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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135031
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240927BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240927BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20240927BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20240927BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20240927BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
A01B69/00 301
A01B69/00 302
A01D69/00 301
A01D67/00 G
A01D41/02 D
A01D41/12 C
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045522
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】北岡 治正
(72)【発明者】
【氏名】太田 真史
(72)【発明者】
【氏名】安部 正純
(72)【発明者】
【氏名】新福 勇一
【テーマコード(参考)】
2B043
2B074
2B076
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB14
2B043DA03
2B043DA13
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE05
2B043EE06
2B043EE08
2B074AA01
2B074AC02
2B074BA09
2B074DE03
2B074DE05
2B074EA02
2B074EB02
2B074EC01
2B076AA03
2B076BA07
2B076CD03
2B076ED22
2B076ED27
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301GG07
5H301GG14
5H301HH10
(57)【要約】
【課題】作業車両の走行中におけるタッチパネルの操作を回避する。
【解決手段】作業車両1は、事前に定められた自動走行経路R1に沿って走行する自動走行モードを有する。作業車両1は、走行装置102と、表示操作装置31と、スイッチ32とを備える。走行装置102は、走行する。表示操作装置31は、自動走行経路R1を表示するとともに運転者の操作を受け付ける。スイッチ32は、自動走行モードにおいて、自動走行経路R1の調整を指示する調整操作を受け付ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に定められた走行経路に沿って走行する自動走行モードを有する作業車両であって、
走行する走行装置と、
前記走行経路を表示するとともに運転者の操作を受け付ける表示操作装置と、
前記自動走行モードにおいて、前記走行経路の調整を指示する調整操作を受け付ける調整操作装置と
を備える、作業車両。
【請求項2】
前記走行装置は、前記運転者が着座する運転座席と、前記走行装置の手動走行に要する運転機器が配置されるキャビンを含み、
前記表示操作装置及び前記調整操作装置は、前記運転座席に着座した前記運転者が向く正面方向において、前記運転機器が占める範囲に配置される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記表示操作装置及び前記調整操作装置は、前記正面方向に対して交差する左右方向において、前記キャビンの中央より一方側に配置される、請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記調整操作装置は、前記表示操作装置より下方に配置される、請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記表示操作装置を支持する支持部材を更に備え、
前記支持部材は、前記キャビンに接続された第1端部を軸に回転可能であり、
前記表示操作装置は、前記支持部材の第2端部を軸に回転可能であり、
前記調整操作装置は、前記支持部材及び前記表示操作装置の可動範囲外に配置される、請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記キャビンは、前記運転座席の前記左右方向の前記一方側に手すりを有し、
前記手すりは、
前記正面方向に延びる第1グリップ部と、
前記第1グリップ部に接続し、前記第1グリップ部の前記正面方向の端部から前記正面方向に延びる第2グリップ部と、
を含み、
前記調整操作装置は、前記第2グリップ部が延びる方向において、前記第2グリップ部の前方側に位置する、請求項5に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の走行作業機は、自動操舵で作業走行するための目標走行経路を算定し、自機位置を示す測位データと目標走行経路とを用いて出力した自動操舵データに基づいて走行機体を自動操舵することができる。特許文献1の走行作業機は、目標走行経路の少なくとも一部の目標走行経路区間を人為操作入力に基づいて調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-021891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の走行作業機では、目標走行経路に対する自機の向きと位置に関する情報が表示されるディスプレイと、目標走行経路の調整のための人為操作入力が行われる操作入力デバイスとが備えられている。特許文献1の走行作業機では、人為操作入力は、ディスプレイに表示された操作入力デバイスとして機能するソフトウエアボタンを通じて行われる。
【0005】
しかしながら、ディスプレイに表示されたソフトウエアボタンは、走行作業機の走行中の振動等の影響により、走行中には正確に入力しづらくなることがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行中におけるタッチパネルの操作を回避することが可能な作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業車両は、事前に定められた走行経路に沿って走行する自動走行モードを有する。前記作業車両は、走行装置と、表示操作装置と、調整操作装置とを備える。前記走行装置は、走行する。前記表示操作装置は、前記走行経路を表示するとともに運転者の操作を受け付ける。前記調整操作装置は、前記自動走行モードにおいて、前記走行経路の調整を指示する調整操作を受け付ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、走行中におけるタッチパネルの操作を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る作業車両の概要図である。
図2】本実施形態における作業車両のブロック図である。
図3】本実施形態における作業車両の運転空間を示す図である。
図4】作業車両の運転座席に着座した運転者から見た運転機器を示す図である。
図5】圃場における自動走行経路を示す図である。
図6】自動走行経路の調整を示す図である。
図7図3の表示操作装置及びの周辺の拡大図である。
図8】表示操作装置及びスイッチを含むキャビン内の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1図4を参照して、本実施形態に係る作業車両について説明する。図1は、本実施形態に係る作業車両1の概要図である。図2は、本実施形態における作業車両1のブロック図である。図3は、本実施形態における作業車両1の運転空間2aを示す図である。図4は、作業車両1の運転座席4に着座した運転者から見た運転機器20を示す図である。
【0012】
なお、本明細書では、理解を容易にするために、前後方向、左右方向、及び上下方向を記載することがある。ここで、前後方向、左右方向、及び上下方向は、運転空間2a(図1図3)に配置された運転座席4(図3)に着座した運転者(作業者)から見た方向である。但し、説明の便宜のために前後方向、左右方向、及び上下方向を定義したに過ぎず、これらの方向の定義により、本発明の作業車両の使用時及び組立時の向きを限定する意図はない。また、前方向は、運転座席4に着座した運転者が向く正面方向と記載することがある。
【0013】
作業車両1は、一例として、自脱型のコンバインである。作業車両1は、作業者の指示に基づいて、自動走行が可能であり、自動走行しながら農作物の収穫作業等を行う。なお、自動走行の指示は、例えば、作業者が後述する表示操作装置31を操作することにより作業車両1に入力される。なお、作業車両1は、コンバインに限定されず、圃場内を自動走行可能な車両であればよい。作業車両としては、種子を圃場に播種しながら走行する播種機、肥料を圃場に施肥しながら走行する施肥機、薬剤を圃場に散布しながら走行する薬剤散布機、苗の植付作業等を行いながら走行する田植機、耕耘機、及びトラクタ等がある。収穫作業、播種、施肥、薬剤散布及び植付作業は、作業車両による作業の一例である。
【0014】
自動走行とは、作業車両1が備える制御部50(図2)により走行に関する装置が制御されることで、予め定められた経路に沿うように少なくとも操舵が自律的に行われることを意味する。また、操舵に加え、車速又は作業装置による作業等が自律的に行われる構成であってもよい。自動走行には、作業車両1に人が乗っている場合と、作業車両1に人が乗っていない場合とが含まれる。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態の作業車両1は、走行機体101と、走行装置102と、刈取装置200と、脱穀装置300と、グレンタンク400と、制御部50と、記憶部55と、通信装置16とを備える。走行装置102は、走行機体101の下方に配置されて、走行機体101を支持する。刈取装置200は、走行機体101の前方に配置される。刈取装置200及び脱穀装置300は、農作業装置の一例である。通信装置16は、走行機体101の上方に配置される。制御部50は、走行機体101内部に配置される。記憶部55は、走行機体101内部に配置される。
【0016】
走行機体101(作業車両1)は、エンジン(不図示)を備える。エンジンは、例えば、ディーゼルエンジンである。エンジンは、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギー(動力)に変換する。
【0017】
走行装置102は、作業車両1を走行させる。具体的には、走行装置102は、エンジンにおいて生成された動力(運動エネルギー)に基づいて走行する。走行装置102は、例えば、左右一対の走行クローラ装置を含む。左右一対の走行クローラ装置は、作業車両1を前後方向に走行させる。また、左右一対の走行クローラ装置は、作業車両1を左右方向に旋回させる。
【0018】
刈取装置200は、エンジンにおいて生成された動力(運動エネルギー)に基づいて駆動する。刈取装置200は、圃場の未刈穀稈を刈り取る。本実施形態において、刈取装置200は、刈取フレーム201と、穀稈搬送装置204とを備える。
【0019】
刈取フレーム201は、走行機体101の前部に昇降自在に装着される。刈取フレーム201の下方には刈刃が配置される。刈取装置200は、圃場の未刈穀稈の株元を切断するために、刈刃を往復移動させる。
【0020】
穀稈搬送装置204は、刈刃によって刈り取られた刈取穀稈を脱穀装置300まで搬送する。
【0021】
作業車両1は、走行装置102を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置200を駆動して圃場の未刈穀稈を連続的に刈り取ることができる。
【0022】
脱穀装置300は、エンジンにおいて生成された動力(運動エネルギー)に基づいて駆動する。脱穀装置300は、穀稈搬送装置204によって走行機体101に搬送された刈取穀稈を脱穀する脱穀作業を行う。刈取作業は収穫作業に含まれる。グレンタンク400は、脱穀装置300によって脱穀された穀粒を貯留する。具体的には、脱穀装置300は、唐箕ファン303と排塵ファン305とを備える。脱穀装置300は、走行機体101に搬送された刈取穀稈の穂先側を脱穀する。脱穀装置300は、脱穀した穂先側(脱穀物)を揺動選別(比重選別)する。
【0023】
唐箕ファン303は、脱穀後の刈取穀稈に向けて選別風を供給する。この結果、穀粒(脱穀物)中の藁屑や夾雑物が除去される。藁屑や夾雑物が除去された穀粒は、グレンタンク400に運ばれて貯留される。排塵ファン305は、穀稈搬送装置204の後部の排塵を機外に排出する。
【0024】
次に、図1及び図3を参照して、作業車両1のキャビン2について説明する。図1及び図3に示すように、走行機体101(作業車両1)は、キャビン2を含む。キャビン2は箱状であり、キャビン2の内部には、作業車両1の運転者(作業者)のための運転空間2aが形成されている。運転空間2aには、運転座席4と、作業車両1の運転に要する運転機器20が配置される。運転機器20は、典型的には、操舵ハンドル21及び主変速レバー22を含む。例えば、操舵ハンドル21は、キャビン2の中央CLの位置であって、運転座席4の前方に配置される。
【0025】
操舵ハンドル21は、運転座席4に着座している運転者(作業者)により操作されて、図1に示す走行装置102が走行する向きを変化させる。作業車両1のモードが手動走行モードであるとき、運転者(作業者)は、操舵ハンドルを操作して作業車両1を旋回させることができる。旋回には、例えば、90度ターン(αターン)、U字ターン、及びフィッシュテールターンが含まれる。
【0026】
例えば、主変速レバー22は、運転座席4の左方に配置される。主変速レバー22は、運転座席4に着座している運転者(作業者)により操作されて、図1に示す走行装置102の進行方向を前進と後進とに切り換える。
【0027】
なお、主変速レバー22は、各種のスイッチを有する。主変速レバー22の各種スイッチには、例えば、扱深さを調節するためのスイッチ、刈取装置200を上昇させるためのスイッチ、刈取装置200を下降させるためのスイッチ、刈取装置200の高さを調整するためのスイッチ、及びエンジンにおいて生成された動力を刈取装置200及び脱穀装置300に伝達するか否かを切り替えるスイッチが含まれる。操舵ハンドル21、主変速レバー22及び各種のスイッチは、運転者(作業者)による操作に応じた指示内容を示す信号を制御部50に出力する。
【0028】
なお、運転機器20には、操舵ハンドル21及び主変速レバー22以外に、走行状態を制御するペダル(不図示)等が含まれてもよい。
【0029】
図1に示すように、通信装置16は、測位アンテナ61、慣性計測装置62、及び通信アンテナ63を有する。測位アンテナ61及び通信アンテナ63は、1つのアンテナで共用されてもよいし、互いに異なるアンテナでもよい。
【0030】
測位アンテナ61は、衛星測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星からの電波(測位信号)を受信する。慣性計測装置62は、3軸の角速度センサと3方向の加速度センサとを含む。
【0031】
通信アンテナ63は、例えば、作業車両1の外部の機器と無線通信を行うためのアンテナである。無線通信には、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)及びBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信等が採用される。また、作業車両1には、携帯電話回線及びインターネットを利用した通信を行うための携帯通信用のアンテナ(不図示)が設けられていてもよい。
【0032】
制御部50は、走行装置102、刈取装置200及び脱穀装置300を制御する。具体的には、図2に示されるように、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置である。
【0033】
制御部50は、操舵ハンドル21、主変速レバー22及び各種のスイッチ等から出力された信号を受けて、信号の示す指示内容に従って走行装置102、刈取装置200及び脱穀装置300を制御する。制御部50は、1つのハードウェアであってもよいし、互いに通信可能な複数のハードウェアであってもよい。
【0034】
記憶部55は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置である。記憶部55は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)のような補助記憶装置を更に含んでもよい。記憶部55には、各種のプログラム及びデータ等が記憶されている。制御部50は、各種のプログラムを記憶部55から読み出して実行する。上記のハードウェアとソフトウェアとの協働により、制御部50を、表示制御部51及び経路設定部52として動作させることができる。表示制御部51及び経路設定部52が行う処理は後述する。
【0035】
また、制御部50には、上記の慣性計測装置62に加え、位置取得部64、通信処理部65、車速センサ66、舵角センサ67、刈取センサ68、及び収穫量センサ69が接続されている。
【0036】
位置取得部64は、測位アンテナ61が測位衛星から受信した測位信号を用いて、作業車両1の位置を例えば緯度及び経度の情報として取得する。位置取得部64は、図示しない基準局からの測位信号を適宜の方法で受信した上で、公知のRTK-GNSS(Real Time Kinematic GNSS)法を利用して測位を行ってもよい。基準局は、圃場周辺の既知位置に設置される。あるいは、位置取得部64は、DGNSS(Differential GNSS)法を利用して測位を行ってもよい。あるいは、位置取得部64は、無線LAN等の電波強度に基づく位置取得、又は慣性計測装置62の計測結果を用いた慣性航法による位置取得等を行ってもよい。
【0037】
通信処理部65は、通信アンテナ63を介して作業車両1の外部の機器との間でデータの送受信を行う。
【0038】
車速センサ66は、作業車両1の車速を検出する。車速センサ66は、走行装置102に配置された車軸等に設けられる。車速センサ66が走行装置102の車軸に設けられた場合、車速センサ66は、車軸の回転に応じたパルスを発生させる。車速センサ66で得られた検出結果のデータは、制御部50へ出力される。
【0039】
舵角センサ67は、例えば、操舵ハンドル21に設けられ、操舵ハンドル21の舵角を検出する。舵角センサ67で得られた検出結果のデータは、制御部50へ出力される。
【0040】
刈取センサ68は、刈取装置200の高さ及び刈取装置200の駆動状態を検出する。刈取センサ68で得られた検出結果のデータは、制御部50へ出力される。制御部50は、刈取センサ68の検出結果に基づいて、刈取装置200が刈取作業を行っているか否かを特定できる。刈取作業は収穫作業に含まれる。
【0041】
収穫量センサ69は、作業車両1によって収穫された穀粒の量を検出する。収穫量センサ69は、検出した穀粒の量を示す情報を制御部50へ出力する。例えば、収穫量センサ69は、グレンタンク400に設けられる。収穫量センサ69は、穀粒がグレンタンク400に運ばれる際、穀粒が収穫量センサ69に衝突するときの衝撃度を測定し、測定結果を制御部50へ出力する。制御部50は、収穫量センサ69の測定結果を取得して穀粒の重量又は体積に変換し、作業車両1によって収穫された穀粒の量を示す収穫量情報を生成する。制御部50は、収穫量センサ69の測定結果の変換を行わなくてもよい。この場合、収穫量情報は、収穫量センサ69の測定結果を示す。なお、収穫量センサ69は、作業車両1において必須の構成要素ではない。
【0042】
本実施形態において、作業車両1は、作業者による運転機器20の操作によって走行する手動走行モードと、前進、後進、及び旋回等を自律的に行うことが可能な自動走行モードとが切り替え可能である。
【0043】
例えば、作業車両1は、表示操作装置31を備える。例えば、表示操作装置31は、操舵ハンドル21の右隣りに配置される。つまり、表示操作装置31は、運転座席4の前方であって、キャビン2の中央CLより右側に位置する。表示操作装置31は、一例として、キャビン2に据え付けられたモニタ装置でもよいし、キャビン2から着脱可能なタブレット端末等でもよい。なお、表示操作装置31は、運転座席4の前方に限らず、キャビン2の前後方向において、操舵ハンドル21の先端FLから主変速レバー22の可動範囲であるスライドレール22aの後端BLまでの間、つまり、運転機器20が占める範囲に配置されればよい。
【0044】
表示操作装置31は、走行に関する情報を表示する表示部31a(図4)と、運転者の操作を受け付ける操作部31b(図4)とを有する。表示部31aは、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのようなディスプレイによって構成される。表示部31aは、例えば、圃場に関する情報、自動走行に関する情報、作業車両1の設定に関する情報、各種センサの検出結果、及び警告情報等を表示することができる。
【0045】
操作部31bは、タッチパネル又はハードウェアキーの少なくとも一方を含む。タッチパネルは、表示部31aに重ねて配置されており、作業者の指等による操作を検出可能である。ハードウェアキーは、表示操作装置31の筐体の側面又は表示部31aの周囲等に配置されており、作業者の指等による押圧を検出可能である。
【0046】
例えば、操作部31bは、自動走行モードの開始を指示する操作を受け付ける。詳しくは、運転者が操作部31bを操作して自動走行モードの開始を入力すると、表示操作装置31は、運転者(作業者)による操作に応じた指示内容を示す信号を制御部50に出力する。
【0047】
制御部50は、表示操作装置31から自動走行モードの開始を示す信号を受けると、自動走行モードに移行する。制御部50は、自動走行モードにおいて、車速制御及び操舵制御といった作業車両1の自動走行に関する制御が可能である。具体的には、制御部50の制御により、作業車両1は、前進、後進、及び旋回等を自律的に行うことができる。また、制御部50は、例えば操舵を自律的に行うとともに、車速を作業者の操作に応じて変更する制御を行うこともできる。
【0048】
車速を自律的に変更する場合、制御部50は、車速センサ66が検出する現在の車速を目標の車速に近づける制御を行う。車速の制御は、例えばミッションケース(不図示)内の変速装置の変速比又はエンジンの回転速度のうちの少なくとも一方を変更することにより実現される。なお、車速の制御は、作業車両1が停止するように車速をゼロにする制御も含む。
【0049】
操舵を自律的に行う場合、制御部50は、舵角センサ67が検出する現在の舵角を目標の舵角に近づける制御を行う。舵角の制御は、例えば、操舵ハンドル21の回転軸に設けられた操舵アクチュエータを駆動することにより実現される。なお、制御部50は、操舵アクチュエータの駆動に代えて、走行装置102の左右の走行クローラ装置のそれぞれの回転を直接調整して、走行装置102の旋回角を調整してもよい。
【0050】
また、制御部50は、予め定められた条件に基づいて、刈取装置200及び脱穀装置300の動作を制御する。具体的には、制御部50は、刈取装置200の高さの調整及び刈取作業、並びに脱穀装置300による脱穀作業等を制御する。
【0051】
なお、制御部50は、各種センサの検出結果に基づいて、自動走行に関する制御、刈取装置200及び脱穀装置300の動作の制御及び収穫作業の継続の判定を行う以外に、携帯通信端末を用いた作業者の遠隔操作に応じて作業車両1を走行させる制御、刈取装置200及び脱穀装置300の動作の制御及び収穫作業の継続の判定を行うこともできる。
【0052】
また、運転者は、操作部31bを操作して、自動走行モードの停止又は中断を指示することができる。更に、運転者は、操作部31bを操作して、自動走行に関する各種条件を設定することができる。
【0053】
次に、図5を参照して、自動走行モードにおける作業車両1の挙動について説明する。図5は、圃場Hにおける自動走行経路R1を示す図である。
【0054】
本実施形態では、自動走行モードにおいて作業車両1を走行させる際、制御部50は、走行経路を設定する。具体的には、まず、運転者が、自動走行モードに移行した作業車両1を、図5に示す圃場Hの始点A1から終点B1まで手動走行させる。このとき、位置取得部64(図2)は、少なくとも始点A1の位置と、終点B1の位置とを取得して制御部50に出力する。制御部50は、位置取得部64によって取得された始点A1の位置及び終点B1の位置に基づいて、始点A1から終点B1までの経路L1における進行方向(方角)及び距離を算出する。
【0055】
次に、運転者は、作業車両1を圃場Hにおける自動走行の開始地点A2に手動走行で移動させる。開始地点A2において、運転者が表示操作装置31を操作して、自動走行の開始を入力すると、制御部50は、作業車両1を、算出した経路L1における進行方向(方角)に沿って、経路L1の距離を自動走行させる。つまり、制御部50は、作業車両1を開始地点A2から到達地点B2までの自動走行経路R1に沿って自動走行させる。このとき、例えば、表示操作装置31の表示部31aには、圃場Hを示す画像及び自動走行経路R1を示す画像を含むナビゲーション画面が表示される。
【0056】
本実施形態において、作業車両1が制御部50によって算出された自動走行経路R1を自動走行している際、圃場Hの起伏、傾斜又は形状により、作業車両1の進行方向(方角)を自動走行経路R1から逸らしたい場合がある。しかしながら、自動走行モードにおいて、操舵ハンドル21を操作すると、自動走行モードが解除されてしまう。
【0057】
そこで、作業車両1は、図2図4に示すように、表示操作装置31とは別に調整操作装置であるスイッチ32を備える。スイッチ32は、自動走行モードにおいて、自動走行経路R1の調整を指示する調整操作を受け付ける。スイッチ32は、調整操作装置の一例である。スイッチ32は、物理ボタン又はスティックを有する物理スイッチである。本実施形態では、シーソースイッチを例に説明する。
【0058】
図3及び図4に示すように、スイッチ32は、運転座席4に着座した運転者に対して表示操作装置31の手前に位置する。具体的には、スイッチ32は、キャビン2の前後方向において運転機器20が占める範囲に配置され、キャビン2の左右方向において中央CLに対して表示操作装置31と同じ右側に位置する。スイッチ32の操作面は、上方又は後方(運転者側)を向く。したがって、運転者は、表示操作装置31の表示部31aを見ながらスイッチ32を操作しやすくなる。
【0059】
次に、図6を参照して、自動走行経路R1の調整について説明する。図6は、自動走行経路R1の調整を示す図である。
【0060】
スイッチ32は、「右」及び「左」にそれぞれ対応する複数の接点を有する。作業車両1が自動走行経路R1を自動走行しているときに、運転者がスイッチ32の「左」側を押下すると、「左」に対応する接点が繋がり、押下に応じて制御信号が制御部50に出力される。制御部50は、スイッチ32の押下に応じた制御信号の入力回数又は制御信号の継続時間を計測する。制御部50は、制御信号の入力回数及び制御信号の継続時間の少なくとも一方に基づいて、操舵アクチュエータを駆動させて作業車両1の進行方向(方角)を制御する。具体的には、スイッチ32の「左」側が押下されると、制御部50は、作業車両1が左に旋回するように操舵アクチュエータを駆動させる。このとき、制御部50は、制御信号の入力回数又は制御信号の継続時間に応じた期間、操舵アクチュエータの駆動を継続させる。その後、制御部50は、作業車両1が右に旋回するように操舵アクチュエータを駆動させる。その結果、作業車両1の進行方向(方角)が自動走行経路R1と同じ進行方向(方角)を向く。言い換えると、作業車両1は、自動走行経路R1から所定間隔左にスライドした自動走行経路R2を走行する。
【0061】
一方、運転者がスイッチ32の「右」側を押下すると、作業車両1は、自動走行経路R1から所定間隔右にスライドした自動走行経路を走行する。
【0062】
このように、物理スイッチであるスイッチ32の操作により自動走行経路を調整可能にすることで、振動などの影響で走行中には正確に入力しづらいタッチパネルの操作を回避し、運転者の意図したとおりに作業車両1を制御しやすくなる。
【0063】
次に、図4図7及び図8を参照して表示操作装置31及びスイッチ32の配置をより詳細に説明する。図7は、図3の表示操作装置31及びスイッチ32の周辺の拡大図である。図8は、表示操作装置31及びスイッチ32を含むキャビン2内の斜視図である。
【0064】
図4及び図7に示すように、作業車両1は、表示操作装置31支持する支持部材71を備える。支持部材71は、棒状の部材であり、一方の端部(第1端部)がキャビン2に取り付けられる。一例として、支持部材71の第1端部は、キャビン2の右ピラーに取り付けられる。支持部材71の他方の端部(第2端部)は、表示操作装置31に取り付けられる。支持部材71は、第1端部とキャビン2との接続点を通り上下方向に延びる回転軸J1を中心に回動可能である。表示操作装置31は、表示操作装置31と支持部材71の第2端部との接続点を通り上下方向に延びる回転軸J2を中心に回動可能である。なお、支持部材71は、支持部材71が延びる方向を軸に表示操作装置31を回転可能にするチルト機構を有していてもよい。
【0065】
つまり、表示操作装置31及び支持部材71は、最も運転者よりのポジションP1から最も運転者から離れたポジションP2までの間を移動可能である。図7では、ポジションP1に位置する表示操作装置31及び支持部材71を実線で示し、ポジションP2に位置する表示操作装置31及び支持部材71を破線で示す。言い換えると、ポジションP1からポジションP2までが表示操作装置31及び支持部材71の可動範囲である。
【0066】
スイッチ32は、表示操作装置31より下方に配置される。例えば、スイッチ32の上方側の端部は、表示操作装置31の下方側の端部より下方に位置するように配置される。これにより、運転者がスイッチ32を操作する際に、手をスイッチ32に伸ばしても、手が表示操作装置31の表示部31aにかかりにくくなり、表示部31aの画面が遮られにくくなる。
【0067】
また、例えば、スイッチ32は、支持部材71及び表示操作装置31の可動範囲外に配置される。具体的には、スイッチ32は、支持部材71、表示操作装置31及びキャビン2の側壁に囲まれた空間E1に配置される。このように、スイッチ32を空間E1に配置すると、キャビン2において、支持部材71及び表示操作装置31の可動を妨げない。
【0068】
また、図4図7及び図8に示すように、キャビン2は、手すり40を有する。手すり40は、運転座席4の右側に配置される。具体的には、手すり40は、運転座席4の右側肘掛け44と、乗降用ドア26を含むキャビン2の側壁との間に位置し、乗降用ドア26に支持される。手すり40は、第1グリップ部41と、第2グリップ部42と、第3グリップ部43とを含む。第1グリップ部41は、右側肘掛け44と乗降用ドア26との間から前後方向に沿って前方に延びる。図8に示すように、第2グリップ部42のうちの第1グリップ部41に接続する第1接続部42aは、第1グリップ部41の前方側の端部から正面方向に対して斜め上方に延びる。更に、第2グリップ部42のうち、第1接続部42aに接続する第2接続部42bは、第1接続部42aにおける前方側の端部から前後方向に沿って前方に延びる。第3グリップ部43は、第2接続部42bに接続し、第2接続部42bにおける前方側の端部から下方に延びる。
【0069】
第1グリップ部41又は第2グリップ部42は、運転座席4に着座している運転者によって把持される。例えば、作業車両1が自動走行する際に、運転者は、操舵ハンドル21を把持する代わりに、第1グリップ部41又は第2グリップ部42を把持する。
【0070】
スイッチ32は、第2グリップ部42が延びる方向において、第2グリップ部42の前方側に位置する。具体的には、スイッチ32は、第2接続部42bの前方側の延長線上に位置する。具体的には、スイッチ32は、運転者が第2グリップ部42を把持したまま指を前方に向けて延ばすと、運転者の指が操作面に届く位置に設けられる。したがって、運転者は、第2グリップ部42を把持しながらスイッチ32を操作することができ、安定した姿勢でスイッチ32を操作することが可能になる。
【0071】
なお、手すり40には、第3グリップ部43が含まれなくてもよい。また、第2グリップ部42には、第2接続部42bが含まれなくてもよい。この場合、スイッチ32は、第1接続部42aの前方側の延長線上に位置する。
【0072】
本実施形態において、表示操作装置31及びスイッチ32は、キャビン2の左右方向において中央CLに対して左側に位置してもよい。
【0073】
本実施形態において、スイッチ32の配置は、上述のスイッチ32の上方側の端部が表示操作装置31の下方側の端部より下方に位置する配置に限定されない。例えば、スイッチ32の上方側の端部が、表示操作装置31の下方側の端部より上方に位置してもよい。この場合、運転者は、表示操作装置31の下方から手又は指を空間E1に入れることで、スイッチ32の操作が可能になる。
【0074】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0075】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、作業車両の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 :作業車両
2 :キャビン
4 :運転座席
20 :運転機器
31 :表示操作装置
32 :調整操作装置(スイッチ)
40 :手すり
41 :第1グリップ部
42 :第2グリップ部
71 :支持部材
102 :走行装置
BL :後端
CL :中央
E1 :空間
FL :先端
J1 :回転軸
J2 :回転軸
R1 :走行経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8