(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135052
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20240927BHJP
H01R 13/621 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01R13/641
H01R13/621
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045551
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】望月 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC38
5E021HB01
5E021HB11
5E021HC19
(57)【要約】
【課題】第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性の向上を可能にしたコネクタ装置を提供する。
【解決手段】コネクタ装置10は、第1コネクタ11に対する第2コネクタ12の嵌合を補助するべく、第2ハウジング31を固定するボルト13と、第1ハウジング21および第2ハウジング31のいずれかに設けられる回動被覆部材15と、回動被覆部材15の回動を規制可能な規制構造16と、を備える。回動被覆部材15は、ボルト13の装着を可能とする退避位置と、ボルト13の頭部14を覆う被覆位置P2との間を回動可能に構成されている。規制構造16は、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して非嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を規制し、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を許容する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングを有する第1コネクタと、
第2ハウジングを有し、前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、
前記第1コネクタに対する前記第2コネクタの嵌合を補助するべく、前記第2ハウジングを固定するボルトと、を備えるコネクタ装置であって、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのいずれかに設けられ、前記ボルトの装着を可能とする退避位置と、前記ボルトの頭部を覆う被覆位置との間を回動可能とされた回動被覆部材と、
前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して非嵌合状態にあるとき、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を規制し、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して嵌合状態にあるとき、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を許容する規制構造と、を備える、
コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのうち、前記回動被覆部材が設けられるハウジングを特定ハウジングとし、他方のハウジングを相手ハウジングとして、
前記規制構造は、前記特定ハウジングに設けられた第1係止部と、前記回動被覆部材に設けられた弾性片とを有する第1規制部を備え、
前記非嵌合状態では、前記退避位置にある前記回動被覆部材の前記弾性片が前記第1係止部に引っ掛かることで、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動が規制され、
前記嵌合状態では、前記弾性片が前記相手ハウジングに設けられた解除部との接触により変位して、前記第1係止部に対する前記弾性片の引っ掛かりが外れることで、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動が許容される、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記特定ハウジングは、前記回動被覆部材が前記被覆位置にあるときに前記弾性片が引っ掛かる第2係止部を有している、
請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記規制構造は、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して半嵌合状態にあるときに前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を規制する第2規制部を、前記第1規制部とは別に備える、
請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第2規制部は、前記回動被覆部材の軸部から径方向外側に突出し、弾性変形不能とされた突出部を有し、
前記突出部は、前記半嵌合状態において、前記特定ハウジングまたは前記相手ハウジングに設けられた当接部に対し、前記回動被覆部材の前記被覆位置に向かう回動方向に当接可能に構成されている、
請求項4に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のコネクタ装置は、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合を補助するボルトを備える。ボルト締結による補助は、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合に大きな力を必要とする場合に有効である。特許文献1のコネクタ装置は、コネクタ装置は、第2コネクタを固定しているボルトを被覆するスライド部材をさらに備える。スライド部材は、ボルトの締結を可能とする退避位置と、ボルトを覆う被覆位置との間を移動可能に構成されている。また、スライド部材は、柔軟な素材にて形成されている。ボルトの締結時には、スライド部材を退避位置とする。そして、ボルトの締結が完了した後、スライド部材をボルトを覆う被覆位置にスライドさせる。これにより、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合後におけるボルトの露出を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3376608号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタ装置では、ボルトが適正な位置まで十分に締結されていない半嵌合状態であっても、スライド部材を無理矢理に被覆位置まで移動することができてしまう。このため、スライド部材が被覆位置にある状態が、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が確実に完了したことを示す作業保証とならない問題があった。
【0005】
本開示の目的は、第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性の向上を可能にしたコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ装置は、第1ハウジングを有する第1コネクタと、第2ハウジングを有し、前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、前記第1コネクタに対する前記第2コネクタの嵌合を補助するべく、前記第2ハウジングを固定するボルトと、を備えるコネクタ装置であって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのいずれかに設けられ、前記ボルトの装着を可能とする退避位置と、前記ボルトの頭部を覆う被覆位置との間を回動可能とされた回動被覆部材と、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して非嵌合状態にあるとき、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を規制し、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して嵌合状態にあるとき、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を許容する規制構造と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタ装置によれば、第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるコネクタ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるコネクタ装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における第1ハウジングの一部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における回動被覆部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態において、第2コネクタの半嵌合状態における回動被覆部材付近の構成を示す上面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態において、第2コネクタの嵌合状態における回動被覆部材付近の構成を示す上面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態において、第2コネクタの嵌合状態における回動被覆部材付近の構成を示す下面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態におけるコネクタ装置の一部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態におけるコネクタ装置の一部を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態において、第2コネクタの非嵌合状態における回動被覆部材付近の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタ装置は、
[1]第1ハウジングを有する第1コネクタと、第2ハウジングを有し、前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、前記第1コネクタに対する前記第2コネクタの嵌合を補助するべく、前記第2ハウジングを固定するボルトと、を備えるコネクタ装置であって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのいずれかに設けられ、前記ボルトの装着を可能とする退避位置と、前記ボルトの頭部を覆う被覆位置との間を回動可能とされた回動被覆部材と、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して非嵌合状態にあるとき、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を規制し、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して嵌合状態にあるとき、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を許容する規制構造と、を備える。
【0010】
この構成によれば、ボルトが適正な位置まで締結されていないにも関わらず、回動被覆部材を被覆位置まで無理矢理に回動させることが難しくなる。つまり、回動被覆部材が被覆位置まで回動することが、第2コネクタがボルトの締結により第1コネクタに対して正しく嵌合されていることを保証する。したがって、第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのうち、前記回動被覆部材が設けられるハウジングを特定ハウジングとし、他方のハウジングを相手ハウジングとして、前記規制構造は、前記特定ハウジングに設けられた第1係止部と、前記回動被覆部材に設けられた弾性片とを有する第1規制部を備え、前記非嵌合状態では、前記退避位置にある前記回動被覆部材の前記弾性片が前記第1係止部に引っ掛かることで、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動が規制され、前記嵌合状態では、前記弾性片が前記相手ハウジングに設けられた解除部との接触により変位して、前記第1係止部に対する前記弾性片の引っ掛かりが外れることで、前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動が許容されるように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1規制部によって、第2コネクタの非嵌合状態では被覆位置に向かう回動被覆部材の回動を規制し、第2コネクタの嵌合状態では、被覆位置に向かう回動被覆部材の回動を許容することが可能となる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記特定ハウジングは、前記回動被覆部材が前記被覆位置にあるときに前記弾性片が引っ掛かる第2係止部を有していてもよい。
この構成によれば、回動被覆部材の弾性片が第2係止部に引っ掛かることにより、被覆位置にある回動被覆部材の回動を規制することが可能となる。これにより、被覆位置にある回動被覆部材が退避位置に戻ることを抑制することが可能となる。
【0014】
[4]上記[2]または[3]において、前記規制構造は、前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して半嵌合状態にあるときに前記被覆位置に向かう前記回動被覆部材の回動を規制する第2規制部を、前記第1規制部とは別に備えていてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1規制部および第2規制部の双方によって回動被覆部材の回動をより確実に規制することが可能となる。
[5]上記[4]において、前記第2規制部は、前記回動被覆部材の軸部から径方向外側に突出し、弾性変形不能とされた突出部を有し、前記突出部は、前記半嵌合状態において、前記特定ハウジングまたは前記相手ハウジングに設けられた当接部に対し、前記回動被覆部材の前記被覆位置に向かう回動方向に当接可能に構成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、弾性変形不能とされた突出部を含む第2規制部は、弾性片を含む第1規制部に比べて、回動被覆部材の回動をより強固に規制することが可能である。したがって、第2規制部によって、回動被覆部材の回動をより確実に規制することが可能となる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0018】
(第1実施形態)
以下、コネクタ装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すコネクタ装置10は、例えば、車両に搭載される図示しない車載機器に取り付けられる。コネクタ装置10は、互いに嵌合される第1コネクタ11および第2コネクタ12と、第1コネクタ11と第2コネクタ12との嵌合を補助するためのボルト13と、を備える。また、コネクタ装置10は、ボルト13の頭部14を被覆可能に構成された回動被覆部材15と、所定の状態において回動被覆部材15の回動を規制する規制構造16と、を備える。
【0019】
(第1コネクタ11)
図1および
図2に示すように、第1コネクタ11は、第1ハウジング21を有している。第1ハウジング21は、例えば合成樹脂にて形成されている。第1ハウジング21は、前記車載機器のハウジングに対して例えばボルト締結によって固定される。第1コネクタ11は、第1ハウジング21に収容された図示しない一対の第1端子を有している。当該一対の第1端子は、前記車載機器のハウジング内に収容された電気部品に電気的に接続される。
【0020】
(第2コネクタ12)
第2コネクタ12は、第1ハウジング21に対して嵌合方向D1に嵌合される第2ハウジング31を有している。第2ハウジング31は、例えば合成樹脂にて形成されている。本第1実施形態のコネクタ装置10では、例えば、第1ハウジング21に設けられた挿入部22が第2ハウジング31の被挿入部32に挿入される態様で、第2ハウジング31は第1ハウジング21に嵌合される。以下の説明では、第2ハウジング31の嵌合を、第2コネクタ12の嵌合と称する場合もある。
【0021】
第2コネクタ12は、第2ハウジング31に収容された図示しない一対の第2端子と、当該一対の第2端子にそれぞれ接続された電線33とを有している。各電線33は、第2ハウジング31から外部に引き出されている。第2ハウジング31が第1ハウジング21に嵌合された状態において、前記一対の第2端子は、第1コネクタ11の前記一対の第1端子にそれぞれ接続される。
【0022】
第2ハウジング31は、ボルト13が取り付けられるボルト取付部34を有している。ボルト取付部34は、例えば、第2ハウジング31の被挿入部32から嵌合方向D1に直交する方向に延出している。ボルト13は、ボルト取付部34を嵌合方向D1に沿って貫通する。
【0023】
図2に示すように、第1ハウジング21において、ボルト取付部34に対応する位置には、ボルト13が挿入されるボルト挿入孔23が設けられている。ボルト13は、例えば、第1ハウジング21と第2ハウジング31とが互いに嵌合された状態において、第1ハウジング21または前記車載機器のハウジングのいずれかに螺着される。これにより、ボルト13は、第2ハウジング31に対して嵌合方向D1への締結力を付与する。このようなボルト13の締結による第2ハウジング31に対する嵌合の補助は、第1ハウジング21と第2ハウジング31との嵌合に大きな力を必要とする場合に有効である。
【0024】
(回動被覆部材15)
図1に示すように、本第1実施形態のコネクタ装置10において、回動被覆部材15は、第1ハウジング21に設けられている。すなわち、本第1実施形態では、回動被覆部材15が設けられた第1ハウジング21が特定ハウジングであり、第2ハウジング31が相手ハウジングである。回動被覆部材15は、例えば合成樹脂にて形成されている。
【0025】
図1および
図2に示すように、回動被覆部材15は、第1ハウジング21に設けられた取付部24に取り付けられる軸部41と、軸部41から延出する被覆部42と、を備える。第1ハウジング21の取付部24は、回動被覆部材15の軸部41を回動可能に支持する支持孔25を有している。回動被覆部材15は、軸部41を中心として回動することで、ボルト13の装着を可能とする退避位置P1と、被覆部42にてボルト13の頭部14を覆う被覆位置P2との間を回動可能とされる。
図1は、回動被覆部材15が被覆位置P2にある状態を示している。
図2は、回動被覆部材15が退避位置P1を向く状態を示している。以下の説明では、回動被覆部材15が退避位置P1から被覆位置P2に向かって回動する方向を正回動方向R1と称するとともに、その逆向きの回動方向を逆回動方向と称する。なお、軸部41を中心とする退避位置P1から被覆位置P2までの角度は、例えばおよそ90度に設定される。
【0026】
回動被覆部材15が被覆位置P2にあるとき、被覆部42は、ボルト13の頭部14の上面に対し、ボルト13の軸方向に対向する。被覆部42は、規制壁部42aを有している。規制壁部42aは、万が一、回動被覆部材15が被覆位置P2からさらに正回動方向R1に回動されてしまったときに、ボルト13の頭部14に対して正回動方向R1に接触可能に構成されている。
【0027】
図2および
図7に示すように、回動被覆部材15の軸部41は、軸部41の軸方向において支持孔25に係止される係止片43を有している。なお、
図7は、回動被覆部材15が取り付けられた第1ハウジング21の取付部24を下面側から見た図である。係止片43は、軸部41に例えば2つ設けられている。各係止片43が支持孔25に対して軸方向に引っ掛かることで、支持孔25に対する軸部41の抜け止めとなる。
【0028】
(規制構造16)
次に、所定の状態において回動被覆部材15の回動を規制する規制構造16について説明する。規制構造16は、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して非嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を規制する。また、規制構造16は、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を許容する。
【0029】
なお、第2コネクタ12の嵌合状態とは、第2ハウジング31が第1ハウジング21に対し、嵌合方向D1において適正な位置まで嵌合されており、かつ、ボルト13が軸方向において適正締結位置まで締結されている状態を指す。また、第2コネクタ12の非嵌合状態は、第2ハウジング31が第1ハウジング21に組み付けられておらず、互いに離れている状態を含む。また、当該第2コネクタ12の非嵌合状態は、第2ハウジング31が第1ハウジング21に組み付けられてはいるものの、嵌合方向D1において適正な位置まで嵌合されていない状態(以下、半嵌合状態と称する)を含む。
【0030】
規制構造16は、例えば、第1規制部50と第2規制部60とを含む。
(第1規制部50)
第1規制部50は、例えば、第1ハウジング21に設けられた第1係止部51と、回動被覆部材15に設けられた弾性片52と、を有している。
【0031】
図4に示すように、弾性片52は、軸部41の軸方向に沿って延びる形状をなしている。弾性片52は、例えば、筒状をなす軸部41の周壁の一部を構成する。弾性片52は、軸部41の径方向に沿った方向に変位するように撓むことが可能とされている。弾性片52は、軸部41の外周面よりも外周側に突出する係止凸部53を有している。
【0032】
図3および
図5に示すように、第1係止部51は、例えば、支持孔25を形成する壁部の周方向の一部を切り欠いて形成した凹部である。
図5は、第2ハウジング31が非嵌合状態(詳しくは半嵌合状態)であり、かつ、回動被覆部材15が退避位置P1にある状態を示している。
図5に示すように、第2コネクタ12が非嵌合状態であり、かつ、回動被覆部材15が退避位置P1にある状態において、弾性片52の係止凸部53は、凹部である第1係止部51内に入り込んでいる。これにより、軸部41の周方向において、係止凸部53が第1係止部51に引っ掛かるため、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の正回動方向R1への回動が規制される。
【0033】
図6は、第2ハウジング31が嵌合状態であり、かつ、回動被覆部材15が退避位置P1にある状態を示している。
図6に示すように、第2ハウジング31は、係止凸部53の第1係止部51への引っ掛かりを解除するための解除部54を有している。第2コネクタ12の嵌合状態では、解除部54が弾性片52の係止凸部53に接触することで、係止凸部53が軸部41の径方向内側に変位するように弾性片52が撓む。これにより、係止凸部53の第1係止部51への引っ掛かりが外れる。すなわち、第2ハウジング31が嵌合状態であるとき、係止凸部53および第1係止部51を含む第1規制部50は、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を許容する。なお、第1係止部51に対する係止凸部53の引っ掛かり量は、第2ハウジング31の半嵌合状態から嵌合状態への移行に伴い弾性片52が撓むにつれて、徐々に少なくなる。
【0034】
(第2係止部26)
図7では、回動被覆部材15が退避位置P1にあるときの弾性片52の係止凸部53を実線で示し、回動被覆部材15が被覆位置P2にあるときの係止凸部53を2点鎖線で示している。なお、
図7は、第2ハウジング31が嵌合状態であるときの第1ハウジング21の下面図である。すなわち、
図7は、
図6に示す状態を裏側から見た図である。
【0035】
図7に示すように、第1ハウジング21の支持孔25は、第2係止部26を有している。第2係止部26は、例えば、支持孔25の内周面に凹設された凹部である。回動被覆部材15が被覆位置P2にあるとき、弾性片52の係止凸部53は、第2係止部26の内側に入り込む。これにより、係止凸部53が軸部41の周方向において第2係止部26に引っ掛かる。そして、係止凸部53が第2係止部26に引っ掛かることにより、被覆位置P2にある回動被覆部材15の回動が規制される。
【0036】
(第2規制部60)
規制構造16が有する第2規制部60は、第2コネクタ12が半嵌合状態にあるときに被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を規制する。
【0037】
図4および
図5に示すように、第2規制部60は、回動被覆部材15に一体に形成された突出部61を有している。突出部61は、回動被覆部材15の軸部41から径方向外側に突出している。突出部61は、弾性変形不能に構成されている。突出部61は、第1規制部50の弾性片52よりも剛性が高く構成されている。
【0038】
図3および
図5に示すように、第2規制部60は、突出部61が正回動方向R1に当接可能な当接部62を有している。当接部62は、例えば、第1ハウジング21に設けられている。第1ハウジング21には、例えば、弾性変形可能な規制片63が一体に形成されている。当接部62は、規制片63に形成されている。規制片63は、嵌合方向D1に対して傾斜する傾斜面64を有している。
【0039】
規制片63は、自らの弾性によって、非規制位置と規制位置との間を変位可能である。第2ハウジング31が第1ハウジング21に組み付けられていない状態において、規制片63は、非規制位置にある(
図3参照)。第2ハウジング31を第1ハウジング21に対して嵌合方向D1に組み付けると、第2ハウジング31に設けられた押圧部55が規制片63の傾斜面64に嵌合方向D1に当接する。その後、規制片63の傾斜面64が押圧部55によって嵌合方向D1に押されることで、規制片63が非規制位置から支持孔25に向かう方向に撓み、その結果、規制片63が規制位置に変位する。そして、
図5に示すように、第2ハウジング31の半嵌合状態では、押圧部55によって規制片63が規制位置にある状態が保持される。
【0040】
規制片63が規制位置にある状態において、回動被覆部材15の突出部61は、当接部62に対して正回動方向R1に当接可能である。これによっても、回動被覆部材15が被覆位置P2に向かう方向への回動を規制することが可能となっている。
【0041】
その後、第2ハウジング31が前記嵌合状態とされると、第2ハウジング31の押圧部55が嵌合方向D1において規制片63に対しラップしない位置関係となる。これにより、押圧部55と規制片63との係合関係が外れて、規制片63が非規制位置に戻る。規制片63が非規制位置にある状態では、回動被覆部材15の突出部61は、規制片63の当接部62に対して正回動方向R1に当接しない。すなわち、規制片63が非規制位置にある状態では、突出部61および当接部62を含む第2規制部60は、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を許容する。
【0042】
第1実施形態の作用について説明する。
第2コネクタ12が第1コネクタ11に取り付けられていない状態では、第1規制部50によって、回動被覆部材15における正回動方向R1および逆回動方向の回動が規制されている。
【0043】
第1コネクタ11と第2コネクタ12との接続の際には、まず、前記車載機器のハウジングに取り付けられた第1ハウジング21に対して、第2ハウジング31を嵌合方向D1に組み付ける。その後、ボルト13を嵌合方向D1において適正な位置まで締結することで、第1ハウジング21に対して第2ハウジング31が嵌合状態とされる。このとき、ボルト13が前記適正な位置まで締結されないと、第2ハウジング31が半嵌合状態となる。
【0044】
第2ハウジング31の半嵌合状態では、第1規制部50および第2規制部60の双方によって、回動被覆部材15の正回動方向R1の回動が規制される。したがって、第2ハウジング31が半嵌合状態にあるときに、回動被覆部材15を退避位置P1から被覆位置P2に回動させようとしても、第1規制部50および第2規制部60の各々によって回動被覆部材15が回動できないようになっている。
【0045】
第1コネクタ11に対する第2コネクタ12の接続時において、ボルト13が前記適正な位置まで十分に締結されると、第2ハウジング31が第1ハウジング21に対して嵌合状態とされる。すると、前述したように、第1規制部50および第2規制部60の各々における回動規制が解除されるため、回動被覆部材15を退避位置P1から被覆位置P2に回動させることが可能となる。この状態では、ボルト13は嵌合方向D1において適正な位置まで締結されているため、回動被覆部材15を被覆位置P2まで回動させたときに、回動被覆部材15の被覆部42がボルト13の頭部14に干渉することがない。
【0046】
以上のように、回動被覆部材15が被覆位置P2まで回動されたとき、第2コネクタ12がボルト13の締結により第1コネクタ11に対して正しく嵌合されていることを保証できるようになっている。
【0047】
また、回動被覆部材15が退避位置P1から被覆位置P2まで回動されると、回動被覆部材15の弾性片52が弾性復帰することで、弾性片52の係止凸部53が支持孔25の第2係止部26に入り込む。これにより、回動被覆部材15が被覆位置P2にある状態では、弾性片52の係止凸部53が第2係止部26に対して軸部41の周方向に係合することで、回動被覆部材15の正回動方向R1および逆回動方向への回動が規制される。
【0048】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)規制構造16は、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して非嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を規制する。また、規制構造16は、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を許容する。この構成によれば、ボルト13が適正な位置まで締結されていないにも関わらず、回動被覆部材15を被覆位置P2まで無理矢理に回動させることが難しくなる。つまり、回動被覆部材15が被覆位置P2まで回動することが、第2コネクタ12がボルト13の締結により第1コネクタ11に対して正しく嵌合されていることを保証する。したがって、第1コネクタ11と第2コネクタ12との接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0049】
(1-2)第1ハウジング21および第2ハウジング31のうち、回動被覆部材15が設けられるハウジングを特定ハウジングとし、他方のハウジングを相手ハウジングとする。すなわち、上記第1実施形態では、回動被覆部材15が設けられた第1ハウジング21が特定ハウジングであり、第2ハウジング31が相手ハウジングである。規制構造16は、特定ハウジングとしての第1ハウジング21に設けられた第1係止部51と、回動被覆部材15に設けられた弾性片52とを有する第1規制部50を備える。第2コネクタ12の非嵌合状態では、退避位置P1にある回動被覆部材15の弾性片52が第1係止部51に引っ掛かることで、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動が規制される。そして、第2コネクタ12の嵌合状態では、弾性片52が第2ハウジング31に設けられた解除部54との接触により変位して、第1係止部51に対する弾性片52の引っ掛かりが外れることで、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動が許容される。この構成によれば、第2コネクタ12の非嵌合状態では、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を第1規制部50によって規制し、第2コネクタ12の嵌合状態では、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を許容することが可能となる。
【0050】
(1-3)特定ハウジングとしての第1ハウジング21は、回動被覆部材15が被覆位置P2にあるときに弾性片52が引っ掛かる第2係止部26を有している。この構成によれば、回動被覆部材15の弾性片52が第2係止部26に引っ掛かることにより、被覆位置P2にある回動被覆部材15の回動を規制することが可能となる。これにより、被覆位置P2にある回動被覆部材15が退避位置P1に戻ることを抑制することが可能となる。
【0051】
(1-4)規制構造16は、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して半嵌合状態にあるときに被覆位置P2に向かう回動被覆部材15の回動を規制する第2規制部60を、第1規制部50とは別に備える。この構成によれば、第1規制部50および第2規制部60の双方によって回動被覆部材15の回動をより確実に規制することが可能となる。
【0052】
(1-5)第2規制部60は、回動被覆部材15の軸部41から径方向外側に突出し、弾性変形不能とされた突出部61を有している。突出部61は、第2コネクタ12の半嵌合状態において、第1ハウジング21に設けられた当接部62に対し、回動被覆部材15の被覆位置P2に向かう回動方向に当接可能に構成される。この構成によれば、弾性変形不能とされた突出部61を含む第2規制部60は、弾性片52を含む第1規制部50に比べて、回動被覆部材15の回動をより強固に規制することが可能である。詳しくは、第1規制部50において、第1係止部51に対する係止凸部53の引っ掛かり量は、第2ハウジング31の半嵌合状態から嵌合状態への移行に伴い弾性片52が撓むにつれて、徐々に少なくなる。一方、第2規制部60では、第2ハウジング31の半嵌合状態において、当接部62に対する突出部61の引っ掛かり量が一定である。このため、第2ハウジング31の半嵌合状態における第2規制部60による回動規制は、第1規制部50による回動規制よりも強度が高い。したがって、第2規制部60によって、第2ハウジング31の半嵌合状態における回動被覆部材15の回動をより確実に規制することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
以下、コネクタ装置の第2実施形態について説明する。本第2実施形態では、第1実施形態との相違点について主に説明し、第1実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付して、その構成の説明の一部又は全部を省略する場合がある。
【0054】
図8および
図9に示すように、第2実施形態におけるコネクタ装置10Aにおいて、第2ハウジング31に取り付けられる回動被覆部材15Aを有している。すなわち、第2実施形態では、回動被覆部材15Aが設けられた第2ハウジング31が特定ハウジングであり、第1ハウジング21が相手ハウジングである。回動被覆部材15Aは、例えば合成樹脂にて形成されている。第2ハウジング31は、回動被覆部材15Aの軸部41を回動可能に支持する支持孔71を有している。回動被覆部材15Aの係止片43が支持孔71に対して軸方向に引っ掛かることで、支持孔71に対する軸部41の抜け止めとなる。
【0055】
(規制構造16A)
第2実施形態におけるコネクタ装置10Aは、所定の状態において回動被覆部材15Aの回動を規制する規制構造16Aを有している。規制構造16Aは、例えば、第1規制部50A(
図10参照)と第2規制部60A(
図8参照)とを含む。
【0056】
(第1規制部50A)
図10および
図11に示すように、第1規制部50Aは、例えば、第2ハウジング31に設けられた第1係止部72と、回動被覆部材15Aに設けられた弾性片73と、を有している。なお、
図10および
図11は、第1ハウジング21に組み付けられていない状態の第2ハウジング31を示している。第2ハウジング31が第1ハウジング21に組み付けられていない状態では、回動被覆部材15Aは退避位置P1にある。
【0057】
第1係止部72は、第2ハウジング31の上面に凹設された貫通孔または凹部である。弾性片73は、軸部41の軸方向に直交する方向に沿って延びる形状をなしている。弾性片73は、係止凸部74を有している。係止凸部74は、例えば、弾性片73の先端部に設けられている。弾性片73は、係止凸部74が軸部41の軸方向に沿った方向に変位するように撓むことが可能とされている。
【0058】
第2ハウジング31が非嵌合状態であり、かつ、回動被覆部材15Aが退避位置P1にある状態において、弾性片73の係止凸部74は第1係止部72内に入り込んでいる。これにより、軸部41の周方向において、係止凸部74が第1係止部72に引っ掛かるため、回動被覆部材15Aの正回動方向R1および逆回動方向への回動が規制される。
【0059】
図9に示すように、第1ハウジング21は、係止凸部74の第1係止部72への引っ掛かりを解除するための解除部75を有している。解除部75は、第1ハウジング21から嵌合方向D1に沿った方向に突出する形状をなしている。第2ハウジング31を第1ハウジング21に嵌合方向D1に沿って組み付けると、解除部75は、第2ハウジング31の裏面側から第1係止部72に挿入される。そして、第2ハウジング31の嵌合状態では、解除部75が弾性片73の係止凸部74に接触することで、弾性片73が撓んで係止凸部74の第1係止部72への引っ掛かりが外れる。すなわち、第2ハウジング31が嵌合状態であるとき、係止凸部74および第1係止部72を含む第1規制部50Aは、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を許容する。
【0060】
図9および
図10に示すように、第2ハウジング31は、第2係止部76を有している。第2係止部76は、例えば、第2ハウジング31の上面に凹設された貫通孔または凹部である。第2係止部76と第1係止部72とは、支持孔71の軸線を中心とする同一円上に設けられている。回動被覆部材15Aが被覆位置P2にあるとき、弾性片73の係止凸部74は、第2係止部76の内側に入り込む。これにより、係止凸部74が軸部41の周方向において第2係止部76に引っ掛かる。そして、係止凸部74が第2係止部76に引っ掛かることにより、被覆位置P2にある回動被覆部材15Aの回動が規制される。
【0061】
(第2規制部60A)
規制構造16Aが有する第2規制部60Aは、第2コネクタ12が半嵌合状態にあるときに被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を規制する。
【0062】
図8および
図9に示すように、第2規制部60Aは、回動被覆部材15Aに一体に形成された突出部81を有している。突出部81は、回動被覆部材15Aの軸部41から径方向外側に突出している。突出部81は、弾性変形不能に構成されている。突出部81は、第1規制部50Aの弾性片73よりも剛性が高く構成されている。
【0063】
第2規制部60Aは、第2ハウジング31の半嵌合状態において、回動被覆部材15Aの突出部81が正回動方向R1に当接可能な当接部82を有している。当接部82は、例えば、第1ハウジング21に設けられている。第1ハウジング21は、第1ハウジング21から嵌合方向D1に沿った方向に延出する延出部83を有している。当接部82は、例えば、延出部83の先端部から当該延出部83に直交する方向に延びている。第2ハウジング31は、第1ハウジング21に対する第2ハウジング31の組み付け時に延出部83および当接部82が挿入される貫通孔84を有している。
【0064】
第2ハウジング31の半嵌合状態では、嵌合方向D1に沿った方向における当接部82の相対位置が、回動被覆部材15Aの突出部81に干渉する位置にある。したがって、第2ハウジング31の半嵌合状態において、回動被覆部材15Aを退避位置P1から被覆位置P2に向けて正回動方向R1に回動させたときに、回動被覆部材15Aの突出部81が当接部82に当接する。このように、第2規制部60Aは、第2コネクタ12の半嵌合状態において、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を規制する。
【0065】
第2ハウジング31が第1ハウジング21に対して嵌合状態とされると、嵌合方向D1に沿った方向における当接部82の相対位置が、回動被覆部材15Aの突出部81と干渉しない位置に移動する。したがって、第2規制部60Aは、第2ハウジング31の嵌合状態において、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を許容する。
【0066】
第2実施形態の作用について説明する。
第2コネクタ12が第1コネクタ11に取り付けられていない状態では、第1規制部50Aによって、回動被覆部材15Aにおける正回動方向R1および逆回動方向の回動が規制されている。
【0067】
第1コネクタ11と第2コネクタ12との接続の際には、まず、前記車載機器のハウジングに取り付けられた第1ハウジング21に対して、第2ハウジング31を嵌合方向D1に組み付ける。その後、ボルト13を嵌合方向D1において適正な位置まで締結することで、第1ハウジング21に対して第2ハウジング31が嵌合状態とされる。このとき、ボルト13が前記適正な位置まで締結されないと、第2ハウジング31が半嵌合状態となる。
【0068】
第2ハウジング31の半嵌合状態では、第1規制部50Aおよび第2規制部60Aの双方によって、回動被覆部材15Aの正回動方向R1の回動が規制される。したがって、第2ハウジング31が半嵌合状態にあるときに、回動被覆部材15Aを退避位置P1から被覆位置P2に回動させようとしても、第1規制部50Aおよび第2規制部60Aの各々によって回動被覆部材15Aが回動できないようになっている。
【0069】
第1コネクタ11に対する第2コネクタ12の接続時において、ボルト13が前記適正な位置まで十分に締結されると、第2ハウジング31が第1ハウジング21に対して嵌合状態とされる。すると、前述したように、第1規制部50Aおよび第2規制部60Aの各々における回動規制が解除されるため、回動被覆部材15Aを退避位置P1から被覆位置P2に回動させることが可能となる。この状態では、ボルト13は嵌合方向D1において適正な位置まで締結されているため、回動被覆部材15Aを被覆位置P2まで回動させたときに、回動被覆部材15Aの被覆部42がボルト13の頭部14に干渉することがない。
【0070】
以上のように、回動被覆部材15Aが被覆位置P2まで回動されたとき、第2コネクタ12がボルト13の締結により第1コネクタ11に対して正しく嵌合されていることを保証できるようになっている。
【0071】
また、回動被覆部材15Aが退避位置P1から被覆位置P2まで回動されると、回動被覆部材15Aの弾性片73が弾性復帰することで、弾性片73の係止凸部74が第2ハウジング31の第2係止部76に入り込む。これにより、回動被覆部材15Aが被覆位置P2にある状態では、弾性片73の係止凸部74が第2係止部76に対して軸部41の周方向に係合することで、回動被覆部材15Aの正回動方向R1および逆回動方向への回動が規制される。
【0072】
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)規制構造16Aは、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して非嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を規制する。また、規制構造16Aは、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して嵌合状態にあるとき、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を許容する。この構成によれば、ボルト13が適正な位置まで締結されていないにも関わらず、回動被覆部材15Aを被覆位置P2まで無理矢理に回動させることが難しくなる。つまり、回動被覆部材15Aが被覆位置P2まで回動することが、第2コネクタ12がボルト13の締結により第1コネクタ11に対して正しく嵌合されていることを保証する。したがって、第1コネクタ11と第2コネクタ12との接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0073】
(2-2)上記第2実施形態では、回動被覆部材15Aが設けられた第2ハウジング31が特定ハウジングであり、第1ハウジング21が相手ハウジングである。規制構造16Aは、特定ハウジングとしての第2ハウジング31に設けられた第1係止部72と、回動被覆部材15Aに設けられた弾性片73とを有する第1規制部50Aを備える。第2コネクタ12の非嵌合状態では、退避位置P1にある回動被覆部材15Aの弾性片73が第1係止部72に引っ掛かることで、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動が規制される。そして、第2コネクタ12の嵌合状態では、弾性片73が第2ハウジング31に設けられた解除部75との接触により変位して、第1係止部72に対する弾性片73の引っ掛かりが外れることで、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動が許容される。この構成によれば、第2コネクタ12の非嵌合状態では、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を第1規制部50Aによって規制し、第2コネクタ12の嵌合状態では、被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を許容することが可能となる。
【0074】
(2-3)特定ハウジングとしての第2ハウジング31は、回動被覆部材15Aが被覆位置P2にあるときに弾性片73が引っ掛かる第2係止部76を有している。この構成によれば、回動被覆部材15Aの弾性片73が第2係止部76に引っ掛かることにより、被覆位置P2にある回動被覆部材15Aの回動を規制することが可能となる。これにより、被覆位置P2にある回動被覆部材15Aが退避位置P1に戻ることを抑制することが可能となる。
【0075】
(2-4)規制構造16Aは、第2コネクタ12が第1コネクタ11に対して半嵌合状態にあるときに被覆位置P2に向かう回動被覆部材15Aの回動を規制する第2規制部60Aを、第1規制部50Aとは別に備える。この構成によれば、第1規制部50Aおよび第2規制部60Aの双方によって回動被覆部材15Aの回動をより確実に規制することが可能となる。
【0076】
(2-5)第2規制部60Aは、回動被覆部材15Aの軸部41から径方向外側に突出し、弾性変形不能とされた突出部81を有している。突出部81は、第2コネクタ12の半嵌合状態において、第1ハウジング21に設けられた当接部82に対し、回動被覆部材15Aの被覆位置P2に向かう回動方向に当接可能に構成される。この構成によれば、弾性変形不能とされた突出部81を含む第2規制部60Aは、弾性片73を含む第1規制部50Aに比べて、回動被覆部材15Aの回動をより強固に規制することが可能である。したがって、第2規制部60Aによって、回動被覆部材15Aの回動をより確実に規制することが可能となる。
【0077】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
・第1実施形態では、第2ハウジング31が半嵌合状態のときに回動被覆部材15の突出部61が正回動方向R1に当接可能な当接部62を第1ハウジング21に設けているが、これに特に限定されるものではない。例えば、第1ハウジング21において当接部62を含む規制片63を省略するとともに、第2ハウジング31が半嵌合状態のときに回動被覆部材15の突出部61が正回動方向R1に当接可能な当接部を、第2ハウジング31に設けてもよい。
【0079】
・上記第1実施形態における規制構造16において、第1規制部50および第2規制部60のいずれか一方を省略してもよい。また、上記第2実施形態における規制構造16Aにおいて、第1規制部50Aおよび第2規制部60Aのいずれか一方を省略してもよい。
【0080】
・上記各実施形態におけるコネクタ装置10,10Aを、車両用以外のコネクタ装置に適用してもよい。
・今回開示された各実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10,10A コネクタ装置
11 第1コネクタ
12 第2コネクタ
13 ボルト
14 頭部
15,15A 回動被覆部材
16,16A 規制構造
21 第1ハウジング
22 挿入部
23 ボルト挿入孔
24 取付部
25 支持孔
26 第2係止部
31 第2ハウジング
32 被挿入部
33 電線
34 ボルト取付部
41 軸部
42 被覆部
42a 規制壁部
43 係止片
50,50A 第1規制部
51 第1係止部
52 弾性片
53 係止凸部
54 解除部
55 押圧部
60,60A 第2規制部
61 突出部
62 当接部
63 規制片
64 傾斜面
71 支持孔
72 第1係止部
73 弾性片
74 係止凸部
75 解除部
76 第2係止部
81 突出部
82 当接部
83 延出部
84 貫通孔
D1 嵌合方向
P1 退避位置
P2 被覆位置
R1 正回動方向