(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135059
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H02K1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045566
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】日下部 徹
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD31
5H601DD47
5H601EE12
5H601GA02
5H601GA37
5H601GA40
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GC12
5H601JJ04
5H601KK13
5H601KK14
5H601KK17
(57)【要約】
【課題】温度変化によって締め代が減少することを抑制できる回転電機を提供すること。
【解決手段】回転電機は、第1溝15と第2溝24とからなる凹部26を複数備えるとともに、複数の凹部26の各々に圧入されている金属製の固定部材50を備える。固定部材50は、第1凹部26Aに圧入される第1固定部材51と、第1凹部26Aとは異なる第2凹部26Bに圧入される第2固定部材52と、を備えている。第1固定部材51は、ハウジング11の材料及びステータコア21の材料のうち、線膨張係数の大きい方の材料の線膨張係数以上の線膨張係数を有する材料によって形成されている。第2固定部材52は、ハウジング11の材料及びステータコア21の材料のうち、線膨張係数の小さい方の材料の線膨張係数以下の線膨張係数を有する材料によって形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のハウジング材料からなる筒状のハウジングと、
前記ハウジング材料と異なる金属のステータコア材料からなる筒状であって、当該ハウジングの内部に固定されているステータコアと、を備える回転電機であって、
前記ハウジングの内周面から外周面に向けて凹む第1溝と、前記ステータコアの外周面から内周面に向けて凹む第2溝とからなる凹部を複数備えるとともに、複数の前記凹部の各々に圧入されている金属製の固定部材を備え、
前記固定部材は、複数の前記凹部のうち第1凹部に圧入される第1固定部材と、前記第1凹部とは異なる第2凹部に圧入される第2固定部材と、を備えており、
前記第1固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の大きい方の材料の線膨張係数以上の線膨張係数を有する金属材料で形成され、
かつ前記第2固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の小さい方の材料の線膨張係数以下の線膨張係数を有する金属材料で形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記第1固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の大きい方の材料の線膨張係数と等しい線膨張係数を有する金属材料で形成され、
前記第2固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の小さい方の材料の線膨張係数と等しい線膨張係数を有する金属材料で形成されている請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、筒状のハウジングと、ハウジングに固定されたステータと、ステータの内側に配置されたロータと、を備える。ステータは、ステータコアと、コイルと、を備える。コイルは、ステータコアに巻線を巻き付けて形成されている。
【0003】
ハウジングとステータとは、固定部材によって固定されている。ハウジングとステータコアとの固定は、温度変化に伴う固定部材の体積変化を利用して行われる。
例えば、特許文献1に開示されているように、ハウジングとステータコアとの間に挿入された2本の固定部材の各々は、常温状態よりも体積が縮小された状態でハウジングとステータコアとの間に挿入されている。冷却状態から常温状態に戻ることによる固定部材の体積の増大によって、固定部材に締め代が形成される結果、ステータコアとハウジングとが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、回転電機の使用時、固定部材の温度が低下して固定部材が熱収縮した場合、固定部材の締め代が減少する虞がある。また、回転電機の使用時、例えば、ハウジングの温度が上昇してハウジングが熱膨張すると、固定部材の締め代が減少する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための回転電機は、金属のハウジング材料からなる筒状のハウジングと、前記ハウジング材料と異なる金属のステータコア材料からなる筒状であって、当該ハウジングの内部に固定されているステータコアと、を備える回転電機であって、前記ハウジングの内周面から外周面に向けて凹む第1溝と、前記ステータコアの外周面から内周面に向けて凹む第2溝とからなる凹部を複数備えるとともに、複数の前記凹部の各々に圧入されている金属製の固定部材を備え、前記固定部材は、複数の前記凹部のうち第1凹部に圧入される第1固定部材と、前記第1凹部とは異なる第2凹部に圧入される第2固定部材と、を備えており、前記第1固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の大きい方の材料の線膨張係数以上の線膨張係数を有する金属材料で形成され、かつ前記第2固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の小さい方の材料の線膨張係数以下の線膨張係数を有する金属材料で形成されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、第1凹部への第1固定部材の圧入、及び第2凹部への第2固定部材の圧入により、常温時、第1固定部材及び第2固定部材の各々は締め代を維持できる。
低温時にハウジング及びステータコアが熱収縮したとき、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の大きい方は、第1固定部材と同様に熱収縮するため、第1固定部材は締め代を維持できる。また、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の小さい方は、第2固定部材と同様に熱収縮するため、第2固定部材は締め代を維持できる。さらに、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の大きい方は、第2固定部材に比べて熱収縮量が大きいため、第2固定部材の締め代は増大する。したがって、低温時であっても、第1固定部材及び第2固定部材は、締め代を維持できるため、ハウジングとステータコアとを固定できる。
【0008】
高温時にハウジング及びステータコアが熱膨張したとき、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の大きい方は、第1固定部材と同様に熱膨張するため、第1固定部材は締め代を維持できる。このとき、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の小さい方は、第1固定部材に比べて熱膨張量が小さいため、第1固定部材の締め代は増大する。また、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の小さい方は、第2固定部材と同様に熱膨張するため、第2固定部材は締め代を維持できる。したがって、高温時であっても、第1固定部材及び第2固定部材は、締め代を維持できるため、ハウジングとステータコアとを固定できる。よって、第1固定部材及び第2固定部材は、常温、低温及び高温のいずれの温度域であっても締め代を維持できる。したがって、温度変化によって締め代が減少することを抑制できる。
【0009】
なお、熱膨張は、物体の温度を上げたときに物体が膨張することを示し、熱変形の一種である。熱収縮は、物体の温度を下げたときに物体が収縮することを示し、熱変形の一種である。
【0010】
回転電機について、前記第1固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の大きい方の材料の線膨張係数と等しい線膨張係数を有する金属材料で形成され、前記第2固定部材は、前記ハウジング材料及び前記ステータコア材料のうち、線膨張係数の小さい方の材料の線膨張係数と等しい線膨張係数を有する金属材料で形成されているとよい。
【0011】
これによれば、低温時にハウジング及びステータコアが熱収縮したとき、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の大きい方は、第1固定部材と等しく熱収縮するため、第1固定部材は締め代を維持できる。また、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の小さい方は、第2固定部材と等しく熱収縮するため、第2固定部材は締め代を維持できる。
【0012】
高温時にハウジング及びステータコアが熱膨張したとき、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の大きい方は、第1固定部材と等しく熱膨張するため、第1固定部材は締め代を維持できる。また、ハウジング及びステータコアのうち線膨張係数の小さい方は、第2固定部材と等しく熱膨張するため、第2固定部材は締め代を維持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、温度変化によって締め代が減少することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態の回転電機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、ハウジング、ステータ、及び固定部材を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ハウジング、ステータ、及び固定部材を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、ハウジングの内部にステータを固定した状態の断面図である。
【
図5】
図5は、低温時の回転電機を示す拡大断面図である。
【
図6】
図6は、高温時の回転電機を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、回転電機を具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。
図1に示すように、回転電機10は、ハウジング11と、ステータ20と、ロータ30と、2つの固定部材50と、を備える。
【0016】
<ハウジング>
ハウジング11は、第1ハウジング構成体12と、第2ハウジング構成体13と、を備える。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13は金属製である。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13の各々は、アルミニウム製である。したがって、金属のハウジング材料は、アルミニウムである。
【0017】
第1ハウジング構成体12は、板状の端壁12aと、筒状の周壁12bと、を備える。周壁12bは、端壁12aの外周部から端壁12aの厚さ方向に延びる。第2ハウジング構成体13は、第1ハウジング構成体12に連結されている。第2ハウジング構成体13は、周壁12bにおける端壁12aとは反対側から、第1ハウジング構成体12の内部空間を閉塞している。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13は、収容空間S1を画定している。
【0018】
端壁12aにおける収容空間S1に臨む面には、円筒状のボス部12cが設けられている。ボス部12cの内側には軸受17が設けられている。ボス部12cは、端壁12aから第2ハウジング構成体13に向けて突出している。
【0019】
ボス部12cの中心軸線は、周壁12bの中心軸線と一致している。第2ハウジング構成体13における収容空間S1に臨む面には、円筒状のボス部13aが設けられている。ボス部13aの内側には、軸受17が設けられている。ボス部13aは、第2ハウジング構成体13から端壁12aに向けて突出している。ボス部13aの中心軸線は、周壁12bの中心軸線と一致している。よって、ボス部12cの中心軸線と、ボス部13aの中心軸線とは一致している。
【0020】
ハウジング11は、第1ハウジング構成体12の内周面12dから外周面12eに向けて凹む2つの第1溝15を備える。2つの第1溝15は、第1ハウジング構成体12の周方向に180度間隔で配置されている。第1溝15は、第1ハウジング構成体12の軸線方向Xの途中まで直線状に延びる。
【0021】
図3及び
図4に示すように、2つの第1溝15の各々は、第1底面15aと、一対の第1側面15bと、を備える。第1底面15aは、第1ハウジング構成体12の軸線方向Xに長辺を有する細長い長方形の平面である。一対の第1側面15bは、第1底面15aを間に挟んで対向している。一対の第1側面15b間の距離は、第1溝15の開口幅W1である。一対の第1側面15bにおいて、第1底面15aから内周面12dまでの最短距離は、第1側面15bの高さH1である。
【0022】
図1に示すように、2つの第1溝15の各々は、周壁12bの先端から軸線方向Xの途中まで延びている。2つの第1溝15の各々は、軸線方向Xの両端のうち、第1ハウジング構成体12の端壁12aに近い端に段差面15cを備える。
【0023】
<ロータ>
ロータ30は、ステータ20の内部に配置されている。ロータ30は、ボス部12cに設けられた軸受17と、ボス部13aに設けられた軸受17とによって、回転可能にハウジング11に支持されている。
【0024】
<ステータ>
図2及び
図3に示すように、ステータ20は、円筒状のステータコア21と、コイル22と、を備える。ステータコア21は、ハウジング11における周壁12bの内部に固定されている。ステータコア21とハウジング11における周壁12bとは隙間嵌めの関係である。ステータコア21は、複数枚の電磁鋼板を積層して形成されている。電磁鋼板は、ケイ素鋼製である。金属のステータコア材料は、ケイ素鋼である。
【0025】
ステータコア21は、ヨーク21aと、複数のティース21bと、を備える。ヨーク21aは、円筒状である。第1ハウジング構成体12の内周面12dは、ハウジング11の内周面である。ヨーク21aの外周面21cは、ステータコア21の外周面である。
【0026】
各ティース21bは、ヨーク21aの径方向に沿ってヨーク21aの内周面21fからステータコア21の中心軸線に向かって延びている。ヨーク21aの内周面21fは、ステータコア21の内周面である。複数のティース21bは、ヨーク21aの周方向に等間隔で配置されている。
【0027】
ステータコア21は、第1端面23a及び第2端面23bを備える。第1端面23aは、ステータコア21の軸線方向の一端面であるとともに、第2端面23bは、ステータコア21の軸線方向の他端面である。第1端面23aは、第2ハウジング構成体13に対向するとともに、第2端面23bは、第1ハウジング構成体12の端壁12aに対向する。なお、ステータコア21の軸線方向は、ハウジング11の軸線方向Xと一致するため、以下、ステータコア21の軸線方向Xと記載する。
【0028】
コイル22は、巻線が複数のティース21bの各々に巻回されて形成されている。コイル22は、第1コイルエンド22a及び第2コイルエンド22bを備える。第1コイルエンド22aは、ステータコア21の第1端面23aよりも、ステータコア21の軸線方向Xに突出した部分である。第2コイルエンド22bは、ステータコア21の第2端面23bよりもステータコア21の軸線方向Xに突出した部分である。第1コイルエンド22aは、ヨーク21aの周方向に沿って設けられている。第2コイルエンド22bは、ヨーク21aの周方向に沿って設けられている。
【0029】
ステータコア21は、ヨーク21aの外周面21cから内周面21fに向けて凹む2つの第2溝24を備える。2つの第2溝24は、ステータコア21の周方向に180度間隔で配置されている。第2溝24は、ステータコア21の軸線方向Xの全体に亘って直線状に延びる。
【0030】
図4に示すように、2つの第2溝24の各々は、第2底面24aと、一対の第2側面24bと、を備える。第2底面24aは、ステータコア21の軸線方向Xに長辺を有する細長な長方形状の平面である。一対の第2側面24bは、第2底面24aを挟んで対向している。一対の第2側面24b間の距離は、第2溝24の開口幅W2である。第2溝24の開口幅W2は、第1溝15の開口幅W1と同じ又は僅かに異なる。第2底面24aから外周面21cまでの最短距離は、第2側面24bの高さH2である。第2側面24bの高さH2は、第1側面15bの高さH1と同じ又は僅かに異なる。
【0031】
回転電機10は、2つの凹部26を備える。2つの凹部26の一方を第1凹部26Aとするとともに、他方を第2凹部26Bとする。第1凹部26Aと第2凹部26Bは、ハウジング11の周方向に180度間隔で配置されている。第1凹部26A及び第2凹部26Bの各々は、第1ハウジング構成体12の第1溝15と、ステータコア21の第2溝24とからなる。
【0032】
ハウジング11を軸線方向Xに見たとき、第1凹部26A及び第2凹部26Bの各々は四角形状を有している。第1凹部26A及び第2凹部26Bの各々は、第1底面15aと、一対の第1側面15bと、第2底面24aと、一対の第2側面24bと、から画定されている。
【0033】
第1凹部26Aは、互いに平行な第1内面26Aa及び第2内面26Abと、互いに平行な第3内面26Ac及び第4内面26Adと、を備える。第2凹部26Bは、互いに平行な第1内面26Ba及び第2内面26Bbと、互いに平行な第3内面26Bc及び第4内面26Bdと、を備える。第1内面26Aa,26Baは、第1溝15の第1底面15aによって形成されている。第2内面26Ab、26Bbは、第2溝24の第2底面24aによって形成されている。第3内面26Ac,26Bcは、第1溝15の一方の第1側面15bと、第2溝24の一方の第2側面24bとによって形成されている。第3内面26Ac,26Bcは、第1側面15bと第2側面24bが連続する平面である。第4内面26Ad,26Bdは、第1溝15の他方の第1側面15bと、第2溝24の他方の第2側面24bとによって形成されている。第4内面26Ad,26Bdは、第1側面15bと第2側面24bが連続する平面である。
【0034】
第1凹部26Aの第1寸法Hは、第1内面26Aaと第2内面26Abとの間での最短距離である。図示しないが、第2凹部26Bの第1寸法Hは、第1内面26Baと第2内面26Bbとの間での最短距離である。第1凹部26Aの第1寸法H及び第2凹部26Bの第1寸法Hは、第1側面15bの高さH1と、第2側面24bの高さH2との和である。
【0035】
第1凹部26Aの第2寸法Wは、第3内面26Acと第4内面26Adとの間での最短距離である。図示しないが、第2凹部26Bの第2寸法Wは、第3内面26Bcと第4内面26Bdとの間での最短距離である。第1凹部26Aの第2寸法W及び第2凹部26Bの第2寸法Wは、第1底面15aの開口幅W1及び第2底面24aの開口幅W2と同じである。
【0036】
図1及び
図2に示すように、複数の凹部26のうちの第1凹部26Aには、固定部材50としての第1固定部材51が圧入されているとともに、第2凹部26Bには、固定部材50としての第2固定部材52が圧入されている。したがって、固定部材50は、複数の凹部26のうち第1凹部26Aに圧入される第1固定部材51と、第1凹部26Aとは異なる第2凹部26Bに圧入される第2固定部材52と、を備えている。第1凹部26Aに対する第1固定部材51の圧入による締まり嵌め、及び第2凹部26Bに対する第2固定部材52の圧入による締まり嵌めによって、ハウジング11とステータコア21が固定されている。
【0037】
<固定部材>
図2及び
図3に示すように、第1固定部材51及び第2固定部材52の各々は、四角柱形状を有している。第1固定部材51は、互いに平行な第1側面51a及び第2側面51bと、互いに平行な第3側面51c及び第4側面51dと、を備える。また、第1固定部材51は、長手方向の両端面のうちの一方に第1端面51eを備えるとともに、他方に第2端面51fを備える。第2固定部材52は、互いに平行な第1側面52a及び第2側面52bと、互いに平行な第3側面52c及び第4側面52dと、を備える。また、第2固定部材52は、長手方向の両端面のうちの一方に第1端面52eを備えるとともに、他方に第2端面52fを備える。
【0038】
第1固定部材51及び第2固定部材52において、第1側面51a,52aと第2側面51b,52bとの最短距離は、第1固定部材51及び第2固定部材52の厚さDである。第1固定部材51及び第2固定部材52において、第3側面51c,52cと第4側面51d,52dとの最短距離は、第1固定部材51及び第2固定部材52の幅Fである。
【0039】
第1凹部26Aに圧入する前の第1固定部材51の厚さDは、第1凹部26Aの第1寸法Hより僅かに大きい。第1凹部26Aに圧入する前の第1固定部材51の幅Fは、第1凹部26Aの第2寸法Wより僅かに大きい。第2凹部26Bに圧入する前の第2固定部材52の厚さDは、第2凹部26Bの第1寸法Hより僅かに大きい。第2凹部26Bに圧入する前の第2固定部材52の幅Fは、第2凹部26Bの第2寸法Wより僅かに大きい。
【0040】
第1凹部26Aに圧入された後の第1固定部材51の厚さDは、第1凹部26Aの第1寸法Hと同じである。第1凹部26Aに圧入される前の厚さDと、第1凹部26Aに圧入された後の厚さDとの差は、第1固定部材51の締め代の寸法である。第1凹部26Aに圧入された後の第1固定部材51の幅Fは、第1凹部26Aの第2寸法Wと同じである。第1凹部26Aに圧入される前の幅Fと、第1凹部26Aに圧入された後の幅Fとの差は、第1固定部材51の締め代の寸法である。
【0041】
第2凹部26Bに圧入された後の第2固定部材52の厚さDは、第2凹部26Bの第1寸法Hと同じである。第2凹部26Bに圧入される前の厚さDと、第2凹部26Bに圧入された後の厚さDとの差は、第2固定部材52の締め代の寸法である。第2凹部26Bに圧入された後の第2固定部材52の幅Fは、第2凹部26Bの第2寸法Wと同じである。第2凹部26Bに圧入される前の幅Fと、第2凹部26Bに圧入された後の幅Fとの差は、第2固定部材52の締め代の寸法である。
【0042】
第1固定部材51及び第2固定部材52の厚さD及び幅Fは、上記締め代を確保できるように、第1凹部26A及び第2凹部26Bの第1寸法H及び第2寸法Wを考慮して、第1固定部材51及び第2固定部材52の厚さD及び幅Fが設定されている。締め代は、第1凹部26Aに第1固定部材51を圧入することによってハウジング11とステータコア21とを固定できる値に設定されている。同様に、締め代は、第2凹部26Bに第2固定部材52を圧入することによってハウジング11とステータコア21とを固定できる値に設定されている。また、第1固定部材51及び第2固定部材52の厚さD及び幅Fは、回転電機10の様々な温度域であっても、ハウジング11及びステータコア21の少なくとも一方と締め代が確保できる値に設定されている。
【0043】
第1固定部材51を形成する金属材料はアルミニウムである。第1固定部材51を形成する金属材料は、ハウジング材料と同じである。アルミニウムの線膨張係数は23.9×10-6[1/℃]である。なお、線膨張係数は、温度上昇による物体の体積が膨張する割合を温度当たりで示したものである。
【0044】
第2固定部材52を形成する金属材料はケイ素鋼である。第2固定部材52を形成する金属材料は、ステータコア材料と同じである。ケイ素鋼の線膨張係数は13×10-6[1/℃]である。アルミニウムの線膨張係数は、ケイ素鋼の線膨張係数より大きい。したがって、第1固定部材51及びハウジング11の線膨張係数は、第2固定部材52及びステータコア21の線膨張係数より大きい。
【0045】
第1固定部材51を形成するアルミニウムの線膨張係数は、ハウジング材料及びステータコア材料のうち、線膨張係数の大きい方であるハウジング材料の線膨張係数と等しい。第2固定部材52を形成するケイ素鋼の線膨張係数は、ハウジング材料及びステータコア材料のうち、線膨張係数の小さい方であるステータコア材料の線膨張係数と等しい。
【0046】
アルミニウム製の第1固定部材51は、アルミニウム製のハウジング11と同じ線膨張係数を有する。第1固定部材51は、高温時にハウジング11と同じ膨張率で熱膨張するとともに、低温時にハウジング11と同じ収縮率で熱収縮する。ケイ素鋼製の第2固定部材52は、ケイ素鋼製のステータコア21と同じ線膨張係数である。このため、第2固定部材52は、高温時にステータコア21と同じ膨張率で熱膨張するとともに、低温時にハウジング11と同じ収縮率で熱収縮する。
【0047】
なお、第1固定部材51と第2固定部材52は同じ形状である。
<常温時の回転電機>
図2に示すように、常温時の回転電機10において、第1固定部材51の第1側面51aは、第1凹部26Aの第1内面26Aaに押し付けられている。第1固定部材51の第2側面51bは、第1凹部26Aの第2内面26Abに押し付けられている。第1固定部材51の第3側面51cは、第1凹部26Aの第3内面26Acに押し付けられている。第1固定部材51の第4側面51dは、第1凹部26Aの第4内面26Adに押し付けられている。
【0048】
同様に、常温時の回転電機10において、第2固定部材52の第1側面52aは、第2凹部26Bの第1内面26Baに押し付けられている。第2固定部材52の第2側面52bは、第2凹部26Bの第2内面26Bbに押し付けられている。第2固定部材52の第3側面52cは、第2凹部26Bの第3内面26Bcに押し付けられている。第2固定部材52の第4側面52dは、第2凹部26Bの第4内面26Bdに押し付けられている。
【0049】
なお、
図1に示すように、第1固定部材51及び第2固定部材52の第1端面51e,52eの各々は、ステータコア21の第1端面23aに位置している。第1固定部材51及び第2固定部材52の第2端面51f,52fの各々は、第1溝15の段差面15cに接触している。第1固定部材51及び第2固定部材52の第2端面51f,52fの各々は、ステータコア21の第2端面23bに位置している。
【0050】
第1固定部材51及び第2固定部材52の各々は、常温において、ハウジング11とステータコア21とを締め代をもって固定している。上記締め代により、第1固定部材51及び第2固定部材52とハウジング11とが接続されるとともに、第1固定部材51及び第2固定部材52とステータコア21とが接続されている。
【0051】
<実施形態の作用>
<低温時の回転電機>
低温時には、第1固定部材51、第2固定部材52、ハウジング11及びステータコア21は、常温時に比べて熱収縮する。
【0052】
ハウジング11と第1固定部材51は同じアルミニウム製である。
図5に示すように、第1固定部材51の第1側面51aは、第1内面26Aaに押し付けられている。第1固定部材51の第3側面51cは、第3内面26Acにおける第1側面15bに押し付けられている。第1固定部材51の第4側面51dは、第4内面26Adにおける第1側面15bに押し付けられている。すなわち、常温時と同様に、第1固定部材51は締め代が維持されている。
【0053】
一方、ステータコア21の線膨張係数は、第1固定部材51の線膨張係数より小さい。このため、第1固定部材51の熱収縮量は、ステータコア21の熱収縮量より大きい。その結果、第2内面26Abに対する第1固定部材51の第2側面51bによる押圧力が弱まる。第3内面26Acにおける第2側面24bに対する第1固定部材51の第3側面51cによる押圧力が弱まる。第4内面26Adにおける第2側面24bに対する第1固定部材51の第4側面51dによる押圧力が弱まる。すなわち、第1固定部材51は、熱収縮によって締め代が減少する。このため、第1固定部材51とステータコア21との固定が弱くなる。
【0054】
第2固定部材52とステータコア21は熱収縮する。ステータコア21と第2固定部材52は同じケイ素鋼製である。このため、第2固定部材52の第2側面52bは、第2内面26Bbに押し付けられている。第2固定部材52の第3側面52cは、第3内面26Bcにおける第2側面24bに押し付けられている。第2固定部材52の第4側面52dは、第4内面26Bdにおける第2側面24bに押し付けられている。すなわち、常温時と同様に、第2固定部材52は締め代が確保されている。
【0055】
一方、第2固定部材52の線膨張係数は、ハウジング11の線膨張係数より小さい。このため、ハウジング11の熱収縮量は、第2固定部材52の熱収縮量よりも大きい。第2固定部材52の第1側面52aは、第1内面26Baによって強く押圧される。第2固定部材52の第3側面52cは、第3内面26Bcの第1側面15bによって強く押圧される。第2固定部材52の第4側面52dは、第4内面26Bdの第1側面15bによって強く押圧される。よって、
図5の矢印Yに示すように、第2固定部材52に対するハウジング11の押圧力は、常温時よりも大きくなる。すなわち、第2固定部材52は、締め代が常温時よりも増大する。このため、第2固定部材52とステータコア21とは、常温時よりも強固に固定される。したがって、ハウジング11とステータコア21とは、第1固定部材51及び第2固定部材52によって強固に固定される。
【0056】
したがって、低温時には、第2固定部材52は、ハウジング11及びステータコア21の両方に対して締め代を維持している。このため、低温時には、第2固定部材52によって、ハウジング11とステータコア21を固定できる。低温時に、第2固定部材52によってハウジング11及びステータコア21の両方に対して締め代を維持するため、第2固定部材52の線膨張係数は、ハウジング11の線膨張係数、及びステータコア21の線膨張係数のうち、小さい方のステータコア21の線膨張係数と同じである。
【0057】
<高温時の回転電機>
高温時には、第1固定部材51、第2固定部材52、ハウジング11及びステータコア21は、常温時に比べて熱膨張する。
【0058】
図6に示すように、第2固定部材52とステータコア21は同じケイ素鋼製である。このため、第2固定部材52の第2側面52bは、第2内面26Bbに押し付けられている。第2固定部材52の第3側面52cは、第3内面26Bcの第2側面24bに押し付けられている。第2固定部材52の第4側面52dは、第4内面26Bdの第2側面24bに押し付けられている。すなわち、常温時と同様に、第2固定部材52は締め代が維持される。
【0059】
一方、ハウジング11の線膨張係数は、第2固定部材52の線膨張係数より大きい。このため、第2固定部材52の熱膨張量は、ハウジング11の熱膨張量よりも小さい。第1内面26Baに対する第2固定部材52の第1側面52aによる押圧力が弱まる。第3内面26Bcの第1側面15bに対する第2固定部材52の第3側面52cによる押圧力は弱まる。第4内面26Bdの第1側面15bに対する第2固定部材52の第4側面52dによる押圧力は弱まる。すなわち、第2固定部材52の締め代は減少する。このため、第2固定部材52とハウジング11との固定が弱くなる。
【0060】
第1固定部材51とハウジング11とが熱膨張する。第1固定部材51とハウジング11は同じアルミニウム製である。このため、第1固定部材51の第1側面51aは、第1内面26Aaに押し付けられている。第1固定部材51の第3側面51cは、第3内面26Acの第1側面15bに押し付けられている。第1固定部材51の第4側面51dは、第4内面26Adの第1側面15bに押し付けられている。すなわち、常温時と同様に、第1固定部材51は締め代が維持される。
【0061】
一方、第1固定部材51の線膨張係数は、ステータコア21の線膨張係数より大きい。このため、第1固定部材51の熱膨張量は、ステータコア21の熱膨張量より大きい。第1固定部材51の第2側面51bは、第2内面26Abに強く押圧される。第1固定部材51の第3側面51cは、第3内面26Acの第2側面24bに強く押圧される。第1固定部材51の第4側面51dは、第4内面26Adの第2側面24bに強く押圧される。よって、
図6の矢印Yに示すように、第1固定部材51の締め代が常温時よりも増大する。このため、第1固定部材51とステータコア21とは、常温時よりも強固に固定される。したがって、ハウジング11とステータコア21とは、第1固定部材51及び第2固定部材52によって強固に固定される。
【0062】
高温時には、第1固定部材51は、ハウジング11及びステータコア21の両方に対して締め代を維持している。このため、高温時には、第1固定部材51によって、ハウジング11とステータコア21を固定できる。高温時に、第1固定部材51によってハウジング11及びステータコア21の両方に対して締め代を維持するため、第1固定部材51の線膨張係数は、ハウジング11の線膨張係数、及びステータコア21の線膨張係数のうち、大きい方のハウジング11の線膨張係数と同じである。
【0063】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ハウジング11とステータコア21とは、第1固定部材51及び第2固定部材52によって固定されている。第1固定部材51は、アルミニウムによって形成されている。第2固定部材52は、ケイ素鋼によって形成されている。ハウジング11とステータコア21とが低温時に熱収縮した場合、第1固定部材51は、ハウジング11との締め代を維持できるとともに、第2固定部材52は、ステータコア21との締め代を維持しつつ、ハウジング11との間での締め代が増大する。また、ハウジング11及びステータコア21が高温時に熱膨張した場合、第1固定部材51は、ハウジング11との締め代を維持しつつ、ステータコア21との間での締め代が増大する。第2固定部材52はステータコア21との締め代を維持できる。よって、常温、低温、高温のいずれにおいても、第1固定部材51及び第2固定部材52によってハウジング11とステータコア21とを強固に固定できる。したがって、回転電機10は、温度変化によって締め代が減少することを抑制できる。
【0064】
(2)ステータコア21は、ハウジング11の内部に固定されている。第1固定部材51は第1凹部26Aに圧入されるとともに、第2固定部材52は第2凹部26Bに圧入されている。したがって、第1固定部材51は第1凹部26Aに冷間嵌めされていない。また、第2固定部材52は第2凹部26Bに冷間嵌めされていない。このため、ハウジング11とステータコア21とを固定するために、第1固定部材51及び第2固定部材52を冷却するための装置が不要となる。また、冷却した第1固定部材51及び第2固定部材52が常温に戻る際の霜の発生がないため、霜の発生を抑制した温度管理もなくなる。
【0065】
(3)低温時において、アルミニウム製のハウジング11は、ケイ素鋼製の第2固定部材52よりも熱収縮量が大きい。このため、第2固定部材52とハウジング11とは、低温時において、常温時よりも強固に固定できる。
【0066】
高温時において、アルミニウム製の第1固定部材51は、ケイ素鋼製のステータコア21よりも熱膨張量が大きい。このため、第1固定部材51とステータコア21とは、高温時において、常温時よりも強固に固定できる。
【0067】
(4)第1固定部材51は、第1~第4側面51a~51dを備える。第1~第4側面51a~51dは、第1凹部26Aを画定する第1~第4内面26Aa~26Adに押し付けられる。第2固定部材52は、第1~第4側面52a~52dを備える。第1~第4側面52a~52dは、第2凹部26Bを画定する第1~第4内面26Ba~26Bdに押し付けられる。よって、例えば、丸棒状の固定部材と比べて、第1固定部材51及び第2固定部材52と、ハウジング11及びステータコア21との接触面積を大きくして、ハウジング11とステータコア21とを強固に固定できる。
【0068】
(5)回転電機10は、第1固定部材51と第2固定部材52を1つずつ備える。このため、低温時及び高温時のいずれにおいても、最小数の固定部材50によってハウジング11とステータコア21とを強固に固定できる。
【0069】
(6)第1固定部材51と第2固定部材52は、ハウジング11の周方向に180度間隔で配置されている。つまり、第1固定部材51と第2固定部材52は、ハウジング11の周方向に等間隔で配置されている。このため、第1固定部材51によって締め代を維持できる位置と、第2固定部材52によって締め代を維持できる位置とを等間隔にできる。よって、ハウジング11とステータコア21とは、第1固定部材51と第2固定部材52によってバランス良く固定できる。
【0070】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○第1固定部材51及び第2固定部材52は、円柱状であってもよい。この場合、第1凹部26A及び第2凹部26Bは、円形状となる。第1固定部材51及び第2固定部材52は、三角柱状であってもよい。この場合、第1凹部26A及び第2凹部26Bは、三角形状となる。さらには、第1固定部材51及び第2固定部材52を四角柱状としつつ、第1凹部26A及び第2凹部26Bを円形状とするなどして、第1固定部材51と第1凹部26A、及び第2固定部材52と第2凹部26Bとの形状を異ならせてもよい。つまり、第1凹部26Aに第1固定部材51を圧入できるとともに、第2凹部26Bに第2固定部材52を圧入できれば、第1凹部26A及び第2凹部26Bの形状と、第1固定部材51及び第2固定部材52の形状は適宜変更してもよい。
【0071】
○第1凹部26Aと第2凹部26Bは、ハウジング11の周方向に不等間隔で配置されていてもよい。この場合、第1固定部材51と第2固定部材52とは不等間隔で配置される。
【0072】
○凹部26の数及び固定部材50の数は3つでもよい。この場合、回転電機10は、第1固定部材51を1つ備えるとともに、第2固定部材52を2つ備えていてもよいし、第1固定部材51を2つ備えるとともに、第2固定部材52を1つ備えていてもよい。
【0073】
○凹部26の数及び固定部材50の数は4つでもよい。この場合、回転電機10は、第1固定部材51を2つ備えるとともに、第2固定部材52を2つ備えるのが好ましい。さらに、4つの固定部材50は、ハウジング11の周方向へ90度間隔で配置されているのが好ましい。このように構成した場合、4つの固定部材50によって、ハウジング11とステータコア21をバランスよく、かつ強固に固定できる。
【0074】
○第1固定部材51は、ジュラルミンで形成されていてもよい。この場合、第2固定部材52を形成する金属材料はケイ素鋼であってもよい。ジュラルミンの線膨張係数は27.3×10-6[1/℃]である。この場合、ハウジング材料は、アルミニウム又はジュラルミンである。また、ステータコア材料は、ケイ素鋼又はチタンである。チタンの線膨張係数は、8.5×10-6[1/℃]である。
【0075】
○第1固定部材51を形成する材料はアルミニウムであり、かつ第2固定部材52を形成する材料は、チタンであってもよい。この場合、ハウジング材料はアルミニウムである。ステータコア材料はチタンである。
【0076】
○第1固定部材51を形成する金属材料はジュラルミンであり、かつ第2固定部材52を形成する金属材料はチタンであってもよい。この場合、ハウジング材料は、アルミニウム又はジュラルミンである。また、ステータコア材料は、チタンである。
【0077】
○ステータコア21の第1端面23a側から第1凹部26A及び第2凹部26Bを閉塞するカバーを設けてもよい。低温時に、第1固定部材51の材料によっては、第1固定部材51はステータコア21との締め代を維持できなくなる。このとき、カバーは、第1固定部材51が第1凹部26Aから脱落することを防止する。高温時には、第2固定部材52の材料によっては、第2固定部材52は、ハウジング11との締め代を維持できなくなる。このとき、カバーは、第2固定部材52が第2凹部26Bから脱落することを防止する。このように構成すれば、第1固定部材51の線膨張係数をハウジング11の線膨張係数より大きくし、第2固定部材52の線膨張係数をステータコア21の線膨張係数より小さくできる。
【0078】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記固定部材は四角柱状である回転電機。
(ロ)前記固定部材及び前記凹部は、前記ハウジングの周方向に等間隔を空けて配置されている回転電機。
【0079】
(ハ)前記固定部材は、前記第1固定部材と前記第2固定部材の2つである回転電機。
【符号の説明】
【0080】
10…回転電機、11…ハウジング、12d…内周面、12e…外周面、15…第1溝、21…ステータコア、21c…外周面、21f…内周面、24…第2溝、26…凹部、26A…第1凹部、26B…第2凹部、50…固定部材、51…第1固定部材、52…第2固定部材。