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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135032
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】貨幣入金システム及び貨幣入金方法
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/42 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G07F17/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045523
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中川 敬重
(72)【発明者】
【氏名】中元 佐
(57)【要約】
【課題】客にとって利便性の高い貨幣入金システムを提供する。
【解決手段】貨幣入金システムに実行させる貨幣入金方法を、貨幣を収納可能な収納部を有する入金装置が、入金部に受け付けた貨幣を識別計数して返却部から装置外へ排出する排出工程と、貨幣を収納可能な収納庫を有する収納装置が、入金装置から排出された貨幣が収納庫に収納されたことを検出する検出工程と、有価媒体を発行する発行装置が、収納装置によって貨幣の収納が検出されたことを条件に、貨幣の金額に基づく有価媒体を発行する発行工程とを含むようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣入金システムに実行させる貨幣入金方法であって、
貨幣を収納可能な収納部を有する入金装置が、入金部に受け付けた貨幣を識別計数して返却部から装置外へ排出する排出工程と、
貨幣を収納可能な収納庫を有する収納装置が、前記入金装置から排出された前記貨幣が前記収納庫に収納されたことを検出する検出工程と、
有価媒体を発行する発行装置が、前記収納装置によって前記貨幣の収納が検出されたことを条件に、前記貨幣の金額に基づく有価媒体を発行する発行工程と
を含むことを特徴とする貨幣入金方法。
【請求項2】
前記排出工程は、前記入金装置が前記収納部に貨幣を収納できないと判定した場合に実行されることを特徴とする請求項1に記載の貨幣入金方法。
【請求項3】
前記入金装置が、前記入金部に受け付けた貨幣を識別計数して前記収納部に収納する収納工程
をさらに含み、
前記収納工程の途中で、前記入金装置が前記収納部に貨幣を収納できないと判定した場合に、前記入金部に残っている貨幣を対象に前記排出工程が実行される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣入金方法。
【請求項4】
前記入金装置は、前記収納部に収納した貨幣の量が所定の容量に達した場合に、前記収納部に貨幣を収納できないと判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の貨幣入金方法。
【請求項5】
前記有価媒体は、前記入金装置の前記収納部に収納された貨幣の金額と、前記収納装置の前記収納庫に収納された貨幣の金額との合計金額に基づいて発行されることを特徴とする請求項3又は4に記載の貨幣入金方法。
【請求項6】
前記発行工程は、
前記入金装置の前記収納部に収納された貨幣の金額に基づく第1の有価媒体を発行する第1発行工程と、
前記収納装置の前記収納庫に収納された貨幣の金額に基づく第2の有価媒体を発行する第2発行工程と
を含む
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の貨幣入金方法。
【請求項7】
前記収納装置は、物体を収納することで生ずる前記収納庫の重量変化に基づいて、前記収納庫に貨幣が収納されたことを検出することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貨幣入金方法。
【請求項8】
前記収納庫に収納された物体の重量が、前記入金装置が排出した貨幣の重量と所定の誤差範囲内で一致することを条件に、前記発行工程が実行されることを特徴とする請求項7に記載の貨幣入金方法。
【請求項9】
前記排出工程で前記入金装置が排出した貨幣の情報と、前記貨幣を収めた貨幣容器を特定可能な識別情報とを関連付けて記憶する工程
をさらに含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の貨幣入金方法。
【請求項10】
前記発行工程は、前記収納装置が前記識別情報を取得したことを条件に実行されることを特徴とする請求項9に記載の貨幣入金方法。
【請求項11】
前記排出工程において前記入金装置が排出した貨幣が前記収納装置の前記収納庫に収納された後、前記入金装置が、前記収納庫から取り出された前記貨幣を識別計数する計数工程
をさらに含み、
前記計数工程の実行後に前記発行工程が実行される
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貨幣入金方法。
【請求項12】
前記排出工程において前記入金装置が排出した貨幣が前記収納装置の前記収納庫に収納された後、前記入金装置が、前記収納庫から取り出された前記貨幣を識別計数する計数工程
をさらに含み、
前記有価媒体は、前記計数工程で識別計数された前記貨幣の金額に基づいて有効化される電子データである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貨幣入金方法。
【請求項13】
前記排出工程において、前記入金装置からバラ貨幣を排出するか、前記バラ貨幣を貨幣容器に入れて排出するかを選択可能であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の貨幣入金方法。
【請求項14】
前記排出工程において前記入金装置からバラ貨幣が排出された場合に、前記バラ貨幣が前記収納装置の前記収納庫に収納された後、前記入金装置が、前記収納庫から取り出された前記バラ貨幣を識別計数する工程
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の貨幣入金方法。
【請求項15】
入金部に受け付けた貨幣を収納可能な収納部を有し、前記入金部に受け付けた貨幣を識別部で識別計数して返却部から装置外へ排出する入金装置と、
貨幣を収納可能な収納庫と、前記入金装置から排出された貨幣が前記収納庫に収納されたことを検出する検出部とを有する収納装置と、
前記収納装置が前記検出部で検出した貨幣の金額に基づいて、有価媒体を発行する発行装置と
を備えることを特徴とする貨幣入金システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣の入金を受け付けて入金金額に応じて所定の有価媒体を発行する貨幣入金システム及び貨幣入金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗に設置した貨幣入金装置に貨幣の入金を受け付けて、店舗で利用可能なクーポン等の所定の有価媒体を発行するシステムが利用されている。特許文献1には、客から受け付けた硬貨と交換にクーポンを発行するシステムが開示されている。例えば、家で硬貨を貯めた客が、店舗に設置された硬貨交換装置に硬貨を入金すると、入金金額に応じたクーポンが発行される。客は、取得したクーポンを、店舗で購入した商品代金の支払に充てることができる。このようなシステムでは、瓶等に貯めた大量の硬貨が入金されることも多い。硬貨交換装置内で硬貨の保管エリアが満杯になると、客は硬貨を入金できなくなる。このため、硬貨交換装置は、保管エリアの硬貨の量が満杯に近付くと、インジケータを点灯して、保管エリアを空にするよう店員に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許5564546号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来システムでは、硬貨の入金を受け付ける装置から硬貨を回収するよう店員への報知が行われるが、店員が報知に気付かなければ、保管エリアが硬貨で満杯になって硬貨を入金できなくなる。例えば、大量の硬貨を持って来店したにも拘わらず装置への入金ができないと、硬貨を持って帰らなければならず、客に不便を強いる場合があった。
【0005】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、客にとって利便性の高い貨幣入金システム及び貨幣入金方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る貨幣入金方法は、貨幣入金システムに実行させる貨幣入金方法であって、貨幣を収納可能な収納部を有する入金装置が、入金部に受け付けた貨幣を識別計数して返却部から装置外へ排出する排出工程と、貨幣を収納可能な収納庫を有する収納装置が、前記入金装置から排出された前記貨幣が前記収納庫に収納されたことを検出する検出工程と、有価媒体を発行する発行装置が、前記収納装置によって前記貨幣の収納が検出されたことを条件に、前記貨幣の金額に基づく有価媒体を発行する発行工程とを含む。前記検出工程において、前記収納装置が、撮像装置による撮像画像に基づいて、前記貨幣が前記収納装置に収納されたことを検出して、前記貨幣の収納が検出されたことを条件に前記発行工程実行してもよい。貨幣を収納容器に収めて封止してから収納庫に収納するようにして、前記撮像画像に基づいて、前記貨幣が収納された収納容器の封が解除されていないことを検出したことを条件に前記発行工程を実行してもよい。
【0007】
上記構成において、前記排出工程は、前記入金装置が前記収納部に貨幣を収納できないと判定した場合に実行されてもよい。
【0008】
上記構成において、前記入金装置が、前記入金部に受け付けた貨幣を識別計数して前記収納部に収納する収納工程をさらに含み、前記収納工程の途中で、前記入金装置が前記収納部に貨幣を収納できないと判定した場合に、前記入金部に残っている貨幣を対象に前記排出工程が実行されてもよい。
【0009】
上記構成において、前記入金装置は、前記収納部に収納した貨幣の量が所定の容量に達した場合に、前記収納部に貨幣を収納できないと判定してもよい。
【0010】
上記構成において、前記有価媒体は、前記入金装置の前記収納部に収納された貨幣の金額と、前記収納装置の前記収納庫に収納された貨幣の金額との合計金額に基づいて発行されてもよい。
【0011】
上記構成において、前記発行工程は、前記入金装置の前記収納部に収納された貨幣の金額に基づく第1の有価媒体を発行する第1発行工程と、前記収納装置の前記収納庫に収納された貨幣の金額に基づく第2の有価媒体を発行する第2発行工程とを含んでいてもよい。
【0012】
上記構成において、前記収納装置は、物体を収納することで生ずる前記収納庫の重量変化に基づいて、前記収納庫に貨幣が収納されたことを検出してもよい。前記収納装置が、撮像装置を備え、該撮像装置による撮像画像から、前記収納庫に貨幣が収納されたことを検出してもよい。
【0013】
上記構成において、前記収納庫に収納された物体の重量が、前記入金装置が排出した貨幣の重量と所定の誤差範囲内で一致することを条件に、前記発行工程が実行されてもよい。前記入金装置から貨幣容器に収納して貨幣を排出した場合に、前記収納庫に収納された貨幣容器が破損していないことを撮像画像により判定し、貨幣容器が破損していないことを条件に前記発行工程が実行されてもよい。前記撮像画像に基づいて、収納された貨幣の体積を推定し、前記入金装置が排出して貨幣の体積と所定の誤差範囲内で一致することを条件に、前記発行工程が実行されてもよい。
【0014】
上記構成において、前記排出工程で前記入金装置が排出した貨幣の情報と、前記貨幣を収めた貨幣容器を特定可能な識別情報とを関連付けて記憶する工程をさらに含んでいてもよい。
【0015】
上記構成において、前記発行工程は、前記収納装置が前記識別情報を取得したことを条件に実行されてもよい。前記収納装置は、撮像装置による撮像画像から前記識別情報を取得してもよい。前記収納装置は、読取装置によって、前記識別情報が符号化された図形コードを読み取り、前記図形コードから前記識別情報を取得してもよい。前記収納装置は、読取装置によって、前記識別情報を記憶する電子タグから前記識別情報を取得してもよい。前記収納装置は、前記識別情報の手入力を受け付けて前記識別情報を取得してもよい。
【0016】
上記構成において、前記排出工程において前記入金装置が排出した貨幣が前記収納装置の前記収納庫に収納された後、前記入金装置が、前記収納庫から取り出された前記貨幣を識別計数する計数工程をさらに含み、前記計数工程の実行後に前記発行工程が実行されてもよい。
【0017】
上記構成において、前記排出工程において前記入金装置が排出した貨幣が前記収納装置の前記収納庫に収納された後、前記入金装置が、前記収納庫から取り出された前記貨幣を識別計数する計数工程をさらに含み、前記有価媒体は、前記計数工程で識別計数された前記貨幣の金額に基づいて有効化される電子データであってもよい。
【0018】
上記構成において、前記排出工程において、前記入金装置からバラ貨幣を排出するか、前記バラ貨幣を貨幣容器に入れて排出するかを選択可能であってもよい。
【0019】
上記構成において、前記排出工程において前記入金装置からバラ貨幣が排出された場合に、前記バラ貨幣が前記収納装置の前記収納庫に収納された後、前記入金装置が、前記収納庫から取り出された前記バラ貨幣を識別計数する工程をさらに含んでいてもよい。収納不可状態の入金装置が、入金可能な状態に復旧したことを通知する工程をさらに含んでいてもよい。復旧の通知に応じて、客が、前記収納庫に収納していた貨幣を取り出して入金装置に再入金し、前記識別計数する工程を実行させた場合は、前記発行工程において発行する有価媒体に特典を付加してもよい。客が、前記収納庫から取り出した貨幣の処理を実行したかどうかの判定は、客がレシート情報又は識別情報を装置に読み取らせて入金を開始したことに基づいて実行してもよい。
【0020】
本開示に係る貨幣処理システムは、入金部に受け付けた貨幣を収納可能な収納部を有し、前記入金部に受け付けた貨幣を識別部で識別計数して返却部から装置外へ排出する入金装置と、貨幣を収納可能な収納庫と、前記入金装置から排出された貨幣が前記収納庫に収納されたことを検出する検出部とを有する収納装置と、前記収納装置が前記検出部で検出した貨幣の金額に基づいて、有価媒体を発行する発行装置とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る貨幣入金システム及び貨幣入金方法によれば、客にとっての利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本実施形態に係る貨幣入金システムが行う客との入金取引を説明するための模式図である。
図2図2は、入金装置の構成例を説明するための断面模式図である。
図3図3は、貨幣入金システムの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、貨幣入金システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。
図5図5は、収納装置に貨幣を預かる入金取引を説明するための模式図である。
図6図6は、貨幣を貨幣容器に収納して排出する入金装置の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る貨幣入金システム及び貨幣入金方法の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係る貨幣入金システム1が行う客との入金取引を説明するための模式図である。
【0024】
貨幣入金システム1は、店舗で客から受け付けた貨幣と交換に所定の有価媒体を発行する。発行される有価媒体が有する価値は特に限定されない。有価媒体が有する価値が、客から受け付けた貨幣の金額と同額であってもよいし、手数料が差し引かれて受付金額より低い金額になっていてもよいし、特典が付加されて受付金額より高い金額になっていてもよい。有価媒体には、店舗との取引で客が取引金額の支払に充てることができるクーポンが含まれる。有価媒体は、割引券、引換券、商品券、食事券等の名称で呼ばれることもある。有価媒体の種類は特に限定されないが、本実施形態では有価媒体をクーポンと記載する。また、貨幣入金システム1が受け付ける貨幣は、紙幣であってもよいし、硬貨であってもよいし、紙幣と硬貨の両方であってもよいが、以下、硬貨を例に説明を続ける。
【0025】
図1に示すように、貨幣入金システム1は、入金装置100、収納装置200及びクーポン発行装置300を含む。客は、入金装置100の入金部110から硬貨401を入金する(A1)。入金装置100は、入金部110に受け付けた硬貨401を識別計数して入金金額を算出する。入金装置100は硬貨401を装置内に収納する。クーポン発行装置300は、入金装置100で得られた入金金額に応じたクーポン350を発行する。クーポン発行部310からクーポン350が排出される(A2)。入金装置100は、入金硬貨に関する情報とクーポンに関する情報とを印刷したレシート185を発行する。レシート185は、レシート発行部180から排出される(A3)。客がクーポン350及びレシート185を受け取って入金取引が完了する。
【0026】
貨幣入金システム1は、入金装置100に硬貨を収納できなくなった場合でも、客との入金取引を続けることができる。例えば、入金部110に受け付けた硬貨401を処理している途中で、装置内に硬貨401を収納できなくなると、入金装置100は、硬貨401の残りを返却部140から排出しながら処理を継続する。
【0027】
入金装置100は、装置の状況及びその後の対応を客に知らせる報知処理を実行する。報知処理は、タッチパネル式の液晶表示装置から成る操作表示部160を利用して行われる。例えば、入金装置100は、装置内に硬貨を収納できなくなったため、入金部110に受け付けた硬貨401の一部を返却部140から返却することを示す情報を操作表示部160の画面上に表示する。また、入金装置100は、排出した硬貨402の後処理方法を画面上に表示する。
【0028】
返却部140から排出された硬貨402を、所定の現金袋500に入れて収納装置200の収納庫230に収納する後処理を行うよう指示する情報が操作表示部160の画面上に表示される。また、入金装置100の装置内に収納した硬貨の入金金額に応じたクーポンを発行すること、客が後処理を行い、後で硬貨402の入金取引を行えば、硬貨402の金額に応じた金額分のクーポンが発行されることが表示される。
【0029】
操作表示部160の画面上に、入金部110に受け付けた硬貨401のうち、装置内に収納された硬貨の金額と、返却部140から排出された硬貨402の金額とが表示されてもよい。後で硬貨402の入金取引を行えば、硬貨402の金額に特典を加算した金額分のクーポンを発行してもよい。硬貨402の後処理及び入金取引を行うことで客が得られる特典の金額が操作表示部160の画面上に表示されてもよい。客が、返却部140から返却された硬貨402を持ち帰るか、収納装置200に預けるかを選択できるようにしてもよい。
【0030】
客は、返却部140から排出された硬貨402を、現金袋500に入れて封をする(B1)。現金袋500は、収納装置200に硬貨を保管するために利用される貨幣容器である。袋体から成る現金袋500は、その内部に硬貨を入れて、袋体の口を閉じると、袋体を破らないと硬貨を取り出せないようになっている。これにより、客は、現金袋500に収納した硬貨が取り出されていないことを確認することができる。
【0031】
現金袋500の表面には、袋情報501が印刷されている。袋情報501には、現金袋500を特定可能な袋番号(識別情報)と、袋番号を符号化した図形コードとが含まれる。操作表示部160の画面には、袋番号を入力するよう客に指示する情報が表示される。客は、読取部170に袋情報501の図形コードを読み取らせた後、収納装置200の収納庫230の扉230aを開いて現金袋500を収納する。
【0032】
収納装置200は、複数の収納庫230を有し、各収納庫230を特定可能な収納庫番号(識別情報)に基づいて収納物を管理する。収納装置200は、各収納庫230へ物体が収納されたことを、各収納庫230における重量変化に基づいて検出することができる。収納装置200は、収納庫230に収納された現金袋500の重量を検出する。収納装置200は、重量を検出した収納庫230の扉230aが閉じられると、電磁ロックにより扉230aをロックする。
【0033】
入金装置100は、収納装置200の収納庫230で検出された重量が、返却部140から返却した硬貨402の重量と、所定の誤差範囲内で一致することを確認する。検出重量が硬貨402の重量と一致しない場合、入金装置100は、収納庫230の硬貨402を確認するよう客に指示する情報を操作表示部160の画面に表示する。これにより、収納装置200が入金取引以外の目的で利用されることを防止することができる。
【0034】
返却部140から排出された硬貨402が収納装置200の収納庫230に収納されて扉230aがロックされたことを確認した入金装置100は、返却部140から排出した硬貨402の金額と、現金袋500の袋番号と、現金袋500が収納された収納庫230の収納庫番号と、収納された日時とを、各入金取引を特定可能な取引番号(識別情報)と関連付けて、取引情報として記憶部103に記憶する。記憶部103に記憶する情報が、通信部102によってネットワーク2を介して送受信されて、収納装置200又はクーポン発行装置300に保存されてもよい。この場合、入金装置100は、通信部102によって、ネットワーク2を介して収納装置200又はクーポン発行装置300から情報を取得して利用すればよい。
【0035】
入金装置100は、クーポン発行装置300のクーポン発行部310から、入金装置100内に収納した硬貨の金額に応じたクーポン350を発行する(B3)。現金袋500に入れて収納装置200に収納された硬貨402が入金装置100で識別計数済みである場合は、硬貨402の金額分を含むクーポンを発行してもよい。
【0036】
入金装置100は、レシート発行部180から、2枚のレシート185を発行する(B4)。レシート185の1枚には、入金装置100の装置内に収納された硬貨の金額と、発行済みのクーポン350に関する情報とが印刷される。もう1枚のレシート185には、入金装置100が返却部140から排出した硬貨402の金額、すなわち現金袋500に入れて収納装置200の収納庫230に収納された硬貨402の金額と、取引番号と、取引番号を符号化した図形コードとが印刷される。
【0037】
入金装置100は、返却部140から硬貨を返却する入金取引が発生すると、これを店員に報知する報知処理を実行する。入金装置100は、店員が所持する通信端末を介して、入金装置100の状況を確認する必要があることを報知する。例えば、入金装置100の装置内から硬貨を回収する必要があること、入金装置100の装置内で障害が発生したこと等が店員に報知される。報知を受けた店員は、入金装置100の硬貨回収、障害復旧作業等を行って、入金装置100が装置内に硬貨を収納可能な状態に復旧させる。図1に示すように、入金装置100の前面に扉152が設けられている。扉152はロックされているが、店員は、扉152のロックを解除して開くことができる。店員は、扉152を開いて入金装置100の内部を露出させて、硬貨の回収作業、障害復旧作業等を行う。入金装置100に硬貨を入金できるようになると、入金装置100を利用可能であることが所定のウェブサイトで公開されるが、これについては後述する。入金装置100への入金が可能になったことが客に通知される態様であってもよい。例えば、店内のアナウンス、操作表示部160での表示、客が所持するスマートフォン等の通信端末への情報送信等によって客への通知を行えばよい。
【0038】
入金装置100の復旧後、2枚のレシート185を受け取った客が、1枚のレシート185に印刷された図形コードを、入金装置100の読取部170に読み取らせる。入金装置100は、図形コードに含まれる取引番号に基づいて、硬貨402が排出されて収納装置200に収納された入金取引の取引情報を特定する。収納装置200は、取引情報に含まれる収納庫番号の収納庫230で扉230aのロックを解除する。客は、収納庫230から取り出した現金袋500を破って、現金袋500の硬貨402を入金装置100に入金する。入金装置100は、硬貨402を識別計数して入金金額を算出して硬貨402を装置内に収納する。
【0039】
入金装置100は、クーポン発行装置300のクーポン発行部310から、硬貨402の入金金額に応じたクーポン350を発行させる。収納装置200へ現金袋500を収納した際に、硬貨402の金額分を含むクーポンを発行済みである場合は、特典分のみのクーポンが発行される。硬貨402を入金した客に特典を付与する場合、入金装置100は、入金金額が、取引情報に含まれる金額、すなわち返却部140から排出した硬貨402の金額と一致することを確認する。入金金額が、取引情報の金額と一致すれば、クーポン発行装置300のクーポン発行部310から、入金金額と所定の特典金額との合計金額に応じたクーポン350が発行される。レシート発行部180から、レシート185が発行されて客との入金取引が終了する。
【0040】
このように、貨幣入金システム1では、入金装置100内に硬貨を収納できなくなった場合でも、客は、入金装置100から排出された硬貨を収納装置200に預けて、後で入金装置100に入金することで入金取引を完了することができる。このため、客は、持参した硬貨を持ち帰る必要がない。例えば、客が店舗で買い物をしている間に入金装置100が復旧すれば、客は収納装置200の硬貨を入金装置100に入金してクーポンを受け取ることができる。客が後日再来店して硬貨402を入金する場合も生じ得るが、客が、その手間に応じた特典を含むクーポンを受け取る設定とすることもできる。ただし、特典付与が必須ではなく、特典を付与するか否か及び特典金額は店員によって設定される。
【0041】
なお、入金取引の途中で入金装置100に硬貨を収納できなくなった場合だけでなく、客が入金取引を開始する際には既に硬貨を収納できなくなっている場合でも、客は、上述したように収納装置200を利用して入金取引を実行することができる。この場合、例えば、上述した例で入金装置100に収納された硬貨の金額を0(ゼロ)として各処理を実行すればよい。
【0042】
客が、現金袋500から取り出した硬貨を入金装置100に入金する例を説明したが、店員が、現金袋500の硬貨を入金する態様であってもよい。入金装置100は、硬貨を収納可能な状態に復旧すると、現金袋500が収納されている収納庫230の収納庫番号を操作表示部160に表示して店員に報知することができる。報知を受けた店員が、収納庫230から取り出した現金袋500の硬貨を入金装置100に入金して、クーポン発行装置300から発行されたクーポン350を収納庫230に収納し、読取部170にレシート185を翳して収納庫230を開いた客がクーポン350を受け取って退店できるようにしてもよい。
【0043】
客が、現金袋500の袋情報501に含まれる図形コードを読取部170に読み取らせる例を説明したが、操作表示部160を操作して、袋情報501に含まれる袋番号を手入力する態様であってもよい。入金装置100が袋番号を生成出力する態様であってもよい。例えば、入金装置100がシールプリンタでシールに袋番号を印刷して、客にこのシールを現金袋500に貼り付けさせる態様であってもよい。現金袋500がRFID等のICタグを含み、入金装置100の読取部170がICタグから袋番号を読み取る態様であってもよい。
【0044】
収納装置200が、収納庫230に収納された現金袋500を重量に基づいて検出する例を説明したが、収納装置200が撮像装置を備え、撮像装置による撮像画像を解析して、現金袋500が収納庫230に収納されたことを検出する態様であってもよい。収納装置200が、撮像画像から予測した現金袋500の体積が、返却部140から排出した硬貨402の体積と所定の誤差範囲内で一致することに基づいて、硬貨402が収納装置200に収納されたと判定する態様であってもよい。
【0045】
貨幣入金システム1では、入金装置100から返却された硬貨402について、収納装置200への収納後、硬貨402が入金装置100へ入金されて収納されたことを条件にクーポンを発行する設定とすることもできるし、硬貨402が収納装置200へ収納されたことを条件にクーポンを発行する設定とすることもできる。収納装置200への収納時にクーポンを発行する設定の場合、収納装置200が、硬貨402が収納されたか否かを判定し、判定結果を受けて、入金装置100が、入金装置100の装置内に収納した硬貨の金額と、収納装置200に収納された硬貨402の金額との合計金額に基づいてクーポンを発行すればよい。特典金額分のクーポンについても、硬貨402が入金装置100に入金されて収納された際に発行される例を説明したが、収納装置200に収納された際に特典金額分を含むクーポンが発行される態様であってもよい。
【0046】
例えば、返却部140から排出した硬貨402の重量と、収納装置200が検出した現金袋500の重量とに基づいて、硬貨402が収納装置200に収納されたと判定できた場合に、クーポン発行装置300からクーポンを発行すればよい。例えば、手入力、ICタグからの読み取り、撮像画像の解析等によって、収納装置200が、収納された現金袋500の識別情報を取得したことを条件に、クーポン発行装置300からクーポンを発行させる態様であってもよい。撮像装置で客の動作を監視して、不審な動作を検出することなく、客が現金袋500を収納庫230に収納する動作を検出できた場合に、クーポンを発行してもよい。撮像画像を解析して現金袋500に入っている硬貨の体積を予測して、予測した体積が、返却部140から排出した硬貨402の体積と所定の誤差範囲内で一致することに基づいてクーポンを発行してもよい。撮像画像を解析して、硬貨402を入れた現金袋500が封止されていることを検出して、封止されていることを条件にクーポンを発行してもよい。撮像画像を解析して、硬貨402を入れて封止された現金袋500に破れ等の破損がないことを検出して、破損していないことを条件にクーポンを発行してもよい。
【0047】
クーポン350は、紙や樹脂等の媒体で発行される態様に限定されず、電子データで発行される電子クーポンであってもよい。例えば、客が所持するスマートフォン等の通信端末や、カード型の記憶媒体等に、クーポン発行装置300が発行した電子クーポンが送信される態様であってもよい。電子クーポンは、ネットワークを介して送信される態様であってもよいし、近距離無線技術を利用して送信される態様であってもよい。
【0048】
例えば、現金袋500が収納庫230に収納された時点で電子クーポンを仮発行して、客又は店員が入金装置100へ硬貨402を入金した後、電子クーポンを有効化させる態様であってもよい。店員が収納装置200から現金袋500を取り出して硬貨402を入金装置100に入金したことを条件に電子クーポンを有効化すれば、客は、収納装置200の設置場所へ戻ることなく、電子クーポンを受け取ることができる。
【0049】
図2は、入金装置100の構成例を説明するための断面模式図である。入金装置100は、図1に示した入金部110及び返却部140に加えて、識別部120、搬送部130及び収納部150を含む。入金部110は、受け付けた複数枚の硬貨を1枚ずつ搬送路に繰り出す。搬送部130は、図2に矢印で示すように、入金部110と、識別部120と、返却部140と、収納部150との間で硬貨を搬送する。識別部120は、搬送部130が搬送する硬貨の金種を識別する。識別結果に基づいて、識別できない硬貨は返却部140から返却されて、識別できた硬貨は収納部150に搬送されて容器151に収納される。
【0050】
収納部150は、容器151を着脱可能に構成されている。着脱可能な容器151の数は特に限定されず1つであってもよいし、複数であってもよい。収納部150が、着脱可能な容器151に加えて、装置内に固定して使用される収納容器を含んでいてもよい。容器151は、袋状の容器であってもよいし、カセット式の容器であってもよい。収納部150は、搬送部130が搬送してきた硬貨を容器151内に収納する。容器151に収納する硬貨の金種が設定されていない場合、収納部150は、金種によらず同じ容器151に硬貨を収納する。容器151に収納した硬貨の量が所定の容量になると、収納部150は、容器151が満杯になったと判定して、次の容器151に硬貨を収納する。容器151に収納する硬貨の金種が設定されている場合、収納部150は、識別部120による識別結果に基づいて、金種に対応する容器151に硬貨を収納する。例えば、店員は、複数の容器151に硬貨を金種別に収納するように設定することができる。店員は、満杯の容器151を収納部150から取り外し、容器ごと入金装置100の装置外へ回収することができる。容器151を回収した店員は、代わりに空の容器151を収納部150に装着する。
【0051】
図2に示す入金部110と返却部140の間の破線矢印は、入金部110の硬貨を返却部140から返却できることを示している。例えば、入金装置100は、入金部110の底部に設けたゲートを開いて、入金部110の硬貨を返却部140へ落下させて客に返却する。入金取引の途中で入金部110の硬貨を装置内で処理できなくなった場合に、返却部140から硬貨を返却し、収納装置200に預かる入金取引が実行されるが、これについては後述する。
【0052】
図3は、貨幣入金システム1の構成例を示すブロック図である。入金装置100は、図2に示した構成に加えて、制御部101、通信部102及び記憶部103を有する。通信部102はネットワーク2を介して外部装置と通信するために利用される。入金装置100は、通信部102を利用して、収納装置200及びクーポン発行装置300と通信する。また、入金装置100は、収納部150から容器151を回収する必要がある場合、搬送路への硬貨の詰まり等の障害が発生した場合に、通信部102を利用して、店員への報知処理を実行する。報知を受けた店員は、容器151の回収作業、障害復旧作業等を行うことができる。
【0053】
記憶部103は、入金装置100の動作に必要な各種情報の保存に利用される不揮発性の記憶装置である。入金装置100で行われた入金取引に関する情報が記憶部103に保存される。制御部101に対応するプログラムが記憶部103又は専用の記憶装置に予め保存されている。このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部101の機能及び動作が実現される。制御部101は、操作表示部160を介して入出力される情報と、通信部102を介して送受信する情報と、記憶部103に保存された情報とに基づいて、入金装置100、収納装置200及びクーポン発行装置300を制御することができる。これにより、本実施形態に記載する貨幣入金システム1の機能及び動作が実現されている。
【0054】
収納装置200は、制御部201、通信部202、記憶部203、検出部204及びロック部205を有する。通信部202はネットワーク2を介して外部装置と通信するために利用される。
【0055】
検出部204は、収納装置200の各収納庫230に現金袋500が収納されたことを検出する。例えば、各収納庫230に設けられた重量センサ、撮像装置等が、検出部204として利用される。1つの重量センサが複数の収納庫230を対象に重量変化を検出する態様であってもよい。収納装置200全体を撮像する1又は複数の撮像装置が検出部204として利用される態様であってもよい。
【0056】
ロック部205は、収納装置200の各収納庫230の扉230aをロックする。収納庫230に現金袋500が収納される際、検出部204が、客が収納庫230へ現金袋500を収納したことを検出して、ロック部205が、客が閉じた収納庫230の扉230aをロックする。その後、収納庫230から現金袋500が取り出される際に、ロック部205が扉230aのロックを解除する。
【0057】
記憶部203は、収納装置200の動作に必要な各種情報の保存に利用される不揮発性の記憶装置である。制御部201に対応するプログラムが記憶部203又は専用の記憶装置に予め保存されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部201の機能及び動作が実現される。制御部201が、通信部202を介して送受信する情報と、記憶部203に保存された情報とに基づいて、検出部204及びロック部205を制御することにより、本実施形態に記載する収納装置200の機能及び動作が実現されている。
【0058】
クーポン発行装置300は、図1に示したクーポン発行部310に加えて、制御部301、通信部302及び記憶部303を有する。通信部302はネットワーク2を介して外部装置と通信するために利用される。
【0059】
クーポン発行部310は、入金装置100に入金された硬貨の金額に基づいて、クーポンを発行する。クーポンが、紙媒体やプラスチック媒体等に印刷して発行される場合は、クーポン発行部310がプリンタを含み、クーポン情報を印刷したクーポンを発行する。クーポンが、電子クーポンで発行される場合は、クーポン発行部310が、通信部202を利用して、客が所持する通信端末や通信媒体に、クーポン情報を含むデータを送信する。クーポン情報には、クーポンの発行日、クーポンにより支払可能な金額、クーポンの使用期限等が含まれる。
【0060】
記憶部303は、クーポン発行装置300の動作に必要な各種情報の保存に利用される不揮発性の記憶装置である。制御部301に対応するプログラムが記憶部303又は専用の記憶装置に予め保存されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部301の機能及び動作が実現される。制御部301が、通信部302を介して送受信する情報と、記憶部303に保存された情報とに基づいて、クーポン発行部310を制御することにより、本実施形態に記載するクーポン発行装置300の機能及び動作が実現されている。
【0061】
図4は、貨幣入金システム1が実行する処理の例を示すフローチャートである。客が入金装置100で入金取引を開始すると、入金装置100は、入金部110の硬貨を1枚ずつ装置内に取り込んで搬送部130によって搬送し、識別部120によって硬貨を識別計数する(ステップS1)。収納部150の容器151に硬貨を収納可能であれば(ステップS2;Yes)、入金装置100は、装置内に、すなわち収納部150の容器151に硬貨を収納する(ステップS3)。入金部110に受け付けた全ての硬貨の処理を終えるまで(ステップS4;No)、硬貨を識別計数して収納部150に収納する処理が繰り返される。全ての硬貨を収納部150の容器151に収納し終えると(ステップS4;Yes)、入金装置100は、クーポン発行装置300からクーポンを発行する(ステップS5)。入金装置100は、レシート発行部180からレシートを発行して(ステップS6)、入金取引を終了する。
【0062】
入金取引の最初から収納部150の容器151に硬貨を収納できない場合(ステップS2;No)、入金装置100は、識別計数した硬貨を返却部140から返却する(ステップS7)。入金取引の途中で、収納部150の容器151に硬貨を収納できなくなった場合も(ステップS2;No)、入金装置100は、識別計数した硬貨を返却部140から返却する(ステップS7)。
【0063】
例えば、収納部150の容器151が硬貨で満杯になって硬貨を収納できなくなった場合に、返却部140から硬貨が返却される。例えば、硬貨詰まり等の障害によって容器151に硬貨を収納できないが、入金部110の硬貨を識別部120で識別して返却部140から返却可能である場合に、返却部140から硬貨が返却される。
【0064】
入金部110に受け付けた全ての硬貨の処理を終えるまで(ステップS8;No)、硬貨を識別計数して返却する処理が繰り返される。全ての硬貨を処理し終えると(ステップS8;Yes)、図1で説明したように、返却された硬貨を現金袋500に入れて収納装置200の収納庫230へ収納する後処理が行われる(ステップS9)。
【0065】
収納部150の容器151へ収納した硬貨がある場合(ステップS10;Yes)、入金装置100は、この硬貨の金額に応じたクーポンをクーポン発行装置300から発行し(ステップS11)、レシート発行部180から2枚のレシートを発行して(ステップS6)、入金取引を終了する。レシートの1枚には、現金袋500に入れて収納装置200の収納庫230へ収納された硬貨に関する情報が印刷される。入金装置100の復旧後、このレシートを利用して、上述したように、現金袋500の硬貨を入金装置100へ入金する処理が行われる。
【0066】
収納部150の容器151へ収納した硬貨がない場合(ステップS10;No)、入金装置100は、現金袋500に入れて収納装置200の収納庫230へ収納された硬貨に関する情報が印刷されたレシートをレシート発行部180から発行して(ステップS6)、入金取引を終了する。入金装置100の復旧後、このレシートを利用して、上述したように、現金袋500の硬貨を入金装置100へ入金する処理が行われる。
【0067】
なお、図1で説明したように、現金袋500が収納装置200へ収納されたことを条件に、入金装置100の収納部150の容器151に収納された硬貨の金額と、現金袋500に入れて収納装置200の収納庫230に収納された硬貨の金額との合計金額に基づいてクーポンを発行する場合は、ステップS10及びステップS11に代えて、合計金額に応じたクーポンの発行処理が実行されることになる。
【0068】
貨幣入金システム1では、入金装置100内で硬貨詰まり等の障害が発生して入金部110の硬貨を識別計数できなくなった場合でも、硬貨を持って来店した客が硬貨を持ち帰らずにすむように、収納装置200に硬貨を預かることができる。入金前の硬貨を預かる場合、収納装置200は、図3に示す構成に加えて、硬貨入金部210と、預り証発行部280と、預り証450の図形コード451を読み取る読取部270とを備える。以下、具体的に説明する。
【0069】
図5は、収納装置200に硬貨を預かる入金取引を説明するための模式図である。入金装置100の操作表示部160の画面上には、入金装置100が硬貨を受け付けられない状態にあること、及び硬貨を収納装置200に預かることを示す情報が表示される。また、収納装置200への預かり料金が必要となるが、預けた硬貨を後で入金装置100に入金すれば、入金金額に預かり料金及び特典を加算した金額分のクーポンが発行されることを示す情報が表示される。操作表示部160に、預かり料金と、客が得られる特典金額とが表示されてもよい。
【0070】
客は、持ってきた硬貨405を、収納装置200の収納庫230に収納する(S21)。客は、硬貨405が入った容器ごと硬貨405を収納庫230へ預けることができる。収納装置200は、検出部204によって、客が硬貨405を収納した収納庫230を検出する。客が、収納装置200の硬貨入金部210へ預かり料金分の硬貨を投入すると(S22)、収納装置200は、ロック部205を制御して、硬貨405が収納された収納庫230の扉230aをロックする。収納装置200は、預り証発行部280から、預り証450を発行する(S23)。預り証発行部280は、客が硬貨405を収納装置200に預けた日時と、硬貨405の預入取引を特定可能な取引番号と、硬貨405を収納した収納庫230の収納庫番号と、これらを符号化した図形コード451とを、預り証450に印刷して発行する。収納装置200は、客が硬貨405を預けた日時、収納庫230の収納庫番号等を、取引番号と関連付けて記憶部203に記憶する。記憶部203に記憶する情報が、通信部202によってネットワーク2を介して送受信されて、入金装置100又はクーポン発行装置300に保存されてもよい。この場合、収納装置200は、通信部202によって、ネットワーク2を介して入金装置100又はクーポン発行装置300から情報を取得して利用すればよい。
【0071】
入金装置100の復旧後、客は、収納装置200の読取部270に、預り証450の図形コード451を読み取らせる(S31)。入金装置100は、図形コード451から、客が硬貨405を収納した収納庫230の収納庫番号を特定し、ロック部205を制御して収納庫230の扉230aのロックを解除する。収納装置200は、図形コード451から特定した取引番号等の情報を入金装置100に送信する。
【0072】
客は、収納庫230から硬貨405を取り出す(S32)。客は、入金装置100の読取部170に預り証450の図形コード451を読み取らせて(S33)、入金部110から硬貨405を入金する(S34)。
【0073】
入金装置100は、図形コード451から得られた取引番号が、収納装置200から受信した取引番号と一致することに基づいて、硬貨405の入金取引が、収納装置200へ預かった硬貨405の入金取引であることを認識する。入金装置100は、硬貨405の入金金額に、収納装置200への預かり料金と、所定の特典金額とを加算した合計金額を算出し、合計金額に応じたクーポン351を発行する(S35)。入金装置100は、取引内容に関する情報を印刷したレシート186を発行して(S36)、客との入金取引を終了する。
【0074】
この場合も、入金装置100が、収納装置200の検出部204で検出された硬貨405及び容器の重量と、入金装置100に入金された硬貨の重量とが、所定の誤差範囲内で一致することを判定してもよい。一致しない場合に、客に確認を求める情報を操作表示部160に表示してもよい。一致を条件に、預かり料金及び特典金額を含むクーポン351を発行してもよい。一致しない場合には、入金装置100に入金した入金金額分のクーポン351を発行するようにしてもよい。なお、預かり金の返金及び特典付与は必須ではなく、預かり金を返金するか否か、特典を付与するか否かは、店員によって設定される。
【0075】
このように、貨幣入金システム1では、入金装置100に硬貨を受け付けられない場合でも、収納装置200で硬貨を預かることができる。このため、客は、店舗に持参した硬貨を収納装置200に預けて退店することができる。硬貨を預ける際、客は預かり料金を支払う必要があるが、預かり料金は、入金装置100へ硬貨を入金する際に入金金額に加算されるため、客が預かり料金を負担する必要はない。また、客が後日再来店して入金取引を行わなければならない場合も生じ得るが、客は、その手間に応じた特典を含むクーポンを受けることができる。
【0076】
なお、入金取引を実行できない場合だけでなく、入金取引の途中で入金装置100の装置内で硬貨を処理できなくなった場合も、図5で説明したように、収納装置200を利用して硬貨を収納装置200に預けて、その後、入金取引を実行することができる。この場合、入金装置100が、入金部110の底部のゲートを開いて、入金部110に残っている硬貨を返却部140から返却して、客が、この硬貨を図5で説明したように処理すればよい。
【0077】
図5では、客が、収納装置200から取り出した硬貨405を入金装置100に入金する例を説明したが、店員が、硬貨405を入金する態様であってもよい。入金装置100の復旧後に、店員が、硬貨405を入金装置100に入金して、クーポン発行装置300から発行されたクーポン351と、硬貨405が入っていた容器とを収納庫230に戻し、収納庫230を開いた客がクーポン351及び容器を取り出して退店できるようにしてもよい。クーポン351が、紙や樹脂等の媒体で発行される態様に限定されず、客が所持するスマートフォン等の通信端末や、カード型の記憶媒体等に、クーポン発行装置300が発行した電子クーポンが送信される態様であってもよい。
【0078】
図5では、収納装置200が預かり料金を受け付ける例を説明したが、入金装置100が預かり料金を受け付ける硬貨処理部を含む態様であってもよい。収納装置200が、預り証発行部280から預り証450を発行する例を説明したが、入金装置100のレシート発行部180又はクーポン発行部310が、預り証発行部280を兼ねる態様であってもよい。預り証450が電子データで発行されて、客が所持するスマートフォン等の通信媒体に送信される態様であってもよい。収納装置200が、読取部270で預り証450の情報を読み取る例を説明したが、入金装置100の読取部170が、預り証450の読取部270を兼ねる態様であってもよい。収納装置200が操作部を備え、預り証450の情報が手入力される態様であってもよい。硬貨入金部210を含む硬貨処理部と、読取部270と、預り証発行部280とを含む装置が独立して設けられ、入金装置100及び収納装置200と通信可能に接続されて利用される態様であってもよい。
【0079】
本実施形態では、客が来店して行う入金取引について説明したが、貨幣入金システム1では、来店前の客に、入金装置100の状況を知らせることも可能となっている。入金装置100は、硬貨を受け付けられなくなると、これを示す情報を、店舗が利用する所定のサーバ装置へ通知する。サーバ装置は、インターネット上の所定のウェブサイトで、入金装置100の利用可否を示す情報を公開する。客は、ウェブサイトを参照することで、入金装置100を利用可能であるか否かを事前に確認することができる。
【0080】
貨幣入金システム1は、ウェブサイトを介して、入金取引の事前予約を受け付けることもできる。例えば、入金する硬貨の金種及び金種別枚数が分かっている場合、客は、金種及び金種別枚数を指定して入金取引を予約する。入金装置100は、予約された硬貨を受け付けられるように、収納部150の容器151における収納空間を確保する。客は、入金する硬貨をスマートフォンのカメラで撮像して入金取引を予約することもできる。入金装置100は、撮像画像を解析して、入金される硬貨の量を予測し、予測した硬貨量を収納できるように、収納部150の容器151における収納空間を確保する。これにより、客が硬貨を持って来店したにも拘わらず収納部150が満杯で硬貨を入金できないといった事態を回避することができる。入金取引の予約に、予約から2時間というように、期限が設けられる態様であってもよい。入金取引を予約可能な客を店舗の会員に限定して、予約だけ行って入金取引を実行しない客にペナルティを課す態様であってもよい。
【0081】
本実施形態の図1では、返却部140から返却した硬貨402を客が現金袋500に入れて封をする例を説明したが、入金装置100が、硬貨を現金袋500に入れる態様であってもよい。例えば、図6(a)に示すように、入金装置100が、図2で説明した構成に加えて、搬送部130が搬送してきた硬貨を現金袋500に収納する返却収納部240を備えていてもよい。
【0082】
例えば、図6(b)に示すように、返却収納部240に設けられた2本のアーム241(241a、241b)を、現金袋500に設けられた通し穴500aに挿通して、現金袋500を袋の口を開いた状態で保持する。入金装置100は、搬送部130によって返却収納部240へ搬送した硬貨を、現金袋500の口に挿入した排出口131から排出して、現金袋500に収納する。客は、現金袋500をアーム241から抜き取って、袋の口を閉じる。排出口131及びアーム241が移動可能に設けられ、現金袋500へ硬貨を収納した後、排出口131が現金袋500の上方外側へ待避移動して、入金装置100がアーム241を移動させて現金袋500の口を閉じる態様であってもよい。例えば、アーム241の一部を加熱して現金袋500の口を熱溶着すればよい。例えば、返却収納部240が、現金袋500の口近傍に貼り付けられた粘着テープの保護シートを剥がす、例えばロボットハンド等の構成部をさらに備え、保護シートを剥がして現金袋500の口を接着する態様であってもよい。
【0083】
図6に示す例において、返却部140からバラ硬貨を排出するか、返却収納部240からバラ硬貨を現金袋500に入れて排出するかを選択できる態様であってもよい。客が選択できるようにしてもよいし、店員が、店舗での利用態様に応じて返却部140又は返却収納部240に固定できるようにしてもよい。
【0084】
入金装置100が、返却部140からバラ硬貨を排出するか、返却収納部240から硬貨を現金袋500に入れて排出するかに応じて、クーポンの発行タイミングを変更してもよい。例えば、入金装置100がバラ硬貨を排出する場合は、収納装置200への収納後、入金装置100へ入金されて収納される際にクーポンを発行し、入金装置100が硬貨を収納した現金袋500の口を閉じて排出する場合は、現金袋500が収納庫230に収納されたことを条件にクーポンを発行すればよい。
【0085】
本実施形態では、硬貨を現金袋500に収納する例を説明したが、硬貨を収納する容器の種類は特に限定されない。例えば、硬貨が、箱等の容器に収納される態様であってもよい。また、本実施形態では、硬貨を例に説明を行ったが、上述した各処理が紙幣を対象に行われる態様であってもよい。
【0086】
本実施形態では、説明の便宜上、入金装置100に隣接して収納装置200が設置された図を示したが、収納装置200の設置場所は特に限定されない。収納装置200が入金装置100から離れた場所に設置される態様であってもよい。また、貨幣入金システム1が、複数の入金装置100を含む態様であってもよいし、複数の収納装置200を含む態様であってもよい。入金装置100に硬貨を受け付けられない場合に、操作表示部160の画面上に、硬貨を受付可能な他の入金装置100を案内する情報を表示する態様であってもよい。これにより、客は、入金取引の途中で入金装置100に硬貨を入金できなくなった場合でも、この硬貨を別の入金装置100に入金することができる。
【0087】
本実施形態では、貨幣入金システム1が、入金装置100と、収納装置200と、クーポン発行装置300とによって構成される例を示したが、該構成は機能概略的なものであり、貨幣入金システム1の構成が物理的に該構成に限定されるものではない。例えば、入金装置100が、クーポン発行装置300の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよいし、収納装置200の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。各装置の分散・統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0088】
上述したように、本実施形態に係る貨幣入金システム及び貨幣入金方法によれば、客が入金装置に貨幣を入金できなくなった場合でも、入金取引を続けることができる。客は、入金できなかった貨幣を一旦収納装置に預けた後、この貨幣を入金装置に入金して入金取引を完了することができる。客は、入金できなかった貨幣を持ち帰る必要がないため、客にとっての利便性が向上する。
【符号の説明】
【0089】
1 貨幣入金システム
2 ネットワーク
100 入金装置
110 入金部
120 識別部
130 搬送部
140 返却部
150 収納部
151 容器
160 操作表示部
170 読取部
180 レシート発行部
200 収納装置
230 収納庫
300 クーポン発行装置
310 クーポン発行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6