施形態の第1の変形例について説明する。
図8は、第1の変形例の半導体装置10の一部の模式的な断面図である。
図8に示されるように、半導体装置10には、ブロック絶縁層54と第1電荷蓄積層68aとの界面に例えば酸化アルミニウム(Al
2O
3)等のAlOxを含む界面ダイポール層63が形成されてもよい。界面ダイポール層63が形成されることにより、界面ダイポール層63付近において電荷の捕捉を促進することができる。例えば、ブロック絶縁層54がケイ素酸化物(SiO
2)を含み、Al
2O
3を含む界面ダイポール層63を設ける場合においては、酸素の面密度の関係が、SiO
2の面密度よりAl
2O
3の面密度が大きいので、界面ダイポール層63とブロック絶縁膜53との界面付近において、ブロック絶縁膜54側が負となり、界面ダイポール層63側が正となるダイポールが形成される。そのため、チャネル層64側から注入される電荷等、電荷蓄積層68に注入される電荷が、界面ダイポール層63側の、界面ダイポール層63とブロック絶縁層54との界面付近に捕捉されやすくなる。従って、書き込み特性を向上させることができる。AlOxを含む界面ダイポール層63を形成する際のブロック絶縁層54と第1電荷蓄積層68aとの界面へのAlOxの添加濃度は、例えば、1x10
14atoms/cm
2以上1x10
15atoms/cm
2以下であることがダイポールの形成による書き込み特性の向上等の観点から好ましい。
【0080】
以下、本実施形態の第2の変形例について説明する。
図9は、第2の変形例の半導体装置10の一部の模式的な断面図である。
図9に示されるように、第1電荷蓄積層68aと、誘電層68bとの間に、SiCNまたはSiOCNを含む酸化防止層65が設けられてもよい。なお、誘電層68bと酸化防止層65との材料は互いに異なる。酸化防止層65が設けられることにより、第1電荷蓄積層68aの酸化を抑制することが可能となる。また、本実施形態の酸化防止層65のようなC(炭素)を含む層が設けられていることにより、電荷をトラップする効果を向上させることができるので、書き込み特性及び/または消去特性の劣化を抑制することが可能となる。酸化防止層65は、例えば、SiCNを用いて形成されてもよいし、SiOCNを用いて形成されてもよい。あるいは、例えば第1電荷蓄積層68aを形成した後、第1電荷蓄積層68aの形成を行ったチャンバーの外でSiCNを用いて層を形成し、酸化させることにより、SiOCN層を形成し酸化防止層65を形成してもよい。
【0081】
また、酸化防止層65は、含有するSiCNまたはSiOCNのCの濃度が、酸化防止層65のトンネル層66側よりブロック絶縁層54側のほうが高くなるように設けられていてもよい。ブロック絶縁層54側のほうがCの濃度が高くなるように酸化防止層65が形成されると、酸化防止層65の第1電荷蓄積層68aとの界面におけるCの濃度が高いので、第1電荷蓄積層68aにおける電荷蓄積効果を向上させることができると考えられる。従って、上述の書き込み特性及び/または消去特性の劣化をさらに抑制することが可能となると考えられる。
【0082】
また、本実施形態においては、第1電荷蓄積層68aは、上述のように、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つを含むが、第1電荷蓄積層68aは、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの酸窒化物を含んでもよい。
【0083】
本実施形態においては、上述してきた各構成および変形例は、それぞれ組み合わせて用いられてもよい。例えば、上述のように、ブロック絶縁層54と、第1電荷蓄積層68aとの間にAlOxを含む界面ダイポール層63が設けられる場合に、さらに、第1電荷蓄積層68aと、誘電層68bとの間にSiCNまたはSiOCNを含む酸化防止層65が設けられてもよく、このとき、誘電層68bはAlOxを含んでいてもよい。これら各構成を組み合わせることにより、例えば、上述の書き込み特性及び/または消去特性をさらに向上させることが可能となると考えられる。
【0084】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図10-
図19を参照して、本実施形態に係る半導体装置10の製造方法について説明する。
図10―
図19は、本実施形態に係る半導体装置10の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。
【0085】
図10に示されるように、まず、基板40上に複数の絶縁体層51および犠牲層55を交互に含む積層体50を形成する。基板40は、Z軸方向側において平坦な面を有する板状の部材であり、例えば、シリコン基板などの半導体基板である。なお、
図10には示されていないが、基板40上には、絶縁体層41および半導体層42(
図4参照)が形成されてもよく、絶縁体層41は、例えばシリコン酸化物のような絶縁性の材料により形成されてもよい。また、半導体層42は、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコンのような、シリコンを含む材料により形成されてもよい。積層体50を構成する絶縁体層51は、例えばシリコン酸化物を含む材料を用いて形成される。絶縁体層51は、例えば、TEOS層であってもよい。TEOS層は、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたシリコン酸化物層であり、例えば、CVD法を用いて形成されてもよい。犠牲層55は、後の置換工程において、導電体層52に置き換えられる。犠牲層55は、例えば、シリコン窒化物を含む材料を用いてCVD法により形成されてもよい。後の工程において犠牲層55が導電体層52に置換されると、絶縁体層51は、互いに隣り合う導電体層52、52の間に配置されて、それらの間を電気的に絶縁する。なお、
図10では、絶縁体層51および犠牲層55は、それぞれ4層および3層が積層される場合を模式的に示しているが、積層体50の積層数はこれらに限られない。例えば、絶縁体層51および犠牲層55(後述の犠牲層55を除去した後に形成される、ワード線として機能する導電体層52)は、3層以下、または5層以上が積層されてもよく、例えば100層以上でもよい。
【0086】
次に、
図11に示されるように、積層体50を貫通するように、積層体50にメモリホールMHが形成される。メモリホールMHは、例えばRIE(Reactive Ion Etching)による異方性エッチングを行うことにより形成されてもよい。
【0087】
続いて、
図12に示されるように、メモリホールMH内の絶縁体層51および導電体層52のそれぞれの内面に、カバー絶縁膜54(第2ブロック絶縁膜54、本実施形態において、ブロック絶縁層54、ともいう。)が形成される。カバー絶縁膜54は、例えばシリコン酸化物を含む材料を用いて形成されてもよい。
【0088】
次に、カバー絶縁膜54の内面側に、電荷蓄積層68が形成される。
図13に示されるように、まず、第1電荷蓄積層68aが形成される。第1電荷蓄積層68aは、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの添加物元素と、Siと、Nと、を含むように形成される。第1電荷蓄積層68aは、例えば、シリコン窒化物(SiN)の成膜中に添加物(上述のAl、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つ)を含むガスを供給することにより、形成されてもよい。例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)により300℃以上かつ800℃以下の減圧環境(2000Pa以下)でSiH
2Cl
2ガスとNH
3ガスとをプリカーサー(前駆体)として用いてSiN膜が形成され、このALDのシーケンス中に添加物のガスを供給することにより、第1電荷蓄積層68aが形成されてもよい。また、まずSiのガスを供給し、窒化した後、上記添加物を含むガスを供給することにより第1電荷蓄積層68aが形成されてもよい。
【0089】
例えば、添加物としてAlを添加する場合には、添加物を含むガスとして、AlCl3を含むガスが用いられてもよいし、トリメチルアルミニウム(TMA(Trimethylaluminium)、CH3Al)を含むガスが用いられてもよい。また、例えば、添加物としてMoを添加する場合には、MoNxのガスが用いられてもよく、MoNxは、例えば、MoCl5、NH3、及びZnにより形成されてもよい。例えば、添加物としてNbを添加する場合には、NbOxNyのガスが用いられてもよく、NbOxNyは、例えば、NbCl5+H2O+NH3により形成されてもよい。例えば、添加物としてNbを添加する場合には、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH(tetrakis(ethylmethylamino)hafnium)、[(CH3)(C2H5)N]4Hf)が用いられてもよい。また、例えば、添加物としてZrを添加する場合には、ジルコニウムアセテート(Zac(Zirconium Acetate)、C8H12O8Zr)のガスが用いられてもよい。また、例えば、添加物としてTiを添加する場合には、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT(Tetrakis(dimethylamino)titanium)、Ti[N(CH3)2]4)のガスが用いられてもよい。また、例えば、添加物としてBを添加する場合には、三塩化ホウ素(BCl3)のガスが用いられてもよい。また、例えば、添加物としてPを添加する場合には、リン化水素(PH3)のガスが用いられてもよい。
【0090】
次に、
図14に示すように、第1電荷蓄積層68aの内面側に誘電層68bが形成される。誘電層68bは、例えば、SiON、SiOCN、またはAlOxを含む。例えば、SiONを含む誘電層68bを形成する場合には、第1電荷蓄積層68aを形成した後、第1電荷蓄積層68aの形成に用いたチャンバーから基板40及び積層体50等を含む製造途中の半導体装置をチャンバー外部に移し、大気開放して自然酸化させることにより誘電層68bが形成されてもよい。あるいは、CVDやALD等を用いて、熱酸化、ラジカル酸化、及び/または堆積プロセスにより、第1電荷蓄積層68aの表面から所定の厚さ(例えば1nm)まで酸化することにより誘電層68bが形成されてもよい。
【0091】
次に、
図15に示すように、誘電層68bの内面側に第2電荷蓄積層68cが形成される。第2電荷蓄積層68cは、第1電荷蓄積層68aのSi濃度を第1濃度とし、第2電荷蓄積層68cのSi濃度を第2濃度とすると、第1濃度<第2濃度となるように形成される。第2電荷蓄積層68cは、例えば、上述の第1電荷蓄積層68aと同様に、ALD法により、SiH
2Cl
2ガスとNH
3ガスとを用いて形成されてもよい。このとき、例えば、SiH
2Cl
2ガス及びNH
3ガスを流す時間を調節することにより、第2電荷蓄積層68cのSi濃度を調節することができる。例えば、SiH
2Cl
2ガスを供給する時間を比較的長くし、NH
3ガスを供給する時間を比較的短くすることにより、Si濃度を比較的高くすることができる。上述のように、第2電荷蓄積層68cにおいて、Siと、Nとの比であるN/Si比が、第1電荷蓄積層68aのN/Si比より小さく、且つ、1.1以上1.2以下となるように、Si及びNを含むように第2電荷蓄積層68cが形成される。
【0092】
以上のように、第1電荷蓄積層68aと、誘電層68bと、第2電荷蓄積層68cとを形成することにより、電荷蓄積層68が形成される。
【0093】
続いて、
図16に示されるように、第2電荷蓄積層68cの内面側に、トンネル絶縁膜66を形成することにより、電荷蓄積層68及びトンネル絶縁膜66を含む積層膜60bを形成し、さらにトンネル絶縁膜66の内面側にチャネル層64と、コア部62とを形成することによりボディ60aが形成される。トンネル層66は、例えばシリコン酸化物を含む材料、またはシリコン酸化物およびシリコン窒化物を含む材料を用いて形成されてもよい。チャネル層64は、例えば半導体材料を含み、例えばアモルファスシリコンを含む材料を用いて形成されてもよい。コア部62は、例えばシリコン酸化物のような絶縁性の材料を用いて形成されてもよい。
【0094】
次に、積層体50に不図示の溝を形成した後、この溝を利用して犠牲層55を除去する。この溝は、例えばRIEにより基板40に達するように深さ方向(Z軸方向)に形成されてもよい。犠牲層55は、例えば、リン酸等の薬液を用いた、溝を介したウェットエッチングにより除去されてもよい。これにより、
図17に示されるように、隣り合う絶縁体層51、51の間に空隙Cが形成される。
図17に示されるように、空隙C内には絶縁体層51のZ軸方向の表面および第2ブロック絶縁膜54の表面(Y軸方向の表面)が露出する。第2ブロック絶縁膜54が設けられていることにより、犠牲層55を除去する工程において電荷蓄積層68がエッチングされないように保護される。
【0095】
次に、絶縁体層51のZ軸方向の表面および第2ブロック絶縁膜54のY方向の表面に、第1ブロック絶縁膜53及びバリアメタル膜56がこの順に形成される。これにより、
図18に示されるように、空隙C内に第1ブロック絶縁膜53及びバリアメタル膜56が形成される。第1ブロック絶縁膜53は、例えば酸化アルミニウム膜を含み、酸化アルミニウム膜は、例えば熱CVD法またはALD法を用いて形成されてもよい。バリアメタル膜56が形成される。バリアメタル膜56は、例えば、窒化チタン(TiN)を含む材料を用いてCVD法またはALD法により形成されてもよい。
【0096】
続いて、
図19に示されるように、バリアメタル膜56の表面(Z軸方向の表面およびY方向の表面)に導電体層52が形成される。導電体層52は、例えばタングステン膜を形成することにより設けられてもよい。タングステン膜は、例えば、成膜ガスとしての六フッ化タングステン(WF
6)ガスと還元ガスとしての水素(H
2)ガスとを含む処理ガスを用いて、CVD法により形成されてもよい。上述のように、こうして形成されたタングステン膜を含む導電体層52は、ワード線として機能する。
【0097】
以上により、本実施形態の半導体装置10が形成される。
【0098】
(付記1)
交互に積層される導電体層及び絶縁体層を含む積層体と、
前記積層体の側面に沿って設けられるブロック絶縁層と、
チャネル層と、
前記ブロック絶縁層と、前記チャネル層との間に設けられる電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と、前記チャネル層との間に設けられるトンネル層と、
を備え、
前記電荷蓄積層は、
Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層と、
Siと、Nと、を含み、Siが、前記第1電荷蓄積層におけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有され、前記第1電荷蓄積層と前記トンネル層との間に設けられる第2電荷蓄積層と、
Oを含み、前記第1電荷蓄積層と前記第2電荷蓄積層との間に設けられる誘電層と、
を含む、
半導体装置。
【0099】
(付記2)
前記誘電層は、SiON(酸窒化ケイ素)、SiOCN(酸炭窒化ケイ素)、及びAlOx(酸化アルミニウム)のうちの少なくとも1つを含む、付記1に記載の半導体装置。
【0100】
(付記3)
前記ブロック絶縁層と、前記第1電荷蓄積層との間に設けられ、AlOxを含む界面ダイポール層を含む、
付記1に記載の半導体装置。
【0101】
(付記4)
前記界面ダイポール層のAlOxの添加濃度は1x1014atoms/cm2以上1x1015atoms/cm2以下である、
付記3に記載の半導体装置。
【0102】
(付記5)
前記第1電荷蓄積層と、前記誘電層との間に設けられ、SiCNまたはSiOCNを含む酸化防止層を含む、
付記1に記載の半導体装置。
【0103】
(付記6)
前記酸化防止層は、含有するSiCNまたはSiOCNのCの濃度が、前記酸化防止層の前記トンネル層側より前記ブロック絶縁層側のほうが高くなるように設けられる、
付記5に記載の半導体装置。
【0104】
(付記7)
前記第1電荷蓄積層は、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つの酸窒化物を含む、付記1に記載の半導体装置。
【0105】
(付記8)
前記第1電荷蓄積層は、1x1019atoms/cm2以上5x1020atoms/cm2以下の濃度でAl、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つを含む、
付記1に記載の半導体装置。
【0106】
(付記9)
前記誘電層は、添加濃度が1x1014atoms/cm2以上1x1015atoms/cm2以下のAlOxを含む、
付記2に記載の半導体装置。
【0107】
(付記10)
前記第1電荷蓄積層と、前記誘電層との間に設けられ、SiCNまたはSiOCNを含む酸化防止層を含み、
前記誘電層は、AlOxを含む、
付記3に記載の半導体装置。
【0108】
(付記11)
前記第2電荷蓄積層は、N/Si比が1.1以上1.2以下である、
付記1に記載の半導体装置。
【0109】
(付記12)
交互に積層される導電体層及び絶縁体層を含む積層体と、
前記積層体の側面に沿って設けられるブロック絶縁層と、
チャネル層と、
前記ブロック絶縁層と、前記チャネル層との間に設けられる電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と、前記チャネル層との間に設けられるトンネル層と、
を備え、
前記電荷蓄積層は、
1x1019atoms/cm2以上5x1020atoms/cm2以下の濃度でAl、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層と、
Siと、Nと、をN/Si比が前記第1電荷蓄積層のN/Si比より小さく、且つ、1.1以上1.2以下となるように含み、前記第1電荷蓄積層と前記トンネル層との間に設けられる第2電荷蓄積層と、
Oを含み、前記第1電荷蓄積層と前記第2電荷蓄積層との間に設けられる誘電層と、
を含む、
半導体装置。
【0110】
(付記13)
ブロック絶縁層を形成し、
前記ブロック絶縁層が延伸する方向に沿って、Al、Mo、Nb、Hf、Zr、Ti、B、及びPのうちの少なくとも1つと、Siと、Nと、を含む第1電荷蓄積層を形成し、
前記第1電荷蓄積層に沿って、Oを含む誘電層を形成し、
前記誘電層に沿って、Siと、Nと、を含み、Siが、前記第1電荷蓄積層におけるSiの濃度である第1濃度より高い第2濃度で含有される第2電荷蓄積層を形成する、
半導体装置の製造方法。
【0111】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 メモリコントローラ
10 半導体装置(半導体記憶装置)
12 プロセッサ
13 ホストインターフェイス
14 ECC回路
15 メモリインターフェイス
16 内部バス
21 メモリセルアレイ
22 入出力回路
23 ロジック制御回路
24 レジスタ
25 シーケンサ
26 電圧生成回路
27 ロウデコーダ
28 センスアンプ
30 入出力用パッド群
31 ロジック制御用パッド群
32 電源入力用端子群
40 基板(半導体基板)
51 絶縁体層
52 導電体層
53 第1ブロック絶縁膜
54 カバー絶縁膜(ブロック絶縁層)
55 犠牲層
56 バリアメタル膜
60 メモリピラー
60a ボディ
60b 積層膜
62 コア部
63 界面ダイポール層
64 半導体部(チャネル層)
65 酸化防止層
66 トンネル層(トンネル絶縁膜)
68 電荷蓄積層
68a 第1電荷蓄積層
68b 誘電層
68c 第2電荷蓄積層
200 半導体装置