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特開2024-135057スクリーンユニット、除塵装置及び除塵装置の設置方法
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  • 特開-スクリーンユニット、除塵装置及び除塵装置の設置方法 図1
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  • 特開-スクリーンユニット、除塵装置及び除塵装置の設置方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135057
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】スクリーンユニット、除塵装置及び除塵装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E02B5/08 101Z
E02B5/08 101C
E02B5/08 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045561
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】591073337
【氏名又は名称】株式会社丸島アクアシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】半田 英明
(72)【発明者】
【氏名】矢延 孝也
(72)【発明者】
【氏名】文元 勝仙
(57)【要約】
【課題】より少ない労力でかつ短時間で除塵装置を設置できるようにする。
【解決手段】除塵装置はスクリーンユニットSUを含む。スクリーンユニットSUは、水路W上方の基礎50に固定される基礎部材30と、各々基礎部材30に接合されて上下方向に延在する一対の側板32と、各々一対の側板32に接合されて上下方向に所定間隔で配置される複数の桁部材34と、一対の側板32の間に配置されて各桁部材34に接合されたスクリーン1と、スクリーン1の上方に連続するように配置されて基礎部材30に接合されたエプロン7とを備えるとともに、基礎部材30、側板32、桁部材34、スクリーン1及びエプロン7が吊り上げ可能となるように一体に接合されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に所定の傾斜角度で配置されるスクリーンと、
当該スクリーンに補足された塵芥を掻き上げるレーキと、
前記スクリーンの上方に配置されて、前記レーキにより掻き上げられる塵芥を案内するエプロンと、を備えた除塵装置を構成するためのユニット部材であって、
前記水路上方の基礎に固定されることが可能な固定部を備えた金属製の基礎部材と、
所定間隔を隔てて水平方向に対面し、かつ各々前記基礎部材に接合されて上下方向に延在する、金属製の一対の側板と、
各々前記一対の側板の並び方向に延在して両端が当該側板に接合され、かつ上下方向に所定間隔で配置された金属製の複数の桁部材と、
前記一対の側板の間に配置されて、少なくとも前記複数の桁部材に接合された前記スクリーンと、
前記スクリーンの上方に連続するように配置されて前記基礎部材に接合された前記エプロンと、を備え、
前記基礎部材、前記一対の側板、前記複数の桁部材、前記スクリーン及び前記エプロンは、前記基礎部材を介して吊り上げ可能となるように一体に接合され、
前記スクリーンは、前記固定部を介して前記基礎に前記基礎部材が固定された状態において前記傾斜角度で前記水路内に配置されるように設けられている、ことを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーンユニットにおいて、
前記固定部を第1固定部と定義したときに、
前記基礎部材には、前記スクリーンに沿って前記レーキを移動させるための駆動機構部を支持する架台を固定することが可能な第2固定部が設けられている、ことを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスクリーンユニットにおいて、
前記一対の側板の下端部には、前記水路の底面に接地するとともに、高さ調整が可能な脚部が備えられている、ことを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項4】
除塵装置の設置方法であって、
請求項1に記載のスクリーンユニットを準備する準備工程と、
前記スクリーンユニットを吊り上げて水路上に搬送し、当該水路内に前記スクリーンを介在させた状態で、水路上方の基礎に前記基礎部材を固定するユニット固定工程と、
前記スクリーンに沿って前記レーキを移動させるための駆動機構部を支持する架台を前記水路上方に設置する架台設置工程と、
前記架台に、前記レーキ及び前記駆動機構部を組み付ける機構部組付工程と、を含むことを特徴とする除塵装置の設置方法。
【請求項5】
請求項4に記載の除塵装置の設置方法において、
前記架台設置工程では、前記架台を前記基礎部材に固定する、ことを特徴とする除塵装置の設置方法。
【請求項6】
請求項1に記載のスクリーンユニットと、
前記スクリーンユニットの前記基礎部材に固定される架台と、
前記架台に組み付けられ、前記レーキ及び当該レーキを前記スクリーンに沿って移動させる駆動機構部と、を備えることを特徴とする除塵装置。
【請求項7】
請求項6に記載の除塵装置において、
前記駆動機構部は、前記レーキを前記スクリーンに沿って上下方向に往復移動させる昇降機構部と、前記水路の水流方向に前記レーキを揺動させる揺動機構部と、を含むことを特徴とする除塵装置。
【請求項8】
請求項6に記載の除塵装置において、
前記スクリーンユニットの各側板と前記水路の側面との間、及び/又は、水路底面と前記スクリーンとの間に防塵シールが設けられている、ことを特徴とする除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに捕捉された塵芥をレーキによって掻き上げて除去する除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水路等に設置されたスクリーンで流水中の塵芥を補足し、レーキによりスクリーンに沿って塵芥を掻き上げて除去する除塵装置が周知である。この種の除塵装置の設置は、レーキを案内するためのガイドフレームを水路の両側壁(コンクリート壁)に埋め込み、こらガイドフレームの間にレーキ及びその駆動機構等を据え付ける。そのため、水路を堰き止めての大掛かりな土木作業が必要で、工期が長くなる傾向があった。
【0003】
このような事情に鑑み、出願人は、特許文献1に開示されるような除塵装置を考案している。この除塵装置は、水路の両側壁に予めボルトで固定された固定ガイドに沿って、複数の分割ブロック(ガイドフレーム、スクリーン及び受桁を分割したパーツ)を順次水路内に送り込みながら、当該固定ガイド(又は側壁)に固定することにより構成される。この除塵装置によれば、設置作業は、水路側壁に固定ガイドを固定する作業と、分割ブロックを固定ガイド(又は側壁)に対してボルトで固定する作業となるため、水路を堰き止めての大掛かりな土木作業が不要で、工期の短縮が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3046928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来の除塵装置では、水路側壁への固定ガイドの固定作業や当該固定ガイド(又は側壁)への分割ブロックの固定作業に加え、当該固定のためのはつり作業や溶接を水路内で行う必要があり、多くの労力を要する。
【0006】
また、複数の分割ブロックによってガイドフレーム、スクリーン及び受桁が構成されるため、パーツ同士の位置や角度の調整等、精度確保に多くの時間を要する。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、より少ない労力で、かつ短時間で除塵装置を設置することを可能となるスクリーンユニット、除塵装置及び除塵装置の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一局面に係るスクリーンユニットは、水路に所定の傾斜角度で配置されるスクリーンと、当該スクリーンに補足された塵芥を掻き上げるレーキと、前記スクリーンの上方に配置されて、前記レーキにより掻き上げられる塵芥を案内するエプロンと、を備えた除塵装置を構成するためのユニット部材であって、前記水路上方の基礎に固定されることが可能な固定部を備えた金属製の基礎部材と、所定間隔を隔てて水平方向に対面し、かつ各々前記基礎部材に接合されて上下方向に延在する、金属製の一対の側板と、各々前記一対の側板の並び方向に延在して両端が当該側板に接合され、かつ上下方向に所定間隔で配置された金属製の複数の桁部材と、前記一対の側板の間に配置されて、少なくとも前記複数の桁部材に接合された前記スクリーンと、前記スクリーンの上方に連続するように配置されて前記基礎部材に接合された前記エプロンと、を備え、前記基礎部材、前記一対の側板、前記複数の桁部材、前記スクリーン及び前記エプロンは、前記基礎部材を介して吊り上げ可能となるように一体に接合され、前記スクリーンは、前記固定部を介して前記基礎に前記基礎部材が固定された状態において前記傾斜角度で前記水路内に配置されるように設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
このスクリーンユニットを用いれば、次のような本発明の設置方法により除塵装置を水路に設置することが可能となる。すなわち、本発明の一局面に係る除塵装置の設置方法は、上述のスクリーンユニットを準備する準備工程と、前記スクリーンユニットを吊り上げて水路上に搬送し、当該水路内に前記スクリーンを介在させた状態で、水路上方の基礎に前記基礎部材を固定するユニット固定工程と、前記スクリーンに沿って前記レーキを移動させるための駆動機構部を支持する架台を前記水路上方に設置する架台設置工程と、前記架台に、前記レーキ及び前記駆動機構部を組み付ける機構部組付工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
この方法によれば、クレーン等により上記スクリーンユニットを吊り上げて水路内に配置し、基礎部材をコンクリート等からなる水路上面基礎(躯体)に固定することで、従来のような水路内作業を殆ど行うこと無く、短時間で所定の傾斜角度で難なくスクリーン及びエプロンを設置できる。そのため、より少ない労力で、かつ短時間で除塵装置を設置することが可能となる。
【0011】
なお、上記スクリーンユニットにおいて、前記固定部を第1固定部と定義したときに、前記基礎部材には、前記スクリーンに沿って前記レーキを移動させるための駆動機構部を支持する架台を固定することが可能な第2固定部が設けられているのが好適である。すなわち、前記架台設置工程においては、前記架台を前記基礎部材に固定するのが好適である。
【0012】
この構成(設置方法)によれば、架台が基礎部材に固定されるので、架台を固定するための部材(アンカー等)を別途基礎に設ける必要が無くなる。
【0013】
また、上記スクリーンユニットにおいて、前記一対の側板の下端部には、前記水路の底面に接地するとともに、高さ調整が可能な脚部が備えられているのが好適である。
【0014】
この構成によれば、スクリーンユニットを水路底面に対してより安定的に設置することが可能となる。
【0015】
一方、本発明の一の局面に係る除塵装置は、上述したスクリーンユニットと、前記スクリーンユニットの前記基礎部材に固定される架台と、前記架台に組み付けられ、前記レーキ及び当該レーキを前記スクリーンに沿って移動させる駆動機構部と、を備えるものである。
【0016】
この除塵装置によれば、既述のような設置方法に基づき除塵装置を設置することが可能となる。そのため、従来の除塵装置に比べて少ない労力で、かつ短時間で除塵装置を設置することが可能となる。
【0017】
より具体的に、前記駆動機構部は、前記レーキを前記スクリーンに沿って上下方向に往復移動させる昇降機構部と、前記水路の水流方向に前記レーキを揺動させる揺動機構部と、を含む。
【0018】
この構成によると、水中におけるスクリーンに沿った位置に昇降機構部を固定的に設置することなく塵芥をスクリーンに沿って掻き上げることが可能となる。そのため、水中作業を伴うこと無く昇降機構部を設置することが可能となる。
【0019】
上記構成において、前記スクリーンユニットの各側板と前記水路の側面との間、及び/又は、水路底面と前記スクリーンとの間には防塵シールが設けられていてもよい。
【0020】
この構成によれば、スクリーンに対して水流をより確実に透過させることができるため、流水中の塵芥の捕捉性能が向上する。また、接地面積が大きくなるので、前記スクリーンユニットが水路底部にて安定的に接地される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した本発明によれば、より少ない労力で、かつ短時間で除塵装置を設置することを可能となり、精度が確保され高品質の製品供給が可能になる。また、簡単に修理、取り替えが可能である。加えて、水路内作業がほとんど無くなることで据え付け作業環境の改善につながる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る除塵装置の正面図である。
図2】除塵装置の側面図(一部断面図)である。
図3】除塵装置の動作説明図である。
図4】除塵装置のスクリーンユニットを示す正面図である。
図5】スクリーンユニットの断面図(図4のV-V線断面図)である。
図6】スクリーンユニットの要部を示す図である。
図7】除塵装置の設置方法を示す模式図である。
図8】スクリーンユニットのモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
[除塵装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る除塵装置の概略的な正面図であり、図2は、除塵装置の概略的な側面図(一部断面図)である。
【0025】
除塵装置は、水路Wの流水に含まれる塵芥(ゴミ類)を捕捉するスクリーン1と、スクリーン1に捕捉された塵芥を掻き上げるレーキ2と、レーキ2を駆動する駆動装置4と、掻き上げた塵芥をレーキ2から除去するスクレーパ6と、エプロン7と、廃棄エリア8とを備える。
【0026】
スクリーン1は、水路W内に配置されている。スクリーン1は、上下方向に延在する複数のプレート状のバー1aが水路幅方向に亘って一定間隔で並んだバースクリーンである(図1では便宜上、一部のバー1aは省略されている)。スクリーン1は、下端に対して上端が下流側に位置するように垂直面に対して所定角度だけ傾斜した姿勢で水路W内に配置されている。図1では、左が水路Wの上流側、右が下流側である。
【0027】
なお、以下の除塵装置の説明における方向関係については、水路Wの上流側を「前」、下流側を「後」、水の流れる方向を「前後方向」と称する。また、単に「幅方向」と言うときは、特に言及する場合を除き水路Wの幅方向と平行な方向である。
【0028】
スクリーン1の上方にエプロン7が配置されている。エプロン7は、レーキ2がスクリーン1に沿って掻き上げる塵芥を、スクレーパ6による掻き落とし高さ位置まで案内する金属製のプレート部材である。エプロン7は、スクリーン1と同じ傾斜角度で、当該スクリーン1の上端に連続的に配置されている。
【0029】
なお、この除塵装置のうち、スクリーン1及びエプロン7を含む一部の部材は1つのユニット化された構造物(スクリーンユニットSUと称する)で構成されている。このスクリーンユニットSUについては後に詳述する。
【0030】
エプロン7の上方にスクレーパ6が配置されている。スクレーパ6は、エプロン7に沿って掻き上げられた塵芥を、レーキ2から除去しつつエプロン後方の廃棄エリア8に掻き落とす、無動力の塵芥除去部材である。スクレーパ6は、後記装置架台10に揺動自在に支持されており、レーキ2が所定高さ位置まで上昇すると、後記レーキ本体20の上面に当接して塵芥を掻き落とす。
【0031】
エプロン7の前方には、上下方向に延在するガイド部材12が配置されている。ガイド部材12は、レーキ2を昇降可能に支持する支持部材である。水路Wの上方には、この水路Wを跨ぐように櫓状の装置架台10が固定されており、ガイド部材12は、この装置架台10に枢軸11を介して揺動可能に、具体的には前後方向(水流方向)に揺動可能に支持されている。
【0032】
レーキ2は、図1及び図2に示すように、幅方向に延在するプレート状のレーキ本体20と、上下方向に延在するレーキフレーム21とを含む。
【0033】
レーキフレーム21は、断面矩形(正方形)の筒状の軸部材であり、このレーキフレーム21の下端部にレーキ本体20が連結されている。詳しくは、レーキフレーム21の下端部の後面にレーキ本体20が固定されている(図2参照)。レーキ本体20は、その長手方向の中央部でレーキフレーム21に固定されており、この構成により、レーキ2は、全体として逆T字型の形状を呈している。
【0034】
レーキ2は、後述する昇降駆動機構5Lにより、レーキフレーム21を介して昇降駆動される。このような逆T字型のレーキ2によると、レーキ本体20の長手方向全体を使用可能であるため、図1に示すように、水路Wの略幅方向に亘って広く塵芥を掻き上げることができる。
【0035】
駆動装置4は、揺動駆動機構5Sと昇降駆動機構5Lとを含む。
【0036】
揺動駆動機構5Sは、ガイド部材12を揺動させる機構である。揺動駆動機構5Sは電動シリンダ19を含む。シリンダ19は、ガイド部材12に設けられたブラケットと装置架台10との間に介設されている。揺動駆動機構5Sは、このシリンダ19の伸縮により、枢軸11を支点としてガイド部材12を前後方向に揺動させる。このガイド部材12の揺動により、レーキ2が、スクリーン1に沿って当該スクリーン1に当接する姿勢(図2中に実線で示す姿勢)と、スクリーン1から前方に離れた姿勢(図2中の二点鎖線に示す姿勢)とに変位する。
【0037】
昇降駆動機構5Lは、ガイド部材12に対してレーキ2を昇降させる機構であり、以下のような構成を有している。
【0038】
ガイド部材12の内部には、長手方向(上下方向)に延在して楕円軌道で移動する無端状のチェーン16が備えられている。チェーン16は、上下一対のスプロケット15に亘って掛け渡されている。上側のスプロケット15は枢軸11の上方で、下側のスプロケット15は、ガイド部材12の下端部近傍の位置で、各々図外の枢軸を介してガイド部材12に回転自在に支持されている。
【0039】
上側のスプロケット15の枢軸はモータ14の出力軸に連結されている。このモータ14により枢軸を介して上側のスプロケット15が駆動されることにより、チェーン16が周方向に移動する。なお、モータ14は、ガイド部材12の側面に固定されている。
【0040】
レーキ2のレーキフレーム21には、その幅方向両側には、各々上下一対のガイドローラ22が備えられている。ガイドローラ22は、ガイド部材12の内側面に設けられた溝型のレーキガイド部13に挿入されている。このレーキガイド部13に沿ってガイドローラ22が案内されることにより、レーキ2がガイド部材12に沿って昇降(上下方向に移動)する。
【0041】
レーキフレーム21の上下のガイドローラ22の間にはブラケット23が設けられている。ブラケット23には、前方に向かって開口する切欠溝(図3(a)参照)が設けられている。この切欠溝は、チェーン16に設けられた連結ピン16aが挿抜可能に形成されており、連結ピン16aが当該切欠溝に挿入されると、ブラケット23を介してレーキ2がチェーン16に係合した状態となる。これにより、チェーン16と共にレーキ2が移動する。
【0042】
レーキ2は、水路Wの水底近傍に設定された第1高さ位置P1(図3(a)参照)、すなわち図1及び図2実線で示す位置では、チェーン16(連結ピン16a)に対してブラケット23が係合している。この第1高さ位置P1は、レーキ2の昇降ストロークの下端位置であり、換言すると、レーキ2の掻き上げ開始位置である。従って、図2においてチェーン16が反時計回りに移動すると、これに伴いレーキ2は第1高さ位置P1からスクリーン1に沿って上昇する。
【0043】
なお、以下の説明では、レーキ2を上昇させるチェーン16の回転方向(図2では反時計回り)を正方向、レーキ2を下降させるチェーン16の回転方向を逆方向という。
【0044】
連結ピン16aに対するブラケット23の係合状態は、チェーン16が上側のスプロケット15に沿って反転し始める位置で解除される。すなわち、チェーン16の反転移動に伴い切欠溝から連結ピン16aが離脱することで、ブラケット23とチェーン16との係合状態が解除される。
【0045】
チェーン16には、図2に示すように、係合金具25がさらに設けられている。係合金具25は、チェーン16の正方向の移動に伴い、レーキ2が、第1高さ位置P1よりも高い第2高さ位置P2(図3(b)参照)に到達したときにレーキ2に係合するように設けられている。すなわち、係合金具25は、チェーン16のうち、第2高さ位置P2と第1高さ位置P1との高低差だけ、ブラケット23の係合位置(すなわちブラケット23が係合する連結ピン16aの位置)から周方向にずれた位置に固定されている。第2高さ位置P2は、例えば、レーキ本体20がスクリーン1の上端に達する高さ位置である。
【0046】
係合金具25は側面視L字型の形状を有している(図3(a)参照)。係合金具25は、チェーン16と共に移動し、チェーン16が正方向に移動するのに伴いレーキフレーム21の下端部に係合する。このように係合金具25がレーキ2に係合することで、レーキ2がチェーン16と共に移動することが可能となる。
【0047】
[動作説明]
図3は、除塵装置の動作説明図であり、図3(a)は、レーキ2が第1高さ位置P1、すなわち掻き上げ開始位置に配置された状態を示している。
【0048】
図3(a)に示すように、第1高さ位置P1では、レーキ2はブラケット23を介してチェーン16(連結ピン16a)に係合している。よって、チェーン16がモータ14により正方向(図中の矢印方向)に回転駆動されると、この回転に伴いレーキ2がスクリーン1に沿って上昇する。
【0049】
第1高さ位置P1から第2高さ位置P2へレーキ2が上昇すると、図3(b)に示すように、係合金具25がレーキ2に係合する。第2高さ位置P2では、同図に示すように、レーキ2は、未だブラケット23を介してチェーン16に係合している。よって、レーキ2は、その上下二箇所がチェーン16に係合した状態で、チェーン16の移動に伴い上昇する。
【0050】
第2高さ位置P2から少しレーキ2が上昇し、ブラケット23に係合している連結ピン16aがチェーン16と共に上側のスプロケット15に沿って反転し始めると、当該連結ピン16aがブラケット23から離脱する。これによりチェーン16に対するレーキ2の係合状態が解除され、その後、レーキ2は、係合金具25のみを介してチェーン16に係合した状態で、図3(c)に示す第3高さ位置P3まで移動する。第3高さ位置P3は、レーキ2の昇降ストロークの上昇端位置であり、例えば、スクレーパ6によるレーキ2からの塵芥の掻き落としが完了する高さ位置である。
【0051】
第3高さ位置P3までレーキ2が上昇すると、モータ14が反転駆動され、チェーン16が逆方向に回転する。これにより、上昇時とは逆の動作で、レーキ2が第3高さ位置P3から第1高さ位置P1にリセットされる。この際、シリンダ19の作動により、レーキ2は、下降途中で一旦スクリーン1から前方へ離れた姿勢(図1の二点鎖線のレーキを参照)とされた後、第1高さ位置P1に到達するタイミングで、スクリーン1に当接する姿勢にリセットされる。
【0052】
なお、上述したレーキ2及びその駆動装置5は、以下に説明するスクリーンユニットSUと共に使用されるレーキ及び駆動機構部の一例である。
【0053】
[スクリーンユニットの構成]
除塵装置のうち、スクリーン1及びエプロン7を含む一部の部材は、既述の通り、1つのユニット化された構造物(スクリーンユニットSU)で構成されている。
【0054】
図4は、除塵装置のうち、スクリーンユニットSUのみを示す正面図であり、図5は、スクリーンユニットSUのみを示す断面図(図4のV-V線断面図)である。また、図6は、スクリーンユニットSUの幅方向両端部分を示す図で、(a)は、図5のVIa-Va線に沿った断面図で、(b)は図4の矢印VIb方向の平面図で各々スクリーンユニットSUの幅方向両端部分を示している。
【0055】
図4及び図5に示すように、スクリーンユニットSUは、基礎部材30、左右一対の側板32、複数の桁部材34、前記スクリーン1及び前記エプロン7等を含む。
【0056】
基礎部材30は、スクリーンユニットSUを水路Wの基礎(躯体)50に固定するためのベースとなる部材である。基礎部材30は鋼材で構成されており、当例では水路Wを挟んでその両側に各々配置される一対の単位鋼材31を含む。各単位鋼材31は、当例では前後方向に延在する溝形鋼であり、図4に示すように、水路Wを挟んで互いに外向きに開くように配置されている。
【0057】
単位鋼材31の下側(図4で下側)のフランジ31aには、複数の固定孔が長手方向に所定間隔で設けられている。単位鋼材31は、これら固定孔を用いてボルトナットで基礎50に固定されている。具体的には、図4図6(a)、(b)に示すように、基礎50に設けられたアンカーボルト51が固定孔に挿通され、当該アンカーボルト51にナット52が螺合されることにより、フランジ31aがボルトナット51,52を介して基礎50に締結されている。当例では、単位鋼材31の下側のフランジ31aが本発明の「第1固定部」に相当する。
【0058】
なお、基礎部材30は、一対の単位鋼材31同士が鋼材により連結された平面視H形や額縁型(ロ字型)の構造であってもよく、具体的な構造は、実施形態以外の構造であってもよい。
【0059】
一対の側板32は、上下方向に細長い概略長方形の鋼板からなり、水路Wの幅方向に間隔を隔てて対面している。図4に示すように、左側の側板32は、水路Wの左側の側面W2の近傍で、当該側面W2に沿って上下方向に延在するとともに、溶接等の接合手段により左側の単位鋼材31のリップ部31bに接合されている。また、右側の側板32は、水路Wの右側の側面W2に沿って上下方向に延在するとともに、溶接等の接合手段により右側の単位鋼材31のリップ部31bに接合されている。
【0060】
各側板32は、それらの対向面であってかつ前端縁部及び後端縁部に、互いに向か合わせに突出して上下方向に延在する補強用のリブ32aが形成されている。これにより各側板32の剛性が高められている。
【0061】
これら一対の側板32の間に、複数の桁部材34が配置されており、当例では3本の桁部材34が配置されている。各桁部材34は、幅方向に延在する鋼材からなり、当例ではH形鋼である。各桁部材34は、図4及び図5に示すように、フランジ部34aが前後に並ぶ姿勢で、上下方向に一定の間隔を隔てて両側板32の間に配置されている。
【0062】
図4に示すように、各桁部材34における左側の端部は、溶接等の接合手段により左側の側板32に一体に接合されており、右側の端部は、同接合手段により右側の側板32に一体に接合されている。図5に示すように、各桁部材34は、各々のフランジ面が、鉛直面に対してスクリーン1と同一角度で傾斜し、かつ一直線上に並ぶように前後方向にオフセットされている。
【0063】
そして、これら桁部材34の前側のフランジ面に沿って複数の前記バー1aが幅方向に一定間隔で配置されるとともに、各々、ボルトナット等の接合手段により各桁部材34に一体に接合されている。これにより前記スクリーン1が構成されている。
【0064】
エプロン7は、ステンレス鋼板等で構成されている。図4及び図5に示すように、エプロン7は、スクリーン1の前面と面一の面を有しかつ当該スクリーン1の上端から上方に延びる前側ガイド面部7aと、この前側ガイド面部7aの上端から後方かつ下方に延びる後側ガイド面部7bとを備えた、側面視で上側に凸の三角形状を有している。
【0065】
前側ガイド面部7aは、既述のように、スクリーン1に沿ってレーキ2が掻き上げる塵芥を、スクレーパ6による掻き落とし高さ位置まで案内する部分であり、後側ガイド面部7bは、スクレーパ6によりレーキ2から掻き落とされる塵芥を廃棄エリア8に案内する部分である。
【0066】
エプロン7は、基礎部材30の前記一対の単位鋼材31の間に配置されるとともに、溶接等の接合手段により当該単位鋼材31に一体に接合されている。
【0067】
図5に示すように、前記一対の側板32は、前後の端部がスクリーン1と平行に延びるように形成されているが、それらの下端部分の前後方向の寸法は、当該下端部分より上方部分に比して大きく形成されている。詳しくは、側板32の前端を基準として後方に延びるように形成されている。各側板32の当該下端部分は、スクリーンユニットSUが水路Wの底面W1に対して接地する部分(以下、脚部36と称す)であり、このように前後方向の寸法が大きく形成されていることにより、スクリーンユニットSUの設置安定性が高められている。
【0068】
各脚部36には、高さ調整用の複数のジャッキボルト38が備えらえている。当例では、前後方向に所定間隔を隔てて2つのジャッキボルト38が備えられている。これらジャッキボルト38の調整により左右の脚部36の高さや、各脚部36における前後の高さが調整される。これによりスクリーンユニットSUを底面W1に対してより安定的に設置することが可能となっている。
【0069】
なお、基礎部材30、側板32、桁部材34、スクリーン1(バー1a)及びエプロン7は、既述の通りこれらが一体に接合されており、これによりスクリーンユニットSUは、基礎部材30を介してクレーン等で吊り上げることが可能に構成されている。
【0070】
[除塵装置の設置方法]
次に、上述した除塵装置を水路Wに設置する方法(据え付け方法)について図7を用いて説明する。図7は、除塵装置の設置方法を時系列的に示した模式図である。
【0071】
まず、基礎工事により、水路Wの上方に除塵装置を設置するためのコンクリート製の基礎(躯体)50を構築した後、スクリーンユニットSUを準備する(準備工程)。スクリーンユニットSUは、予め工場で組立てて車両で搬送することができる。工場での組立てにより、スクリーン1及びエプロン7の角度や、スクリーン1を構成する各バー1aの間隔や角度等、スクリーンユニットSUの各部を事前に精度良く構成しておくことができる。
【0072】
次に、図7(a)に示すように、準備したスクリーンユニットSUをクレーン等で吊り上げ、水路W内に降ろして固定する。すなわち、スクリーン1を水路W内に介在させた状態で、基礎部材30を基礎50上にセットし、既述の通りボルトナット51、52により基礎部材30を基礎50に固定する(ユニット固定工程)。この際、ジャッキボルト38の操作により脚部36の高さを調整することができる。
【0073】
次に、装置架台10を準備し、図7(b)に示すように、当該装置架台10を吊り上げて基礎50又は基礎部材30上に降ろし、装置架台10を基礎50又は基礎部材30に固定する(架台設置工程)。この場合、装置架台10は基礎部材30に固定するのが望ましい。例えば、単位鋼材31の上側(図4で上側)のフランジ31a(本発明の「第2固定部」に相当する)に対して装置架台10をボルトナットで締結することにより、基礎部材30に対して装置架台10を固定することができる。この構成によれば、装置架台10を固定するためのアンカーボルト等の専用部材を基礎50に別途設ける必要が無いため、基礎工事の工期短縮や工事費用のコスト抑制に寄与する。
【0074】
装置架台10の固定が完了した後、図7(c)に示すように、レーキ2、駆動装置4及びスクレーパ6を準備し、これらを順次装置架台10に組み付ける(機構部組付工程)。これにより水路Wへの除塵装置の設置が完了する。この場合、同図に示すように、駆動装置4及びレーキ2を予めガイド部材12に組付けた状態で、当該組立体をクレーン等により吊り上げて装置架台10に組み付けるようにしてもよい。
【0075】
なお、必要に応じて、スクリーンユニットSUの各側板32と水路Wの側面W2との間や、スクリーン1の下端と水路Wの底面W1との間をゴム製若しくは樹脂製の防塵シールによりシールするようにしてもよい。この構成によれば、スクリーン1に対して流水を確実に透過させることが可能となるため、流水中の塵芥をより確実に捕捉し除去することが可能となる。また、水路底面W1の接地面積が広がり安定する。
【0076】
[作用効果]
以上のように、上記除塵装置はスクリーンユニットSUを含む。このスクリーンユニットSUは、既述の通り、水路W上方の基礎50に固定される基礎部材30と、各々基礎部材30に接合されて上下方向に延在する一対の側板32と、各々前記一対の側板32に接合されて上下方向に所定間隔で配置された複数の桁部材34と、前記一対の側板32の間に配置されて各桁部材34に接合されたスクリーン1と、スクリーン1の上方に連続するように配置されて基礎部材30に接合されたエプロン7とを備えるとともに、基礎部材30、側板32、桁部材34、スクリーン1及びエプロン7が吊り上げ可能となるように一体に接合されている。
【0077】
この構成により、水路Wへの設置の際には、既述のようにスクリーンユニットSUを吊り上げて水路Wに配置し、基礎部材30を基礎50に固定するだけで、従来のような水中作業を殆ど行うこと無く、所定の傾斜角度で適切にスクリーン1及びエプロン7を設置することが可能となっている。従って、水中で多くの作業が必要となる従来の除塵装置に比べると、少ない労力で、かつ短時間で除塵装置を水路Wに設置することが可能となる。
【0078】
例えば、下水道などの特定の水路Wでは、安全面等の理由から水中での作業時間に制約が課せられている場合がある。このような場合には、除塵装置の設置に日数を要する結果、工事開始から実際に稼働するまでに時間を要することが考えられるが、上記の除塵装置によれば、短時間で除塵装置を設置可能なため、より速やかに除塵装置を稼働することが可能となる。
【0079】
特に、スクリーンユニットSUを工場で組み立てる場合には、スクリーン1及びエプロン7の角度や、スクリーン1を構成する各バー1aの間隔や角度等、スクリーンユニットSUの各部を事前に精度良く調整しておくことができる。すなわち、スクリーン1とエプロン7との連続状態や、スクリーン1を構成する各バー1aの間隔や角度等は、レーキ2の円滑な掻上げ動作に影響するため入念な調整が求められるため設置に時間を要する。しかし、上記の除塵装置によれば、これらの調整作業を工場で事前に行うことができるため、その分、設置作業に要する時間を短縮することが可能となるばかりか、高精度・高品質な製品提供が可能になる。
【0080】
また、メンテナンスの際には、図7に示した手順と逆の手順で除塵装置を分解し、スクリーンユニットSUを吊り上げた状態で、若しくは陸上に下ろした状態で、再塗装などのメンテナンスを行うことが可能となる。そのため、水路Wを堰き止めることなく、メンテナンスを速やかに行うことが可能となる。
【0081】
なお、上記スクリーンユニットSUは、脚部36を水路Wの底面W1に接地させた状態で基礎50に基礎部材30が固定されることで水路Wに設置されており、それ以外は基本的に水路W内のどこにも固定されていない。この場合にスクリーンユニットSUに働く力関係について以下に説明する。
【0082】
図8は、スクリーンユニットSUのモデル図であり、図中の寸法値は以下の通りである。図中の符号100は、基礎部材30の部分を示し、符号101は、スクリーン1、エプロン7、側板32及び桁部材34の部分を示している。
【0083】
D;水路高D、
W;スクリーンユニットSUの重量、
H;水路底からスクリーンユニットSUの重心位置までの距離
d;上流側の水深
;下流側の水深
θ;スクリーン1の垂直面に対する傾き角度
P;スクリーンユニットSUに作用する水圧荷重
D、W、H、d、d0、θは設計値、Pは設計値から得られる計算値であり、
P=ρg{d-(d}/2cosθ
である。ここに、ρ:水の密度、g:重量加速度である。
【0084】
なお、A点は基礎部材30とスクリーン1との接合位置を示し、B点は水路Wの底面W1に対するスクリーン1の接地位置を示す。また、LはA点~B点の距離、LはA点から水圧荷重Pが掛かる位置までの距離、U1はA点からスクリーンユニットSUの重心位置Gまでの距離、U2はB点からスクリーンユニットSUの重心位置Gまでの距離であり、各々次式で表される。
【0085】
L=L=D/cosθ
=(D/cosθ)-{d+(d/(d+d)}/3cosθ
U1=(D-H)/cosθ
U2=H/cosθ
ここで、スクリーンユニットSUの上下方向の拘束力をQv、水平方向(横滑り力)の拘束力をQh、底面W1からの反力をRv、底面の摩擦力をRhとしてこれらの関係を求める。
【0086】
ここで、A点回りのモーメントのつり合いを考える。
【0087】
まず、図8において、反時計回りのモーメントは、P×L+W×Usinθで表され、時計回りのモーメントは、Rv×Lsinθ+Rh×Lcosθで表される。モーメントの釣り合いから、これらのモーメントは等しいので、
P×L+W×Usinθ=Rv×Lsinθ+Rh×LCosθ……(1)
である。ここで、Rhは底面W1の摩擦力であるから、Rh=μRv(μ:摩擦係数)を式(1)に代入して次式を得る。
【0088】
P×L+W×Usinθ=Rv×Lsinθ+μRv×Lcosθ……(2)
従って、この式(2)より、Rvは以下の通りである。
【0089】
Rv=(P×L+W×Usinθ)/{L(sinθ+μcosθ)}…(3)
また、他の力は以下の通りそれぞれの力の釣り合いから求めることができる。すなわちQvは、上下方向の釣り合いからQv=Rv-W-Psinθで表される。
従って、式(3)より、Qvは以下の通りである。
【0090】
Qv=(P×L+W×Usinθ)/{L(sinθ+μcosθ)}-W-Psinθ……(4)
また、摩擦力Rhは、下記式で表される。
【0091】
Rh=μ(P×L+W×Usinθ)/{L(sinθ+μcosθ)}…(5)
また、同様に、水平方向の力の釣り合いから、Qh=Pcosθ-μRvで表される。従って、式(5)より、Qhは以下の通りである。
【0092】
Qh=Pcosθ-μ(P×L+W×Usinθ)/{L(sinθ+μcosθ)}……(6)
つまり、上記スクリーンユニットSUは、上記式(4),(6)で求められるQv、Qhを充たすように基礎部材30が基礎50に拘束されることにより、当該基礎部材30以外の場所を水路Wの側面W2や水路底W1に固定すること無く、水路内作業をほとんど必要とせず、安定的に水路W内に設置することができると言える。、本願発明者らは、当該知見に基づき本願発明をするに至った。すなわち、既述のスクリーンユニットSUは、上記計算式から得られた支持力に耐え得るように基礎部材30と基礎50(躯体)とが連結されることにより基礎50上のみで支持できる構造となっている。
【0093】
なお、以上説明したスクリーンユニットSU、除塵装置及び除塵装置の設置方法は、本発明に係るスクリーンユニット、除塵装置及び除塵装置の設置方法の好ましい例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。特に、上述したレーキ2及びその駆動装置5は、本発明に係るレーキ及び駆動機構部の一例である。レーキ及び駆動機構部は、スクリーン1に沿ってレーキが上昇することにより塵芥を掻き上げるものであれば、上実施形態とは異なる構成のレーキ及び駆動機構部を適用することも可能である。例えば、レーキ及び駆動機構部として、レーキを無端状のチェーンと共に周回移動させながらスクリーンに沿って上昇させるロータリ式レーキを適用してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 スクリーン
2 レーキ
4 駆動装置
5L 昇降駆動機構
5S 揺動駆動機構
7 エプロン
10 装置架台(架台)
12 ガイド部材
20 レーキ本体
21 レーキフレーム
30 基礎部材
31 単位鋼材
32 側板
34 桁部材
36 脚部
50 基礎
SU スクリーンユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8