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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135063
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/50 20230101AFI20240927BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240927BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240927BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B43/50
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H01L27/088 D
H10B41/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045570
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 渉一
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB09
5F048BB11
5F048BC03
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083ER23
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA18
5F083LA10
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083PR21
5F083PR29
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH19
(57)【要約】
【課題】一実施形態は、電気的特性に優れた半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一実施形態の半導体記憶装置は、基板と積層体と複数の柱状体とコンタクトとを持つ。積層体は、複数のゲート電極層と複数の絶縁層が第1方向に交互に積層される。コンタクトは、複数のゲート電極層のうち第1電極層に設けられ、第1方向に延びる。コンタクトは、複数のゲート電極層のうち第2電極層を貫通する。コンタクトは、外周側から順に、第1方向に延びる、第1絶縁膜と、第2絶縁膜と、金属膜とを含む。第1絶縁膜の第1端部は、1方向において、第1電極層の内部に突出する。第2絶縁膜の第2端部は、第1電極層の第2電極層側の第1面と接している。第1絶縁膜の第1端部と第1電極層の第2電極層側とは反対側の第2面との距離t1は、第2絶縁膜の第2端部と第1電極層の第2面との距離t2より短い。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に設けられ、複数のゲート電極層と複数の絶縁層が第1方向に交互に積層された積層体と、
前記積層体内を前記第1方向に延びた複数の柱状体と、
前記複数のゲート電極層のうち第1電極層に設けられ、前記第1方向に延び、前記複数のゲート電極層のうち第2電極層を貫通するコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトは、外周側から順に、
前記第1方向に延びる第1絶縁膜と、
前記第1方向に延びる第2絶縁膜と、
前記第1方向に延びる金属膜と、
を備え、
前記第1絶縁膜の第1端部は、前記第1方向において、前記第1電極層の内部に突出しており、
前記第2絶縁膜の第2端部は、前記第1電極層の前記第2電極層側の第1面と接しており、
前記第1絶縁膜の前記第1端部と前記第1電極層の前記第2電極層側とは反対側の第2面との距離t1は、前記第2絶縁膜の前記第2端部と前記第1電極層の前記第2面との距離t2より短い、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜の前記第2端部と前記第1電極層の前記第2面との前記距離t2は、前記第1電極層の厚みt3以上である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1電極層は、前記第2絶縁膜の前記第2端部に向かって突出した凸部を含み、
前記凸部の幅は、前記金属膜の幅よりも広い、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記コンタクトに対してセルフアラインに形成されている、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1絶縁膜の膜厚は、
前記凸部の前記第2絶縁膜側の端面と前記第1絶縁膜の内側面との交点と、前記第2電極層の前記第1電極層側の第3面と前記第1絶縁膜の外側面との交点との距離D1が、前記第1電極層と前記第2電極層との距離D2よりも長くなる条件を満足する、
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2絶縁膜の膜厚は、前記第1絶縁膜の膜厚よりも大きい、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルが3次元に配置されたNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0306279号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、電気的特性の向上を図ることができる半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の半導体記憶装置は、基板と、積層体と、複数の柱状体と、コンタクトとを持つ。積層体は、基板の上方に設けられる。積層体は、複数のゲート電極層と複数の絶縁層が第1方向に交互に積層される。柱状体は、積層体内を第1方向に延びる。コンタクトは、複数のゲート電極層のうち第1電極層に設けられ、第1方向に延びる。コンタクトは、複数のゲート電極層のうち第2電極層を貫通する。コンタクトは、外周側から順に、第1方向に延びる第1絶縁膜と、第1方向に延びる第2絶縁膜と、第1方向に延びる金属膜と、を含む。第1絶縁膜の第1端部は、1方向において、第1電極層の内部に突出する。第2絶縁膜の第2端部は、第1電極層の第2電極層側の第1面と接している。第1絶縁膜の第1端部と第1電極層の第2電極層側とは反対側の第2面との距離t1は、第2絶縁膜の第2端部と第1電極層の第2面との距離t2より短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体記憶装置の構成の一部を示すブロック図。
図2】第1実施形態のメモリセルアレイの一部の等価回路を示す図。
図3】第1実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図4図3に示された半導体記憶装置のF4線で囲まれた領域を拡大して示す断面図。
図5図4に示された半導体記憶装置のF5-F5線に沿う断面図。
図6図3に示された半導体記憶装置のF6-F6線に沿う断面図。
図7図3に示された半導体記憶装置のF8-F8線に沿う断面図。
図8】接続領域IRにおける、コンタクトと導電層の配置関係を説明する図。
図9図3に示された半導体記憶装置のF9線に囲まれた領域を拡大して示す断面図。
図10】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明する断面図。
図11】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体記憶装置を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。以下の説明において、区別のための数字または英字を末尾に伴う参照符号は、互いに区別されなくてもよい場合、末尾の数字または英字が省略される場合がある。
【0008】
本出願では用語を以下のように定義する。「平行」、「直交」、または「同じ」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同じ」である場合を含み得る。「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続を含み得る。すなわち「接続」とは、複数の要素が直接に接続される場合に限定されず、複数の要素が別の要素を間に介在させて接続される場合を含み得る。「重なる」とは、複数の要素が互いに接する場合に限定されず、複数の要素が離れている場合(ある方向から見た場合に複数の要素の投影像同士が重なる場合)を含み得る。
【0009】
+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向を、以下のように定義する。+X方向は、後述するワード線WLが延びた方向である(図3参照)。-X方向は、+X方向の反対方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合、単にX方向と称する。+Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、ビット線BLが延びた方向である。-Y方向は、+Y方向の反対方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合、単にY方向と称する。+Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Z方向は、半導体基板21から積層体40に向かう方向である(図3参照)。-Z方向は、+Z方向の反対方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合、単にZ方向と称する。
【0010】
以下の説明では、+Z方向側を「上」、-Z方向側を「下」と称する場合がある。また以下の説明では、Z方向の位置を「高さ」と称する場合がある。ただしこれら表現は、便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。Z方向は、「第1方向」の一例である。X方向は、「第2方向」の一例である。Y方向は、「第3方向」の一例である。以下に説明する図面では、説明と関連しない構成の図示が省略される場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
<1.半導体記憶装置の構成>
図1は、半導体記憶装置1の構成の一部を示すブロック図である。半導体記憶装置1は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置であり、NAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置1は、外部のホスト装置と接続可能であり、ホスト装置の記憶空間として使用される。半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルアレイ11、コマンドレジスタ12、アドレスレジスタ13、制御回路(シーケンサ)14、ドライバモジュール15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17を含む。
【0012】
メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLK0~BLK(k-1)(kは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、メモリセルトランジスタの集合である。ブロックBLKは、データの消去単位として使用される。メモリセルアレイ11には、複数のビット線および複数のワード線が設けられている。各メモリセルトランジスタは、1本のビット線と、1本のワード線とに関連付けられる。
【0013】
コマンドレジスタ12は、半導体記憶装置1がホスト装置から受信するコマンドCMDを保持する。アドレスレジスタ13は、半導体記憶装置1がホスト装置から受信するアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、ブロックBLK、ワード線、およびビット線の選択に使用される。制御回路14は、半導体記憶装置1の各種動作を制御する。例えば、制御回路14は、コマンドレジスタ12に保持されたコマンドCMDに基づき、データの書き込み動作、読み出し動作、または消去動作などを実行する。
【0014】
ドライバモジュール15は、電圧生成回路を含み、半導体記憶装置1の各種動作で使用される電圧を生成する。ロウデコーダモジュール16は、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたワード線に転送する。センスアンプモジュール17は、書き込み動作において、各ビット線に所望の電圧を印加する。センスアンプモジュール17は、読み出し動作において、各ビット線の電圧に基づいて各メモリセルトランジスタに記憶されたデータ値を判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてホスト装置に転送する。
【0015】
<2.メモリセルアレイの電気的構成>
図2は、メモリセルアレイ11の一部の等価回路を示す図である。図2は、メモリセルアレイ11に含まれる1つのブロックBLKを示している。ブロックBLKは、複数(例えば4つ)のストリングSTR0~SU3を含む。
【0016】
各ストリングSTRは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えば、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTn(nは1以上の整数)、1つ以上のドレイン側選択トランジスタSTD、および1つ以上のソース側選択トランジスタSTSを含む。
【0017】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnは、直列接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートおよび電荷蓄積部を含む。メモリセルトランジスタMTの制御ゲートは、ワード線WL0~WLnのいずれかに接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、ワード線WLを介して制御ゲートに印加された電圧に応じて電荷蓄積部に電荷が蓄積され、データ値を不揮発に保持する。
【0018】
ドレイン側選択トランジスタSTDのドレインは、当該NANDストリングNSに対応するビット線BLに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDのソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの一端に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、ドレイン側選択ゲート線SGD0~SGD3のいずれかに接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、ドレイン側選択ゲート線SGDを介して、ロウデコーダモジュール16と電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、対応するドレイン側選択ゲート線SGDに所定の電圧が印可された場合に、NANDストリングNSとビット線BLとを接続する。
【0019】
ソース側選択トランジスタSTSのドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの他端に接続されている。ソース側選択トランジスタSTSのソースは、ソース線SLに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSは、ソース側選択ゲート線SGSに所定の電圧が印可された場合に、NANDストリングNSとソース線SLとを接続する。
【0020】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnの制御ゲートは、それぞれ対応するワード線WL0~WLnに共通接続されている。同一のストリングSTRにおいて、ドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、対応するドレイン側選択ゲート線SGD0~SGD3に共通接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに共通接続されている。メモリセルアレイ11において、ビット線BLは、複数のストリングSTRにおいて同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有されている。
【0021】
<3.半導体記憶装置の物理的構成>
次に、半導体記憶装置1の物理的構成について説明する。
図3は、半導体記憶装置1の一部を示す断面図である。半導体記憶装置1は、例えば、第1チップ2と、第2チップ3とを有する。
【0022】
<3.1 第1チップ>
第1チップ2は、周辺回路を含む回路チップである。第1チップ2は、例えば、半導体基板21、周辺回路22、絶縁部23、および複数のパッド24を含む。
【0023】
半導体基板21は、例えば、第1チップ2のベースとなる基板である。半導体基板21の少なくとも一部は、X方向およびY方向に沿う板状である。半導体基板21は、例えば、シリコンのような半導体材料により形成されている。
【0024】
半導体基板21は、後述するメモリピラーMHが配置されたセル領域CRと、セル領域CRに隣接して配置され、メモリセルトランジスタMTに対応するワード線WLに電圧を印可するための接続領域IRとに分けられる。各領域の詳細は後述する。
【0025】
周辺回路22は、上述したメモリセルアレイ11を機能させるための回路である。周辺回路22は、上述したコマンドレジスタ12、アドレスレジスタ13、制御回路14、ドライバモジュール15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17のうち1つ以上を含む。周辺回路22は、例えば、複数のトランジスタ31、複数の配線層33、および複数のビア34を含む。
【0026】
トランジスタ31は、半導体基板21上に設けられている。複数の配線層33は、複数の高さに分かれて配置されている。各配線層33は、X方向またはY方向に延びた複数の配線33aを含む。ビア34は、第1チップ2内をZ方向に延びた電気接続部である。複数のビア34は、例えば、異なる高さに配置された2つの配線33aを接続するビア34と、配線33aとパッド24とを接続するビア34とを含む。
【0027】
絶縁部23は、複数のトランジスタ31、複数の配線層33、および複数のビア34を覆う。複数のパッド24は、絶縁部23の表面に設けられている。各パッド24は、ビア34を介して配線33aに電気的に接続されている。
【0028】
<3.2 第2チップ>
第2チップ3は、メモリセルアレイ11を含むアレイチップである。第2チップ3は、例えば、メモリセルアレイ11、絶縁部35、および複数のパッド36を有する。ここでは、絶縁部35および複数のパッド36について説明し、メモリセルアレイ11については後述する。
【0029】
絶縁部35は、メモリセルアレイ11を覆う。複数のパッド36は、絶縁部35の表面に設けられている。各パッド36は、後述するメモリセルアレイ11の配線部80に含まれる配線(例えば配線81または配線83)に電気的に接続されている。本実施形態では、第1チップ2の複数のパッド24と、第2チップ3の複数のパッド36とが向かい合わせにされて貼合されることで、第1チップ2と第2チップ3とが一体化されている。
【0030】
なお、図3では、アレイチップである第2チップ3と、回路チップである第1チップ2とが貼り合わされた例を示したが(CBA:CMOS Bonding Array)、本実施形態はこれに限定されない。例えば、メモリセルアレイ11のX方向又はY方向の側方(周辺)に周辺回路22があってもよい。また例えば、周辺回路22が、メモリセルアレイ11の下方に配置されてもよい(CUA:CMOS Under Array)。
【0031】
<4.メモリセルアレイの物理的構成>
次に、メモリセルアレイ11の物理的構成について説明する。
図3に示すように、メモリセルアレイ11は、積層体40、ソース線SL、複数のメモリピラーMH、複数のBL、導電層用のコンタクト70、配線部80、および複数の分断部90(図6参照)を有する。
【0032】
<4.1 積層体>
まず、積層体40について説明する。
図4は、図3に示された半導体記憶装置1のF4線で囲まれた領域を拡大して示す断面図である。積層体40は、複数の導電層41と、複数の絶縁層42とを含む。複数の導電層41および複数の絶縁層42は、Z方向に1層ずつ交互に積層されている。
【0033】
導電層41は、X方向およびY方向に沿う。各導電層41は、例えば、タングステンまたはモリブデンのような導電材料で形成されている。導電層41は、「ゲート電極層」の一例である。
【0034】
複数の導電層41のうち下方に位置する1つ以上(例えば複数)の導電層41は、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する。ドレイン側選択ゲート線SGDは、X方向またはY方向で並ぶ複数のメモリピラーMHに対して共通に設けられている。ドレイン側選択ゲート線SGDと各メモリピラーMHのチャネル層52(後述)との交差部分は、上述したドレイン側選択トランジスタSTDとして機能する。
【0035】
複数の導電層41のうち上方に位置する1つ以上(例えば複数)の導電層41は、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する。ソース側選択ゲート線SGSは、X方向またはY方向で並ぶ複数のメモリピラーMHに対して共通に設けられている。ソース側選択ゲート線SGSと各メモリピラーMHのチャネル層52との交差部分は、上述したソース側選択トランジスタSTSとして機能する。
【0036】
複数の導電層41のうち、ドレイン側選択ゲート線SGDおよびソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層41の間に設けられた残りの導電層41の少なくとも一部は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、X方向およびY方向で並ぶ複数のメモリピラーMHに対して共通に設けられている。本実施形態では、ワード線WLと各メモリピラーMHのチャネル層52との交差部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリセルトランジスタMTについては、詳しく後述する。
【0037】
絶縁層42は、Z方向で隣り合う2つの導電層41の間に設けられ、当該2つの導電層41を絶縁する層間絶縁膜である。絶縁層42は、X方向およびY方向に沿う。絶縁層42は、例えば、シリコンと酸素と含む膜により形成されている。
【0038】
<4.2 ソース線>
ソース線SLは、積層体40に対して上方に配置されている。ソース線SLは、X方向およびY方向に広がる導電層である。ソース線SLは、ポリシリコンまたはタングステンのような導電材料により形成されている。
【0039】
<4.3 メモリピラー>
複数のメモリピラーMHは、X方向およびY方向に並ぶ(図3参照)。各メモリピラーMHは、積層体40内をZ方向に延びており、積層体40を貫通している。メモリピラーMHの上端は、ソース線SLに接する。一方で、各メモリピラーMHの下端は、配線部80に接する。メモリピラーMHは、「柱状体」の一例である。
【0040】
図5は、図4に示された半導体記憶装置1のF5-F5線に沿う断面図である。メモリピラーMHは、例えば、メモリ膜(多層膜)51、チャネル層52、絶縁コア53、およびキャップ部54(図4参照)を有する。
【0041】
メモリ膜51は、チャネル層52の外周側に設けられている。メモリ膜51は、複数の導電層41とチャネル層52との間に位置する。メモリ膜51は、例えば、ブロック絶縁膜61、チャージトラップ膜62、およびトンネル絶縁膜63を含む。
【0042】
ブロック絶縁膜61は、複数の導電層41とチャージトラップ膜62との間に設けられている。ブロック絶縁膜61は、バックトンネリングを抑制する絶縁膜である。バックトンネリングは、ワード線WLからチャージトラップ膜62へ電荷が戻る現象である。ブロック絶縁膜61は、環状に形成され、Z方向に延びている。ブロック絶縁膜61は、例えば、メモリピラーMHのZ方向の全長に亘る。ブロック絶縁膜61は、例えば、シリコンと酸素を含む膜または金属と酸素を含む膜などの複数の絶縁膜が積層された積層構造膜である。金属と酸素を含む膜の一例は、アルミニウム酸化物である。ブロック絶縁膜61は、シリコン窒化物またはハフニウムオキサイドのような高誘電率材料(High-k材料)を含んでもよい。
【0043】
チャージトラップ膜62は、ブロック絶縁膜61とトンネル絶縁膜63との間に位置する。チャージトラップ膜62は、環状に形成され、Z方向に延びている。チャージトラップ膜62は、例えば、メモリピラーMHのZ方向の全長に亘る。チャージトラップ膜62は、多数の結晶欠陥(捕獲準位)を有し、結晶欠陥に電荷を捕獲可能な機能膜である。チャージトラップ膜62は、例えばシリコンと窒素を含む膜により形成されている。チャージトラップ膜62のなかで各ワード線WLと隣り合う部分は、電荷を蓄積することで情報を記憶可能な「電荷蓄積部」の一例である。
【0044】
トンネル絶縁膜63は、チャネル層52とチャージトラップ膜62との間に設けられている。トンネル絶縁膜63は、例えばチャネル層52の外周面に沿う環状であり、チャネル層52に沿ってZ方向に延びている。トンネル絶縁膜63は、例えば、メモリピラーMHのZ方向の全長に亘る。トンネル絶縁膜63は、チャネル層52とチャージトラップ膜62との間の電位障壁である。トンネル絶縁膜63は、シリコンと酸素を含む膜、または、シリコンと酸素と窒素を含む膜により形成されている。
【0045】
これにより、各ワード線WLと同じ高さには、メモリピラーMHに隣り合うワード線WLの端部、ブロック絶縁膜61、チャージトラップ膜62、トンネル絶縁膜63、およびチャネル層52により、MANOS(Metal-Al-Nitride-Oxide-Silicon)型のメモリセルトランジスタMTが形成されている。なお、メモリ膜51は、電荷蓄積部として、チャージトラップ膜62に代えて、フローティングゲート方式の電荷蓄積部(フローティングゲート電極)を有してもよい。フローティングゲート電極は、例えば、不純物を含むポリシリコンにより形成される。
【0046】
絶縁コア53は、チャネル層52の内側に設けられている。絶縁コア53は、チャネル層52の内部の少なくとも一部を埋めている。絶縁コア53は、シリコンと酸素を含む膜により形成されている。絶縁コア53の一部は、チャネル層52の内周面に沿う環状に形成され、内部に空間部(エアギャップ)を有してもよい。絶縁コア53は、Z方向に延びている。絶縁コア53は、例えば、メモリピラーMHの上端部を除いてメモリピラーMHのZ方向の大部分に亘る(図4参照)。
【0047】
次に図4に戻り、キャップ部54について説明する。キャップ部54は、絶縁コア53の下方に設けられている。キャップ部54は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンのような半導体材料で形成された半導体部である。キャップ部54は、不純物がドープされていてもよい。キャップ部54は、メモリ膜51の下端部の内周側に配置され、チャネル層52と一体に形成されている。キャップ部54は、チャネル層52の下端部とともに、メモリピラーMHの下端部を形成している。
【0048】
<4.4 ビット線>
次に、図3に戻り、ビット線BLについて説明する。
ビット線BLは、複数のメモリピラーMHのなかから1つのメモリピラーMHを選択するための配線である。複数のビット線BLは、積層体40に対して下方側に配置されている。複数のビット線BLは、X方向に間隔を空けて、X方向に並ぶ。各ビット線BLは、Y方向に延びている。各ビット線BLは、対応する複数のメモリピラーMHの下方を通るように延びている。
【0049】
各ビット線BLは、Z方向から見た場合、複数のメモリピラーMHと重なる(図6参照)。各ビット線BLは、メモリピラーMHのチャネル層52に接続されている。これにより、ワード線WLとビット線BLとの組み合わせにより、3次元に配置された複数のメモリセルトランジスタMTのなかから任意のメモリセルトランジスタMTを選択することができる。
【0050】
<4.5 配線部>
次に、配線部80について説明する。配線部80は、例えば、積層体40と、半導体基板21との間に配置されている。配線部80は、例えば、複数の配線81、複数のビア82、および複数の配線83を含む。
【0051】
配線81は、ビット線BLと、パッド36とを電気的に接続する電気接続部である。複数の配線81は、例えば、複数のビット線BLに対して下方に配置されている。各配線81は、例えば、X方向またはY方向に延びている。配線81とビット線BLとの間には、配線81とビット線BLとを電気的に接続するビア82が設けられている。
【0052】
配線83は、導電層用のコンタクト70と、パッド36とを電気的に接続する電気接続部である。配線83は、導電層用のコンタクト70を介して導電層41に電気的に接続される。配線83は、導電層41(ワード線WL、ドレイン側選択ゲート線SGD、またはソース側選択ゲート線SGS)を選択するために電圧が印加される。
【0053】
<4.6 導電層用のコンタクト>
図3に示すように、導電層用のコンタクト70は、導電層41と配線部80に含まれる配線83とを電気的に接続する電気接続部である。複数のコンタクト70は、Z方向に延びており、例えば、Z方向の長さが互いに異なる。各コンタクト70の上端は、対応する導電層41に接している。各コンタクト70の上端は、対応する導電層41に電気的に接続されている。
【0054】
なお、複数のコンタクト70は、例えば、メモリセルアレイ11のうちメモリピラーMHが配置されたセル領域CRと隣接して配置され、配線83とワード線WLとを電気的に接続するための接続領域IRに対応して配置されている。コンタクト70は、接続領域IRにおける導電層41の少なくとも1つを貫通する。例えば、後に説明する図9の例の場合、コンタクト70は、第2導電層41bを貫通する。コンタクト70の詳細構造、コンタクト70と導電層41との接続構造については後述する。
【0055】
<5.積層体の分断部>
次に、分断部90について説明する。
図6は、図3に示された半導体記憶装置1のF6-F6線に沿う断面図である。本実施形態では、複数の分断部90は、積層体40に設けられている。複数の分断部90は、Y方向に分かれて配置されている。複数の分断部90は、それぞれ積層体40内をZ方向に延び、複数の導電層41のうち最下層を含む1つ以上の導電層41をY方向に分断する。複数の分断部90は、例えば、複数の分断部STと、複数の分断部SHEとを含む。
【0056】
<5.1 分断部ST>
分断部STは、積層体40をY方向に分断する壁部である。複数の分断部STは、Y方向に分かれて配置されている。分断部STは、Z方向に延びており、積層体40を貫通するとともに、X方向に延びている。すなわち、分断部STは、Z方向およびX方向に沿う壁部である。分断部STは、積層体40に含まれる全ての導電層41の各々をY方向に分断している。分断部STは、例えば、絶縁部STaと、導電部STbとを含む。
【0057】
絶縁部STaは、Z方向に延びており、積層体40を貫通している。絶縁部STaは、積層体40に含まれる複数の導電層41の各々をY方向に分断している。絶縁部STaは、例えば、シリコンと酸素を含む膜により形成されている。
【0058】
導電部STbは、絶縁部STaの内部に設けられている。導電部STbは、Z方向に延び、積層体40を貫通している。導電部STbの上端は、ソース線SLに接している。導電部STbは、タングステンまたはモリブデンのような導電材料により形成されている。導電部STbは、例えば、ソース線SLとメモリセルアレイ11内の配線とを接続する電気接続部である。
【0059】
<5.2 分断部SHE>
分断部SHEは、分断部STと比べてZ方向に浅い分断部であり、積層体40の下端部をY方向に分断する壁部である。複数の分断部SHEは、Y方向に分かれて配置されている。本実施形態では、Y方向で隣り合う2つの分断部STの間に、複数(例えば3つ)の分断部SHEが存在する。分断部SHEは、積層体40の下端部に設けられ、積層体40の途中までZ方向に延びるとともに、X方向に延びている。すなわち、分断部SHEは、Z方向およびX方向に沿う壁部である。
【0060】
分断部SHEは、複数の導電層41のうち最下層を含む一部の導電層41を貫通し、当該一部の導電層41をY方向に分断している。例えば、分断部SHEは、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する全ての導電層41の各々を貫通している。一方で、分断部SHEは、ワード線WLとして機能する導電層41には達していない。分断部SHEは、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層41のみをY方向に分断する。分断部SHEは、例えば、シリコンと酸素を含む膜により形成されている。
【0061】
図7は、図3に示された半導体記憶装置1のF8-F8線に沿う断面図である。本実施形態では、ドレイン側選択ゲート線SGDに対応する導電層41が分断部STおよび分断部SHEによりY方向に分断されている。これにより、X方向に延びたドレイン側選択ゲート線SGDが形成されている。これにより、分断部STまたは分断部SHEにより区分される領域が1つのストリングSTRに対応する。
【0062】
本実施形態では、Y方向で隣り合う2つの分断部ST(分断部ST1,ST2)の間に3つの分断部SHE(分断部SHE1,SHE2,SHE3)が存在する。分断部SHE1、分断部SHE2、および分断部SHE3は、この順に、分断部ST1から分断部ST2に向けて並ぶ。
【0063】
<6.コンタクトと導電層の接続領域>
次に、コンタクト70の詳細構造、およびコンタクト70とワード線WL(導電層41)の接続領域について説明する。
図8は、コンタクト70をまとめて配置する接続領域IRを説明する図である。なお、コンタクト70をまとめて配置することは必ずしも必要ではなく、個々のコンタクト70を場所を分散させて配置してもよい。図8に示す接続領域IRでは、各コンタクト70とワード線WL(導電層41)との接続部の配置を明示するため、各コンタクト70の周囲のワード線WL(導電層41)のうち、接続対象の導電層41より-Z方向の全てのワード線WL(導電層41)の図示を省略している。また図9は、図3に示された半導体記憶装置1のF9線に囲まれた領域を拡大して示す断面図である。なお、図9に示す接続領域IRは、説明の便宜上、-Z方向が上、+Z方向が下とした。
【0064】
図8の例では、コンタクト70のX方向に並んだ列がY方向に3列配置される。なお、この構造を、以下、適宜、「3列コンタクト」と称する。
図8の3列コンタクトで、最も+X方向に配置する3つのコンタクト(1行目のコンタクト)は、-Z方向から1番目、2番目、および3番目の3つのワード線WL(導電層41)にそれぞれ接続される。すなわち、最も-Z方向に位置するワード線WL(図3での最下層のワード線WL)に接続されるコンタクト70と-Y方向に隣り合うコンタクト70は、+Z方向に1層ずれたワード線WL(下から2番目のワード線WL)に接続される。下から2番目のワード線WLに接続されたコンタクト70と-Y方向に隣り合うコンタクト70は、+Z方向に1層ずれたワード線WL(下から3番目のワード線WL)に接続される。
【0065】
1行目のコンタクト70と-X方向に隣り合う3つのコンタクト70(2行目のコンタクト70)は、-Z方向から4番目、5番目、および6番目の3つのワード線WLにそれぞれ接続される。すなわち、最も-Z方向に位置するワード線WL(図3での最下層のワード線WL)に接続されるコンタクト70と-X方向に隣り合うコンタクト70は、最も-Z方向に位置するワード線WLから+Z方向に3層ずれたワード線WL(下から4番目のワード線WL)に接続される。下から4番目のワード線WLに接続されたコンタクト70と-Y方向に隣り合うコンタクト70は、+Z方向に1層ずれたワード線WL(下から5番目のワード線WL)に接続される。下から5番目のワード線WLに接続されたコンタクト70と-Y方向に隣り合うコンタクト70は、+Z方向に1層ずれたワード線WL(下から6番目のワード線WL)に接続される。
【0066】
以下、3行目以降のコンタクトについても同様である。
「3列コンタクト」では、図8にも示されるように、コンタクトに-X方向に隣り合うコンタクトに接続されるワード線WL(導電層41)は、+Z方向にそれぞれ3層ずつずれる。
【0067】
なお、接続領域IRにおけるコンタクトの列数(Y方向のコンタクト数)は限定されず、例えば、4列、2列、または1列であってもよい。接続領域IRにおけるコンタクトの列数が例えば2列の場合には、各コンタクトに-X方向に隣り合うコンタクトに接続されるワード線WL(導電層41)は、+Z方向にそれぞれ2層ずつずれる。
【0068】
図9に示すように、コンタクト70は、外周側から順に、第1スペーサ絶縁膜71と、第2スペーサ72と、金属膜73と、を有する。第1スペーサは、「第1絶縁膜」の一例である。第2スペーサは、「第2絶縁膜」の一例である。
【0069】
第1スペーサ71は、例えば、環状に形成され、Z方向に延びている。第1スペーサ71は、例えば、コンタクト70のZ方向の全長に亘る。第1スペーサ71は、例えば、シリコンと酸素を含む膜により形成されている。第1スペーサ71の膜厚t5は、例えば、15nm~35nmである。
【0070】
第1スペーサ71の+Z方向の端部、つまり半導体基板21とは反対側の第1端部71aは、Z方向において、複数の導電層41のうち、第1導電層41aの内部に突出している。つまり、第1スペーサ71の第1端部71aは、第1導電層41aの内部に位置している。
【0071】
第2スペーサ72は、第1スペーサ71の内周側に設けられている。第2スペーサ72の+Z方向の端部、つまり半導体基板21とは反対側の第2端部72aは、第1導電層41aの-Z方向の面と接している。ここで「第1導電層41aの-Z方向の面」とは、第1導電層41aと-Z方向で隣り合う導電層41を第2導電層41bとした場合、第1導電層41aの第2導電層41b側の面である。「第1導電層41aの-Z方向の面」は「第1面」の一例である。
【0072】
第2スペーサ72は、例えば、環状に形成され、Z方向に延びている。第2スペーサ71は、例えば、シリコンと酸素を含む膜、またはシリコンと酸素と炭素を含む膜により形成されている。なお、第2スペーサ72の膜厚t6は、第1スペーサ71の膜厚t5よりも大きい方が好ましい。第2スペーサ72の膜厚t6を十分に大きくすることで、コンタクト70と導電層41間の耐圧を確保することができる。
【0073】
金属膜73は、第2スペーサ72の内周側に設けられている。金属膜73は、タングステンのような導電材料により形成されている。金属膜73は、例えば柱状であり、Z方向に延びている。金属膜73の-Z方向側の端部には、配線83が接続される。
【0074】
第2スペーサ72と金属膜73との間にはバリアメタル膜74が形成される。バリアメタル膜74は、金属膜73の材料の拡散を抑制する層である。バリアメタル膜74は、例えば窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、もしくは窒化タングステン(WN)により形成される。ただし、バリアメタル膜74は、上記例に限定されず、金属膜73の材料の拡散の抑制が期待できる別の材料により形成されてもよい。
【0075】
ここで、本実施形態の接続領域IRにおいては、第1スペーサ71で囲まれた第1導電層41aは、第1スペーサ71の内部を-Z方向に向かって突出した凸部41aaを含む。凸部41aaは、第2スペーサ72の+Z方向、つまり半導体基板21とは反対側の第2端部72a、バリアメタル膜74の+Z方向の端部と接しており、凸部41aaの幅W1は、金属膜73の幅W2よりも広い。図9に示す例では、バリアメタル膜74の一部が凸部41aa内に延びているが、本実施形態ではこれに限定されない。例えば、バリアメタル膜74の+Z方向の端部と凸部41aaの端部が接する形態であってもよい。凸部前記コンタクトに対してセルフアラインに形成されている。
【0076】
ここで、本実施形態のコンタクト70においては、第2スペーサ72の第2端部72aは、第1スペーサ71の第1端部71aよりも-Z方向側に位置する。換言するに、第1スペーサ71の第1端部71aと第1導電層41aの+Z方向側の面との距離t1よりも、第2スペーサ72の第2端部72aと第1導電層41aの+Z方向側の面との距離t2の方が長い。すなわち、第1スペーサ71の第1端部71aに対応する位置の第1導電層41aの膜厚よりも、第2スペーサ72の第2端部72aに対応する位置の第1導電層41aの膜厚の方が大きい。なお、「第1導電層41aの+Z方向側の面」とは、第1導電層41aの第2導電層41bとの反対側の面であり、「第2面」の一例である。
【0077】
また、第2スペーサ72の第2端部72aと第1導電層41aの+Z方向側の面との距離t2は、第1導電層41aの厚みt3以上である。ここで、第2スペーサ72の第2端部72aと第1導電層41aの+Z方向側の面との距離t2は、凸部41aaのZ方向の厚みに相当する。すなわち、本実施形態では、コンタクト70の形成領域における導電層41が厚膜化されてなる凸部41aaの厚みである距離t2を、コンタクト70の形成領域以外の導電層41の厚みt3以上とすることで、コンタクト70と導電層41との接触不良をより回避できる。距離t2は、厚みt3よりも大きいことが好ましい。
【0078】
また、第1スペーサ71の膜厚t5は、凸部41aaの第2スペーサ72側の端面と第1スペーサ71の内側面との交点と、第2導電層41bの+Z方向側の面と第1スペーサ71の外側面との交点との距離D1が、第1電極層41aと第2電極層42bとの距離D2よりも長くなる条件を満足する。このように第1スペーサ71の膜厚t5の厚みを十分に大きくすることで、Z方向で隣りあう導電層41間の耐圧をより確保できる。なお、「第2導電層41bの+Z方向側の面」とは、第2導電層41bの第1導電層41a側の面であり、「第3面」の一例である。
【0079】
<7.製造方法>
次に、半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図10、11は、半導体記憶装置1の製造方法を説明するための断面図である。以下では、接続領域IRにおけるコンタクト70の形成に関連する工程について説明する。なお、以下では、図8に示すような3列の階段構造を例示して説明する。
【0080】
まず図10中の(a)に示すように、絶縁層101と絶縁層42とが交互に積層されることで積層体40Aが形成される。絶縁層101は、後述する置換工程で導電層41に置換される犠牲層である。絶縁層101は、例えば、シリコンと窒素を含む膜により形成される。次に、積層体40Aに、コンタクト70を設けるための複数の穴Hが形成される。X方向に隣り合う穴Hは、Y方向から見て、3段おきに配置される。
【0081】
ここで、図10中の(a)に示すように、穴Hの底面から露出した絶縁層101の表面の一部が除去される場合がある。つまり、穴Hの底面で露出している絶縁層101の厚みが薄くなる場合がある。このような状態で後述する置換工程が実施されると、置換された導電層41も薄くなり、採取的なコンタクト70と導電層41との接触不良が生じる場合がある。そこで、本実施形態の製造方法では、後述する犠牲膜成長工程において、薄くなった絶縁層101の膜厚化を図る。詳細は後述する。
【0082】
次に、穴Hの底面および内側壁に、第1スペーサ71が成膜される。穴Hの内側壁に第1スペーサが成膜されることで、絶縁層101の露出面が保護されるとともに、後述する置換工程で絶縁層101が導電層41に置換される際に、コンタクト70を保護できる。
【0083】
その後、図10中の(b)に示すように、穴Hの底面に対応する第1スペーサ71が除去され、穴Hの内側壁に第1スペーサ71が設けられる。
【0084】
次に、図10中の(c)に示すように、穴Hの底面から露出している絶縁層101が選択的に成長されて凸部101aが形成される(犠牲膜成長工程)。
以下、絶縁層101を選択的に成長させる好適な方法について説明する。
【0085】
まず、気相原料(プリカーサ)としてSiを用い、このSiプリカーサを、穴Hの底面から露出している絶縁層101の表面に暴露させる。そして露出している絶縁層101に熱を加えることで、シリコンと窒素を含む絶縁層101が選択的にZ方向に成長し、凸部101aが形成される。なお、本実施形態の凸部101aは、シリコンと窒素を含む絶縁層101の表面が選択的に成長することで形成されるため、図10中の(c)に示すように、凸部101aの形状は凸型となる。
【0086】
凸部101aを形成した後に、図10中の(c)に示すように、第1スペーサ71の内側壁および凸部101aの上面に、第2スペーサ72が成膜される。第2スペーサ72の材料は第1スペーサ71と同一であってもよい。
【0087】
次いで、図11中の(a)に示すように、分断部ST用の溝ST1が形成され、置換工程が行われる。すなわち、ウェットエッチングにより溝ST1を通じて凸部101aを含む絶縁層101が除去される。次に、絶縁層101が除去された空間に導電層41の材料が供給され、導電層41および凸部41aaが形成される。
【0088】
次に、図11中の(b)に示すように、穴Hの底面に対応する第2スペーサ72が除去され、凸部41aaの表面が露出される。
【0089】
次に、図11中の(c)に示すように、穴H内に、バリアメタル層74および金属膜73がそれぞれ成膜され、コンタクト70が形成される。その後、コンタクト70の-Z方向側の面上に配線部80が形成されることで、第2チップ3が完成する。そして、第2チップ3の上下方向が反転され、第1チップ2と第2チップ3が貼合されることで、半導体記憶装置1が形成される。
【0090】
以上、いくつかの実施形態について説明した。ただし、実施形態は、上述した例に限定されない。例えば、隣り合う2つの分断部STの間に配置されるストリングSTRの数(すなわち1つのブロックBLKに含まれるストリングSTRの数)は、4つに限らず、3つ以下でもよく、5つ以上でもよい。
【0091】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、半導体記憶装置は、第1絶縁膜の第1端部と第1電極層の+Z方向側の面の距離t1よりも、第2絶縁膜の第2端部と第1電極層の+Z方向側の面の距離t2の方が長い。すなわち、第1絶縁膜の第1端部に対応する位置の第1電極層の膜厚よりも、第2絶縁膜の第2端部に対応する位置の第1電極層の膜厚の方が大きい。このような構成によれば、コンタクトと電極層との接触不良を回避でき、電気特性に優れた半導体記憶装置を得ることができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
1…半導体記憶装置、40…積層体、41…導電層(ゲート電極層)、42…絶縁層、CA…セル領域(第1領域)、IR…接続領域(第2領域)、MH…メモリピラー(柱状体)、BL…ビット線、70…コンタクト、71…第1スペーサ(第1絶縁膜)、72…第2スペーサ(第2絶縁膜)、73…金属膜、90…分断部、ST…分断部、SHE…分断部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11